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第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
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第75巻(寅の巻)
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第77巻(辰の巻)
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第58巻(酉の巻)
序文
総説
第1篇 玉石混淆
01 神風
〔1476〕
02 多数尻
〔1477〕
03 怪散
〔1478〕
04 銅盥
〔1479〕
05 潔別
〔1480〕
第2篇 湖上神通
06 茶袋
〔1481〕
07 神船
〔1482〕
08 孤島
〔1483〕
09 湖月
〔1484〕
第3篇 千波万波
10 報恩
〔1485〕
11 欵乃
〔1486〕
12 素破抜
〔1487〕
13 兎耳
〔1488〕
14 猩々島
〔1489〕
15 哀別
〔1490〕
16 聖歌
〔1491〕
17 怪物
〔1492〕
18 船待
〔1493〕
第4篇 猩々潔白
19 舞踏
〔1494〕
20 酒談
〔1495〕
21 館帰
〔1496〕
22 獣婚
〔1497〕
23 昼餐
〔1498〕
24 礼祭
〔1499〕
25 万歳楽
〔1500〕
余白歌
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> 第1篇 玉石混淆 > 第5章 潔別
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第五章
潔別
(
けつべつ
)
〔一四八〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第58巻 真善美愛 酉の巻
篇:
第1篇 玉石混淆
よみ(新仮名遣い):
ぎょくせきこんこう
章:
第5章 潔別
よみ(新仮名遣い):
けつべつ
通し章番号:
1480
口述日:
1923(大正12)年03月28日(旧02月12日)
口述場所:
皆生温泉 浜屋
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年6月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
館に帰り来た三千彦は、玉国別にテルモン山宮町の事件の顛末を語った。そしてデビス姫からの求婚についても師匠の意見を聞きたいと語った。
宮町の騒動が収まった上は、一時も早く本来の神業であるハルナの都への遠征に出立しなければならない。三千彦はデビス姫の同道について玉国別に尋ねた。玉国別は、デビス姫の両親の許しがあれば同道することを認めた。
求道居士はケリナ姫と共に館に留まり、小国別夫婦を支えることとなった。またニコラスは軍職を捨てて神に仕えることになった。
一同は互いに別れの歌を交わし合い、テルモン山神館の後事を求道居士に託して、玉国別、真純彦、伊太彦、三千彦、デビス姫はハルナの都目指して出立して行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm5805
愛善世界社版:
58頁
八幡書店版:
第10輯 393頁
修補版:
校定版:
62頁
普及版:
24頁
初版:
ページ備考:
001
テルモン
山
(
ざん
)
の
神館
(
かむやかた
)
002
青葉
(
あをば
)
の
茂
(
しげ
)
る
庭園
(
ていゑん
)
に
003
咲
(
さ
)
き
誇
(
ほこ
)
りたる
花菖蒲
(
はなあやめ
)
004
青
(
あを
)
紫
(
むらさき
)
や
白
(
しろ
)
黄色
(
きいろ
)
005
所
(
ところ
)
狭
(
せき
)
まで
燕子花
(
かきつばた
)
006
咲
(
さ
)
き
匂
(
にほ
)
ひたる
床
(
ゆか
)
しさよ
007
パインの
枝
(
えだ
)
は
涼風
(
りやうふう
)
に
008
吹
(
ふ
)
かれて
自然
(
しぜん
)
の
音楽
(
おんがく
)
を
009
奏
(
かな
)
でて
舞踏
(
ぶたふ
)
を
演
(
えん
)
じつつ
010
至治
(
しち
)
泰平
(
たいへい
)
の
瑞祥
(
ずゐしやう
)
を
011
現
(
あら
)
はし
居
(
ゐ
)
るこそ
目出度
(
めでた
)
けれ
012
常磐
(
ときは
)
の
松
(
まつ
)
の
青々
(
あをあを
)
と
013
緑
(
みどり
)
ものびて
玉
(
たま
)
の
露
(
つゆ
)
014
風
(
かぜ
)
吹
(
ふ
)
く
毎
(
ごと
)
にバタバタと
015
金砂
(
きんしや
)
銀砂
(
ぎんしや
)
の
上
(
うへ
)
に
落
(
お
)
つ
016
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
017
恵
(
めぐみ
)
の
露
(
つゆ
)
を
浴
(
あ
)
びながら
018
進
(
すす
)
んで
来
(
きた
)
りし
玉国
(
たまくに
)
の
019
別
(
わけ
)
の
命
(
みこと
)
を
初
(
はじ
)
めとし
020
比丘
(
びく
)
の
姿
(
すがた
)
の
求道
(
きうだう
)
居士
(
こじ
)
021
バラモン
教
(
けう
)
のキャプテンが
022
伴
(
ともな
)
ひ
来
(
きた
)
る
下士官
(
かしくわん
)
と
023
膝
(
ひざ
)
を
交
(
まじ
)
へて
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
に
024
涼
(
すず
)
しき
風
(
かぜ
)
を
入
(
い
)
れながら
025
天地
(
てんち
)
の
恵
(
めぐみ
)
を
嬉
(
うれ
)
しみて
026
心
(
こころ
)
の
隔
(
へだ
)
て
相
(
あひ
)
はづし
027
語
(
かた
)
り
出
(
い
)
づるも
神
(
かむ
)
ながら
028
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
の
教
(
をしへ
)
より
029
外
(
ほか
)
に
言葉
(
ことば
)
は
荒風
(
あらかぜ
)
の
030
青野
(
あをの
)
を
渡
(
わた
)
る
有様
(
ありさま
)
に
031
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
の
真相
(
しんさう
)
を
032
今
(
いま
)
目
(
ま
)
の
当
(
あた
)
り
見
(
み
)
る
如
(
ごと
)
し
033
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
034
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
幸
(
さち
)
はひて
035
三五教
(
あななひけう
)
やバラモンの
036
教
(
をしへ
)
の
区別
(
くべつ
)
を
取
(
と
)
り
払
(
はら
)
ひ
037
旭
(
あさひ
)
も
清
(
きよ
)
くテルモンの
038
山
(
やま
)
の
麓
(
ふもと
)
に
楽園
(
らくゑん
)
を
039
築
(
きづ
)
き
初
(
そ
)
めしぞ
尊
(
たふと
)
けれ
040
茲
(
ここ
)
に
三千彦
(
みちひこ
)
宣伝使
(
せんでんし
)
041
神
(
かみ
)
の
館
(
やかた
)
に
仇
(
あだ
)
なせる
042
ワックス、エキス、ヘルマンや
043
エルの
司
(
つかさ
)
を
追放
(
つゐはう
)
し
044
タンク、トンクを
伴
(
ともな
)
ひて
045
悠々
(
いういう
)
帰
(
かへ
)
り
坐
(
ざ
)
につけば
046
玉国別
(
たまくにわけ
)
は
声
(
こゑ
)
をかけ
047
汝
(
なんぢ
)
三千彦
(
みちひこ
)
神司
(
かむづかさ
)
048
館
(
やかた
)
の
前
(
まへ
)
の
馬場
(
ばんば
)
にて
049
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
の
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
050
御空
(
みそら
)
を
焦
(
こが
)
す
篝火
(
かがりび
)
の
051
その
顛末
(
てんまつ
)
を
詳細
(
まつぶさ
)
に
052
宣
(
の
)
らせたまへと
促
(
うなが
)
せば
053
三千彦
(
みちひこ
)
両手
(
りやうて
)
をつき
乍
(
なが
)
ら
054
恭
(
うやうや
)
しくも
答
(
こた
)
へける。
055
○
056
『
月
(
つき
)
の
都
(
みやこ
)
に
現
(
あれ
)
ませる
057
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
神柱
(
かむばしら
)
058
古
(
いにしへ
)
此処
(
ここ
)
に
在
(
ま
)
しまして
059
バラモン
教
(
けう
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
060
開
(
ひら
)
き
給
(
たま
)
ひし
霊場
(
れいぢやう
)
の
061
記念
(
かたみ
)
となして
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
062
珍
(
うづ
)
の
宝
(
たから
)
を
奉斎
(
ほうさい
)
し
063
館
(
やかた
)
の
主人
(
あるじ
)
二柱
(
ふたはしら
)
064
教司
(
をしへつかさ
)
に
相命
(
あひめい
)
じ
065
固
(
かた
)
く
守
(
まも
)
らせ
給
(
たま
)
ひしが
066
オールスチンの
悴
(
せがれ
)
なる
067
頑迷
(
ぐわんめい
)
愚鈍
(
ぐどん
)
のワックスが
068
野心
(
やしん
)
を
充
(
みた
)
す
其
(
その
)
為
(
ため
)
に
069
エキス、ヘルマン
両人
(
りやうにん
)
を
070
使嗾
(
しそう
)
なしつつ
奥殿
(
おくでん
)
に
071
忍
(
しの
)
ばせ
玉
(
たま
)
を
窃取
(
せつしゆ
)
して
072
深
(
ふか
)
く
吾
(
わが
)
家
(
や
)
の
床下
(
ゆかした
)
に
073
土
(
つち
)
をば
被
(
おほ
)
ひ
隠
(
かく
)
し
居
(
を
)
る
074
其
(
その
)
心根
(
こころね
)
の
醜
(
みにく
)
さよ
075
館
(
やかた
)
の
主人
(
あるじ
)
は
村肝
(
むらきも
)
の
076
心
(
こころ
)
を
痛
(
いた
)
め
給
(
たま
)
ひつつ
077
重
(
おも
)
き
病
(
やまひ
)
の
身
(
み
)
となりて
078
命
(
めい
)
旦夕
(
たんせき
)
に
迫
(
せま
)
る
折
(
をり
)
079
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
を
畏
(
かしこ
)
みて
080
これの
館
(
やかた
)
に
入
(
い
)
り
来
(
きた
)
り
081
小国姫
(
をくにのひめ
)
に
頼
(
たの
)
まれて
082
玉
(
たま
)
の
所在
(
ありか
)
を
探索
(
たんさく
)
し
083
館
(
やかた
)
の
難儀
(
なんぎ
)
を
救
(
すく
)
ひつつ
084
少時
(
しばし
)
留
(
とど
)
まる
折
(
をり
)
もあれ
085
色
(
いろ
)
と
欲
(
よく
)
とに
迷
(
まよ
)
ひたる
086
ワックス
司
(
つかさ
)
初
(
はじ
)
めとし
087
其
(
その
)
外
(
ほか
)
百
(
もも
)
の
悪漢
(
わるもの
)
が
088
教
(
をしへ
)
の
道
(
みち
)
の
三千彦
(
みちひこ
)
を
089
魔法使
(
まはふづかひ
)
と
云
(
い
)
ひ
触
(
ふ
)
らし
090
此
(
この
)
霊場
(
れいぢやう
)
に
永久
(
とこしへ
)
に
091
住
(
す
)
める
男女
(
なんによ
)
を
嗾
(
そその
)
かし
092
悪酔怪
(
あくすゐくわい
)
を
組織
(
そしき
)
して
093
館
(
やかた
)
を
目
(
め
)
宛
(
あて
)
に
攻
(
せ
)
め
来
(
きた
)
る
094
其
(
その
)
勢
(
いきほひ
)
の
凄
(
すさま
)
じさ
095
吾
(
われ
)
は
僅
(
わづ
)
かに
身
(
み
)
をもつて
096
寄
(
よ
)
せくる
曲
(
まが
)
に
打
(
う
)
ち
向
(
むか
)
ひ
097
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに
戦
(
たたか
)
へど
098
味方
(
みかた
)
は
一人
(
ひとり
)
敵軍
(
てきぐん
)
は
099
雲霞
(
うんか
)
の
如
(
ごと
)
き
勢
(
いきほひ
)
に
100
やみやみ
敵
(
てき
)
に
捉
(
とら
)
へられ
101
アンブラック
河
(
がは
)
に
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
まれ
102
生死
(
せいし
)
不明
(
ふめい
)
の
境涯
(
きやうがい
)
に
103
陥
(
おちい
)
りたるぞ
腑甲斐
(
ふがひ
)
なき
104
斯
(
かか
)
る
所
(
ところ
)
へスマートが
105
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り
懇
(
ねもごろ
)
に
106
厳
(
いづ
)
の
言霊
(
ことたま
)
のり
出
(
いだ
)
し
107
清水
(
しみづ
)
を
口
(
くち
)
に
含
(
ふく
)
みつつ
108
吾
(
わ
)
が
生魂
(
いくたま
)
を
呼
(
よ
)
び
生
(
い
)
けて
109
再
(
ふたた
)
び
元
(
もと
)
の
身
(
み
)
となしぬ
110
勇気
(
ゆうき
)
日頃
(
ひごろ
)
に
百倍
(
ひやくばい
)
し
111
神
(
かみ
)
の
館
(
やかた
)
の
災
(
わざはひ
)
を
112
取
(
と
)
り
除
(
のぞ
)
かむと
勇
(
いさ
)
み
立
(
た
)
ち
113
種々
(
いろいろ
)
雑多
(
ざつた
)
と
身
(
み
)
を
焦
(
こが
)
し
114
心
(
こころ
)
を
配
(
くば
)
り
漸
(
やうや
)
くに
115
悪漢
(
わるもの
)
共
(
ども
)
を
捕縛
(
ほばく
)
して
116
定
(
さだ
)
めの
儘
(
まま
)
に
鞭
(
むち
)
を
当
(
あ
)
て
117
タンク、トンクの
両人
(
りやうにん
)
が
118
笞
(
しもと
)
の
下
(
もと
)
に
悪漢
(
わるもの
)
は
119
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
逃
(
に
)
げ
去
(
さ
)
りぬ
120
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
121
貴
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
恵
(
めぐみ
)
122
危
(
あやふ
)
き
命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けられ
123
館
(
やかた
)
の
主人
(
あるじ
)
の
重病
(
ぢうびやう
)
も
124
日
(
ひ
)
に
夜
(
よ
)
に
快方
(
くわいはう
)
に
相向
(
あひむか
)
ひ
125
デビスの
姫
(
ひめ
)
やケリナ
姫
(
ひめ
)
126
目出度
(
めでたく
)
茲
(
ここ
)
に
帰
(
かへ
)
りまし
127
親子
(
おやこ
)
対面
(
たいめん
)
恙
(
つつが
)
なく
128
済
(
す
)
まして
喜
(
よろこ
)
ぶ
折
(
をり
)
もあれ
129
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
が
130
真純
(
ますみ
)
の
彦
(
ひこ
)
や
伊太彦
(
いたひこ
)
を
131
伴
(
ともな
)
ひ
来
(
きた
)
り
嬉
(
うれ
)
しくも
132
師弟
(
してい
)
の
対面
(
たいめん
)
なし
遂
(
と
)
げぬ
133
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
134
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
赤心
(
まごころ
)
を
135
捧
(
ささ
)
げて
感謝
(
かんしや
)
し
奉
(
たてまつ
)
る
136
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
137
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
138
空
(
そら
)
おち
星
(
ほし
)
は
失
(
う
)
するとも
139
千尋
(
ちひろ
)
の
海
(
うみ
)
は
涸
(
か
)
るるとも
140
神
(
かみ
)
の
依
(
よ
)
さしの
熱誠
(
ねつせい
)
に
141
尽
(
つく
)
さにやおかぬ
三千彦
(
みちひこ
)
が
142
心
(
こころ
)
を
察
(
さつ
)
し
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
が
143
これの
館
(
やかた
)
を
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
でて
144
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
と
共
(
とも
)
に
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
145
ハルナの
都
(
みやこ
)
にスクスクと
146
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
147
猶予
(
いうよ
)
もならぬ
今日
(
けふ
)
の
空
(
そら
)
148
昨日
(
きのふ
)
に
変
(
かは
)
り
四方
(
よも
)
八方
(
やも
)
に
149
霞
(
かすみ
)
棚引
(
たなび
)
き
風
(
かぜ
)
荒
(
あら
)
く
150
雨
(
あめ
)
さへ
交
(
まじ
)
る
夏
(
なつ
)
の
日
(
ひ
)
の
151
行方
(
ゆくへ
)
定
(
さだ
)
めぬ
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
は
152
片時
(
かたとき
)
さへも
空費
(
くうひ
)
せず
153
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
世
(
よ
)
の
為
(
ため
)
に
154
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
へと
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る
155
デビスの
姫
(
ひめ
)
は
吾
(
わが
)
前
(
まへ
)
に
156
百
(
もも
)
の
言霊
(
ことたま
)
宣
(
の
)
り
給
(
たま
)
ひ
157
妹背
(
いもせ
)
の
道
(
みち
)
を
契
(
ちぎ
)
らむと
158
心
(
こころ
)
せつなき
談判
(
かけあひ
)
に
159
吾
(
われ
)
は
言葉
(
ことば
)
も
返
(
かへ
)
しかね
160
躊
(
ためら
)
ひ
居
(
ゐ
)
たる
時
(
とき
)
ぞかし
161
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
の
出
(
いで
)
ましを
162
これ
幸
(
さいはひ
)
と
逸早
(
いちはや
)
く
163
館
(
やかた
)
を
出
(
い
)
でて
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
164
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
進
(
すす
)
むべし
165
真純
(
ますみ
)
の
彦
(
ひこ
)
よ
伊太彦
(
いたひこ
)
よ
166
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
の
三千彦
(
みちひこ
)
が
167
生言霊
(
いくことたま
)
を
諾
(
うべな
)
ひて
168
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
169
膝
(
ひざ
)
の
栗毛
(
くりげ
)
に
鞭
(
むちう
)
ちて
170
青野
(
あをの
)
が
原
(
はら
)
を
打
(
う
)
ち
渡
(
わた
)
り
171
暑熱
(
しよねつ
)
と
戦
(
たたか
)
ひ
雨
(
あめ
)
を
浴
(
あ
)
び
172
風
(
かぜ
)
に
髪
(
かみ
)
をば
梳
(
くしけ
)
ずり
173
進
(
すす
)
みて
行
(
ゆ
)
かむいざ
早
(
はや
)
く
174
早
(
はや
)
く
早
(
はや
)
く』とせき
立
(
た
)
てる
175
○
176
真純
(
ますみ
)
の
彦
(
ひこ
)
は
立上
(
たちあが
)
り
177
大神前
(
だいしんぜん
)
に
打
(
う
)
ち
向
(
むか
)
ひ
178
恭
(
うやうや
)
しくも
拍手
(
はくしゆ
)
して
179
玉国別
(
たまくにわけ
)
に
打
(
う
)
ち
向
(
むか
)
ひ
180
言葉
(
ことば
)
も
低
(
ひく
)
う
腰
(
こし
)
屈
(
かが
)
め
181
『
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
と
仕
(
つか
)
へたる
182
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
183
三千彦
(
みちひこ
)
司
(
つかさ
)
の
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
を
184
諾
(
うべな
)
ひまして
片時
(
かたとき
)
も
185
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
でて
186
悪魔
(
あくま
)
の
征途
(
せいと
)
に
上
(
のぼ
)
りませ
187
如何
(
いか
)
なる
曲
(
まが
)
の
攻
(
せ
)
め
来
(
く
)
とも
188
如何
(
いか
)
でか
怖
(
おそ
)
れむ
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
189
千
(
せん
)
里
(
り
)
の
山川
(
やまかは
)
打
(
う
)
ち
越
(
こ
)
えて
190
浪風
(
なみかぜ
)
猛
(
たけ
)
る
湖
(
みづうみ
)
や
191
濁水
(
だくすゐ
)
漲
(
みなぎ
)
る
大川
(
おほかは
)
を
192
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
に
打
(
う
)
ち
渡
(
わた
)
り
193
嶮
(
けは
)
しき
坂
(
さか
)
を
攀登
(
よぢのぼ
)
り
194
道々
(
みちみち
)
悪魔
(
あくま
)
を
言向
(
ことむ
)
けて
195
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
かなむ
惟神
(
かむながら
)
196
許
(
ゆる
)
させたまへと
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る』
197
○
198
玉国別
(
たまくにわけ
)
『テルモンの
山
(
やま
)
の
嵐
(
あらし
)
もをさまりぬ
199
いざ
立
(
た
)
ち
行
(
ゆ
)
かむ
月
(
つき
)
の
御国
(
みくに
)
へ』
200
三千彦
(
みちひこ
)
『
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
の
宣
(
の
)
りのまにまに
出
(
い
)
でて
行
(
ゆ
)
く
201
行手
(
ゆくて
)
の
道
(
みち
)
は
安
(
やす
)
けからまし』
202
デビス
姫
(
ひめ
)
『
三千彦
(
みちひこ
)
の
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
よ
若草
(
わかくさ
)
の
203
妻
(
つま
)
を
伴
(
ともな
)
ひ
進
(
すす
)
ませ
給
(
たま
)
へ』
204
三千彦
(
みちひこ
)
『
大神
(
おほかみ
)
の
宣
(
の
)
りのまにまに
出
(
い
)
でて
行
(
ゆ
)
く
205
三千彦
(
みちひこ
)
司
(
つかさ
)
如何
(
いか
)
に
苦
(
くる
)
しき。
206
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
の
許
(
ゆる
)
させ
給
(
たま
)
ふ
事
(
こと
)
あらば
207
伴
(
ともな
)
ひ
行
(
ゆ
)
かむ
月
(
つき
)
の
御国
(
みくに
)
へ』
208
デビス
姫
(
ひめ
)
『
玉国別
(
たまくにわけ
)
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
に
物申
(
ものまを
)
す
209
妾
(
わらは
)
を
印度
(
ツキ
)
につれて
行
(
ゆ
)
きませ』
210
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
垂乳根
(
たらちね
)
の
許
(
ゆる
)
しありせば
連
(
つ
)
れ
行
(
ゆ
)
かむ
211
唯
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
神
(
かみ
)
のまにまに』
212
小国姫
(
をくにひめ
)
『デビス
姫
(
ひめ
)
三千彦
(
みちひこ
)
司
(
つかさ
)
の
妻
(
つま
)
として
213
連
(
つ
)
れさせ
給
(
たま
)
へ
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
よ』
214
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
垂乳根
(
たらちね
)
の
母
(
はは
)
の
許
(
ゆる
)
しのある
上
(
うへ
)
は
215
如何
(
いか
)
で
拒
(
こば
)
まむ
旅
(
たび
)
の
伴連
(
ともづ
)
れ』
216
真純彦
(
ますみひこ
)
『
永久
(
とこしへ
)
の
花
(
はな
)
開
(
ひら
)
くなる
春秋
(
はるあき
)
の
217
喜
(
よろこ
)
び
胸
(
むね
)
に
三千彦
(
みちひこ
)
の
君
(
きみ
)
』
218
伊太彦
(
いたひこ
)
『いたいけのデビスの
姫
(
ひめ
)
を
妻
(
つま
)
となし
219
旅
(
たび
)
に
出
(
い
)
でます
君
(
きみ
)
ぞかしこき』
220
三千彦
(
みちひこ
)
『さりとても
心
(
こころ
)
に
染
(
そ
)
まぬ
道連
(
みちづ
)
れよ
221
神
(
かみ
)
の
使命
(
しめい
)
を
相果
(
あひはた
)
すまで』
222
真純彦
(
ますみひこ
)
『
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
の
綾
(
あや
)
をかざりて
若草
(
わかくさ
)
の
223
妻
(
つま
)
忌
(
い
)
みがてにのるぞ
可笑
(
をか
)
しき』
224
求道
(
きうだう
)
居士
(
こじ
)
『
三千彦
(
みちひこ
)
の
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
の
心根
(
こころね
)
は
225
三五
(
さんご
)
の
月
(
つき
)
の
如
(
ごと
)
くなりけり。
226
いざさらば
吾
(
われ
)
は
此
(
この
)
家
(
や
)
に
止
(
とど
)
まりて
227
二人
(
ふたり
)
の
親
(
おや
)
に
厚
(
あつ
)
く
仕
(
つか
)
へむ』
228
ニコラス『
玉国
(
たまくに
)
の
別
(
わけ
)
の
命
(
みこと
)
に
物申
(
ものまを
)
す
229
これの
館
(
やかた
)
を
如何
(
いか
)
に
治
(
をさ
)
めむ』
230
玉国別
(
たまくにわけ
)
『バラモンや、
三五教
(
あななひけう
)
の
隔
(
へだ
)
てなく
231
斎
(
いつき
)
たまはれ
大本
(
おほもと
)
の
神
(
かみ
)
。
232
さりながらこれの
館
(
やかた
)
はバラモンの
233
神
(
かみ
)
をば
捨
(
す
)
つる
訳
(
わけ
)
にはゆかず。
234
三五
(
あななひ
)
の
神
(
かみ
)
を
斎
(
いつ
)
きてバラモンの
235
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
に
厚
(
あつ
)
く
仕
(
つか
)
へよ』
236
ニコラス『
隔
(
へだ
)
てなき
君
(
きみ
)
の
言葉
(
ことば
)
に
従
(
したが
)
ひて
237
斎
(
いつ
)
き
奉
(
まつ
)
らむ
百
(
もも
)
の
神
(
かみ
)
達
(
たち
)
。
238
バラモンの
軍
(
いくさ
)
の
君
(
きみ
)
を
今日
(
けふ
)
よりは
239
離
(
はな
)
れて
厚
(
あつ
)
く
神
(
かみ
)
に
仕
(
つか
)
へむ』
240
玉国別
(
たまくにわけ
)
『いざさらば
百
(
もも
)
の
司
(
つかさ
)
よ
心安
(
うらやす
)
く
241
いとまめやかに
世
(
よ
)
を
過
(
す
)
ごしませ』
242
小国姫
(
をくにひめ
)
『
懐
(
なつか
)
しき
教
(
をしへ
)
の
君
(
きみ
)
に
遇
(
あ
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
243
いま
別
(
わか
)
れむとする
胸
(
むね
)
の
苦
(
くる
)
しさ』
244
ケリナ
姫
(
ひめ
)
『
皇神
(
すめかみ
)
の
教
(
をしへ
)
の
道
(
みち
)
を
伝
(
つた
)
へ
行
(
ゆ
)
く
245
玉国別
(
たまくにわけ
)
よやすく
出
(
い
)
でませ』
246
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
時
(
とき
)
の
間
(
ま
)
は
早
(
はや
)
くも
移
(
うつ
)
りケリナ
姫
(
ひめ
)
247
親
(
おや
)
に
仕
(
つか
)
へて
清
(
きよ
)
くましませ』
248
と、
249
互
(
たがひ
)
に
離別
(
りべつ
)
の
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
ひ
和気
(
わき
)
靄々
(
あいあい
)
として
盃
(
さかづき
)
を
取
(
と
)
りかはし
玉国別
(
たまくにわけ
)
、
250
真純彦
(
ますみひこ
)
、
251
伊太彦
(
いたひこ
)
、
252
三千彦
(
みちひこ
)
、
253
デビス
姫
(
ひめ
)
の
一行
(
いつかう
)
は、
254
後事
(
こうじ
)
を
求道
(
きうだう
)
居士
(
こじ
)
に
一任
(
いちにん
)
し
置
(
お
)
き、
255
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひながら、
256
欣々
(
いそいそ
)
としてテルモン
山
(
ざん
)
を
南
(
みなみ
)
に
下
(
くだ
)
り、
257
青葉
(
あをば
)
の
影
(
かげ
)
に
隠
(
かく
)
れ
行
(
ゆ
)
く。
258
ああ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
259
(
大正一二・三・二八
旧二・一二
於皆生温泉浜屋
加藤明子
録)
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