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第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
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天祥地瑞
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第58巻(酉の巻)
序文
総説
第1篇 玉石混淆
01 神風
〔1476〕
02 多数尻
〔1477〕
03 怪散
〔1478〕
04 銅盥
〔1479〕
05 潔別
〔1480〕
第2篇 湖上神通
06 茶袋
〔1481〕
07 神船
〔1482〕
08 孤島
〔1483〕
09 湖月
〔1484〕
第3篇 千波万波
10 報恩
〔1485〕
11 欵乃
〔1486〕
12 素破抜
〔1487〕
13 兎耳
〔1488〕
14 猩々島
〔1489〕
15 哀別
〔1490〕
16 聖歌
〔1491〕
17 怪物
〔1492〕
18 船待
〔1493〕
第4篇 猩々潔白
19 舞踏
〔1494〕
20 酒談
〔1495〕
21 館帰
〔1496〕
22 獣婚
〔1497〕
23 昼餐
〔1498〕
24 礼祭
〔1499〕
25 万歳楽
〔1500〕
余白歌
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第一一章
欵乃
(
ふなうた
)
〔一四八六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第58巻 真善美愛 酉の巻
篇:
第3篇 千波万波
よみ(新仮名遣い):
せんぱばんぱ
章:
第11章 欵乃
よみ(新仮名遣い):
ふなうた
通し章番号:
1486
口述日:
1923(大正12)年03月29日(旧02月13日)
口述場所:
皆生温泉 浜屋
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年6月15日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
ようやく東の波間から明りが差してきた。玉国別は舷頭に立ち、東の空に向かって拍手し天津祝詞を奏上し、航路の無事を祈願した。三千彦そのほか一同は、玉国別にならって東方を拝した。
一行はそれぞれ滑稽を織り交ぜながら述懐の歌を披露した。デビス姫は舷頭に立ち、小声に神の威徳を讃える宣伝歌を歌い始めた。
船頭のイールは櫓を操りながら航海の無事を祈る舟歌を歌いながら進んで行く。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm5811
愛善世界社版:
136頁
八幡書店版:
第10輯 419頁
修補版:
校定版:
146頁
普及版:
53頁
初版:
ページ備考:
001
漸
(
やうや
)
くにして
月
(
つき
)
は
西
(
にし
)
の
波間
(
なみま
)
に
沈
(
しづ
)
み、
002
星
(
ほし
)
は
次第
(
しだい
)
々々
(
しだい
)
に
隠
(
かく
)
れ、
003
東
(
ひがし
)
の
波間
(
なみま
)
よりはカツと
明
(
あか
)
りがさして
来
(
き
)
た。
004
雲
(
くも
)
か
波
(
なみ
)
か、
005
天
(
てん
)
か
海
(
うみ
)
か、
006
区別
(
くべつ
)
のつかぬ
遥
(
はる
)
かの
空
(
そら
)
は
次第
(
しだい
)
々々
(
しだい
)
に
茜
(
あかね
)
さし、
007
湖上
(
こじやう
)
を
渡
(
わた
)
る
百鳥
(
ももどり
)
の
声
(
こゑ
)
は
数千
(
すうせん
)
人
(
にん
)
の
楽隊
(
がくたい
)
の
一
(
いち
)
時
(
じ
)
に
楽
(
がく
)
を
奏
(
そう
)
する
如
(
ごと
)
く
頭上
(
づじやう
)
一面
(
いちめん
)
に
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
008
白
(
しろ
)
、
009
青
(
あを
)
、
010
黒
(
くろ
)
、
011
緑
(
みどり
)
、
012
黄色
(
きいろ
)
、
013
赤
(
あか
)
等
(
など
)
の
色々
(
いろいろ
)
の
羽
(
はね
)
を
翻
(
ひるがへ
)
して
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
に
飛
(
と
)
び
交
(
か
)
ふ
水鳥
(
みづどり
)
の
影
(
かげ
)
は
実
(
じつ
)
に
壮観
(
さうくわん
)
であつた。
014
玉国別
(
たまくにわけ
)
は
舷頭
(
げんとう
)
に
立
(
た
)
ち
現
(
あら
)
はれ、
015
東
(
ひがし
)
の
空
(
そら
)
に
向
(
むか
)
つて
拍手
(
はくしゆ
)
し
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
016
航路
(
かうろ
)
の
無事
(
ぶじ
)
を
祈願
(
きぐわん
)
した。
017
続
(
つづ
)
いて
三千彦
(
みちひこ
)
其
(
その
)
外
(
ほか
)
一同
(
いちどう
)
は
玉国別
(
たまくにわけ
)
に
傚
(
なら
)
つて
東方
(
とうはう
)
を
拝
(
はい
)
した。
018
輪廓
(
りんくわく
)
のハツキリした
巨大
(
きよだい
)
な
太陽
(
たいやう
)
は
湖水
(
こすい
)
の
中
(
なか
)
から
覗
(
のぞ
)
き
初
(
はじ
)
めた。
019
夏
(
なつ
)
の
朝
(
あした
)
の
海上
(
かいじやう
)
は
又
(
また
)
一入
(
ひとしほ
)
爽快
(
さうくわい
)
なものである。
020
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
雲
(
くも
)
か
波
(
なみ
)
か
天
(
あめ
)
と
地
(
つち
)
とを
結
(
むす
)
びたる
021
帳
(
とばり
)
を
分
(
わ
)
けて
浮
(
う
)
かぶ
日
(
ひ
)
の
神
(
かみ
)
。
022
今日
(
けふ
)
も
亦
(
また
)
これの
海路
(
うなぢ
)
の
幸
(
さき
)
くあれと
023
心
(
こころ
)
も
清
(
きよ
)
く
祈
(
いの
)
りけるかな。
024
百鳥
(
ももどり
)
は
波
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
をば
辷
(
すべ
)
りつつ
025
吾
(
わが
)
乗
(
の
)
る
船
(
ふね
)
を
守
(
まも
)
るべらなり』
026
三千彦
(
みちひこ
)
『テルモンの
峰
(
みね
)
の
頂上
(
いただき
)
ほのぼのと
027
波
(
なみ
)
に
浮
(
うか
)
びて
明
(
あか
)
くなり
行
(
ゆ
)
く』
028
真純彦
(
ますみひこ
)
『
何一
(
なにひと
)
つ
眼
(
まなこ
)
に
入
(
い
)
らぬ
湖原
(
うなばら
)
も
029
テルモンの
山
(
やま
)
の
姿
(
すがた
)
のみ
見
(
み
)
ゆ。
030
テルモンの
山
(
やま
)
打仰
(
うちあふ
)
ぎ
思
(
おも
)
ふかな
031
ケリナの
姫
(
ひめ
)
は
如何
(
いか
)
に
在
(
ま
)
すかと』
032
伊太彦
(
いたひこ
)
『
又
(
また
)
しても
姫
(
ひめ
)
の
事
(
こと
)
のみ
気
(
き
)
にかかる
033
教司
(
をしへつかさ
)
の
心
(
こころ
)
怪
(
あや
)
しき』
034
真純彦
(
ますみひこ
)
『いたいけな
女
(
をんな
)
を
思
(
おも
)
ふ
誠心
(
まごころ
)
は
035
男子
(
をのこ
)
の
中
(
なか
)
の
男子
(
をのこ
)
なるぞや』
036
伊太彦
(
いたひこ
)
『
何事
(
なにごと
)
も
女
(
をんな
)
ならでは
夜
(
よ
)
が
明
(
あ
)
けぬ
037
世
(
よ
)
の
諺
(
ことわざ
)
を
真
(
ま
)
に
受
(
う
)
けし
君
(
きみ
)
。
038
女
(
をんな
)
のみ
此
(
この
)
世
(
よ
)
にゴラゴラ
居
(
を
)
るならば
039
如何
(
いか
)
で
栄
(
さか
)
えむ
天地
(
あめつち
)
の
間
(
うち
)
』
040
三千彦
(
みちひこ
)
『
益良夫
(
ますらを
)
が
思
(
おも
)
ひつめたる
真心
(
まごころ
)
は
041
通
(
かよ
)
はざらめや
女心
(
をんなごころ
)
に』
042
伊太彦
(
いたひこ
)
『よくもまア
惚
(
のろ
)
けたものだ
三千彦
(
みちひこ
)
の
043
目鼻
(
めはな
)
の
位置
(
ゐち
)
も
何時
(
いつ
)
か
変
(
かは
)
りぬ』
044
デビス
姫
(
ひめ
)
『
益良夫
(
ますらを
)
の
中
(
なか
)
に
交
(
まじ
)
りて
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
045
胸
(
むね
)
を
痛
(
いた
)
めつ
御後
(
みあと
)
に
従
(
したが
)
ふ。
046
男子
(
をのこ
)
のみ
如何
(
いか
)
に
力
(
ちから
)
が
在
(
ま
)
すとても
047
女
(
をんな
)
の
目
(
め
)
には
敵
(
てき
)
し
難
(
がた
)
けむ。
048
只
(
ただ
)
一目
(
ひとめ
)
瞳
(
ひとみ
)
を
清
(
きよ
)
く
射照
(
いて
)
らせば
049
春
(
はる
)
の
氷
(
こほり
)
の
一
(
ひと
)
たまりなし』
050
真純彦
(
ますみひこ
)
『
猛烈
(
まうれつ
)
な
二人
(
ふたり
)
の
恋
(
こひ
)
にせめられて
051
吾
(
われ
)
は
言葉
(
ことば
)
もつまりけるかな。
052
呆
(
あき
)
れ
果
(
は
)
て
物
(
もの
)
さへ
云
(
い
)
へぬ
船
(
ふね
)
の
上
(
うへ
)
053
潮
(
しほ
)
三千彦
(
みちひこ
)
の
思
(
おも
)
ひやらるる』
054
ヤッコス『
皆様
(
みなさま
)
は
暢気
(
のんき
)
な
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ひ
交
(
か
)
はし
055
笑
(
わら
)
はせ
玉
(
たま
)
ふ
身
(
み
)
こそ
羨
(
うら
)
めし。
056
朝夕
(
あさゆふ
)
に
心
(
こころ
)
の
鬼
(
おに
)
に
怖
(
お
)
ぢ
乍
(
なが
)
ら
057
悪
(
あく
)
を
行
(
おこな
)
ふ
身
(
み
)
こそ
悲
(
かな
)
しき。
058
一
(
いち
)
日
(
にち
)
も
心
(
こころ
)
安
(
やす
)
けく
送
(
おく
)
りたる
059
時
(
とき
)
ぞ
無
(
な
)
かりし
賊
(
ぞく
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
。
060
さり
乍
(
なが
)
ら
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
聞
(
き
)
きしより
061
心
(
こころ
)
安
(
やす
)
けくなりにけるかな』
062
ハール『
吾
(
われ
)
も
亦
(
また
)
心
(
こころ
)
の
鬼
(
おに
)
は
何処
(
どこ
)
へやら
063
逃
(
に
)
げ
失
(
う
)
せたりし
心地
(
ここち
)
こそすれ。
064
悪
(
あし
)
き
事
(
こと
)
なす
程
(
ほど
)
馬鹿
(
ばか
)
が
世
(
よ
)
にあろか
065
寝
(
ね
)
ても
覚
(
さ
)
めても
心
(
こころ
)
おぢおぢ。
066
今
(
いま
)
となり
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
の
味
(
あぢ
)
はひを
067
覚
(
さと
)
りけるかな
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
に』
068
サボール『
世
(
よ
)
の
人
(
ひと
)
に
懶怠漢
(
なまくらもの
)
よサボールと
069
譏
(
そし
)
られ
月日
(
つきひ
)
を
送
(
おく
)
りたる
曲
(
まが
)
。
070
曲神
(
まがかみ
)
も
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
に
月
(
つき
)
照
(
て
)
りて
071
吾
(
わが
)
身
(
み
)
も
広
(
ひろ
)
く
安
(
やす
)
くなりける』
072
メート『
恐
(
おそ
)
ろしきメートの
旅
(
たび
)
をなすのかと
073
思
(
おも
)
ふ
間
(
ま
)
もなく
救
(
すく
)
はれにける。
074
冥土
(
めいど
)
行
(
ゆ
)
き
神
(
かみ
)
に
救
(
すく
)
はれ
之
(
これ
)
からは
075
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
にメートル
上
(
あ
)
げむ』
076
ダル『
手
(
て
)
も
足
(
あし
)
も
痩衰
(
やせおとろ
)
へてダルの
吾
(
われ
)
077
蟹
(
かに
)
や
貝
(
かひ
)
にて
露命
(
ろめい
)
つなぎつ。
078
久振
(
ひさしぶ
)
りうましきパンを
与
(
あた
)
へられ
079
蘇生
(
よみがへ
)
りけり
餓鬼
(
がき
)
の
吾々
(
われわれ
)
』
080
玉国別
(
たまくにわけ
)
『
天地
(
あめつち
)
の
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐ
)
みは
海
(
わだ
)
の
原
(
はら
)
081
広
(
ひろ
)
けき
波
(
なみ
)
の
底
(
そこ
)
ひ
知
(
し
)
られず。
082
いざさらば
心
(
こころ
)
の
駒
(
こま
)
を
立直
(
たてなほ
)
し
083
進
(
すす
)
みて
行
(
ゆ
)
かむ
神
(
かみ
)
の
御国
(
みくに
)
へ』
084
デビス
姫
(
ひめ
)
は
舷頭
(
げんとう
)
に
立
(
た
)
ち
湖面
(
こめん
)
の
風景
(
ふうけい
)
を
眺
(
なが
)
め
小声
(
こごゑ
)
になつて
歌
(
うた
)
ひ
初
(
はじ
)
めた。
085
デビス
姫
(
ひめ
)
『
久方
(
ひさかた
)
の
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
を
086
打仰
(
うちあふ
)
ぎ
大海原
(
おほうなばら
)
を
087
打眺
(
うちなが
)
めよくよく
見
(
み
)
れば
088
天地
(
あめつち
)
の
神
(
かみ
)
の
功業
(
いさを
)
は
089
目
(
ま
)
のあたり
現
(
あら
)
はれましぬ
090
あな
尊
(
たふと
)
あな
畏
(
かしこ
)
しや
091
あなさやけ
天津
(
あまつ
)
日影
(
ひかげ
)
は
092
海原
(
うなばら
)
を
照
(
て
)
らして
昇
(
のぼ
)
り
093
御光
(
みひかり
)
を
天地
(
あめつち
)
四方
(
よも
)
に
094
配
(
くば
)
らせつ
百
(
もも
)
の
人草
(
ひとぐさ
)
095
草
(
くさ
)
や
木
(
き
)
の
片葉
(
かきは
)
の
露
(
つゆ
)
に
096
至
(
いた
)
る
迄
(
まで
)
宿
(
やど
)
らせ
玉
(
たま
)
ふ
097
大稜威
(
おほみいづ
)
四海
(
しかい
)
の
波
(
なみ
)
は
098
穏
(
おだや
)
かに
治
(
をさ
)
まりまして
099
常磐木
(
ときはぎ
)
の
松
(
まつ
)
の
緑
(
みどり
)
は
100
すくすくと
生立
(
おひた
)
ち
茂
(
しげ
)
り
101
春
(
はる
)
来
(
く
)
れば
百花
(
ももばな
)
千花
(
ちばな
)
102
咲
(
さ
)
き
匂
(
にほ
)
ひ
神
(
かみ
)
の
御国
(
みくに
)
は
103
眼
(
ま
)
のあたり
開
(
ひら
)
け
進
(
すす
)
みて
104
勇
(
いさ
)
ましや
波
(
なみ
)
漕
(
こ
)
ぐ
船
(
ふね
)
の
105
すくすくと
彼方
(
あなた
)
の
岸
(
きし
)
に
106
渡
(
わた
)
らひの
神
(
かみ
)
の
使
(
つかひ
)
の
107
宣伝使
(
せんでんし
)
真幸
(
まさき
)
くあれと
108
宣
(
の
)
り
奉
(
まつ
)
る
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
109
曇
(
くも
)
るとも
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
110
虧
(
か
)
くるとも
星
(
ほし
)
は
空
(
そら
)
より
111
落
(
お
)
つるとも
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
112
三五
(
あななひ
)
の
教
(
をしへ
)
の
道
(
みち
)
は
113
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふテルモン
山
(
ざん
)
の
114
神館
(
かむやかた
)
小国別
(
をくにわけ
)
の
115
父
(
ちち
)
の
前
(
まへ
)
母
(
はは
)
の
御側
(
みそば
)
を
116
相離
(
あひはな
)
れ
千
(
せん
)
里
(
り
)
の
海
(
うみ
)
を
117
乗
(
の
)
り
越
(
こ
)
えて
万里
(
ばんり
)
の
旅
(
たび
)
に
118
出
(
い
)
でて
行
(
ゆ
)
く
吾
(
われ
)
は
女
(
をんな
)
の
119
身
(
み
)
なれども
男子
(
をのこ
)
の
中
(
なか
)
の
120
男子
(
をのこ
)
なる
玉国別
(
たまくにわけ
)
の
121
神司
(
かむつかさ
)
心
(
こころ
)
の
空
(
そら
)
も
122
真純彦
(
ますみひこ
)
喜
(
よろこ
)
び
胸
(
むね
)
に
123
三千彦
(
みちひこ
)
の
吾
(
わが
)
背
(
せ
)
の
君
(
きみ
)
に
124
従
(
したが
)
ひて
曲
(
まが
)
の
征途
(
せいと
)
に
125
上
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
ぞ
126
楽
(
たの
)
しけれ
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
り
127
玉
(
たま
)
ひたる
国治立
(
くにはるたち
)
の
128
大御神
(
おほみかみ
)
豊国主
(
とよくにぬし
)
の
129
神柱
(
かむばしら
)
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
130
瑞御霊
(
みづみたま
)
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
や
131
コーカスの
珍
(
うづ
)
の
聖地
(
せいち
)
に
132
現
(
あ
)
れまして
天ケ下
(
あめがした
)
なる
133
諸々
(
もろもろ
)
を
救
(
すく
)
ひ
助
(
たす
)
けて
134
神
(
かみ
)
の
世
(
よ
)
の
無限
(
むげん
)
の
歓喜
(
くわんき
)
を
135
与
(
あた
)
へむと
聖
(
きよ
)
き
心
(
こころ
)
を
136
配
(
くば
)
りまし
百
(
もも
)
の
司
(
つかさ
)
を
137
任
(
ま
)
け
玉
(
たま
)
ひ
魔神
(
まがみ
)
の
猛
(
たけ
)
ぶ
138
葦原
(
あしはら
)
の
島
(
しま
)
の
八十島
(
やそしま
)
139
八十
(
やそ
)
の
国
(
くに
)
弥
(
いや
)
永久
(
とこしへ
)
に
140
治
(
をさ
)
めむと
仁慈
(
みろく
)
の
心
(
こころ
)
を
141
現
(
あら
)
はして
励
(
はげ
)
み
玉
(
たま
)
ふぞ
142
畏
(
かしこ
)
けれ
励
(
はげ
)
み
給
(
たま
)
ふぞ
143
畏
(
かしこ
)
けれ
144
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
145
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ
146
ああ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
147
御霊
(
みたま
)
の
恩頼
(
ふゆ
)
を
願
(
ね
)
ぎまつる』
148
船頭
(
せんどう
)
のイールは
櫓
(
ろ
)
を
操
(
あやつ
)
り
乍
(
なが
)
ら
声
(
こゑ
)
も
涼
(
すず
)
しく
歌
(
うた
)
ひ
初
(
はじ
)
めた。
149
イール『
北見
(
きたみ
)
の
浜
(
はま
)
を
立出
(
たちい
)
でて
150
南
(
みなみ
)
をさして
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
151
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
風
(
かぜ
)
はそよそよと
152
汗
(
あせ
)
に
にじ
んだ
顔
(
かほ
)
洗
(
あら
)
ふ
153
極楽
(
ごくらく
)
浄土
(
じやうど
)
か
天国
(
てんごく
)
か
154
波
(
なみ
)
は
平
(
たひら
)
に
安
(
やす
)
らかに
155
船底
(
ふなぞこ
)
静
(
しづか
)
に
鼓
(
つづみ
)
拍
(
う
)
つ
156
波
(
なみ
)
から
出
(
い
)
でて
波
(
なみ
)
に
入
(
い
)
る
157
月日
(
つきひ
)
の
影
(
かげ
)
も
清
(
きよ
)
らかに
158
夜
(
よる
)
と
昼
(
ひる
)
との
隔
(
へだ
)
てなく
159
光
(
ひか
)
りを
投
(
な
)
げる
湖
(
うみ
)
の
面
(
おも
)
160
雲
(
くも
)
の
空
(
そら
)
行
(
ゆ
)
く
此
(
この
)
船
(
ふね
)
は
161
天
(
あま
)
の
川原
(
かはら
)
を
打渡
(
うちわた
)
る
162
目無
(
めなし
)
堅間
(
かたま
)
の
神
(
かみ
)
の
船
(
ふね
)
163
鳥
(
とり
)
は
中空
(
ちうくう
)
に
嬉
(
うれ
)
しげに
164
チンチンチユンチユン
啼
(
な
)
き
亘
(
わた
)
る
165
波
(
なみ
)
はドンドン
鼓
(
つづみ
)
拍
(
う
)
つ
166
天
(
あま
)
の
川原
(
かはら
)
に
船
(
ふね
)
泛
(
うか
)
べ
167
棚織姫
(
たなばたひめ
)
が
漕
(
こ
)
ぎ
渡
(
わた
)
る
168
ここは
竜宮
(
りうぐう
)
の
波
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
169
乙姫
(
おとひめ
)
さまも
嘸
(
さぞ
)
や
嘸
(
さぞ
)
170
空
(
そら
)
を
仰
(
あふ
)
いで
行
(
ゆ
)
く
船
(
ふね
)
を
171
笑
(
ゑみ
)
を
湛
(
たた
)
へて
見
(
み
)
て
厶
(
ござ
)
らう
172
千尋
(
ちひろ
)
の
海
(
うみ
)
を
渡
(
わた
)
り
行
(
ゆ
)
く
173
天津
(
あまつ
)
御空
(
みそら
)
か
中空
(
ちうくう
)
か
174
月日
(
つきひ
)
も
星
(
ほし
)
も
下
(
した
)
に
照
(
て
)
る
175
月
(
つき
)
は
波間
(
なみま
)
に
輝
(
かがや
)
き
玉
(
たま
)
ひ
176
海
(
うみ
)
の
底
(
そこ
)
には
星
(
ほし
)
の
影
(
かげ
)
177
天
(
あま
)
の
川原
(
かはら
)
が
横
(
よこた
)
はる
178
空
(
そら
)
漕
(
こ
)
ぎ
渡
(
わた
)
る
玉
(
たま
)
の
船
(
ふね
)
179
如何
(
いか
)
に
荒波
(
あらなみ
)
猛
(
たけ
)
るとも
180
神
(
かみ
)
の
守
(
まも
)
りの
此
(
この
)
船
(
ふね
)
は
181
厳
(
いづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
救
(
すく
)
ひ
舟
(
ぶね
)
182
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
守
(
まも
)
り
舟
(
ぶね
)
183
千
(
せん
)
里
(
り
)
の
波
(
なみ
)
を
打渡
(
うちわた
)
り
184
心
(
こころ
)
やすやすキヨ
港
(
みなと
)
185
水
(
みづ
)
は
紫
(
むらさき
)
野
(
の
)
は
青
(
あを
)
く
186
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
き
匂
(
にほ
)
ふ
国
(
くに
)
へ
行
(
ゆ
)
く』
187
声
(
こゑ
)
もなだらかに
海
(
うみ
)
に
慣
(
な
)
れたる
調子
(
てうし
)
で
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
櫓
(
ろ
)
を
操
(
あやつ
)
り
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
188
(
大正一二・三・二九
旧二・一三
於皆生温泉浜屋
北村隆光
録)
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