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第64巻(卯の巻)下
序文
総説
第1篇 復活転活
01 復活祭
〔1807〕
02 逆襲
〔1808〕
03 草居谷底
〔1809〕
04 誤霊城
〔1810〕
05 横恋慕
〔1811〕
第2篇 鬼薊の花
06 金酒結婚
〔1812〕
07 虎角
〔1813〕
08 擬侠心
〔1814〕
09 狂怪戦
〔1815〕
10 拘淫
〔1816〕
第3篇 開花落花
11 狂擬怪
〔1817〕
12 開狂式
〔1818〕
13 漆別
〔1819〕
14 花曇
〔1820〕
15 騒淫ホテル
〔1821〕
第4篇 清風一過
16 誤辛折
〔1822〕
17 茶粕
〔1823〕
18 誠と偽
〔1824〕
19 笑拙種
〔1825〕
20 猫鞍干
〔1826〕
21 不意の官命
〔1827〕
22 帰国と鬼哭
〔1828〕
余白歌
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第一四章
花曇
(
はなぐもり
)
〔一八二〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第64巻下 山河草木 卯の巻下
篇:
第3篇 開花落花
よみ(新仮名遣い):
かいからっか
章:
第14章 花曇
よみ(新仮名遣い):
はなぐもり
通し章番号:
1820
口述日:
1925(大正14)年08月20日(旧07月1日)
口述場所:
丹後由良 秋田別荘
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年11月7日
概要:
舞台:
僧院ホテル
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
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:
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-05-25 09:43:13
OBC :
rm64b14
愛善世界社版:
188頁
八幡書店版:
第11輯 565頁
修補版:
校定版:
191頁
普及版:
63頁
初版:
ページ備考:
001
お
花
(
はな
)
はヤクと
共
(
とも
)
に、
002
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
に
端坐
(
たんざ
)
し
乍
(
なが
)
ら、
003
守宮別
(
やもりわけ
)
の
帰館
(
きくわん
)
を、
004
今
(
いま
)
やおそしと
待
(
ま
)
ち
構
(
かま
)
へ
居
(
ゐ
)
たり。
005
お花
『これ、
006
ヤクさまエ、
007
旦那
(
だんな
)
さまは
宗教
(
しうけう
)
独立
(
どくりつ
)
運動
(
うんどう
)
に
行
(
ゆ
)
くと
云
(
い
)
つて、
008
ここを
出
(
で
)
られたきり、
009
今日
(
けふ
)
で
三日目
(
みつかめ
)
になるのに、
010
まだお
姿
(
すがた
)
が
見
(
み
)
えないのは、
011
チト
怪
(
あや
)
しいとは
思
(
おも
)
ひませぬか。
012
もしやお
寅
(
とら
)
さまの
所
(
ところ
)
へでも、
013
あの
金
(
かね
)
を
握
(
にぎ
)
つたのを
幸
(
さいは
)
ひ、
014
ズボリ
込
(
こ
)
みてゐるのぢやなからうかな』
015
ヤク
『
何
(
なに
)
おつしやいます。
016
旦那
(
だんな
)
さまに
限
(
かぎ
)
つて、
017
ソンナバカなことなさいますか。
018
あれ
程
(
ほど
)
お
寅
(
とら
)
さまに
愛憎
(
あいそ
)
をつかして、
019
ゲヂゲヂのやうに
云
(
い
)
つてゐられましたもの』
020
お花
『それだつて、
021
あの
旦那
(
だんな
)
さまはアーンと
欠伸
(
あくび
)
をなさつたら
険呑
(
けんのん
)
だよ。
022
それを
境界線
(
きやうかいせん
)
として、
023
いつも
心機
(
しんき
)
一転
(
いつてん
)
する
癖
(
くせ
)
があるのだもの。
024
これから
旦那
(
だんな
)
さまが
外出
(
ぐわいしゆつ
)
される
時
(
とき
)
は、
025
ヤクお
前
(
まへ
)
は
見
(
み
)
えかくれにでも、
026
ついて
行
(
い
)
つて
貰
(
もら
)
はねばならないよ』
027
ヤク
『それまで
夫婦間
(
ふうふかん
)
で
疑
(
うたが
)
つちや
駄目
(
だめ
)
ですよ。
028
夫
(
をつと
)
は
妻
(
つま
)
を
信
(
しん
)
じ
妻
(
つま
)
は
夫
(
をつと
)
を
信
(
しん
)
じなくちや
本当
(
ほんたう
)
の
夫婦
(
ふうふ
)
ぢやありませぬよ。
029
旦那
(
だんな
)
さまに
限
(
かぎ
)
つて、
030
ソンナバカな
事
(
こと
)
はなさりやしませぬ。
031
此
(
この
)
ヤクがキツト
保証
(
ほしよう
)
しておきますわ』
032
かく
案
(
あん
)
じてゐる
所
(
ところ
)
へ、
033
ボーイの
案内
(
あんない
)
につれてエルサレム
署
(
しよ
)
の
警官
(
けいくわん
)
が、
034
警官
『
守宮別
(
やもりわけ
)
さまは
居
(
ゐ
)
られますか』
035
と
尋
(
たづ
)
ね
来
(
き
)
たりぬ。
036
お
花
(
はな
)
は
警官
(
けいくわん
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て、
037
お花
『ハハ
守宮別
(
やもりわけ
)
の
運動
(
うんどう
)
によつて
教会
(
けうくわい
)
の
独立
(
どくりつ
)
が
許可
(
きよか
)
になるのだらう。
038
その
報告
(
はうこく
)
のため
上官庁
(
じやうくわんちやう
)
の
内命
(
ないめい
)
をおびて
調査
(
てうさ
)
に
来
(
き
)
たのだな。
039
こりや
此
(
この
)
際
(
さい
)
十分
(
じふぶん
)
高尚
(
かうしやう
)
に
構
(
かま
)
へて
居
(
を
)
らねばなるまい』
040
と
思案
(
しあん
)
を
定
(
さだ
)
め、
041
俄
(
にはか
)
にオチヨボ
口
(
ぐち
)
をし
乍
(
なが
)
ら、
042
お花
『
妾
(
わらは
)
こそはシオンの
娘
(
むすめ
)
、
043
木花
(
このはな
)
咲耶姫
(
さくやひめの
)
命
(
みこと
)
の
精霊
(
せいれい
)
を
宿
(
やど
)
した
大
(
だい
)
救世主
(
きうせいしゆ
)
、
044
あやめ
のお
花
(
はな
)
が
肉宮
(
にくみや
)
で
厶
(
ござ
)
るぞや。
045
警官
(
けいくわん
)
どの、
046
サアサア
調
(
しら
)
べて
下
(
くだ
)
され。
047
シオンの
娘
(
むすめ
)
に
間違
(
まちが
)
ひありませぬぞや。
048
これ、
049
ヤク
殿
(
どの
)
、
050
守宮別
(
やもりわけ
)
が
不在
(
ふざい
)
だによつて、
051
そなた
代
(
かは
)
つて、
052
警官殿
(
けいくわんどの
)
のお
相手
(
あひて
)
をなさつたが
宜
(
よろ
)
しからうぞや』
053
ヤク
『これはこれは
警官
(
けいくわん
)
様
(
さま
)
、
054
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
で
厶
(
ござ
)
います。
055
あの、
056
何
(
なん
)
で
厶
(
ござ
)
いますか。
057
宗教
(
しうけう
)
独立
(
どくりつ
)
の
許可
(
きよか
)
になつたので
厶
(
ござ
)
いますかな。
058
小身者
(
せうしんもの
)
のヤクも
鶴首
(
かくしゆ
)
して
吉報
(
きつぱう
)
を
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
ました』
059
警官
『いや、
060
左様
(
さやう
)
な
事
(
こと
)
で
来
(
き
)
たのぢやありませぬ。
061
実
(
じつ
)
は、
062
一昨日
(
おととひ
)
の
夕方
(
ゆふがた
)
、
063
停車場
(
ステイシヨン
)
街道
(
かいだう
)
で
此方
(
こちら
)
の
主人
(
しゆじん
)
守宮別
(
やもりわけ
)
殿
(
どの
)
に
出会
(
であ
)
ひ、
064
挙動
(
きよどう
)
不審
(
ふしん
)
と
認
(
みと
)
めて、
065
警戒
(
けいかい
)
の
巡査
(
じゆんさ
)
が
取調
(
とりしら
)
べた
所
(
ところ
)
、
066
別
(
べつ
)
に
怪
(
あや
)
しき
方
(
かた
)
でないと
判明
(
はんめい
)
し、
067
直
(
ただち
)
に
放免
(
はうめん
)
しました。
068
その
後
(
あと
)
で、
069
大枚
(
たいまい
)
三千
(
さんぜん
)
円
(
ゑん
)
入
(
い
)
りの
蟇口
(
がまぐち
)
が
落
(
お
)
ちてゐるので、
070
本署
(
ほんしよ
)
へ
届
(
とど
)
けて
来
(
き
)
ました。
071
署長
(
しよちやう
)
と
立会
(
たちあ
)
ひの
上
(
うへ
)
調
(
しら
)
べて
見
(
み
)
ると、
072
僧院
(
そうゐん
)
ホテル
第一号
(
だいいちがう
)
、
073
二号
(
にがう
)
、
074
三号室
(
さんがうしつ
)
、
075
守宮別
(
やもりわけ
)
と
書
(
か
)
いた
名刺
(
めいし
)
が
這入
(
はい
)
つてゐましたので、
076
篤
(
とく
)
と
調
(
しら
)
べた
上
(
うへ
)
お
返
(
かへ
)
しに
参
(
まゐ
)
りました。
077
どうか
此
(
この
)
帳面
(
ちやうめん
)
に
印
(
いん
)
をおして
下
(
くだ
)
さい。
078
受取書
(
うけとりしよ
)
は、
079
ここに
書
(
か
)
いて
来
(
き
)
ましたから』
080
神
(
かみ
)
さまを
装
(
よそほ
)
つてゐたお
花
(
はな
)
は、
081
此
(
この
)
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
いて
俄
(
にはか
)
に
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
形態
(
ぎやうてい
)
をくづして
了
(
しま
)
ひ、
082
ツカツカと
警官
(
けいくわん
)
の
傍
(
そば
)
により、
083
お花
『これはこれは
警官
(
けいくわん
)
さま、
084
よう、
085
マアおいで
下
(
くだ
)
さいました。
086
守宮別
(
やもりわけ
)
さまとした
事
(
こと
)
が、
087
大枚
(
たいまい
)
三千
(
さんぜん
)
円
(
ゑん
)
の
金
(
かね
)
を
落
(
おと
)
し、
088
言訳
(
いひわけ
)
がないと
思
(
おも
)
つて、
089
どツかへ
逐電
(
ちくでん
)
なさつたのだらう。
090
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
気
(
き
)
の
良
(
よ
)
い
人
(
ひと
)
だからな。
091
イヤ
確
(
たしか
)
に
受取
(
うけとり
)
ました。
092
どうぞ
署長
(
しよちやう
)
さまに
宜
(
よろ
)
しくお
伝
(
つた
)
へ
下
(
くだ
)
さい。
093
これ、
094
ヤク、
095
門口
(
かどぐち
)
までお
見送
(
みおく
)
りせぬかいな』
096
警官
(
けいくわん
)
は
受取書
(
うけとりしよ
)
に
印
(
いん
)
を
貰
(
もら
)
ひ、
097
ヤクの
見送
(
みおく
)
りを
拒絶
(
きよぜつ
)
し
乍
(
なが
)
ら
足早
(
あしばや
)
に
帰
(
かへ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
098
お
花
(
はな
)
はヤクをつかまへて
積
(
つ
)
んだり、
099
くづしたり、
100
守宮別
(
やもりわけ
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
を
案
(
あん
)
じてゐると、
101
そこへ
守宮別
(
やもりわけ
)
はブラリブラリと
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
た。
102
流石
(
さすが
)
のお
花
(
はな
)
も
守宮別
(
やもりわけ
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て、
103
『どうも
白粉
(
おしろひ
)
臭
(
くさ
)
ひ
香
(
にほひ
)
がしてゐる、
104
此奴
(
こいつ
)
は
腹
(
はら
)
を
探
(
さぐ
)
つて
見
(
み
)
ねばなるまい』と
早
(
はや
)
くも
覚悟
(
かくご
)
を
極
(
き
)
めた。
105
守宮別
『
女房
(
にようばう
)
、
106
今
(
いま
)
帰
(
かへ
)
つたぞや。
107
アーア、
108
酒
(
さけ
)
を
一本
(
いつぽん
)
つけて
呉
(
く
)
れないか』
109
お花
『これはこれはよう
帰
(
かへ
)
つて
下
(
くだ
)
さつた、
110
大変
(
たいへん
)
に
暇
(
ひま
)
が
入
(
い
)
りましたな。
111
私
(
わたし
)
心配
(
しんぱい
)
してゐましたよ。
112
そして、
113
タゴール
博士
(
はかせ
)
の
方
(
はう
)
は、
114
どうなりましたか、
115
早
(
はや
)
く
吉報
(
きつぱう
)
を
聞
(
き
)
かして
下
(
くだ
)
さいませな』
116
守宮別
『ウン、
117
大変
(
たいへん
)
好都合
(
かうつがふ
)
だつたよ、
118
あの
三千
(
さんぜん
)
円
(
ゑん
)
の
金
(
かね
)
は、
119
随分
(
ずゐぶん
)
働
(
はたら
)
いたものだ。
120
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
世界一
(
せかいいち
)
の、
121
シオン
大学
(
だいがく
)
の
教授
(
けうじゆ
)
を
五
(
ご
)
人
(
にん
)
迄
(
まで
)
動
(
うご
)
かし、
122
愈
(
いよいよ
)
独立
(
どくりつ
)
運動
(
うんどう
)
の
許可
(
きよか
)
が
下
(
さが
)
る
処
(
ところ
)
迄
(
まで
)
漕
(
こ
)
ぎつけて
来
(
き
)
たのだから、
123
マアお
花
(
はな
)
、
124
喜
(
よろこ
)
びてくれ』
125
お花
『これ
守宮別
(
やもりわけ
)
さま、
126
女
(
をんな
)
たらしの
後家倒
(
ごけたふ
)
しさま、
127
一体
(
いつたい
)
お
前
(
まへ
)
は、
128
どこへ
行
(
い
)
つてゐたのだい』
129
守宮別
『どこへ
行
(
い
)
つたつて?
大臣
(
だいじん
)
や
博士
(
はかせ
)
の
官宅
(
くわんたく
)
を
歴訪
(
れきはう
)
して
居
(
を
)
つたのだ。
130
三千
(
さんぜん
)
円
(
ゑん
)
位
(
ぐらゐ
)
費
(
つか
)
つたつて
安
(
やす
)
いものだらう、
131
目的
(
もくてき
)
さへ
達成
(
たつせい
)
したらいいのだから』
132
お花
『ヘン、
133
嘘
(
うそ
)
ばつかり
云
(
い
)
つたつて、
134
ソンナ
事
(
こと
)
に
騙
(
だま
)
されるお
花
(
はな
)
ぢやありませぬよ。
135
貴方
(
あなた
)
の
頬辺
(
ほほべた
)
に
白粉
(
おしろい
)
がついてるぢやありませぬか。
136
その
白粉
(
おしろい
)
はどうしてつけたのですかい。
137
サアその
因縁
(
いんねん
)
を
聞
(
き
)
かして
下
(
くだ
)
さいな。
138
私
(
わたし
)
も
考
(
かんが
)
へが
厶
(
ござ
)
いますから』
139
守宮別
『アーア、
140
おしろ
いへ
気
(
き
)
をつけたり、
141
前
(
まへ
)
へ
気
(
き
)
を
付
(
つ
)
けたりして
舎身
(
しやしん
)
活躍
(
くわつやく
)
をやつて、
142
今
(
いま
)
塗
(
ぬ
)
り
立
(
た
)
ての
大学
(
だいがく
)
の
白壁
(
しろかべ
)
にブツつかつたものだから、
143
白
(
しろ
)
くついたのだよ。
144
お
前
(
まへ
)
も
罰
(
ばち
)
があたるぞや。
145
コンナ
夫
(
をつと
)
を
持
(
も
)
ち
乍
(
なが
)
ら
何
(
なに
)
をゴテゴテ
云
(
い
)
ふのだい』
146
お花
『
白壁
(
しろかべ
)
の
香
(
にほひ
)
と、
147
白粉
(
おしろひ
)
の
香
(
にほひ
)
と、
148
嗅分
(
かぎわ
)
けぬやうなお
花
(
はな
)
ぢや
厶
(
ござ
)
いませぬよ。
149
ソンナゴマかしは、
150
お
寅
(
とら
)
さまには
利
(
き
)
くかは
知
(
し
)
れませぬが、
151
此
(
この
)
お
花
(
はな
)
には
駄目
(
だめ
)
ですよ。
152
サア、
153
キツパリ
白状
(
はくじやう
)
しなさい』
154
守宮別
『これは
御
(
ご
)
明察
(
めいさつ
)
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
りました。
155
実
(
じつ
)
は、
156
博士
(
はかせ
)
や
大臣
(
だいじん
)
をある
料亭
(
れうてい
)
へ
招待
(
せうたい
)
し、
157
目的
(
もくてき
)
貫徹
(
くわんてつ
)
の
為
(
ため
)
、
158
心
(
こころ
)
にもない
白首
(
しらくび
)
を
招
(
よ
)
んでな、
159
杯盤
(
はいばん
)
の
間
(
あひだ
)
を
斡旋
(
あつせん
)
させたのだよ。
160
そしたら、
161
そそつかしいキーチャンの
奴
(
やつ
)
、
162
大臣
(
だいじん
)
と
俺
(
おれ
)
と
間違
(
まちが
)
へて
俺
(
おれ
)
の
頬辺
(
ほほべた
)
に
吸
(
す
)
ひつきよつたのだ。
163
大方
(
おほかた
)
、
164
その
時
(
とき
)
、
165
ついたのだらう』
166
お花
『
何
(
なに
)
、
167
キーチャンが
頬辺
(
ほほべた
)
に
吸
(
す
)
いついたと?』
168
と
早
(
はや
)
くもお
花
(
はな
)
の
顔
(
かほ
)
には
低気圧
(
ていきあつ
)
が
襲来
(
しふらい
)
したり。
169
お花
『これ、
170
守宮別
(
やもりわけ
)
さま、
171
旦那
(
だんな
)
さまと
云
(
い
)
ひたいが、
172
今日
(
けふ
)
限
(
かぎ
)
り
改
(
あらた
)
めますよ。
173
その
積
(
つも
)
りでゐて
下
(
くだ
)
さいよ。
174
色情
(
いろ
)
の
道
(
みち
)
にかけては、
175
オーソリチーの
私
(
わたし
)
をバカにしようと
思
(
おも
)
つても、
176
その
手
(
て
)
は
喰
(
く
)
ひませぬぞや。
177
大方
(
おほかた
)
どつかのスベタ
女
(
をんな
)
と、
178
くつついて
来
(
き
)
たのでせう。
179
これは
一体
(
いつたい
)
何
(
なん
)
ですか』
180
と
三千
(
さんぜん
)
円
(
ゑん
)
の
蟇口
(
がまぐち
)
を
守宮別
(
やもりわけ
)
の
前
(
まへ
)
に
投
(
な
)
げ
出
(
だ
)
して
見
(
み
)
せる。
181
守宮別
『お
花
(
はな
)
、
182
これや
俺
(
おれ
)
の
紙入
(
かみいれ
)
ぢやないか』
183
お花
『さうでせうとも、
184
中
(
なか
)
をあけて
御覧
(
ごらん
)
なさい。
185
手
(
て
)
のきれるやうな、
186
百円札
(
ひやくゑんさつ
)
が
三十
(
さんじふ
)
枚
(
まい
)
目
(
め
)
をむいて
居
(
を
)
りますよ。
187
ヨウマア
大臣
(
だいじん
)
や
博士
(
はかせ
)
を
招待
(
せうたい
)
したなぞと、
188
ソンナ
嘘
(
うそ
)
が
言
(
い
)
へたものですな。
189
ツヒ、
190
先刻
(
さつき
)
、
191
警察
(
けいさつ
)
から
届
(
とど
)
けて
来
(
き
)
てくれたのですよ、
192
お
前
(
まへ
)
さま、
193
街路
(
がいろ
)
警戒
(
けいかい
)
の
警官
(
けいくわん
)
につかまへられて
身体
(
しんたい
)
検査
(
けんさ
)
までやられたぢやありませぬか、
194
これでも
抗弁
(
かうべん
)
なさいますか、
195
これ
守宮別
(
やもりわけ
)
さま、
196
お
花
(
はな
)
の
躰
(
からだ
)
にや
息
(
いき
)
が
通
(
かよ
)
つてゐますよ。
197
決
(
けつ
)
して
人形
(
にんぎやう
)
ぢやありませぬからね。
198
お
前
(
まへ
)
さまの
玩弄
(
おもちや
)
になつて
堪
(
た
)
まりますかい。
199
ヘン
阿呆
(
あはう
)
らしい、
200
あまりの
事
(
こと
)
で、
201
アフンが
宙
(
ちう
)
に
迷
(
まよ
)
ひますわ』
202
守宮別
『
何
(
なに
)
、
203
お
花
(
はな
)
、
204
確
(
たしか
)
に
三千
(
さんぜん
)
円
(
ゑん
)
運動費
(
うんどうひ
)
に
使
(
つか
)
つたのだ。
205
俺
(
おれ
)
がな
子母仙
(
しぼせん
)
と
云
(
い
)
つて
仙人
(
せんにん
)
の
使
(
つか
)
ふ
法
(
はふ
)
を
知
(
し
)
つてゐるのだよ。
206
此
(
この
)
三千
(
さんぜん
)
円
(
ゑん
)
に
一寸
(
ちよつと
)
魔法
(
まはふ
)
をかけて
使
(
つか
)
つたのだから、
207
もとの
蟇口
(
がまぐち
)
を
恋
(
こひ
)
しがつて、
208
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たのだよ。
209
床
(
ゆか
)
の
下
(
した
)
に
不思議
(
ふしぎ
)
な
虫
(
むし
)
が
親子
(
おやこ
)
棲
(
す
)
んでゐたのだ。
210
その
親子
(
おやこ
)
の
虫
(
むし
)
をな、
211
俺
(
おれ
)
が
捕獲
(
ほくわく
)
して、
212
三十
(
さんじふ
)
枚
(
まい
)
の
百円札
(
ひやくゑんさつ
)
には
子
(
こ
)
の
血
(
ち
)
を
塗
(
ぬ
)
り、
213
蟇口
(
がまぐち
)
には
親血
(
おやち
)
をぬつておいたのだ。
214
それだから、
215
子
(
こ
)
の
血
(
ち
)
がついてゐる
百円札
(
ひやくゑんさつ
)
には、
216
子
(
こ
)
の
霊
(
れい
)
がかかつてゐるだらう。
217
それだから
親
(
おや
)
の
血
(
ち
)
や
魂
(
たま
)
のかかつた
蟇口
(
がまぐち
)
を
慕
(
した
)
うて
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たのだ、
218
つまり
三千
(
さんぜん
)
円
(
ゑん
)
のお
金
(
かね
)
を
三千
(
さんぜん
)
円
(
ゑん
)
使
(
つか
)
つて、
219
あとに
三千
(
さんぜん
)
円
(
ゑん
)
残
(
のこ
)
つてゐるのだから、
220
コンナ
結構
(
けつこう
)
な
仙術
(
せんじゆつ
)
はあるまい』
221
お花
『どこの
床
(
ゆか
)
の
下
(
した
)
に、
222
ソンナ
虫
(
むし
)
が
居
(
ゐ
)
たのですか』
223
守宮別
『ソンナ
事
(
こと
)
ア
秘密
(
ひみつ
)
だ。
224
子母虫
(
しぼちう
)
が、
225
……どうぞ
貴方
(
あなた
)
限
(
かぎ
)
り、
226
秘密
(
ひみつ
)
にして
下
(
くだ
)
さい……、
227
と
願
(
ねが
)
ひよつたからの。
228
この
秘密
(
ひみつ
)
を
明
(
あ
)
かすと、
229
これからの
仙術
(
せんじゆつ
)
が
利
(
き
)
かないから、
230
発表
(
はつぺう
)
を
見合
(
みあは
)
せておかう。
231
又
(
また
)
三千
(
さんぜん
)
円
(
ゑん
)
もうけねばならぬからのう』
232
お
花
(
はな
)
は
腮
(
あご
)
をつき
出
(
だ
)
し
乍
(
なが
)
ら、
233
お花
『
子供
(
こども
)
か、
234
何
(
なん
)
ぞのやうに、
235
ソンナ
嘘
(
うそ
)
は
喰
(
く
)
ひませぬよ。
236
それが
本当
(
ほんたう
)
なら、
237
蟇口
(
がまぐち
)
はお
前
(
まへ
)
さまの
懐中
(
ふところ
)
にありさうなものだのに、
238
それが
警察
(
けいさつ
)
にあるとは
不思議
(
ふしぎ
)
ぢやありませぬか』
239
守宮別
『きまつた
事
(
こと
)
よ。
240
三千
(
さんぜん
)
円
(
ゑん
)
の
運動費
(
うんどうひ
)
を
使
(
つか
)
つた
後
(
あと
)
、
241
俺
(
おれ
)
の
懐
(
ふところ
)
にある
母虫
(
ぼちう
)
の
霊
(
れい
)
が
呼
(
よ
)
んだので、
242
仔虫
(
しちう
)
の
霊
(
れい
)
のかかつた
金
(
かね
)
が、
243
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たのだ。
244
それをお
前
(
まへ
)
、
245
警官
(
けいくわん
)
に
真裸
(
まつぱだか
)
になつて
身体
(
しんたい
)
検査
(
けんさ
)
をされた
時
(
とき
)
、
246
ツヒ
落
(
おと
)
して
了
(
しま
)
ひ、
247
警官
(
けいくわん
)
に
拾
(
ひろ
)
はれたのだ』
248
お花
『そのお
金
(
かね
)
は、
249
いつ
落
(
おと
)
したのですか』
250
守宮別
『さうだな、
251
エー、
252
昨日
(
きのふ
)
、
253
一昨日
(
おととひ
)
と
昨夜
(
ゆふべ
)
と
大臣
(
だいじん
)
博士
(
はかせ
)
を
招待
(
せうたい
)
して
費
(
つか
)
つて
了
(
しま
)
ひ、
254
朝
(
あさ
)
になると
俺
(
おれ
)
の
懐中
(
ふところ
)
の
蟇口
(
がまぐち
)
へお
金
(
かね
)
が
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
てゐたのだ。
255
それを
落
(
おと
)
したのだよ』
256
お花
『
嘘
(
うそ
)
許
(
ばか
)
り
云
(
い
)
ひなさるな、
257
警官
(
けいくわん
)
に
調
(
しら
)
べられたのは、
258
一昨日
(
おととひ
)
の
夕方
(
ゆふがた
)
ぢやありませぬか。
259
ここを
立出
(
たちで
)
て、
260
ステーション
街道
(
かいだう
)
の
方
(
はう
)
へ
行
(
ゆ
)
きなさつたでせう』
261
守宮別
『アーア、
262
もうたまらぬ たまらぬ』
263
お花
『これこれ
守宮別
(
やもりわけ
)
さま、
264
その、
265
アーアはまだ
早
(
はや
)
いぢやありませぬか。
266
本当
(
ほんたう
)
の
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
267
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても、
268
お
金
(
かね
)
がここへ
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
るのだから、
269
少々
(
せうせう
)
の
欠点
(
けつてん
)
位
(
ぐらゐ
)
あつたつて、
270
不足
(
ふそく
)
は
申
(
まを
)
しませぬわ』
271
守宮別
『ア、
272
さう
追撃
(
つゐげき
)
されては
落城
(
らくじやう
)
せざるを
得
(
え
)
ないわ。
273
実
(
じつ
)
はブチ
明
(
あ
)
けて
云
(
い
)
ふがな、
274
お
花
(
はな
)
、
275
タゴールさまのお
宅
(
たく
)
を
訪
(
たづ
)
ねようと
思
(
おも
)
つてホテルを
出
(
で
)
たものの
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても、
276
秘密
(
ひみつ
)
運動
(
うんどう
)
だから、
277
お
邸
(
やしき
)
の
方
(
はう
)
へ
足
(
あし
)
を
向
(
む
)
けては
秘密
(
ひみつ
)
が
曝露
(
ばくろ
)
すると
思
(
おも
)
ひ、
278
廻
(
まは
)
り
道
(
みち
)
して、
279
ステーションの
方
(
はう
)
へ
行
(
い
)
つた
所
(
ところ
)
、
280
警官
(
けいくわん
)
に
調
(
しら
)
べられ、
281
そこで
落
(
おと
)
したのだ。
282
博士
(
はかせ
)
に
運動
(
うんどう
)
したと
云
(
い
)
つたのは
皆
(
みな
)
嘘
(
うそ
)
だよ。
283
お
前
(
まへ
)
に
申訳
(
まをしわけ
)
ないからヨルダン
川
(
がは
)
に
身
(
み
)
を
投
(
な
)
げようかと
思
(
おも
)
つたが、
284
水
(
みづ
)
が
冷
(
つめ
)
たいし、
285
樹
(
き
)
に
首
(
くび
)
を
吊
(
つ
)
らうかと
思
(
おも
)
つて
枝振
(
えだぶり
)
のよい
木
(
き
)
を
探
(
さが
)
したがよい
松
(
まつ
)
の
木
(
き
)
が
無
(
な
)
く、
286
一層
(
いつそう
)
、
287
鉄道
(
てつだう
)
往生
(
わうじやう
)
しようかとレールを
枕
(
まくら
)
に
待
(
ま
)
つてゐると、
288
一
(
いち
)
里
(
り
)
も
二
(
に
)
里
(
り
)
も
先
(
さき
)
からレールがドンドンと
響
(
ひび
)
くので、
289
刻一刻
(
こくいつこく
)
、
290
死
(
し
)
に
近
(
ちか
)
づくと
思
(
おも
)
へば
恐
(
おそ
)
ろしくなり、
291
エー、
292
死
(
し
)
ぬのなら
何時
(
いつ
)
でも
死
(
し
)
ねる、
293
一辺
(
いつぺん
)
恋
(
こひ
)
しいお
前
(
まへ
)
の
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
てから
死
(
し
)
んでやらうと、
294
このやうに
思
(
おも
)
つて
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たのだ。
295
これが
誠
(
まこと
)
の
告白
(
こくはく
)
だ。
296
どうか、
297
さう、
298
苛
(
いぢ
)
めずにおいて
呉
(
く
)
れよ、
299
頼
(
たの
)
みだからな』
300
お花
『ア、
301
さうでしたか、
302
それ
聞
(
き
)
いてチツト
許
(
ばか
)
り
安心
(
あんしん
)
しました。
303
も
一
(
ひと
)
つ
合点
(
がつてん
)
の
行
(
ゆ
)
かぬ
事
(
こと
)
がある、
304
それを
聞
(
き
)
かして
貰
(
もら
)
ひませう』
305
守宮別
『
合点
(
がつてん
)
が
行
(
ゆ
)
かぬ
事
(
こと
)
とは
何
(
なん
)
だい』
306
お花
『お
前
(
まへ
)
さまの
頬辺
(
ほほべた
)
についてゐた
白粉
(
おしろい
)
の
因縁
(
いんねん
)
から
聞
(
き
)
かして
下
(
くだ
)
さいな』
307
守宮別
『
何
(
なん
)
と
六
(
む
)
つかしい
事
(
こと
)
だな。
308
ソンナラ
詳
(
つぶ
)
さに
言上
(
ごんじやう
)
仕
(
つか
)
まつらう。
309
実
(
じつ
)
は、
310
鉄道
(
てつだう
)
往生
(
わうじやう
)
しようと
思
(
おも
)
つて、
311
レールの
上
(
うへ
)
をうろついてゐた
時
(
とき
)
、
312
機関車
(
きくわんしや
)
にはね
飛
(
と
)
ばされて、
313
傍
(
かたはら
)
の
草原
(
くさはら
)
に
気絶
(
きぜつ
)
して
居
(
を
)
つた
時
(
とき
)
、
314
どこの
女中
(
ぢよちう
)
か
知
(
し
)
らぬが
通
(
とほ
)
り
合
(
あは
)
して、
315
殆
(
ほとん
)
ど
冷
(
ひえ
)
きつた
俺
(
おれ
)
の
身体
(
からだ
)
を
肉体
(
にくたい
)
で
温
(
ぬく
)
めて、
316
一旦
(
いつたん
)
甦生
(
よみがへ
)
らして
下
(
くだ
)
さつたのだ。
317
それが
本当
(
ほんたう
)
の
告白
(
こくはく
)
だよ。
318
アー
眠
(
ね
)
むたい
眠
(
ね
)
むたい。
319
酒
(
さけ
)
も
碌
(
ろく
)
に
飲
(
の
)
まして
貰
(
もら
)
へず、
320
お
白洲
(
しらす
)
の
訊問
(
じんもん
)
を
受
(
う
)
けて
居
(
を
)
つてもつまらぬわい』
321
お花
『その
命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さつた
御
(
ご
)
婦人
(
ふじん
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
名
(
な
)
ですか。
322
お
礼
(
れい
)
に
行
(
ゆ
)
かねばなりますまいからな』
323
守宮別
『ウン、
324
何
(
なん
)
でも、
325
あや
子
(
こ
)
とか、
326
おや
子
(
こ
)
とか
云
(
い
)
ふ
名
(
な
)
だつたよ』
327
お花
『お
処
(
ところ
)
は
聞
(
き
)
いておいたでせうね』
328
守宮別
『ウン、
329
処
(
ところ
)
か。
330
処
(
ところ
)
が、
331
その
処
(
ところ
)
を
聞
(
き
)
くのをスツクリ
忘
(
わす
)
れて
了
(
しま
)
つたのだ』
332
ヤク
『
今
(
いま
)
、
333
旦那
(
だんな
)
さまに
承
(
うけたま
)
はれば、
334
あや
子
(
こ
)
とか
仰有
(
おつしや
)
いましたね。
335
この
広
(
ひろ
)
いエルサレムの
町
(
まち
)
に、
336
あや
子
(
こ
)
と
云
(
い
)
ふ
名
(
な
)
は、
337
私
(
わたし
)
の
娘
(
むすめ
)
一人
(
ひとり
)
ほかありませぬがな。
338
何
(
なん
)
とマア、
339
神
(
かみ
)
さまの
御
(
ご
)
因縁
(
いんねん
)
で
旦那
(
だんな
)
さまの
命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けさして
頂
(
いただ
)
いたのでせう』
340
お花
『これ、
341
ヤクさま、
342
お
前
(
まへ
)
は
一人者
(
ひとりもの
)
だと
思
(
おも
)
つてゐたのに
娘
(
むすめ
)
があるのかいナ』
343
ヤク
『ヘーヘー、
344
お
多福娘
(
たふくむすめ
)
が、
345
一人
(
ひとり
)
厶
(
ござ
)
いますが、
346
今
(
いま
)
では
私
(
わたし
)
を
親
(
おや
)
のやうに
致
(
いた
)
しませぬので、
347
勘当
(
かんだう
)
同様
(
どうやう
)
の
中
(
なか
)
になつて
居
(
を
)
りますわい』
348
守宮別
『エーエもう、
349
いい
加減
(
かげん
)
に
寝
(
ね
)
たらどうだい、
350
ヤクの
奴
(
やつ
)
、
351
やかましいわい。
352
綾
(
あや
)
の
高天
(
たかま
)
の
聖場
(
せいじやう
)
で
353
天人
(
てんにん
)
天女
(
てんぢよ
)
が
舞
(
まひ
)
を
舞
(
ま
)
ふ。
354
お
花
(
はな
)
のやうなよい
美人
(
びじん
)
355
あや
子
(
こ
)
も
糞
(
くそ
)
もあるものか。
356
あや
子
(
こ
)
のあやはあやめのあやよ
357
あやと
錦
(
にしき
)
の
機織虫
(
はたおりむし
)
が
358
やつて
来
(
き
)
たのはエルサレム
359
何程
(
なにほど
)
世界
(
せかい
)
の
美人
(
びじん
)
でも
360
あやの
名
(
な
)
のつくあやめさま
361
生宮
(
いきみや
)
さまには
及
(
およ
)
ばない
362
ドツコイショ ドツコイショ
363
あゝ
今日
(
けふ
)
は
頭
(
あたま
)
が
痛
(
いた
)
いから
皆
(
みな
)
揃
(
そろ
)
ふて
寝
(
ね
)
たり
寝
(
ね
)
たり』
364
と
布団
(
ふとん
)
を
被
(
かぶ
)
つて
空鼾
(
からいびき
)
をかき、
365
お
花
(
はな
)
の
形勢
(
けいせい
)
如何
(
いかん
)
と
考
(
かんが
)
へてゐる。
366
お
花
(
はな
)
は
神前
(
しんぜん
)
に
額
(
ぬかづ
)
き、
367
神籤
(
みくじ
)
をとつたり、
368
卦
(
け
)
を
立
(
た
)
てたりし
乍
(
なが
)
ら、
369
その
夜
(
よ
)
はマンジリともせず、
370
コケコーの
鳴
(
な
)
く
迄
(
まで
)
起
(
お
)
きて
居
(
ゐ
)
た。
371
アヽ
此
(
この
)
結果
(
けつくわ
)
はどう
治
(
をさ
)
まるだらうか。
372
暴風
(
ばうふう
)
怒濤
(
どたう
)
の
襲来
(
しふらい
)
か、
373
地異
(
ちい
)
天変
(
てんぺん
)
か、
374
雷
(
かみなり
)
ユサユサ
地震
(
ぢしん
)
ゴロゴロの
大椿事
(
だいちんじ
)
の
突発
(
とつぱつ
)
か、
375
刮目
(
くわつもく
)
して
次章
(
じしやう
)
を
待
(
ま
)
たれむことを。
376
(
大正一四・八・二〇
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