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第64巻(卯の巻)下
序文
総説
第1篇 復活転活
01 復活祭
〔1807〕
02 逆襲
〔1808〕
03 草居谷底
〔1809〕
04 誤霊城
〔1810〕
05 横恋慕
〔1811〕
第2篇 鬼薊の花
06 金酒結婚
〔1812〕
07 虎角
〔1813〕
08 擬侠心
〔1814〕
09 狂怪戦
〔1815〕
10 拘淫
〔1816〕
第3篇 開花落花
11 狂擬怪
〔1817〕
12 開狂式
〔1818〕
13 漆別
〔1819〕
14 花曇
〔1820〕
15 騒淫ホテル
〔1821〕
第4篇 清風一過
16 誤辛折
〔1822〕
17 茶粕
〔1823〕
18 誠と偽
〔1824〕
19 笑拙種
〔1825〕
20 猫鞍干
〔1826〕
21 不意の官命
〔1827〕
22 帰国と鬼哭
〔1828〕
余白歌
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> 第4篇 清風一過 > 第16章 誤辛折
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第一六章
誤辛折
(
ごしんせつ
)
〔一八二二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第64巻下 山河草木 卯の巻下
篇:
第4篇 清風一過
よみ(新仮名遣い):
せいふういっか
章:
第16章 誤辛折
よみ(新仮名遣い):
ごしんせつ
通し章番号:
1822
口述日:
1925(大正14)年08月20日(旧07月1日)
口述場所:
丹後由良 秋田別荘
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1925(大正14)年11月7日
概要:
舞台:
御霊城、橄欖山
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2020-05-25 10:16:09
OBC :
rm64b16
愛善世界社版:
215頁
八幡書店版:
第11輯 576頁
修補版:
校定版:
219頁
普及版:
63頁
初版:
ページ備考:
001
トルコ
亭
(
てい
)
の
細
(
ほそ
)
い
路地
(
ろぢ
)
の
衝
(
つ
)
き
当
(
あた
)
りに、
002
お
寅
(
とら
)
が
設立
(
せつりつ
)
しておいた
五六七
(
みろく
)
の
霊城
(
れいじやう
)
には、
003
トンク、
004
テクの
両人
(
りやうにん
)
が、
005
お
寅
(
とら
)
と
共
(
とも
)
に、
006
三
(
さん
)
人
(
にん
)
首
(
くび
)
を
鳩
(
あつ
)
めて、
007
ヒソビソと
話
(
はなし
)
に
耽
(
ふけ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
008
お寅
『コレ、
009
トンクさま、
010
一体
(
いつたい
)
あの
守宮別
(
やもりわけ
)
さまとあやめのお
花
(
はな
)
は、
011
どこへ
行
(
い
)
つたのか、
012
お
前
(
まへ
)
どうしても
分
(
わか
)
らぬのかい』
013
トンク
『ハイ、
014
丸
(
まる
)
で
煙
(
けむり
)
のやうな、
015
魔者
(
まもの
)
のやうなお
方
(
かた
)
ですもの、
016
サーッパリ、
017
見当
(
けんたう
)
がつきませぬがな。
018
併
(
しか
)
し
噂
(
うはさ
)
に
聞
(
き
)
けば、
019
お
花
(
はな
)
さまは
守宮別
(
やもりわけ
)
さまと、
020
夫婦
(
ふうふ
)
約束
(
やくそく
)
をしられたとかいふ
話
(
はなし
)
ですよ。
021
一昨日
(
おととひ
)
の
晩
(
ばん
)
或
(
ある
)
人
(
ひと
)
から
十字
(
じふじ
)
街頭
(
がいとう
)
で
其
(
その
)
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
きましたので、
022
早速
(
さつそく
)
報告
(
はうこく
)
しようと
思
(
おも
)
ひましたが、
023
生宮
(
いきみや
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
病中
(
びやうちう
)
、
024
お
気
(
き
)
をもませましては……と
実
(
じつ
)
は
控
(
ひか
)
えてをりました』
025
お
寅
(
とら
)
は
顔色
(
かほいろ
)
を
変
(
か
)
へ、
026
お寅
『ナニ、
027
二人
(
ふたり
)
が
結婚
(
けつこん
)
した。
028
ソラ
本当
(
ほんたう
)
かいな、
029
ヨモヤ
本当
(
ほんたう
)
ぢやあるまい』
030
トンク
『イエイエ、
031
実際
(
じつさい
)
の
事
(
こと
)
云
(
い
)
やア、
032
貴方
(
あなた
)
が、
033
何
(
なん
)
でせう。
034
二人
(
ふたり
)
よつて、
035
何
(
なん
)
でせう。
036
守宮別
(
やもりわけ
)
とお
花
(
はな
)
さまと
手
(
て
)
を
曳
(
ひ
)
いてやつて
来
(
く
)
る
所
(
ところ
)
を、
037
ペツタリ
出会
(
でくは
)
し、
038
肚立
(
はらたち
)
紛
(
まぎ
)
れに
卒倒
(
そつたう
)
なさつたのぢやありませぬか。
039
噂
(
うはさ
)
で
聞
(
き
)
いたと
云
(
い
)
ふのは
実
(
じつ
)
はお
正
(
しやう
)
月
(
ぐわつ
)
言葉
(
ことば
)
で、
040
実際
(
じつさい
)
、
041
私
(
わたし
)
も
睦
(
むつ
)
まじ
相
(
さう
)
にして
歩
(
ある
)
いてる
所
(
ところ
)
を
目撃
(
もくげき
)
したのですもの。
042
なア、
043
テク、
044
さうだつたな』
045
テク
『ウンさうともさうとも、
046
あの
時
(
とき
)
生宮
(
いきみや
)
さまがクワアッと
逆上
(
ぎやくじやう
)
して、
047
暈
(
めまひ
)
を
遊
(
あそ
)
ばし、
048
大地
(
だいち
)
に
転倒
(
てんたう
)
されたぢやないか、
049
警察医
(
けいさつい
)
がやつて
来
(
く
)
る、
050
群集
(
ぐんしふ
)
は
山
(
やま
)
の
如
(
ごと
)
くに
出
(
で
)
てくるし、
051
もうエライ
乱痴気
(
らんちき
)
騒
(
さわ
)
ぎで、
052
やつとの
事
(
こと
)
生宮
(
いきみや
)
さまの
気
(
き
)
がつき、
053
三台
(
さんだい
)
の
俥
(
くるま
)
で、
054
生宮
(
いきみや
)
さまの
警護
(
けいご
)
をし
乍
(
なが
)
ら、
055
此処
(
ここ
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
たのですワ』
056
お寅
『なる
程
(
ほど
)
、
057
さう
聞
(
き
)
くと、
058
夢
(
ゆめ
)
のやうにボーッと
記憶
(
きおく
)
に
浮
(
うか
)
んで
来
(
く
)
るやうだ。
059
ハテナ、
060
コンナ
大問題
(
だいもんだい
)
を
今迄
(
いままで
)
スツカリ
忘
(
わす
)
れて
居
(
ゐ
)
たのかいな』
061
トンク
『そらさうです
共
(
とも
)
、
062
エライ
発熱
(
はつねつ
)
でしたよ。
063
昨日
(
さくじつ
)
迄
(
まで
)
ウサ
言
(
ごと
)
計
(
ばか
)
り
仰有
(
おつしや
)
つて、
064
吾々
(
われわれ
)
二人
(
ふたり
)
はどれ
丈
(
だけ
)
介抱
(
かいほう
)
したか
知
(
し
)
れやしませぬワ』
065
お寅
『いかにも、
066
憎
(
にく
)
い
憎
(
にく
)
いあやめのお
花
(
はな
)
奴
(
め
)
、
067
十
(
じふ
)
年
(
ねん
)
が
間
(
あひだ
)
、
068
懇篤
(
こんとく
)
な
教育
(
けういく
)
をうけ
乍
(
なが
)
ら、
069
師匠
(
ししやう
)
の
私
(
わたし
)
に
揚壺
(
あげつぼ
)
をくはし、
070
おまけに
人
(
ひと
)
の
男
(
をとこ
)
を
横領
(
わうりやう
)
して
出
(
で
)
て
行
(
ゆ
)
くとは、
071
犬畜生
(
いぬちくしやう
)
にも
劣
(
おと
)
つた
代物
(
しろもの
)
だ。
072
これが
此
(
この
)
儘
(
まま
)
見逃
(
みのが
)
しておけるものか。
073
仮令
(
たとへ
)
両人
(
りやうにん
)
天
(
てん
)
を
駆
(
か
)
けり
地
(
ち
)
をくぐる
共
(
とも
)
、
074
此
(
この
)
生宮
(
いきみや
)
が
命
(
いのち
)
のあらむ
限
(
かぎ
)
り、
075
岩
(
いは
)
をわつても
捜
(
さが
)
し
出
(
だ
)
し、
076
生首
(
なまくび
)
かかねがおくものか……』
077
と
面色
(
めんしよく
)
朱
(
しゆ
)
をそそぎ、
078
握
(
にぎ
)
り
拳
(
こぶし
)
を
固
(
かた
)
めて、
079
二
(
ふた
)
つ
三
(
みつ
)
つ
自分
(
じぶん
)
の
胸
(
むね
)
をうち
乍
(
なが
)
ら、
080
又
(
また
)
もやパタリと
倒
(
たふ
)
れ
伏
(
ふ
)
しけり。
081
トンク
『オイ、
082
テク
何
(
ど
)
うせうかな。
083
しまひにや
気違
(
きちが
)
ひになつて
了
(
しま
)
やしまいかな』
084
テク
『サ、
085
さうだから、
086
守宮別
(
やもりわけ
)
、
087
お
花
(
はな
)
の
事
(
こと
)
はいふないふなと
俺
(
おれ
)
が
注意
(
ちうい
)
するのに、
088
トンク
汝
(
きさま
)
が
軽
(
かる
)
はずみな
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ふから、
089
コンナ
事
(
こと
)
になつたのだよ。
090
男
(
をとこ
)
の
口
(
くち
)
の
軽
(
かる
)
いのも
困
(
こま
)
るぢやないか』
091
トンク
『それだと
言
(
い
)
つて、
092
いつ
迄
(
まで
)
もかくしてゐる
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かず、
093
モウ
余程
(
よほど
)
精神
(
せいしん
)
が
安定
(
あんてい
)
したとみたものだから、
094
一寸
(
ちよつと
)
云
(
い
)
つてみたのだよ。
095
俺
(
おれ
)
だつて、
096
コンナになると
思
(
おも
)
や、
097
うつかり
喋
(
しやべ
)
るのぢやなかつたけれどなア』
098
テク
『
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
、
099
冷水
(
ひやみづ
)
でも
汲
(
く
)
んで、
100
頭
(
あたま
)
を
冷
(
ひや
)
してやらうぢやないか。
101
コンナ
所
(
ところ
)
で
死
(
し
)
なれて
見
(
み
)
よ、
102
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
が
殺
(
ころ
)
した
様
(
やう
)
に
警察
(
けいさつ
)
から
睨
(
にら
)
まれたらつまらぬからな』
103
トンク
『
一層
(
いつそう
)
の
事
(
こと
)
、
104
今
(
いま
)
の
内
(
うち
)
にトンクトンク テクテクと
逃出
(
にげだ
)
したら
何
(
ど
)
うだ、
105
到底
(
たうてい
)
駄目
(
だめ
)
だらうよ』
106
テク
『
馬鹿
(
ばか
)
云
(
い
)
ふな。
107
ソンナ
事
(
こと
)
をせうものなら、
108
益々
(
ますます
)
疑
(
うたが
)
はれて
了
(
しま
)
ふよ。
109
一樹
(
いちじゆ
)
の
蔭
(
かげ
)
の
雨宿
(
あまやど
)
り
一河
(
いちが
)
の
流
(
なが
)
れを
汲
(
く
)
んでさへ、
110
深
(
ふか
)
い
因縁
(
いんねん
)
があるといふぢやないか。
111
仮令
(
たとへ
)
三日
(
みつか
)
でも
養
(
やしな
)
つて
貰
(
もら
)
つたお
寅
(
とら
)
さまを
見捨
(
みす
)
てて
帰
(
かへ
)
れるものか。
112
そんな
不義理
(
ふぎり
)
な
事
(
こと
)
をすると、
113
アラブ
一党
(
いつたう
)
の
面汚
(
つらよご
)
しになるぢやないか。
114
絶対
(
ぜつたい
)
服従
(
ふくじゆう
)
を
以
(
もつ
)
て
主義
(
しゆぎ
)
とする
回教
(
くわいけう
)
のピュリタンを
以
(
もつ
)
て
任
(
にん
)
ずる
吾々
(
われわれ
)
が、
115
ソンナ
事
(
こと
)
がどうして
出来
(
でき
)
ようかい。
116
お
天道
(
てんだう
)
さまが
御
(
お
)
許
(
ゆる
)
し
遊
(
あそ
)
ばさないからの』
117
トンク
『そらーあ、
118
さうだ。
119
天道
(
てんだう
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
弔
(
とむら
)
ひだ、
120
空葬
(
そらさう
)
だ、
121
大
(
おほ
)
いに
悪
(
わる
)
かつた。
122
ヨシ、
123
之
(
これ
)
からお
前
(
まへ
)
と
俺
(
おれ
)
と
両人
(
りやうにん
)
が
力
(
ちから
)
を
併
(
あは
)
せ
心
(
こころ
)
を
一
(
いつ
)
にして、
124
此
(
この
)
生宮
(
いきみや
)
さまの
命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
け、
125
天晴
(
あつぱれ
)
全快
(
ぜんくわい
)
して
貰
(
もら
)
つて、
126
此
(
この
)
霊城
(
れいじやう
)
を
立派
(
りつぱ
)
に
開
(
ひら
)
かうぢやないか。
127
俺
(
おれ
)
ア
之
(
これ
)
から
橄欖山
(
かんらんざん
)
へお
寅
(
とら
)
さまの
病気
(
びやうき
)
祈願
(
きぐわん
)
の
為
(
ため
)
参
(
まゐ
)
つて
来
(
く
)
るから、
128
お
前
(
まへ
)
気
(
き
)
をつけて
介抱
(
かいほう
)
してあげてくれ』
129
テク
『そら、
130
可
(
い
)
い
所
(
ところ
)
へ
気
(
き
)
がついた。
131
サ、
132
早
(
はや
)
く
参
(
まゐ
)
つて
来
(
き
)
て
呉
(
く
)
れ。
133
後
(
あと
)
は
俺
(
おれ
)
が
引受
(
ひきう
)
けるからな』
134
トンク
『ヨーシ、
135
ソンナラ
之
(
これ
)
からお
参
(
まゐ
)
りして
来
(
こ
)
うよ』
136
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
137
夕日
(
ゆふひ
)
を
浴
(
あ
)
びて、
138
橄欖山
(
かんらんざん
)
へと
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
139
山上
(
さんじやう
)
の
祠
(
ほこら
)
の
前
(
まへ
)
に
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば、
140
ブラバーサが
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
何事
(
なにごと
)
か
祈願
(
きぐわん
)
をこめてゐる。
141
トンクは
傍
(
そば
)
により、
142
トンク
『もしもし
貴方
(
あなた
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
ぢや
厶
(
ござ
)
いませぬか』
143
ブラバーサ
『ハイ、
144
左様
(
さやう
)
で
厶
(
ござ
)
います。
145
貴方
(
あなた
)
はトンクさまぢやありませぬか。
146
何時
(
いつ
)
やらはエライ
失礼
(
しつれい
)
を
致
(
いた
)
しました』
147
トンク
『イヤもう、
148
御
(
ご
)
挨拶
(
あいさつ
)
痛
(
いた
)
み
入
(
い
)
ります。
149
全
(
まつた
)
く
私
(
わたし
)
が
悪
(
わる
)
かつたので
厶
(
ござ
)
いますから、
150
どうぞモウソンナこたア
云
(
い
)
はないでおいて
下
(
くだ
)
さいませ』
151
ブラバーサ
『
時
(
とき
)
にお
寅
(
とら
)
さまは
御
(
ご
)
壮健
(
さうけん
)
にゐらつしやいますかな』
152
トンク
『ハイ
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
153
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
は、
154
お
寅
(
とら
)
さまと、
155
お
花
(
はな
)
さま
守宮別
(
やもりわけ
)
さまが
大喧嘩
(
おほげんくわ
)
をせられまして、
156
終局
(
しまひ
)
の
果
(
はて
)
にや、
157
守宮別
(
やもりわけ
)
さまはお
花
(
はな
)
さまと
一緒
(
いつしよ
)
に
結婚
(
けつこん
)
とか
何
(
なん
)
とか
云
(
い
)
つて、
158
手
(
て
)
に
手
(
て
)
を
取
(
と
)
つて、
159
面当
(
つらあて
)
に
霊城
(
れいじやう
)
を
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
して
了
(
しま
)
はれたものですから、
160
生宮
(
いきみや
)
さまの
御
(
ご
)
立腹
(
りつぷく
)
と
云
(
い
)
つたら、
161
夫
(
そ
)
れは
夫
(
そ
)
れは
言語
(
げんご
)
に
絶
(
ぜつ
)
する
有様
(
ありさま
)
で
厶
(
ござ
)
いました。
162
そこへ
受付
(
うけつけ
)
にをつたヤクの
奴
(
やつ
)
、
163
生宮
(
いきみや
)
さまの
気
(
き
)
のもめてる
最中
(
さいちう
)
へ
毒舌
(
どくぜつ
)
を
揮
(
ふる
)
つたものですから、
164
生宮
(
いきみや
)
様
(
さま
)
がクワツとなり、
165
ヤクを
叩
(
たた
)
きつけようと
遊
(
あそ
)
ばした
其
(
その
)
刹那
(
せつな
)
、
166
ヤクの
奴
(
やつ
)
、
167
庭箒
(
にはばうき
)
をひつかたげて
飛出
(
とびだ
)
し、
168
途中
(
とちう
)
で
生宮
(
いきみや
)
さまの
御
(
ご
)
面体
(
めんてい
)
を
泥箒
(
どろばうき
)
で
擲
(
なぐ
)
りつけたり、
169
いろいろ
雑多
(
ざつた
)
の
侮辱
(
ぶじよく
)
を
加
(
くは
)
へたものですから、
170
疳
(
かん
)
の
強
(
つよ
)
い
生宮
(
いきみや
)
様
(
さま
)
はたうとう
逆上
(
ぎやくじやう
)
して
了
(
しま
)
ひ、
171
それが
元
(
もと
)
となつて、
172
今
(
いま
)
では
発熱
(
はつねつ
)
し、
173
ウサ
言
(
ごと
)
許
(
ばか
)
り
云
(
い
)
つてゐられます。
174
こんな
塩梅
(
あんばい
)
では、
175
生命
(
いのち
)
もどうやら
覚束
(
おぼつか
)
なからうと
存
(
ぞん
)
じ、
176
テクに
介抱
(
かいほう
)
させておき、
177
私
(
わたくし
)
は
此
(
この
)
祠
(
ほこら
)
へ
御
(
ご
)
祈願
(
きぐわん
)
に
参
(
まゐ
)
つた
所
(
ところ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
178
いやモウエライ
心配
(
しんぱい
)
で
困
(
こま
)
りますワイ』
179
ブラバーサ
『
話
(
はなし
)
を
承
(
うけたまは
)
れば、
180
実
(
じつ
)
にお
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
な
次第
(
しだい
)
です。
181
コンナ
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
いて
聞逃
(
ききのが
)
す
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
きませぬから、
182
平常
(
ふだん
)
は
平常
(
ふだん
)
として、
183
私
(
わたし
)
は
霊城
(
れいじやう
)
へ
参
(
まゐ
)
りませう。
184
そして
一時
(
いつとき
)
も
早
(
はや
)
く
御
(
ご
)
全快
(
ぜんくわい
)
なさる
様
(
やう
)
に
御
(
ご
)
祈願
(
きぐわん
)
をさして
貰
(
もら
)
ひませう』
185
トンク
『ハイ、
186
そら
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
いますが、
187
常平生
(
つねへいぜい
)
から、
188
貴方
(
あなた
)
を
敵
(
かたき
)
の
様
(
やう
)
に
罵
(
ののし
)
つてゐられますから、
189
貴方
(
あなた
)
がお
出
(
いで
)
になつたのをみて、
190
益々
(
ますます
)
逆上
(
ぎやくじやう
)
し、
191
上
(
あげ
)
も
下
(
おろ
)
しもならないやうになつちや
却
(
かへつ
)
て
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
が
無
(
む
)
になりますから、
192
何
(
なん
)
ならお
断
(
ことわ
)
りが
致
(
いた
)
したいので
厶
(
ござ
)
いますワイ』
193
ブラバーサ
『ハヽヽヽ
非常
(
ひじやう
)
な
御
(
ご
)
警戒
(
けいかい
)
ですな。
194
併
(
しか
)
し
人間
(
にんげん
)
といふ
者
(
もの
)
はさうしたものぢや
厶
(
ござ
)
いませぬよ。
195
災難
(
さいなん
)
の
来
(
き
)
た
時
(
とき
)
にや
互
(
たがひ
)
に
助
(
たす
)
け
合
(
あ
)
ふのが
人間
(
にんげん
)
の
義務
(
ぎむ
)
ですからな。
196
何程
(
なにほど
)
我
(
が
)
の
強
(
つよ
)
いお
寅
(
とら
)
さまだつて、
197
滅多
(
めつた
)
に
私
(
わたし
)
の
親切
(
しんせつ
)
を
無
(
む
)
になさる
道理
(
だうり
)
はありますまい。
198
キツと
喜
(
よろこ
)
んで
下
(
くだ
)
さるでせう。
199
そして
之
(
これ
)
を
機会
(
きくわい
)
にお
寅
(
とら
)
さまの
心
(
こころ
)
を
和
(
やは
)
らげ、
200
同
(
おな
)
じ
日出島
(
ひのでじま
)
から
来
(
き
)
た
人間
(
にんげん
)
です。
201
和合
(
わがふ
)
の
曙光
(
しよくわう
)
を
認
(
みと
)
めたいと
思
(
おも
)
ひますから、
202
たつて
御
(
ご
)
訪問
(
はうもん
)
を
致
(
いた
)
します』
203
トンク
『ヘーエ、
204
誠
(
まこと
)
に
以
(
もつ
)
て、
205
お
志
(
こころざし
)
は
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
いますが。
206
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
私
(
わたし
)
は
知
(
し
)
りませぬで、
207
どうか
生宮
(
いきみや
)
さまに、
208
私
(
わたし
)
から
病気
(
びやうき
)
の
次第
(
しだい
)
を
聞
(
き
)
いた、
209
なんて
云
(
い
)
つて
貰
(
もら
)
つちや
困
(
こま
)
りますからな。
210
貴方
(
あなた
)
が
勝手
(
かつて
)
に
御
(
お
)
越
(
こ
)
しになつた
事
(
こと
)
にしておいて
頂
(
いただ
)
かねば、
211
後
(
あと
)
の
祟
(
たた
)
りが
面倒
(
めんだう
)
ですから』
212
ブラバーサ
『エ、
213
それなら、
214
私
(
わたし
)
は
之
(
これ
)
から
霊城
(
れいじやう
)
を
訪問
(
はうもん
)
致
(
いた
)
しますから、
215
トンクさま、
216
貴方
(
あなた
)
はゆつくり
御
(
ご
)
祈願
(
きぐわん
)
をなし、
217
エヽ
加減
(
かげん
)
に
時間
(
じかん
)
を
見計
(
みはか
)
らつて
何
(
なに
)
くはぬ
顔
(
かほ
)
で
御
(
お
)
帰
(
かへ
)
りなさい。
218
そすりやお
寅
(
とら
)
さまだつて、
219
貴方
(
あなた
)
に
小言
(
こごと
)
はありますまいからな』
220
トンク
『あ、
221
さう
願
(
ねが
)
へば
私
(
わたし
)
も
安心
(
あんしん
)
です。
222
どうか
宜
(
よろ
)
しう
頼
(
たの
)
みませぬワ』
223
ブラバーサは
急
(
いそ
)
いで
山
(
やま
)
を
降
(
くだ
)
り、
224
何
(
なに
)
くはぬ
顔
(
かほ
)
して、
225
トルコ
亭
(
てい
)
の
細
(
ほそ
)
い
路地
(
ろぢ
)
を
伝
(
つた
)
ひ、
226
霊城
(
れいじやう
)
へ
来
(
き
)
てみると、
227
テクが
甲斐
(
かひ
)
々々
(
がひ
)
しく
頭
(
あたま
)
を
冷
(
ひや
)
してゐる。
228
ブラバーサ
『ヤ、
229
これはこれは、
230
テクさまで
厶
(
ござ
)
いますか。
231
生宮
(
いきみや
)
さまは
御
(
ご
)
不例
(
ふれい
)
にゐらつしやるのですかな』
232
テク
『ハイ、
233
左様
(
さやう
)
です。
234
そして
又
(
また
)
お
前
(
まへ
)
さまは
何
(
なん
)
の
御用
(
ごよう
)
で
御
(
お
)
出
(
いで
)
になりました。
235
お
前
(
まへ
)
さまの
顔
(
かほ
)
見
(
み
)
ると
生宮
(
いきみや
)
さまの
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
が
益々
(
ますます
)
悪
(
わる
)
くなり、
236
病気
(
びやうき
)
が
又
(
また
)
重
(
おも
)
くなりますから、
237
トツトと
帰
(
かへ
)
つて
下
(
くだ
)
され』
238
ブラバーサ
『
帰
(
かへ
)
らうと
思
(
おも
)
へば、
239
さう
追立
(
おひた
)
てられなくても
返
(
かへ
)
りますよ。
240
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
同国人
(
どうこくじん
)
の
病気
(
びやうき
)
と
聞
(
き
)
いて、
241
宣伝使
(
せんでんし
)
たる
私
(
わたし
)
、
242
見逃
(
みのが
)
す
訳
(
わけ
)
に
行
(
い
)
きませぬから…』
243
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
244
枕許
(
まくらもと
)
にツカツカとより、
245
熱誠
(
ねつせい
)
籠
(
こ
)
めて
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
を
三唱
(
さんしやう
)
し、
246
大国常立
(
おほくにとこたちの
)
尊
(
みこと
)
、
247
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
助
(
たす
)
け
玉
(
たま
)
へ、
248
許
(
ゆる
)
し
玉
(
たま
)
へ…と
祈願
(
きぐわん
)
するや、
249
今迄
(
いままで
)
火
(
ひ
)
の
如
(
ごと
)
き
発熱
(
はつねつ
)
に
苦
(
くる
)
しみてゐたお
寅
(
とら
)
は
嘘
(
うそ
)
ついた
様
(
やう
)
に
熱
(
ねつ
)
は
去
(
さ
)
り、
250
忽
(
たちま
)
ち
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
り
座布団
(
ざぶとん
)
の
上
(
うへ
)
にキチンと
行儀
(
ぎやうぎ
)
よく
両手
(
りやうて
)
をのせ、
251
お寅
『ハ、
252
これはこれは、
253
何方
(
どなた
)
かと
思
(
おも
)
へば、
254
ブラバーサさまで
厶
(
ござ
)
いましたか。
255
ようマ
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
に
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さいましたね。
256
私
(
わたし
)
も
此
(
この
)
間
(
あひだ
)
からチツと
許
(
ばか
)
り
風邪
(
ふうじや
)
の
気
(
き
)
で
臥
(
ふ
)
せつてをりましたが、
257
夜前
(
やぜん
)
あたりからスツパリと
全快
(
ぜんくわい
)
致
(
いた
)
し、
258
モウ
寝
(
ね
)
てゐるのも
何
(
なん
)
だか
辛気
(
しんき
)
臭
(
くさ
)
くて
堪
(
たま
)
らないのですが、
259
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
さまの
御
(
ご
)
忠告
(
ちうこく
)
に
仍
(
よ
)
つて、
260
養生
(
やうじやう
)
の
為
(
ため
)
、
261
ねて
居
(
を
)
りました。
262
決
(
けつ
)
してお
前
(
まへ
)
さまの
算盤
(
そろばん
)
の
声
(
こゑ
)
で
直
(
なほ
)
つたのぢや
厶
(
ござ
)
いませぬから、
263
ヘン、
264
どうか
恩
(
おん
)
に
着
(
き
)
せて
下
(
くだ
)
さいますなや。
265
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
此
(
この
)
霊城
(
れいじやう
)
へお
前
(
まへ
)
さまが
御
(
お
)
参
(
まゐ
)
りさして
頂
(
いただ
)
いたのも、
266
ヤツパリ
神
(
かみ
)
さまのおかげだよ。
267
此
(
この
)
お
寅
(
とら
)
が
病気
(
びやうき
)
だといふ
噂
(
うはさ
)
をパーッと
立
(
た
)
たせておき、
268
お
前
(
まへ
)
さまの
心
(
こころ
)
を
引
(
ひ
)
く
為
(
ため
)
に、
269
此
(
この
)
生宮
(
いきみや
)
をチツと
許
(
ばか
)
り
苦
(
くる
)
しめ
遊
(
あそ
)
ばしたのだから、
270
必
(
かなら
)
ず
必
(
かなら
)
ず
仇
(
あだ
)
に
思
(
おも
)
つちやなりませぬよ。
271
結構
(
けつこう
)
な
結構
(
けつこう
)
な
御
(
ご
)
霊城
(
れいじやう
)
さまへお
前
(
まへ
)
さまが
大
(
おほ
)
きな
顔
(
かほ
)
で
参拝
(
さんぱい
)
出来
(
でき
)
たのも
此
(
この
)
お
寅
(
とら
)
がチツと
許
(
ばか
)
り
悪
(
わる
)
かつたおかげだ。
272
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
仕組
(
しぐみ
)
といふものは
偉
(
えら
)
いものだな。
273
サ、
274
之
(
これ
)
からブラバーサさま、
275
チツと
我
(
が
)
を
折
(
を
)
つて
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
を
認
(
みと
)
めて
下
(
くだ
)
さい。
276
いつ
迄
(
まで
)
もいつ
迄
(
まで
)
も
変性
(
へんじやう
)
女子
(
によし
)
のガラクタ
身魂
(
みたま
)
にトチ
呆
(
はう
)
けて
居
(
を
)
つちやダメですよ。
277
神政
(
しんせい
)
成就
(
じやうじゆ
)
に
近
(
ちか
)
よつた
此
(
この
)
時節
(
じせつ
)
に、
278
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
ですいな。
279
早
(
はや
)
く
改心
(
かいしん
)
して、
280
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
片腕
(
かたうで
)
となつて、
281
ウラナイ
教
(
けう
)
を
開
(
ひら
)
き、
282
天下
(
てんか
)
万民
(
ばんみん
)
を
塗炭
(
とたん
)
の
苦
(
く
)
より
救
(
すく
)
つて
下
(
くだ
)
さいや』
283
ブラバーサ
『ハイ、
284
又
(
また
)
考
(
かんが
)
へておきませう。
285
先
(
ま
)
づ
先
(
ま
)
づ
御
(
ご
)
病気
(
びやうき
)
の
御
(
ご
)
本復
(
ほんぷく
)
と
聞
(
き
)
いて
安心
(
あんしん
)
致
(
いた
)
しました。
286
私
(
わたし
)
一寸
(
ちよつと
)
用
(
よう
)
が
厶
(
ござ
)
いますので、
287
之
(
これ
)
から
御
(
お
)
暇
(
いとま
)
を
致
(
いた
)
します』
288
お寅
『ホヽヽヽ、
289
ヤツパリ
心
(
こころ
)
に
曇
(
くも
)
りがあると、
290
此
(
この
)
霊城
(
れいじやう
)
が
苦
(
くる
)
しうて、
291
ゐたたまらぬと
見
(
み
)
えますワイ。
292
第一
(
だいいち
)
霊国
(
れいごく
)
の
天人
(
てんにん
)
のお
住居
(
すまゐ
)
、
293
どうして
八衢
(
やちまた
)
人足
(
にんそく
)
がヌツケリコと
居
(
を
)
れるものかい、
294
ウツフヽヽヽ』
295
ブラバーサ
『お
寅
(
とら
)
さま、
296
余
(
あま
)
りぢやありませぬか。
297
どこ
迄
(
まで
)
も
貴方
(
あなた
)
は
私
(
わたし
)
を
敵
(
てき
)
にする
考
(
かんが
)
へですか』
298
お寅
『きまつた
事
(
こと
)
ですよ、
299
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
救世主
(
きうせいしゆ
)
、
300
底津
(
そこつ
)
岩根
(
いはね
)
の
大弥勒
(
おほみろく
)
の
生身魂
(
いくみたま
)
、
301
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
を
認
(
みと
)
めない
様
(
やう
)
な
妄昧
(
まうまい
)
頑固
(
ぐわんこ
)
の
身魂
(
みたま
)
を
何
(
ど
)
うして
愛
(
あい
)
する
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ませうぞ。
302
日
(
ひ
)
の
出様
(
でさま
)
が
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
艱難
(
かんなん
)
辛苦
(
しんく
)
を
遊
(
あそ
)
ばして、
303
立派
(
りつぱ
)
な
立派
(
りつぱ
)
な、
304
結構
(
けつこう
)
な、
305
心易
(
こころやす
)
い、
306
暮
(
くら
)
しよい、
307
みろくの
大御代
(
おほみよ
)
を
建
(
た
)
てようと
遊
(
あそ
)
ばしてるのに、
308
悪魂
(
あくみたま
)
の
変性
(
へんじやう
)
女子
(
によし
)
にとぼけて、
309
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
乱
(
みだ
)
さうと
憂身
(
うきみ
)
をやつしてゐるお
前
(
まへ
)
さまだもの、
310
之
(
これ
)
位
(
ぐらゐ
)
な
大
(
おほ
)
きな
敵
(
てき
)
は
世界
(
せかい
)
にありませぬぞや。
311
此
(
この
)
神
(
かみ
)
は
従
(
したが
)
うて
来
(
く
)
れば
誠
(
まこと
)
に
結構
(
けつこう
)
な
愛
(
あい
)
のある
神
(
かみ
)
なれど、
312
敵対
(
てきた
)
うて
来
(
く
)
る
身魂
(
みたま
)
には
鬼
(
おに
)
か
大蛇
(
をろち
)
のやうになる
神
(
かみ
)
ざぞえ。
313
お
前
(
まへ
)
さまの
心
(
こころ
)
一
(
ひと
)
つで
楽
(
らく
)
に
立派
(
りつぱ
)
に
御用
(
ごよう
)
致
(
いた
)
さうと、
314
苦
(
くる
)
しみてもがいて
地獄落
(
ぢごくおち
)
の
悪魔
(
あくま
)
の
用
(
よう
)
を
致
(
いた
)
さうと、
315
心次第
(
こころしだい
)
で
何
(
ど
)
うでもなるですよ。
316
コンナ
事
(
こと
)
が
分
(
わか
)
らぬやうで、
317
ヘン、
318
宣伝使
(
せんでんし
)
などと、
319
能
(
よ
)
う
言
(
い
)
はれたものですワイ。
320
改心
(
かいしん
)
なされ、
321
足元
(
あしもと
)
から
鳥
(
とり
)
が
立
(
た
)
ちますぞや』
322
ブラバーサ
『ハイ、
323
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
324
又
(
また
)
後
(
ご
)
して
伺
(
うかが
)
ひますから
左様
(
さやう
)
なら』
325
お寅
『ホヽヽヽたうとう、
326
八衢
(
やちまた
)
人足
(
にんそく
)
奴
(
め
)
、
327
生宮
(
いきみや
)
さまの
御
(
ご
)
威光
(
ゐくわう
)
に
打
(
う
)
たれて、
328
ドブにはまつた
鼠
(
ねずみ
)
のやうに、
329
シヨンボリとした、
330
みすぼらしい
姿
(
すがた
)
で、
331
尾
(
を
)
を
股
(
また
)
へはさみて
逃
(
に
)
げよつたぞ。
332
ホヽヽヽ、
333
コラ、
334
テク、
335
ブラバーサなんて
偉相
(
えらさう
)
に
云
(
い
)
つてるが、
336
私
(
わたし
)
にかかつたら
三文
(
さんもん
)
の
値打
(
ねうち
)
もなからうがな。
337
丸
(
まる
)
で
箒
(
はうき
)
で
押
(
おさ
)
へられた
蝶々
(
てふてふ
)
の
様
(
やう
)
に
命
(
いのち
)
カラガラ
逃
(
に
)
げていつたぢやないか、
338
イツヒヽヽヽ』
339
テク
『モシ
生宮
(
いきみや
)
さま、
340
ヒドイですな、
341
テクも
呆
(
あき
)
れましたよ』
342
お寅
『ひどからうがな。
343
いかなお
前
(
まへ
)
でも
呆
(
あき
)
れただらう。
344
耄碌魂
(
もうろくだましひ
)
のヒョロ
小便使
(
せうべんし
)
めが、
345
あの
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
くザマつたらないぢやないか。
346
それだから
此
(
この
)
生宮
(
いきみや
)
の
神力
(
しんりき
)
を
信
(
しん
)
じなさいといふのだよ』
347
テク
『
生宮
(
いきみや
)
さま、
348
そら
違
(
ちが
)
やしませぬか。
349
今
(
いま
)
の
今迄
(
いままで
)
人事
(
じんじ
)
不省
(
ふせい
)
に
陥
(
おちい
)
つて
御座
(
ござ
)
つたのを、
350
ブラバーサさまがお
出
(
いで
)
になり、
351
指頭
(
しとう
)
から
五色
(
ごしき
)
の
霊光
(
れいくわう
)
を
発射
(
はつしや
)
して、
352
お
前
(
まへ
)
さまの
病気
(
びやうき
)
を
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さつたぢやありませぬか。
353
それに
貴方
(
あなた
)
は、
354
昨夜
(
ゆふべ
)
から
病気
(
びやうき
)
が
直
(
なほ
)
つてたナンテ、
355
ようマア
嘘
(
うそ
)
が
言
(
い
)
へたものですな。
356
私
(
わたし
)
は
其
(
その
)
我慢心
(
がまんしん
)
の
強
(
つよ
)
いお
前
(
まへ
)
さまの
遣口
(
やりくち
)
に
呆
(
あき
)
れた、
357
といふのですよ』
358
お寅
『お
黙
(
だま
)
りなさい。
359
アラブの
黒
(
くろ
)
ン
坊
(
ばう
)
のクセに
神界
(
しんかい
)
の
御
(
ご
)
経綸
(
けいりん
)
が
分
(
わか
)
つてたまるかいな。
360
ソンナ
事
(
こと
)
いつて、
361
此
(
この
)
生宮
(
いきみや
)
に
敵
(
てき
)
たふやうな
人
(
ひと
)
はトツトと
帰
(
かへ
)
つて
貰
(
もら
)
ひませう。
362
アタ
気分
(
きぶん
)
の
悪
(
わる
)
い。
363
エーエーそこら
中
(
ぢう
)
がウソウソとして
来
(
き
)
た。
364
これ、
365
テク、
366
塩
(
しほ
)
をもつてお
出
(
い
)
で、
367
お
前
(
まへ
)
の
体
(
からだ
)
に
悪魔
(
あくま
)
が
憑
(
つ
)
いてる、
368
之
(
これ
)
からスツパリと
払
(
はら
)
つて
上
(
あ
)
げるからな』
369
テク
『イヤもう
結構
(
けつこう
)
です』
370
といつてる
所
(
ところ
)
へ、
371
トンクはドンドンと
露路口
(
ろぢぐち
)
の
細路
(
ほそみち
)
を
威嚇
(
ゐかく
)
させ
乍
(
なが
)
ら
帰
(
かへ
)
り
来
(
きた
)
り、
372
トンク
『ヤア、
373
これはこれは、
374
生宮
(
いきみや
)
様
(
さま
)
、
375
いつの
間
(
ま
)
にさう
快
(
よ
)
くおなりなさいましたか。
376
私
(
わたし
)
は
心配
(
しんぱい
)
致
(
いた
)
しまして、
377
テクに
貴女
(
あなた
)
の
介抱
(
かいほう
)
を
命
(
めい
)
じおき、
378
エルサレムの
宮
(
みや
)
へ
御
(
ご
)
病気
(
びやうき
)
祈願
(
きぐわん
)
の
為
(
ため
)
に
御
(
ご
)
参拝
(
さんぱい
)
して
来
(
き
)
たのです。
379
何
(
なん
)
と
御
(
ご
)
神徳
(
しんとく
)
といふものは、
380
アラ
高
(
たか
)
いものですな』
381
お寅
『それは
大
(
おほ
)
きに
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
有難
(
ありがた
)
う……とかういつたらお
前
(
まへ
)
さまはお
気
(
き
)
に
入
(
い
)
るだらうが、
382
ヘン
誰
(
たれ
)
がそんな
事
(
こと
)
お
前
(
まへ
)
さまに
頼
(
たの
)
みました。
383
大弥勒
(
おほみろく
)
様
(
さま
)
の
生宮
(
いきみや
)
、
384
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
救世主
(
きうせいしゆ
)
、
385
日出
(
ひのでの
)
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
さまの
肉体
(
にくたい
)
の、
386
病気
(
びやうき
)
を
直
(
なほ
)
すやうな
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
がどこにありますか、
387
可
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
に
呆
(
とぼ
)
けておきなさいや』
388
トンク
『オイ、
389
テク、
390
チツと
可怪
(
あや
)
しいぢやないか、
391
病
(
や
)
み
呆
(
はう
)
けて
厶
(
ござ
)
るのだらうよ』
392
テク
『マアマア
喧
(
やかま
)
しう
言
(
い
)
ふな、
393
何時迄
(
いつまで
)
言
(
い
)
つたつて
限
(
かぎ
)
りがないからな。
394
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
救世主
(
きうせいしゆ
)
様
(
さま
)
だから、
395
維命
(
これめい
)
、
396
維従
(
これしたが
)
うてゐさへすりや
可
(
い
)
いのだ』
397
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
398
余
(
あま
)
り
相手
(
あひて
)
になるなといふ
意味
(
いみ
)
を
目
(
め
)
で
知
(
し
)
らした。
399
お
寅
(
とら
)
は
布団
(
ふとん
)
を
頭
(
あたま
)
からひつかぶり、
400
スヤスヤと
眠
(
ねむり
)
に
就
(
つ
)
きぬ。
401
(
大正一四・八・二〇
旧七・一
於丹後由良秋田別荘
松村真澄
録)
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