霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。実験用サイトサブスク
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一八章 (まこと)(いつはり)〔一八二四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第64巻下 山河草木 卯の巻下 篇:第4篇 清風一過 よみ(新仮名遣い):せいふういっか
章:第18章 誠と偽 よみ(新仮名遣い):まことといつわり 通し章番号:1824
口述日:1925(大正14)年08月21日(旧07月2日) 口述場所:丹後由良 秋田別荘 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1925(大正14)年11月7日
概要: 舞台:僧院ホテルの二号室、三号室 あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる] 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2018-03-25 15:05:22 OBC :rm64b18
愛善世界社版:244頁 八幡書店版:第11輯 587頁 修補版: 校定版:247頁 普及版:63頁 初版: ページ備考:
001 僧院(そうゐん)ホテルの第二号(だいにがう)(しつ)には、002守宮別(やもりわけ)綾子(あやこ)二人(ふたり)が、003喋々(てふてふ)喃々(なんなん)何事(なにごと)かしきりに(しや)べり()てて()る。
004守宮別『これや、005綾子(あやこ)006昨日(きのふ)(おれ)睾丸(きんたま)引張(ひつぱ)つて()(ころ)さうとしたぢやないか。007それほど(にく)(おれ)を、008(ふたた)(たづ)ねて()るとは合点(がつてん)がゆかぬ。009(この)(あひだ)(はら)ひでも請求(せいきう)()たのかな』
010綾子(わたし)貴方(あなた)が、011独身(どくしん)生活(せいくわつ)をして(ござ)るお(かた)だと(ばか)(おも)つて(たづ)ねて()ましたのに、012化物(ばけもの)のやうな(をんな)(くち)()()()るものですから、013()けて(たま)らず、014前後(ぜんご)(わす)れて(まこと)()まない(こと)(いた)しました。015どうぞ(こら)へて(くだ)さいませねえ』
016守宮別『エー、017よしよし、018()()つた(こと)仕方(しかた)()いわ。019あのお(はな)()(やつ)020()かけによらぬ淫乱(いんらん)(ばば)アでね。021(めう)関係(くわんけい)になつて、022(おれ)鳥黐桶(とりもちおけ)(あし)をつきこみたやうな()()つて()たのだ。023(さいは)ひお(まへ)()喧嘩(けんくわ)して()れたおかげで、024(はな)(あきら)めがついてよいと、025(じつ)(よろこ)びて()るのだ』
026綾子(わたし)だつて昨夕(ゆうべ)はゆつくり貴方(あなた)(かた)(あか)さうと(おも)ひ、027親方(おやかた)さまにお(ひま)(ねが)折角(せつかく)やつて()ましたのに、028あの(さわ)ぎで(こひ)しい貴方(あなた)()きわけられ、029有明楼(ありあけろう)(おく)(かへ)された(とき)残念(ざんねん)さ。030昨夜(ゆうべ)一目(ひとめ)(やす)めなかつたのですよ。031(さいは)(わたし)(ちち)怪我(けが)をして(とこ)について()るものですから、032見舞(みまひ)にやらして()れと親方(おやかた)にねだり、033やつとの(こと)(こひ)しい貴方(あなた)のお(そば)()(こと)出来(でき)たのですわ。034貴方(あなた)本当(ほんたう)(つみ)(かた)ですね。035本当(ほんたう)守宮別(やもりわけ)さまで()(なが)ら、036(わたし)漆別(うるしわけ)だなぞと、037よう胡麻化(ごまくわ)されたものですなア。038(とら)さまとも(ふか)関係(くわんけい)があるなり、039(はな)さまとも関係(くわんけい)があり、040(その)(うへ)(また)(わたし)とも関係(くわんけい)をつけ、041(をんな)()()まして(よろこ)んで()ると()ふ、042女蕩(をんなたら)しの、043後家倒(ごけたふ)しの勇者(ゆうしや)だから、044本当(ほんたう)(わたし)安心(あんしん)出来(でき)ませぬわ。045コンナ()(おほ)(ひと)046ふツつりと(おも)()らうかと、047幾度(いくど)(おも)(かへ)して()ましたが、048どうしたものか(つみ)貴方(あなた)が、049可愛(かは)ゆうて可愛(かは)ゆうて、050(わす)れられないのですよ。051どうか(わたし)下女(げぢよ)になつと使(つか)つて、052(そば)において(くだ)さいな。053本妻(ほんさい)にならうなどと、054ソンナ欲望(よくばう)(おこ)しませぬからな』
055守宮別(なん)()ふお(まへ)立派(りつぱ)(をんな)だらう。056(まへ)父親(てておや)のヤクは、057仕方(しかた)()代物(しろもの)だが、058(なん)(また)アンナ(をとこ)(たね)に、059(まへ)のやうな立派(りつぱ)淑女(しゆくぢよ)(うま)れたのだらうかな。060まるきり(すずめ)(たか)()みたやうなものだよ』
061綾子『ホヽヽヽヽ、062(わし)()めて(くだ)さるのは(うれ)しう(ござ)いますが、063肝腎(かんじん)のお(とう)さまをさうこき(おろ)して(もら)ふと、064(ちつ)(ばか)りお(なか)(むし)(さわ)ぎますよ。065ねえ旦那(だんな)さま』
066守宮別『ヤアこれは失礼(しつれい)067(まこと)(わる)かつた。068(まへ)のやうな(をんな)女房(にようばう)にしたら、069一生(いつしやう)幸福(かうふく)だらうよ。070良妻(りやうさい)賢母(けんぼ)模範(もはん)になるかも()れないよ』
071綾子今日(こんにち)所謂(いはゆる)良妻(りやうさい)賢母(けんぼ)にや()りたくはありませぬわ。072良妻(りやうさい)賢母(けんぼ)などと()つて、073孔子(こうし)とか孟子(まうし)とか()(から)聖人(せいじん)が、074(をんな)道徳(だうとく)(ばか)()いて、075(をとこ)(こと)(ちつ)とも()つて()ないぢやありませぬか。076第一(だいいち)良妻(りやうさい)とはドンナ(かた)婦人(ふじん)()すのか、077それから()めて()かねばつまりませぬわ。078(この)(こと)についちや、079女子(ぢよし)大学(だいがく)先生(せんせい)だつて、080的確(てきかく)説明(せつめい)出来(でき)ますまい。081(をつと)晩酌(ばんしやく)相手(あひて)飯焚(めした)(ばか)りさしておいて、082良妻(りやうさい)だと()つて()りますが、083(わたし)()はすと、084忠実(ちうじつ)下女(げぢよ)たる(こと)強要(きやうえう)して()るものでせう。085小供(こども)悪戯(いたづら)をすれば、086(まへ)(しつけ)(わる)いからと妻君(さいくん)(しか)りつける(ばか)りで、087賢母(けんぼ)(なん)たる(こと)(わきま)へない(をとこ)(おほ)いのですわねえ』
088守宮別如何(いか)にもそれやさうだ。089仲々(なかなか)利口(りこう)(こと)()ふわい。090それが所謂(いはゆる)良妻(りやうさい)賢母(けんぼ)になるべき資格(しかく)()つて()るからだ。091オイ綾子(あやこ)092三千(さんぜん)世界(せかい)にお(まへ)より(ほか)に、093(わし)()きな(をんな)はないのだからな。094どうだ、095これから(ひと)千辛(せんしん)万難(ばんなん)(はい)し、096(こひ)勇者(ゆうしや)となつて善良(ぜんりやう)夫婦(ふうふ)模範(もはん)とならうぢやないか』
097綾子(わたし)善良(ぜんりやう)なる(つま)として、098どこ(まで)(つか)へますが、099旦那(だんな)さまのやうに、100沢山(たくさん)細女(くわしめ)をお()ちなさつては、101善良(ぜんりやう)(をつと)とは世間(せけん)から()つて()れますまい』
102守宮別『それやさうぢや、103(じつ)(こま)つた(こと)をしたものだよ。104あの執念深(しふねんぶか)いお(とら)だつて、105(はな)だつて、106仲々(なかなか)この(まま)にしておいて()れる道理(だうり)もなし、107一層(いつそう)(こと)病院(びやうゐん)()んで()れるといいのだけれどなア』
108綾子旦那(だんな)さま、109ソンナ無情(むじやう)(こと)(ござ)いますか。110(わたし)昨夜(ゆうべ)(くわつ)(はら)()ちましたが、111(うち)にかへり、112よく(かんが)へてみましたが、113どれ(ほど)旦那(だんな)さまが(こひ)しうても、114あれ(ほど)(とし)をとられたお(とら)さまや、115(はな)さまがいらつしやるのに、116(わか)(わたし)独占(どくせん)すると()(わけ)にはいけますまい。117何程(なにほど)旦那(だんな)さまが(わたし)(あい)して(くだ)さつても、118二人(ふたり)(かた)(たい)してすみませぬもの。119(わたし)(わか)(とし)美貌(びばう)で、120(こひ)(あらそ)ふのなら、121何程(なにほど)(とら)さまやお(はな)さまが、122かにここをこいて気張(きば)られても(こた)へませぬ。123きつと月桂冠(げつけいくわん)(わたし)()りますが、124(しか)人間(にんげん)()ふものは、125そんな我儘(わがまま)勝手(かつて)出来(でき)ますまい。126どうか、127(とら)さまと、128(はな)さまの(なか)和合(わがふ)させ、129仲好(なかよ)(くら)して(くだ)さいませ。130(わたし)下女(げぢよ)となつて忠実(ちうじつ)(つと)めさせて(いただ)きますから』
131 守宮別(やもりわけ)綾子(あやこ)言葉(ことば)意外(いぐわい)なるに驚歎(きやうたん)まじまじと(かほ)()(まも)(なが)ら、
132守宮別『ヤア綾子(あやこ)133(まへ)本当(ほんたう)(かみ)(さま)だよ。134しかも平和(へいわ)女神(めがみ)(さま)だ、135(おれ)今迄(いままで)(こころ)をすつぱり(あらた)めて、136善良(ぜんりやう)なる(をつと)となるから、137どうぞ見捨(みす)てて()れな』
138綾子『ハイ、139どうして見捨(みす)てませう。140(しか)旦那(だんな)さま、141(わたし)だつてお(はな)さまだけの(とし)()つて()りましたら、142きつとお(はな)さまのやうに見捨(みす)てられたかも()れませぬよ。143それを(おも)ふと、144(はな)さまや、145(とら)さまに()(どく)(たま)りませぬわねえ』
146 かく(はなし)して()(ところ)夜叉(やしや)(ごと)面貌(めんぼう)で、147ツーロの案内(あんない)につれ(のぼ)つて()たのはお(とら)であつた。
148お寅『ハイ御免(ごめん)なさいませ。149(にく)まれ(もの)のお(とら)が、150一寸(ちよつと)邪魔(じやま)(いた)しましたが、151どうか(しばら)くでよろしいから、152守宮別(やもりわけ)(さま)()面会(めんくわい)(ねが)ひとう(ござ)います』
153三号室(さんがうしつ)守宮別と綾子が居るのは二号室。三号室は隣の部屋。()ちはだかつて呶鳴(どな)つて()る。154守宮別(やもりわけ)(この)(こゑ)()いて(きも)(つぶ)し、155夜具(やぐ)(あたま)から()つかぶつて、
156守宮別『ヤア大変(たいへん)だ、157(とら)がやつて()た』
158()(なが)身体(からだ)をビリビリふるはして()る。
159綾子『ホヽヽヽヽ、160あのまア旦那(だんな)さまの()(よわ)(こと)161(とら)さまが()訪問(はうもん)(くだ)さつたぢやありませぬか。162(べつ)にこれと()悪事(あくじ)(あそ)ばしたのでもなし、163正々(せいせい)堂々(だうだう)とお()ひなさつたらどうですか』
164守宮別『ヤ、165(うる)さい(うる)さい。166留守(るす)だと()つて逐帰(おひかへ)して()れ、167(たの)みだから』
168綾子留守(るす)でもないのにソンナ(うそ)(まを)されますか。169ソンナラ(わたし)(かは)りにお()にかかりませうか』
170守宮別『おけおけ、171(また)(なぐ)りつけられて、172病院行(びやうゐんゆき)をせなくてはならないやうになるぞ。173アンナ狂人婆(きちがひばば)には(たれ)だつて(かな)はない。174(まし)てお(まへ)(うつく)しい(かほ)()よつたら、175悋気(りんき)(つの)がますます(とが)つて、176ドンナ()()はすか()れやしないわ』
177綾子『ホヽヽヽヽ、178(なに)仰有(おつしや)います。179(をんな)一人(ひとり)と、180(をんな)一人(ひとり)181何程(なにほど)(つよ)いとて()れたものぢや(ござ)いませぬか。182それなら(わたし)がお(とら)さまに()挨拶(あいさつ)()つて()ます。183どうか(をり)()()挨拶(あいさつ)()つて(くだ)さいませ』
184()(なが)らドアを()け、185三号室(さんがうしつ)悠々(いういう)(あら)はれ()れば、186(とら)火鉢(ひばち)(まへ)()(しめ)て、187すぱりすぱりと煙草(たばこ)(くゆ)らして()る。
188綾子『アヽこれはこれはお(とら)さまで(ござ)いますか。189()くこそ旦那(だんな)さまを(たづ)ねて()げて(くだ)さいました。190ちつと(ばか)()不快(ふくわい)でやすみて()られますので、191(わたし)(かは)つて()挨拶(あいさつ)申上(まをしあ)げます。192(わたし)有明家(ありあけや)(いや)しい(つと)めをして()ります綾子(あやこ)()芸者(げいしや)(ござ)います。193ふとした(こと)から守宮別(やもりわけ)さまの()贔屓(ひいき)(あづ)かり、194世話(せわ)になつて()ります。195どうかお見捨(みす)てなく、196(よろ)しうお(ねが)(まを)します』
197両手(りやうて)をついて慇懃(いんぎん)挨拶(あいさつ)をする。
198お寅『お(まへ)があの評判(ひやうばん)(たか)有明家(ありあけや)綾子(あやこ)さまですかい。199()れば()(ほど)綺麗(きれい)なお()ですこと。200成程(なるほど)守宮別(やもりわけ)さまが(くび)(たけ)はまつて、201(はう)けられるのも無理(むり)(ござ)いますまい』
202綾子素性(すじやう)(いや)しい(をんな)(ござ)いますから、203到底(たうてい)(かみ)(さま)御用(ごよう)をして()らつしやるお(かた)のお(そば)へは、204()りつけないのですけれど、205神直日(かむなほひ)大直日(おほなほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)されて、206(ゆる)されて()るのです。207(わたし)(ちち)がひどく()厄介(やくかい)になりましたさうで、208有難(ありがた)()(れい)申上(まをしあ)げます』
209お寅『お(まへ)のお(とう)さまと仰有(おつしや)るのは、210誰人(どなた)(こと)だい』
211綾子『ハイ、212あの酒喰(さけくら)ひの仕方(しかた)のないヤクで(ござ)います』
213お寅『ナントまア、214(えん)()ふものは不思議(ふしぎ)なものだなア。215さう()くとヤクさまの目許(めもと)にお(まへ)さまの()はよく()()ますわ。216どうして(また)ヤクさまのやうな(をとこ)に、217コンナ(むすめ)出来(でき)たものだらうかな。218(とき)綾子(あやこ)さま、219(まへ)さまは(うはさ)()けばお(はな)さまを逐出(おひだ)したと()(こと)だが、220(わたし)はそれを()いて本当(ほんたう)痛快(つうくわい)(おも)ひましたよ。221どうか精々(せいぜい)死力(しりよく)(つく)して、222あの悪魔(あくま)排除(はいじよ)して(くだ)さい。223守宮別(やもりわけ)さまの()()(ため)だからなア』
224綾子『お(とら)さま、225(うけたま)はりますれば貴方(あなた)は、226守宮別(やもりわけ)(さま)とは師弟(してい)以外(いぐわい)(ふか)(ふか)()関係(くわんけい)がお()(あそ)ばしたと()(こと)ですが、227それや本当(ほんたう)(ござ)いますか』
228お寅本当(ほんたう)だとも、229(かみ)(さま)から(むす)ばれた御魂(みたま)夫婦(ふうふ)だよ』
230綾子『それに(また)(はな)さまにお(ゆづ)(あそ)ばしたのですかい』
231お寅(けつ)して(ゆづ)りませぬ。232(はな)(やつ)いろいろと奸策(かんさく)(ろう)守宮別(やもりわけ)さまをちよろまかし、233(わたし)(をとこ)横取(よこどり)したのですよ。234本当(ほんたう)仕方(しかた)のない売女(ばいた)ですよ』
235綾子『そりや大変(たいへん)()()める(こと)(ござ)いませうね。236()心中(しんちう)(さつ)(まを)します。237(わたし)だつてやつぱし守宮別(やもりわけ)さまを横取(よこどり)したやうになりますわ』
238お寅『そらさうでせう。239(しか)(なが)(わたし)(をとこ)貴方(あなた)()つたのぢやない。240(わたし)(をとこ)はお(はな)()つたのだ。241(はな)(をとこ)(また)(まへ)さまが()つたのだ。242それだから(わたし)はお(まへ)さまに(たい)して感謝(かんしや)こそすれ(うら)みなどは(ちつ)とも(いだ)いては()ませぬよ。243(まへ)さまがあつたらこされ、244(わたし)(むね)()れたのですよ。245本当(ほんたう)()器量(きりやう)()ひ、246スタイルと()ひ、247(かしこ)(ところ)()ひ、248守宮別(やもりわけ)さまには()つてすげたやうな()夫婦(ふうふ)ですわ、249オホヽヽヽ』
250綾子(まこと)にすみませぬ、251(おそ)()りました』
252お寅『これ綾子(あやこ)さま、253(はな)博愛(はくあい)病院(びやうゐん)入院(にふゐん)して()るさうだが、254彼奴(あいつ)(かへ)つて()ても()けちやいけませぬよ。255(まへ)さまの美貌(びばう)愛嬌(あいけう)とで守宮別(やもりわけ)さまを(とろ)かし、256(はな)(はう)へは一瞥(いちべつ)もくれないやうに、257守宮別(やもりわけ)さまの(こころ)(ひるがへ)して(くだ)さい。258(わたし)(ちから)一杯(いつぱい)(まへ)さまに応援(おうゑん)しますからなア』
259綾子(あやこ)(わたし)貴女(あなた)()はす(かほ)(ござ)いませぬ』
260差俯向(さしうつむ)いて(かほ)をかくす。261守宮別(やもりわけ)最前(さいぜん)から様子(やうす)(かんが)へて()たが(あま)りお(とら)(はなし)ぶりが(おだや)かなのでやつと安心(あんしん)し、262アアと欠伸(あくび)をしながら、263三号室(さんがうしつ)()(きた)り、
264守宮別『ヤ、265これはこれはお(とら)さま、266ようまあ()(くだ)さいました。267(ちつ)(ばか)(わたし)はお(はな)(やつ)睾丸(きんたま)()()げられ、268(この)(とほ)(かほ)()きむしられ、269蚯蚓膨(みみづばれ)出来(でき)ましたので、270()せつて()りました。271さアどうぞお(ちや)なと(あが)つて(くだ)さい』
272お寅『ホヽヽヽ、273(めう)(かほ)だこと。274あまり箸豆(はしまめ)なものだから、275天罰(てんばつ)(あた)るのですよ。276(まつた)()()さまがお(はな)()()りて、277貴方(あなた)()折檻(せつかん)なされたのだ。278よい加減(かげん)()改心(かいしん)なさらぬと、279(こは)(こと)出来(でき)ますよ。280(また)なんであんな(いろ)(くろ)いお(はな)(とぼ)けたのです。281大方(おほかた)悪魔(あくま)(みい)られたのでせう』
282綾子『お二人(ふたり)(さま)のお(はなし)邪魔(じやま)になるといけないから、283一寸(ちよつと)失礼(しつれい)さして(いただ)きます。284(ちち)病室(びやうしつ)()()見舞(みま)ふてやりますから』
285(すゐ)()かして(この)()退(しりぞ)いた。
286お寅『これ守宮別(やもりわけ)さま、287なぜお(はな)のやうなガラクタ(みたま)にお(まへ)さまは(とぼ)けるのだい。288(わたし)約束(やくそく)した(こと)を、289(まへ)さまは反古(ほご)にする()かい』
290胸倉(むなぐら)をグツと()つて()する。
291守宮別『ヤお(とら)さま、292()立腹(りつぷく)(もつと)もだが、293これには(ふか)(ふか)(わけ)があるのだから、294(けつ)してお(とら)さまを()てはせぬから、295まアとつくりと(わたし)(はら)()いて(くだ)さい』
296お寅『ヘン、297また(れい)慣用(くわんよう)手段(しゆだん)(ろう)し、298(とら)胡麻化(ごまくわ)さうと(おも)つたつて、299今日(けふ)(その)()には()りませぬよ。300一伍(いちぶ)一什(しじふ)白状(はくじやう)しなさい。301(だい)それた結婚(けつこん)するなぞと、302あまりぢやありませぬか』
303守宮別『まアお(とら)304()()ちつけて(わたし)()(こと)一通(ひととほ)()いて()れ。305(じつ)はな、306(まへ)(わし)と、307かうして日々(にちにち)宣伝(せんでん)をやつて()ても、308軍用金(ぐんようきん)があまり豊富(ほうふ)でないものだから、309立派(りつぱ)(いへ)()(わけ)にもゆかず、310あんな(せま)露地(ろぢ)(いへ)で、311ミロクの()霊城(れいじやう)だと何程(なにほど)(さけ)んで()(ところ)駄目(だめ)だから、312そこでお(はな)懐中(くわいちう)にある一万(いちまん)(ゑん)(かね)此方(こちら)へひつたくり、313(まへ)とホテルでも()り、314(まへ)大々(だいだい)(てき)宣伝(せんでん)をやらうと(おも)つて、315(うま)くお(はな)喉許(のどもと)(はい)り、316八九分(はちくぶ)成功(せいこう)して()(ところ)だから、317さう(あわ)てずに(しばら)()()()れ。318さうすれやお(まへ)(わし)誠意(せいい)(わか)るだらうから、319(なん)()つても(かね)()(なか)だからのう』
320お寅『なる(ほど)321それで(わか)りました。322(しか)祝言(しうげん)(さかづき)したのは、323チツと(あや)しいぢやありませぬか』
324守宮別(たれ)(こころ)(そこ)から祝言(しうげん)なんかするものかい。325そこ(まで)して()せぬとお(はな)安心(あんしん)せないからだ』
326お寅成程(なるほど)327滅多(めつた)守宮別(やもりわけ)さまに、328ソンナ馬鹿(ばか)(こと)があらうとは(おも)はなかつたですよ。329()()(かみ)さまも矢張(やつぱり)(えら)いわい。330仰有(おつしや)つた(とほ)りだもの』
331 守宮別(やもりわけ)は、
332守宮別『ハヽヽヽ、333仕様(しやう)もない』
334(とら)(しか)(なが)ら、335これ守宮別(やもりわけ)さま、336有明家(ありあけや)綾子(あやこ)に、337(まへ)さまは有頂天(うちやうてん)になつて()るぢやないか』
338守宮別『なに、339(はな)()()まして、340悋気(りんき)(つの)()やさせ、341二人(ふたり)競争(きやうそう)させて、342(はな)懐中(くわいちゆう)一万(いちまん)(ゑん)をおつ()()させる算段(さんだん)だ。343あの綾子(あやこ)(けつ)して(おれ)との(あひだ)(めう)関係(くわんけい)(むす)びて()ない。344彼奴(あいつ)芸者(げいしや)だから、345(かね)さへ()れや、346どんな芝居(しばゐ)でも()代物(しろもの)だから、347(おれ)(ほれ)たやうな(かほ)をして、348(はな)競争心(きやうそうしん)(おこ)させ、349ますますあれの愛着心(あいちやくしん)(つよ)うさせ、350一万(いちまん)(りやう)をおつぽり()させ、351(まへ)にそつと(わた)すと()(おれ)六韜(りくたう)三略(さんりやく)だよ。352(なん)(うま)いものだらう』
353お寅(さすが)軍人(ぐんじん)(そだ)(だけ)あつて、354軍略(ぐんりやく)にかけたら(えら)いものだ。355()()(かみ)守宮別(やもりわけ)神謀(しんぼう)奇策(きさく)には(した)()きませうわいホヽヽヽ』
356大正一四・八・二一 旧七・二 於由良海岸秋田別荘 加藤明子録)
目で読むのに疲れたら耳で聴こう!霊界物語の朗読ユーチューブ
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki