第九章 祝賀の宴(一)〔一九九〇〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第79巻 天祥地瑞 午の巻
篇:第2篇 竜宮風景
よみ(新仮名遣い):りゅうぐうふうけい
章:第9章 祝賀の宴(一)
よみ(新仮名遣い):しゅくがのうたげ
通し章番号:1990
口述日:1934(昭和9)年07月17日(旧06月6日)
口述場所:関東別院南風閣
筆録者:谷前清子
校正日:
校正場所:
初版発行日:1934(昭和9)年10月25日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:竜宮島の王である大竜身彦の命が、国津神の娘・麗子姫を妃と定めて海原国のまつりごとを始めたことを寿ぎ、大海津見の神の娘・海津見姫の神はこのめでたい出来事を祝おうと、竜宮殿にやってきた。
竜宮の従神たちは姫神の来訪を喜び、歓待の準備に着手していた。海津見姫の神がやってくると、歓待の準備がすっかり整っていることに驚き、竜の島根がすがすがしく、竜神族たちが生き生きとしていることを喜んだ。
そこへ大竜身彦の命を先頭に、弟姫神、数多の供神たちが恭しく進み来て、海津見姫の神の前に最敬礼をした。大竜身彦の命と弟姫神は、歓迎の歌を歌った。艶男は弟姫神のそばに立ち、先だって鏡の湖のほとりで教えをいただいたことを謝し、海津見姫の神へ歓迎の歌を歌った。
海津見姫の神は、竜神族たちの姿は、月日をかけて改まり、まことの人と生まれるべきこと、また国津神の御水火(みいき)によって人となることを歌った。そして、艶男と麗子に、国津神の生言霊を宣り上げるように促した。
二人は七十五声の生言霊を幾度となく繰り返しながら、大竜殿の階段を悠々と上り、奥殿深く進み入った。海津見姫の神は上段の席につき、続いて大竜身彦の命と弟姫神が左右に着席した。女神たちは列を正し、数多の竜神、魚族まで集まり来て、今日の慶事を祝しつつ、珍味に舌鼓を打ち、踊り舞った。
弟姫神の麗子は、島の繁栄を願う言霊歌を歌って、今日のよき日を祝した。海津見姫の神も祝歌を歌い、身体を全きものとするために、艶男の君を守り立てて、人種を生み増やせ、と歌った。
続いて大竜身彦の命が祝歌を歌い、そして再び弟姫神が、竜宮の王となって神の世を造り固める身となった決意を歌った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
タグ:ウロウ(ウロー)
データ凡例:
データ最終更新日:2024-08-07 18:04:37
OBC :rm7909
愛善世界社版:
八幡書店版:第14輯 209頁
修補版:
校定版:169頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001 竜宮島の王者たる大竜身彦の命は、002水上山の麓なる国の御祖の神の愛娘、003麗子姫を妃と定め大竜殿に海原国の政を始め給ふに就き、004大海津見の神の娘海津見姫の神は、005前代未聞の慶事を祝せむとして鏡の湖の水門を開き入り来り給ふと聞き、006あらゆる従神等は右往左往、007欣喜雀躍し、008姫神を歓待せむとあらゆる準備に着手してゐる。009大楼門の内外には金砂銀砂を新しく敷き詰め、010杉桧の梢を伐り、011御通行の道を青葉にかためて、012準備をさをさおこたりなかりける。
013 かかる所へ時うつりて、014大海津見の神の娘海津見姫の神は、015父の御使として現れ給ひ、016歓迎の準備全く調へるに稍驚き給ひつつ、
017『来て見れば竜の島根は清しけれ
019塵一つかげを止めずこの庭に
020主の神の真心を知る
021千早振る神代をかけてためしなき
023吾いゆく道の面は桧葉の
024青き莚に満たされにけり
025歩むさへ足音のなき青莚
026神の恵の露の色かも』
027 かく歌はせ給ふ折もあれ、028各自礼装を凝らし、029大竜身彦の命を先頭に、030弟姫の神あまたの御供の神等、031粛々と列をつくりて姫神の前に進み来り、032恭しく最敬礼を終り、033先づ大竜身彦の命は、
034『久方の御空ゆ降る麗子姫
035神の恵に妻となしたり
036願はくばこの有様をまつぶさに
037父大神に伝へ給はれ
038八千尋の湖の底より出でましし
039姫の命のつかれを思ふ
040今日よりはこの島ケ根も栄ゆべし
041艶男、麗子渡り来ませば』
043『天地の開けし時ゆためしなき
044慶事に会へる君ぞ尊き
045今日よりは弟姫神と親しみて
046海の食国護らせ給へ』
047 弟姫神は拍手しながら歌ふ。
048『掛巻くも畏き海津見姫神の
049いでまし吾は嬉しみ迎ふ
050惟神神の経綸の綱にひかれ
051吾この島に渡り来しはや
052吾目路にふるるものみな珍しく
053また新しきこれの島国よ
054力なき吾は是よりいかにして
055この島国をひらかむとぞ思ふ
056願はくば姫神力を添へよかし
057まだ年若き乙女の吾に
058夜はゆめ昼はうつつとこの島に
059吾は迷へり島の白波
060白波の打ち寄す島に吾ありて
062 艶男は弟姫神の側に立ちて歌ふ。
063『今のさき高き教を蒙りし
064吾は艶男よわき男子よ
065ためしなき今日の喜び寿ぎて
066来ませる姫の心畏き
067とこしへにこの島ケ根に吾ありて
068国土ひらかむと思ひ定めし
069白砂をしきまはしたり清庭に
070姫を迎ふる今日ぞめでたき』
071 海津見姫の神は之に答へて、
072『千早振る神もうべなひ給ふべし
073この島ケ根の喜びごとを
074竜神や魚族たちも今日よりは
075身もたましひも安く過ぎなむ
076人間の形そなへし竜神も
078この姿月日けみして新たまり
079まことの人と生るる日近し
080国津神の御水火なければ竜神は
081如何で生れむ人の身体に
082何となく今日は清しき日なりけり
083湖の底ひも明らかにして
084父神にこの有様を詳細に
085語らばさぞや喜び給はむ
086人間の全き身にしあらざれば
087生言霊の力もおよばず
088艶男や麗子の君は国津神
089生言霊を宣らさせ給へ』
090 ここに人体を全く備へたる艶男並びに麗子の弟姫神は、091海津見姫の神の先頭に立ち、092声も朗かに七十五声の生言霊を歌ふ。
108一二三四五六七八九十
109百千万千万の神
111と幾度となく繰返し繰返し、112大竜殿の階段を悠々と上り、113奥殿深く進み入る。
114 海津見姫の神は設けの上段の席に着き給ひ、115稍下つて大竜身彦の命、116弟姫神は左右に侍り、117其他の女神は次ぎ次ぎに列を正し、118数多の竜神魚族まで集り来り、119「ウロウウロウ」と今日の慶事を祝し合ひ、120諸々の珍味佳肴に舌鼓を打ち、121殿内もわるるばかりに踊り狂ひ舞ふ。
122 麗子は群集の中央に立ち、123言霊歌をうたふ。
124『朝日輝く夕日は照らふ
127七夕姫の天降りまして
128波の上に浮くこの島を
129花咲き実る天国と
130守らせ開かせ給ひつつ
131八千代の末に到るまで
132楽土浄土と守らひつ
134開かせ給ふぞ尊けれ
135生命の清水真清水は
136貴の聖地に湧き出でて
138満つるも楽し神の島
140黄金花咲く国ときく
141黄金の花や白銀の
142花散る後に瑠璃や硨磲
143珊瑚、瑪瑙の玉実る
144真珠や翡翠の蕾たわたわに
145揺るるも楽し神の島
146竜の都は今日よりは
149玉の緒の生命ますます長くして
150世は高砂の松のかげ
151鶴も来て鳴け雁も来よ
157国土とふ国土を引きよせて
158竜宮の島の誉をば
160ああ惟神神の子の
164踊れよ踊れよ歌へよ歌へよ
168七日七夜も引きつづき
170祝ひ歌へよ祝ひ歌へよ
171祝へよ歌へよ島の子よ』
172 この音頭につれて数万の竜神魚族は、173大竜殿の内外に満ちあふれ踊り狂ふ状、174天地もゆるがむばかりの盛況なりき。
175 海津見姫の神は次席より声さわやかに歌ふ。
176『天晴れ国晴れ面白や
179百の竜神魚族も
180今日の吉き日の吉き時を
186外へはやらじと寿ぎ奉れ
187主の神の御霊に生りし島ながら
188顕津男の神来まさねば
189まだ浅ましき国津神の
190数にも入らぬ竜体の
192艶男の君、麗子の君は
196八尋の殿は築かれて
197碧瓦赤壁美しけれど
200今日の慶事に相つぎて
201艶男の君を守り立てて
202国津神等人種を
207 斯く歌ひて元の座に着き給ふ。208数多の竜神等はこの御歌に歓ぎ喜び、209吾を忘れて舞ひ狂ふ。210ここに大竜身彦の命はすつくと座を立ち、211群集の中に進み出で、212声も朗かに歌ふ。
213『久方の空は晴れたり荒金の
214地は開けり天津日は
215射照り透らひ月読は
218御空の星は真砂の如く
222百津桂木のかげ清く
223小鳥は歌ひ蝶は舞ひ
224草葉にすだく虫の音も
228吾は今日よりこの島に
229神の御種を産み殖し
230住む竜神や諸々の
231家族親族を安らかに
232守り生かさむ惟神
234内外に集ふ諸々よ
235歌へよ舞へよ踊れよ狂へ
237と歌へば、238百の竜神魚族等は、239今日限りとばかり右往左往に舞ひ狂ふ。
240 麗子姫は弟姫神の資格にて、241姿勢正しく階上より歌ふ。
242『葭原の国土の真秀良場水上の
244国の御祖の大神の
245御子と生れて十七の
247神の経綸の幸はひに
249渡らひ来り竜宮の
252汝竜神よ魚族よ
254樛の木のいやつぎつぎに栄えつつ
257喜び勇め諸々よ』
258と簡単に歌ひ終り、259元の席に着く。
260(昭和九・七・一七 旧六・六 於関東別院南風閣 谷前清子謹録)