霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
設定
|
ヘルプ
ホーム
霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第3巻(寅の巻)
序文
凡例
総説
第1篇 国魂の配置
第1章 神々の任命
第2章 八王神の守護
第2篇 新高山
第3章 渓間の悲劇
第4章 鶴の首
第3篇 ロツキー山
第5章 不審の使神
第6章 籠の鳥
第7章 諷詩の徳
第8章 従神司の殊勲
第4篇 鬼城山
第9章 弁者と弁者
第10章 無分別
第11章 裸体の道中
第12章 信仰の力
第13章 嫉妬の報
第14章 霊系の抜擢
第5篇 万寿山
第15章 神世の移写
第16章 玉ノ井の宮
第17章 岩窟の修業
第18章 神霊の遷座
第6篇 青雲山
第19章 楠の根元
第20章 晴天白日
第21章 狐の尻尾
第22章 神前の審判
第7篇 崑崙山
第23章 鶴の一声
第24章 蛸間山の黒雲
第25章 邪神の滅亡
第26章 大蛇の長橋
第8篇 神界の変動
第27章 不意の昇天
第28章 苦心惨憺
第29章 男波女波
第30章 抱擁帰一
第31章 竜神の瀑布
第32章 破軍の剣
第9篇 隠神の活動
第33章 巴形の斑紋
第34章 旭日昇天
第35章 宝の埋換
第36章 唖者の叫び
第37章 天女の舞曲
第38章 四十八滝
第39章 乗合舟
第10篇 神政の破壊
第40章 国の広宮
第41章 二神の帰城
第42章 常世会議
第43章 配所の月
第11篇 新規蒔直し
第44章 可賀天下
第45章 猿猴と渋柿
第46章 探湯の神事
第47章 夫婦の大道
第48章 常夜の闇
第49章 袖手傍観
第12篇 霊力体
第50章 安息日
岩井温泉紀行歌
余白歌
×
設定
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
文字サイズ
S
【標準】
M
L
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側だけに表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注[※]用語解説
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
【標準】
脚注マークを表示しない
脚注[*]編集用
[?]
[※]、[*]、[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。[※]は主に用語説明、[*]は編集用の脚注で、表示させたり消したりできます。[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
脚注マークを表示する
脚注マークを表示しない
【標準】
外字の外周色
[?]
一般のフォントに存在しない文字は専用の外字フォントを使用しています。目立つようにその文字の外周の色を変えます。
[×閉じる]
無色
【標準】
赤色
現在のページには外字は使われていません
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
サイトをリニューアルしました(
従来バージョンはこちら
)【新着情報】
(
サブスク
のお知らせ)
霊界物語
>
霊主体従(第1~12巻)
>
第3巻(寅の巻)
> 第4篇 鬼城山 > 第12章 信仰の力
<<< 裸体の道中
(B)
(N)
嫉妬の報 >>>
第一二章
信仰
(
しんかう
)
の
力
(
ちから
)
〔一一二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第3巻 霊主体従 寅の巻
篇:
第4篇 鬼城山
よみ(新仮名遣い):
きじょうざん
章:
第12章 信仰の力
よみ(新仮名遣い):
しんこうのちから
通し章番号:
112
口述日:
1921(大正10)年11月15日(旧10月16日)
口述場所:
筆録者:
土井靖都
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年3月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
村幸彦は鬼城山周辺で情報収集をしていたが、清熊らに見つかって捕まり、言霊別命の居場所を白状するようにと責められた。
悪神らは氷の張った池に村幸彦を沈めて責め立てたが、村幸彦は天津祝詞を心中に奏上すると、凍え死にするどころか、身体から煙が立ち上って寒気すら覚えなかった。これは村幸彦の信仰の力と、国治立命の神助によるものであった。
悪神らは竹箒で、次に鉄棒で村幸彦を打ち据えたが、村幸彦は痛痒も感じなかった。最後には美山彦は怒って大刀で切りつけたが、逆に剣は曲がって刃こぼれし、槍の穂先も葱のように曲がってしまう有様であった。
この神徳を目の当たりにした美山彦・国照姫はついに感じ入り、改心して鬼城山を明け渡し、地の高天原に参向することになった。ここに真鉄彦、元照彦が鬼城山の八王八頭神として着任することができた。
天地の律法は厳格であるが、根本からまた改心した者は直ちに許される。悪逆無道の限りを尽くした美山彦・国照姫も許されて、地の高天原の神業に参画することになったのは、大神の無限の仁慈の賜物である。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm0312
愛善世界社版:
73頁
八幡書店版:
第1輯 286頁
修補版:
校定版:
75頁
普及版:
32頁
初版:
ページ備考:
001
ここに
村幸彦
(
むらさちひこ
)
は
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
の
内命
(
ないめい
)
により、
002
ふたたび
鬼城山
(
きじやうざん
)
にとつて
返
(
かへ
)
し、
003
城内外
(
じやうないぐわい
)
の
偵察
(
ていさつ
)
に
苦心
(
くしん
)
しゐたり。
004
あるとき
猿世彦
(
さるよひこ
)
、
005
清熊
(
きよくま
)
らの
一行
(
いつかう
)
に
城外
(
じやうぐわい
)
において
出会
(
しゆつくわい
)
したり。
006
清熊
(
きよくま
)
は
村幸彦
(
むらさちひこ
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
るなり
直
(
ただ
)
ちに
従臣
(
じゆうしん
)
らに
命
(
めい
)
じ、
007
四方
(
しはう
)
より
包囲
(
はうゐ
)
して
難
(
なん
)
なくこれを
捕縛
(
ほばく
)
せしめ、
008
直
(
ただ
)
ちに
城内
(
じやうない
)
に
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
り、
009
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
の
所在
(
ありか
)
をきびしく
訊問
(
じんもん
)
したりける。
010
村幸彦
(
むらさちひこ
)
は
空
(
そら
)
とぼけて、
011
『
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
は
城内
(
じやうない
)
にましまさむ。
012
汝
(
なんぢ
)
らは
何
(
なに
)
を
狼狽
(
らうばい
)
して
吾
(
われ
)
に
向
(
むか
)
つてかかる
奇問
(
きもん
)
を
発
(
はつ
)
し、
013
かつ
吾
(
われ
)
らを
捕縛
(
ほばく
)
せしや、
014
思
(
おも
)
ふに
汝
(
なんぢ
)
らは
酒興
(
しゆきよう
)
のあまり、
015
滑稽
(
こつけい
)
にも
我
(
われ
)
を
愚弄
(
ぐろう
)
する
心算
(
しんざん
)
ならむか。
016
いやしくも
天使
(
てんし
)
言霊別
(
ことたまわけの
)
命
(
みこと
)
の
従臣
(
じゆうしん
)
なり。
017
いかに
卑怯
(
ひけふ
)
未練
(
みれん
)
の
命
(
みこと
)
なりとて、
018
何
(
なに
)
を
苦
(
くる
)
しみて
城内
(
じやうない
)
をひそかに
脱出
(
だつしゆつ
)
するの
要
(
えう
)
あらむや、
019
囈語
(
じやうだん
)
もほどほどにせられよ』
020
と
大口
(
おほぐち
)
を
開
(
あ
)
けてからからと
打笑
(
うちわら
)
ひける。
021
城内
(
じやうない
)
の
魔神
(
ましん
)
どもは
真剣
(
しんけん
)
になり、
022
たちまち
憤怒
(
ふんど
)
の
色
(
いろ
)
を
現
(
あら
)
はし、
023
口々
(
くちぐち
)
に
罵
(
ののし
)
りつつ
執念深
(
しふねんぶか
)
くも、
024
『
命
(
みこと
)
の
所在
(
ありか
)
を
汝
(
なんぢ
)
は
知
(
し
)
るならむ、
025
逐一
(
ちくいち
)
白状
(
はくじやう
)
におよべ』
026
とたたみかけて
厳
(
きび
)
しく
訊問
(
じんもん
)
の
矢
(
や
)
を
放
(
はな
)
ちしが、
027
村幸彦
(
むらさちひこ
)
は
神色
(
しんしよく
)
自若
(
じじやく
)
として
何
(
なん
)
の
怖
(
おそ
)
るるところなく、
028
ますます
空
(
そら
)
とぼけて
笑
(
わら
)
ひくづれける。
029
魔神
(
ましん
)
どもは、
030
『かかる
狂人
(
きちがひ
)
を
相手
(
あひて
)
とするはあたかも
暖簾
(
のれん
)
と
腕押
(
うでお
)
しをなすがごとし。
031
エエ
面倒
(
めんだう
)
なり、
032
此奴
(
こやつ
)
の
衣類
(
いるゐ
)
を
脱
(
ぬ
)
がせ、
033
冷水
(
ひやみづ
)
を
頭上
(
あたま
)
より
浴
(
あ
)
びせかけ、
034
逆上
(
のぼせ
)
を
下
(
さ
)
げやらむ』
035
といふより
早
(
はや
)
く
寄
(
よ
)
つてたかつて
真裸
(
まつぱだか
)
となし、
036
氷
(
こほり
)
の
張
(
は
)
りつめたる
池端
(
いけばた
)
に
連
(
つ
)
れゆき、
037
氷
(
こほり
)
を
打
(
う
)
ち
破
(
やぶ
)
り、
038
池中
(
ちちゆう
)
に
陥
(
おとしい
)
れ、
039
頭上
(
づじやう
)
よりは
長柄
(
ながえ
)
の
柄杓
(
ひしやく
)
をもつて
幾千杯
(
いくせんばい
)
ともなく、
040
水
(
みづ
)
を
代
(
かは
)
るがはる
浴
(
あ
)
びせかけたり。
041
村幸彦
(
むらさちひこ
)
は
心中
(
しんちゆう
)
に
深
(
ふか
)
く
神
(
かみ
)
を
念
(
ねん
)
じ、
042
小声
(
こごゑ
)
になりて
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
をしきりに
奏上
(
そうじやう
)
しつつ、
043
たちまち
身体
(
しんたい
)
冷
(
ひ
)
え、
044
凍
(
こご
)
え
死
(
し
)
するかと
思
(
おも
)
ひきや、
045
村幸彦
(
むらさちひこ
)
の
身体
(
しんたい
)
よりは
濛々
(
もうもう
)
と
湯煙
(
ゆけぶり
)
たち
昇
(
のぼ
)
り、
046
少
(
すこ
)
しも
寒気
(
かんき
)
を
感
(
かん
)
ぜず、
047
悠々
(
いういう
)
として
湯
(
ゆ
)
に
入
(
い
)
りしごとき
愉快
(
ゆくわい
)
にみちたる
顔色
(
かほいろ
)
に
微笑
(
びせう
)
をうかべ、
048
『ヤイ
魔神
(
ましん
)
、
049
湯
(
ゆ
)
が
熱
(
あつ
)
いぞ、
050
も
少
(
すこ
)
し
水
(
みづ
)
をくれないか』
051
と
大声
(
おほごゑ
)
に
笑
(
わら
)
ひける。
052
魔神
(
ましん
)
どもは
一体
(
いつたい
)
合点
(
がつてん
)
ゆかず、
053
かかる
厳寒
(
げんかん
)
の
空
(
そら
)
に
投込
(
なげこ
)
まれその
上
(
うへ
)
幾千杯
(
いくせんばい
)
とも
限
(
かぎ
)
りなき
寒水
(
かんすゐ
)
を
頭上
(
づじやう
)
より
浴
(
あ
)
びせかけられ、
054
神色
(
しんしよく
)
自若
(
じじやく
)
として、
055
何
(
なん
)
の
苦痛
(
くつう
)
も
感
(
かん
)
ぜざるのみか
剰
(
あまつ
)
さへ……この
湯
(
ゆ
)
は
熱
(
あつ
)
い、
056
も
少
(
すこ
)
し
水
(
みづ
)
をくれ……とは
正気
(
しやうき
)
の
沙汰
(
さた
)
にあらざるべし。
057
かかる
大狂人
(
おほきちがひ
)
をいつまでも
池中
(
ちちう
)
に
投
(
とう
)
じて
苦
(
くる
)
しめむとするも
何
(
なん
)
の
益
(
えき
)
なしと、
058
つひに
村幸彦
(
むらさちひこ
)
を
救
(
すく
)
ひ
上
(
あ
)
げたりしが、
059
村幸彦
(
むらさちひこ
)
の
身体
(
しんたい
)
よりは
盛
(
さか
)
ンに
湯煙
(
ゆけぶり
)
たち
上
(
あが
)
りけり。
060
これまつたく
村幸彦
(
むらさちひこ
)
が
信仰
(
しんかう
)
の
力
(
ちから
)
と、
061
国治立
(
くにはるたちの
)
命
(
みこと
)
の
厚
(
あつ
)
き
神助
(
しんじよ
)
によるものなりけり。
062
美山彦
(
みやまひこ
)
、
063
国照姫
(
くにてるひめ
)
はこの
奇瑞
(
きずゐ
)
を
訝
(
いぶ
)
かり、
064
このたびは
赤裸
(
はだか
)
のまま
北風
(
きたかぜ
)
吹
(
ふ
)
き
荒
(
すさ
)
ぶ
廊下
(
らうか
)
の
柱
(
はしら
)
に
村幸彦
(
むらさちひこ
)
を
縛
(
しば
)
りつけ、
065
寄
(
よ
)
り
集
(
たか
)
りて
嘲笑
(
てうせう
)
罵詈
(
ばり
)
をきはめ、
066
かつ、
067
『
汝
(
なんぢ
)
は
大狂乱
(
おほきちがひ
)
の
大
(
おほ
)
馬鹿者
(
ばかもの
)
ぞ。
068
見
(
み
)
かけによらぬ
土間助
(
どますけ
)
よ』
069
といひつつ
竹箒
(
たけばうき
)
をあまた
携
(
たづさ
)
へきたり、
070
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
より
頭
(
あたま
)
といはず
顔
(
かほ
)
といはず
身体
(
しんたい
)
一面
(
いちめん
)
を、
071
あるひは
打
(
う
)
ち
或
(
ある
)
ひは
突
(
つ
)
き、
072
つひには
竹箒
(
たけばうき
)
の
柄
(
え
)
にて
頭部
(
とうぶ
)
を
幾百千
(
いくひやくせん
)
ともなくなぐりつけたり。
073
されど
村幸彦
(
むらさちひこ
)
は
何
(
なん
)
の
苦痛
(
くつう
)
も
感
(
かん
)
ぜず、
074
平然
(
へいぜん
)
として
笑
(
ゑみ
)
を
含
(
ふく
)
み、
075
『
鬼城山
(
きじやうざん
)
の
魔神
(
ましん
)
どもの
腕力
(
わんりよく
)
の
弱
(
よわ
)
さよ』
076
と
腮
(
あご
)
をしやくりて
嘲笑
(
てうせう
)
したりける。
077
ここに
美山彦
(
みやまひこ
)
は
烈火
(
れつくわ
)
のごとく
憤
(
いきどほ
)
り、
078
『
然
(
しか
)
らば
吾
(
われ
)
らの
力
(
ちから
)
を
現
(
あら
)
はしくれむ。
079
従臣
(
じゆうしん
)
どもは
各自
(
かくじ
)
鉄棒
(
てつぼう
)
を
携
(
たづさ
)
へきたつて、
080
彼
(
かれ
)
が
面上
(
めんじやう
)
を
力
(
ちから
)
にまかせて
打
(
う
)
ちすゑ
粉砕
(
ふんさい
)
せよ』
081
と
命
(
めい
)
ずれば、
082
鶴
(
つる
)
の
一声
(
ひとこゑ
)
従臣
(
じゆうしん
)
どもはたちまち
鉄棒
(
てつぼう
)
かざして
現
(
あら
)
はれ、
083
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
より
村幸彦
(
むらさちひこ
)
を
力
(
ちから
)
かぎりに
頭部
(
とうぶ
)
面部
(
めんぶ
)
の
嫌
(
きら
)
ひなく
打
(
う
)
ちすゑたり。
084
されど
村幸彦
(
むらさちひこ
)
は
心中
(
しんちゆう
)
深
(
ふか
)
く
神
(
かみ
)
を
念
(
ねん
)
じ、
085
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
しつつありしためか、
086
さしも
烈
(
はげ
)
しき
鉄棒
(
てつぼう
)
の
乱打
(
らんだ
)
も
鎧袖
(
がいしう
)
一触
(
いつしよく
)
の
感
(
かん
)
じもなく、
087
口
(
くち
)
をきはめて
魔神
(
ましん
)
どもの
非力
(
ひりよく
)
を
嘲笑
(
てうせう
)
したり。
088
彼
(
かれ
)
らはますます
怒
(
いか
)
り、
089
つひには
面上
(
めんじやう
)
目
(
め
)
がけて、
090
各自
(
かくじ
)
に
痰唾
(
たんつば
)
を
吐
(
は
)
きかけ
辱
(
はづかしめ
)
むとしたるに、
091
いかがはしけむ、
092
いづれの
痰唾
(
たんつば
)
も
村幸彦
(
むらさちひこ
)
の
面上
(
めんじやう
)
にいたらず
中空
(
ちうそら
)
に
飛
(
と
)
びあがり、
093
たちまち
落下
(
らくか
)
して
各自
(
かくじ
)
の
面上
(
めんじやう
)
に、
094
数十倍
(
すうじふばい
)
の
量
(
りやう
)
と
数十倍
(
すうじふばい
)
の
汚穢
(
をえ
)
とを
増
(
ま
)
して
滝
(
たき
)
のごとくに
降
(
ふ
)
りきたりぬ。
095
美山彦
(
みやまひこ
)
はおのれの
吐
(
は
)
き
出
(
だ
)
したる
痰唾
(
たんつば
)
に
祟
(
たた
)
られ、
096
面部
(
めんぶ
)
一面
(
いちめん
)
に
布海苔
(
ふのり
)
を
浴
(
あ
)
びたるごとく、
097
青白
(
あをじろ
)
き
瓜実顔
(
うりざねがほ
)
は、
098
たちまち
紙雛
(
かみびな
)
をなめて
吐
(
は
)
きだしたるごとき
滑稽
(
こつけい
)
なる
顔貌
(
がんばう
)
とはなりにける。
099
美山彦
(
みやまひこ
)
はますます
怒
(
いか
)
り
大刀
(
だいたう
)
を
抜
(
ぬ
)
きはなち、
100
村幸彦
(
むらさちひこ
)
に
切
(
き
)
つてかかれども、
101
村幸彦
(
むらさちひこ
)
の
身体
(
しんたい
)
は
石地蔵
(
いしぢざう
)
のごとく、
102
切
(
き
)
れども
突
(
つ
)
けども
何
(
なん
)
の
答
(
こた
)
へもなく、
103
剣
(
つるぎ
)
は
曲
(
まが
)
り
刃
(
は
)
は
欠
(
こぼ
)
れ、
104
たちまち
鋸
(
のこぎり
)
の
刃
(
は
)
のごとくなりにける。
105
こんどは
美山彦
(
みやまひこ
)
奥
(
おく
)
に
入
(
い
)
り、
106
ねぢ
鉢巻
(
はちまき
)
に
赤褌
(
あかふんどし
)
、
107
袴
(
はかま
)
の
股立
(
ももだち
)
高
(
たか
)
くからげ、
108
大身
(
おほみ
)
の
鎗
(
やり
)
をしごきながら、
109
村幸彦
(
むらさちひこ
)
の
胸先
(
むなさき
)
目
(
め
)
がけて「エヽ」と
一声
(
いつせい
)
、
110
電光
(
でんくわう
)
石火
(
せきくわ
)
の
勢
(
いきほひ
)
をもつて
突込
(
つきこ
)
みしが、
111
いかがはしけむ、
112
鎗
(
やり
)
の
穂先
(
ほさき
)
は
葱
(
ねぎ
)
の
葉
(
は
)
のごとく
脆
(
もろ
)
くも
曲
(
まが
)
り、
113
美山彦
(
みやまひこ
)
は
空
(
そら
)
を
突
(
つ
)
いて、
114
ひよろひよろと
数十間
(
すうじつけん
)
ばかり
前方
(
ぜんぱう
)
に
走
(
はし
)
り、
115
どつとばかりに
倒
(
たふ
)
れける。
116
このとき
高手
(
たかて
)
小手
(
こて
)
に
縛
(
いましめ
)
られたる
太
(
ふと
)
き
麻縄
(
あさなは
)
を
見
(
み
)
て
村幸彦
(
むらさちひこ
)
はからからとうち
笑
(
わら
)
ひ、
117
『かかる
腐
(
くさ
)
れ
縄
(
なは
)
を
吾
(
われ
)
にかけて
何
(
なん
)
とする。
118
いらざる
戯事
(
じやれごと
)
をすな。
119
鼻屎
(
はなくそ
)
にて
的
(
まと
)
を
張
(
は
)
りしごとき
汝
(
なんぢ
)
らの
計画
(
けいくわく
)
、
120
実
(
じつ
)
に
失笑
(
しつせう
)
に
値
(
あたひ
)
す』
121
といひも
終
(
をは
)
らず、
122
「エヽ」の
一声
(
いつせい
)
、
123
さしもの
強
(
つよ
)
き
太縄
(
ふとなは
)
もばらばらに
寸断
(
すんだん
)
されたり。
124
この
様子
(
やうす
)
を
最前
(
さいぜん
)
より
窺
(
うかが
)
ひゐたる
須賀彦
(
すがひこ
)
、
125
小桜姫
(
こざくらひめ
)
は
走
(
はし
)
りきたつて
両手
(
りやうて
)
をつき、
126
村幸彦
(
むらさちひこ
)
にむかつて、
127
『
貴下
(
きか
)
は
如何
(
いか
)
なる
尊
(
たつと
)
き
強
(
つよ
)
き
神人
(
しんじん
)
にましますぞや。
128
吾
(
われ
)
らはここに
前非
(
ぜんぴ
)
を
悔
(
く
)
ひ、
129
真情
(
まごころ
)
より
反逆
(
はんぎやく
)
の
罪
(
つみ
)
を
謝
(
しや
)
し
奉
(
たてまつ
)
る』
130
と
畏
(
おそ
)
るおそる
述
(
の
)
べたてたり。
131
傍
(
そば
)
にありし
美山彦
(
みやまひこ
)
、
132
国照姫
(
くにてるひめ
)
は
声
(
こゑ
)
をはなつて
号泣
(
がうきふ
)
し、
133
神徳
(
しんとく
)
の
威大
(
ゐだい
)
なるに
感
(
かん
)
じ、
134
夢
(
ゆめ
)
のさめたるごとく
始
(
はじ
)
めて
本心
(
ほんしん
)
に
立
(
た
)
ち
帰
(
かへ
)
り、
135
大八洲彦
(
おほやしまひこの
)
命
(
みこと
)
の
直命
(
ちよくめい
)
を
奉
(
ほう
)
じ、
136
鬼城山
(
きじやうざん
)
をこころよく
開
(
あ
)
け
渡
(
わた
)
し、
137
一同
(
いちどう
)
は
従臣
(
じゆうしん
)
を
率
(
ひき
)
ゐて
地
(
ち
)
の
高天原
(
たかあまはら
)
に
参向
(
さんかう
)
し、
138
帰順
(
きじゆん
)
の
意
(
い
)
を
表
(
へう
)
し、
139
犬馬
(
けんば
)
の
労
(
らう
)
を
執
(
と
)
らむことを
誓
(
ちか
)
ひける。
140
ここに
目出度
(
めでたく
)
鬼城山
(
きじやうざん
)
は
真鉄彦
(
まがねひこ
)
、
141
八王神
(
やつわうじん
)
となつて、
142
灰色
(
はひいろ
)
の
玉
(
たま
)
を
瑞
(
みづ
)
の
御舎
(
みあらか
)
仕
(
つか
)
へまつりて
恭
(
うやうや
)
しく
鎮祭
(
ちんさい
)
し、
143
元照彦
(
もとてるひこ
)
は
八頭神
(
やつがしらがみ
)
となり、
144
真鉄姫
(
まがねひめ
)
、
145
元照姫
(
もとてるひめ
)
は
共
(
とも
)
に
城内
(
じやうない
)
にとどまり、
146
夫
(
をつと
)
の
補佐
(
ほさ
)
を
勤
(
つと
)
むることとなりける。
147
天地
(
てんち
)
の
律法
(
りつぱう
)
はもつとも
厳重
(
げんぢう
)
にして
毫末
(
がうまつ
)
も
犯
(
をか
)
すべからざるものとはいへども、
148
発根
(
ほつごん
)
より
改心
(
かいしん
)
と
認
(
みと
)
められたる
時
(
とき
)
は
直
(
ただ
)
ちにこれを
許
(
ゆる
)
さるるものなり。
149
実
(
じつ
)
に
改心
(
かいしん
)
にまさる
結構
(
けつこう
)
は
無
(
な
)
かるべし。
150
現
(
げん
)
に
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
の
極
(
きは
)
みをつくしたる
美山彦
(
みやまひこ
)
、
151
国照姫
(
くにてるひめ
)
の
罪
(
つみ
)
を
赦
(
ゆる
)
し、
152
地
(
ち
)
の
高天原
(
たかあまはら
)
の
神業
(
しんげふ
)
に
参加
(
さんか
)
せしめたまひしは、
153
大神
(
おほかみ
)
が
無限
(
むげん
)
の
御
(
ご
)
仁慈
(
じんじ
)
の
発露
(
はつろ
)
といふべし。
154
(
大正一〇・一一・一五
旧一〇・一六
土井靖都
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 裸体の道中
(B)
(N)
嫉妬の報 >>>
霊界物語
>
霊主体従(第1~12巻)
>
第3巻(寅の巻)
> 第4篇 鬼城山 > 第12章 信仰の力
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【第12章 信仰の力|第3巻|霊主体従|霊界物語|/rm0312】
合言葉「みろく」を入力して下さい→