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霊界物語
霊主体従（第1～12巻）
第3巻（寅の巻）
序文
凡例
総説
第1篇 国魂の配置
第1章 神々の任命
第2章 八王神の守護
第2篇 新高山
第3章 渓間の悲劇
第4章 鶴の首
第3篇 ロツキー山
第5章 不審の使神
第6章 籠の鳥
第7章 諷詩の徳
第8章 従神司の殊勲
第4篇 鬼城山
第9章 弁者と弁者
第10章 無分別
第11章 裸体の道中
第12章 信仰の力
第13章 嫉妬の報
第14章 霊系の抜擢
第5篇 万寿山
第15章 神世の移写
第16章 玉ノ井の宮
第17章 岩窟の修業
第18章 神霊の遷座
第6篇 青雲山
第19章 楠の根元
第20章 晴天白日
第21章 狐の尻尾
第22章 神前の審判
第7篇 崑崙山
第23章 鶴の一声
第24章 蛸間山の黒雲
第25章 邪神の滅亡
第26章 大蛇の長橋
第8篇 神界の変動
第27章 不意の昇天
第28章 苦心惨憺
第29章 男波女波
第30章 抱擁帰一
第31章 竜神の瀑布
第32章 破軍の剣
第9篇 隠神の活動
第33章 巴形の斑紋
第34章 旭日昇天
第35章 宝の埋換
第36章 唖者の叫び
第37章 天女の舞曲
第38章 四十八滝
第39章 乗合舟
第10篇 神政の破壊
第40章 国の広宮
第41章 二神の帰城
第42章 常世会議
第43章 配所の月
第11篇 新規蒔直し
第44章 可賀天下
第45章 猿猴と渋柿
第46章 探湯の神事
第47章 夫婦の大道
第48章 常夜の闇
第49章 袖手傍観
第12篇 霊力体
第50章 安息日
岩井温泉紀行歌
余白歌
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＜＜＜ 旭日昇天
(B)
(N)
唖者の叫び ＞＞＞
第三五章
宝
(
たから
)
の
埋換
(
うめかへ
)
〔一三五〕
インフォメーション
著者：
出口王仁三郎
巻：
霊界物語 第3巻 霊主体従 寅の巻
篇：
第9篇 隠神の活動
よみ（新仮名遣い）：
いんしんのかつどう
章：
第35章 宝の埋換
よみ（新仮名遣い）：
たからのうめかえ
通し章番号：
135
口述日：
1921（大正10）年12月06日（旧11月08日）
口述場所：
筆録者：
外山豊二
校正日：
校正場所：
初版発行日：
1922（大正11）年3月3日
概要：
舞台：
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です（一部加筆訂正してあります）。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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：
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
：
備考：
タグ：
データ凡例：
データ最終更新日：
OBC ：
rm0335
愛善世界社版：
207頁
八幡書店版：
第1輯 333頁
修補版：
校定版：
211頁
普及版：
92頁
初版：
ページ備考：
001
大道別
(
おほみちわけ
)
は
道彦
(
みちひこ
)
と
改名
(
かいめい
)
し、
002
南高山
(
なんかうざん
)
の
城内
(
じやうない
)
に
長
(
なが
)
くとどまり、
003
大島別
(
おほしまわけ
)
夫妻
(
ふさい
)
の
非常
(
ひじやう
)
なる
信任
(
しんにん
)
を
受
(
う
)
け、
004
南高山
(
なんかうざん
)
の
八島姫
(
やしまひめ
)
を
娶
(
めあ
)
はせて、
005
わが
身
(
み
)
の
後継者
(
こうけいしや
)
たらしめむとし、
006
大島別
(
おほしまわけ
)
みづから
道彦
(
みちひこ
)
に
向
(
むか
)
つてその
旨
(
むね
)
をうち
明
(
あか
)
し、
007
しきりに
勧
(
すす
)
めて
止
(
や
)
まざりにける。
008
また
八島姫
(
やしまひめ
)
は
生命
(
いのち
)
の
恩人
(
おんじん
)
なる
上
(
うへ
)
、
009
道彦
(
みちひこ
)
の
英傑
(
えいけつ
)
なるに
心底
(
しんてい
)
より
心
(
こころ
)
をよせ、
010
ぜひ
道彦
(
みちひこ
)
の
妻
(
つま
)
たらむことを
祈願
(
きぐわん
)
しつつありける。
011
道彦
(
みちひこ
)
は
親子
(
おやこ
)
の
日々
(
にちにち
)
の
親切
(
しんせつ
)
にほだされて、
012
これを
素気
(
すげ
)
なく
辞退
(
じたい
)
するに
苦
(
くる
)
しみゐたりける。
013
あるとき
大島姫
(
おほしまひめ
)
は、
014
身体
(
しんたい
)
にはかに
震動
(
しんどう
)
しはじめ、
015
両手
(
りやうて
)
を
組
(
く
)
みしまま
上下
(
じやうげ
)
左右
(
さいう
)
に
振
(
ふ
)
りまはし、
016
城内
(
じやうない
)
くまなく
駆
(
か
)
けめぐり、
017
これを
静止
(
せいし
)
すること
困難
(
こんなん
)
をきはめたり。
018
大島別
(
おほしまわけ
)
は
大
(
おほ
)
いにこれを
憂慮
(
いうりよ
)
し、
019
地
(
ち
)
の
高天原
(
たかあまはら
)
にむかつて、
020
国治立
(
くにはるたちの
)
命
(
みこと
)
の
救助
(
きうじよ
)
を
祈願
(
きぐわん
)
せり。
021
道彦
(
みちひこ
)
はただちに
姫
(
ひめ
)
の
狂暴
(
きやうばう
)
を
取押
(
とりおさ
)
へむとして
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ひ、
022
表
(
おもて
)
の
階段
(
かいだん
)
の
上
(
うへ
)
にて
姫
(
ひめ
)
とともに
格闘
(
かくとう
)
をはじめける。
023
その
刹那
(
せつな
)
、
024
道彦
(
みちひこ
)
は
階段
(
かいだん
)
より
顛落
(
てんらく
)
して
頭部
(
とうぶ
)
を
負傷
(
ふしやう
)
し、
025
流血
(
りうけつ
)
淋漓
(
りんり
)
失神
(
しつしん
)
不省
(
ふせい
)
の
態
(
てい
)
となりぬ。
026
大島姫
(
おほしまひめ
)
は
初
(
はじ
)
めて
口
(
くち
)
をきり、
027
『われは
南高山
(
なんかうざん
)
に
年古
(
としふる
)
くすむ
高倉
(
たかくら
)
といふ
白狐
(
びやくこ
)
なり。
028
道彦
(
みちひこ
)
はわが
頭首
(
かしら
)
をうち
滅
(
ほろ
)
ぼせしにより、
029
その
仇
(
あだ
)
を
報
(
むく
)
ゆるために
姫
(
ひめ
)
の
体内
(
たいない
)
を
借
(
か
)
り、
030
これを
階下
(
かいか
)
になげつけ、
031
傷口
(
きずぐち
)
より
毒血
(
どくち
)
を
注
(
そそ
)
ぎいれたれば、
032
彼
(
かれ
)
はたちまち
聾唖
(
ろうあ
)
となり、
033
痴呆
(
ちはう
)
となり、
034
かつ
発狂
(
はつきやう
)
の
気味
(
きみ
)
を
有
(
いう
)
するにいたるは
火
(
ひ
)
をみるよりも
明
(
あき
)
らかなり。
035
アヽ
嬉
(
うれ
)
しや、
036
喜
(
よろこ
)
ばしや』
037
と
肩
(
かた
)
を
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
にゆすり、
038
足踏
(
あしふ
)
みして
愉快気
(
ゆくわいげ
)
に
哄笑
(
こうせう
)
するにぞ、
039
八島姫
(
やしまひめ
)
はおほいに
悲
(
かな
)
しみ、
040
道彦
(
みちひこ
)
を
抱
(
いだ
)
きおこし、
041
別殿
(
べつでん
)
にかつぎこみて
種々
(
しゆじゆ
)
介抱
(
かいはう
)
に
手
(
て
)
をつくしたれども
道彦
(
みちひこ
)
の
容態
(
ようだい
)
すこしも
変
(
かは
)
らず、
042
八島姫
(
やしまひめ
)
の
言葉
(
ことば
)
にたいして
何
(
なん
)
の
反応
(
はんのう
)
もなく、
043
ただただ
げらげら
と
涎
(
よだれ
)
をたらして
笑
(
わら
)
ふのみなりける。
044
大島姫
(
おほしまひめ
)
はふたたび
身体
(
しんたい
)
を
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
に
震動
(
しんどう
)
させながら、
045
大島別
(
おほしまわけ
)
にむかひ、
046
『われはもはや
道彦
(
みちひこ
)
を
術中
(
じゆつちう
)
に
陥
(
おとしい
)
れたれば、
047
これに
憑依
(
ひようい
)
するの
必要
(
ひつえう
)
なし。
048
イザこれより
常世城
(
とこよじやう
)
に
遁
(
に
)
げ
帰
(
かへ
)
らむ』
049
と
言
(
い
)
ふかとみれば、
050
大島姫
(
おほしまひめ
)
はバツタリ
殿中
(
でんちう
)
にうち
倒
(
たふ
)
れたり。
051
諸神司
(
しよしん
)
は
右往
(
うわう
)
左往
(
さわう
)
に
周章
(
しうしやう
)
狼狽
(
らうばい
)
して
水
(
みづ
)
よ
薬
(
くすり
)
よと
騒
(
さわ
)
ぎまはりしが、
052
やうやくにして
大島姫
(
おほしまひめ
)
は
正気
(
しやうき
)
に
復
(
ふく
)
し、
053
さもはづかしき
面色
(
おももち
)
にて
大島別
(
おほしまわけ
)
の
前
(
まへ
)
に
平伏
(
へいふく
)
し、
054
城中
(
じやうちう
)
を
騒
(
さわ
)
がせし
罪
(
つみ
)
を
拝謝
(
はいしや
)
したりける。
055
ここに
道彦
(
みちひこ
)
は
真正
(
しんせい
)
の
聾唖
(
ろうあ
)
にして、
056
かつ
痴呆
(
ちはう
)
にかかり、
057
全快
(
ぜんくわい
)
の
望
(
のぞ
)
みなきものと
一般
(
いつぱん
)
に
信
(
しん
)
ぜらるるにいたりけるぞ
口惜
(
くちを
)
しけれ。
058
道彦
(
みちひこ
)
は
白狐
(
びやくこ
)
の
高倉
(
たかくら
)
と
旭
(
あさひ
)
の
二柱
(
ふたはしら
)
にみちびかれ、
059
南高山
(
なんかうざん
)
の
山頂
(
さんちやう
)
にある
数多
(
あまた
)
の
珍宝
(
ちんぽう
)
を
調査
(
てうさ
)
すべく
上
(
のぼ
)
りゆく。
060
されど
痴呆
(
ちはう
)
と
思
(
おも
)
ひつめたる
神司
(
かみがみ
)
らは、
061
道彦
(
みちひこ
)
の
行動
(
かうどう
)
に
毫
(
がう
)
も
注意
(
ちうい
)
を
払
(
はら
)
はざりしは、
062
道彦
(
みちひこ
)
にとりて
非常
(
ひじやう
)
なる
幸福
(
さいはひ
)
なりける。
063
道彦
(
みちひこ
)
は、
064
夜陰
(
やいん
)
に
乗
(
じやう
)
じ
白狐
(
びやくこ
)
の
案内
(
あんない
)
にて
山頂
(
さんちやう
)
に
登
(
のぼ
)
りみれば、
065
常世姫
(
とこよひめ
)
の
間者
(
かんじや
)
なる
高山彦
(
たかやまひこ
)
は、
066
山頂
(
さんちやう
)
の
土
(
つち
)
を
開掘
(
かいくつ
)
し、
067
すでに
種々
(
しゆじゆ
)
の
珍宝
(
ちんぽう
)
を
奪
(
うば
)
ひ、
068
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
に
帰
(
かへ
)
らむとして
同類
(
どうるゐ
)
とともに、
069
あまたの
荷物
(
にもつ
)
をこしらへゐたる
最中
(
さいちゆう
)
なりき。
070
そこへ
突然
(
とつぜん
)
道彦
(
みちひこ
)
が
現
(
あら
)
はれきたりたれど、
071
高山彦
(
たかやまひこ
)
は、
072
痴呆
(
ちはう
)
にして
聾唖
(
ろうあ
)
なる
道彦
(
みちひこ
)
と
思
(
おも
)
ひ、
073
少
(
すこ
)
しも
懸念
(
けねん
)
せず
種々
(
しゆじゆ
)
の
宝
(
たから
)
を
掘出
(
ほりだ
)
し、
074
かつ
貴重
(
きちよう
)
なる
宝物
(
たからもの
)
を
道彦
(
みちひこ
)
の
背
(
せ
)
に
負
(
お
)
はせ、
075
山
(
やま
)
を
下
(
くだ
)
らしめむとせり。
076
一味
(
いちみ
)
の
曲者
(
くせもの
)
はおのおの
宝
(
たから
)
を
背負
(
せお
)
ひ、
077
山
(
やま
)
を
下
(
くだ
)
りゆかむとするこの
時
(
とき
)
、
078
高倉
(
たかくら
)
、
079
旭
(
あさひ
)
の
白狐
(
びやくこ
)
はにはかに
千仭
(
せんじん
)
の
谷間
(
たにま
)
を
平地
(
へいち
)
と
見
(
み
)
せかけたれば、
080
いづれも
平坦
(
へいたん
)
の
道路
(
みち
)
と
思
(
おも
)
ひ
誤
(
あやま
)
り、
081
残
(
のこ
)
らず
谷間
(
たにま
)
におちいり、
082
岩角
(
いはかど
)
に
傷
(
きず
)
つき、
083
あるひは
渓流
(
けいりう
)
に
流
(
なが
)
され、
084
ほとンど
曲者
(
くせもの
)
の
一隊
(
いつたい
)
は
全滅
(
ぜんめつ
)
しをはりしぞ
愉快
(
ゆくわい
)
なれ。
085
高山彦
(
たかやまひこ
)
も
大負傷
(
だいふしやう
)
をなし、
086
つひに
滅亡
(
めつぼう
)
せしかば、
087
道彦
(
みちひこ
)
は
白狐
(
びやくこ
)
に
導
(
みちび
)
かれ
谷間
(
たにま
)
に
下
(
くだ
)
りけるに、
088
不思議
(
ふしぎ
)
にも、
089
その
谷間
(
たにま
)
は
自分
(
じぶん
)
のかつて
顛落
(
てんらく
)
したりし
同
(
おな
)
じ
箇所
(
かしよ
)
なりき
［
※
第三三章参照
］
。
090
すべての
宝
(
たから
)
は
皆
(
みな
)
この
谷底
(
たにぞこ
)
に
集
(
あつ
)
まりありければ、
091
白狐
(
びやくこ
)
の
指示
(
さししめ
)
すままにその
宝
(
たから
)
を
一所
(
ひとところ
)
にあつめ、
092
土
(
つち
)
を
掘
(
ほ
)
りてこれを
深
(
ふか
)
く
秘
(
ひ
)
め
蔵
(
かく
)
し、
093
その
上
(
うへ
)
に
千引
(
ちびき
)
の
岩
(
いは
)
をもつて
覆
(
おほ
)
ひ、
094
何
(
なに
)
くはぬ
顔
(
かほ
)
にて
帰
(
かへ
)
り
来
(
き
)
たりける。
095
南高山
(
なんかうざん
)
の
城内
(
じやうない
)
には、
096
高山彦
(
たかやまひこ
)
以下
(
いか
)
のあまたの
神司
(
かみがみ
)
の
姿
(
すがた
)
見
(
み
)
えざるに
不審
(
ふしん
)
をおこし、
097
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
に
手配
(
てくば
)
りして、
098
その
行方
(
ゆくへ
)
を
探
(
さが
)
しつつありしところへ
帰
(
かへ
)
り
来
(
き
)
たりし
道彦
(
みちひこ
)
の
衣類
(
いるゐ
)
には、
099
血
(
ち
)
が
一面
(
いちめん
)
に
附着
(
ふちやく
)
しゐたれば、
100
大島別
(
おほしまわけ
)
は、
101
道彦
(
みちひこ
)
の
衣類
(
いるゐ
)
の
血
(
ち
)
を
見
(
み
)
て、
102
やや
不審
(
ふしん
)
を
抱
(
いだ
)
きつつありけるところへ、
103
数多
(
あまた
)
の
神司
(
かみがみ
)
は
高山彦
(
たかやまひこ
)
の
屍骸
(
なきがら
)
を
担
(
かつ
)
ぎ
帰
(
かへ
)
り
来
(
き
)
たりぬ。
104
しかして
数多
(
あまた
)
の
神司
(
かみ
)
は
渓流
(
けいりう
)
に
落
(
お
)
ちて
苦
(
くる
)
しみ、
105
ほとンど
全滅
(
ぜんめつ
)
せることを
委細
(
ゐさい
)
に
奏上
(
そうじやう
)
したりける。
106
時
(
とき
)
しも
高山彦
(
たかやまひこ
)
の
従臣
(
じゆうしん
)
なる
高彦
(
たかひこ
)
は、
107
危難
(
きなん
)
をまぬがれ
帰
(
かへ
)
り
来
(
きた
)
り、
108
道彦
(
みちひこ
)
のために
全部
(
ぜんぶ
)
滅
(
ほろ
)
ぼされむとしたることを、
109
涙
(
なみだ
)
とともに
奏上
(
そうじやう
)
したりける。
110
大島別
(
おほしまわけ
)
は
烈火
(
れつくわ
)
のごとく
憤
(
いきどほ
)
り、
111
長刀
(
ちやうたう
)
を
引抜
(
ひきぬ
)
き、
112
真向
(
まつかう
)
より
道彦
(
みちひこ
)
に
斬
(
き
)
りつけたるに、
113
道彦
(
みちひこ
)
はヒラリと
体
(
たい
)
をかはし、
114
手
(
て
)
をうつて
笑
(
わら
)
ひながら
後退
(
あとしざ
)
りしつつ、
115
『ここまで
御座
(
ござ
)
れ、
116
甘酒
(
あまざけ
)
のまそ』
117
と
踊
(
をど
)
りつつ
城門
(
じやうもん
)
をにげだしたり。
118
八島姫
(
やしまひめ
)
は
血相
(
けつさう
)
かへて
道彦
(
みちひこ
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ひつつ
門外
(
もんぐわい
)
に
出
(
い
)
づるや、
119
たちまち
暗
(
やみ
)
にまぎれて
行方
(
ゆくへ
)
をくらましにける。
120
（
大正一〇・一二・六
旧一一・八
外山豊二
録）
121
（第三四章～第三五章 昭和一〇・一・一八 於延岡市吉野家 王仁校正）
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