霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第一三章 嫉妬(しつと)(むくい)〔一一三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第3巻 霊主体従 寅の巻 篇:第4篇 鬼城山 よみ(新仮名遣い):きじょうざん
章:第13章 嫉妬の報 よみ(新仮名遣い):しっとのむくい 通し章番号:113
口述日:1921(大正10)年11月16日(旧10月17日) 口述場所: 筆録者:栗原七蔵 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年3月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
長白山の八頭神・磐長彦の妻、磐長姫は、ことあるごとに夫に反抗の態度を取っていた。磐長姫は、夫を自分の意にしたがわせようと祈願し、深山に分け入ってすさまじい形相で滝に打たれ、白面の悪狐に魅入られてしまった。
磐長姫はそれより、獣を殺し、ついに気に入らない従者を片っ端から斬り殺すようになってしまった。八王神である有国彦は使いを出して、磐長姫を訓戒させたが、磐長姫は使者をだまして、悪いのは夫であると思わせた。
有国彦は磐長彦・磐長姫の正邪の判別に迷ったが、奥殿に入ると白色の国魂を取り出し、磐長姫に伊吹の神業を行うと、たちまち白毛の悪狐が現れて、逃げてしまった。磐長姫はこれを恥じて大川に身を投じて果てた。
磐長姫の霊魂は緑白色の鴨となった。この川を鴨緑江と言う。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2017-02-11 03:44:12 OBC :rm0313
愛善世界社版:80頁 八幡書店版:第1輯 288頁 修補版: 校定版:82頁 普及版:36頁 初版: ページ備考:
001 長白山(ちやうはくざん)には白色(はくしよく)(たま)を、002荘厳(さうごん)なる神殿(しんでん)造営(ざうえい)してこれに鎮祭(ちんさい)し、003国魂(くにたま)(かみ)()神体(しんたい)となし、004八王神(やつわうじん)有国彦(ありくにひこ)これに(にん)ぜられ、005(つま)有国姫(ありくにひめ)神業(しんげふ)輔佐(ほさ)することとなりぬ。006八頭神(やつがしらがみ)には磐長彦(いはながひこ)任命(にんめい)せられ、007磐長姫(いはながひめ)(つま)となり第3巻第2章では磐長彦の妻は玉代姫になっているが、第14章で玉姫が玉代姫と改名し、磐長彦の後妻になっている。008内助(ないじよ)輔佐(ほさ)(やく)(つと)めゐたりける。
009 しかるに磐長姫(いはながひめ)は、010その性質(せいしつ)獰猛(だうまう)邪悪(じやあく)にして、011かつ嫉妬心(しつとしん)(ふか)女性(ぢよせい)なりき。012(つね)(をつと)行動(かうどう)(うたが)ひ、013何事(なにごと)にもいちいち反対(はんたい)(てき)行動(かうどう)をとり、014(をつと)(ひがし)へゆかむとすれば、015西(にし)へゆくといひ、016(やま)へゆかむといへば、017(かは)へゆくといひ、018(つね)夫婦(ふうふ)(あひだ)波瀾(はらん)()えざりしが、019磐長姫(いはながひめ)頭髪(とうはつ)は、020(じつ)見事(みごと)なるものにして、021その色沢(いろつや)(うるし)のごとくあくまでも(くろ)く、022ひいて地上(ちじやう)()るるほどなりし。023磐長姫(いはながひめ)はある(とき)ただ一人(ひとり)深山(しんざん)にわけ()り、024白布(しらぬの)(たき)()をうたれ、025(をつと)我意(わがい)(したが)はむことを祈願(きぐわん)したり。
026 (ひやく)(にち)百夜(ひやくよ)強烈(きやうれつ)なる(たき)にうたれ、027()るも(すさま)じき血相(けつさう)にて、028祈願(きぐわん)をこめゐたるをりしも、029山上(さんじやう)より(さわ)がしき足音(あしおと)(きこ)え、030樹木(じゆもく)()(たふ)し、031岩石(がんせき)()ばし、032(ひめ)のかかれる(たき)(うへ)にも、033あまたの岩石(がんせき)(くだ)()たりたれども、034(ひめ)はこれにも(くつ)せず、035一心(いつしん)不乱(ふらん)に、036長髪(ちやうはつ)をふり(みだ)し、037祈願(きぐわん)()めつつありぬ。038そこへ忽然(こつぜん)として白狐(びやくこ)姿(すがた)(あら)はれ、039(ひめ)にむかつて、
040(われ)常世国(とこよのくに)守護神(しゆごじん)なり。041(なんぢ)熱心(ねつしん)なる(ねが)ひにより、042(いま)より(なんぢ)肉体(にくたい)守護(しゆご)すべし』
043といふかと()れば姿(すがた)()えて、044ただ(たき)(みづ)のはげしく()つる(おと)のみ(きこ)えけり。
045 それより磐長姫(いはながひめ)黒漆(こくしつ)頭髪(とうはつ)は、046にはかに純白色(じゆんぱくしよく)(へん)じ、047(まなこ)()りあがり、048(くちびる)突出(つきいだ)し、049容貌(ようばう)たちまち一変(いつぺん)するにいたりけり。
050 磐長姫(いはながひめ)は、051(われ)白狐(びやくこ)守護(しゆご)により、052(をつと)驕慢(けうまん)(ため)なほし、053夫婦(ふうふ)和合(わがふ)目的(もくてき)(たつ)することと確信(かくしん)し、054欣然(きんぜん)として長白山(ちやうはくざん)にかへりきたれり。
055 さて磐長彦(いはながひこ)をはじめ、056あまたの神司(かみがみ)(ひめ)俄然(がぜん)白髪(はくはつ)となり、057かつ面貌(めんばう)(すご)くなりたるに(おどろ)きぬ。058それより(ひめ)性質(せいしつ)ますます獰猛(だうまう)となり、059日夜(にちや)従者(じゆうしや)をしたがへて山野(さんや)()り、060(うさぎ)061(しし)062山鳥(やまどり)なぞを狩立(かりた)無上(むじやう)(たのし)みとなし()たりければ、063(をつと)はこれを(かた)(いまし)めて(いは)く、
064天地(てんち)律法(りつぱう)厳守(げんしゆ)して、065すべての生物(せいぶつ)(だん)じて(ころ)すべからず』
066とおごそかに訓諭(くんゆ)しける。067されど白毛(はくまう)悪狐(あくこ)()かれたる(ひめ)は、068(をつと)訓諭(くんゆ)を、069東風吹(こちふ)(かぜ)()(なが)し、070ますます殺生(せつしやう)をつづけ、071つひには()()(すこ)しにても(さか)らふ従者(じゆうしや)は、072(かた)(ぱし)より()(ころ)し、073生血(いきち)(すす)りて無上(むじやう)快楽(くわいらく)となし、074悪逆(あくぎやく)行為(かうゐ)()()増長(ぞうちよう)し、075従者(じゆうしや)(おそ)れて(ちか)づくものなきにいたりたり。
076 このこと八王神(やつわうじん)なる有国彦(ありくにひこ)(みみ)()り、077唐山彦(からやまひこ)をして(きび)しき訓戒(くんかい)伝達(でんたつ)せしめられたるに、078磐長姫(いはながひめ)(こゑ)(はな)つて号泣(がうきふ)し、079(をつと)無情(むじやう)陳弁(ちんべん)し、080かつ、
081(わらは)天地(てんち)律法(りつぱう)厳守(げんしゆ)し、082(しらみ)一匹(いつぴき)といへども(ころ)したることなし。083その証拠(しようこ)には(わらは)着衣(ちやくい)(あらた)められよ』
084といひつつ、085下着(したぎ)()いで唐山彦(からやまひこ)面前(めんぜん)差出(さしだ)したり。086唐山彦(からやまひこ)は、087その下着(したぎ)()ておほいに(おどろ)きぬ。088よく()れば下着(したぎ)には、089ほとんど隙間(すきま)なきほどに、090(あは)のごとく(しらみ)鈴生(すずなり)になりゐたればなり。091唐山彦(からやまひこ)はこれを()て、092同情(どうじやう)(なみだ)にくれ、
093貴女(きぢよ)()心中(しんちう)(さつ)するにあまりあり。094かくのごとく(しらみ)にいたるまで、095仁慈(じんじ)(じやう)をもつて(たす)けたまふ。096(いま)(うたが)ふところなし。097この(よし)ただちに八王神(やつわうがみ)(たつ)(たてまつ)らむ』
098(たもと)(わか)(かへ)りゆく。099あとに磐長姫(いはながひめ)(なが)(した)をだし、100いやらしき微笑(ほほゑみ)()かべてけり。
101 有国彦(ありくにひこ)は、102唐山彦(からやまひこ)復命(ふくめい)次第(しだい)詳細(しやうさい)()きをはり、103ただちに磐長彦(いはながひこ)()して、
104事実(じじつ)詳細(しやうさい)をつつまず、105(かく)さず奏上(そうじやう)せよ』
106厳命(げんめい)しければ、107磐長彦(いはながひこ)事実(じじつ)をもつて答弁(たふべん)したり。108されど有国彦(ありくにひこ)(かうべ)をかたむけ半信(はんしん)半疑(はんぎ)面色(おももち)にて、109(みこと)顔色(がんしよく)熟視(じゆくし)されつつありき。110このとき磐長姫(いはながひめ)は、111(をつと)(あと)()()できたり有国彦(ありくにひこ)にむかつて、112(なみだ)とともに、113言葉(ことば)たくみに我身(わがみ)無実(むじつ)陳弁(ちんべん)したりける。
114 ここに夫婦(ふうふ)二人(ふたり)争論(そうろん)(ひら)かれけるが、115(ひめ)口角泡(こうかくあわ)をとばし、116舌端(ぜつたん)()をはき、117両眼(りやうがん)はますます()りあがり、118(くち)耳元(みみもと)まで()け、119()るも(すさま)じき形相(ぎやうさう)となりける。120有国彦(ありくにひこ)はこの光景(くわうけい)()てただちに奥殿(おくでん)にいり、121白色(はくしよく)国玉(くにたま)()りだし、122その(たま)両手(りやうて)(ささ)げ、123磐長姫(いはながひめ)()がけて、124伊吹(いぶき)神業(かむわざ)(しう)したまへば、125その身体(しんたい)より、126たちまち白毛(はくまう)悪狐(あくこ)(あら)はれいで、127空中(くうちゆう)(かけ)りて、128たちまち西天(せいてん)姿(すがた)(ぼつ)したりける。
129 ここに磐長姫(いはながひめ)(おほ)いに()ぢ、130この()一目散(いちもくさん)()げだし大川(おほかは)()(とう)じ、131終焉(しゆうえん)()げたり。132しかして磐長姫(いはながひめ)霊魂(れいこん)(くわ)して無数(むすう)緑白色(りよくはくしよく)(かも)となり、133水上(すいじやう)()きつ(しづ)みつ()(おく)ることとなりぬ。134これよりこの(かは)鴨緑江(あふりよくかう)となんいふとかや。
135大正一〇・一一・一六 旧一〇・一七 栗原七蔵録)
136(第一二章~第一三章 昭和一〇・一・一六 於みどり丸船室 王仁校正)
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