霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三一章 竜神(りうじん)の瀑布(ばくふ)〔一三一〕

インフォメーション
著者: 巻: 篇: よみ(新仮名遣い):
章: よみ(新仮名遣い): 通し章番号:
口述日: 口述場所: 筆録者: 校正日: 校正場所: 初版発行日:
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一部の章はAIによって要約を作成しています。[×閉じる]: 主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: 文字数: OBC :rm0331
愛善世界社版: 八幡書店版: 修補版: 校定版: 普及版: 初版: ページ備考:
001 長(なが)らくローマに足(あし)を留(とど)めたる八王神(やつわうじん)道貫彦(みちつらひこ)は、002ローマの没落(ぼつらく)とともに、003モスコーを気(き)づかひ、004あまたの敵軍(てきぐん)を突破(とつぱ)してやうやく帰城(きじやう)し、005道貫姫(みちつらひめ)とともに長物語(ながものがた)りに夜(よ)を徹(てつ)したりける。
006 しかるに道貫彦(みちつらひこ)はわが不在中(ふざいちゆう)、007春日姫(かすがひめ)の鷹住別(たかすみわけ)と夫婦(ふうふ)となりしことを大(おほ)いに怒(いか)り、008かかる一身(いつしん)上(じやう)の大問題(だいもんだい)を父(ちち)にも母(はは)にも計(はか)らず、009決行(けつかう)したる春日姫(かすがひめ)も不都合(ふつがふ)なれども、010第一(だいいち)母(はは)たる道貫姫(みちつらひめ)の行(ゆ)き届(とど)かざる行為(かうゐ)を怒(いか)り、011道貫姫(みちつらひめ)には別殿(べつでん)を造(つく)りてこれに蟄居(ちつきよ)せしめ、012鷹住別(たかすみわけ)と春日姫(かすがひめ)のあひだを生木(なまき)を割(さ)くごとく、013無残(むざん)にも夜半(よは)の嵐(あらし)の物凄(ものすご)く、014常世国(とこよのくに)にむかつて鷹住別(たかすみわけ)を神退(かむやら)ひに退(やら)はれにける。
015 春日姫(かすがひめ)は、016海洋(かいやう)万里(ばんり)の孤島(こたう)にただ一柱(ひとはしら)とりのこされし心地(ここち)して、017連日(れんじつ)連夜(れんや)泣(な)き暮(くら)したる。018その結果(けつくわ)、019つひに心魂(しんこん)に異状(いじやう)を呈(てい)し、020狂乱(きやうらん)となり、021行(ゆ)きあふ人(ひと)ごとに形相(ぎやうさう)を変(へん)じ眼(め)を見(み)はりて、
022『鷹住別(たかすみわけ)、023々々々(たかすみわけ)』
024と叫(さけ)び狂(くる)ふ。025ここに竹友別(たけともわけ)、026畠照彦(はたてるひこ)は、027いかにもして春日姫(かすがひめ)の病(やまひ)を癒(なほ)さむとし、028遠近(をちこち)の高山(かうざん)に分(わ)け入(い)り瀑布(ばくふ)に身(み)を浸(ひた)し、029あるひは断食(だんじき)をなして祈願(きぐわん)を籠(こ)めたれども、030病気(びやうき)はおひおひ重(おも)くなるばかりなりける。
031 あるとき畠照彦(はたてるひこ)、032竹友別(たけともわけ)はゆくりなくも天道山(てんだうざん)に分(わ)け入(い)りしが、033ここには「竜神(りうじん)の滝(たき)」といふがありて、034山頂(さんちやう)より落下(らくか)する水勢(すゐせい)は百雷(ひやくらい)の一度(いちど)に轟(とどろ)くがごとく、035水煙(みづけぶり)濛々(もうもう)として立(た)ち上(のぼ)り、036実(じつ)にすさまじき深山(しんざん)幽谷(いうこく)なりける。
037 ここに二人(ふたり)は、038七日(なぬか)七夜(ななよ)精神(せいしん)をこめて祈願(きぐわん)したりしが、039その時(とき)馬(うま)の蹄(ひづめ)の音(おと)嘎々(かつかつ)と山上(さんじやう)より聞(きこ)えて、040六面(ろくめん)八臂(はつぴ)の鬼神(きじん)あらはれ二人(ふたり)にむかひ、
041『春日姫(かすがひめ)の病気(びやうき)は、042この瀑布(ばくふ)に一(いつ)ケ月(げつ)打(う)たれなば全快(ぜんくわい)せむ』
043と告(つ)げ、044そのまま姿(すがた)は煙雲(えんうん)のごとく消(き)え失(う)せけり。045二人(ふたり)は天(てん)にも上(のぼ)る心地(ここち)して急(いそ)ぎモスコーに帰(かへ)り、046平玉彦(ひらたまひこ)とはかり春日姫(かすがひめ)をひそかに誘(さそ)ひ、047天道山(てんだうざん)の瀑布(ばくふ)に連(つ)れ行(ゆ)かむとしたるに、048大道別(おほみちわけ)はこれを探知(たんち)し、049直(ただ)ちにこれを厳禁(げんきん)したるに、050畠照彦(はたてるひこ)、051竹友別(たけともわけ)は顔色(がんしよく)をかへ大道別(おほみちわけ)にむかつて、
052『心得(こころえ)ぬ貴下(きか)の仰(おほ)せなるかな。053貴下(きか)は八王神(やつわうじん)に仕(つか)へまつる侍従長(じじゆうちやう)の顕職(けんしよく)にありながら、054毫末(がうまつ)も忠良(ちうりやう)の志(こころざし)なし。055われは身命(しんめい)を捨(す)て、056八王神(やつわうじん)夫婦(ふうふ)の心痛(しんつう)を助(たす)けまつらむ忠義(ちうぎ)の心(こころ)より出(い)でたるなり。057数月(すうげつ)のあひだ、058食(しよく)を断(た)ち、059あるひは深山(しんざん)に分(わ)け入(い)り、060瀑布(ばくふ)に投(とう)じあらゆる艱難(かんなん)辛苦(しんく)を嘗(な)め、061その報(むく)いによつて神(かみ)の命(めい)を受(う)け、062春日姫(かすがひめ)を救(すく)ひまつらむとす。063しかるに厳禁(げんきん)すとは何事(なにごと)ぞ。064いかに長上(ちやうじやう)の言(げん)なればとて、065かかる不忠(ふちゆう)不義(ふぎ)の言(げん)に服従(ふくじゆう)すること能(あた)はず』
066と云(い)ひ放(はな)ち、067ひそかに春日姫(かすがひめ)を鶴舞姫(つるまひひめ)と仮名(かめい)し、068ここに主従(しゆじゆう)三(さん)人(にん)[※従者は畠照彦、竹友別、平玉彦の3人いるので「主従四人」の間違いでは?]は天道山(てんだうざん)の大瀑布(だいばくふ)の下(した)に進(すす)み入(い)りにける。
069 道貫彦(みちつらひこ)は、070平玉彦(ひらたまひこ)以下(いか)二人(ふたり)の赤誠(せきせい)を非常(ひじやう)に感謝(かんしや)されたりといふ。071ここに大道別(おほみちわけ)は守高彦(もりたかひこ)を瀑布(ばくふ)に遣(つか)はし、072すみやかに春日姫(かすがひめ)をともなひ帰(かへ)るべく命令(めいれい)を伝(つた)へしめたれば、073守高彦(もりたかひこ)は、074天道山(てんだうざん)の瀑布(ばくふ)にいたり窺(うかが)ひみれば、075平玉彦(ひらたまひこ)以下(いか)の人々(ひとびと)は春日姫(かすがひめ)の鶴舞姫(つるまひひめ)を傍(かたはら)の石(いし)の上(うへ)に横臥(わうぐわ)せしめ、076代(かは)るがはる瀑布(ばくふ)に打(う)たれ、077真裸(まつぱだか)のまま春日姫(かすがひめ)の身体(しんたい)にむかつて指(ゆび)を組(く)み、078鎮魂(ちんこん)の姿勢(しせい)をとり汗(あせ)を滝水(たきみづ)と流(なが)して、079ウーウーと呻(うな)りゐたり。080守高彦(もりたかひこ)はこの体(てい)を見(み)てあきれ果(は)て、081つひには抱腹(はうふく)絶倒(ぜつたう)のあまり、082自分(じぶん)も気(き)が変(へん)になりきたりぬ。083そのとき鶴舞姫(つるまひひめ)は、
084『竹友別(たけともわけ)、085々々々(たけともわけ)』
086と連呼(れんこ)しけるが、087竹友別(たけともわけ)は唯々(ゐゐ)諾々(だくだく)として滝壺(たきつぼ)より這(は)ひあがり、088鶴舞姫(つるまひひめ)の前(まへ)に畏(おそ)るおそる跪坐(きざ)しける。089鶴舞姫(つるまひひめ)はいやらしき笑(ゑみ)をうかべて、
090『貴下(きか)は恋(こひ)しき鷹住別(たかすみわけ)に非(あら)ずや』
091と力(ちから)のかぎり手首(てくび)を握(にぎ)りたり。092強力(がうりき)の鶴舞姫(つるまひひめ)に手首(てくび)を握(にぎ)られたる竹友別(たけともわけ)はみるみる顔色(がんしよく)青褪(あをざ)め、093その場(ば)に打(う)ち倒(たふ)れたり。094畠照彦(はたてるひこ)は驚(おどろ)きて滝壺(たきつぼ)より這(は)ひあがり滝水(たきみづ)を口(くち)に含(ふく)み、095竹友別(たけともわけ)の面上(めんじやう)を目(め)がけて息吹(いぶ)き放(はな)ちけるに、096竹友別(たけともわけ)やうやくして正気(しやうき)づきぬ。097されど鶴舞姫(つるまひひめ)は堅(かた)く手(て)を握(にぎ)りて放(はな)さねば、098竹友別(たけともわけ)は耳菟(みみづく)のごとき円(まる)き目(め)を白黒(しろくろ)とむき出(だ)し、099一言(いちごん)も発(はつ)しえず悶(もだ)え苦(くる)しみにけり。100時(とき)しもあれ守高彦(もりたかひこ)は、101やにはに鶴舞姫(つるまひひめ)の横面(よこづら)目(め)がけて拳固(げんこ)を加(くは)へたるが、102そのはずみに鶴舞姫(つるまひひめ)は滝壺(たきつぼ)へ落(お)ち込(こ)みたり。103三(さん)人(にん)は驚(おどろ)きて鶴舞姫(つるまひひめ)を滝壺(たきつぼ)より救(すく)ひあげ、104守高彦(もりたかひこ)の手足(てあし)に搦(から)みつき、
105『汝(なんぢ)は不忠(ふちゆう)不義(ふぎ)の悪人(あくにん)よ。106主(しゆ)にたいして無礼(ぶれい)の段(だん)その罪(つみ)もつとも重(おも)し、107目(め)に物(もの)見(み)せてくれむ』
108と、109三(さん)人(にん)一度(いちど)に有(あ)りあふ岩(いは)を手(て)に持(も)ち、110守高彦(もりたかひこ)の身体(しんたい)を処(ところ)かまはず打(う)ち据(す)ゑける。111守高彦(もりたかひこ)は四(よ)つ這(ばひ)となり、112笑(わら)ひながら、
113『もう、114それでよいか』
115と嘲笑(てうせう)したるに、116三(さん)人(にん)はますます怒(いか)り、117岩(いは)を持(も)つて打(う)てども擲(なぐ)れども、118不死身(ふじみ)の守高彦(もりたかひこ)は平然(へいぜん)たり。119何(なに)はともあれ、120一(いち)時(じ)もはやくこの様子(やうす)を大道別(おほみちわけ)に報告(はうこく)し、121あまたの神司(かみがみ)を引(ひ)き連(つ)れきたりて三(さん)人(にん)をしばり、122春日姫(かすがひめ)を連(つ)れ帰(かへ)らむと心(こころ)を定(さだ)め、123守高彦(もりたかひこ)は一目散(いちもくさん)にモスコーに走(はし)り帰(かへ)り、124この次第(しだい)を大道別(おほみちわけ)に奏上(そうじやう)したりける。
125 大道別(おほみちわけ)は大石別(おほいしわけ)を守高彦(もりたかひこ)にそへ、126あまたの神司(かみがみ)をひきゐて天道山(てんだうざん)の瀑布(ばくふ)にむかひ、
127『鶴舞姫(つるまひひめ)以下(いか)諸神司(しよしん)を残(のこ)らず打(う)ち殺(ころ)し帰(かへ)るべし』
128と命令(めいれい)したり。129大石別(おほいしわけ)、130守高彦(もりたかひこ)は案(あん)に相違(さうゐ)の顔色(がんしよく)にて、
131『畏(おそ)れおほくも主(しゆ)の御(おん)娘(むすめ)を、132従臣(じゆうしん)の分際(ぶんざい)として、133打(う)ち殺(ころ)し帰(かへ)れとはその意(い)を得(え)ず。134貴下(きか)もまた常世国(とこよのくに)の邪神(じやしん)に憑依(ひようい)されて、135かくのごとき暴言(ばうげん)を吐(は)かるるならむ。136決(けつ)して決(けつ)して貴下(きか)の本心(ほんしん)より出(いで)し言(げん)には非(あら)ざるべし』
137と言(い)ひつつ、138大石別(おほいしわけ)、139守高彦(もりたかひこ)は前後(ぜんご)より手(て)を組(く)み合(あは)せ、140ウーウーと一生(いつしやう)懸命(けんめい)に霊力(れいりよく)をこめ鎮魂(ちんこん)の姿勢(しせい)を取(と)りける。141大道別(おほみちわけ)は吹(ふ)きだし、142腹(はら)をかかへてその場(ば)に打(う)ち伏(ふ)し、
143『大石別(おほいしわけ)腰(こし)を揉(も)め、144守高彦(もりたかひこ)足(あし)を撫(な)でよ。145あまりのをかしさに腹(はら)も腰(こし)もだるくて置(お)き処(どころ)なし』
146とて哄笑(こうせう)せり。147二人(ふたり)は烈火(れつくわ)のごとく憤(いきどほ)り、
148『不忠(ふちゆう)不義(ふぎ)の悪魔(あくま)の張本(ちやうほん)、149天(てん)にかはりて誅戮(ちうりく)せむ。150思(おも)ひ知(し)れよ』
151と力自慢(ちからじまん)の守高彦(もりたかひこ)は、152蠑螺(さざえ)のごとき拳固(げんこ)をかためて大道別(おほみちわけ)を打(う)たんとしたるその刹那(せつな)、153守高彦(もりたかひこ)の腕(うで)は銅像(どうざう)のごとく手(て)を振(ふ)り上(あ)げしまま少(すこ)しも動(うご)かずなりにける。154大道別(おほみちわけ)は二人(ふたり)にむかひ、
155『吾(われ)は臣下(しんか)の分際(ぶんざい)として忠義(ちうぎ)の道(みち)をわきまへざるに非(あら)ず。156春日姫(かすがひめ)はすでに鷹住別(たかすみわけ)と手(て)をたづさへて常世国(とこよのくに)にあり。157しかるに二人(ふたり)の春日姫(かすがひめ)の在(おは)すは合点(がつてん)ゆかずと、158毎夜(まいよ)ひそかに烏羽玉(うばたま)の宮(みや)に詣(まう)で、159神勅(しんちよく)を請(こ)ひゐるをりしも大神(おほかみ)現(あら)はれたまひ、160かれ春日姫(かすがひめ)は銀毛(ぎんまう)八尾(はつぴ)の悪狐(あくこ)の変身(へんしん)なり。161その証拠(しようこ)はかれの足(あし)の裏(うら)に狐(きつね)の形(かたち)したる斑紋(はんもん)ありとの神示(しんじ)なりしかば、162吾(われ)は常(つね)に注意(ちうい)しつつありしに、163ある機会(きくわい)にその斑紋(はんもん)を見届(みとど)けたり。164ゆゑに偽(いつは)りもなき悪狐(あくこ)の変化(へんげ)なれば、165汝(なんぢ)はすみやかに天道山(てんだうざん)の瀑布(ばくふ)にいたり、166姫(ひめ)もろともに一度(いちど)に打(う)ちとるか、167さなくばこれを生擒(いけど)りにして帰(かへ)りきたるべし』
168と初(はじ)めて心中(しんちう)を打(う)ち明(あ)けたりしに、169守高彦(もりたかひこ)はいづれが真(しん)の狐(きつね)なるや合点(がつてん)ゆかず、170ともかくも春日姫(かすがひめ)の足(あし)の裏(うら)を見(み)とどけての上(うへ)決(けつ)せむと、171大石別(おほいしわけ)もろとも急(いそ)ぎ竜神(りうじん)の瀑布(ばくふ)に進(すす)み入(い)りにける。
172(大正一〇・一一・二九 旧一一・一 加藤明子録)
173(第二九章~第三一章 昭和一〇・一・一七 於延岡市吉野屋旅館 王仁校正)
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