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霊界物語
霊主体従(第1~12巻)
第3巻(寅の巻)
序文
凡例
総説
第1篇 国魂の配置
第1章 神々の任命
第2章 八王神の守護
第2篇 新高山
第3章 渓間の悲劇
第4章 鶴の首
第3篇 ロツキー山
第5章 不審の使神
第6章 籠の鳥
第7章 諷詩の徳
第8章 従神司の殊勲
第4篇 鬼城山
第9章 弁者と弁者
第10章 無分別
第11章 裸体の道中
第12章 信仰の力
第13章 嫉妬の報
第14章 霊系の抜擢
第5篇 万寿山
第15章 神世の移写
第16章 玉ノ井の宮
第17章 岩窟の修業
第18章 神霊の遷座
第6篇 青雲山
第19章 楠の根元
第20章 晴天白日
第21章 狐の尻尾
第22章 神前の審判
第7篇 崑崙山
第23章 鶴の一声
第24章 蛸間山の黒雲
第25章 邪神の滅亡
第26章 大蛇の長橋
第8篇 神界の変動
第27章 不意の昇天
第28章 苦心惨憺
第29章 男波女波
第30章 抱擁帰一
第31章 竜神の瀑布
第32章 破軍の剣
第9篇 隠神の活動
第33章 巴形の斑紋
第34章 旭日昇天
第35章 宝の埋換
第36章 唖者の叫び
第37章 天女の舞曲
第38章 四十八滝
第39章 乗合舟
第10篇 神政の破壊
第40章 国の広宮
第41章 二神の帰城
第42章 常世会議
第43章 配所の月
第11篇 新規蒔直し
第44章 可賀天下
第45章 猿猴と渋柿
第46章 探湯の神事
第47章 夫婦の大道
第48章 常夜の闇
第49章 袖手傍観
第12篇 霊力体
第50章 安息日
岩井温泉紀行歌
余白歌
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(B)
(N)
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第四六章
探湯
(
くがたち
)
の
神事
(
しんじ
)
〔一四六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第3巻 霊主体従 寅の巻
篇:
第11篇 新規蒔直し
よみ(新仮名遣い):
しんきまきなおし
章:
第46章 探湯の神事
よみ(新仮名遣い):
くがたちのしんじ
通し章番号:
146
口述日:
1921(大正10)年12月09日(旧11月11日)
口述場所:
筆録者:
外山豊二
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年3月3日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
百照彦の妻・春子姫は天上界で天人の舞曲に通じた芸能神であった。百照彦・春子姫は、主人・真心彦を慰めるために天人の舞曲を披露したが、真心彦は春子姫の舞曲に心をとろかし、神務をないがしろにするほどになった。
その結果、真心彦と春子姫の間柄に面白からぬ噂が立つことになった。国祖は真心彦・春子姫を呼んで事の真偽を詰問した。すると春子姫に稚桜姫命が降臨し、探湯の神事を行って潔白を証明するように、と託宣した。
探湯の結果、二人の潔白が証明されたが、真心彦は舞曲に耽溺して神事をおろそかにした罪を恥じて、天使の職を辞することになった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm0346
愛善世界社版:
269頁
八幡書店版:
第1輯 356頁
修補版:
校定版:
273頁
普及版:
122頁
初版:
ページ備考:
001
百照彦
(
ももてるひこ
)
は
黙然
(
もくぜん
)
として
春子姫
(
はるこひめ
)
の
面色
(
おももち
)
を
打見
(
うちみ
)
やりつつありしが、
002
たちまち
膝
(
ひざ
)
を
前
(
すす
)
めて、
003
『
汝
(
なんぢ
)
の
愉快
(
ゆくわい
)
にみちしその
容貌
(
ようばう
)
、
004
たしかに
妙案
(
めうあん
)
あらむ、
005
はやく
吾
(
わ
)
がためにその
妙案
(
めうあん
)
を
物語
(
ものがた
)
れよ』
006
と
顔色
(
かほいろ
)
に
光
(
ひかり
)
をあらはし
勢
(
いきほひ
)
よく
問
(
と
)
ひければ、
007
春子姫
(
はるこひめ
)
はこたへていふ、
008
『
妾
(
わらは
)
は
元来
(
ぐわんらい
)
芸
(
げい
)
無
(
な
)
し
猿
(
ざる
)
の
不束者
(
ふつつかもの
)
なれども、
009
ここに
一
(
ひと
)
つの
隠
(
かく
)
れたる
芸能
(
げいのう
)
あり。
010
そは
天人
(
てんにん
)
の
舞曲
(
ぶきよく
)
にして、
011
天上
(
てんじやう
)
において
諸神
(
しよしん
)
の
讃歎
(
さんたん
)
やまざりし、
012
妾
(
わらは
)
が
独特
(
どくとく
)
の
芸能
(
げいのう
)
なり。
013
妾
(
わらは
)
もし
夫
(
をつと
)
の
許
(
ゆる
)
しを
得
(
え
)
ば、
014
夫
(
をつと
)
とともに
真心彦
(
うらひこ
)
の
御前
(
みまへ
)
において
一曲
(
いつきよく
)
を
演
(
えん
)
じまつらば、
015
かならず
歓
(
よろこ
)
ばせたまはむ』
016
と
得意
(
とくい
)
満面
(
まんめん
)
にあふれて
勇
(
いさ
)
ましげに
言
(
い
)
ふ。
017
百照彦
(
ももてるひこ
)
はおほいに
驚
(
おどろ
)
きて、
018
『アヽ
汝
(
なんぢ
)
は
何時
(
いつ
)
のまにか、
019
かかる
芸能
(
げいのう
)
を
覚
(
おぼ
)
えたるか』
020
と
尋
(
たづ
)
ぬれば、
021
春子姫
(
はるこひめ
)
は、
022
『
妾
(
わらは
)
は
貴下
(
きか
)
のもとに
娶
(
めと
)
らるるまで、
023
高天原
(
たかあまはら
)
の
神殿
(
しんでん
)
に
奉仕
(
ほうし
)
し、
024
日夜
(
にちや
)
舞曲
(
ぶきよく
)
を
奏
(
そう
)
し、
025
神歌
(
しんか
)
をうたひ、
026
大神
(
おほかみ
)
の
神慮
(
しんりよ
)
を
慰
(
なぐさ
)
め
奉
(
たてまつ
)
る
聖職
(
せいしよく
)
に
奉仕
(
ほうし
)
せしが、
027
その
技
(
ぎ
)
はつひに
神
(
しん
)
に
入
(
い
)
り、
028
妙
(
めう
)
に
達
(
たつ
)
して、
029
天上
(
てんじやう
)
における
第一位
(
だいいちゐ
)
の
芸能者
(
げいのうしや
)
として、
030
もてはやされしが、
031
このたび
地
(
ち
)
の
高天原
(
たかあまはら
)
の
改革
(
かいかく
)
につき、
032
貴下
(
きか
)
は
真心彦
(
うらひこ
)
とともに
赴任
(
ふにん
)
さるるに
際
(
さい
)
し、
033
大神
(
おほかみ
)
の
命
(
めい
)
によりて
貴下
(
きか
)
の
妻
(
つま
)
と
定
(
さだ
)
められたり。
034
されど、
035
貴下
(
きか
)
は
大神
(
おほかみ
)
の
御心
(
みこころ
)
のあるところを
毫
(
がう
)
も
知
(
し
)
りたまはず、
036
ただ
単
(
たん
)
に
自
(
みづか
)
ら
選
(
えら
)
びて
妾
(
わらは
)
を
妻
(
つま
)
に
娶
(
めと
)
りしごとく
思召
(
おぼしめ
)
したまへども、
037
夫婦
(
ふうふ
)
の
縁
(
えん
)
は
決
(
けつ
)
して
独自
(
どくじ
)
の
意志
(
いし
)
のごとくになるべきものに
非
(
あら
)
ず。
038
いづれも
大神
(
おほかみ
)
の
御
(
お
)
許
(
ゆる
)
しありての
上
(
うへ
)
の
神議
(
かむはか
)
りのことなれば、
039
夫婦
(
ふうふ
)
の
道
(
みち
)
は
決
(
けつ
)
して
軽忽
(
けいこつ
)
に
附
(
ふ
)
すべきものにあらず。
040
いづれも
皆
(
みな
)
夫婦
(
ふうふ
)
たるべき
霊魂
(
みたま
)
の
因縁
(
いんねん
)
ありて、
041
神界
(
しんかい
)
より
授
(
さづ
)
けらるるものなり』
042
と
天地
(
てんち
)
の
因果
(
いんぐわ
)
を
説
(
と
)
き
示
(
しめ
)
し、
043
夫婦
(
ふうふ
)
の
道
(
みち
)
は
神聖
(
しんせい
)
にして
犯
(
をか
)
すべからざる
理由
(
りいう
)
を
諄々
(
じゆんじゆん
)
として
説
(
と
)
き
立
(
た
)
たり。
044
百照彦
(
ももてるひこ
)
は
初
(
はじ
)
めて
妻
(
つま
)
の
素性
(
すじやう
)
を
知
(
し
)
り、
045
かつ
神律
(
しんりつ
)
の
重
(
おも
)
ンずべきを
深
(
ふか
)
く
感得
(
かんとく
)
したりしが、
046
百照彦
(
ももてるひこ
)
はさらに
妻
(
つま
)
にむかひ、
047
『
汝
(
なんぢ
)
はさほどの
芸能
(
げいのう
)
を
有
(
いう
)
しながら、
048
現在
(
げんざい
)
夫
(
をつと
)
たる
吾
(
われ
)
に
今日
(
こんにち
)
まで
何故
(
なにゆゑ
)
に
告
(
つ
)
げざりしや』
049
と
怪
(
あや
)
しみ
問
(
と
)
ふを、
050
春子姫
(
はるこひめ
)
はこたへて、
051
『
妾
(
わらは
)
は
貴下
(
きか
)
の
妻
(
つま
)
となりし
上
(
うへ
)
は、
052
妻
(
つま
)
たるの
務
(
つと
)
めを
全
(
まつた
)
うせば
足
(
た
)
る。
053
いたづらに
芸能
(
げいのう
)
に
驕
(
おご
)
り
慢心
(
まんしん
)
に
長
(
ちやう
)
じ、
054
つひには
夫
(
をつと
)
を
眼下
(
がんか
)
に
見下
(
みくだ
)
すごときことありては、
055
天地
(
てんち
)
の
律法
(
りつぱう
)
を
破
(
やぶ
)
る
大罪
(
だいざい
)
なれば、
056
夢
(
ゆめ
)
にも
芸能
(
げいのう
)
を
鼻
(
はな
)
にかけ
不貞
(
ふてい
)
の
妻
(
つま
)
と
笑
(
わら
)
はるるなかれとの、
057
父母
(
ふぼ
)
の
固
(
かた
)
き
教訓
(
けうくん
)
なれば、
058
今日
(
こんにち
)
まで
何事
(
なにごと
)
もつつしみて、
059
一度
(
いちど
)
も
口外
(
こうぐわい
)
せざりし
次第
(
しだい
)
なれども、
060
今日
(
こんにち
)
夫
(
をつと
)
の
辛労
(
しんらう
)
を
傍観
(
ばうかん
)
するに
忍
(
しの
)
びず、
061
この
時
(
とき
)
こそは
妾
(
わらは
)
が
得意
(
とくい
)
の
芸能
(
げいのう
)
を
輝
(
かがや
)
かし、
062
夫
(
をつと
)
を
輔佐
(
ほさ
)
し
奉
(
まつ
)
らむと
決意
(
けつい
)
したる
次第
(
しだい
)
なり。
063
諺
(
ことわざ
)
にも
芸
(
げい
)
は
身
(
み
)
を
助
(
たす
)
くるとかや、
064
妾
(
わらは
)
の
身
(
み
)
は
何
(
いづ
)
れになるも
問
(
と
)
ふところにあらざれども、
065
現在
(
げんざい
)
の
大切
(
たいせつ
)
なる
夫
(
をつと
)
の
神業
(
しんげふ
)
を
助
(
たす
)
け、
066
なほ
殊恩
(
しゆおん
)
ある
主
(
しゆ
)
の
御
(
ご
)
神慮
(
しんりよ
)
を
慰
(
なぐさ
)
め
奉
(
まつ
)
ることを
得
(
え
)
ば、
067
妾
(
わらは
)
が
鍛錬
(
たんれん
)
したる
芸能
(
げいのう
)
の
功
(
こう
)
も、
068
はじめて
光
(
ひかり
)
を
発
(
はつ
)
するものなれば、
069
女性
(
ぢよせい
)
の
差出口
(
さしでぐち
)
、
070
夫
(
をつと
)
にたいして
僣越
(
せんゑつ
)
至極
(
しごく
)
の
所為
(
しよゐ
)
とは
存
(
ぞん
)
じながら、
071
夫
(
をつと
)
を
思
(
おも
)
ふ
一念
(
いちねん
)
にかられて、
072
はづかしながら
妾
(
わらは
)
の
隠
(
かく
)
し
芸
(
げい
)
を
知
(
し
)
れることをふと
申上
(
まをしあ
)
げたるなり』
073
と
夫
(
をつと
)
の
前
(
まへ
)
に
両手
(
りやうて
)
をつき、
074
敬虔
(
けいけん
)
の
態度
(
たいど
)
をあらはし
物語
(
ものがた
)
りたり。
075
ここに
百照彦
(
ももてるひこ
)
は
妻
(
つま
)
を
伴
(
とも
)
なひ、
076
主
(
しゆ
)
真心彦
(
うらひこ
)
の
館
(
やかた
)
に
参向
(
さんかう
)
し、
077
春子姫
(
はるこひめ
)
の
芸能
(
げいのう
)
のすぐれたることを
進言
(
しんげん
)
したりけるに、
078
命
(
みこと
)
はたちまち
顔色
(
がんしよく
)
をやはらげ、
079
さも
愉快気
(
ゆくわいげ
)
に、
080
『
天地
(
てんち
)
神明
(
しんめい
)
の
神慮
(
しんりよ
)
を
慰
(
なぐさ
)
め、
081
万物
(
ばんぶつ
)
を
歓
(
よろこ
)
ばしむるの
道
(
みち
)
は
歌舞
(
かぶ
)
音楽
(
おんがく
)
に
如
(
し
)
くものはなし。
082
幸
(
さいは
)
ひにも
春子姫
(
はるこひめ
)
芸術
(
げいじゆつ
)
に
妙
(
めう
)
をえたるは
何
(
なに
)
よりの
重宝
(
ちようほう
)
なり。
083
一度
(
いちど
)
吾
(
わ
)
がために
一曲
(
いつきよく
)
を
演
(
えん
)
ぜよ』
084
と
言葉
(
ことば
)
もいそいそと
所望
(
しよもう
)
したりける。
085
百照彦
(
ももてるひこ
)
は
主
(
しゆ
)
の
愉快
(
ゆくわい
)
さうなる
顔色
(
かほいろ
)
を
見
(
み
)
て、
086
やつと
安堵
(
あんど
)
せしものの
如
(
ごと
)
く
胸
(
むね
)
をなでて
笑声
(
せうせい
)
を
作
(
つく
)
りける。
087
春子姫
(
はるこひめ
)
は、
088
会心
(
くわいしん
)
の
笑
(
ゑ
)
みをもらしながら、
089
舞衣
(
ぶい
)
に
着替
(
きか
)
へ
長袖
(
ちやうしう
)
しとやかに
舞
(
ま
)
ひはじめしが、
090
実
(
じつ
)
に
春子姫
(
はるこひめ
)
の
言
(
い
)
へるごとく、
091
その
技
(
ぎ
)
、
092
妙
(
めう
)
に
達
(
たつ
)
し
神
(
しん
)
に
入
(
い
)
り、
093
天地
(
てんち
)
神明
(
しんめい
)
の
嘉賞
(
かしやう
)
したまふも
当然
(
たうぜん
)
なるべしと、
094
真心彦
(
うらひこ
)
をはじめ
百照彦
(
ももてるひこ
)
もただ
感
(
かん
)
にうたれて
恍惚
(
くわうこつ
)
たる
有様
(
ありさま
)
なりける。
095
その
妙技
(
めうぎ
)
の
非凡
(
ひぼん
)
なるを
伝
(
つた
)
へ
聞
(
き
)
きて、
096
大将軍
(
だいしやうぐん
)
沢田彦
(
さはだひこの
)
命
(
みこと
)
まで
臨席
(
りんせき
)
せられ、
097
真心彦
(
うらひこ
)
にむかひて、
098
『
貴下
(
きか
)
は
実
(
じつ
)
に
良
(
よ
)
き
従臣
(
じゆうしん
)
を
持
(
も
)
たせらる。
099
吾
(
われ
)
は
羨望
(
せんばう
)
の
念
(
ねん
)
にたへず』
100
と
言
(
い
)
ひながら、
101
その
妙技
(
めうぎ
)
に
首
(
くび
)
を
傾
(
かたむ
)
けて
観覧
(
くわんらん
)
したまひける。
102
百照彦
(
ももてるひこ
)
、
103
春子姫
(
はるこひめ
)
はおほいに
面目
(
めんぼく
)
を
施
(
ほどこ
)
し、
104
主
(
しゆ
)
の
賞詞
(
しやうし
)
をうれしく
拝受
(
はいじゆ
)
して
厚
(
あつ
)
く
礼
(
れい
)
を
述
(
の
)
べ、
105
吾
(
わ
)
が
館
(
やかた
)
に
帰
(
かへ
)
りただちに
神前
(
しんぜん
)
に
神酒
(
みき
)
を
奉献
(
ほうけん
)
して、
106
感謝
(
かんしや
)
の
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
したりける。
107
それより
天使
(
てんし
)
真心彦
(
うらひこ
)
は、
108
春子姫
(
はるこひめ
)
の
舞曲
(
ぶきよく
)
の
優雅
(
いうが
)
なると、
109
その
神格
(
しんかく
)
の
高尚
(
かうしやう
)
なるとに
心
(
こころ
)
をとろかし、
110
一
(
いち
)
にも
春子姫
(
はるこひめ
)
の
舞曲
(
ぶきよく
)
、
111
二
(
に
)
にも
姫
(
ひめ
)
の
音調
(
おんてう
)
と、
112
事
(
こと
)
あるごとに
二人
(
ふたり
)
を
招
(
まね
)
き
酒宴
(
しゆえん
)
をもよほし、
113
つひには
神務
(
しんむ
)
を
捨
(
す
)
てて
絲竹
(
しちく
)
管絃
(
くわんげん
)
の
道
(
みち
)
にのみ
耽溺
(
たんでき
)
し、
114
真心彦
(
うらひこ
)
と
春子姫
(
はるこひめ
)
の
間
(
あひだ
)
に
面白
(
おもしろ
)
からぬ
風評
(
ふうへう
)
さへ
立
(
た
)
つにいたりける。
115
真心彦
(
うらひこ
)
は
元来
(
ぐわんらい
)
仁慈
(
じんじ
)
の
念
(
ねん
)
ふかく、
116
かつ
多情
(
たじやう
)
多感
(
たかん
)
の
神司
(
かみ
)
なりけり。
117
それゆゑ
外部
(
ぐわいぶ
)
の
風評
(
ふうへう
)
を
耳
(
みみ
)
にするや、
118
春子姫
(
はるこひめ
)
にたいする
同情
(
どうじやう
)
の
念
(
ねん
)
は
日
(
ひ
)
をおうて
昂
(
たか
)
まり、
119
悪
(
あ
)
しき
風評
(
ふうへう
)
はますます
油
(
あぶら
)
の
浸潤
(
しんじゆん
)
するがごとき
勢
(
いきほひ
)
にて
内外
(
ないぐわい
)
に
拡
(
ひろ
)
まりにけり。
120
このことたちまち
国治立
(
くにはるたちの
)
命
(
みこと
)
の
耳
(
みみ
)
に
入
(
い
)
りたるより、
121
命
(
みこと
)
はただちに
真心彦
(
うらひこ
)
を
召
(
め
)
しだして
厳
(
きび
)
しく
不義
(
ふぎ
)
の
行為
(
かうゐ
)
の
有無
(
うむ
)
を
詰問
(
きつもん
)
されたりしが、
122
真心彦
(
うらひこ
)
は
首
(
くび
)
を
左右
(
さいう
)
にふり、
123
『
吾
(
われ
)
いやしくも
聖地
(
せいち
)
の
重神司
(
ぢゆうしん
)
として、
124
天使
(
てんし
)
の
職
(
しよく
)
を
忝
(
かたじけ
)
なうし、
125
天地
(
てんち
)
の
律法
(
りつぱう
)
を
宣伝
(
せんでん
)
すべき
聖職
(
せいしよく
)
にあり。
126
いかでか
斯
(
か
)
かる
忌
(
いま
)
はしき
行為
(
かうゐ
)
を
敢
(
あへ
)
てせむや。
127
天津
(
あまつ
)
神
(
かみ
)
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
も、
128
吾
(
わ
)
が
心身
(
しんしん
)
の
潔白
(
けつぱく
)
を
照鑑
(
せうかん
)
ありて、
129
わが
着
(
き
)
せられし
濡衣
(
ぬれぎぬ
)
を
干
(
ほ
)
させたまへ』
130
と
一心
(
いつしん
)
不乱
(
ふらん
)
に
祈願
(
きぐわん
)
を
凝
(
こ
)
らしたり。
131
そのとき
春子姫
(
はるこひめ
)
は
突然
(
とつぜん
)
身体
(
しんたい
)
激動
(
げきどう
)
して
憑神
(
ひようしん
)
状態
(
じやうたい
)
となりぬ。
132
これは
稚桜姫
(
わかざくらひめの
)
命
(
みこと
)
の
降臨
(
かうりん
)
なりける。
133
命
(
みこと
)
は
教
(
をし
)
へ
諭
(
さと
)
していはく、
134
『よろしく
探湯
(
くがたち
)
の
神事
(
しんじ
)
をおこなひ、
135
その
虚実
(
きよじつ
)
を
試
(
こころ
)
みよ。
136
神界
(
しんかい
)
にてはこの
正邪
(
せいじや
)
と
虚実
(
きよじつ
)
は
判明
(
はんめい
)
せり。
137
されど
地上
(
ちじやう
)
の
諸神人
(
しよしん
)
は、
138
疑惑
(
ぎわく
)
の
念
(
ねん
)
深
(
ふか
)
くして
心魂
(
しんこん
)
濁
(
にご
)
りをれば、
139
容易
(
ようい
)
に
疑
(
うたが
)
ひを
晴
(
は
)
らすの
道
(
みち
)
なし。
140
ゆゑに
探湯
(
くがたち
)
の
神事
(
しんじ
)
を
行
(
おこ
)
なひ、
141
もつて
身
(
み
)
の
疑
(
うたが
)
ひをはらすべし。
142
正
(
ただ
)
しきものは、
143
神徳
(
しんとく
)
を
与
(
あた
)
へてこれを
保護
(
ほご
)
すべければ、
144
いかなる
熱湯
(
ねつたう
)
の
中
(
なか
)
に
手
(
て
)
を
投
(
とう
)
ずるとも、
145
少
(
すこ
)
しの
火傷
(
やけど
)
をもなさざるべし。
146
これに
反
(
はん
)
して、
147
汚
(
けが
)
れたる
行為
(
かうゐ
)
ありし
時
(
とき
)
は、
148
たちまちにして
手
(
て
)
に
大火傷
(
おほやけど
)
をなし、
149
汝
(
なんぢ
)
の
手
(
て
)
はただちに
破
(
やぶ
)
れただれて
大苦痛
(
だいくつう
)
を
覚
(
おぼ
)
ゆべし』
150
と
宣示
(
せんじ
)
されたり。
151
真心彦
(
うらひこ
)
は、
152
喜
(
よろこ
)
びて
頓首
(
とんしゆ
)
したまひ、
153
ただちに
探湯
(
くがたち
)
の
神事
(
しんじ
)
に
取
(
とり
)
かかりけり。
154
八百万
(
やほよろづ
)
の
神人
(
かみがみ
)
はその
虚実
(
きよじつ
)
を
試
(
ため
)
すべく
探湯
(
くがたち
)
の
斎場
(
さいぢやう
)
に
垣
(
かき
)
をつくり
片唾
(
かたづ
)
をのンで
見
(
み
)
ゐたりしが、
155
沸
(
わ
)
きかへる
熱湯
(
ねつたう
)
の
中
(
なか
)
に、
156
怖
(
お
)
ぢず
臆
(
おく
)
せず、
157
真心彦
(
うらひこ
)
は
天津
(
あまつ
)
神
(
かみ
)
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
にむかつて
祈願
(
きぐわん
)
し、
158
泰然
(
たいぜん
)
自若
(
じじやく
)
として
手
(
て
)
を
浸
(
ひた
)
し
入
(
い
)
れたり。
159
つづいて
春子姫
(
はるこひめ
)
も
同
(
おな
)
じく
手
(
て
)
を
浸
(
ひた
)
し、
160
久
(
ひさ
)
しきにわたるといへども、
161
二人
(
ふたり
)
ともに
何
(
なん
)
の
火傷
(
やけど
)
もなく、
162
ここに
二人
(
ふたり
)
の
疑
(
うたが
)
ひはまつたく
払拭
(
ふつしき
)
されにける。
163
二人
(
ふたり
)
は
天地
(
てんち
)
にむかいて
神恩
(
しんおん
)
の
有難
(
ありがた
)
きを
謝
(
しや
)
し、
164
慟哭
(
どうこく
)
やや
久
(
ひさ
)
しうしぬ。
165
八百万
(
やほよろづ
)
の
神人
(
かみがみ
)
は
一斉
(
いつせい
)
に
手
(
て
)
をうつて、
166
二人
(
ふたり
)
の
潔白
(
けつぱく
)
を
賞讃
(
しやうさん
)
したりける。
167
国治立
(
くにはるたちの
)
命
(
みこと
)
は、
168
二人
(
ふたり
)
の
清浄
(
せいじやう
)
無垢
(
むく
)
の
心性
(
しんせい
)
を
賞
(
しやう
)
し、
169
かつ
種々
(
しゆじゆ
)
のありがたき
言葉
(
ことば
)
を
賜
(
たま
)
ひ、
170
かつ
今後
(
こんご
)
は
神祭
(
しんさい
)
のほか
断
(
だん
)
じて
舞曲
(
ぶきよく
)
に
耽溺
(
たんでき
)
し、
171
絲竹
(
しちく
)
管絃
(
くわんげん
)
にのみ
心
(
こころ
)
を
奪
(
うば
)
はれ、
172
神務
(
しんむ
)
を
忘却
(
ばうきやく
)
するごとき
不心得
(
ふこころえ
)
あるべからず、
173
と
厳
(
きび
)
しく
教
(
をし
)
へ
諭
(
さと
)
したまひ、
174
悠然
(
いうぜん
)
として
奥殿
(
おくでん
)
に
入
(
い
)
らせたまひける。
175
真心彦
(
うらひこ
)
は
大
(
おほ
)
いに
愧
(
は
)
ぢ、
176
『
我
(
われ
)
は
大
(
おほ
)
いに
過
(
あやま
)
てり。
177
我
(
わ
)
が
悪
(
あ
)
しき
風評
(
ふうへう
)
の
高
(
たか
)
まりたるは、
178
わが
不徳
(
ふとく
)
の
致
(
いた
)
すところなり。
179
聖地
(
せいち
)
の
重臣
(
ぢうしん
)
として、
180
いかで
他人
(
たにん
)
に
臨
(
のぞ
)
み
得
(
え
)
むや』
181
と
直
(
ただ
)
ちに
国治立
(
くにはるたちの
)
命
(
みこと
)
の
御前
(
みまへ
)
にいたり、
182
天使
(
てんし
)
の
聖職
(
せいしよく
)
を
弊履
(
へいり
)
を
捨
(
す
)
つるがごとく
辞
(
じ
)
したりにけり。
183
(
大正一〇・一二・九
旧一一・一一
外山豊二
録)
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