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第四一章 二神(にしん)帰城(きじやう)〔一四一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第3巻 霊主体従 寅の巻 篇:第10篇 神政の破壊 よみ(新仮名遣い):しんせいのはかい
章:第41章 二神の帰城 よみ(新仮名遣い):にしんのきじょう 通し章番号:141
口述日:1921(大正10)年12月07日(旧11月09日) 口述場所: 筆録者:桜井重雄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年3月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
美山彦一派は地の高天原を占領し、国の広宮を破壊するために、大国彦・常世彦と手を結んだ。大国彦・常世彦の軍勢は大挙して攻め寄せると、国の広宮を破壊してしまった。
なおも美山彦は、大八洲彦命に代えて竜山別を天使長にしようと運動し、言霊姫命、真澄姫を説きつけて、常世姫を竜宮城に迎えれば、常世の国の捕虜となっている言霊別命(言霊姫命の夫)、大足彦(真澄姫の夫)は解放されるだろう、と迫った。
しかしそこに、大足彦、言霊別命が帰還したために、美山彦らの策略は暴かれて破れたが、美山彦らは厚顔にも一向に懲りず、大国彦・常世彦らに通じて、なおも地の高天原を転覆しようと企んでいた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm0341
愛善世界社版:240頁 八幡書店版:第1輯 345頁 修補版: 校定版:244頁 普及版:107頁 初版: ページ備考:
001 美山彦(みやまひこ)002国照姫(くにてるひめ)は、003(あま)(はら)なる(くに)広宮(ひろみや)建設(けんせつ)されしより、004邪鬼(じやき)005悪狐(あくこ)憑霊(ひやうれい)(あら)はれ、006八百万(やほよろづ)神司(かみがみ)手前(てまへ)面目(めんぼく)(しつ)し、007竜山別(たつやまわけ)008広若(ひろわか)009船木姫(ふなきひめ)010田糸姫(たいとひめ)011猿若姫(さるわかひめ)らとひそかに広若(ひろわか)(やかた)(あつ)まり、012()高天原(たかあまはら)をはじめ竜宮城(りゆうぐうじやう)占領(せんりやう)せむことを(くはだ)てたるが、013到底(たうてい)その(ちから)のおよばざるを(さと)りて、014大国彦(おほくにひこ)015常世彦(とこよひこ)助力(じよりよく)(もと)め、016第一(だいいち)(くに)広宮(ひろみや)破壊(はくわい)し、017厳粛(げんしゆく)なる神司(かみ)審判(しんぱん)廃止(はいし)せしめ、018そのうへ当初(たうしよ)目的(もくてき)たる()高天原(たかあまはら)占領(せんりやう)せむとし、019四方(しはう)魔軍(まぐん)(つの)り、020かつ大自在天(だいじざいてん)大国彦(おほくにひこ)部下(ぶか)021醜原彦(しこはらひこ)022大鷹彦(おほたかひこ)023中依別(なかよりわけ)024藤高(ふぢたか)025鷹取(たかとり)026遠山(とほやま)その()暴悪(ばうあく)非道(ひだう)曲神(まがかみ)(ひき)ゐる数万(すうまん)魔軍(まぐん)を、027(あま)(はら)にむかつて()めよせしめたり。
028 宮司(ぐうじ)武直彦(たけなほひこ)029玉国彦(たまくにひこ)をはじめ、030竜宮城(りゆうぐうじやう)従臣(じゆうしん)佐倉彦(さくらひこ)031白峰別(しらみねわけ)大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)(めい)によりて極力(きよくりよく)防戦(ばうせん)したれども、032暴悪(ばうあく)なる魔軍(まぐん)はなんの容赦(ようしや)もなく、033多数(たすう)権威(けんゐ)(たの)みてたちまちこれを破壊(はくわい)し、034凱歌(がいか)をあげていういうと引揚(ひきあ)げたりける。035しかるに美山彦(みやまひこ)036国照姫(くにてるひめ)一派(いつぱ)は、037この残虐(ざんぎやく)自己(じこ)関知(くわんち)せざる(てい)によそほひ、038なほも依然(いぜん)として竜宮城(りゆうぐうじやう)(ない)(とど)まり、039言霊姫(ことたまひめの)(みこと)040真澄姫(ますみひめ)041杉生彦(すぎふひこ)甘言(かんげん)をもつて()きつけ、042()高天原(たかあまはら)主宰者(しゆさいしや)なる大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)をはじめ、043神国別(かみくにわけの)(みこと)その()重職(ぢうしよく)にある神司(かみがみ)排除(はいじよ)し、044竜山別(たつやまわけ)をして天使長(てんしちやう)(しよく)(かは)らしめむとしたりける。
045 されど強直(きやうちよく)無比(むひ)曙姫(あけぼのひめ)046梅ケ香姫(うめがかひめ)047玉若彦(たまわかひこ)048豊日別(とよひわけ)(わか)神人(かみがみ)のために(さへぎ)られて、049せつかくの計画(けいくわく)九分(くぶ)九厘(くりん)のところにて一頓挫(いちとんざ)(きた)したりけるが、050あくまで執拗(しつえう)なる美山彦(みやまひこ)051国照姫(くにてるひめ)052船木姫(ふなきひめ)053杵築姫(きつきひめ)らは、054弁舌(べんぜつ)たくみに言霊姫(ことたまひめの)(みこと)055真澄姫(ますみひめ)利害(りがい)得失(とくしつ)をもつて()きつけ、
056万々一(まんまんいち)(われ)らの進言(しんげん)(もち)ゐたまはざるにおいては、057大自在天(だいじざいてん)大国彦(おほくにひこ)軍勢(ぐんぜい)は、058(ただ)ちに竜宮城(りゆうぐうじやう)押寄(おしよ)せきたりて、059(くに)広宮(ひろみや)のごとく一挙(いつきよ)()高天原(たかあまはら)もろとも破壊(はくわい)さるるのみならず、060大八洲彦(おほやしまひこの)(みこと)以下(いか)神司(かみがみ)(のこ)らず(ほろ)ぼされむ。061(われ)らの(げん)採用(さいよう)し、062常世姫(とこよひめ)(むか)へたてまつり、063かつ竜山別(たつやまわけ)をして天使長(てんしちやう)(しよく)()かしめなば、064()高天原(たかあまはら)竜宮城(りゆうぐうじやう)安全(あんぜん)無事(ぶじ)なるのみならず、065言霊別(ことたまわけの)(みこと)066大足彦(おほだるひこ)常世国(とこよのくに)より解放(かいほう)(よろこ)びにあふは必然(ひつぜん)なり。067真澄姫(ますみひめ)068言霊姫(ことたまひめ)にして、069(をつと)危難(きなん)(すく)本城(ほんじやう)永遠(ゑいゑん)(たも)ち、070神徳(しんとく)四方(しはう)発揮(はつき)せむと(ほつ)したまはば、071(すみ)やかに(われ)らの忠言(ちうげん)()れられよ。072(ゆめ)にも(われ)らの(げん)(いな)みたまふにおいては、073後日(ごじつ)のため面白(おもしろ)からぬ結果(けつくわ)(まね)き、074つひには貴女(あなた)らの(おん)()(うへ)にも大事(だいじ)発生(はつせい)せむこと、075()()るよりも明白(めいはく)なり』
076脅喝(けふかつ)したりければ、077さすが女人(によにん)(こころ)よわく、078真澄姫(ますみひめ)079言霊姫(ことたまひめ)は、080その賛否(さんぴ)(まよ)はざるを()ざりける。081曙姫(あけぼのひめ)082梅ケ香姫(うめがかひめ)083佐倉姫(さくらひめ)らの女性(ぢよせい)は、084いたつて強剛(きやうがう)態度(たいど)をとり、085真澄姫(ますみひめ)086言霊姫(ことたまひめ)にむかつて、
087(だん)じて美山彦(みやまひこ)一派(いつぱ)(げん)(みみ)(かたむ)けたまふべからず』
088進言(しんげん)したりけるに、089二人(ふたり)はやや思案(しあん)にくれつつありき。090そこへまたもや国照姫(くにてるひめ)091杵築姫(きつきひめ)092船木姫(ふなきひめ)093広若(ひろわか)らの邪神(じやしん)(あら)はれ()たり、094二女(にぢよ)にむかひて、
095如何(いか)にしても(われ)らの忠言(ちうげん)()れて諸神司(しよしん)放逐(はうちく)し、096竜山別(たつやまわけ)以下(いか)神人(かみがみ)採用(さいよう)せざるときは、097災禍(さいくわ)たちまちいたりて本城(ほんじやう)大国彦(おほくにひこ)部下(ぶか)(ほろ)ぼされ、098言霊別(ことたまわけの)(みこと)099大足彦(おほだるひこ)常世国(とこよのくに)(けい)(しよ)せられ、100末代(まつだい)帰還(きくわん)さるべき機会(きくわい)なし。101(いち)()(はや)(われ)らの(げん)()れて大改革(だいかいかく)断行(だんかう)されよ』
102前後(ぜんご)左右(さいう)より()めよするをりしも、103竜宮城(りゆうぐうじやう)門外(もんぐわい)にはかに(さわ)がしく、104諸神司(しよしん)歓呼(くわんこ)(こゑ)105(とき)(こゑ)106百雷(ひやくらい)(いち)()(とどろ)くごとく()こえきたりぬ。107これは言霊別(ことたまわけの)(みこと)神助(しんじよ)(もと)常世国(とこよのくに)(おく)らるる第二八章参照中途(ちゆうと)において、108従者(じゆうしや)言代別(ことしろわけの)(みこと)(すく)はれ、109(いつ)たん高白山(かうはくざん)城主(じやうしゆ)となり各地(かくち)をひそかに巡視(じゆんし)し、110詳細(しやうさい)なる偵察(ていさつ)()へて緑毛(りよくまう)大亀(おほがめ)にうち()り、111大足彦(おほだるひこ)とともに突然(とつぜん)帰還(きくわん)したまひしなりき。
112 かくと()りたる美山彦(みやまひこ)113国照姫(くにてるひめ)114杵築姫(きつきひめ)らの邪神(じやしん)は、115たちまち周章(しうしやう)狼狽(らうばい)して(いろ)をうしなひ、116()ぐるにも()(みち)なく、117(ふくろ)夜食(やしよく)(はづ)れし(とき)のごとく(つら)ふくらしながら二神司(にしん)(むか)へて、118いやさうな、119気乗(きのり)のせぬ(こゑ)にて、
120『よくもお(かへ)りありしぞ、121マアマア()芽出度(めでた)し』
122義理(ぎり)一遍(いつぺん)冷淡(れいたん)きはまる挨拶(あいさつ)をのべ、123早々(さうさう)わが居室(きよしつ)()()りにけり。
124 あまたの神司(かみがみ)は、125二神司(にしん)無事(ぶじ)帰還(きくわん)せられしを心底(しんてい)より欣喜(きんき)にたへず、126(てん)(はい)し、127あるひは()(はい)し、128枯木(かれき)(はな)()きしがごとく(いさ)()ちにける。129二神司(にしん)はまづ(てん)三柱(みはしら)大神(おほかみ)無事(ぶじ)帰城(きじやう)感謝(かんしや)し、130ついで国治立(くにはるたちの)(みこと)神前(しんぜん)拝跪(はいき)して神恩(しんおん)(ふか)きに(なみだ)(なが)し、131真澄姫(ますみひめ)をはじめ留守中(るすちう)諸神司(しよしん)に、132永日(えいじつ)労苦(らうく)(しや)しをはりて、133蓮華台(れんげだい)(じやう)聖地(せいち)にのぼり、134天神(てんじん)地祇(ちぎ)135八百万(やほよろづ)神々(かみがみ)感謝(かんしや)祝文(のりと)奏上(そうじやう)し、136(しう)(まも)られて城内(じやうない)(ふか)休息(きうそく)したまひける。
137 ややあつて国照姫(くにてるひめ)138杵築姫(きつきひめ)139広若(ひろわか)二神司(にしん)(まへ)(あら)はれ、
140(わらは)らは、141常世城(とこよじやう)(とら)はれ獄中(ごくちう)呻吟(しんぎん)したまふことを(かな)しみ、142同情(どうじやう)(なみだ)にたへず、143よりて(わらは)らは種々(しゆじゆ)手続(てつづ)きを(もと)めて大国彦(おほくにひこ)歎願(たんぐわん)し、144かつ常世彦(とこよひこ)のもとに必死(ひつし)(てき)運動(うんどう)結果(けつくわ)145貴神司(きしん)らは今日(こんにち)無事(ぶじ)帰還(きくわん)するを()たるは()承知(しようち)のことならむ。146神明(しんめい)加護(かご)とはいひながら、147その大部分(だいぶぶん)(わらは)らが犠牲(ぎせい)(てき)大運動(だいうんどう)のたまものなれば、148今後(こんご)(わらは)らの忠言(ちうげん)()れて、149大々(だいだい)(てき)改革(かいかく)断行(だんかう)したまへ。150この好機(かうき)(いつ)する(とき)は、151()高天原(たかあまはら)竜宮城(りゆうぐうじやう)も、152暗黒界(あんこくかい)(へん)ぜむこと(あき)らかなり』
153喋々(てふてふ)として()()つる。154二神司(にしん)国照姫(くにてるひめ)以下(いか)邪神(じやしん)の、155()えすきたる虚言(きよげん)にあきれて、156言語(げんご)(はつ)()ざりける。157すなわち二神司(にしん)一旦(いつたん)ローマの(たたか)ひに(やぶ)れて(とら)はれたれど、158(かみ)佑助(いうじよ)によつて中途(ちゆうと)(すく)はれ、159言霊別(ことたまわけの)(みこと)(いち)()高白山(かうはくざん)(かく)れて(とき)()ち、160それより不思議(ふしぎ)にも途中(とちゆう)大足彦(おほだるひこ)(くわい)(あひ)(とも)天下(てんか)諸山(しよざん)歴視(れきし)し、161邪神(じやしん)奸計(かんけい)詳細(しやうさい)探求(たんきう)(かへ)りたることを()げ、162かつ国照姫(くにてるひめ)163杵築姫(きつきひめ)らの言葉(ことば)事実(じじつ)(あひ)(はん)し、164全然(ぜんぜん)虚構(きよこう)なる(むね)素破抜(すつぱぬ)きたまひける。
165 国照姫(くにてるひめ)以下(いか)邪神(じやしん)らは、166二神司(にしん)(げん)()きて赤面(せきめん)するやと(おも)ひの(ほか)167厚顔(こうがん)無恥(むち)なる(かれ)悪神(あくがみ)は、168(すこ)しの痛痒(つうよう)(かん)ぜざるごとき態度(たいど)をよそほひ、169かへつて二神司(にしん)(げん)虚言(きよげん)()ひはなちつつ、170なほも(いん)(やう)反抗(はんかう)(てき)態度(たいど)持続(ぢぞく)し、171あるひは大国彦(おほくにひこ)部神(ぶしん)(つう)じ、172あるひは常世姫(とこよひめ)とはかり、173(さか)ンに()高天原(たかあまはら)顛覆(てんぷく)せむと焦慮(せうりよ)しつつ、174(おもて)善人(ぜんにん)仮面(かめん)()ぶり、175暗々裡(あんあんり)反逆(はんぎやく)(てき)活動(くわつどう)(つづ)けたりける。
176大正一〇・一二・七 旧一一・九 桜井重雄録)
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