霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二〇章 長者(ちやうじや)の態度(たいど)〔一七〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第4巻 霊主体従 卯の巻 篇:第3篇 正邪混交 よみ(新仮名遣い):せいじゃこんこう
章:第20章 長者の態度 よみ(新仮名遣い):ちょうじゃのたいど 通し章番号:170
口述日:1921(大正10)年12月21日(旧11月23日) 口述場所: 筆録者: 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年3月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじはMさん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:
森鷹彦の厳然たる非難と、猿田姫の説き諭した歌によって、満場の諸神はやや本心に立ち返りつつあった。その形勢を目ざとく見て取った八王大神はやおら演壇に登ると口を切って演説を始めた。
八王大神は、大国治立命を最大限に尊重し、そうであるからこそ混乱を収めるために、国祖の御心を汲んで、我々自身が自発的に世の中をよくするように行動しなくてはならない、八王の撤廃もそのような意図から来るものである、と強弁した。
一同は、国祖の威をかさに着た八王大神の論弁に反論できずにいたが、にわかに八王大神は顔色蒼白となり、あっと叫んで壇上に倒れてしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]: 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2020-04-29 21:16:55 文字数:2766 OBC :rm0420
愛善世界社版:130頁 八幡書店版:第1輯 419頁 修補版: 校定版:137頁 普及版:59頁 初版: ページ備考:
001 森鷹彦(もりたかひこ)の峻烈(しゆんれつ)なる攻撃(こうげき)演説(えんぜつ)と、002猿田姫(さだひめ)の流暢(りうちやう)なる水(みづ)も漏(もら)さぬ歌意(かい)とによつて、003並居(なみゐ)る満場(まんぢやう)の諸神司(しよしん)はややその本心(ほんしん)に立復(たちかへ)り神威(しんゐ)の畏(おそ)るべく、004神律(しんりつ)の儼(げん)として犯(をか)すべからざるを今(いま)さらの如(ごと)く自覚(じかく)し、005神人(かみがみ)らは以心(いしん)伝心(でんしん)的(てき)に八王(やつわう)大神(だいじん)らの今回(こんくわい)の言動(げんどう)の信憑(しんぴよう)すべからざるを固(かた)く知了(ちれう)したるごとき形勢(けいせい)は、006会場(くわいぢやう)の各所(かくしよ)に漂(ただよ)ひける。007この形勢(けいせい)を目敏(めざと)くも見(み)てとりし八王(やつわう)大神(だいじん)は、008ヤオラ身(み)を起(おこ)して演壇(えんだん)の前(まへ)に立(た)ち現(あら)はれたり。
009 さて八王(やつわう)大神(だいじん)常世彦(とこよひこ)は頭髪(とうはつ)長(なが)く背後(はいご)に垂(た)れ、010身躯(しんく)長大(ちやうだい)にして色(いろ)白(しろ)く、011眼(め)清(きよ)く、012眉(まゆ)正(ただ)しく鼻(はな)は高(たか)からず低(ひく)からず、013骨格(こつかく)逞(たくま)しうして神格(しんかく)あり、014何処(どこ)となく長者(ちやうじや)たり頭領(とうりやう)たるの権威(けんゐ)自然(しぜん)に備(そな)はり、015諸神人(しよしん)の猛烈(まうれつ)なる攻撃(こうげき)も嘲罵(てうば)も、016少(すこ)しも意(い)に介(かい)せざるがごとく、017如何(いか)なる強敵(きやうてき)の襲来(しふらい)も、018たとへば鋼鉄艦(かうてつかん)に蝶々(てふてふ)の襲撃(しふげき)したるごとき態度(たいど)にて悠々(いういう)せまらず、019光風(くわうふう)霽月(せいげつ)の暢気(のんき)さを惟神(かむながら)に発揮(はつき)しゐたりけり。020かくのごとき神格者(しんかくしや)の八王(やつわう)大神(だいじん)も、021少(すこ)しく心中(しんちゆう)に欲望(よくばう)の念(ねん)萠(きざ)さむか、022たちまち体主(たいしゆ)霊従(れいじゆう)的(てき)行動(かうどう)を敢行(かんかう)して憚(はばか)らぬまで神格(しんかく)一変(いつぺん)したりしなり。023心(こころ)に一点(いつてん)の欲望(よくばう)おこるや、024宇宙間(うちうかん)に充満(じゆうまん)せる邪神(じやしん)は、025その虚(きよ)に乗(じやう)じて体内(たいない)に侵入(しんにふ)し、026ただちにその神格(しんかく)をして変化(へんくわ)せしめ、027悪心(あくしん)欲望(よくばう)をますます増長(ぞうちよう)せしめむとするものなり。028ゆゑに八王(やつわう)大神(だいじん)も常世姫(とこよひめ)も、029天授(てんじゆ)の精魂(せいこん)体内(たいない)を完全(くわんぜん)に支配(しはい)するときは、030じつに智仁勇(ちじんゆう)兼備(けんび)し且(か)つ至聖(しせい)至直(しちよく)の神格者(しんかくしや)となり得(う)る人物(じんぶつ)なり。031邪神(じやしん)の憑依(ひやうい)せしときの二人(ふたり)は、032俄然(がぜん)狂暴(きやうばう)となり、033時(とき)に由(よ)つては意外(いぐわい)の卑怯者(ひけふもの)と変(へん)ずることあり。034如何(いか)に善良(ぜんりやう)なる神人(しんじん)といへども、035その心中(しんちゆう)に空虚(くうきよ)あり、036執着(しふちやく)あり、037欲望(よくぼう)あるときは直様(すぐさま)邪神(じやしん)の容器(いれもの)となる。038実(じつ)に恐(おそ)るべきは心(こころ)の持方(もちかた)なりける。039これに反(はん)し、040至誠(しせい)一貫(いつくわん)わづかの執着心(しふちやくしん)も欲望(よくばう)もなき神人(しんじん)は、041いかなる場合(ばあひ)にも恐怖(きようふ)し嗟嘆(さたん)し失望(しつばう)することなく、042行成彦(ゆきなりひこ)のごとく、043敵城(てきじやう)にありながら少(すこ)しも恐(おそ)れず滔々(たうたう)として所信(しよしん)を述(の)べ、044その目的(もくてき)の達成(たつせい)に努力(どりよく)を吝(をし)まず、045その使命(しめい)を完全(くわんぜん)に遂行(すゐかう)することを得(う)るものなり。
046 常世彦(とこよひこ)は悠々(いういう)せまらず静(しづ)かに壇上(だんじやう)に行儀(ぎやうぎ)正(ただ)しく佇立(ちよりつ)し、047温顔(をんがん)に溢(あふ)るるばかりの笑(ゑみ)を湛(たた)へて両手(りやうて)を揃(そろ)へて卓上(たくじやう)におき、048ややうつむき気味(きみ)になりて、049諸神人(しよしん)の面上(めんじやう)を見(み)るごとく見(み)ざるごとく、050諄々(じゆんじゆん)として口演(こうえん)を始(はじ)めたり。
051『あゝ満場(まんぢやう)の諸神司(しよしん)ら、052吾(わ)が最(もつと)も敬愛(けいあい)するところの八王(やつわう)をはじめ、053慈愛(じあい)と正義(せいぎ)の権化(ごんげ)とも称(とな)ふべき神人(かみがみ)らの前(まへ)に、054謹(つつし)ンで吾(わ)が胸中(きようちう)に深(ふか)く永年(ながねん)納(をさ)めおきたる赤心(せきしん)を吐露(とろ)し、055もつてその同情(どうじやう)ある御(ご)了解(れうかい)を得(え)て、056這般(しやはん)の大会議(だいくわいぎ)の目的(もくてき)を世界(せかい)平和(へいわ)のために達成(たつせい)せむことを、057天地(てんち)の神明(しんめい)に誓(ちか)ひ、058至誠(しせい)をもつて貫徹(くわんてつ)せむことを希望(きばう)する次第(しだい)であります。059そもそも、060宇宙(うちう)の大元霊(だいげんれい)たる大国治立(おほくにはるたちの)命(みこと)の大宇宙(だいうちう)を創造(さうざう)し、061太陽(たいやう)、062太陰(たいいん)、063大地(だいち)および、064列星(れつせい)を生(う)み成(な)し洪大(こうだい)無辺(むへん)の神業(しんげふ)を樹(た)て給(たま)ひしは、065万有(ばんいう)一切(いつさい)の生物(せいぶつ)をして、066至安(しあん)至楽(しらく)の世(よ)に永遠(ゑいゑん)無窮(むきう)に栄(さか)え住(すま)はしめ、067かつ宇宙(うちう)の大意志(だいいし)を完全(くわんぜん)に遂行(すゐかう)せしめたまはむが為(ため)であります。068大神(おほかみ)は太陽(たいやう)を造(つく)り、069これに附(ふ)するにその霊魂(れいこん)と、070霊力(れいりよく)と霊体(れいたい)をもつてし、071太陽(たいやう)の世界(せかい)にその守護神(しゆごじん)を任(にん)じたまひ、072太陰(たいいん)にも同(おな)じくその霊魂(れいこん)と霊力(れいりよく)と霊体(れいたい)とを附与(ふよ)して、073各自(かくじ)の守護神(しゆごじん)を定(さだ)めて、074太陽界(たいやうかい)と太陰界(たいいんかい)の永遠(ゑいゑん)無窮(むきう)の保護神(ほごじん)として、075それぞれの尊(たふと)き神(かみ)をして守護(しゆご)せしめたまふ如(ごと)く、076我(わが)地上(ちじやう)にも大国治立(おほくにはるたちの)命(みこと)の分霊(ぶんれい)をして、077これを守護(しゆご)せしめたまふたのであります。078これぞ、079吾々(われわれ)の日夜(にちや)尊敬(そんけい)して止(や)まざる大地(だいち)の主宰(しゆさい)たる国治立(くにはるたちの)命(みこと)であります。080賢明(けんめい)にわたらせらるる諸神司(しよしん)の方々(かたがた)は、081吾々(われわれ)のごとき愚者(ぐしや)の言(げん)は、082耳(みみ)を傾(かたむ)くるの価値(かち)なきものとして一笑(いつせう)に付(ふ)して顧(かへり)みられざるは、083当然(たうぜん)であらうと思(おも)ひます。084しかしながら、085宇宙(うちう)一切(いつさい)のものには凡(すべ)て本末(ほんまつ)がありますから、086幼稚(えうち)極(きは)まる論説(ろんせつ)でありますが、087今日(こんにち)は天地(てんち)開闢(かいびやく)にも比(ひ)すべき神聖(しんせい)祥徴(しやうちよう)の大会議(だいくわいぎ)でありますから、088賢明(けんめい)なる諸神司(しよしん)の特(とく)に御(ご)承知(しようち)のこととは存(ぞん)じながら、089神(かみ)の御(ご)恩徳(おんとく)を讃美(さんび)したてまつるために、090謹(つつし)ンで天地(てんち)根本(こんぽん)の大道(だいだう)より説(と)きはじめた次第(しだい)であります。091そもそも我(わが)地上(ちじやう)の大主宰(だいしゆさい)にまします、092国祖(こくそ)の国治立(くにはるたちの)命(みこと)は、093鋭意(えいい)世界(せかい)の平和(へいわ)と、094進歩(しんぽ)発達(はつたつ)の聖業(せいげふ)を完成(くわんせい)せむと、095不断(ふだん)の努力(どりよく)を続(つづ)けさせたまふは、096諸神司(しよしん)の熟知(じゆくち)さるるところと堅(かた)く信(しん)じて疑(うたが)はざる次第(しだい)であります。097国祖(こくそ)は大慈(だいじ)大悲(だいひ)の大御親(おほみおや)心(ごころ)を発揮(はつき)し、098神人(しんじん)その他(た)の生物(せいぶつ)をして各自(かくじ)そのところを得(え)せしめむと、099大御心(おほみこころ)を日夜(にちや)に砕(くだ)かせたまふは、100吾々(われわれ)は実(じつ)に何(な)ンとも申上(まをしあ)げやうのなき有難(ありがた)きことであつて、101その洪恩(こうおん)に報(むく)いたてまつり、102大神(おほかみ)の御子(みこ)と生(うま)れ出(い)でたる地上(ちじやう)の万有(ばんいう)も、103大神(おほかみ)の御心(みこころ)を心(こころ)として、104吾々(われわれ)はそれぞれ神(かみ)のために、105最善(さいぜん)の努力(どりよく)と奉仕(ほうし)を励(はげ)まねばならぬのであります。106国祖(こくそ)の神(かみ)は、107その御(ご)理想(りさう)を地上(ちじやう)に完全(くわんぜん)に遂行(すゐかう)せむがために、108ここに国魂(くにたま)の神(かみ)を祭(まつ)り、109八王(やつわう)、110八頭(やつがしら)を配置(はいち)し、111もつて神政(しんせい)の完成(くわんせい)を企図(きと)したまひしことは、112諸神司(しよしん)も御(ご)承知(しようち)のことと思(おも)ふのであります。113しかるに、114現今(げんこん)世界(せかい)の状況(じやうきやう)をつらつら思考(しかう)するに、115賢明(けんめい)なる八王(やつわう)、116八頭(やつがしら)の方々(かたがた)の鋭意(えいい)心力(しんりよく)を尽(つく)して治(おさ)めらるる各山(かくざん)各地(かくち)は、117いづれも星(ほし)移(うつ)り月(つき)代(かは)りて、118次第(しだい)に綱紀(かうき)は緩(ゆる)み最早(もはや)収拾(しうしふ)すべからざるに立到(たちいた)つたことは、119直接(ちよくせつ)その任(にん)に当(あた)りたまふ、120諸神司(しよしん)らの熟知(じゆくち)さるるところでありませう。121かくのごとき世界(せかい)の混乱(こんらん)を放任(はうにん)して、122これを修斎(しうさい)せざるは、123果(はた)して国祖(こくそ)の御(ご)聖慮(せいりよ)に叶(かな)ふものでありませうか、124いづれの神司(しんし)らも、125我々(われわれ)としては実(じつ)に申上(まをしあ)げがたき言葉(ことば)でありますが、126これでも、127立派(りつぱ)に国祖(こくそ)の大御心(おほみこころ)を奉体(ほうたい)されてをらるるのでありませうか。128国祖(こくそ)は現代(げんだい)の世界(せかい)の状況(じやうきやう)を見(み)て、129いかに思召(おぼしめ)したまふでありませうか。130吾々(われわれ)は、131深夜(しんや)ひそかに国祖(こくそ)の神(かみ)の大御心(おほみこころ)を推察(すいさつ)したてまつるときは、132熱涙(ねつるい)滂沱(ばうだ)として腮辺(しへん)に伝(つた)ふるを覚(おぼ)えざる次第(しだい)であります。133仁慈(じんじ)に富(と)ませたまふ、134国祖(こくそ)の神(かみ)の御(ご)聖慮(せいりよ)はいかに残念(ざんねん)に思召(おぼしめ)さるるでありませう。135一旦(いつたん)神命(しんめい)を下(くだ)したまひて八王(やつわう)と定(さだ)めたまひし以上(いじやう)は、136その不都合(ふつがふ)なる神政(しんせい)をおこなふ神司(かみがみ)が、137万々一(まんまんいち)ありとしても、138神司(かみがみ)らの体面(たいめん)を重(おも)ンじ、139容易(ようい)にその御(ご)意思(いし)を表白(へうはく)したまはず、140神司(かみがみ)らの本心(ほんしん)に立復(たちかへ)り、141神意(しんい)の神政(しんせい)をおこなふを鶴首(くわくしゆ)して待(ま)たせたまふは、142必定(ひつぢやう)であらうと思(おも)はれます。143アヽ国祖(こくそ)は今日(こんにち)の八王(やつわう)らの、144優柔(いうじう)不断(ふだん)の行動(かうどう)を見(み)て、145日暮(ひくれ)ンとして途(みち)遠(とほ)しの御(ご)感想(かんさう)をいだき、146内心(ないしん)御(ご)落涙(らくるい)の悲惨(ひさん)を嘗(な)めたまはぬでありませうか。147吾々(われわれ)神人(しんじん)の身(み)をもつて、148国祖(こくそ)の大御心(おほみこころ)を拝察(はいさつ)したてまつるは畏(おそ)れ多(おほ)きことではありますが、149大神(おほかみ)は必(かなら)ずや、150各山(かくざん)各地(かくち)の八王(やつわう)の退隠(たいいん)を、151自発(じはつ)的(てき)に敢行(かんかう)するのを希望(きばう)されつつ、152心(こころ)を痛(いた)めさせたまはぬでありませうか。153諸神司(しよしん)はここにおいて、154一(ひと)つ御(ご)熟考(じゆくかう)を願(ねが)はねばなりませぬ』
155と自発(じはつ)的(てき)八王(やつわう)の退隠(たいいん)を慫慂(しようよう)したりける。156並(なみ)ゐる八王(やつわう)、157八頭(やつがしら)は、158国祖(こくそ)を笠(かさ)にきての堂々(だうだう)たる八王(やつわう)大神(だいじん)の論旨(ろんし)にたいして、159一言(いちごん)半句(はんく)も返(かへ)す辞(ことば)なく、160羞恥(しうち)の念(ねん)にかられて太(ふと)き息(いき)を吐(は)くのみなりける。161この時(とき)いかがはしけむ、162八王(やつわう)大神(だいじん)の顔色(がんしよく)俄(にはか)に蒼白(さうはく)となり、163アツ、164と叫(さけ)ンで壇上(だんじやう)に打倒(うちたふ)れたり。165アヽこの結末(けつまつ)は如何(いか)に治(おさ)まるならむか。
166(大正一〇・一二・二一 旧一一・二三 出口瑞月)
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