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霊界物語
霊主体従（第1～12巻）
第4巻（卯の巻）
序
凡例
総説
第1篇 八洲の川浪
第1章 常世会議
第2章 聖地の会議
第3章 使臣の派遣
第4章 乱暴な提案
第5章 議場の混乱
第6章 怪また怪
第7章 涼風凄風
第2篇 天地暗雲
第8章 不意の邂逅
第9章 大の字の斑紋
第10章 雲の天井
第11章 敬神の自覚
第12章 横紙破り
第13章 再転再落
第14章 大怪物
第15章 出雲舞
第3篇 正邪混交
第16章 善言美辞
第17章 殺風景
第18章 隠忍自重
第19章 猿女の舞
第20章 長者の態度
第21章 敵本主義
第22章 窮策の替玉
第4篇 天地転動
第23章 思ひ奇やその一
第24章 思ひ奇やその二
第25章 燕返し
第26章 庚申の眷属
第27章 阿鼻叫喚
第28章 武器制限
第5篇 局面一転
第29章 月雪花
第30章 七面鳥
第31章 傘屋の丁稚
第32章 免れぬ道
第6篇 宇宙大道
第33章 至仁至愛
第34章 紫陽花
第35章 頭上の冷水
第36章 天地開明
第37章 時節到来
第38章 隙行く駒
第7篇 因果応報
第39章 常世の暗
第40章 照魔鏡
第41章 悪盛勝天
第42章 無道の極
第8篇 天上会議
第43章 勧告使
第44章 虎の威
第45章 あゝ大変
第9篇 宇宙真相
第46章 神示の宇宙その一
第47章 神示の宇宙その二
第48章 神示の宇宙その三
第49章 神示の宇宙その四
第50章 神示の宇宙その五
附録 第二回高熊山参拝紀行歌
余白歌
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霊界物語
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霊主体従（第1～12巻）
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第4巻（卯の巻）
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＜＜＜ 七面鳥
(B)
(N)
免れぬ道 ＞＞＞
第三一章
傘屋
(
かさや
)
の
丁稚
(
でつち
)
〔一八一〕
インフォメーション
著者：
出口王仁三郎
巻：
霊界物語 第4巻 霊主体従 卯の巻
篇：
第5篇 局面一転
よみ（新仮名遣い）：
きょくめんいってん
章：
第31章 傘屋の丁稚
よみ（新仮名遣い）：
かさやのでっち
通し章番号：
181
口述日：
1921（大正10）年12月25日（旧11月27日）
口述場所：
筆録者：
近藤貞二
校正日：
校正場所：
初版発行日：
1922（大正11）年3月30日
概要：
舞台：
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です（一部加筆訂正してあります）。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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：
桃上彦はとっさに部下に命じて行成彦一行の出迎えをさせた。
行成彦はまず兄である天使長・広宗彦に目通りしたいと申し出たが、八十猛彦、百猛彦は広宗彦は国祖と会談中である、と言って二人が会うのを妨げた。
一方、桃上彦と常世姫は、広宗彦を強いてともに国祖の前に参上させた。そして常世姫は涙ながらに、行成彦の暴虐をでっちあげて並べ立てた。
国祖は顔色にわかに一変してお怒りの様子を表し、一言も発せずに奥の間に入ってしまった。
行成彦らが常世会議で平和統一の成功をおさめ、各地の八王や、八王大神に扮した大道別らとともに凱旋したのを、桃上彦はねたんで国祖に讒言したのであった。
行成彦はようやく兄・広宗彦に会談し、常世会議の様と、大道別や白狐の活躍を意気揚々と報告した。そして、皆が大道別を本物の八王大神と信じている間に、大道別の口を借りて八王大神を引退せしめよう、との策略を持ちかけた。
すると何物かが足早にやってくる足音が廊下から聞こえてきた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
：
備考：
タグ：
データ凡例：
データ最終更新日：
2020-03-05 18:13:34
OBC ：
rm0431
愛善世界社版：
192頁
八幡書店版：
第1輯 440頁
修補版：
校定版：
202頁
普及版：
86頁
初版：
ページ備考：
001
花
(
はな
)
のかんばせ
月
(
つき
)
の
眉
(
まゆ
)
、
002
雪
(
ゆき
)
をあざむく
優美姿
(
みやびすがた
)
の
常世姫
(
とこよひめ
)
も、
003
行成彦
(
ゆきなりひこ
)
の
一行
(
いつかう
)
御
(
ご
)
帰城
(
きじやう
)
あり、
004
との
急報
(
きふはう
)
に
驚異
(
きやうい
)
の
眼
(
め
)
を
見張
(
みは
)
り、
005
不安
(
ふあん
)
の
色
(
いろ
)
を
漂
(
ただよ
)
はしける。
006
この
光景
(
くわうけい
)
を
見
(
み
)
て
取
(
と
)
つたる
桃上彦
(
ももがみひこ
)
は、
007
ただちに
八十
(
やそ
)
猛彦
(
たけひこ
)
、
008
百猛彦
(
ももたけひこ
)
に
目配
(
めくば
)
せしたれば、
009
二人
(
ふたり
)
はうなづきながら
急遽
(
きふきよ
)
表
(
おもて
)
に
駆出
(
かけだ
)
したり。
010
これは
行成彦
(
ゆきなりひこ
)
以下
(
いか
)
の
神人
(
かみがみ
)
を
竜宮城
(
りうぐうじやう
)
に
導
(
みちび
)
くためなりける。
011
二人
(
ふたり
)
は、
012
あまたの
部下
(
ぶか
)
を
率
(
ひき
)
ゐて
一行
(
いつかう
)
を
出迎
(
でむか
)
へ、
013
今回
(
こんくわい
)
の
遠旅
(
ゑんりよ
)
の
使命
(
しめい
)
を
了
(
を
)
へ
無事
(
ぶじ
)
帰城
(
きじやう
)
せられしを
祝
(
しゆく
)
し、
014
かつその
労苦
(
らうく
)
を
謝
(
しや
)
しける。
015
行成彦
(
ゆきなりひこ
)
はまづ
兄
(
あに
)
の
天使長
(
てんしちやう
)
に
拝顔
(
はいがん
)
せむことを
望
(
のぞ
)
みけるに、
016
二人
(
ふたり
)
は
言
(
げん
)
を
設
(
まう
)
けて、
017
ただ
今
(
いま
)
天使長
(
てんしちやう
)
は
国祖
(
こくそ
)
大神
(
おほかみ
)
と
御
(
ご
)
懇談
(
こんだん
)
の
最中
(
さいちう
)
なれば、
018
暫時
(
ざんじ
)
この
城内
(
じやうない
)
に
休息
(
きうそく
)
されたしと
進言
(
しんげん
)
したりける。
019
行成彦
(
ゆきなりひこの
)
命
(
みこと
)
以下
(
いか
)
の
神司
(
かみがみ
)
らは、
020
遠路
(
ゑんろ
)
の
疲労
(
ひらう
)
を
慰
(
ゐ
)
せむとその
言
(
げん
)
にしたがひ、
021
城内
(
じやうない
)
の
別殿
(
べつでん
)
に
入
(
い
)
り
休息
(
きうそく
)
したり。
022
諸神
(
しよしん
)
将卒
(
しやうそつ
)
一同
(
いちどう
)
も
又
(
また
)
竜宮海
(
りうぐうかい
)
に
瀕
(
ひん
)
せる
高楼
(
かうろう
)
に
登
(
のぼ
)
り、
023
春
(
はる
)
の
海面
(
かいめん
)
に
陽炎
(
かげろふ
)
のきらめき
渡
(
わた
)
り
温
(
あたた
)
かき
風
(
かぜ
)
のおもむろに
小波
(
さざなみ
)
の
皺
(
しわ
)
を
海面
(
かいめん
)
にゑがき、
024
水茎
(
みずくき
)
の
文字
(
もじ
)
の
清
(
きよ
)
く
美
(
うつく
)
しく
彩
(
いろど
)
る
長閑
(
のどか
)
な
光景
(
くわうけい
)
を
見
(
み
)
やり、
025
祝
(
いは
)
ひの
酒
(
さけ
)
に
微酔
(
びすゐ
)
の
面
(
おもて
)
をさらしつつ、
026
広宗彦
(
ひろむねひこの
)
命
(
みこと
)
の
招
(
まね
)
き
出
(
だ
)
しをいまや
遅
(
おそ
)
しと
心待
(
こころま
)
ちに
待
(
ま
)
ちゐたり。
027
しかして
行成彦
(
ゆきなりひこ
)
一行
(
いつかう
)
は、
028
先
(
さき
)
だちて
常世姫
(
とこよひめ
)
の
来城
(
らいじやう
)
せることを
夢
(
ゆめ
)
にも
知
(
し
)
らざりにける。
029
広宗彦
(
ひろむねひこの
)
命
(
みこと
)
は
行成彦
(
ゆきなりひこ
)
一行
(
いつかう
)
の
帰城
(
きじやう
)
と
聞
(
き
)
き、
030
一刻
(
いつこく
)
も
早
(
はや
)
く
面会
(
めんくわい
)
して、
031
その
真相
(
しんさう
)
を
聞
(
き
)
かむことを
急
(
いそ
)
ぎたれど、
032
常世姫
(
とこよひめ
)
、
033
桃上彦
(
ももがみひこ
)
の
二人
(
ふたり
)
のために
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず
促
(
うなが
)
されて、
034
国祖
(
こくそ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
参進
(
さんしん
)
したり。
035
常世姫
(
とこよひめ
)
は
国祖
(
こくそ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
恭
(
うやうや
)
しく
低頭
(
ていとう
)
平身
(
へいしん
)
して、
036
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
を
奉伺
(
ほうし
)
し、
037
かつ
八王
(
やつわう
)
大神
(
だいじん
)
および
吾身
(
わがみ
)
の
自由
(
じいう
)
行動
(
かうどう
)
の
律法
(
りつぱふ
)
に
違反
(
ゐはん
)
せることを
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
して
陳謝
(
ちんしや
)
し、
038
速
(
すみ
)
やかに
天地
(
てんち
)
の
律法
(
りつぱふ
)
に
照
(
てら
)
し
厳罰
(
げんばつ
)
に
処
(
しよ
)
せられむことをと
泣
(
な
)
いて
訴
(
うつた
)
へ、
039
かつ
行成彦
(
ゆきなりひこ
)
をはじめ
聖地
(
せいち
)
の
使臣
(
ししん
)
らの
権謀
(
けんぼう
)
術数
(
じゆつすう
)
の
奸手段
(
かんしゆだん
)
を
弄
(
ろう
)
して
大会議
(
だいくわいぎ
)
を
攪乱
(
かくらん
)
し
陋劣
(
ろうれつ
)
極
(
きは
)
まる
手段
(
しゆだん
)
を
用
(
もち
)
ゐて、
040
神司
(
かみがみ
)
らを
煽動
(
せんどう
)
し、
041
つひに
天地
(
てんち
)
の
律法
(
りつぱふ
)
を
破
(
やぶ
)
り、
042
天下
(
てんか
)
にその
暴状
(
ばうじやう
)
と
卑屈
(
ひくつ
)
とのあらむ
限
(
かぎ
)
りを
遺憾
(
ゐかん
)
なく
暴露
(
ばくろ
)
し、
043
聖地
(
せいち
)
の
威厳
(
ゐげん
)
をして、
044
まつたく
地
(
ち
)
に
落
(
おと
)
さしめたりと、
045
虚実
(
きよじつ
)
交々
(
こもごも
)
進言
(
しんげん
)
したり。
046
国祖
(
こくそ
)
は
顔色
(
がんしよく
)
俄
(
にはか
)
に
一変
(
いつぺん
)
し
一言
(
いちごん
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
もなく
奥
(
おく
)
の
一室
(
いつしつ
)
に
入
(
い
)
り
玉
(
たま
)
ひけり。
047
広宗彦
(
ひろむねひこの
)
命
(
みこと
)
、
048
常世姫
(
とこよひめ
)
、
049
桃上彦
(
ももがみひこ
)
は
是非
(
ぜひ
)
なく
退出
(
たいしゆつ
)
して
錦
(
にしき
)
の
館
(
やかた
)
に
引上
(
ひきあ
)
げたり。
050
ここに
行成彦
(
ゆきなりひこ
)
は、
051
今回
(
こんくわい
)
の
常世
(
とこよ
)
会議
(
くわいぎ
)
において、
052
殊勲
(
しゆくん
)
を
建
(
た
)
て
八百
(
はつぴやく
)
八十八
(
はちじふや
)
柱
(
はしら
)
の
神司
(
かみがみ
)
らの
精神
(
せいしん
)
を
統一
(
とういつ
)
し、
053
聖地
(
せいち
)
の
危急
(
ききふ
)
を
根底
(
こんてい
)
より
救
(
すく
)
ひたる
大道別
(
おほみちわけ
)
をはじめ
猿田姫
(
さだひめ
)
、
054
出雲姫
(
いずもひめ
)
を
先導
(
せんだう
)
に、
055
八王
(
やつわう
)
八頭
(
やつがしら
)
を
従
(
したが
)
へ
天
(
てん
)
にも
昇
(
のぼ
)
る
心地
(
ここち
)
して、
056
得々
(
とくとく
)
とし
意気
(
いき
)
昇天
(
しようてん
)
の
勢
(
いきほひ
)
をもつて、
057
衆望
(
しうばう
)
を
一身
(
いつしん
)
に
集
(
あつ
)
め、
058
八王
(
やつわう
)
大神
(
だいじん
)
なる
大道別
(
おほみちわけ
)
とともに
潔
(
いさぎよ
)
く
帰城
(
きじやう
)
したるなりき。
059
この
光景
(
くわうけい
)
を
窺知
(
きち
)
したる
桃上彦
(
ももがみひこ
)
は
嫉妬
(
しつと
)
の
念
(
ねん
)
押
(
おさ
)
ふるに
由
(
よし
)
なく
如何
(
いか
)
にもして
行成彦
(
ゆきなりひこ
)
を
聖地
(
せいち
)
より
排除
(
はいじよ
)
せむと、
060
ここに
常世姫
(
とこよひめ
)
と
計
(
はか
)
り、
061
国祖
(
こくそ
)
に
虚実
(
きよじつ
)
交々
(
こもごも
)
言辞
(
げんじ
)
をたくみに
讒言
(
ざんげん
)
したるなり。
062
聖地
(
せいち
)
に
今回
(
こんくわい
)
参向
(
さんかう
)
したる、
063
八王
(
やつわう
)
以下
(
いか
)
は、
064
モスコーの
道貫彦
(
みちつらひこ
)
、
065
南高山
(
なんかうざん
)
の
大島別
(
おほしまわけ
)
および
玉純彦
(
たますみひこ
)
、
066
森鷹彦
(
もりたかひこ
)
の
四神司
(
ししん
)
と
聖地
(
せいち
)
の
神司
(
かみがみ
)
らより
外
(
ほか
)
には、
067
八王
(
やつわう
)
大神
(
だいじん
)
を
大道別
(
おほみちわけ
)
の
偽
(
にせ
)
八王
(
やつわう
)
大神
(
だいじん
)
たりしことを
知
(
し
)
るものなかりける。
068
ここに
行成彦
(
ゆきなりひこ
)
は、
069
広宗彦
(
ひろむねひこの
)
命
(
みこと
)
、
070
事足姫
(
ことたるひめ
)
に
謁見
(
えつけん
)
をもとめ、
071
常世城
(
とこよじやう
)
における
大成功
(
だいせいこう
)
を
詳細
(
しやうさい
)
に
物語
(
ものがた
)
り、
072
かつ
大江山
(
たいこうざん
)
の
鬼武彦
(
おにたけひこ
)
をはじめ、
073
高倉
(
たかくら
)
と
旭
(
あさひ
)
の
殊勲
(
しゆくん
)
を
物語
(
ものがた
)
り、
074
なほモスコーの
宰相
(
さいしやう
)
たりし
大道別
(
おほみちわけ
)
の
永年
(
ながねん
)
の
苦心
(
くしん
)
より、
075
つひに
八王
(
やつわう
)
大神
(
だいじん
)
の
替玉
(
かへだま
)
に
選
(
えら
)
まれ、
076
八王
(
やつわう
)
大神
(
だいじん
)
および
大自在天
(
だいじざんてん
)
の
大陰謀
(
だいいんぼう
)
を
根底
(
こんてい
)
より
覆
(
くつが
)
へし、
077
各山
(
かくざん
)
各地
(
かくち
)
の
八王
(
やつわう
)
以下
(
いか
)
を、
078
心底
(
しんてい
)
より
帰順
(
きじゆん
)
せしめたることを、
079
一々
(
いちいち
)
詳細
(
しやうさい
)
に
物語
(
ものがた
)
りける。
080
広宗彦
(
ひろむねひこの
)
命
(
みこと
)
は、
081
弟
(
おとうと
)
の
捷報
(
せふほう
)
を
一々
(
いちいち
)
聞
(
き
)
き
終
(
をは
)
りて
歓喜
(
くわんき
)
するならむと、
082
従臣
(
じゆうしん
)
一行
(
いつかう
)
は
御
(
おん
)
兄
(
あに
)
の
様子
(
やうす
)
を
窺
(
うかがひ
)
居
(
ゐ
)
たり。
083
されど
広宗彦
(
ひろむねひこの
)
命
(
みこと
)
の
面上
(
めんじやう
)
には、
084
何
(
なん
)
となく
暗影
(
あんえい
)
のさし
居
(
を
)
ることは
歴然
(
れきぜん
)
として
表
(
あら
)
はれ
居
(
ゐ
)
たり。
085
行成彦
(
ゆきなりひこ
)
をはじめ
御
(
おん
)
母
(
はは
)
の
事足姫
(
ことたるひめ
)
は、
086
不審
(
ふしん
)
に
堪
(
た
)
へざるもののごとし。
087
広宗彦
(
ひろむねひこの
)
命
(
みこと
)
はやうやく
口
(
くち
)
を
開
(
ひら
)
き、
088
『
大道別
(
おほみちわけ
)
はいま
何処
(
いづこ
)
にありや』
089
と
尋
(
たづ
)
ねけるに、
090
行成彦
(
ゆきなりひこ
)
は
何心
(
なにごころ
)
なく、
091
『ただいま
別殿
(
べつでん
)
に
諸神司
(
しよしん
)
に
護
(
まも
)
られ、
092
八王
(
やつわう
)
大神
(
だいじん
)
となりて
休息
(
きうそく
)
せり。
093
しかして
諸神司
(
しよしん
)
の
大部分
(
だいぶぶん
)
は
八王
(
やつわう
)
大神
(
だいじん
)
常世彦
(
とこよひこ
)
と
確信
(
かくしん
)
しつつあり。
094
この
機
(
き
)
を
逸
(
いつ
)
せず、
095
彼
(
かれ
)
の
口
(
くち
)
をもつて
八王
(
やつわう
)
大神
(
だいじん
)
を
辞職
(
じしよく
)
せしめ、
096
諸神司
(
しよしん
)
をして
御
(
おん
)
兄
(
あに
)
の
直属
(
ちよくぞく
)
のもとに
帰順
(
きじゆん
)
せしむるの
神策
(
しんさく
)
確立
(
かくりつ
)
せり。
097
兄上
(
あにうへ
)
よ
歓
(
よろこ
)
ばせたまへ』
098
と
一切
(
いつさい
)
の
秘密
(
ひみつ
)
を
打
(
う
)
ち
明
(
あ
)
けたる
折
(
をり
)
しも、
099
廊下
(
らうか
)
に
小
(
ちい
)
さき
足音
(
あしおと
)
聞
(
きこ
)
えきたりぬ。
100
はたして
何人
(
なにびと
)
の
立聞
(
たちぎ
)
きならむか。
101
兄弟
(
きやうだい
)
二人
(
ふたり
)
は
声
(
こゑ
)
をひそめて、
102
その
足音
(
あしおと
)
のする
方
(
はう
)
に
耳
(
みみ
)
をかたむけたり。
103
天
(
てん
)
に
口
(
くち
)
あり
壁
(
かべ
)
に
耳
(
みみ
)
あり、
104
慎
(
つつし
)
むべきは、
105
密談
(
みつだん
)
なりける。
106
（
大正一〇・一二・二五
旧一一・二七
クリスマスの日
近藤貞二
録）
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