霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サブスクのお知らせ
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第二章 猛獣(まうじう)会議(くわいぎ)〔八九三〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第32巻 海洋万里 未の巻 篇:第1篇 森林の都 よみ(新仮名遣い):しんりんのみやこ
章:第2章 猛獣会議 よみ(新仮名遣い):もうじゅうかいぎ 通し章番号:893
口述日:1922(大正11)年08月22日(旧06月30日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年10月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
宣伝歌を歌いながらアマゾンの大森林に進み入った鷹依姫一行の前に、大きな兎の一族が現れた。兎の長老は、月の大神のお示しにより、宣伝使たちがやってくることを知り、自分たちを助けてくれるように懇願しに迎え出たのだという。
この時雨の森は、太古に月の大神から兎一族に与えられた楽園であったが、アダムとエバの霊魂から発生した八岐大蛇とその眷属が跋扈し、モールバンドやエルバンドのような怪物となって兎一族を餌食とし暴威を振るっているという。
竜国別は兎の長老の請いを容れて、兎一族の都に向かうこととなった。兎たちは怪物や猛獣を避けて、広い湖をめぐらした、四方を丘に囲まれた安全地帯に住んでいた。兎一族は、湖のほとりに棲む数多の鰐族と同盟を結び、互いに怪物や猛獣に対する守りを固めていた。
モールバンドとエルバンドは、兎たちがここに居を定めてから、兎を食べることができなくなってしまった。そのため、代わりに獅子、虎、狼、熊などの猛獣を食らっていた。
あるとき、モールバンドはエルバンドを使者として、猛獣の集まる森林の都の獅子王に遣わした。モールバンドとエルバンドは、獅子王に、猛獣の軍隊を引き連れて兎の都を襲い、兎を食料として提供することを要求した。
この要求を飲まなければ、モールバンドとエルバンドは猛獣を手当たり次第に取り食らうという脅迫も含んでいた。獅子王は、熊、狼、虎、大蛇、鷲などの猛獣の頭を集めて協議をなした。
モールバンド・エルバンドに従うか抗戦するかで議論は紛糾したが、獅子王は結局、強敵に立ち向かうよりも、弱い兎を攻めて自分たちの命をつなぐ方を選択した。猛獣たちの軍はただちに兎の都に向かって進撃した。
兎の王はそうとは知らず、鷹依姫、竜国別、テーリスタン、カーリンスの宣伝使たちを饗応していた。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-04-23 19:52:09 OBC :rm3202
愛善世界社版:18頁 八幡書店版:第6輯 157頁 修補版: 校定版:18頁 普及版:7頁 初版: ページ備考:
001 鷹依姫(たかよりひめ)002竜国別(たつくにわけ)一行(いつかう)宣伝歌(せんでんか)をうたひ(なが)ら、003数百万(すうひやくまん)(ねん)秘密(ひみつ)(こも)りたる南岸(なんがん)森林(しんりん)(すす)()る。004(しか)(なが)人跡(じんせき)なき(この)森林(しんりん)も、005(おも)ひの(ほか)雑草(ざつさう)(すくな)く、006(そら)はあらゆる大木(たいぼく)(おほ)はれて、007日月(じつげつ)(ひかり)()(こと)(はなは)(まれ)であつた。
008 一本(いつぽん)大木(たいぼく)()へば周囲(しうゐ)百丈(ひやくぢやう)(あま)りもあり、009(たか)数百丈(すうひやくぢやう)(およ)び、010樹上(じゆじやう)には猩々(しやうじやう)011猅々(ひひ)012野猿(やえん)(るゐ)(むれ)をなし、013果物(くだもの)常食(じやうしよく)として()なりに安心(あんしん)生活(せいくわつ)をつづけ、014(その)種族(しゆぞく)益々(ますます)繁殖(はんしよく)させ、015(いた)(ところ)(さる)(さけ)(ごゑ)(みみ)をつんざく(ばか)(あや)しく(きこ)えて()る。
016 二三尺(にさんじやく)(ばか)りの大蜥蜴(おほとかげ)時々(ときどき)一行(いつかう)(みち)(さへぎ)り、017開闢(かいびやく)以来(いらい)()(こと)もなき(ひと)姿(すがた)()て、018(おどろ)いて()(かく)るるもあり、019(なか)には飛付(とびつ)()るもあり、020(その)()異様(いやう)爬虫族(はちうぞく)021(さき)(あらそ)うて()(かく)るる(おと)022ザワザワと谷川(たにがは)水流(すゐりう)(ごと)くに(きこ)(きた)る。023(この)(とき)白毛(はくまう)(うさぎ)一群(ひとむれ)024(だい)なるは現代(げんだい)(うし)(ごと)きもの、025ノソノソと一行(いつかう)(まえ)宣伝歌(せんでんか)(たづ)ねて(きた)り、026両足(りやうあし)(まへ)行儀(ぎやうぎ)よく(なら)べて(なみだ)(なが)(なが)ら、
027(うさぎ)(わたくし)(この)森林(しんりん)神代(かみよ)(むかし)より永住(えいぢゆう)(いた)しまする(うさぎ)(をさ)(ござ)います。028(この)(とほ)数多(あまた)種族(しゆぞく)引連(ひきつ)れ、029あなた(さま)一行(いつかう)()(くだ)りを(つき)大神(おほかみ)(さま)より()(しめ)しに(あづか)り、030ここに(つつし)んでお(むか)へに(まゐ)りました。031あなたは三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)鷹依姫(たかよりひめ)(さま)032竜国別(たつくにわけ)(さま)()一行(いつかう)(ござ)いませう。033何卒(なにとぞ)この森林(しんりん)()踏査(たうさ)(くだ)さいまして、034吾々(われわれ)安逸(あんいつ)一生(いつしやう)(おく)()らるる(やう)035()(まも)りの(ほど)(ひとへ)(ねが)()(たてまつ)ります』
036慇懃(いんぎん)(たの)()るにぞ、037竜国別(たつくにわけ)は、
038竜国別『ヤア(はじ)めて()()にかかります。039あなたは(この)森林(しんりん)(なが)らく()住居(すまゐ)なさると()きましたが、040大変(たいへん)険呑(けんのん)(ところ)(ござ)いますなア』
041『ハイ御存(ごぞん)じの(とほ)り、042(この)時雨(しぐれ)(もり)は、043(その)(むかし)吾々共(われわれども)種族(しゆぞく)(つき)大神(おほかみ)(さま)より千代(ちよ)棲処(すみか)として(あた)へられたもので(ござ)いますが、044アダム、045エバの(みたま)より発生(はつせい)したる八岐(やまた)大蛇(をろち)一族(いちぞく)(はじ)悪鬼(あくき)悪狐(あくこ)子孫(しそん)益々(ますます)跋扈(ばつこ)して、046(つひ)にはモールバンドやエルバンドの(ごと)怪獣(くわいじう)()(かは)り、047吾々(われわれ)一同(いちどう)のものを餌食(ゑじき)(いた)し、048(いま)(ほとん)(ほろ)ぼされて(しま)ひ、049(この)数百(すうひやく)()大森林(だいしんりん)棲処(すみか)(おい)て、050(じつ)数千頭(すうせんとう)(かげ)(とど)むるのみ、051(じつ)吾々(われわれ)悲惨(ひさん)生活(せいくわつ)をつづけ、052戦々(せんせん)兢々(きようきよう)として、053一時(いつとき)()安楽(あんらく)生活(せいくわつ)(おく)(こと)出来(でき)ないので(ござ)います。054(くは)ふるに、055(とら)056(おほかみ)057獅子(しし)058(くま)059大蛇(をろち)060(わし)などの連中(れんぢう)が、061常世(とこよ)(くに)のロツキー(ざん)方面(はうめん)より、062常世(とこよ)会議(くわいぎ)のありし(のち)063(この)森林(しんりん)()(きた)り、064(われ)()種族(しゆぞく)餌食(ゑじき)(いた)し、065暴虐(ばうぎやく)無道(ぶだう)(その)振舞(ふるまひ)066(じつ)名状(めいじやう)(べか)らざる惨状(さんじやう)(ござ)います。067何卒(なにとぞ)あなた(がた)()神力(しんりき)(もつ)(この)森林(しんりん)悪獣(あくじう)068悪蛇(あくだ)069悪鳥(あくてう)言向和(ことむけやは)し、070動物(どうぶつ)一切(いつさい)相和(あひわ)相親(あひした)しみ、071天与(てんよ)恩恵(おんけい)永遠(えいゑん)(たの)しむ(やう)072()りなしを(ひとへ)(こひねが)(たてまつ)ります』=兎は月神を祭る民族の意=
073竜国別委細(ゐさい)承知(しようち)(いた)した。074(しか)らば、075(これ)より(その)(はう)吾々(われわれ)先導(せんだう)になつて、076第一(だいいち)猛獣(まうじう)棲処(すみか)案内(あんない)(いた)せ。077惟神(かむながら)神法(しんぱふ)(もつ)て、078(かれ)()(ぜん)(みちび)き、079(あく)()(あらた)めしめ、080(この)森林(しんりん)をして(たちま)天国(てんごく)楽園(らくゑん)(くわ)せしめむ。081あゝ面白(おもしろ)面白(おもしろ)し……母上(ははうへ)(さま)082(めう)なことになつて(まゐ)りました。083サア兎殿(うさぎどの)084案内(あんない)()されよ』
085『ハイ、086早速(さつそく)()承知(しようち)087吾々(われわれ)一族(いちぞく)(じつ)蘇生(そせい)(おも)ひを(いた)します』
088()(なが)ら、089大兎(おほうさぎ)数多(あまた)団体(だんたい)(ひき)ゐ、090鷹依姫(たかよりひめ)一行(いつかう)前後(ぜんご)警護(けいご)しつつ森林(しんりん)(ふか)(すす)()く。
091 数多(あまた)(うさぎ)(おく)られて、092鷹依姫(たかよりひめ)一行(いつかう)(てん)(ふう)じて()てる森林(しんりん)(なか)を、093意気(いき)揚々(やうやう)半日(はんにち)(ばか)(すす)()く。094此処(ここ)には(やや)展開(てんかい)された樹木(じゆもく)のなき空地(あきち)がある。095(ほとん)(じふ)()四方(しはう)(あいだ)(あま)(ふと)樹木(じゆもく)もなく、096針葉樹(しんえうじゆ)小高(こだか)(をか)四方(しはう)(つつ)み、097(あだか)青垣山(あをがきやま)屏風(びやうぶ)引廻(ひきまは)せし(ごと)安全(あんぜん)地帯(ちたい)である。
098 (うさぎ)一族(いちぞく)(わづか)(この)地帯(ちたい)永住処(えいぢうしよ)となして生活(せいくわつ)(つづ)けてゐる。099()はば(うさぎ)(みやこ)である。100(その)(ほとん)中心(ちうしん)に、101聖地(せいち)()ける桶伏山(をけぶせやま)(ごと)(うる)はしき岩石(がんせき)(もつ)自然(しぜん)(つく)られたる霊場(れいぢやう)があり、102そこには(うさぎ)(もつと)尊敬(そんけい)する(つき)大神(おほかみ)(みや)儼然(げんぜん)として()てられてある。
103 (この)(きよ)宮山(みややま)(めぐ)清鮮(せいせん)(みづ)(たた)へた(ひろ)(うみ)(ほとり)には、104大小(だいせう)無数(むすう)(わに)=鰐は武人の群=が棲息(せいそく)し、105(わに)(うさぎ)両族(りやうぞく)(たがひ)相提携(あひていけい)して天与(てんよ)恩恵(おんけい)(たのし)んでゐる。106つまり(この)(わに)森林(しんりん)持主(もちぬし)たる(うさぎ)眷属(けんぞく)とも()ふべきものにして、107(うさぎ)(くに)軍隊(ぐんたい)(ごと)用務(ようむ)従事(じうじ)してゐるのである。
108 モールバンド、109エルバンドの怪獣(くわいじう)(うさぎ)(しよく)する(こと)(もつと)(この)み、110日夜(にちや)(その)(こと)のみに精神(せいしん)傾注(けいちゆう)して()る。111されど(うさぎ)最早(もはや)(この)安全(あんぜん)地帯(ちたい)(あつ)まりし(こと)とて、112巨大(きよだい)なる肉体(にくたい)(いう)するモールバンドは、113数多(あまた)密生(みつせい)したる樹木(じゆもく)(さへぎ)られて、114ここに侵入(しんにふ)するを()なくなつて(しま)つた。115如何(いか)にエルバンドと(いへど)も、116アマゾン(がは)(きし)より(くび)()ばし、117ここ(まで)(とど)かす(こと)到底(たうてい)出来(でき)ない。118それ(ゆゑ)()むを()ず、119(あま)(この)まざる(にく)ながら(とら)120(おほかみ)121(くま)122獅子(しし)(など)捕喰(とりくら)ひ、123(わづ)かに(その)(うゑ)(しの)ぎつつあるのである。
124 或時(あるとき)モールバンドはエルバンドを使者(ししや)として、125猛獣(まうじう)(あつ)まる森林(しんりん)(みやこ)126獅子(しし)巣窟(さうくつ)(むか)つて使(つか)ひせしめ、127ここに談判(だんぱん)開始(かいし)する(こと)となつた。128(その)談判(だんぱん)要領(えうりやう)()(とほ)りである。
129獅子王(ししわう)『あなたはモールバンド(さま)()使者(ししや)エルバンド(さま)130()くこそ()入来(じゆらい)(くだ)さいました。131()いては今日(こんにち)御用(ごよう)(おもむき)132何卒(なにとぞ)(つぶ)さに()(はな)(くだ)さいませ』
133エルバンド『吾々(われわれ)今日(こんにち)使者(ししや)として獅子王(ししわう)(みやこ)(まゐ)りしは、134()()では御座(ござ)らぬ。135(わが)統領(とうりやう)のモールバンド(さま)136アマゾン(がは)数多(あまた)眷族(けんぞく)()()(あそ)ばし、137(うさぎ)(とら)へて常食(じやうしよく)となし(たま)ふ。138吾々(われわれ)(また)139(うさぎ)(もつ)最上(さいじやう)美味(びみ)(いた)して()るもの、140(しか)るに(この)(ごろ)(うさぎ)(かげ)()(まを)さず、141(はなはだ)(もつ)吾々(われわれ)一族(いちぞく)困窮(こんきう)(いた)して()次第(しだい)御座(ござ)います。142()いては獅子王(ししわう)殿(どの)(ひと)つの談判(だんぱん)があつて、143ワザワザここに使者(ししや)として、144エルバンド出張(しゆつちやう)(つかまつ)りました。145(その)理由(りいう)とする(ところ)は、146獅子王(ししわう)()(もつ)て、147(くま)148(とら)149(おほかみ)使(つか)ひ、150(うさぎ)(みやこ)侵入(しんにふ)し、151(かれ)()生捕(いけどり)にし、152()数百(すうひやく)(うさぎ)をモールバンド(さま)()献上(けんじやう)ありたし。153(しか)らざれば(くま)154鹿(しか)155(とら)156(おほかみ)157()むを()ざれば、158獅子(しし)一族(いちぞく)をも、159手当(てあた)次第(しだい)捕喰(とりくら)ふべしとの厳命(げんめい)御座(ござ)いますれば、160(すみや)かに(いな)やの()返答(へんたふ)(うけたま)はりたう御座(ござ)います』
161獅子王『これはこれは、162何事(なにごと)かと(おも)へば、163(おも)ひもよらぬ(おん)(あふ)せ、164吾々(われわれ)一族(いちぞく)(とら)165(おほかみ)166(くま)167獅子(しし)区別(くべつ)なく、168日夜(にちや)モールバンド(さま)部下(ぶか)(とら)へられ、169()幾百(いくひやく)となく生命(せいめい)()たれ、170捕喰(とりくら)はれ、171(じつ)困憊(こんぱい)(きよく)(たつ)して()りまする。172(つい)ては吾々(われわれ)四足(よつあし)一族(いちぞく)(ここ)大軍隊(だいぐんたい)組織(そしき)し、173北岸(ほくがん)森林(しんりん)同志(どうし)相謀(あひはか)り、174(かは)差挟(さしはさ)んでモールバンド、175エルバンドの軍隊(ぐんたい)一匹(いつぴき)(のこ)らず殲滅(せんめつ)()れむと日夜(にちや)肝胆(かんたん)(くだ)き、176(いま)協議(けふぎ)真最中(まつさいちう)御座(ござ)れば、177早速(さつそく)(この)返答(へんたふ)(いた)(がた)し。178()返事(へんじ)は、179()つてアマゾン(がは)(きし)使者(ししや)(つか)はし、180()(こた)(まを)さむ。181(この)()一先(ひとま)()(かへ)りあらむ(こと)希望(きばう)(いた)します』
182エルバンド(しか)らば是非(ぜひ)(およ)ばぬ。183(いち)()(はや)協議(けふぎ)()げ、184()返事(へんじ)あらむことを希望(きばう)(いた)します』
185()()て、186長大(ちやうだい)なる巨躯(きよく)(ひる)(ごと)伸縮(しんしゆく)させ、187のそりのそりと獅子王(ししわう)(みやこ)(あと)に、188アマゾン(がは)のモールバンドの本陣(ほんぢん)(きこ)えたる寝覚(ねざめ)(ふち)()して(かへ)()く。
189 あとに獅子王(ししわう)数多(あまた)()足族(あしぞく)獅子(しし)(みやこ)召集(せうしふ)し、190一大(いちだい)会議(くわいぎ)開催(かいさい)する(こと)となりぬ。
191 獅子王(ししわう)はエルバンドの使者(ししや)(かへ)つた(のち)192(ただ)ちに使獅子(つかひじし)森林(しんりん)各処(かくしよ)派遣(はけん)し、193熊王(くまわう)194狼王(おほかみわう)195(とら)(わう)196大蛇(をろち)(かしら)197(わし)(わう)などを代表者(だいへうしや)として召集(せうしふ)し、198獅子王(ししわう)(やかた)(おい)大会議(だいくわいぎ)(ひら)(こと)となつた。199()ならずして各獣(かくじう)代表者(だいへうしや)(あつ)まり(きた)る。
200 山桃(やまもも)(はやし)(もと)大会議(だいくわいぎ)(ひら)かれた。201獅子王(ししわう)()開会(かいくわい)挨拶(あいさつ)をなし(をは)つて、
202獅子王『モールバンドの使者(ししや)(もたら)した申込(まをしこ)みに(たい)し、203各自(かくじ)意見(いけん)吐露(とろ)し、204最善(さいぜん)方法(はうはふ)協議(けふぎ)されむ(こと)(のぞ)む』
205()(なが)ら、206諄々(じゆんじゆん)として一伍(いちぶ)一什(しじふ)経緯(いきさつ)物語(ものがた)れば、207(ここ)熊王(くまわう)(すす)()て、208()(つばき)憤然(ふんぜん)として雄猛(をたけ)びし、209巨大(きよだい)なる()(みは)りつつ、
210熊王皆様(みなさま)211如何(いかが)御座(ござ)いませう。212吾々(われわれ)()足族(あしぞく)は、213今日迄(こんにちまで)(たがひ)反噬(はんぜい)(たくま)しうし、214優勝(いうしよう)劣敗(れつぱい)215弱肉(じやくにく)強食(きやうしよく)戦闘(せんとう)(つづ)けて(まゐ)りました。216(ところ)仁愛(じんあい)(ふか)獅子王(ししわう)(さま)()威勢(ゐせい)()尽力(じんりよく)()り、217(たがひ)(その)範囲(はんゐ)(をか)さず、218(くま)(くま)団体(だんたい)219(おほかみ)(おほかみ)220(へう)(へう)221大蛇(をろち)大蛇(をろち)222(とら)(とら)(おのおの)部落(ぶらく)(つく)り、223(この)森林(しんりん)(やうや)無事(ぶじ)太平(たいへい)(をさ)まり、224(から)うじて(さる)()り、225(うさぎ)捕獲(ほくわく)し、226吾々(われわれ)獣族(じうぞく)(やうや)(その)生命(せいめい)(たも)つて()たのである。227(しか)るに(この)(ごろ)モールバンド、228エルバンドの一族(いちぞく)229アマゾン(がは)より()(あが)(きた)り、230(われ)()部落(ぶらく)(をか)(こと)一再(いつさい)ならず、231(わが)種族(しゆぞく)()(まくら)(たか)くし安眠(あんみん)する(こと)出来(でき)ない惨状(さんじやう)御座(ござ)います。232(しか)るに(なん)ぞや、233悪虐(あくぎやく)益々(ますます)(はなは)だしく、234()数百頭(すうひやくとう)(うさぎ)(みつぎ)せざれば、235吾々(われわれ)種族(しゆぞく)()(くら)ふべしとの酷烈(こくれつ)なる要求(えうきう)236どうして(これ)吾々(われわれ)として(おう)じられませうか。237吾々(われわれ)仮令(たとへ)種族(しゆぞく)全滅(ぜんめつ)(やく)()ふとも、238(たゆ)まず(くつ)せず一戦(いつせん)(こころ)み、239勝敗(しようはい)(けつ)せむ覚悟(かくご)御座(ござ)る。240皆様(みなさま)()(かんが)へは如何(いかが)御座(ござ)いますか』
241(いき)荒々(あらあら)しく()()つる。242狼王(おほかみわう)(ただ)ちに(くち)(ひら)き、
243狼王熊王(くまわう)(さま)()意見(いけん)244(じつ)御尤(ごもつと)至極(しごく)では御座(ござ)いまするが、245どう(かんが)へても強者(きやうしや)(たい)する吾々(われわれ)(ごと)弱者(じやくしや)として、246(たたか)ふなどとは(おも)ひも()らぬ拙劣(せつれつ)なる(さく)では御座(ござ)いますまいか。247常世(とこよ)会議(くわいぎ)(おい)(わが)祖先(そせん)(つばさ)をそがれ、248最早(もはや)空中(くうちう)飛行(ひかう)自由(じいう)(うしな)ひし吾々(われわれ)()足族(あしぞく)249如何(いか)獅子(しし)奮迅(ふんじん)(いきほひ)にて攻撃(こうげき)(いた)すとも、250暴虎(ぼうこ)馮河(ひようが)(ゆう)あるとも、251豺狼(さいらう)奸策(かんさく)(ろう)するとも、252到底(たうてい)(およ)(がた)議論(ぎろん)だと(かんが)へます。253()かず(かれ)要求(えうきう)()部下(ぶか)駆使(くし)して(うさぎ)捕獲(ほくわく)し、254モールバンドに日々(にちにち)これを(みつ)ぎ、255(われ)()一族(いちぞく)大難(だいなん)(まぬが)れるが、256第一(だいいち)(さく)かと(かんが)へます。257勝敗(しようはい)(すう)()かり()つたる(この)戦闘(せんとう)従事(じゆうじ)するは(さく)()たるものではありますまい。258皆様(みなさま)如何(いかが)御座(ござ)いませうか』
259(くび)(かたむ)け、260前足(まへあし)(うで)(ごと)くに()みながら、261心配(しんぱい)げに()べ立てる。
262 虎王(とらわう)(うで)()み、263(ひげ)(つゆ)をもたせ、264巨眼(きよがん)をクワツと見開(みひら)き、265言葉(ことば)重々(おもおも)しく、
266虎王吾々(われわれ)(かんが)ふる(ところ)()れば、267如何(いか)弱肉(じやくにく)強食(きやうしよく)(ほしいまま)にするモールバンドなればとて、268吾々(われわれ)種族(しゆぞく)殲滅(せんめつ)することは出来(でき)ますまい。269吾々(われわれ)天地(てんち)(かみ)水火(いき)(もつ)(うま)れ、270(かみ)精霊(せいれい)宿(やど)りしものなれば、271如何(いか)悪虐(あくぎやく)無道(むだう)のモールバンドなればとて、272(みだ)りに暴威(ばうゐ)(たくま)しうし、273(この)森林(しんりん)吾物顔(わがものがほ)占領(せんりやう)する(こと)到底(たうてい)不可能(ふかのう)でせう。274(えう)するに(かれ)()如何(いか)なる(こと)申込(まをしこ)(きた)るとも虎耳(こじ)狼風(らうふう)聞流(ききなが)し、275相手(あひて)にならず、276打棄(うちす)ておく(はう)獅子(しし)志士(しし))の本分(ほんぶん)御座(ござ)らう。277……熊王殿(くまわうどの)278豹王殿(へうわうどの)279大蛇(をろち)頭殿(かしらどの)280諸君(しよくん)()意見(いけん)如何(いかが)御座(ござ)りますか』
281大蛇(をろち)(かしら)吾々(われわれ)如何(いか)剽悍(へうかん)決死(けつし)(ゆう)ありとも、282モールバンドの一族(いちぞく)283完全(くわんぜん)無欠(むけつ)武器(ぶき)(そな)攻来(せめきた)るに(おい)ては到底(たうてい)(てき)する(こと)出来(でき)ますまい。284()(まで)豺狼(さいらう)(よく)(たくま)しうし、285獅子(しし)奮迅(ふんじん)(いきほひ)(もつ)猛虎(まうこ)(ごと)()(きた)敵軍(てきぐん)286何程(なにほど)準備(じゆんび)(くま)なく(ととの)ふとも、287到底(たうてい)防戦(ばうせん)する(さい)覚束(おぼつか)なき吾々(われわれ)境遇(きやうぐう)288なまじひに強者(きやうしや)(むか)つて(ゆみ)()くよりは、289モールバンドの(めい)(したが)ひ、290(うさぎ)(みやこ)()めのぼり、291(のこ)らずこれを捕獲(ほくわく)し、292モールバンドの(まへ)貢物(みつぎもの)として(ささ)げなば、293(かれ)歓心(くわんしん)()()同情(どうじやう)()294(われ)()種族(しゆぞく)捕喰(とりくら)ふことを(めん)じて()れるでせう。295(じやく)(もつ)(きやう)(あた)るは吾々(われわれ)(とら)ざる(ところ)296一刻(いつこく)(はや)(うさぎ)(みやこ)進撃(しんげき)し、297(かれ)()(ことごと)捕獲(ほくわく)して貢物(みつぎもの)となし、298(われ)()種族(しゆぞく)安全(あんぜん)(たも)つに鹿(しか)ず、299議長(ぎちやう)獅子王(ししわう)殿(どの)300()意見(いけん)如何(いか)がで御座(ござ)るか』
301()めよる。302獅子王(ししわう)(しば)(かうべ)(かたむ)()(あん)にくれてゐたが、303やがて(かしら)(もた)げ、304(おほ)きく(うな)(なが)ら、
305獅子王左様(さやう)御座(ござ)る。306到底(たうてい)勝算(しようさん)なき(てき)(むか)つて(たたかひ)(いど)み、307部下(ぶか)者共(ものども)(ほろぼ)されむよりは、308弱小(じやくせう)なる(うさぎ)(みやこ)()()(かれ)()(ひき)(とら)へ、309(たたかひ)危害(きがい)(のぞ)くに()かず。310鹿(しか)らば(しよ)(くん)(とも)(とき)(うつ)さず一族(いちぞく)引率(いんそつ)し、311(うさぎ)(みやこ)(めぐ)四辺(しへん)(やま)より一斉(いつせい)()()り、312鬼虎(きこ)堂々(だうだう)として(みづうみ)(わた)り、313(うさぎ)(わう)降服(かうふく)せしめ、314一族(いちぞく)犠牲(ぎせい)(きよう)さむ』
315憤然(ふんぜん)として宣示(せんじ)する。316一同(いちどう)獅子王(ししわう)宣示(せんじ)(かへ)言葉(ことば)もなく、317(ただち)軍備(ぐんび)(ととの)数多(あまた)部下(ぶか)引率(いんそつ)し、318(うさぎ)(みやこ)()して進撃(しんげき)することとなりぬ。
319 兎王(うさぎわう)()かる敵軍(てきぐん)襲来(しふらい)せむとは(かみ)ならぬ()()(よし)もなく、320鷹依姫(たかよりひめ)321竜国別(たつくにわけ)322テー、323カーの()(にん)賓客(ひんきやく)(めづら)しき(もの)饗応(きやうおう)し、324数多(あまた)部下(ぶか)(あつ)めて()(をど)(くる)ひつつ()(にん)旅情(りよじやう)(なぐさ)めむと全力(ぜんりよく)(つく)()たりき。
325大正一一・八・二二 旧六・三〇 松村真澄録)
文芸社文庫『あらすじで読む霊界物語』絶賛発売中!
逆リンク(このページにリンクが張られているページ)
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki