高姫は、常彦、春彦、ヨブとともにアマゾンの時雨の森の北の林に到着した。高姫は、この森林に居る鷹依姫一行を助け出そうと森の中を進んで行った。
すると前方より、えもいわれぬ美しさの女が一人現れ、一行に向かって近づいてきた。一行は、すわ妖怪変化かと警戒している。
女は高姫の前に来てお辞儀をした。女は高姫たちがここへくることを知っており、金剛不壊の如意宝珠、紫の玉、黄金の玉、麻邇の宝珠などは、自分の館に神政成就の宝として蓄えられているので献上しようと申し出た。
改心したはずの高姫は、この甘言を聞いてたちまち元の病が再発したごとくに目を丸くして顔を緊張させ、女の話に食いついてきた。世界に二つとない宝が本当にこんなところにあるのかと疑う高姫に対し、女は実地に来てみて調べればわかる、と答えた。
女は鷹依姫たちがどこに居るかも後で教えよう、と言うと、高姫たちを迎える準備をするからしばらく待つようにと言い残して去って行った。
高姫は女を見送って上機嫌で、常彦、春彦、ヨブに自分の神徳をひけらかし始めた。常彦は高姫に合わせて、宝珠が手に入る運びになったことを馬鹿喜びしている。
春彦は、女の耳がビリビリ動いていたことを告げて、高姫と常彦に女は妖怪変化ではないかと懸念を伝え、用心するようにと戒めた。高姫は春彦を叱りつけ、言い争いになってしまう。
春彦とヨブは高姫のもとを去ろうとするが、高姫は二人をあわてて引き留める。高姫の味方をしていた常彦にしても、高姫に同意しているようで実は皮肉っている口調が現れてきてしまっていた。
そこへ先ほどの女が美々しく盛装をこらし、二人の侍女を従えてやってきた。