霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第六章 獅子(しし)粉塵(ふんじん)〔八九七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第32巻 海洋万里 未の巻 篇:第1篇 森林の都 よみ(新仮名遣い):しんりんのみやこ
章:第6章 獅子粉塵 よみ(新仮名遣い):ししふんじん 通し章番号:897
口述日:1922(大正11)年08月22日(旧06月30日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年10月15日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
左守の大兎は立ち上がり、琉球の霊光の出現を祝し、鷹依姫ら四人の宣伝使たちに感謝を顕す歌を歌った。
そこへ、ほとんど瀕死の状態になった兎の一群が、鰐に運ばれてやってきた。竜国別はそばに寄り添って天の数歌を高らかにうたいながら、傷を撫でさすった。そして天津祝詞を唱えて一同の回復を暗祈黙祷した。
すると神徳たちまち現れて、運ばれてきた兎たちの痛みは癒え、傷は回復した。兎たちは竜国別に涙を流して感謝の意を表した。
兎たちは、獅子王の棲み処の森に近づいたところ、猛獣隊に襲われて捕えられ、命を奪われようとしたときに霊光が照らし、猛獣たちは倒れ伏してしまったという。兎たちは命からがら湖まで逃れ、運ばれてきたと報告し、また改めて宣伝使たちに感謝を表した。
兎の都を襲撃した猛獣の大軍は、琉球の霊光に照らされて命からがら、獅子王の本拠であるアラスの森に敗走しつつあった。
戦況報告を待っていた獅子王の下に、禿鷲の王がいち早く戻ってきて、兎方に強力な神威が現れあえなく敗戦した旨を伝えた。獅子王はこれを聞いて悲憤にくれてしまった。
そこへ、風のまにまにどこからともなく宣伝歌が聞こえてきた。それを聞くと獅子王は頭を抱え目をふさぎ、たちまちその場に倒れ伏して苦しみ悶えてしまった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-05-01 18:00:15 OBC :rm3206
愛善世界社版:63頁 八幡書店版:第6輯 172頁 修補版: 校定版:66頁 普及版:24頁 初版: ページ備考:
001 (うさぎ)(わう)側近(そばちか)(つか)へたる左守(さもり)位置(ゐち)にある大兎(おほうさぎ)は、002立上(たちあが)つて感謝(かんしや)()(へう)し、003(また)もやうたひ(はじ)むる。
004左守の兎暗夜(やみよ)()らす(りう)(たま)
005(われ)()(すく)(きう)(たま)
006(ふた)つの(たま)大空(おほぞら)
007月日(つきひ)(ごと)(かがや)きぬ
008(あを)くしぼみし吾々(われわれ)
009(くも)りし(かほ)(たちま)ちに
010(ふた)つの(たま)()威光(ゐくわう)
011(よろこ)(さか)(かがや)きぬ
012あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
013(かみ)(すく)ひか神人(しんじん)
014(われ)()(すく)真心(まごころ)
015(たま)(ひかり)(あら)はれか
016(みなみ)(きた)立並(たちなら)
017屏風(びやうぶ)(みね)山脈(やまなみ)
018(くも)(あつ)して(そび)()
019帽子(ぼうし)(だけ)頂上(ちやうじやう)より
020(みづ)御霊(みたま)神司(かむつかさ)
021言依別(ことよりわけ)大教主(だいけうしゆ)
022国依別(くによりわけ)真人(まさびと)
023(りう)(きう)との神力(しんりき)
024発揮(はつき)(たま)ひて吾々(われわれ)
025(この)(くる)しみを(まつぶ)さに
026(すく)(たま)ひし(こと)(よし)
027(つき)大神(おほかみ)(おん)(まへ)
028(ぬか)づく(をり)しも(しめ)されぬ
029いよいよ(われ)()天地(あめつち)
030(かみ)(をしへ)相守(あひまも)
031(たがひ)()をば(をか)さずに
032(むつ)(した)しみ皇神(すめかみ)
033大慈(だいじ)大悲(だいひ)御心(みこころ)
034(かな)へまつらであるべきや
035(すめ)大神(おほかみ)()けのまに
036(もも)(なや)みを(しの)ぎつつ
037(こころ)岩戸(いはと)打開(うちあ)けて
038遥々(はるばる)此処(ここ)(きた)りまし
039(われ)()(すく)ひの(かみ)となり
040(もも)(なや)みを科戸辺(しなどべ)
041(かぜ)(くま)なく吹払(ふきはら)
042アマゾン(がは)急流(きふりう)
043(なが)(たま)ひし有難(ありがた)
044神徳(しんとく)(たか)鷹依姫(たかよりひめ)
045(うづ)(みこと)神司(かむづかさ)
046竜国別(たつくにわけ)(はじ)めとし
047(こころ)(いろ)もさやさやに
048テーリスタンの真人(まさぴと)
049(もり)(しげ)れる雑草(あららぎ)
050カーリンスなる神司(かむつかさ)
051(ここ)四柱(よはしら)(なら)ばして
052時雨(しぐれ)(もり)中心地(ちうしんち)
053(じふ)()四方(しはう)霊場(れいぢやう)
054(くだ)(たま)ひて(みづうみ)
055(きよ)(いづみ)御教(みをしへ)
056(ひら)(たま)へる(たふと)さよ
057あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
058(かみ)御徳(みとく)(かかぶ)りて
059(われ)()(はや)執着(しふちやく)
060(ころも)()いで天津国(あまつくに)
061(かみ)御側(みそば)()(まう)
062(さち)ある(ひと)(うま)()
063青人草(あをひとぐさ)()ふも(さら)
064禽獣(きんじう)虫魚(ちうぎよ)(はし)までも
065三五教(あななひけう)御教(みをしへ)
066()れなく()ちなく(すく)()
067(いさを)()てて(かみ)()
068(きよ)(つか)へむ惟神(かむながら)
069(かみ)御前(みまへ)()ぎまつる
070(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)
071(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
072(ただ)何事(なにごと)(うつ)()
073直日(なほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)
074()(なほ)しませ天津(あまつ)(かみ)
075国魂神(くにたまがみ)(おん)(まへ)
076(うさぎ)一同(いちどう)代表(だいへう)
077(すく)ひの御手(みて)一時(いつとき)
078(はや)(くだ)らせ(たま)ひまし
079(けもの)とおちし身魂(みたま)をば
080(すく)はせ(たま)惟神(かむながら)
081(かみ)かけ(いの)(たてまつ)
082(あさひ)()るとも(くも)るとも
083仮令(たとへ)天地(てんち)(かは)るとも
084(つき)()つとも()くるとも
085おのが身魂(みたま)のある(かぎ)
086(すめ)大神(おほかみ)()(ため)
087(こころ)(きよ)めて三五(あななひ)
088大道(おほぢ)(つか)(まつ)りなむ
089(すく)はせ(たま)天津(あまつ)(かみ)
090(めぐ)(たま)へよ国津(くにつ)(かみ)
091国魂神(くにたまがみ)竜世姫(たつよひめ)
092御前(みまへ)(ねが)(たてまつ)
093あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
094御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
095 ()かる(ところ)(うさぎ)一群(いちぐん)096(わに)()()せられ、097気息(きそく)奄々(えんえん)として(かへ)(きた)るあり。098()れば四五(しご)(うさぎ)()()まれ、099(きず)つけられ、100(はら)をえぐられ、101(ほとん)瀕死(ひんし)状態(じやうたい)(おちい)れり。
102 (これ)()るより竜国別(たつくにわけ)(たちま)(そば)()()ひ、103(あま)数歌(かずうた)(こゑ)(たか)(うた)()げながら、104(みぎ)()()べて各自(かくじ)(その)傷所(きずしよ)()でさすり、105(ねんごろ)(いた)はり()天津(あまつ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)し、106一刻(いつこく)(はや)傷所(きずしよ)(いた)みを(とど)めさせ(たま)へと、107暗祈(あんき)黙祷(もくたう)(つづ)けたるに、108不思議(ふしぎ)なるかな、109神徳(しんとく)(たちま)(あら)はれて四五(しご)(うさぎ)一斉(いつせい)(いた)(しづ)まり、110疵口(きずぐち)()()()えにける。111(うさぎ)(ひざまづ)いて、112竜国別(たつくにわけ)感謝(かんしや)()(へう)(なみだ)(なが)して俯伏(うつぶ)せり。
113 (うさぎ)(わう)一同(いちどう)(むか)ひ、114一刻(いつこく)(はや)遭難(さうなん)顛末(てんまつ)言上(ごんじやう)せよと(せま)れば、115(その)(なか)にて(もつと)(だい)なる(うさぎ)は、116兎王(うさぎわう)(むか)ひ、117前膝(まへひざ)をつき、118(つぶ)さに戦況(せんきやう)物語(ものがた)る。
119大兎(まを)すも(せん)なき(こと)ながら
120吾々(われわれ)一行(いつかう)五十(ごじふ)兄弟(きやうだい)(とも)
121ターリスの(みね)()
122獅子王(ししわう)棲処(すみか)(ちか)
123アラスの(もり)(すす)まむと
124(さか)しき(さか)(のぼ)(をり)しも
125(にはか)(きこ)ゆる猛獣隊(まうじうたい)(うな)(ごゑ)
126驚破(すは)一大事(いちだいじ)
127四辺(あたり)木蔭(こかげ)()(しの)
128様子(やうす)(うかが)(とき)もあれ
129(あら)はれ()でたる(くま)(むれ)
130(われ)()一隊(いつたい)(むか)つて
131(いきほひ)(たけ)()(きた)
132強力(がうりき)(まか)せて
133(あるひ)生首(なまくび)()きぬき
134手足(てあし)をもぎ()
135(あるひ)捕虜(ほりよ)となし
136(やま)のあなたに引立(ひつた)てて()
137(われ)()はもとより
138強力(がうりき)なる(くま)(むれ)(むか)つて
139対抗(たいかう)するの(ちから)もなく
140負傷(ふしやう)をしながらも()げまはる
141(いま)(われ)()
142(くま)爪牙(さうが)にかかりて
143(ほろ)びむとする(とき)しもあれ
144(まばゆ)きばかりの霊光(れいくわう)
145帽子(ぼうし)(だけ)方面(はうめん)より
146(かがみ)(ごと)射照(いて)らし(たま)へば
147流石(さすが)強力(がうりき)無双(むさう)
148(くま)一隊(いつたい)(まなこ)(くら)みて(たちま)ちに
149(その)()(たふ)れて()しました
150(この)()(うかが)吾々(われわれ)一隊(いつたい)のもの(ども)
151(いのち)カラガラ(みづうみ)
152(ほとり)(やうや)()(かへ)
153湖辺(こへん)(まも)(わに)(ども)
154(すく)はれ此処(ここ)(かへ)りました
155(この)戦況(せんきやう)(わう)(さま)
156完全(うまら)委曲(つばら)申上(まをしあ)
157(てき)(むか)つて膺懲(ようちよう)
158(いくさ)(おこ)悪神(わるがみ)
159(こころ)(あらた)以後(いご)(かなら)無謀(むぼう)(いくさ)
160(おこ)さざらしめむ(こと)用意(ようい)
161(あそ)ばされたしと
162(こころ)(ばか)りは張弓(はりゆみ)
163(おも)(せま)つて(かへ)りました
164しかるに(たふと)有難(ありがた)
165日頃(ひごろ)(たふと)(つか)へたる
166三五教(あななひけう)神司(かむつかさ)
167竜国別(たつくにわけ)(かみ)(さま)
168(あやふ)(いのち)(たす)けられ
169(いた)みも(たちま)全快(ぜんくわい)
170これ(ほど)(たふと)(うれ)しこと
171(また)世界(せかい)にありませうか
172あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
173(かみ)(めぐみ)()のあたり
174(さづ)かりました吾々(われわれ)
175(これ)より(つき)大神(おほかみ)
176感謝(かんしや)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)
177(うさぎ)(みやこ)霊地(れいち)をば
178堅磐(かきは)常磐(ときは)(まも)りませう
179鷹依姫(たかよりひめ)(かみ)(さま)
180竜国別(たつくにわけ)(かみ)(さま)
181(その)(ほか)二人(ふたり)神司(かむつかさ)
182千代(ちよ)八千代(やちよ)(この)(さと)
183(しづ)まりまして吾々(われわれ)
184身魂(みたま)(まも)(たま)へかし
185(うみ)より(ふか)大恩(たいおん)
186感謝(かんしや)しまつり行末(ゆくすゑ)
187(まも)りを(ここ)()ぎまつる
188あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
189御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
190(うれ)(なみだ)(なが)しながら、191(こころ)(そこ)より神恩(しんおん)感謝(かんしや)し、192(かつ)竜国別(たつくにわけ)親切(しんせつ)打喜(うちよろこ)び、193(おや)(ごと)くに(した)ひける。
194
195 雲霞(うんか)(ごと)()()せたる猛獣(まうじう)一隊(いつたい)は、196(りう)(きう)との霊光(れいくわう)()らされ、197(いのち)カラガラアラスの(もり)獅子王(ししわう)陣屋(ぢんや)へ、198()けつ(まろ)びつ(かへ)()く。
199 獅子王(ししわう)(この)(たび)(うさぎ)都攻(みやこぜ)めに(たい)し、200勝利(しようり)如何(いか)にと(くび)()ばして()ちゐたり。201かかる(ところ)速力(そくりよく)(はや)禿鷲(はげわし)は、202三丈(さんぢやう)ばかりの(つばさ)をひろげ、203空中(くうちう)(かけ)つて()(ごと)獅子王(ししわう)(まへ)()(かへ)(きた)る。204獅子王(ししわう)(はや)くも(これ)(みと)めて、
205獅子王(なんぢ)禿鷲(はげわし)(わう)ならずや。206今日(けふ)一戦(いつせん)207味方(みかた)勝敗(しようはい)(つぶ)さに(かた)れ!』
208()ちかねし(ごと)(あわただ)しく()ひかくる。209禿鷲(はげわし)羽搏(はばた)きしながら、210さも(うら)めしげに獅子王(ししわう)(むか)つて戦闘(せんとう)模様(もやう)陳弁(ちんべん)する。
211禿鷲(おほかみ)(わう)青垣山(あをがきやま)(みなみ)より
212熊王(くまわう)(きた)より(すす)みより
213虎王(とらわう)西(にし)より突進(とつしん)
214豺王(さいわう)(ひがし)谷間(たにま)より
215大蛇(をろち)巽乾(たつみいぬゐ)より
216(わし)一隊(いつたい)(うしとら)
217(ひつじさる)(ぢん)()
218(うさぎ)(みやこ)十重(とへ)二十重(はたへ)
219(つつ)みて一度(いちど)(とき)(こゑ)
220ドツと()げつつ(すす)(をり)
221湖辺(こへん)(ひそ)数万(すうまん)
222(わに)(たちま)立上(たちあが)
223(なみ)(をど)らせ(みづ)()
224(その)(いきほひ)中々(なかなか)
225近寄(ちかよ)(がた)()えけるが
226獅子(しし)奮迅(ふんじん)(いきほひ)
227発揮(はつき)しながら驀地(まつしぐら)
228(いのち)(まと)()めよつて
229(やうや)(うさぎ)一部隊(いちぶたい)
230四十(しじふ)有五(いうご)捕獲(ほくわく)して
231ヤツト一息(ひといき)それよりは
232(なほ)(すす)んて(みづうみ)
233一瀉(いつしや)千里(せんり)打渡(うちわた)
234(つき)聖地(せいち)立向(たちむか)
235(うさぎ)(わう)捕虜(ほりよ)となし
236(いよいよ)目的(もくてき)(たつ)せむと
237伊猛(いたけ)(くる)折柄(をりから)
238帽子(ぼうし)(だけ)頂上(ちやうじやう)より
239不思議(ふしぎ)霊光(れいくわう)(あら)はれて
240(われ)()(いくさ)射照(いて)らせば
241(まなこ)はくらみ()はしびれ
242(あし)わななきて(すす)()
243(いのち)カラガラ青垣(あをがき)
244(やま)(ふたた)攀登(よぢのぼ)
245東西(とうざい)南北(なんぽく)一時(いちどき)
246(うらみ)()んで引返(ひきかへ)
247味方(みかた)四方(よも)散乱(さんらん)
248熊王(くまわう)虎王(とらわう)狼王(おほかみわう)
249大蛇(をろち)(わう)行方(ゆくへ)さへ
250(いま)(いた)りて判明(はんめい)せず
251無念(むねん)ながらも(ただ)一機(いつき)
252空中(くうちう)(かけ)りてやうやうに
253報告(はうこく)(かたがた)(かへ)りし』と
254(かた)れば獅子王(ししわう)(うで)()
255悲憤(ひふん)(なみだ)にくれけるが
256どこともなしに宣伝歌(せんでんか)
257(かぜ)のまにまに(ひび)()
258(その)(こゑ)()くより獅子王(ししわう)
259(あたま)(かか)()(ふさ)
260(たちま)(その)()にドツと()
261(もだ)(くる)しみ()たりける
262あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
263御霊(みたま)(さち)はひましませよ。
264大正一一・八・二二 旧六・三〇 松村真澄録)
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