霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。実験用サイトサブスク
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第二三章 老婆(らうば)心切(しんせつ)〔九一四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第32巻 海洋万里 未の巻 篇:第4篇 天祥地瑞 よみ(新仮名遣い):てんしょうちずい
章:第23章 老婆心切 よみ(新仮名遣い):ろうばしんせつ 通し章番号:914
口述日:1922(大正11)年08月24日(旧07月02日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年10月15日
概要: 舞台:ウヅの館 あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
国依別と末子姫の縁談の噂は、たちまち館の内外に喧伝された。言依別命は結婚の準備に独り心をはたらかせていた。そこへすっとふすまを開けて高姫が入ってきた。
高姫は、こともあろうに瑞の御霊の大神の御娘子を国依別とめあわせるなど飛んでもないことだと、この結婚話に反対するべく言依別命を説得に来たのであった。
言依別命は用事があるからと、逃げ向上を述べて高姫を避ける。高姫は捨て台詞でその場を離れると、国依別本人のところへやってきた。
国依別は、独身生活でのんびりできるのは今のうちだと、素っ裸で畳の上にあおむけになっていた。そこへ入ってきた高姫は目を丸くして国依別を怒鳴りつけた。
国依別は単衣をひっかぶって高姫と問答を始めたが、国依別は相変わらずの茶目ぶりで高姫の説教を煙に巻いた。高姫は馬鹿にされ、怒ってあわただしくこの場を去って行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-06-10 17:19:28 OBC :rm3223
愛善世界社版:273頁 八幡書店版:第6輯 241頁 修補版: 校定版:278頁 普及版:101頁 初版: ページ備考:
001 国依別(くによりわけ)002末子姫(すゑこひめ)結婚(けつこん)(うはさ)は、003(たちま)(やかた)内外(ないぐわい)(らい)(ごと)駄賃(だちん)()らずの飛脚(ひきやく)(くち)から喧伝(けんでん)されて(しま)つた。004(これ)()いた高姫(たかひめ)はムツクと立上(たちあが)り、005言依別(ことよりわけの)(みこと)居間(ゐま)(たづ)ねた。006言依別(ことよりわけの)(みこと)結婚(けつこん)準備(じゆんび)()いて、007いろいろと(ひと)(こころ)(はたら)かせて()(ところ)である。008高姫(たかひめ)(ふすま)をソツと引開(ひきあ)け、009叮嚀(ていねい)(あたま)()げ、
010高姫言依別(ことよりわけ)(さま)011()邪魔(じやま)(いた)しますが、012一寸(ちよつと)貴方(あなた)()相談(さうだん)(まを)したきこと、013(いや)()(たづ)(まを)したき(こと)御座(ござ)いまして(うかが)ひました。014差支(さしつかへ)御座(ござ)いますまいかなア』
015言依別『ハイ、016(べつ)(たい)した(よう)御座(ござ)いませぬ。017どうぞ()這入(はい)(くだ)さいませ』
018気乗(きの)りのせぬ(やう)言葉(ことば)()きである。019高姫(たかひめ)はツカツカと言依別(ことよりわけ)(まへ)(すす)み、020行儀(ぎやうぎ)よく(ひざ)()つてすわり、021両手(りやうて)(ひざ)(うへ)()せ、022(きは)めて謹厳(きんげん)態度(たいど)で、
023高姫言依別(ことよりわけ)(さま)024(うけたま)はりますれば、025末子姫(すゑこひめ)(さま)(たい)国依別(くによりわけ)宣伝使(せんでんし)養子婿(やうしむこ)になられるにきまつたとか()(もつぱ)らの(うはさ)ですが、026それは実際(じつさい)()(はなし)御座(ござ)いますか?』
027言依別『ハイ、028実際(じつさい)御座(ござ)います。029(わたくし)松若彦(まつわかひこ)両人(りやうにん)肝煎(きもいり)(やうや)婚約(こんやく)成立(せいりつ)(いた)しました』
030高姫『それは(また)()しからぬ(こと)ぢや御座(ござ)いませぬか。031三千(さんぜん)世界(せかい)(すく)(ぬし)032水晶玉(すいしやうだま)(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)(さま)()娘子(むすめご)033生粋(きつすい)大和(やまと)(だましひ)末子姫(すゑこひめ)(さま)(めあ)はすに、034(ひと)もあらうに、035国依別(くによりわけ)(やう)悪戯者(いたづらもの)()周旋(しうせん)なさるとは、036(あま)りぢや御座(ござ)いませぬか。037()(かんが)へて御覧(ごらん)なさい、038(をんな)だましの御家(ごけ)(たふ)し、039家潰(いへつぶ)しの天則(てんそく)違反者(ゐはんしや)040瓢軽者(へうきんもの)041揶揄(からかひ)上手(じやうず)の、042至極(しごく)粗末(そまつ)出来上(できあが)つた(をとこ)……(まる)(さぎ)(からす)夫婦(ふうふ)ぢやありませぬか。043(その)(やう)(けが)れた身魂(みたま)水晶(すゐしやう)(うぶ)末子姫(すゑこひめ)(さま)()世話(せわ)をするなんて、044折角(せつかく)結構(けつこう)身魂(みたま)(また)(みだ)して(しま)ふぢやありませぬか。045さうすれば、046折角(せつかく)ウヅの(くに)五六七(みろく)()になりかけてゐるのに、047(ふたた)泥海(どろうみ)となり、048()げも(おろ)しもならぬやうなことが出来(しゆつたい)(いた)します。049(わたし)(この)縁談(えんだん)ばかりは仮令(たとへ)大神(おほかみ)(さま)(なん)(おほ)せられようとも、050神界(しんかい)(ため)()(みち)(ため)()(いへ)(ため)に、051どこ(まで)反対(はんたい)せなくては()きませぬぞえ。052まだ(さいは)結婚(けつこん)(しき)()げてゐらつしやらないのだから、053(いま)(うち)ならば如何(どう)でもなります。054縁談(えんだん)()ふものは、055(まま)たく()にも(ひえ)ると()(こと)だ。056(この)(はなし)取消(とりけ)した(ところ)で、057(いま)ならば(なん)のイサクサも(おこ)りますまい。058国依別(くによりわけ)()しもゴテゴテ()ふならば、059(およ)ばずながら高姫(たかひめ)(もの)道理(だうり)()(さと)し、060納得(なつとく)させて()せませう。061(また)末子姫(すゑこひめ)(さま)如何(どう)してもお()きにならなければ、062高姫(たかひめ)老婆心(らうばしん)()はれるか()りませぬが、063(この)(みち)にかけたら千軍(せんぐん)万馬(ばんば)(こう)()高姫(たかひめ)064三寸(さんずん)舌鋒(ぜつぽう)(もつ)て、065どちらも得心(とくしん)()(やう)になだめすかし、066(この)結婚(けつこん)問題(もんだい)蛇尾(じやみ)にして()せませう。067……言依別(ことよりわけ)さま、068(この)(こと)はどうぞ(わたし)一任(いちにん)して(くだ)さいませ。069キツと成功(せいこう)させて()せますから……』
070言依別一旦(いつたん)男子(だんし)男子(だんし)契約(けいやく)した以上(いじやう)は、071(いま)となつて(うご)かすことは出来(でき)ませぬ。072(わたくし)(をとこ)です。073一旦(いつたん)()()した(こと)(あと)へは()きませぬ。074第一(だいいち)大神(おほかみ)(さま)()所望(しよまう)ですから』
075高姫仮令(たとへ)大神(おほかみ)(さま)()所望(しよまう)であらうとも、076なぜお(まへ)さまは()忠言(ちうげん)申上(まをしあ)げないのだ。077(ひげ)(ちり)(はら)つて自分(じぶん)地位(ちゐ)安全(あんぜん)(まも)らうと()()(かんが)へだらう。078良薬(りやうやく)(くち)(にが)し、079諫言(かんげん)(みみ)(さか)らふとやら、080至誠(しせい)(もつ)(いさ)(まつ)り、081もし()かなければ、082(いさぎよ)()(もつ)(けつ)すると()ふ、083(まへ)さまに誠意(せいい)がありさへすれば、084こんな不都合(ふつがふ)(はなし)持上(もちあ)がらない(はず)だ。085あんな(もの)末子姫(すゑこひめ)(さま)(をつと)にしようものなら、086それこそ三五教(あななひけう)権威(けんゐ)(たちま)()()ち、087末子姫(すゑこひめ)(さま)()信用(しんよう)はサツパリ、088ゼロとなつて(しま)ひますよ』
089言依別『あんな(もの)()んな(もの)になつたと()仕組(しぐみ)でせうかい、090アハヽヽヽ』
091高姫『コレ(わら)ひごつちやありませぬぜ。092千騎(せんき)一騎(いつき)国家(こくか)興亡(こうばう)(くわん)する(この)場合(ばあひ)093気楽(きらく)さうに(つら)をあげてアハヽヽヽとはソリヤ(なん)()心得(こころえ)(ちが)ひな(こと)ですか。094それだから(とし)(わか)(もの)(こま)ると()ふのだ。095何程(なにほど)(にく)まれても、096(この)高姫(たかひめ)(かま)はねば三五教(あななひけう)はサツパリ駄目(だめ)だ。097アーア、098()のもめる(こと)だ。099(かた)(かひな)もメキメキ()うて()たわいのう』
100言依別折角(せつかく)()親切(しんせつ)()注意(ちうい)101(じつ)有難(ありがた)御座(ござ)います。102(しか)(なが)(この)問題(もんだい)()いては、103一分(いちぶ)たりとて(うご)かす(こと)出来(でき)ませぬ。104……高姫(たかひめ)(さま)105どうぞ貴女(あなた)もゆつくり()(かんが)(くだ)さいませ。106(わたくし)(すこ)取急(とりいそ)用事(ようじ)御座(ござ)いますから、107失礼(しつれい)(いた)します』
108高姫『チト(けぶ)たうなつて()ましたかなア。109ドレドレ(わか)(かた)のお(そば)へ、110歯抜婆(はぬけばば)アが()()(ねつ)()き、111(けぶ)たがられて()るよりも、112(これ)から国依別(くによりわけ)居間(ゐま)()つて、113(ひと)つドンナ意見(いけん)だか(たた)いて()ませう。114(しやう)()むと(ほつ)する(もの)()(その)(うま)()よだ。115(なん)()つても言依別(ことよりわけ)さまは、116(とし)(わか)いから、117こんな(こと)談判(だんぱん)(いや)だらう。118それも無理(むり)もない、119(にく)まれ(ついで)高姫(たかひめ)が、120(みち)(ため)に、121国依別(くによりわけ)改心(かいしん)する(ところ)まで、122()すわり談判(だんぱん)をやつて()ませう』
123(つぶや)きながら、124イソイソと(この)()()つて()でて()く。
125 国依別(くによりわけ)高姫(たかひめ)意見(いけん)()るとは(ゆめ)にも()らず、
126国依別『あゝ(これ)から(おれ)窮屈(きうくつ)生活(せいくわつ)(はい)らねばならぬか。127(いま)(うち)気楽(きらく)のしたんのうをしておかうかい』
128(まど)()をガラリとあけ、129赤裸(まつぱだか)になつて、130仰向(あふむ)けになり、131手足(てあし)をピンピンさせて、132座敷(ざしき)運動(うんどう)余念(よねん)なかつた。133そこへ高姫(たかひめ)はあわただしくガラリと()()()(きた)り、134(この)(さま)()()(まる)くし、135(くち)(とが)らせ、
136高姫『マアマアマア(くに)さまかいな。137(その)(ざま)一体(いつたい)(なん)(こと)だい! (たれ)()らぬかと(おも)つて(その)(ざま)(なん)ぢやいな。138ヤツパリ(ひと)()(ところ)では鹿爪(しかつめ)らしうしてゐても、139鍍金(めつき)()げて()()(くせ)(ひやく)(まで)とやら、140(まへ)(わか)(とき)から、141そんな不規律(ふきりつ)生活(せいくわつ)をして()たのだらう。142エヽ(こま)つたものだ。143時々(じじ)刻々(こくこく)愛想(あいさう)がつきて()た。144……コレ国依別(くによりわけ)どの、145高姫(たかひめ)ですよ、146()きて(もら)ひませう』
147国依別高姫(たかひめ)さま、148一寸(ちよつと)ここを写真(しやしん)にうつして、149大神(おほかみ)(さま)末子姫(すゑこひめ)(さま)御前(ごぜん)御覧(ごらん)()れて(くだ)さいな。150国依別(くによりわけ)(じつ)にトチ面棒(めんぼう)をふつてゐますワイ』
151高姫『エヽ(また)しても、152()(あし)正体(しやうたい)をあらはし、153(その)(ざま)(なん)(こと)だい。154大神(おほかみ)(さま)末子姫(すゑこひめ)(さま)写真(しやしん)にとつて()せてくれなんて、155ヘン、156自惚(うぬぼれ)にも(ほど)がある。157(たれ)だつてそんなとこを()ようものなら、158(さん)(ねん)(こひ)一度(いちど)()めますぞや。159或処(あるところ)(わか)(むすめ)綺麗(きれい)(わか)(をとこ)恋慕(こひした)ひ、160よい(なか)になつて()つたが、161(その)(をとこ)(をんな)(まへ)(しり)をまくり、162()(ひと)つプンと()つたが最後(さいご)163(その)(をんな)はそれきり、164(こひ)しい(をとこ)()るも(いや)になつて(しま)うた(ため)しがありますぞえ。165それにそんな(ざま)末子姫(すゑこひめ)(さま)御覧(ごらん)()れてくれとは(あま)りぢやないか。166色男(いろをとこ)気取(きどり)結構(けつこう)結婚(けつこん)(まを)()まれ、167(あま)(うれ)しいので逆上(ぎやくじやう)して(しま)ひ、168赤裸(まつぱだか)になつて、169一角(いつかど)よい姿(すがた)(おも)ひ……(この)姿(すがた)恋女(こひをんな)()せ……とはよい加減(かげん)(ほう)けておきなさい。170エヽ()つともない、171(はや)着物(きもの)()なさらぬか!』
172国依別何分(なにぶん)(かど)(ひろ)いものだから、173こんな(ふう)でもして撃退策(げきたいさく)でも(かう)じなけりや、174やり()れませぬワイ。175ア、176あちらからも此方(こちら)からも、177()ひき(そで)ひき連中(れんぢう)沢山(たくさん)で、178国依別(くによりわけ)(じつ)迷惑(めいわく)(いた)して()るぞよ。179(をとこ)裸百貫(はだかひやくくわん)(まを)して、180(かざ)りのないのが値打(ねうち)であるぞよ。181(もと)(うま)赤児(あかご)になりて(かみ)御用(ごよう)(いた)して(くだ)されよ。182(うま)赤児(あかご)(もう)せば、183みんな丸裸(まるはだか)ばかりであるぞよ。184アツハヽヽヽ』
185高姫『コレ(くに)どの、186(まへ)一国(いつこく)大将(たいしやう)にでもならうと()千騎(せんき)一騎(いつき)大峠(おほたうげ)差掛(さしかか)つて()(なが)ら、187チツと(つつし)んだら如何(どう)だいなア。188油断(ゆだん)(いた)すと、189(さか)(くるま)()すが(ごと)(あと)(もど)りますぞえ』
190国依別『あとへ(もど)るやうに(さか)になつて、191油断(ゆだん)でなうて冗談(じようだん)をして逆様車(さかさまぐるま)()してゐるのだ、192アツハヽヽヽ。193アーア、194(はや)此処(ここ)(たれ)か、195一寸(ちよつと)(のぞ)いて愛想(あいさう)をつかして()れないかな。196高姫(たかひめ)さまに愛想(あいさう)つかされても、197()つから目的(もくてき)(たつ)しませぬワイ』
198高姫『コレ(くに)どの』
199(こゑ)(たか)め、200国依別(くによりわけ)太腿(ふともも)を三つ四つ平手(ひらて)でピシヤピシヤと(なぐ)りつける。201国依別(くによりわけ)(この)(はず)みに、202ガバとはねおき、203(あわただ)しく窓際(まどぎは)にかけておいた単衣(ひとへ)をひつ(かぶ)り、204三尺帯(さんしやくおび)無雑作(むざふさ)にキリキリとまきつけ、205ドスンと高姫(たかひめ)(まへ)にすわり()んだ。
206国依別高姫(たかひめ)(さま)207(なん)御用(ごよう)御座(ござ)いますかな。208どうぞ実際(じつさい)(こと)仰有(おつしや)つて(くだ)さい』
209高姫『お(たのし)みでせうな! (この)(ごろ)半日(はんにち)()(ひやく)(にち)()つやうな()がするでせう。210イヤもう()心配(しんぱい)()(さつ)(まを)しますワイ。211(しか)(なが)ら、212(つき)にも()つる()くるがあり、213村雲(むらくも)のかくすこともあり、214綺麗(きれい)(はな)には(むし)がつき、215(あらし)()(あひだ)()いて()て、216無残(むざん)にも()らすことがありますぞや。217モウ大丈夫(だいぢやうぶ)此方(こちら)(もの)だと、218笑壺(ゑつぼ)()つて()ると、219(よる)()天候(てんこう)(たちま)激変(げきへん)し、220(をんな)(はう)から(あき)(そら)221(こがらし)(つめ)たい(かぜ)()いて()ぬとも(かぎ)りませぬぞや。222さうなつてから、223梟鳥(ふくろどり)夜食(やしよく)(はづ)れたやうな、224(つま)らぬ(かほ)(いた)しても、225何程(なにほど)アフンと(いた)しても、226(あと)(まつ)りで、227取返(とりかへ)しは出来(でき)ませぬぞや。228それよりも(をとこ)らしく(いま)(うち)に、229(はな)()らされぬ(うち)に、230(まへ)さまの(はう)から、231キレイサツパリと縁談(えんだん)()(ことわ)りなさい。232国依別(くによりわけ)どののやうな、233……()ふとすまぬが……ガンガラと水晶(すゐしやう)生粋(きつすい)のお(ひめ)(さま)夫婦(ふうふ)になつても、234末子姫(すゑこひめ)()げられますまい。235(わる)(こと)()ひませぬぞえ。236(いま)(うち)(をとこ)らしう破談(はだん)をなさい。237さうしたら天晴(あつぱ)国依別(くによりわけ)男前(をとこまへ)(あが)りますぞや。238(この)(ひろ)いウヅの(くに)第一(だいいち)美人(びじん)で、239(しか)評判(ひやうばん)のよい()(ひめ)(さま)を、240国依別(くによりわけ)(ひと)つポンと肱鉄(ひぢてつ)をかましたと()ふことが世間(せけん)(ひろ)がつて()なさい。241それこそどれ(だけ)(まへ)さまの威徳(ゐとく)(あが)るか()れたものぢやない。242さうして(うし)(うし)づれ(うま)馬連(うまづ)れと()つて、243似合(にあ)うた女房(にようばう)(もら)ひ、244(たれ)(はばか)らず天下(てんか)横行(わうかう)濶歩(くわつぽ)する(はう)が、245窮屈(きうくつ)(かご)(とり)(やう)()()ひ、246一人(ひとり)(ひめ)(さま)忠勤(ちうきん)()りを発揮(はつき)するよりも何程(なにほど)(とく)(わか)りませぬぞえ。247(まへ)さまが(ひめ)(さま)(をつと)になり、248天下(てんか)権利(けんり)(にぎ)るやうな(こと)があつたら、249それこそ天地(てんち)がひつくりかへりますぞや、250いかな高姫(たかひめ)(かみ)(さま)御用(ごよう)はやめねばなりませぬワイ。251かうズケズケと(わたし)()ふので、252(まへ)さまは()()()らぬだらうが、253チツとは(わたし)()(こと)も、254()きなさつたがよからう。255随分(ずゐぶん)(まへ)さまもいたづらぢやないか。256野天狗(のてんぐ)(なに)()らぬが、257如意(によい)宝珠(ほつしゆ)(たま)(その)(ほか)(ふた)つの(たま)は、258近江(あふみ)(くに)竹生島(ちくぶじま)(かく)してあるなどと、259(だい)それた(うそ)()つて、260はるばると(とし)()つた吾々(われわれ)をチヨロまかすと()腕前(うでまへ)だから、261(わたし)言葉(ことば)がチツト(くらゐ)きつくても辛抱(しんぼう)しなさい』
262国依別『アツハヽヽヽ面白(おもしろ)面白(おもしろ)い、263(わたし)(じつ)今度(こんど)結婚(けつこん)(いや)でたまらないのだけれど、264(あま)大神(おほかみ)(さま)言依別(ことよりわけ)(さま)265(その)(ほか)方々(かたがた)()熱心(ねつしん)()()りなしで(ことわ)(わけ)にも()かず、266義理(ぎり)にせめられ承諾(しようだく)したのだから、267さうけなりさうに法界(ほふかい)悋気(りんき)をして(くだ)さるな。268国依別(くによりわけ)(じつ)迷惑(めいわく)(いた)しますワイ』
269高姫『オツホヽヽヽ、270(いや)(かな)はぬなどと、271よう()へたものだ。272(この)縁談(えんだん)蛇尾(じやみ)にされるのが、273イヤでイヤで(かな)はぬのだらう。274そんなテレ(かく)しを()つたつて、275()出神(でのかみ)生宮(いきみや)……オツトドツコイ、276(これ)()ふのぢやなかつた……高姫(たかひめ)(くろ)()でチヤンと(にら)ンだら間違(まちが)ひつこはありませぬぞや』
277国依別『アーア、278(こま)つた(こと)出来(でき)()たワイ。279どうしたらよからうな、280この(くに)どのも』
281高姫何程(なにほど)(こま)つても仕方(しかた)がない。282(この)縁談(えんだん)ばかりは言依別(ことよりわけ)(なん)()はうと、283仮令(たとへ)天地(てんち)がかへらうと、284金輪際(こんりんざい)(みづ)をさして、285グチヤグチヤにして(しま)はなくちや、286折角(せつかく)大神(おほかみ)(さま)艱難(かんなん)苦労(くらう)なされてお(つく)(あそ)ばしたウヅの(くに)総崩(そうくづ)れになつて(しま)ひますワイ。287(まへ)一人(ひとり)さへ改心(かいしん)出来(でき)たら、288国中(くにぢう)(もの)(よろこ)ぶのだから、289(をんな)一人(ひとり)(くらゐ)(をとこ)らしう(おも)()つて数多(あまた)人民(じんみん)(たす)けた(はう)が、290何程(なにほど)立派(りつぱ)()れませぬぜ。291(また)何程(なにほど)愉快(ゆくわい)(わか)りますまいがなア』
292国依別『アーア、293最早(もはや)幽界(いうかい)神界(しんかい)もいやになつて(しま)つた。294現界(げんかい)(わる)い……高姫(たかひめ)さま、295(わたし)(はら)(そこ)如何(どう)しても、296神界(しんかい)真解(しんかい)出来(でき)ませぬのかい』
297高姫『それは(なに)ユーカイ……皆目(かいもく)(まへ)さまの(はら)(そこ)諒解(りやうかい)することが出来(でき)ぬぢやないかい』
298国依別『アーア、299仕方(しかた)がない……(わたし)一寸(ちよつと)急用(きふよう)がありますので、300そこ(まで)()つて()ます。301どうぞ(また)四五(しご)(にち)したら、302ゆつくりと(あそ)びにお()(くだ)さりませ』
303高姫最早(もはや)明日(あす)(せま)つた(この)結婚(けつこん)304四五(しご)(にち)してから()(くだ)さい……なンて、305ヘン、306(うま)いことを仰有(おつしや)りますワイ。307どうでも()うでも、308今夜(こんや)(うち)にお(まへ)所存(しよぞん)をきめさせて、309(その)(うへ)末子姫(すゑこひめ)さまに()意見(いけん)をして()ねばならぬのだから、310さう逃腰(にげごし)にならずに、311ジツクリと()きなさい』
312国依別()きなさいつても、313危機(きき)一髪(いつぱつ)でも()きませぬワイ……御免(ごめん)(さふら)へ、314高姫(たかひめ)さま、315(わたし)結婚(けつこん)用意(ようい)(いそ)ぎますから、316(かみ)()いたり、317(ひげ)をそつたり、318チツクを一寸(ちよつと)つけたり、319頬紅(ほほべに)もさしたり、320口紅(くちべに)もチツとあしらはねばならず、321(かがみ)一寸(ちよつと)()()ねばなりませぬ。322そんな(いろ)(くろ)(かほ)のお()アさまに相手(あひて)になつてをると、323ますます末子姫(すゑこひめ)さまが(こひ)しうなつて()る。324左様(さやう)なら……』
325とあわてて()()さうとする。326高姫(たかひめ)(うしろ)よりグツと()きとめ、
327高姫『コレコレ(くに)どの、328何処(どこ)()くのだい。329マア()ちなされ、330ジツクリとすわつて、331天地(てんち)道理(だうり)()いて(くだ)さい。332(けつ)して(わる)いことは(まを)しませぬぞや』
333国依別『どうぞ(はな)して(くだ)さい。334そんな(かた)()(にぎ)られると(いた)くて仕方(しかた)がない。335一時(いつとき)(はや)末子姫(すゑこひめ)さまのお(そば)()かねばならぬワイなア。336(いは)()かれるか、337真綿(まわた)()かれるかと()(ほど)懸隔(けんかく)があるのだから(たま)らない……高姫(たかひめ)さま、338どうぞ後生(ごしやう)だから(はな)して頂戴(ちやうだい)な』
339高姫『エヽ(これ)(はな)してなるものかい』
340国依別高姫(たかひめ)さま、341(いま)これが(はな)してなるものか、342()ひましたな。343そんならヤツパリ二人(ふたり)(なか)(はな)さぬといふ()意見(いけん)ですか?』
344高姫『そりや(はなし)(ちが)ふ。345(はな)れさすと()(はなし)だ。346(いま)がお(まへ)(うん)のきめ(どころ)347サアさつぱりここでツンと(おも)()りましたと立派(りつぱ)言挙(ことあ)げしなさい』
348国依別『そんなら……スツカリ(おも)()りました』
349高姫『ヤレヤレ(うれ)しや、350(まへ)本当(ほんたう)見上(みあ)げたものだよ』
351国依別『スツカリ(おも)()つたのは、352皺苦茶(しわくちや)(ばば)アの高姫(たかひめ)さまとの交際(かうさい)だ、353アハヽヽヽ』
354高姫『エヽ(くに)どの、355(おぼ)えて()なさいや。356明日(あす)(ばん)にはアフンとさして()げますぞや、357(をんな)一心(いつしん)(いは)でもつきぬく、358これが(とほ)らいでなるものかい!』
359()をつり()げながら、360あわただしく(この)()立去(たちさ)る。
361大正一一・八・二四 旧七・二 松村真澄録)
文芸社文庫『あらすじで読む霊界物語』絶賛発売中!
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki