数ある広大無辺な大宇宙の中でも、吾が宇宙は霊力がすぐれて尊い。上には日月が永久に水火の光を放ちつつ、下界の地球を照らしている。
森羅万象はことごとく、無限絶対無始無終の霊力体の三元を備えて巡っている。太陽・大地・太陰の無限の生命は、神の御言の恵みなのである。
そもそも大地の根源は国常立大御神と豊国主大神の経と緯との水火をもって生成化育の神業を開き給いしものなのである。
至尊至貴なる大元霊、天御中主皇大神の霊徳は、すべての物にあまねく満ちている。高皇産霊神を霊系の祖神となし、神皇産霊神を体系の祖神となしたもうたのである。
霊力体の三元は、幾億万年の年を経ていよいよ宇宙を完成した。われらの宇宙の主宰神は、天には天照大神を称えまつり、国常立大神は地上の主宰と現れまして、金勝要大御神・神素盞嗚大神とは大地の霊力体となって地上の万物に恵みの露をうるおし護らせ給う。神の御国は尊いことである。
このような尊い皇神が造り守る神国に生を受けた人草は、広大無辺のご神徳を朝夕謹んで仰ぎ祀らずにいられようか。神はわれらの霊の祖であり体の祖である。肉体もまた大神からの借り物である。
皇大神が大経綸を遂げるために永久に守り給う天地、その神の機関と生まれた尊く清き精魂を磨き上げ、人と生まれた転職を尽くしまつれよ。
居間から三十五万年前、遠き神代に国治立大神は、神人たちの身魂を治めて美しい神代を造り固めようと根底の国に忍び、いろいろと身を変じて百の神たちを現し、三五教を立て給うた。
三五の神の館を、西のエルサレムと東の自転倒島に配り、神の心そのままを四方に伝える宣伝使を任命したのである。
三五教の宣伝使黒姫は、老いたる身も顧みずに筑紫の島の果てまでも教えを伝えて進んで行く。高山彦の行方を尋ねて、三人の共を連れて火の国の都目指して進んできたが、まだ執着心は晴れやらないというところから、この巻の物語は始まる。
現在の地理学上のアフリカ大陸は、太古には筑紫の島といった。この島は、大山脈をもって火の国、豊の国、筑紫の国、熊襲の国の四つに区画され、島のかなりの部分は大砂漠となっている。
現代の日本国の九州は、国祖国常立之尊が大地を修理個性したもうたとき、アフリカの胞衣として造りたもうたのである。
琉球を竜宮と称すのも、もともとオーストラリアの竜宮島の胞衣として造られたからである。しかし大神は思うところあってこれを葦舟に流して捨てたまい、新たに四国の島を胞衣として造りたもうた。ゆえに神界では四国は竜宮の一つ島と称えられている。丹後沖に浮かぶ冠島もまた、神界では竜宮島と称えられている。
昔の聖地エルサレムは、現在よりももう少し東方にあり、シオン山という霊山によって地中海を両分し、東を竜宮海といった。神代のエルサレムはトルコの東方にあって、アーメニヤと南北相対していたのである。
ヨルダン河は、現在のユーフラテス河がそれである。太古のヨルダン河は、新約聖書のヨルダン河とは別物であり、現代のペルシャ湾が太古の死海であった。大洪水や大震災により、神代の地理は現代と多少変わった点があるのである。
前巻までに、黒姫一行が筑紫の島・熊襲の国の建日の港に上陸し、火の国の都を目指して進んで行く物語を述べておいた。火の国の神司・高国別命は神名を活津彦根命といい、高山彦と名乗っていた。高姫は、高国別命を自分の夫の高山彦だと思っていたのである。