霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
目 次
設 定
閉じる
×
霊界物語
三鏡
大本神諭
伊都能売神諭
出口王仁三郎全集
出口王仁三郎著作集
王仁文庫
惟神の道
幼ながたり
開祖伝
聖師伝
霧の海(第六歌集)
大本七十年史
大本史料集成
神霊界
新聞記事
新月の光
その他
王仁文献考証
検索は「
王仁DB
」で
←
戻る
霊界物語
霊主体従
第1巻(子の巻)
第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
第4巻(卯の巻)
第5巻(辰の巻)
第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
第12巻(亥の巻)
如意宝珠
第13巻(子の巻)
第14巻(丑の巻)
第15巻(寅の巻)
第16巻(卯の巻)
第17巻(辰の巻)
第18巻(巳の巻)
第19巻(午の巻)
第20巻(未の巻)
第21巻(申の巻)
第22巻(酉の巻)
第23巻(戌の巻)
第24巻(亥の巻)
海洋万里
第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
第27巻(寅の巻)
第28巻(卯の巻)
第29巻(辰の巻)
第30巻(巳の巻)
第31巻(午の巻)
第32巻(未の巻)
第33巻(申の巻)
第34巻(酉の巻)
第35巻(戌の巻)
第36巻(亥の巻)
舎身活躍
第37巻(子の巻)
第38巻(丑の巻)
第39巻(寅の巻)
第40巻(卯の巻)
第41巻(辰の巻)
第42巻(巳の巻)
第43巻(午の巻)
第44巻(未の巻)
第45巻(申の巻)
第46巻(酉の巻)
第47巻(戌の巻)
第48巻(亥の巻)
真善美愛
第49巻(子の巻)
第50巻(丑の巻)
第51巻(寅の巻)
第52巻(卯の巻)
第53巻(辰の巻)
第54巻(巳の巻)
第55巻(午の巻)
第56巻(未の巻)
第57巻(申の巻)
第58巻(酉の巻)
第59巻(戌の巻)
第60巻(亥の巻)
山河草木
第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
第63巻(寅の巻)
第64巻(卯の巻)上
第64巻(卯の巻)下
第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
←
戻る
第35巻(戌の巻)
序文
総説歌
第1篇 向日山嵐
01 言の架橋
〔965〕
02 出陣
〔966〕
03 進隊詩
〔967〕
04 村の入口
〔968〕
05 案外
〔969〕
06 歌の徳
〔970〕
07 乱舞
〔971〕
08 心の綱
〔972〕
09 分担
〔973〕
第2篇 ナイルの水源
10 夢の誡
〔974〕
11 野宿
〔975〕
12 自称神司
〔976〕
13 山颪
〔977〕
14 空気焔
〔978〕
15 救の玉
〔979〕
16 浮島の花
〔980〕
第3篇 火の国都
17 霧の海
〔981〕
18 山下り
〔982〕
19 狐の出産
〔983〕
20 疑心暗狐
〔984〕
21 暗闘
〔985〕
22 当違
〔986〕
23 清交
〔987〕
24 歓喜の涙
〔988〕
余白歌
このサイトは『霊界物語』を始めとする出口王仁三郎等の著書を無料で公開しています。
(注・出口王仁三郎の全ての著述を収録しているわけではありません。未収録のものも沢山あります)
閉じる
×
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
その他の設定項目を表示する
ここから下を閉じる
文字サイズ
S
【標準】
M
L
フォント
フォント1
【標準】
フォント2
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
古いブラウザでうまく表示されない時はこの設定を試してみて下さい
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側にだけ表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注
[?]
[※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
全ての脚注を開く
全ての脚注を閉じる(マーク表示)
【標準】
脚注マークを表示しない
文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色
[?]
底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。
[×閉じる]
外字1の色
[?]
この設定は現在使われておりません。
[×閉じる]
外字2の色
[?]
文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。
[×閉じる]
→
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。
実験用サイト
|
サブスク
霊界物語
>
第35巻
> 第3篇 火の国都 > 第21章 暗闘
<<< 疑心暗狐
(B)
(N)
当違 >>>
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。
【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034 アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。
第二一章
暗闘
(
あんとう
)
〔九八五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第35巻 海洋万里 戌の巻
篇:
第3篇 火の国都
よみ(新仮名遣い):
ひのくにみやこ
章:
第21章 暗闘
よみ(新仮名遣い):
あんとう
通し章番号:
985
口述日:
1922(大正11)年09月17日(旧07月26日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年12月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
(第34巻第16章の続き)一方、房公と芳公は建日の館を出て黒姫の後を追い、険しい山道を登って火の国峠の登り口までやってきた。二人は火の国峠の山頂にたどり着いたが、黒姫の姿は見えなかった。
日が暮れて、二人は峠山頂の木の下で一夜を明かすことにした。二人が横になると、西の方から登ってきた白髪の老人があった。老人は二人が休んでいるそばにやってきて、杖の先でかわるがわる額のあたりをぐいぐいと突いた。
二人は暗がりの中に跳ね起きて、悪態をついている。老人は笑ってとぼけている。二人は怒りを覚えたが、黒姫の行方を知らないかと老人に尋ねた。老人は答えをはぐらかした。
二人がまた、老人がこんな夜中にどこに行くのだと尋ねると、老人は二人の極道息子を迎えに行くのだと答えた。そして芳公と房公の特徴を挙げて極道息子だと言い、二人を雷のような声で怒鳴りたてた。
二人は老人の声におどろいて飛び上がり、闇の中で衝突して火花を散らした。老人は暗闇にぼっと姿を表して、二人の過去の所業を数え上げて責め立てる歌を歌った。歌い終わると老人の姿は煙となって消え失せてしまった。
房公と芳公はこの出来事に恐れおののきながらも、天津祝詞を奏上してここで一夜を明かすことになった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-10-01 12:13:57
OBC :
rm3521
愛善世界社版:
248頁
八幡書店版:
第6輯 559頁
修補版:
校定版:
263頁
普及版:
96頁
初版:
ページ備考:
001
房公
(
ふさこう
)
芳公
(
よしこう
)
両人
(
りやうにん
)
は
002
建日
(
たけひ
)
の
館
(
やかた
)
を
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
でて
003
黒姫
(
くろひめ
)
さまの
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ひ
004
嶮
(
けは
)
しき
山坂
(
やまさか
)
トントンと
005
捩鉢巻
(
ねぢはちまき
)
に
尻
(
しり
)
からげ
006
薬鑵頭
(
やくわんあたま
)
に
湯気
(
ゆげ
)
を
立
(
た
)
て
007
後
(
あと
)
追
(
お
)
ひかけて
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
008
火
(
ひ
)
の
国峠
(
くにたうげ
)
の
登
(
のぼ
)
り
口
(
ぐち
)
009
黒姫
(
くろひめ
)
さまのお
姿
(
すがた
)
は
010
雲
(
くも
)
か
霞
(
かすみ
)
か
魔
(
ま
)
か
神
(
かみ
)
か
011
ドロンと
消
(
き
)
えて
影
(
かげ
)
もなし
012
「ウントコドツコイ」このやうな
013
はげしい
坂
(
さか
)
をば「ウントコシヨ」
014
黒姫
(
くろひめ
)
さまの
老年
(
としより
)
が
015
どうして
登
(
のぼ
)
つて
行
(
い
)
つたろか
016
影
(
かげ
)
も
形
(
かたち
)
も
見
(
み
)
えないと
017
二人
(
ふたり
)
は
足
(
あし
)
を
早
(
はや
)
めつつ
018
老樹
(
らうじゆ
)
茂
(
しげ
)
れる
坂道
(
さかみち
)
を
019
「エンヤラヤー エンヤラヤ」
020
ハーハースースー
云
(
い
)
ひながら
021
足
(
あし
)
をヅルヅル
辷
(
すべ
)
らせつ
022
板
(
いた
)
を
立
(
た
)
てたる「ドツコイシヨ」
023
やうな
嶮
(
けは
)
しき
坂道
(
さかみち
)
を
024
兎
(
うさぎ
)
の
如
(
ごと
)
く
這
(
は
)
うて
行
(
ゆ
)
く
025
当
(
たう
)
の
主人
(
あるじ
)
の
黒姫
(
くろひめ
)
は
026
道
(
みち
)
踏
(
ふ
)
み
迷
(
まよ
)
ひ
丸木橋
(
まるきばし
)
027
向
(
むか
)
ふへ
渡
(
わた
)
つて
森中
(
もりなか
)
に
028
お
愛
(
あい
)
其
(
その
)
他
(
た
)
の
男
(
をとこ
)
をば
029
助
(
たす
)
けて
居
(
ゐ
)
るとは
知
(
し
)
らずして
030
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
くこそ
憐
(
あは
)
れなり。
031
二人
(
ふたり
)
は
日
(
ひ
)
のヅツプリ
暮
(
く
)
れた
頃
(
ころ
)
、
032
漸
(
やうや
)
くにして
火
(
ひ
)
の
国峠
(
くにたうげ
)
の
絶頂
(
ぜつちやう
)
に
辿
(
たど
)
りつく。
033
そこには
枝
(
えだ
)
ぶりの
面白
(
おもしろ
)
い
山桃
(
やまもも
)
の
木
(
き
)
が
七八本
(
しちはちほん
)
、
034
無遠慮
(
ぶゑんりよ
)
に
空
(
そら
)
を
蔽
(
とざ
)
して
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
035
房公
『オイ
芳公
(
よしこう
)
、
036
これだけ
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
走
(
はし
)
つて
来
(
き
)
たけれど、
037
黒姫
(
くろひめ
)
さまに
追
(
おつ
)
つかないのだ、
038
大方
(
おほかた
)
道
(
みち
)
が
違
(
ちが
)
つたのぢやあるまいかなア』
039
芳公
『さうだなア、
040
どうも
怪
(
あや
)
しいものだ。
041
何
(
なん
)
でも
坂
(
さか
)
の
上
(
のぼ
)
り
口
(
ぐち
)
に
右
(
みぎ
)
へ
行
(
ゆ
)
く
細
(
ほそ
)
い
道
(
みち
)
があつたが、
042
大方
(
おほかた
)
其方
(
そつち
)
へでも
迷
(
まよ
)
ひ
込
(
こ
)
んで
行
(
ゆ
)
かれたのぢやあるまいか。
043
どう
考
(
かんが
)
へてもそれより
外
(
ほか
)
に
道
(
みち
)
がないぢやないか。
044
まア
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
今晩
(
こんばん
)
は
此
(
この
)
木
(
き
)
の
下
(
した
)
でお
宿
(
やど
)
を
借
(
か
)
ることとしよう。
045
又
(
また
)
人
(
ひと
)
でも
通
(
とほ
)
つたら
尋
(
たづ
)
ねようとままだから
夜
(
よる
)
の
途
(
みち
)
を
急
(
いそ
)
いだ
処
(
ところ
)
で
仕方
(
しかた
)
がない。
046
俺
(
おれ
)
も
大分
(
だいぶん
)
に
疲
(
つか
)
れて
来
(
き
)
たからのう』
047
房公
『そんなら
仕方
(
しかた
)
がない。
048
芳公
(
よしこう
)
一泊
(
いつぱく
)
して
行
(
ゆ
)
かうかい』
049
と、
050
両人
(
りやうにん
)
は
蓑
(
みの
)
をしき
グレン
と
横
(
よこ
)
になる。
051
そこへ
西
(
にし
)
の
方
(
はう
)
から、
052
コチンコチンと
杖
(
つゑ
)
の
先
(
さき
)
で
道
(
みち
)
の
小石
(
こいし
)
を
叩
(
たた
)
きながら、
053
登
(
のぼ
)
つて
来
(
き
)
た
一人
(
ひとり
)
の
白髪
(
はくはつ
)
の
老人
(
らうじん
)
あり。
054
老人
(
らうじん
)
は
二人
(
ふたり
)
の
休
(
やす
)
む
傍
(
そば
)
に
立
(
た
)
ち
寄
(
よ
)
り、
055
杖
(
つゑ
)
の
先
(
さき
)
にて
二人
(
ふたり
)
の
額
(
ひたひ
)
あたりを
交
(
かは
)
る
交
(
がは
)
るグイグイと
突
(
つ
)
いてゐる。
056
二人
(
ふたり
)
は「アイタヽ」と
言
(
い
)
ひながら、
057
ガバツと
跳
(
は
)
ね
起
(
お
)
き、
058
薄暗
(
うすくら
)
がりにすかし
見
(
み
)
て、
059
房公、芳公
『ダダ
誰
(
たれ
)
だい、
060
俺
(
おれ
)
の
頭
(
あたま
)
を
杖
(
つゑ
)
でこづきよつた
奴
(
やつ
)
は、
061
ふざけた
事
(
こと
)
をしよると
承知
(
しようち
)
しないぞ』
062
老人
『アハヽヽヽ、
063
余
(
あま
)
り
暗
(
くら
)
いものだから……
何
(
なん
)
だか
鼾
(
いびき
)
がするので
近寄
(
ちかよ
)
つて
見
(
み
)
れば、
064
暗
(
くら
)
がりに
光
(
ひか
)
つたものが
一
(
ひと
)
つ、
065
其
(
その
)
横
(
よこ
)
に
黒
(
くろ
)
いものが
又
(
また
)
一
(
ひと
)
つ
倒
(
たふ
)
れて
居
(
ゐ
)
るので、
066
こりや
又
(
また
)
狸
(
たぬき
)
の
睾丸
(
きんたま
)
ではあるまいかと
思
(
おも
)
つて、
067
杖
(
つゑ
)
の
先
(
さき
)
で
一寸
(
ちよつと
)
いぢつて
見
(
み
)
たのだよ。
068
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
うても
暗
(
くら
)
がりと
云
(
い
)
ひ、
069
老人
(
らうじん
)
で
目
(
め
)
が
疎
(
うと
)
いのだから、
070
頭
(
あたま
)
の
一
(
ひと
)
つやそこら
割
(
わ
)
れたつて
辛抱
(
しんばう
)
して
下
(
くだ
)
さい。
071
何程
(
なにほど
)
腹
(
はら
)
が
立
(
た
)
つても
老人
(
としより
)
は
大切
(
だいじ
)
にせねばならぬ
規則
(
きそく
)
だからのう……』
072
房公
『
何処
(
どこ
)
の
老人
(
らうじん
)
か
知
(
し
)
らぬが、
073
知
(
し
)
らぬとやつた
事
(
こと
)
は
仕方
(
しかた
)
がないとしても、
074
唯
(
ただ
)
一言
(
ひとこと
)
の
断
(
ことわ
)
りも
言
(
い
)
はず、
075
反対
(
あべこべ
)
に
老人
(
らうじん
)
尊敬論
(
そんけいろん
)
を
捲
(
まく
)
し
立
(
た
)
てよつて
太
(
ふと
)
い
奴
(
やつ
)
だ。
076
大方
(
おほかた
)
お
前
(
まへ
)
は
化州
(
ばけしう
)
だらう。
077
さア、
078
正体
(
しやうたい
)
を
現
(
あら
)
はせ!』
079
老人
『オホヽヽヽ、
080
どうせ
化州
(
ばけしう
)
に
違
(
ちが
)
ひないが、
081
俺
(
おれ
)
でさへも
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
すやうな
闇
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
に、
082
よう
光
(
ひか
)
る
薬鑵頭
(
やくわんあたま
)
があつたものだから、
083
ヒネ
た
狸
(
たぬき
)
の
睾丸
(
きんたま
)
ではあるまいかと、
084
一寸
(
ちよつと
)
泥
(
どろ
)
のついた
杖
(
つゑ
)
の
先
(
さき
)
でいぢつて
見
(
み
)
たのだから、
085
了見
(
りやうけん
)
さつしやい。
086
知
(
し
)
らぬ
神
(
かみ
)
に
祟
(
たた
)
りなしと
云
(
い
)
ふから、
087
さう
老人
(
らうじん
)
に
毒
(
どく
)
つくものぢやありませぬぞや』
088
芳公
『もしお
爺
(
ぢい
)
さま、
089
知
(
し
)
らずにした
事
(
こと
)
は
仕方
(
しかた
)
がありませぬ。
090
こちらも
両人
(
ふたり
)
の
者
(
もの
)
が、
091
この
木
(
き
)
の
下
(
した
)
に
逗留
(
とうりう
)
して
居
(
ゐ
)
ると
云
(
い
)
ふ
広告
(
くわうこく
)
を
出
(
だ
)
して
置
(
お
)
かないものだから、
092
間違
(
まちが
)
へられても
何
(
なん
)
とも
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ませぬ。
093
併
(
しか
)
しながら
黒姫
(
くろひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
五十
(
ごじふ
)
許
(
ばか
)
りのお
婆
(
ばあ
)
さまに、
094
お
出会
(
であ
)
ひでは
御座
(
ござ
)
いませなんだか』
095
老人
『
何
(
なん
)
だか
黒
(
くろ
)
いものにチヨコチヨコ
出遇
(
であ
)
うたが、
096
向
(
むか
)
ふが
黙
(
だま
)
つて
通
(
とほ
)
りよつたものだから、
097
どれが
黒姫
(
くろひめ
)
だか
黒狐
(
くろぎつね
)
だか、
098
熊
(
くま
)
だか
烏
(
からす
)
だか
区別
(
くべつ
)
が
付
(
つ
)
きませぬわい』
099
芳公
『お
爺
(
ぢい
)
さま、
100
この
暗
(
くら
)
いのにお
前
(
まへ
)
は
一
(
いつ
)
たい
何処
(
どこ
)
へ
行
(
ゆ
)
く
積
(
つも
)
りだえ』
101
老人
『
俺
(
わし
)
は
仕方
(
しかた
)
がない
極道
(
ごくだう
)
息子
(
むすこ
)
が
二人
(
ふたり
)
あつて
此
(
この
)
坂
(
さか
)
を
今
(
いま
)
登
(
のぼ
)
つて
来
(
く
)
る
筈
(
はず
)
だから
迎
(
むか
)
へに
来
(
き
)
たのだよ』
102
芳公
『ヘエ、
103
そのまた
二人
(
ふたり
)
の
息子
(
むすこ
)
とはどんな
人
(
ひと
)
ですか』
104
老人
『さうだなア、
105
一人
(
ひとり
)
は
暗
(
やみ
)
の
晩
(
ばん
)
でも
薬鑵
(
やくわん
)
のやうに
頭
(
あたま
)
が
光
(
ひか
)
つて、
106
一寸
(
ちよつと
)
腰
(
こし
)
が
曲
(
まが
)
り
背
(
せ
)
の
低
(
ひく
)
い
男
(
をとこ
)
だ。
107
そして
一人
(
ひとり
)
は
少
(
すこ
)
し
図体
(
づうたい
)
の
大
(
おほ
)
きい
三十
(
さんじふ
)
男
(
をとこ
)
だが、
108
そいつは
又
(
また
)
癖
(
くせ
)
が
悪
(
わる
)
くて
弱
(
よわ
)
い
相撲取
(
すまうと
)
り、
109
負
(
ま
)
けて
負
(
ま
)
けて
負
(
ま
)
け
通
(
とほ
)
し、
110
人
(
ひと
)
から
鍋蓋
(
なべぶた
)
と
迄
(
まで
)
名
(
な
)
を
取
(
と
)
つた
困
(
こま
)
つた
伜
(
せがれ
)
だよ。
111
黒姫
(
くろひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
宣伝使
(
せんでんし
)
のお
供
(
とも
)
に
来
(
き
)
ながら、
112
アタいやらしい
振舞酒
(
ふるまひざけ
)
に
酔
(
よ
)
うて
肝腎
(
かんじん
)
の
主人
(
しゆじん
)
を
見失
(
みうしな
)
ひ、
113
こんな
所
(
ところ
)
へやつて
来
(
き
)
て、
114
安閑
(
あんかん
)
と
寝
(
ね
)
て
居
(
ゐ
)
ると
云
(
い
)
ふ、
115
話
(
はなし
)
にも
杭
(
くひ
)
にもかからぬ……
極道
(
ごくだう
)
息子
(
むすこ
)
だよ』
116
と
雷
(
らい
)
のやうな
声
(
こゑ
)
で
呶鳴
(
どな
)
り
立
(
た
)
てられ、
117
二人
(
ふたり
)
はこの
声
(
こゑ
)
に
驚
(
おどろ
)
いて
飛
(
と
)
び
上
(
あが
)
り、
118
暗
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
を
三四間
(
さんしけん
)
無暗
(
むやみ
)
矢鱈
(
やたら
)
に
駆
(
かけ
)
まはり、
119
房公
(
ふさこう
)
と
芳公
(
よしこう
)
は
急速力
(
きふそくりよく
)
をもつて
正面
(
しやうめん
)
衝突
(
しようとつ
)
をなし、
120
二
(
ふた
)
つ
眼
(
め
)
からピカピカと
火
(
ひ
)
を
出
(
だ
)
し、
121
房公、芳公
『アイタヽヽヽ』
122
と
目
(
め
)
を
押
(
おさ
)
へて
互
(
たがひ
)
に
踞
(
しやが
)
んで
仕舞
(
しま
)
ふ。
123
老人
『アハヽヽヽヽ、
124
房野丸
(
ふさのまる
)
と
芳野丸
(
よしのまる
)
とが
衝突
(
しようとつ
)
を
致
(
いた
)
しましたなア。
125
大
(
たい
)
した
破産
(
はさん
)
はなかつたかなア。
126
機関庫
(
きくわんこ
)
が
爆発
(
ばくはつ
)
したと
見
(
み
)
えてずゐぶん
偉
(
えら
)
い
光
(
ひかり
)
だつたよ、
127
ワハヽヽヽ』
128
芳公
『コリヤ
化爺
(
ばけおやぢ
)
、
129
人
(
ひと
)
の
難儀
(
なんぎ
)
を
見
(
み
)
て
面白
(
おもしろ
)
さうに
笑
(
わら
)
ふと
云
(
い
)
ふやうな、
130
不道徳
(
ふだうとく
)
な
不人情
(
ふにんじやう
)
な
奴
(
やつ
)
がどこにあるか、
131
まるで
鬼
(
おに
)
のやうな
糞爺
(
くそおやぢ
)
だなア』
132
老人
『お
前
(
まへ
)
の
云
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
り、
133
俺
(
おれ
)
は
見
(
み
)
る
影
(
かげ
)
もない
糞爺
(
くそぢい
)
だ。
134
目糞
(
めくそ
)
に
歯糞
(
はくそ
)
、
135
耳糞
(
みみくそ
)
に
鼻糞
(
はなくそ
)
、
136
お
前
(
まへ
)
のやうに
尻糞
(
しりくそ
)
はつけて
居
(
ゐ
)
ないが、
137
随分
(
ずゐぶん
)
汚
(
きたな
)
い
糞爺
(
くそぢい
)
だよ』
138
芳公
『オイ
糞爺
(
くそぢい
)
、
139
俺
(
おれ
)
が
尻糞
(
しりくそ
)
をつけて
居
(
ゐ
)
るなんて、
140
失敬
(
しつけい
)
な
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふない。
141
この
暗
(
くら
)
がりで
目
(
め
)
が
見
(
み
)
え
難
(
にく
)
いと
吐
(
ぬか
)
した
癖
(
くせ
)
に、
142
尻糞
(
しりくそ
)
迄
(
まで
)
どうして
分
(
わか
)
るのだ。
143
糞
(
くそ
)
があきれて
雪隠
(
せんち
)
が
踊
(
をど
)
るわい』
144
老人
『
何
(
なん
)
とまア
糞
(
くそ
)
やかましい
男
(
をとこ
)
だなア。
145
俺
(
おれ
)
は
火
(
ひ
)
の
国
(
くに
)
の
聖
(
ひじり
)
と
云
(
い
)
つて、
146
どんな
事
(
こと
)
でも
しり
てしりて
しり
ぬいて
居
(
ゐ
)
る
牛
(
うし
)
の
尻
(
しり
)
だよ。
147
お
前
(
まへ
)
の
尻
(
しり
)
の
毛
(
け
)
が
何本
(
なんぼん
)
あると
云
(
い
)
ふ
所
(
ところ
)
まで
知
(
し
)
りて
居
(
ゐ
)
るのだからのう……』
148
芳公
『こりや
化爺
(
ばけぢい
)
、
149
そんなら
俺
(
おれ
)
の
尻
(
しり
)
の
毛
(
け
)
が
何本
(
なんぼん
)
あるか
当
(
あ
)
てて
見
(
み
)
い!』
150
老人
『オホヽヽヽ、
151
かう
見
(
み
)
た
処
(
ところ
)
が
唯
(
ただ
)
の
一本
(
いつぽん
)
も
無
(
な
)
いぢやないか。
152
お
滝
(
たき
)
の
素片多
(
すべた
)
女
(
をんな
)
に
惚
(
のろ
)
けよつて、
153
尻
(
しり
)
の
毛
(
け
)
を
一本
(
いつぽん
)
もない
所
(
ところ
)
迄
(
まで
)
抜
(
ぬ
)
かれたと
見
(
み
)
えるわい。
154
まるきり
牛蒡
(
ごばう
)
の
切口
(
きりくち
)
か
椢炭
(
よりすみ
)
の
切口
(
きりくち
)
のやうな
黒
(
くろ
)
い
尻
(
しり
)
だのう』
155
芳公
『
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
して
けつ
かるのだい。
156
もうよい
加減
(
かげん
)
にすつ
込
(
こ
)
まぬか、
157
尻
(
しり
)
の
穴
(
あな
)
奴
(
め
)
が!』
158
老人
『すつ
込
(
こ
)
めと
云
(
い
)
つたつて、
159
十
(
じふ
)
年
(
ねん
)
許
(
ばか
)
り
苦
(
くる
)
しんで
居
(
ゐ
)
る
脱肛
(
だつこう
)
だから、
160
容易
(
ようい
)
にすつ
込
(
こ
)
みはせないぞや。
161
これと
云
(
い
)
ふのも
房公
(
ふさこう
)
芳公
(
よしこう
)
と
云
(
い
)
ふ
極道
(
ごくだう
)
息子
(
むすこ
)
があるために、
162
それが
苦
(
く
)
になつてこんな
病気
(
びやうき
)
が
起
(
おこ
)
つたのだよ。
163
親不孝
(
おやふかう
)
な
息子
(
むすこ
)
もあつたものだ。
164
こんな
奴
(
やつ
)
は
今
(
いま
)
に
天罰
(
てんばつ
)
が
当
(
あた
)
つて
火
(
ひ
)
の
国峠
(
くにたうげ
)
の
大蛇
(
をろち
)
に
呑
(
の
)
まれて
仕舞
(
しま
)
ふと、
165
娑婆
(
しやば
)
ふさぎの
厄介者
(
やつかいもの
)
がなくなつてよいのだがなア。
166
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて、
167
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立
(
た
)
てかへる
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
だから、
168
どうせ
二人
(
ふたり
)
の
極道
(
ごくだう
)
息子
(
むすこ
)
の
寿命
(
じゆみやう
)
も
長
(
なが
)
い
事
(
こと
)
はあるまい。
169
あゝ
可愛
(
かあい
)
さうなやうな
気味
(
きみ
)
のよい
事
(
こと
)
だわい、
170
オホヽヽヽ』
171
と
遠慮
(
ゑんりよ
)
会釈
(
ゑしやく
)
もなく、
172
暗
(
くら
)
がりに
ボツ
と
姿
(
すがた
)
を
現
(
あら
)
はして
嘲笑
(
あざわら
)
ふ。
173
房公
(
ふさこう
)
は
最前
(
さいぜん
)
の
正面
(
しやうめん
)
衝突
(
しようとつ
)
で
鼻血
(
はなぢ
)
を
出
(
だ
)
し
痛
(
いた
)
さにものをも
得
(
え
)
云
(
い
)
はず、
174
地
(
ち
)
にかぶり
付
(
つ
)
いて
泣
(
な
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
175
老爺
(
ぢいや
)
は
皺
(
しわ
)
がれた
声
(
こゑ
)
で
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
した。
176
老人
『
黒姫
(
くろひめ
)
婆
(
ば
)
さまの
供
(
とも
)
をして
177
心
(
こころ
)
も
暗
(
くら
)
い
両人
(
りやうにん
)
が
178
暗
(
くら
)
い
峠
(
たうげ
)
を
登
(
のぼ
)
り
来
(
く
)
る
179
後前
(
あとさき
)
見
(
み
)
ずの
暗雲
(
やみくも
)
で
180
心
(
こころ
)
の
舵
(
かぢ
)
を
取
(
と
)
り
外
(
はづ
)
し
181
顔
(
かほ
)
と
顔
(
かほ
)
とが
衝突
(
しようとつ
)
し
182
薬鑵頭
(
やくわんあたま
)
が
鼻
(
はな
)
打
(
う
)
つて
183
赤
(
あか
)
い
鼻血
(
はなぢ
)
をタラタラと
184
流
(
なが
)
して
踞
(
しやが
)
むいぢらしさ
185
黒姫司
(
くろひめつかさ
)
にそそられて
186
遥々
(
はるばる
)
つらつて
来
(
き
)
た
友
(
とも
)
の
187
難儀
(
なんぎ
)
を
見捨
(
みす
)
ててスタスタと
188
高山峠
(
たかやまたうげ
)
を
一散
(
いつさん
)
に
189
登
(
のぼ
)
つて
出
(
で
)
て
来
(
く
)
る
不人情
(
ふにんじやう
)
190
人
(
ひと
)
の
皮
(
かは
)
着
(
き
)
た
代物
(
しろもの
)
の
191
平気
(
へいき
)
で
出来
(
でき
)
る
業
(
わざ
)
ぢやない
192
貴様
(
きさま
)
二人
(
ふたり
)
の
心
(
こころ
)
には
193
黒姫
(
くろひめ
)
よりもまだ
悪
(
わる
)
い
194
黒
(
くろ
)
い
顔
(
かほ
)
した
鬼
(
おに
)
が
居
(
ゐ
)
る
195
其
(
その
)
鬼
(
おに
)
共
(
ども
)
を
追
(
お
)
ひ
出
(
だ
)
して
196
生
(
うま
)
れ
赤児
(
あかご
)
になりかはり
197
尻
(
けつ
)
の
掃除
(
さうぢ
)
をよつくして
198
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御使
(
みつかひ
)
と
199
早
(
はや
)
くなれなれ いつ
迄
(
まで
)
も
200
黒姫
(
くろひめ
)
如
(
ごと
)
きの
供
(
とも
)
をして
201
男
(
をとこ
)
が
立
(
た
)
つと
思
(
おも
)
てるか
202
前代
(
ぜんだい
)
未聞
(
みもん
)
の
馬鹿者
(
ばかもの
)
だ
203
我
(
われ
)
は
国治立
(
くにはるたちの
)
神
(
かみ
)
204
お
前
(
まへ
)
の
御魂
(
みたま
)
を
磨
(
みが
)
き
上
(
あ
)
げ
205
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
と
206
造
(
つく
)
り
直
(
なほ
)
して
神界
(
しんかい
)
の
207
御用
(
ごよう
)
をさせてやり
度
(
た
)
いと
208
此処
(
ここ
)
に
姿
(
すがた
)
を
現
(
あら
)
はして
209
お
前
(
まへ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
の
眼
(
め
)
を
醒
(
さ
)
まし
210
無限
(
むげん
)
の
力
(
ちから
)
をそれぞれに
211
配
(
くば
)
り
与
(
あた
)
ふる
神
(
かむ
)
ながら
212
神
(
かみ
)
の
御息
(
みいき
)
に
生
(
うま
)
れたる
213
汝
(
なんぢ
)
はこれから
謹
(
つつし
)
みて
214
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つを
立
(
た
)
て
通
(
とほ
)
し
215
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
火
(
ひ
)
の
国
(
くに
)
の
216
花
(
はな
)
の
都
(
みやこ
)
へ
立
(
た
)
ち
向
(
むか
)
ひ
217
黒姫司
(
くろひめつかさ
)
が
迷
(
まよ
)
ひ
居
(
ゐ
)
る
218
恋
(
こひ
)
の
闇
(
やみ
)
をば
晴
(
は
)
らせかし
219
神
(
かみ
)
の
大道
(
おほぢ
)
を
踏
(
ふ
)
みながら
220
夫
(
をつと
)
のために
魂
(
たましひ
)
を
221
抜
(
ぬ
)
かれて
来
(
きた
)
る
黒姫
(
くろひめ
)
の
222
其
(
その
)
愚
(
おろか
)
さは
限
(
かぎ
)
りなし
223
迷
(
まよ
)
ひきつたる
黒姫
(
くろひめ
)
の
224
後
(
あと
)
に
従
(
したが
)
ひ
遥々
(
はるばる
)
と
225
ここ
迄
(
まで
)
来
(
きた
)
る
二人
(
ふたり
)
連
(
づ
)
れ
226
猶更
(
なほさら
)
馬鹿
(
ばか
)
な
代物
(
しろもの
)
だ
227
国治立
(
くにはるたちの
)
大神
(
おほかみ
)
と
228
云
(
い
)
うたは
真赤
(
まつか
)
な
詐
(
いつは
)
りで
229
我
(
われ
)
は
月照彦
(
つきてるひこの
)
神
(
かみ
)
230
早
(
はや
)
く
御魂
(
みたま
)
を
立
(
た
)
て
直
(
なほ
)
し
231
清明
(
せいめい
)
無垢
(
むく
)
の
身
(
み
)
となつて
232
厳
(
いづ
)
の
御魂
(
みたま
)
や
瑞御魂
(
みづみたま
)
233
開
(
ひら
)
き
給
(
たま
)
ひし
三五
(
あななひ
)
の
234
教
(
をしへ
)
の
柱
(
はしら
)
となれよかし
235
神
(
かみ
)
は
汝
(
なんぢ
)
の
身
(
み
)
を
守
(
まも
)
り
236
魂
(
たま
)
を
守
(
まも
)
つて
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
も
237
太
(
ふと
)
しき
功
(
いさを
)
を
立
(
た
)
てさせむ
238
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
239
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はへましませよ』
240
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
るや、
241
怪
(
あや
)
しき
老人
(
らうじん
)
の
姿
(
すがた
)
は
煙
(
けむり
)
となつて
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せ、
242
後
(
あと
)
には
尾上
(
をのへ
)
を
渡
(
わた
)
る
松風
(
まつかぜ
)
の
音
(
おと
)
、
243
ザワザワザワと
聞
(
きこ
)
え
来
(
きた
)
る。
244
芳公
『オイ
房公
(
ふさこう
)
、
245
どうだ、
246
鼻柱
(
はなばしら
)
は
些
(
すこ
)
しよくなつたかなア。
247
あんまり
常
(
つね
)
から
鼻
(
はな
)
が
高
(
たか
)
いものだから、
248
今
(
いま
)
現
(
あら
)
はれた
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
鼻
(
はな
)
を
捩
(
ね
)
ぢ
折
(
を
)
つて
改心
(
かいしん
)
させてやらうとなさつたのだよ。
249
何時
(
いつ
)
とても
貴様
(
きさま
)
は
高慢
(
かうまん
)
が
強
(
つよ
)
うて
鼻
(
はな
)
を
高
(
たか
)
うするから、
250
こんな
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
うたのだ。
251
途中
(
とちう
)
の
鼻高
(
はなだか
)
と
云
(
い
)
ふのはお
前
(
まへ
)
の
事
(
こと
)
だよ』
252
房公
『
何
(
なん
)
でもいいわ。
253
俺
(
おれ
)
はもう
恐
(
おそ
)
ろしくつて
何
(
なん
)
どころぢやない。
254
大方
(
おほかた
)
あれは、
255
此
(
この
)
山
(
やま
)
の
大天狗
(
だいてんぐ
)
に
間違
(
まちが
)
ひなからうぞ。
256
何
(
なん
)
でも
彼
(
か
)
でも
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
事
(
こと
)
を
皆
(
みな
)
知
(
し
)
つてござつたぢやないか』
257
芳公
『
天狗
(
てんぐ
)
の
話
(
はなし
)
はもう
止
(
や
)
めて
呉
(
く
)
れ。
258
天狗
(
てんぐ
)
と
聞
(
き
)
くと、
259
何
(
なん
)
だか
首筋
(
くびすぢ
)
がゾクゾクして
来
(
く
)
るからなア。
260
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
261
房公
『こんな
処
(
ところ
)
に
長居
(
ながゐ
)
は
恐
(
おそ
)
れだ。
262
さア
行
(
ゆ
)
かう。
263
黒姫
(
くろひめ
)
さまが
火
(
ひ
)
の
国
(
くに
)
で
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
られるだらうからなア』
264
芳公
『
行
(
ゆ
)
かうと
云
(
い
)
つた
処
(
ところ
)
で
是
(
これ
)
だけ
峻
(
きつ
)
い
坂道
(
さかみち
)
、
265
其
(
その
)
上
(
うへ
)
闇
(
やみ
)
と
来
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
るのだから、
266
どうする
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
はせないぞ。
267
まア
此処
(
ここ
)
で
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
268
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
祈
(
いの
)
つて
夜
(
よ
)
を
明
(
あ
)
かすこととしようかい』
269
(
大正一一・九・一七
旧七・二六
加藤明子
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 疑心暗狐
(B)
(N)
当違 >>>
霊界物語
>
第35巻
> 第3篇 火の国都 > 第21章 暗闘
Tweet
文芸社文庫『あらすじで読む霊界物語』絶賛発売中!
オニド関連サイト
最新更新情報
10/22
【霊界物語ネット】
『
王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)
』をテキスト化しました。
9/18
【
飯塚弘明.com
】
飯塚弘明著『
PTC2 出口王仁三郎の霊界物語で透見する世界現象 T之巻
』発刊!
5/8
【霊界物語ネット】
霊界物語ネットに出口王仁三郎の
第六歌集『霧の海』
を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【21 暗闘|第35巻(戌の巻)|霊界物語/rm3521】
合言葉「みろく」を入力して下さい→