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第35巻(戌の巻)
序文
総説歌
第1篇 向日山嵐
01 言の架橋
〔965〕
02 出陣
〔966〕
03 進隊詩
〔967〕
04 村の入口
〔968〕
05 案外
〔969〕
06 歌の徳
〔970〕
07 乱舞
〔971〕
08 心の綱
〔972〕
09 分担
〔973〕
第2篇 ナイルの水源
10 夢の誡
〔974〕
11 野宿
〔975〕
12 自称神司
〔976〕
13 山颪
〔977〕
14 空気焔
〔978〕
15 救の玉
〔979〕
16 浮島の花
〔980〕
第3篇 火の国都
17 霧の海
〔981〕
18 山下り
〔982〕
19 狐の出産
〔983〕
20 疑心暗狐
〔984〕
21 暗闘
〔985〕
22 当違
〔986〕
23 清交
〔987〕
24 歓喜の涙
〔988〕
余白歌
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第二一章
暗闘
(
あんとう
)
〔九八五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第35巻 海洋万里 戌の巻
篇:
第3篇 火の国都
よみ(新仮名遣い):
ひのくにみやこ
章:
第21章 暗闘
よみ(新仮名遣い):
あんとう
通し章番号:
985
口述日:
1922(大正11)年09月17日(旧07月26日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年12月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
(第34巻第16章の続き)一方、房公と芳公は建日の館を出て黒姫の後を追い、険しい山道を登って火の国峠の登り口までやってきた。二人は火の国峠の山頂にたどり着いたが、黒姫の姿は見えなかった。
日が暮れて、二人は峠山頂の木の下で一夜を明かすことにした。二人が横になると、西の方から登ってきた白髪の老人があった。老人は二人が休んでいるそばにやってきて、杖の先でかわるがわる額のあたりをぐいぐいと突いた。
二人は暗がりの中に跳ね起きて、悪態をついている。老人は笑ってとぼけている。二人は怒りを覚えたが、黒姫の行方を知らないかと老人に尋ねた。老人は答えをはぐらかした。
二人がまた、老人がこんな夜中にどこに行くのだと尋ねると、老人は二人の極道息子を迎えに行くのだと答えた。そして芳公と房公の特徴を挙げて極道息子だと言い、二人を雷のような声で怒鳴りたてた。
二人は老人の声におどろいて飛び上がり、闇の中で衝突して火花を散らした。老人は暗闇にぼっと姿を表して、二人の過去の所業を数え上げて責め立てる歌を歌った。歌い終わると老人の姿は煙となって消え失せてしまった。
房公と芳公はこの出来事に恐れおののきながらも、天津祝詞を奏上してここで一夜を明かすことになった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-10-01 12:13:57
OBC :
rm3521
愛善世界社版:
248頁
八幡書店版:
第6輯 559頁
修補版:
校定版:
263頁
普及版:
96頁
初版:
ページ備考:
001
房公
(
ふさこう
)
芳公
(
よしこう
)
両人
(
りやうにん
)
は
002
建日
(
たけひ
)
の
館
(
やかた
)
を
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
でて
003
黒姫
(
くろひめ
)
さまの
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ひ
004
嶮
(
けは
)
しき
山坂
(
やまさか
)
トントンと
005
捩鉢巻
(
ねぢはちまき
)
に
尻
(
しり
)
からげ
006
薬鑵頭
(
やくわんあたま
)
に
湯気
(
ゆげ
)
を
立
(
た
)
て
007
後
(
あと
)
追
(
お
)
ひかけて
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
008
火
(
ひ
)
の
国峠
(
くにたうげ
)
の
登
(
のぼ
)
り
口
(
ぐち
)
009
黒姫
(
くろひめ
)
さまのお
姿
(
すがた
)
は
010
雲
(
くも
)
か
霞
(
かすみ
)
か
魔
(
ま
)
か
神
(
かみ
)
か
011
ドロンと
消
(
き
)
えて
影
(
かげ
)
もなし
012
「ウントコドツコイ」このやうな
013
はげしい
坂
(
さか
)
をば「ウントコシヨ」
014
黒姫
(
くろひめ
)
さまの
老年
(
としより
)
が
015
どうして
登
(
のぼ
)
つて
行
(
い
)
つたろか
016
影
(
かげ
)
も
形
(
かたち
)
も
見
(
み
)
えないと
017
二人
(
ふたり
)
は
足
(
あし
)
を
早
(
はや
)
めつつ
018
老樹
(
らうじゆ
)
茂
(
しげ
)
れる
坂道
(
さかみち
)
を
019
「エンヤラヤー エンヤラヤ」
020
ハーハースースー
云
(
い
)
ひながら
021
足
(
あし
)
をヅルヅル
辷
(
すべ
)
らせつ
022
板
(
いた
)
を
立
(
た
)
てたる「ドツコイシヨ」
023
やうな
嶮
(
けは
)
しき
坂道
(
さかみち
)
を
024
兎
(
うさぎ
)
の
如
(
ごと
)
く
這
(
は
)
うて
行
(
ゆ
)
く
025
当
(
たう
)
の
主人
(
あるじ
)
の
黒姫
(
くろひめ
)
は
026
道
(
みち
)
踏
(
ふ
)
み
迷
(
まよ
)
ひ
丸木橋
(
まるきばし
)
027
向
(
むか
)
ふへ
渡
(
わた
)
つて
森中
(
もりなか
)
に
028
お
愛
(
あい
)
其
(
その
)
他
(
た
)
の
男
(
をとこ
)
をば
029
助
(
たす
)
けて
居
(
ゐ
)
るとは
知
(
し
)
らずして
030
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
くこそ
憐
(
あは
)
れなり。
031
二人
(
ふたり
)
は
日
(
ひ
)
のヅツプリ
暮
(
く
)
れた
頃
(
ころ
)
、
032
漸
(
やうや
)
くにして
火
(
ひ
)
の
国峠
(
くにたうげ
)
の
絶頂
(
ぜつちやう
)
に
辿
(
たど
)
りつく。
033
そこには
枝
(
えだ
)
ぶりの
面白
(
おもしろ
)
い
山桃
(
やまもも
)
の
木
(
き
)
が
七八本
(
しちはちほん
)
、
034
無遠慮
(
ぶゑんりよ
)
に
空
(
そら
)
を
蔽
(
とざ
)
して
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
035
房公
『オイ
芳公
(
よしこう
)
、
036
これだけ
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
は
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
走
(
はし
)
つて
来
(
き
)
たけれど、
037
黒姫
(
くろひめ
)
さまに
追
(
おつ
)
つかないのだ、
038
大方
(
おほかた
)
道
(
みち
)
が
違
(
ちが
)
つたのぢやあるまいかなア』
039
芳公
『さうだなア、
040
どうも
怪
(
あや
)
しいものだ。
041
何
(
なん
)
でも
坂
(
さか
)
の
上
(
のぼ
)
り
口
(
ぐち
)
に
右
(
みぎ
)
へ
行
(
ゆ
)
く
細
(
ほそ
)
い
道
(
みち
)
があつたが、
042
大方
(
おほかた
)
其方
(
そつち
)
へでも
迷
(
まよ
)
ひ
込
(
こ
)
んで
行
(
ゆ
)
かれたのぢやあるまいか。
043
どう
考
(
かんが
)
へてもそれより
外
(
ほか
)
に
道
(
みち
)
がないぢやないか。
044
まア
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
今晩
(
こんばん
)
は
此
(
この
)
木
(
き
)
の
下
(
した
)
でお
宿
(
やど
)
を
借
(
か
)
ることとしよう。
045
又
(
また
)
人
(
ひと
)
でも
通
(
とほ
)
つたら
尋
(
たづ
)
ねようとままだから
夜
(
よる
)
の
途
(
みち
)
を
急
(
いそ
)
いだ
処
(
ところ
)
で
仕方
(
しかた
)
がない。
046
俺
(
おれ
)
も
大分
(
だいぶん
)
に
疲
(
つか
)
れて
来
(
き
)
たからのう』
047
房公
『そんなら
仕方
(
しかた
)
がない。
048
芳公
(
よしこう
)
一泊
(
いつぱく
)
して
行
(
ゆ
)
かうかい』
049
と、
050
両人
(
りやうにん
)
は
蓑
(
みの
)
をしき
グレン
と
横
(
よこ
)
になる。
051
そこへ
西
(
にし
)
の
方
(
はう
)
から、
052
コチンコチンと
杖
(
つゑ
)
の
先
(
さき
)
で
道
(
みち
)
の
小石
(
こいし
)
を
叩
(
たた
)
きながら、
053
登
(
のぼ
)
つて
来
(
き
)
た
一人
(
ひとり
)
の
白髪
(
はくはつ
)
の
老人
(
らうじん
)
あり。
054
老人
(
らうじん
)
は
二人
(
ふたり
)
の
休
(
やす
)
む
傍
(
そば
)
に
立
(
た
)
ち
寄
(
よ
)
り、
055
杖
(
つゑ
)
の
先
(
さき
)
にて
二人
(
ふたり
)
の
額
(
ひたひ
)
あたりを
交
(
かは
)
る
交
(
がは
)
るグイグイと
突
(
つ
)
いてゐる。
056
二人
(
ふたり
)
は「アイタヽ」と
言
(
い
)
ひながら、
057
ガバツと
跳
(
は
)
ね
起
(
お
)
き、
058
薄暗
(
うすくら
)
がりにすかし
見
(
み
)
て、
059
房公、芳公
『ダダ
誰
(
たれ
)
だい、
060
俺
(
おれ
)
の
頭
(
あたま
)
を
杖
(
つゑ
)
でこづきよつた
奴
(
やつ
)
は、
061
ふざけた
事
(
こと
)
をしよると
承知
(
しようち
)
しないぞ』
062
老人
『アハヽヽヽ、
063
余
(
あま
)
り
暗
(
くら
)
いものだから……
何
(
なん
)
だか
鼾
(
いびき
)
がするので
近寄
(
ちかよ
)
つて
見
(
み
)
れば、
064
暗
(
くら
)
がりに
光
(
ひか
)
つたものが
一
(
ひと
)
つ、
065
其
(
その
)
横
(
よこ
)
に
黒
(
くろ
)
いものが
又
(
また
)
一
(
ひと
)
つ
倒
(
たふ
)
れて
居
(
ゐ
)
るので、
066
こりや
又
(
また
)
狸
(
たぬき
)
の
睾丸
(
きんたま
)
ではあるまいかと
思
(
おも
)
つて、
067
杖
(
つゑ
)
の
先
(
さき
)
で
一寸
(
ちよつと
)
いぢつて
見
(
み
)
たのだよ。
068
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
うても
暗
(
くら
)
がりと
云
(
い
)
ひ、
069
老人
(
らうじん
)
で
目
(
め
)
が
疎
(
うと
)
いのだから、
070
頭
(
あたま
)
の
一
(
ひと
)
つやそこら
割
(
わ
)
れたつて
辛抱
(
しんばう
)
して
下
(
くだ
)
さい。
071
何程
(
なにほど
)
腹
(
はら
)
が
立
(
た
)
つても
老人
(
としより
)
は
大切
(
だいじ
)
にせねばならぬ
規則
(
きそく
)
だからのう……』
072
房公
『
何処
(
どこ
)
の
老人
(
らうじん
)
か
知
(
し
)
らぬが、
073
知
(
し
)
らぬとやつた
事
(
こと
)
は
仕方
(
しかた
)
がないとしても、
074
唯
(
ただ
)
一言
(
ひとこと
)
の
断
(
ことわ
)
りも
言
(
い
)
はず、
075
反対
(
あべこべ
)
に
老人
(
らうじん
)
尊敬論
(
そんけいろん
)
を
捲
(
まく
)
し
立
(
た
)
てよつて
太
(
ふと
)
い
奴
(
やつ
)
だ。
076
大方
(
おほかた
)
お
前
(
まへ
)
は
化州
(
ばけしう
)
だらう。
077
さア、
078
正体
(
しやうたい
)
を
現
(
あら
)
はせ!』
079
老人
『オホヽヽヽ、
080
どうせ
化州
(
ばけしう
)
に
違
(
ちが
)
ひないが、
081
俺
(
おれ
)
でさへも
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
すやうな
闇
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
に、
082
よう
光
(
ひか
)
る
薬鑵頭
(
やくわんあたま
)
があつたものだから、
083
ヒネ
た
狸
(
たぬき
)
の
睾丸
(
きんたま
)
ではあるまいかと、
084
一寸
(
ちよつと
)
泥
(
どろ
)
のついた
杖
(
つゑ
)
の
先
(
さき
)
でいぢつて
見
(
み
)
たのだから、
085
了見
(
りやうけん
)
さつしやい。
086
知
(
し
)
らぬ
神
(
かみ
)
に
祟
(
たた
)
りなしと
云
(
い
)
ふから、
087
さう
老人
(
らうじん
)
に
毒
(
どく
)
つくものぢやありませぬぞや』
088
芳公
『もしお
爺
(
ぢい
)
さま、
089
知
(
し
)
らずにした
事
(
こと
)
は
仕方
(
しかた
)
がありませぬ。
090
こちらも
両人
(
ふたり
)
の
者
(
もの
)
が、
091
この
木
(
き
)
の
下
(
した
)
に
逗留
(
とうりう
)
して
居
(
ゐ
)
ると
云
(
い
)
ふ
広告
(
くわうこく
)
を
出
(
だ
)
して
置
(
お
)
かないものだから、
092
間違
(
まちが
)
へられても
何
(
なん
)
とも
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ませぬ。
093
併
(
しか
)
しながら
黒姫
(
くろひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
五十
(
ごじふ
)
許
(
ばか
)
りのお
婆
(
ばあ
)
さまに、
094
お
出会
(
であ
)
ひでは
御座
(
ござ
)
いませなんだか』
095
老人
『
何
(
なん
)
だか
黒
(
くろ
)
いものにチヨコチヨコ
出遇
(
であ
)
うたが、
096
向
(
むか
)
ふが
黙
(
だま
)
つて
通
(
とほ
)
りよつたものだから、
097
どれが
黒姫
(
くろひめ
)
だか
黒狐
(
くろぎつね
)
だか、
098
熊
(
くま
)
だか
烏
(
からす
)
だか
区別
(
くべつ
)
が
付
(
つ
)
きませぬわい』
099
芳公
『お
爺
(
ぢい
)
さま、
100
この
暗
(
くら
)
いのにお
前
(
まへ
)
は
一
(
いつ
)
たい
何処
(
どこ
)
へ
行
(
ゆ
)
く
積
(
つも
)
りだえ』
101
老人
『
俺
(
わし
)
は
仕方
(
しかた
)
がない
極道
(
ごくだう
)
息子
(
むすこ
)
が
二人
(
ふたり
)
あつて
此
(
この
)
坂
(
さか
)
を
今
(
いま
)
登
(
のぼ
)
つて
来
(
く
)
る
筈
(
はず
)
だから
迎
(
むか
)
へに
来
(
き
)
たのだよ』
102
芳公
『ヘエ、
103
そのまた
二人
(
ふたり
)
の
息子
(
むすこ
)
とはどんな
人
(
ひと
)
ですか』
104
老人
『さうだなア、
105
一人
(
ひとり
)
は
暗
(
やみ
)
の
晩
(
ばん
)
でも
薬鑵
(
やくわん
)
のやうに
頭
(
あたま
)
が
光
(
ひか
)
つて、
106
一寸
(
ちよつと
)
腰
(
こし
)
が
曲
(
まが
)
り
背
(
せ
)
の
低
(
ひく
)
い
男
(
をとこ
)
だ。
107
そして
一人
(
ひとり
)
は
少
(
すこ
)
し
図体
(
づうたい
)
の
大
(
おほ
)
きい
三十
(
さんじふ
)
男
(
をとこ
)
だが、
108
そいつは
又
(
また
)
癖
(
くせ
)
が
悪
(
わる
)
くて
弱
(
よわ
)
い
相撲取
(
すまうと
)
り、
109
負
(
ま
)
けて
負
(
ま
)
けて
負
(
ま
)
け
通
(
とほ
)
し、
110
人
(
ひと
)
から
鍋蓋
(
なべぶた
)
と
迄
(
まで
)
名
(
な
)
を
取
(
と
)
つた
困
(
こま
)
つた
伜
(
せがれ
)
だよ。
111
黒姫
(
くろひめ
)
と
云
(
い
)
ふ
宣伝使
(
せんでんし
)
のお
供
(
とも
)
に
来
(
き
)
ながら、
112
アタいやらしい
振舞酒
(
ふるまひざけ
)
に
酔
(
よ
)
うて
肝腎
(
かんじん
)
の
主人
(
しゆじん
)
を
見失
(
みうしな
)
ひ、
113
こんな
所
(
ところ
)
へやつて
来
(
き
)
て、
114
安閑
(
あんかん
)
と
寝
(
ね
)
て
居
(
ゐ
)
ると
云
(
い
)
ふ、
115
話
(
はなし
)
にも
杭
(
くひ
)
にもかからぬ……
極道
(
ごくだう
)
息子
(
むすこ
)
だよ』
116
と
雷
(
らい
)
のやうな
声
(
こゑ
)
で
呶鳴
(
どな
)
り
立
(
た
)
てられ、
117
二人
(
ふたり
)
はこの
声
(
こゑ
)
に
驚
(
おどろ
)
いて
飛
(
と
)
び
上
(
あが
)
り、
118
暗
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
を
三四間
(
さんしけん
)
無暗
(
むやみ
)
矢鱈
(
やたら
)
に
駆
(
かけ
)
まはり、
119
房公
(
ふさこう
)
と
芳公
(
よしこう
)
は
急速力
(
きふそくりよく
)
をもつて
正面
(
しやうめん
)
衝突
(
しようとつ
)
をなし、
120
二
(
ふた
)
つ
眼
(
め
)
からピカピカと
火
(
ひ
)
を
出
(
だ
)
し、
121
房公、芳公
『アイタヽヽヽ』
122
と
目
(
め
)
を
押
(
おさ
)
へて
互
(
たがひ
)
に
踞
(
しやが
)
んで
仕舞
(
しま
)
ふ。
123
老人
『アハヽヽヽヽ、
124
房野丸
(
ふさのまる
)
と
芳野丸
(
よしのまる
)
とが
衝突
(
しようとつ
)
を
致
(
いた
)
しましたなア。
125
大
(
たい
)
した
破産
(
はさん
)
はなかつたかなア。
126
機関庫
(
きくわんこ
)
が
爆発
(
ばくはつ
)
したと
見
(
み
)
えてずゐぶん
偉
(
えら
)
い
光
(
ひかり
)
だつたよ、
127
ワハヽヽヽ』
128
芳公
『コリヤ
化爺
(
ばけおやぢ
)
、
129
人
(
ひと
)
の
難儀
(
なんぎ
)
を
見
(
み
)
て
面白
(
おもしろ
)
さうに
笑
(
わら
)
ふと
云
(
い
)
ふやうな、
130
不道徳
(
ふだうとく
)
な
不人情
(
ふにんじやう
)
な
奴
(
やつ
)
がどこにあるか、
131
まるで
鬼
(
おに
)
のやうな
糞爺
(
くそおやぢ
)
だなア』
132
老人
『お
前
(
まへ
)
の
云
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
り、
133
俺
(
おれ
)
は
見
(
み
)
る
影
(
かげ
)
もない
糞爺
(
くそぢい
)
だ。
134
目糞
(
めくそ
)
に
歯糞
(
はくそ
)
、
135
耳糞
(
みみくそ
)
に
鼻糞
(
はなくそ
)
、
136
お
前
(
まへ
)
のやうに
尻糞
(
しりくそ
)
はつけて
居
(
ゐ
)
ないが、
137
随分
(
ずゐぶん
)
汚
(
きたな
)
い
糞爺
(
くそぢい
)
だよ』
138
芳公
『オイ
糞爺
(
くそぢい
)
、
139
俺
(
おれ
)
が
尻糞
(
しりくそ
)
をつけて
居
(
ゐ
)
るなんて、
140
失敬
(
しつけい
)
な
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふない。
141
この
暗
(
くら
)
がりで
目
(
め
)
が
見
(
み
)
え
難
(
にく
)
いと
吐
(
ぬか
)
した
癖
(
くせ
)
に、
142
尻糞
(
しりくそ
)
迄
(
まで
)
どうして
分
(
わか
)
るのだ。
143
糞
(
くそ
)
があきれて
雪隠
(
せんち
)
が
踊
(
をど
)
るわい』
144
老人
『
何
(
なん
)
とまア
糞
(
くそ
)
やかましい
男
(
をとこ
)
だなア。
145
俺
(
おれ
)
は
火
(
ひ
)
の
国
(
くに
)
の
聖
(
ひじり
)
と
云
(
い
)
つて、
146
どんな
事
(
こと
)
でも
しり
てしりて
しり
ぬいて
居
(
ゐ
)
る
牛
(
うし
)
の
尻
(
しり
)
だよ。
147
お
前
(
まへ
)
の
尻
(
しり
)
の
毛
(
け
)
が
何本
(
なんぼん
)
あると
云
(
い
)
ふ
所
(
ところ
)
まで
知
(
し
)
りて
居
(
ゐ
)
るのだからのう……』
148
芳公
『こりや
化爺
(
ばけぢい
)
、
149
そんなら
俺
(
おれ
)
の
尻
(
しり
)
の
毛
(
け
)
が
何本
(
なんぼん
)
あるか
当
(
あ
)
てて
見
(
み
)
い!』
150
老人
『オホヽヽヽ、
151
かう
見
(
み
)
た
処
(
ところ
)
が
唯
(
ただ
)
の
一本
(
いつぽん
)
も
無
(
な
)
いぢやないか。
152
お
滝
(
たき
)
の
素片多
(
すべた
)
女
(
をんな
)
に
惚
(
のろ
)
けよつて、
153
尻
(
しり
)
の
毛
(
け
)
を
一本
(
いつぽん
)
もない
所
(
ところ
)
迄
(
まで
)
抜
(
ぬ
)
かれたと
見
(
み
)
えるわい。
154
まるきり
牛蒡
(
ごばう
)
の
切口
(
きりくち
)
か
椢炭
(
よりすみ
)
の
切口
(
きりくち
)
のやうな
黒
(
くろ
)
い
尻
(
しり
)
だのう』
155
芳公
『
何
(
なに
)
を
吐
(
ぬか
)
して
けつ
かるのだい。
156
もうよい
加減
(
かげん
)
にすつ
込
(
こ
)
まぬか、
157
尻
(
しり
)
の
穴
(
あな
)
奴
(
め
)
が!』
158
老人
『すつ
込
(
こ
)
めと
云
(
い
)
つたつて、
159
十
(
じふ
)
年
(
ねん
)
許
(
ばか
)
り
苦
(
くる
)
しんで
居
(
ゐ
)
る
脱肛
(
だつこう
)
だから、
160
容易
(
ようい
)
にすつ
込
(
こ
)
みはせないぞや。
161
これと
云
(
い
)
ふのも
房公
(
ふさこう
)
芳公
(
よしこう
)
と
云
(
い
)
ふ
極道
(
ごくだう
)
息子
(
むすこ
)
があるために、
162
それが
苦
(
く
)
になつてこんな
病気
(
びやうき
)
が
起
(
おこ
)
つたのだよ。
163
親不孝
(
おやふかう
)
な
息子
(
むすこ
)
もあつたものだ。
164
こんな
奴
(
やつ
)
は
今
(
いま
)
に
天罰
(
てんばつ
)
が
当
(
あた
)
つて
火
(
ひ
)
の
国峠
(
くにたうげ
)
の
大蛇
(
をろち
)
に
呑
(
の
)
まれて
仕舞
(
しま
)
ふと、
165
娑婆
(
しやば
)
ふさぎの
厄介者
(
やつかいもの
)
がなくなつてよいのだがなア。
166
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて、
167
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立
(
た
)
てかへる
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
だから、
168
どうせ
二人
(
ふたり
)
の
極道
(
ごくだう
)
息子
(
むすこ
)
の
寿命
(
じゆみやう
)
も
長
(
なが
)
い
事
(
こと
)
はあるまい。
169
あゝ
可愛
(
かあい
)
さうなやうな
気味
(
きみ
)
のよい
事
(
こと
)
だわい、
170
オホヽヽヽ』
171
と
遠慮
(
ゑんりよ
)
会釈
(
ゑしやく
)
もなく、
172
暗
(
くら
)
がりに
ボツ
と
姿
(
すがた
)
を
現
(
あら
)
はして
嘲笑
(
あざわら
)
ふ。
173
房公
(
ふさこう
)
は
最前
(
さいぜん
)
の
正面
(
しやうめん
)
衝突
(
しようとつ
)
で
鼻血
(
はなぢ
)
を
出
(
だ
)
し
痛
(
いた
)
さにものをも
得
(
え
)
云
(
い
)
はず、
174
地
(
ち
)
にかぶり
付
(
つ
)
いて
泣
(
な
)
いて
居
(
ゐ
)
る。
175
老爺
(
ぢいや
)
は
皺
(
しわ
)
がれた
声
(
こゑ
)
で
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
した。
176
老人
『
黒姫
(
くろひめ
)
婆
(
ば
)
さまの
供
(
とも
)
をして
177
心
(
こころ
)
も
暗
(
くら
)
い
両人
(
りやうにん
)
が
178
暗
(
くら
)
い
峠
(
たうげ
)
を
登
(
のぼ
)
り
来
(
く
)
る
179
後前
(
あとさき
)
見
(
み
)
ずの
暗雲
(
やみくも
)
で
180
心
(
こころ
)
の
舵
(
かぢ
)
を
取
(
と
)
り
外
(
はづ
)
し
181
顔
(
かほ
)
と
顔
(
かほ
)
とが
衝突
(
しようとつ
)
し
182
薬鑵頭
(
やくわんあたま
)
が
鼻
(
はな
)
打
(
う
)
つて
183
赤
(
あか
)
い
鼻血
(
はなぢ
)
をタラタラと
184
流
(
なが
)
して
踞
(
しやが
)
むいぢらしさ
185
黒姫司
(
くろひめつかさ
)
にそそられて
186
遥々
(
はるばる
)
つらつて
来
(
き
)
た
友
(
とも
)
の
187
難儀
(
なんぎ
)
を
見捨
(
みす
)
ててスタスタと
188
高山峠
(
たかやまたうげ
)
を
一散
(
いつさん
)
に
189
登
(
のぼ
)
つて
出
(
で
)
て
来
(
く
)
る
不人情
(
ふにんじやう
)
190
人
(
ひと
)
の
皮
(
かは
)
着
(
き
)
た
代物
(
しろもの
)
の
191
平気
(
へいき
)
で
出来
(
でき
)
る
業
(
わざ
)
ぢやない
192
貴様
(
きさま
)
二人
(
ふたり
)
の
心
(
こころ
)
には
193
黒姫
(
くろひめ
)
よりもまだ
悪
(
わる
)
い
194
黒
(
くろ
)
い
顔
(
かほ
)
した
鬼
(
おに
)
が
居
(
ゐ
)
る
195
其
(
その
)
鬼
(
おに
)
共
(
ども
)
を
追
(
お
)
ひ
出
(
だ
)
して
196
生
(
うま
)
れ
赤児
(
あかご
)
になりかはり
197
尻
(
けつ
)
の
掃除
(
さうぢ
)
をよつくして
198
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御使
(
みつかひ
)
と
199
早
(
はや
)
くなれなれ いつ
迄
(
まで
)
も
200
黒姫
(
くろひめ
)
如
(
ごと
)
きの
供
(
とも
)
をして
201
男
(
をとこ
)
が
立
(
た
)
つと
思
(
おも
)
てるか
202
前代
(
ぜんだい
)
未聞
(
みもん
)
の
馬鹿者
(
ばかもの
)
だ
203
我
(
われ
)
は
国治立
(
くにはるたちの
)
神
(
かみ
)
204
お
前
(
まへ
)
の
御魂
(
みたま
)
を
磨
(
みが
)
き
上
(
あ
)
げ
205
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
と
206
造
(
つく
)
り
直
(
なほ
)
して
神界
(
しんかい
)
の
207
御用
(
ごよう
)
をさせてやり
度
(
た
)
いと
208
此処
(
ここ
)
に
姿
(
すがた
)
を
現
(
あら
)
はして
209
お
前
(
まへ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
の
眼
(
め
)
を
醒
(
さ
)
まし
210
無限
(
むげん
)
の
力
(
ちから
)
をそれぞれに
211
配
(
くば
)
り
与
(
あた
)
ふる
神
(
かむ
)
ながら
212
神
(
かみ
)
の
御息
(
みいき
)
に
生
(
うま
)
れたる
213
汝
(
なんぢ
)
はこれから
謹
(
つつし
)
みて
214
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つを
立
(
た
)
て
通
(
とほ
)
し
215
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
火
(
ひ
)
の
国
(
くに
)
の
216
花
(
はな
)
の
都
(
みやこ
)
へ
立
(
た
)
ち
向
(
むか
)
ひ
217
黒姫司
(
くろひめつかさ
)
が
迷
(
まよ
)
ひ
居
(
ゐ
)
る
218
恋
(
こひ
)
の
闇
(
やみ
)
をば
晴
(
は
)
らせかし
219
神
(
かみ
)
の
大道
(
おほぢ
)
を
踏
(
ふ
)
みながら
220
夫
(
をつと
)
のために
魂
(
たましひ
)
を
221
抜
(
ぬ
)
かれて
来
(
きた
)
る
黒姫
(
くろひめ
)
の
222
其
(
その
)
愚
(
おろか
)
さは
限
(
かぎ
)
りなし
223
迷
(
まよ
)
ひきつたる
黒姫
(
くろひめ
)
の
224
後
(
あと
)
に
従
(
したが
)
ひ
遥々
(
はるばる
)
と
225
ここ
迄
(
まで
)
来
(
きた
)
る
二人
(
ふたり
)
連
(
づ
)
れ
226
猶更
(
なほさら
)
馬鹿
(
ばか
)
な
代物
(
しろもの
)
だ
227
国治立
(
くにはるたちの
)
大神
(
おほかみ
)
と
228
云
(
い
)
うたは
真赤
(
まつか
)
な
詐
(
いつは
)
りで
229
我
(
われ
)
は
月照彦
(
つきてるひこの
)
神
(
かみ
)
230
早
(
はや
)
く
御魂
(
みたま
)
を
立
(
た
)
て
直
(
なほ
)
し
231
清明
(
せいめい
)
無垢
(
むく
)
の
身
(
み
)
となつて
232
厳
(
いづ
)
の
御魂
(
みたま
)
や
瑞御魂
(
みづみたま
)
233
開
(
ひら
)
き
給
(
たま
)
ひし
三五
(
あななひ
)
の
234
教
(
をしへ
)
の
柱
(
はしら
)
となれよかし
235
神
(
かみ
)
は
汝
(
なんぢ
)
の
身
(
み
)
を
守
(
まも
)
り
236
魂
(
たま
)
を
守
(
まも
)
つて
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
も
237
太
(
ふと
)
しき
功
(
いさを
)
を
立
(
た
)
てさせむ
238
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
239
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はへましませよ』
240
と
歌
(
うた
)
ひ
終
(
をは
)
るや、
241
怪
(
あや
)
しき
老人
(
らうじん
)
の
姿
(
すがた
)
は
煙
(
けむり
)
となつて
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せ、
242
後
(
あと
)
には
尾上
(
をのへ
)
を
渡
(
わた
)
る
松風
(
まつかぜ
)
の
音
(
おと
)
、
243
ザワザワザワと
聞
(
きこ
)
え
来
(
きた
)
る。
244
芳公
『オイ
房公
(
ふさこう
)
、
245
どうだ、
246
鼻柱
(
はなばしら
)
は
些
(
すこ
)
しよくなつたかなア。
247
あんまり
常
(
つね
)
から
鼻
(
はな
)
が
高
(
たか
)
いものだから、
248
今
(
いま
)
現
(
あら
)
はれた
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
鼻
(
はな
)
を
捩
(
ね
)
ぢ
折
(
を
)
つて
改心
(
かいしん
)
させてやらうとなさつたのだよ。
249
何時
(
いつ
)
とても
貴様
(
きさま
)
は
高慢
(
かうまん
)
が
強
(
つよ
)
うて
鼻
(
はな
)
を
高
(
たか
)
うするから、
250
こんな
目
(
め
)
に
遇
(
あ
)
うたのだ。
251
途中
(
とちう
)
の
鼻高
(
はなだか
)
と
云
(
い
)
ふのはお
前
(
まへ
)
の
事
(
こと
)
だよ』
252
房公
『
何
(
なん
)
でもいいわ。
253
俺
(
おれ
)
はもう
恐
(
おそ
)
ろしくつて
何
(
なん
)
どころぢやない。
254
大方
(
おほかた
)
あれは、
255
此
(
この
)
山
(
やま
)
の
大天狗
(
だいてんぐ
)
に
間違
(
まちが
)
ひなからうぞ。
256
何
(
なん
)
でも
彼
(
か
)
でも
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
事
(
こと
)
を
皆
(
みな
)
知
(
し
)
つてござつたぢやないか』
257
芳公
『
天狗
(
てんぐ
)
の
話
(
はなし
)
はもう
止
(
や
)
めて
呉
(
く
)
れ。
258
天狗
(
てんぐ
)
と
聞
(
き
)
くと、
259
何
(
なん
)
だか
首筋
(
くびすぢ
)
がゾクゾクして
来
(
く
)
るからなア。
260
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
』
261
房公
『こんな
処
(
ところ
)
に
長居
(
ながゐ
)
は
恐
(
おそ
)
れだ。
262
さア
行
(
ゆ
)
かう。
263
黒姫
(
くろひめ
)
さまが
火
(
ひ
)
の
国
(
くに
)
で
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
られるだらうからなア』
264
芳公
『
行
(
ゆ
)
かうと
云
(
い
)
つた
処
(
ところ
)
で
是
(
これ
)
だけ
峻
(
きつ
)
い
坂道
(
さかみち
)
、
265
其
(
その
)
上
(
うへ
)
闇
(
やみ
)
と
来
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
るのだから、
266
どうする
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
はせないぞ。
267
まア
此処
(
ここ
)
で
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し、
268
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
祈
(
いの
)
つて
夜
(
よ
)
を
明
(
あ
)
かすこととしようかい』
269
(
大正一一・九・一七
旧七・二六
加藤明子
録)
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