霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二〇章 疑心(ぎしん)暗狐(あんこ)〔九八四〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第35巻 海洋万里 戌の巻 篇:第3篇 火の国都 よみ(新仮名遣い):ひのくにみやこ
章:第20章 疑心暗狐 よみ(新仮名遣い):ぎしんあんこ 通し章番号:984
口述日:1922(大正11)年09月17日(旧07月26日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年12月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
久公は旅路を行きながら、荒井ケ岳の道中を振り返り、黒姫が白狐の赤子を取り上げたことにまだ疑いの念を持ち、歌に歌いながら歩いている。
黒姫は道中、宣伝歌を歌って久公に返した。そしてたとえ畜生であろうとも神様の仁慈に預かる存在であり、お互いに助け合うのが神の道であると説いた。そして久公の迷いを指摘し、自分への疑いを晴らすようにと歌いながら進んで行く。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-10-01 12:00:28 OBC :rm3520
愛善世界社版:237頁 八幡書店版:第6輯 556頁 修補版: 校定版:251頁 普及版:92頁 初版: ページ備考:
001徳公三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
002黒姫(くろひめ)さまに(したが)ひて
003荒井(あらゐ)(だけ)(くだ)()
004「ウントコドツコイ ドツコイシヨ」
005()けつ(まろ)びつ両人(りやうにん)
006(あた)りに(こころ)(くば)りつつ
007五合目(ごがふめ)あたりに()()れば
008(てん)(あた)へか岩清水(いはしみづ)
009人待顔(ひとまちがほ)()いてゐる
010コリヤ(たま)らぬと飛付(とびつ)いて
011一口(ひとくち)(のど)をうるほせば
012(いま)(まで)暴威(ばうゐ)(ふる)ひたる
013(あせ)曲津(まがつ)はどこへやら
014(ちぢ)(あが)つて「ドツコイシヨ」
015寂滅(じやくめつ)為楽(ゐらく)となりよつた
016黒姫(くろひめ)さまが()(つく)
017(おれ)久公(きうこう)も「ドツコイシヨ」
018黒姫(くろひめ)さまの驥尾(きび)()
019天下(てんか)名句(めいく)をひねりだす
020諄々(じゆんじゆん)として「ウントコシヨ」
021()きざる姿(すがた)は「ドツコイシヨ」
022(いづみ)()(ごと)面白(おもしろ)
023(よみがへ)りたる心地(ここち)して
024(いき)(やす)むる折柄(をりから)
025常助(つねすけ)さまと()(をとこ)
026(あわただ)しくもやつて()
027黒姫(くろひめ)さまに()をつかへ
028途中(とちう)女房(にようばう)が「ドツコイシヨ」
029又々(またまた)(さか)がキツウなつた
030背中(せなか)用心(ようじん)するがよい
031(つね)産気(さんけ)がつきました
032(この)山中(やまなか)の「ウントコシヨ」
033(ひと)(とほ)らぬ路傍(みちばた)
034どうにも()うにも仕様(しやう)がない
035()苦労(くらう)(なが)ら「ドツコイシヨ」
036取上(とりあ)()さまになつてくれと
037(まこと)しやかに(たの)(ゆゑ)
038ウンと()()黒姫(くろひめ)(さま)
039いと親切(しんせつ)承諾(しようだく)
040夏草(なつくさ)(しげ)木下(こした)かげ
041ガサガサ(すす)んで()(うち)
042大木(おほき)(かげ)に「ウントコシヨ」
043一人(ひとり)(をんな)(すわ)つてる
044黒姫(くろひめ)さまは親切(しんせつ)
045魔性(ましやう)(をんな)に「ドツコイシヨ」
046()るや()らずや(たちま)ちに
047(たすき)十字(じふじ)にあやなして
048「ウントコドツコイ ウントコセイ」
049(ちから)をきはめて(こし)(いだ)
050介抱(かいほう)すれば(たちま)ちに
051キヤツと()()(きつね)()
052(また)もや(をんな)子狐(こぎつね)
053()るかと(おも)へば(また)(ひと)
054男狐(をとこぎつね)()んで()
055(また)もや(ひと)つの(きつね)()
056よくよく()れば(めす)だつた
057(きつね)()んだ二夫婦(ふたふうふ)
058(おや)(あは)して三夫婦(みふうふ)
059(ふと)尻尾(しつぽ)をプリプリと
060(みぎ)(ひだり)にふりながら
061黒姫(くろひめ)さまに(れい)()うて
062(あと)振返(ふりかへ)振返(ふりかへ)
063(くさむら)()けてガサガサと
064姿(すがた)かくした面白(おもしろ)
065尻尾(しつぽ)(ばか)りか「ウントコシヨ」
066(あたま)()まで(みな)(しろ)
067(ゆき)(あざむ)白狐(びやくこ)さま
068(かなら)御恩(ごおん)(わす)れぬと
069黒姫(くろひめ)さまに()ひよつた
070(おも)へば(おも)へば「ドツコイシヨ」
071(きつね)取上(とりあ)げする産婆(さんば)
072(とら)(おほかみ)獅子(しし)(くま)
073大蛇(をろち)(はし)(いた)(まで)
074(たす)けてやるのが(かみ)(みち)
075()()げますといひなすつた
076「ウントコドツコイ ドツコイシヨ」
077ホンに感心(かんしん)々々(かんしん)
078(また)(ひろ)げて坂路(さかみち)
079(くだ)りながらも(なん)となく
080黒姫(くろひめ)さまのスタイルが
081(いや)らしうなつて「ドツコイシヨ」
082気分(きぶん)(わる)くなりました
083「ウントコドツコイ ドツコイシヨ」
084どうせ(ろく)な「ドツコイシヨ」
085()さまぢやないと(おも)てゐた
086自転倒(おのころ)(じま)年古(としふる)
087住居(ぢうきよ)(いた)して()(みだ)
088金毛(きんまう)九尾(きうび)ぢやあるまいか
089「ウントコドツコイ」竜宮(りうぐう)
090乙姫(おとひめ)さまの生宮(いきみや)
091(はなし)(はし)()いた(ゆゑ)
092此奴(こいつ)あウツカリ出来(でき)ないぞ
093グヅグヅしてゐちや(あたま)から
094「ヤツトコシヨー ヤツトコシヨー」
095「それそれそこに(いし)がある」
096()まれて(しま)ふと(おも)うた(ゆゑ)
097(ねこ)(かぶ)つてハイハイと
098「ウントコドツコイ」痩馬(やせうま)
099()いて坂路(さかみち)(のぼ)るよに
100いとおとなしう(したが)うて
101此処(ここ)まで()いて「ドツコイシヨ」
102やつて()たのは徳公(とくこう)
103(きつね)嫁入(よめいり)「ドツコイシヨ」
104すると()(こと)()いたれど
105(その)(とき)日和(ひより)(あめ)()
106天道(てんだう)さまがガンガンと
107()らし(あそ)ばす真昼中(まひるなか)
108魔性(ましやう)(きつね)(あら)はれて
109あつかましくも(ひと)(まへ)
110尻尾(しつぽ)をかくしてやつて()
111取上(とりあ)げてくれとは(なん)(こと)
112「ウントコドツコイ」(この)(かた)
113人間(にんげん)(さま)であつたなら
114()(あし)(からだ)畜生(ちくしやう)
115如何(どう)して(おそ)れて(ちか)よらう
116黒姫(くろひめ)さまは「ドツコイシヨ」
117てつきり(きつね)親玉(おやだま)
118銀毛(ぎんまう)八尾(はつぴ)の「ドツコイシヨ」
119(ふる)(きつね)()化身(けしん)
120眉毛(まゆげ)(つば)つけ(なが)むれど
121()つから尻尾(しつぽ)()えよらぬ
122余程(よつぽど)(がふ)()(やつ)だらうか
123「ウントコドツコイ ヤツトコシヨ」
124コレコレモウシ(くろ)さまえ
125(わたし)はお(まへ)を「ウントコシヨ」
126此処迄(ここまで)(おく)つた返礼(へんれい)
127「ウントコドツコイ ドツコイシヨ」
128足許(あしもと)(あぶ)なうなつて()
129(わたし)(けつ)してだまさぬと
130一言(いちごん)(ちか)うて(くだ)さんせ
131(きつね)(うま)()せたよな
132(あや)しい気分(きぶん)になりました
133オイオイ久公(きうこう)如何(どう)(おも)
134ホンに怪体(けたい)な「ウントコシヨ」
135(わけ)(わか)らぬ(こと)ぢやなア
136荒井峠(あらゐたうげ)(おも)てたら
137人跡(じんせき)()えし山奥(やまおく)
138(とら)(おほかみ)()えたける
139深山(みやま)(おく)かも()れないぞ
140どしてもこしても()におちぬ
141コンコンさまの()出産(しゆつさん)
142取上(とりあ)婆々(ばば)アの(くろ)さまに
143常助(つねすけ)(つね)()けた(やつ)
144親分(おやぶん)子分(こぶん)関係(くわんけい)
145あんな(こと)をば「ドツコイシヨ」
146平気(へいき)(かほ)白昼(はくちう)
147やつたであらうか(おそ)ろしい
148荒井(あらゐ)(たうげ)はいつとても
149不思議(ふしぎ)(とこ)とは()きつれど
150前代(ぜんだい)未聞(みもん)(この)怪事(くわいじ)
151(この)(なぞ)とくのは()つかしい
152あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
153御霊(みたま)(さち)はひましまして
154国魂神(くにたまがみ)純世姫(すみよひめ)
155(おもて)(あら)はれましまして
156黒姫(くろひめ)さまは善神(ぜんしん)
157(ただし)悪魔(あくま)かハツキリと
158どうぞ立別(たてわ)(くだ)さんせ
159(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)
160(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
161(ただ)何事(なにごと)(かみ)(さま)
162(まか)して()(ねがひ)(いた)します
163(まこと)(かみ)曲神(まがかみ)
164(ただし)(きつね)親分(おやぶん)
165合点(がてん)のいかない黒姫(くろひめ)
166正体(しやうたい)(あら)はし両人(りやうにん)
167(こころ)(やす)めて(くだ)さんせ
168(たて)からみても「ドツコイシヨ」
169(よこ)から()ても黒姫(くろひめ)
170矢張(やつぱり)(ひと)のスタイルだ
171(これ)(きつね)であつたなら
172余程(よつぽど)上手(じやうづ)()けたもの
173ホンに(わか)らぬ今日(けふ)(たび)
174あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
175久公(きうこう)シツカリして()れよ
176それそれ そこに(いし)がある
177黒姫(くろひめ)さまを(さき)()
178(まへ)(おれ)両人(りやうにん)
179あとから()いて「ドツコイシヨ」
180(しり)のあたりを(しら)べつつ
181審神(さには)(なが)(くだ)らうか
182モウシモウシ黒姫(くろひめ)さま
183どうぞお(さき)へ「ドツコイシヨ」
184あなたはお()(くだ)さんせ
185(うしろ)目玉(めだま)のない(わたし)
186どんな悪戯(いたづら)されよかと
187(こころ)にかかつてなりませぬ
188疑心(ぎしん)暗鬼(あんき)()らねども
189(まへ)(やう)化者(ばけもの)
190一緒(いつしよ)()くのは真平(まつぴら)
191あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
192御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
193(うた)(なが)ら、194黒姫(くろひめ)一行(いつかう)一歩(ひとあし)々々(ひとあし)(ちから)()れて(くだ)()く。195黒姫(くろひめ)(うた)()した。
196黒姫国治立(くにはるたちの)大神(おほかみ)
197豊国姫(とよくにひめの)大御神(おほみかみ)
198(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)
199(ひら)(たま)ひし三五(あななひ)
200(をしへ)(つた)ふる宣伝使(せんでんし)
201(たふと)(かみ)生宮(いきみや)
202(かみ)()さしの黒姫(くろひめ)
203(なん)ぢや かんぢやと(ののし)つて
204(まこと)()らぬ(こま)(もの)
205仮令(たとへ)(きつね)(たぬき)でも
206(のこ)らず(かみ)(つく)らしし
207(たふと)身魂(みたま)である(ほど)
208(くも)()つたる()(なか)
209人間(にんげん)よりも畜生(ちくしやう)
210(きつね)(たぬき)(たましひ)
211(かみ)御目(みめ)より(なが)むれば
212(はるか)(まさ)つて()(ほど)
213天地(てんち)道理(だうり)白雲(しらくも)
214(つつ)山路(やまぢ)をふみこえて
215(まよ)ひに(まよ)二人(ふたり)()
216(すこ)しく(こころ)をおちつけて
217(この)黒姫(くろひめ)言霊(ことたま)
218(あぢ)はひ()くがよからうぞ
219三千(さんぜん)世界(せかい)(うめ)(はな)
220一度(いちど)(ひら)五六七(みろく)()
221(まつ)神代(かみよ)(ちか)づいて
222四方(よも)山々(やまやま)(はな)(ひら)
223小鳥(ことり)(うた)海河(うみかは)
224(きよ)くさやけくすみ(わた)
225(たふと)御世(みよ)(ひら)(ぐち)
226さうなる(うへ)人間(にんげん)
227()ふも(さら)なり(とり)(けもの)
228()(むし)(まで)(ことごと)
229(かみ)(めぐみ)(おん)(つゆ)
230(あた)へて(たふと)天国(てんごく)
231姿(すがた)をうつす宣伝使(せんでんし)
232(うみ)内外(うちと)使(つか)はして
233(かみ)御旨(みむね)(くま)もなく
234(ひら)かせ(たま)三五(あななひ)
235(ふか)仕組(しぐみ)()らないか
236狐狸(きつねたぬき)()はれても
237(この)黒姫(くろひめ)(かま)はない
238さはさり(なが)徳公(とくこう)
239チツトは(つつし)みなされませ
240(この)神国(かみくに)言霊(ことたま)
241(さち)はひ(たす)()くる(くに)
242(おそ)(おほ)くも三五(あななひ)
243(かみ)(つかさ)見違(みちが)へて
244銀毛(ぎんまう)八尾(はちび)(きつね)とは
245誤解(ごかい)するにも(ほど)がある
246(まへ)(こころ)にかかりたる
247(その)黒幕(くろまく)逸早(いちはや)
248(はづ)して(わたし)(かほ)()
249(なに)ほど(くろ)黒姫(くろひめ)
250普通(ふつう)(ひと)ではない(ほど)
251竜宮海(りうぐうかい)(そこ)(ふか)
252(しづ)まりいます乙姫(おとひめ)
253(かみ)(みこと)生宮(いきみや)
254あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
255御霊(みたま)(さち)はひましまして
256(とく)(きう)二人(ふたり)(たましひ)
257(ひかり)(あた)村肝(むらきも)
258(こころ)(やみ)()らしませ
259三五教(あななひけう)黒姫(くろひめ)
260国魂神(くにたまがみ)(おん)(まへ)
261(つつし)(ゐやま)()ぎまつる
262あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
263御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
264(うた)ひつつ、265坂路(さかみち)(いそ)(くだ)()く。
266大正一一・九・一七 旧七・二六 松村真澄録)
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