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第35巻(戌の巻)
序文
総説歌
第1篇 向日山嵐
01 言の架橋
〔965〕
02 出陣
〔966〕
03 進隊詩
〔967〕
04 村の入口
〔968〕
05 案外
〔969〕
06 歌の徳
〔970〕
07 乱舞
〔971〕
08 心の綱
〔972〕
09 分担
〔973〕
第2篇 ナイルの水源
10 夢の誡
〔974〕
11 野宿
〔975〕
12 自称神司
〔976〕
13 山颪
〔977〕
14 空気焔
〔978〕
15 救の玉
〔979〕
16 浮島の花
〔980〕
第3篇 火の国都
17 霧の海
〔981〕
18 山下り
〔982〕
19 狐の出産
〔983〕
20 疑心暗狐
〔984〕
21 暗闘
〔985〕
22 当違
〔986〕
23 清交
〔987〕
24 歓喜の涙
〔988〕
余白歌
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第六章
歌
(
うた
)
の
徳
(
とく
)
〔九七〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第35巻 海洋万里 戌の巻
篇:
第1篇 向日山嵐
よみ(新仮名遣い):
むこうやまあらし
章:
第6章 歌の徳
よみ(新仮名遣い):
うたのとく
通し章番号:
970
口述日:
1922(大正11)年09月15日(旧07月24日)
口述場所:
筆録者:
北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年12月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
黒姫は元気よく、双方の和解を祝す宣伝歌を歌い、一同魂を磨くよう神の道を奨励した。一方徳公は、直前まで三公がお愛を掘り出してまた心変わりをさせようと画策していたことを歌い、兼公を幽霊だと思って腰を抜かしたさまなどを出まかせの滑稽な歌に乗せた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-09-24 11:11:43
OBC :
rm3506
愛善世界社版:
59頁
八幡書店版:
第6輯 494頁
修補版:
校定版:
63頁
普及版:
21頁
初版:
ページ備考:
001
黒姫
(
くろひめ
)
は
元気
(
げんき
)
よく
歌
(
うた
)
をうたつて、
002
双方
(
さうはう
)
の
和解
(
わかい
)
を
祝
(
しゆく
)
す。
003
その
歌
(
うた
)
、
004
黒姫
『
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
梅
(
うめ
)
の
花
(
はな
)
005
一度
(
いちど
)
に
開
(
ひら
)
く
時
(
とき
)
は
今
(
いま
)
006
天教山
(
てんけうざん
)
や
地教山
(
ちけうざん
)
007
黄金山
(
わうごんざん
)
にあれませる
008
三五教
(
あななひけう
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
009
尊
(
たふと
)
き
教
(
をしへ
)
は
四方
(
よも
)
の
国
(
くに
)
010
隈
(
くま
)
なく
光
(
ひか
)
り
輝
(
かがや
)
きて
011
心
(
こころ
)
を
筑紫
(
つくし
)
の
熊襲国
(
くまそくに
)
012
山
(
やま
)
の
奥
(
おく
)
まで
鳴
(
な
)
り
渡
(
わた
)
る
013
実
(
げ
)
にも
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
014
虎公
(
とらこう
)
さまを
初
(
はじ
)
めとし
015
大蛇
(
をろち
)
の
三公
(
さんこう
)
と
聞
(
きこ
)
えたる
016
竜虎
(
りうこ
)
の
如
(
ごと
)
き
両人
(
りやうにん
)
が
017
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
より
打
(
う
)
ち
解
(
と
)
けて
018
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御教
(
みをしへ
)
に
019
服
(
まつろ
)
ひ
給
(
たま
)
ひし
畏
(
かしこ
)
さよ
020
天ケ下
(
あめがした
)
なる
人草
(
ひとぐさ
)
は
021
高
(
たか
)
き
低
(
ひく
)
きの
隔
(
へだ
)
てなく
022
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
の
嫌
(
きら
)
ひなく
023
国治立
(
くにはるたちの
)
大神
(
おほかみ
)
や
024
豊国主
(
とよくにぬしの
)
大御神
(
おほみかみ
)
025
造
(
つく
)
り
給
(
たま
)
ひし
御子
(
みこ
)
なれば
026
互
(
たがひ
)
に
睦
(
むつ
)
び
親
(
した
)
しみて
027
神
(
かみ
)
の
造
(
つく
)
りし
神
(
かみ
)
の
世
(
よ
)
に
028
生
(
い
)
き
存
(
なが
)
らへて
御恵
(
みめぐみ
)
の
029
露
(
つゆ
)
に
潤
(
うるほ
)
ひ
喜
(
よろこ
)
びの
030
花
(
はな
)
を
開
(
ひら
)
かせ
実
(
み
)
を
結
(
むす
)
び
031
千代
(
ちよ
)
万代
(
よろづよ
)
の
末
(
すゑ
)
までも
032
同
(
おな
)
じ
心
(
こころ
)
に
睦
(
むつ
)
び
合
(
あ
)
ひ
033
栄
(
さか
)
え
行
(
ゆ
)
くこそ
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
の
034
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
生
(
うま
)
れし
務
(
つとめ
)
なり
035
虎公
(
とらこう
)
さまは
最愛
(
さいあい
)
の
036
お
愛
(
あい
)
の
方
(
かた
)
や
妹
(
いもうと
)
の
037
お
梅
(
うめ
)
を
無残
(
むざん
)
に
三公
(
さんこう
)
の
038
指図
(
さしづ
)
の
許
(
もと
)
に
虐
(
さいな
)
まれ
039
無念
(
むねん
)
の
涙
(
なみだ
)
を
抑
(
おさ
)
へつつ
040
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
を
省
(
かへり
)
みて
041
凡
(
すべ
)
ての
仇
(
あだ
)
を
神直日
(
かむなほひ
)
042
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
043
見直
(
みなほ
)
し
給
(
たま
)
ひし
尊
(
たふと
)
さよ
044
神
(
かみ
)
は
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
を
守
(
まも
)
ります
045
人
(
ひと
)
は
神
(
かみ
)
の
子
(
こ
)
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
046
神
(
かみ
)
と
神
(
かみ
)
とは
善
(
ぜん
)
と
善
(
ぜん
)
047
善
(
ぜん
)
に
刃向
(
はむか
)
ふ
仇
(
あだ
)
はない
048
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
049
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
050
今日
(
けふ
)
の
生日
(
いくひ
)
の
喜悦
(
よろこび
)
を
051
千代
(
ちよ
)
も
八千代
(
やちよ
)
も
変
(
かは
)
らずに
052
続
(
つづ
)
かせ
給
(
たま
)
へ
天津
(
あまつ
)
神
(
かみ
)
053
国津
(
くにつ
)
神
(
かみ
)
等
(
たち
)
百
(
もも
)
の
神
(
かみ
)
054
国魂神
(
くにたまがみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
055
三五教
(
あななひけう
)
の
黒姫
(
くろひめ
)
が
056
謹
(
つつし
)
み
敬
(
ゐやま
)
ひ
喜
(
よろこ
)
んで
057
感謝
(
かんしや
)
の
詞
(
ことば
)
奉
(
たてまつ
)
る
058
いざこれからは
皆
(
みな
)
の
人
(
ひと
)
059
心
(
こころ
)
の
隔
(
へだ
)
てを
取
(
と
)
り
払
(
はら
)
ひ
060
親
(
おや
)
と
子
(
こ
)
の
如
(
ごと
)
親
(
した
)
しみて
061
心
(
こころ
)
の
玉
(
たま
)
を
磨
(
みが
)
きつつ
062
神
(
かみ
)
の
大道
(
おほぢ
)
に
服
(
まつろ
)
へや
063
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
064
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
065
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
066
誠
(
まこと
)
の
力
(
ちから
)
は
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふ
067
誠
(
まこと
)
は
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
宝
(
たから
)
ぞや
068
金剛
(
こんがう
)
不壊
(
ふゑ
)
の
如意
(
によい
)
宝珠
(
ほつしゆ
)
069
麻邇
(
まに
)
の
宝珠
(
ほつしゆ
)
は
麗
(
うるは
)
しく
070
如何
(
いか
)
に
尊
(
たふと
)
くあるとても
071
誠
(
まこと
)
の
魂
(
たま
)
には
如
(
し
)
かざらめ
072
魂
(
たま
)
を
磨
(
みが
)
けよ
諸人
(
もろびと
)
よ
073
魂
(
たま
)
の
功績
(
いさを
)
を
永久
(
とこしへ
)
に
074
崇
(
あが
)
むる
身
(
み
)
こそ
楽
(
たの
)
しけれ
075
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
076
御魂
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はへましませよ』
077
徳公
(
とくこう
)
はツと
立
(
た
)
ちてうたひ
出
(
だ
)
した。
078
徳公
『あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
079
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐ
)
みを
蒙
(
かうむ
)
りて
080
徳公
(
とくこう
)
が
此処
(
ここ
)
に
言霊
(
ことたま
)
の
081
お
歌
(
うた
)
をうたひ
奉
(
たてまつ
)
る
082
大蛇
(
をろち
)
の
三公
(
さんこう
)
と
云
(
い
)
ふ
人
(
ひと
)
は
083
本当
(
ほんたう
)
に
腹
(
はら
)
の
悪
(
わる
)
い
人
(
ひと
)
084
今
(
いま
)
の
御
(
お
)
歌
(
うた
)
で
伺
(
うかが
)
へば
085
夜前
(
やぜん
)
の
中
(
うち
)
に
木花
(
このはな
)
の
086
姫
(
ひめ
)
の
命
(
みこと
)
の
御
(
ご
)
化身
(
けしん
)
に
087
天地
(
てんち
)
の
道理
(
だうり
)
を
聞
(
き
)
かされて
088
心
(
こころ
)
の
雲
(
くも
)
を
吹
(
ふ
)
き
払
(
はら
)
ひ
089
正
(
ただ
)
しき
身魂
(
みたま
)
となりながら
090
今
(
いま
)
の
今
(
いま
)
まで
知
(
し
)
らず
顔
(
がほ
)
091
徳公
(
とくこう
)
さまを
急
(
せ
)
き
立
(
た
)
てて
092
向日峠
(
むかふたうげ
)
の
山麓
(
さんろく
)
に
093
埋
(
うづ
)
めて
置
(
お
)
いたお
愛
(
あい
)
さま
094
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
助
(
たす
)
け
出
(
だ
)
し
095
何処
(
どこ
)
かの
山
(
やま
)
へ
連
(
つ
)
れ
行
(
ゆ
)
きて
096
うまくお
前
(
まへ
)
が
抱込
(
だきこ
)
んで
097
竹
(
たけ
)
の
柱
(
はしら
)
に
萱
(
かや
)
の
屋根
(
やね
)
098
手鍋
(
てなべ
)
さげても
構
(
かま
)
はぬと
099
お
愛
(
あい
)
の
方
(
かた
)
が
吐
(
ぬか
)
すまで
100
うまくやつつけ
呉
(
く
)
れよやと
101
誠
(
まこと
)
しやかに
急
(
せ
)
きたてて
102
お
酒
(
さけ
)
に
酔
(
よ
)
うた
徳
(
とく
)
さまを
103
無性
(
むしやう
)
矢鱈
(
やたら
)
に
急
(
せ
)
きたてる
104
誠
(
まこと
)
に
腹
(
はら
)
の
悪
(
わる
)
い
人
(
ひと
)
105
外
(
ほか
)
の
事
(
こと
)
とは
事
(
こと
)
変
(
かは
)
り
106
冗談
(
じようだん
)
云
(
い
)
ふにも
程
(
ほど
)
がある
107
呆
(
あき
)
れて
物
(
もの
)
が
言
(
い
)
はれない
108
本当
(
ほんたう
)
に
馬鹿
(
ばか
)
にされました
109
斯
(
こ
)
んな
事
(
こと
)
だと
知
(
し
)
つたなら
110
心配
(
しんぱい
)
するのぢや
無
(
な
)
かつたに
111
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
馬鹿
(
ばか
)
らしい
112
与三公
(
よさこう
)
の
奴
(
やつ
)
まで
騙
(
だま
)
されて
113
本当
(
ほんたう
)
になつて
徳公
(
とくこう
)
よ
114
早
(
はや
)
く
行
(
ゆ
)
かなきや
親方
(
おやかた
)
が
115
大
(
おほ
)
きな
目
(
め
)
の
玉
(
たま
)
むき
出
(
だ
)
すと
116
脅
(
おど
)
し
文句
(
もんく
)
を
並
(
なら
)
べたて
117
章魚
(
たこ
)
禿頭
(
はげあたま
)
に
湯気
(
ゆげ
)
立
(
た
)
てて
118
勧
(
すす
)
めくさつたこと
思
(
おも
)
や
119
夢
(
ゆめ
)
か
現
(
うつつ
)
か
幻
(
まぼろし
)
か
120
分
(
わか
)
らぬ
様
(
やう
)
になつて
来
(
き
)
た
121
今日
(
けふ
)
も
思
(
おも
)
はぬ
酒
(
さけ
)
の
席
(
せき
)
122
天下
(
てんか
)
は
極
(
きは
)
めて
太平
(
たいへい
)
だ
123
兼公
(
かねこう
)
の
奴
(
やつ
)
がヒヨロヒヨロと
124
此処
(
ここ
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
た
時
(
とき
)
は
125
亡者
(
まうじや
)
が
俺
(
おれ
)
等
(
ら
)
の
首
(
くび
)
とりに
126
やつて
来
(
き
)
たかと
肝
(
きも
)
潰
(
つぶ
)
し
127
腰
(
こし
)
を
抜
(
ぬ
)
かした
苦
(
くる
)
しさよ
128
さはさりながら
一同
(
いちどう
)
の
129
顔
(
かほ
)
をばよくよく
眺
(
なが
)
むれば
130
何
(
いづ
)
れも
愉快
(
ゆくわい
)
の
顔
(
かほ
)
の
色
(
いろ
)
131
此奴
(
こいつ
)
ア
大事
(
だいじ
)
アあるまいと
132
高
(
たか
)
を
括
(
くく
)
つて
虎公
(
とらこう
)
に
133
腰
(
こし
)
をば
揉
(
も
)
んで
下
(
くだ
)
さいと
134
抜
(
ぬ
)
けても
居
(
ゐ
)
ないわが
腰
(
こし
)
を
135
瀬踏
(
せぶ
)
みの
為
(
た
)
めに
突
(
つ
)
き
出
(
だ
)
せば
136
怨
(
うら
)
みを
忘
(
わす
)
れた
虎公
(
とらこう
)
は
137
困
(
こま
)
つた
奴
(
やつ
)
ぢやと
言
(
い
)
ひながら
138
私
(
わたし
)
の
後
(
うしろ
)
にツと
廻
(
まは
)
り
139
擦
(
さす
)
つてくれた
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
140
この
徳公
(
とくこう
)
もこれを
見
(
み
)
て
141
轟
(
とどろ
)
く
胸
(
むね
)
を
撫
(
な
)
で
下
(
おろ
)
し
142
ヤツと
安心
(
あんしん
)
したわいな
143
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
144
神
(
かみ
)
の
御
(
お
)
神酒
(
みき
)
を
沢山
(
たくさん
)
に
145
皆
(
みな
)
さま
飲
(
の
)
んで
下
(
くだ
)
さんせ
146
私
(
わたし
)
が
飲
(
の
)
ますぢやない
程
(
ほど
)
に
147
大蛇
(
をろち
)
の
親分
(
おやぶん
)
三公
(
さんこう
)
が
148
秘蔵
(
ひざう
)
して
居
(
ゐ
)
た
甘
(
うま
)
い
酒
(
さけ
)
149
地獄
(
ぢごく
)
の
上
(
うへ
)
を
飛
(
と
)
ぶ
様
(
やう
)
な
150
肝
(
きも
)
放
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
して
惜気
(
をしげ
)
なく
151
社会
(
しやくわい
)
の
為
(
た
)
めに
投
(
な
)
げ
出
(
だ
)
した
152
由緒
(
ゆゐしよ
)
の
深
(
ふか
)
き
酒
(
さけ
)
ぢやぞえ
153
決
(
けつ
)
して
遠慮
(
ゑんりよ
)
はいりませぬ
154
ズブ
六
(
ろく
)
さまに
酔
(
よ
)
ひ
潰
(
つぶ
)
れ
155
舌
(
した
)
も
廻
(
まは
)
らず
目
(
め
)
も
見
(
み
)
えず
156
足
(
あし
)
さへ
立
(
た
)
たぬ
処
(
ところ
)
まで
157
遠慮
(
ゑんりよ
)
会釈
(
ゑしやく
)
はない
程
(
ほど
)
に
158
ガブガブ
飲
(
の
)
んで
下
(
くだ
)
さんせ
159
親分
(
おやぶん
)
さまの
酒
(
さけ
)
ぢやもの
160
私
(
わたし
)
の
懐中
(
ふところ
)
痛
(
いた
)
まない
161
ほんに
結構
(
けつこう
)
な
結構
(
けつこう
)
な
162
目出度
(
めでた
)
い
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
てきた
163
「ドツコイドツコイ ドツコイシヨ」
164
酒
(
さけ
)
は
酒屋
(
さかや
)
に よい
茶
(
ちや
)
は
茶屋
(
ちやや
)
に
165
別嬪
(
べつぴん
)
さまは
此処
(
ここ
)
に
居
(
を
)
る
166
お
愛
(
あい
)
の
方
(
かた
)
やお
梅
(
うめ
)
さま
167
何卒
(
どうぞ
)
今
(
いま
)
から
打
(
う
)
ち
解
(
と
)
けて
168
私
(
わたし
)
に
一杯
(
いつぱい
)
甘酒
(
うまざけ
)
を
169
何卒
(
どうぞ
)
酌
(
しやく
)
して
下
(
くだ
)
さんせ
170
黒姫
(
くろひめ
)
さまはチと
許
(
ばか
)
り
171
お
年
(
とし
)
は
召
(
め
)
して
御座
(
ござ
)
るけど
172
矢張
(
やつぱり
)
女
(
をんな
)
に
違
(
ちが
)
ひない
173
男
(
をとこ
)
の
手
(
て
)
から
貰
(
もら
)
ふより
174
女
(
をんな
)
の
方
(
はう
)
が
味
(
あぢ
)
がよい
175
さあさあ
皆
(
みな
)
さま
踊
(
をど
)
りませう
176
飲
(
の
)
んだり
食
(
く
)
つたり
跳
(
は
)
ね
廻
(
まは
)
り
177
謡
(
うた
)
うて
一夜
(
いちや
)
を
明
(
あ
)
かさうか
178
八岐
(
やまた
)
大蛇
(
をろち
)
の
霊
(
みたま
)
まで
179
三公
(
さんこう
)
さまの
体内
(
たいない
)
を
180
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
脱
(
ぬ
)
け
出
(
だ
)
して
181
今
(
いま
)
は
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
182
御
(
お
)
神酒
(
みき
)
あがらぬ
神
(
かみ
)
はない
183
三公
(
さんこう
)
親分
(
おやぶん
)
御
(
ご
)
守護神
(
しゆごじん
)
184
嘸
(
さぞ
)
や
嘸々
(
さぞさぞ
)
御
(
ご
)
満足
(
まんぞく
)
185
お
愛
(
あい
)
の
方
(
かた
)
も
虎公
(
とらこう
)
も
186
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
様
(
さま
)
も
御
(
ご
)
満足
(
まんぞく
)
187
序
(
ついで
)
に
私
(
わたし
)
も
御
(
ご
)
満足
(
まんぞく
)
188
千客
(
せんきやく
)
万来
(
ばんらい
)
いつまでも
189
昼夜
(
ちうや
)
分
(
わか
)
たず
酒
(
さけ
)
に
酔
(
よ
)
ひ
190
面白
(
おもしろ
)
可笑
(
をか
)
しう
暮
(
くら
)
したい
191
之
(
これ
)
が
一生
(
いつしやう
)
の
徳
(
とく
)
さまだ
192
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
193
燗
(
かん
)
でも
冷
(
ひや
)
でも
構
(
かま
)
はない
194
早
(
はや
)
く
一杯
(
いつぱい
)
ついで
呉
(
く
)
れ
195
序
(
ついで
)
にも
一
(
ひと
)
つついでくれ
196
本当
(
ほんたう
)
に
甘
(
うま
)
い
酒
(
さけ
)
だなア
197
こんな
良
(
よ
)
い
酒
(
さけ
)
持
(
も
)
ちながら
198
大蛇
(
をろち
)
の
霊
(
みたま
)
に
憑依
(
ひようい
)
され
199
俺
(
おれ
)
等
(
ら
)
に
隠
(
かく
)
して
三公
(
さんこう
)
さま
200
飲
(
の
)
んで
居
(
ゐ
)
たのに
違
(
ちが
)
ひない
201
昨日
(
きのふ
)
出
(
だ
)
したる
甘酒
(
うまざけ
)
は
202
腐
(
くさ
)
つた
様
(
やう
)
な
酒
(
さけ
)
だつた
203
もうこれからは
親分
(
おやぶん
)
よ
204
お
前
(
まへ
)
も
改心
(
かいしん
)
したからは
205
お
前
(
まへ
)
は
悪
(
わる
)
い
酒
(
さけ
)
を
飲
(
の
)
み
206
乾児
(
こぶん
)
の
奴
(
やつ
)
にや
良
(
よ
)
い
酒
(
さけ
)
を
207
ドツサリ
飲
(
の
)
ましてやらさんせ
208
悪虐
(
あくぎやく
)
無道
(
むだう
)
の
三公
(
さんこう
)
が
209
神
(
かみ
)
の
光
(
ひかり
)
に
照
(
てら
)
されて
210
改心
(
かいしん
)
したと
云
(
い
)
ふ
証
(
しるし
)
211
思
(
おも
)
ひ
違
(
ちが
)
ひのない
様
(
やう
)
に
212
此
(
この
)
徳公
(
とくこう
)
の
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
213
うまく
呑
(
の
)
み
込
(
こ
)
んで
下
(
くだ
)
さんせ
214
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
215
燗
(
かん
)
した
酒
(
さけ
)
は
尚
(
なほ
)
甘
(
うま
)
い』
216
と
口
(
くち
)
から
出任
(
でまか
)
せに
謡
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
舞
(
ま
)
ひ
狂
(
くる
)
ふ。
217
(
大正一一・九・一五
旧七・二四
北村隆光
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