霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サブスクのお知らせ
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一九章 鞍馬山(くらまやま)(二)〔一〇五六〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第38巻 舎身活躍 丑の巻 篇:第4篇 霊火山妖 よみ(新仮名遣い):れいかさんよう
章:第19章 鞍馬山(二) よみ(新仮名遣い):くらまやま 通し章番号:1056
口述日:1922(大正11)年10月18日(旧08月28日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年4月3日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
当夜は八木会合所の祭神および会場移転式であり、多くの会員が集まっていた。不意に教祖御一行のお立ち寄りとあって、一同にわかに驚喜し色めき立ってちょっとした騒動になった。
教祖は見かねて慇懃に挨拶をなし、大神の奉斎所を遷座する大切なお式を軽率に執行して罪を重ねてはならないと戒めた。幸い、教祖に祭主を懇願して移転式を完了し、講話をなして、午後十一時には会員一同退散することになった。
翌日、神前に祈願をこらして行程の如何を占い奉った。すると皇神は海潮の手を通じて教え諭し給うた。
『世の中の人の心のくらま山 神の霊火に開くこの道』
この神詠によって、旅の目的地が鞍馬山であることがうかがいしれた。八木の停車場から列車に乗って、花園駅にて下車した。教祖は一行の先に立って進まれ、徒歩にて北野天満宮に立ち寄った。
教祖は菅原道真公の故事を引き合いに、艮の金神・大国常立尊のお身の上を嘆き、一刻も早く大神を世に出さなければとの追懐と決意を露わにした。海潮と澄子はその真心に貰い泣きをした。
一行は鞍馬に到着し、その夜は御宮の前でお通夜することになった。四方春蔵は寺に備えてあった御神籤をいただいたが、よほど悪い内容だったと見えて『オウ失敗った』と思わず口外するほどであった。
その夜、福林は旅の疲れで前後不覚に寝入ってしまったが、ふと夜中に目を覚ませば、傍らの四方春蔵の姿が見えない。驚いて探すと、外の方から四方が呼ぶ声がする。
急いで外に出てみると、大きな火の玉がお宮の前を行きつ戻りつ駆け巡っていた。しかも、その火の玉の尾には四方春蔵の姿があった。福林が火の玉を追っていくと、不思議にも四方春蔵はそこで大きなたき火をしていた。
福林が声をかけると、四方は恐ろしさに震えて泣いていた。それから連れだってお宮に戻り、二人は寝に就いたという。
ところが、夜が明けてから福林が昨夜のことを四方に尋ねたけれど、何も知らないという。福林は、昨晩四方がたき火をしていた場所に行ってみたが、その跡もなかったという。
海潮は教祖に対して、鞍馬参りの御神慮をうかがったが、教祖はただ、先に行ったらわかりましょう、と言われたのみであった。
帰途は亀岡から八木に出て一泊したが、四方は終日蒼白な顔をしてしょげていた。その夜、四方は園部まで行って友人に会い、今度は死ぬかもしれないと暇乞いをしたという。教祖はこのことを聞いて四方を叱った。
四方はこの出修から戻って一か月ほどで患い、帰幽してしまった。その前に四方から使いが来て、先生に一度来てもらわなければ死ぬにも死なれぬ、というので見舞いに行った。
海潮は四方に『許してやる』と言ったので、四方は安心して帰幽した。時に十八歳。霊学に達した男であったが慢心取違の末、神罰をこうむって一命を終えたことは遺憾のことであった。
ある夜、にわかに大風が吹いて広前の杉の樹が轟々と唸ったことがある。後に教祖にうかがったところ、鞍馬山の大僧正が来て本宮山へ鎮まったという。またその眷属は馬場の大杉へ行ったという。その後馬場の大杉には蜂のごとくたくさんの眷属が見えたということであった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-11-08 16:43:37 OBC :rm3819
愛善世界社版:200頁 八幡書店版:第7輯 233頁 修補版: 校定版:204頁 普及版:107頁 初版: ページ備考:
001 折節(をりふし)当夜(たうや)八木(やぎ)会合所(くわいがふしよ)祭神(さいじん)(およ)会場(くわいぢやう)移転式(いてんしき)挙行日(きよかうび)にて数多(あまた)会員(くわいいん)参集(さんしふ)()たるに、002不意(ふい)教祖(けうそ)一行(いつかう)()立寄(たちよ)りと()きて驚喜(きやうき)(にはか)(いろ)めき()ちて(うへ)(した)への大騒動(おほさうどう)003()るに()かねて教祖(けうそ)(これ)(せい)慇懃(いんぎん)挨拶(あいさつ)あり。004(かしこ)くも大神(おほかみ)奉斎所(ほうさいしよ)遷座(せんざ)する大切(たいせつ)()(しき)軽率(けいそつ)執行(しつかう)して神霊(しんれい)非礼(ひれい)(つみ)(かさ)ね、005(まへ)(もつ)詳細(しやうさい)報告(はうこく)出願(しゆつぐわん)にも(およ)ばざりし会員(くわいいん)一同(いちどう)不注意(ふちうい)(いま)眼前(がんぜん)(むく)うて()()(どく)であつた。006(さいは)ひにも教祖(けうそ)祭主(さいしゆ)懇願(こんぐわん)して移転式(いてんしき)完了(かんれう)し、007(つぎ)教祖(けうそ)(およ)海潮(かいてう)講話(かうわ)あり、008午後(ごご)十一(じふいち)()には(おのおの)十二分(じふにぶん)神徳(しんとく)(かたじけ)なみ会員(くわいいん)一同(いちどう)退散(たいさん)した。009印度(いんど)坊主(ばうず)(きやう)大切(たいせつ)010自分(じぶん)()明日(あす)大事(だいじ)011夜更(よふか)しは()(さは)りと(せま)座敷(ざしき)雑魚寝(ざこね)をなし、012(よく)九日(ここのか)013旭日(きよくじつ)東山(とうざん)()円顔(ゑんがん)(あら)はし(たま)ふの(ころ)014(きり)(なが)るる小川(をがは)手水(てうづ)使(つか)(くち)(すす)ぎ、015(うやうや)しく神前(しんぜん)祈願(きぐわん)()らし、016行途(かうと)如何(いかん)(うら)なひ(たてまつ)る。017(とき)皇神(すめかみ)海潮(かいてう)()(つう)じて(をし)(さと)(たま)(やう)
018()(なか)(ひと)(こころ)のくらま(やま)
019(かみ)霊火(ひかり)(ひら)くこの(みち)
020と、021(この)神詠(しんゑい)によりて行途(かうと)城州(じやうしう)鞍馬山(くらまやま)なる(こと)(うかが)()()たれば、022(こころ)五条橋(ごでうばし)牛若丸(うしわかまる)(ごと)()()つばかり(いさ)()ち、023午後(ごご)(いち)()福島(ふくしま)()(おく)られて八木(やぎ)停車場(ていしやば)へと()(はこ)ぶ。024折柄(をりから)園部(そのべ)(のぼ)列車(れつしや)025(さち)()しと飛乗(とびの)れば二分(にふん)停車(ていしや)(せは)しく(わた)鉄橋(てつけう)寅天(とらてん)の、026(おと)轟々(ぐわうぐわう)大堰川(おほゐがは)027八木(やぎ)城山(しろやま)(あと)()て、028二条(にでう)軌道(レール)疾駆(しつく)して、029(はや)くも亀岡(かめをか)接近(せつきん)す。030海潮(かいてう)故郷(こきやう)なる曽我部(そがべ)連山(れんざん)(こと)(ほか)()()ち、031高熊山(たかくまやま)霊峰(れいほう)彼方(かなた)ならむと(おも)へば不知(しらず)不識(しらず)拍手(はくしゆ)せられる。032愛宕(あたご)神峰(しんぽう)群山(ぐんざん)重畳(ちようでふ)(その)中央(ちうあう)巍然(ぎぜん)として(そび)え、033教祖(けうそ)一行(いつかう)出修(しゆつしう)(なが)めて山霊(さんれい)行途(かうと)安全(あんぜん)成功(せいこう)暗祈(あんき)黙祷(もくたう)せらるるの(おも)ひがある。034車中(しやちう)(たまたま)曽我部(そがべ)里人(さとびと)(ぼう)()る。035言葉(ことば)()けむとすれば(わざ)素知(そし)らぬ()りに背面(はいめん)し、036時々(ときどき)横目(よこめ)此方(こちら)身辺(しんぺん)(うかが)(さま)037あまり心地(ここち)()きものに(あら)ず。038(かれ)(かつ)海潮(かいてう)故郷(こきやう)にありて国家(こくか)大勢(たいせい)(かんが)み、039憂国(いうこく)至情(しじやう)(もつ)一身(いつしん)一家(いつか)(なげう)ち、040惟神(かむながら)大道(だいだう)たる皇道(くわうだう)霊学(れいがく)教旗(けうき)(ひるがへ)したる(とき)041(いん)(やう)極力(きよくりよく)妨害(ばうがい)(くは)へたる枉津(まがつ)(かみ)なれば、042今更(いまさら)面目(めんぼく)なくて(その)鉄面皮(てつめんぴ)(やや)良心(りやうしん)呵責(かしやく)され、043(おも)はず背面(はいめん)せしならむかと(おも)ひしに、044(あに)(はか)らむや、045()()くて(かれ)()()一行(いつかう)旅装(りよさう)注視(ちうし)し、046乞食(こじき)巡礼(じゆんれい)零落(れいらく)せしものと誤認(ごにん)し、047帰郷(ききやう)するや嗤笑(しせう)して()げて(いは)く。
048上田(うへだ)(あや)しき(をしへ)沈溺(ちんでき)せし()(つひ)乞食(こじき)堕落(だらく)したり。049神道(しんだう)熱中(ねつちゆう)するもの(よろ)しくこれを(もつ)殷鑑(いんかん)とし、050(けつ)して祖先(そせん)伝来(でんらい)遵奉(じゆんぽう)(きた)りし仏道(ぶつだう)()神道(しんだう)(まよ)ふが(ごと)愚挙(ぐきよ)(えん)ずる(なか)れ。051()上田(うへだ)親族(しんぞく)には絶交(ぜつかう)せられ、052朋友(ほういう)には(うと)まれ、053弟妹(けうだい)には見離(みはな)され、054(わが)()()れし(こひ)しき故郷(こきやう)()てて是非(ぜひ)もなくなく他所(たしよ)流浪(るらう)し、055(いま)(また)養家(やうか)老母(らうぼ)(つま)(たづさ)へ、056浮雲(ふうん)流水(りうすゐ)()となり()れり』
057などと、058()苦労(くらう)にも悪言(あくげん)醜語(しうご)遠近(ゑんきん)()れまはし、059()郷里(きやうり)一族(いちぞく)(すくな)からぬ迷惑(めいわく)(かん)じたと()ふことである。
060 日本(にほん)神国(しんこく)(せい)()け、061神国(しんこく)(あは)()み、062神恩(しんおん)(よく)(なが)ら、063報本(はうほん)反始(はんし)本義(ほんぎ)(わす)れて、064邪教(じやけう)()せられたる印度霊(いんどみたま)小人(せうじん)言葉(ことば)(ほど)065迂愚(うぐ)頑迷(ぐわんめい)にして斯道(しだう)害毒(がいどく)(なが)すものはない。
066 汽車(きしや)容赦(ようしや)なく山本(やまもと)067請田(うけだ)(すす)()き、068第一(だいいち)隧道(トンネル)(くぐ)()第二(だいに)069(さん)070()(つらぬ)(ほど)に、071(なが)れも(きよ)保津川(ほづがは)激潭(げきたん)072急流(きふりう)散在(さんざい)する奇石(きせき)怪岩(くわいがん)面白(おもしろ)く、073()(つく)されぬ書物岩(しよもついは)074(かぞ)(つく)せぬ算盤岩(そろばんいは)075激潭(げきたん)飛瀑(ひばく)(なか)()(なら)屏風岩(びやうぶいは)076仏者(ぶつしや)随喜(ずゐき)渇仰(かつかう)する蓮華岩(れんげいは)川底(かはそこ)見降(みくだ)しつつ、077渓間(たにま)鉄橋(てつけう)()()(ごと)く、078(はや)くも嵐峡館(らんけふくわん)温泉場(をんせんば)079感賞(かんしやう)()もなく(きみ)()万代(よろづよ)(いは)亀山(かめやま)隧道(トンネル)080()()れば(はな)より団子(だんご)嵯峨(さが)(えき)081五分(ごふん)停車(ていしや)(その)(うち)に、082右手(みぎて)(かた)(なが)むれば、083月雪花(つきゆきはな)(かへで)嵐山(あらしやま)084秋季(しうき)(はな)()けれども、085(まつ)()()(いろど)(にしき)086(かみ)随々(まにまに)萠出(もえい)でて、087(つき)()(わた)渡月橋(とげつけう)088(いかだ)(なが)るる桂川(かつらがは)089半長(はんちやう)右衛門(うゑもん)浮名(うきな)(なが)涙川(なみだがは)090(なが)れも(きよ)天竜(てんりう)巨刹(きよさつ)松年(しようねん)画伯(ぐわはく)(ふで)になる天竜(てんりう)(とも)(たか)(いらか)雲表(うんぺう)(あら)はし、091峨山(がざん)禅風(ぜんぷう)(かほ)るあり。092十三詣(じふさんまゐ)りの虚空蔵(こくうざう)(ほこら)093千歳(ちとせ)(さか)ゆる松尾(まつを)大社(たいしや)094神徳(しんとく)(かほ)(うめ)(みや)(もり)095千葉(ちば)葛野(くづの)(なが)むれば、096百千足(ももちたる)屋庭(やには)()え、097(くに)()()ゆる(いさ)ましさ。098左手(ひだりて)撰歌(せんか)名高(なだか)定家卿(ていかきやう)小倉山(をぐらやま)099(はな)紅葉(もみぢ)二尊院(にそんゐん)100仏祖(ぶつそ)(まつ)つた釈迦(しやか)(だう)101(きた)()(むろ)仁和寺(にんなでら)102五重(ごぢう)(たふ)(くも)()く、103此処(ここ)昇降(しやうかう)する(きやく)大半(たいはん)はこれに(まう)づる信徒(ひと)なるべし。104汽笛(きてき)(こゑ)(うご)()す。105汽車(きしや)()もなく花園駅(はなぞのえき)106車掌(しやしやう)()くる()()()ねて一行(いつかう)飛降(とびお)り、107禅宗(ぜんしう)本山(ほんざん)妙心寺(めうしんじ)横手(よこて)(なが)めつつ、108教祖(けうそ)(おい)御足(みあし)()もやらず一行(いつかう)(さき)()ちて(すす)まれ、109徒歩(かち)にて北野(きたの)鳥居(とりゐ)(まへ)にと衝立(つつた)梅松竹(うめまつたけ)(つゑ)110今日(けふ)陽暦(やうれき)廿五(にじふご)(にち)当社(たうしや)祭典(さいてん)にて神輿(みこし)渡御(とぎよ)真最中(まつさいちう)111騎馬(きば)神職(しんしよく)冠装束(かむりしやうぞく)(いか)めしく劉喨(りうりやう)たる音楽(おんがく)()れて、112神輿(みこし)前後(ぜんご)()(いづ)有様(ありさま)113(いと)殊勝(しゆしよう)()ゆる。114数万(すうまん)賽者(さいしや)(いち)()(かたち)(あらた)(えり)(ただ)して拍手(はくしゆ)するあり。115社頭(しやとう)には千年(ちとせ)老松(らうしやう)梅林(ばいりん)116(かへで)雑木(ざふぼく)(こけ)()して(かむ)さび()てる神々(かうがう)しさ。117教祖(けうそ)此処(ここ)()(とど)拍手(はくしゆ)再拝(さいはい)(のち)118()()一行(いつかう)(むか)ひ、
119教祖(けうそ)(そもそ)当社(たうしや)祭神(さいじん)(いま)より一千(いつせん)()(ねん)(むかし)120左大臣(さだいじん)藤原(ふぢはら)時平(ときひら)讒言(ざんげん)()つて(とき)帝王(ていわう)逆鱗(げきりん)()れ、121無実(むじつ)(つみ)()はせられ親子(おやこ)(とも)四方(しはう)流謫(るたく)()となり、122()無念(むねん)やる(かた)なく、
123(あめ)(した)(かわ)ける(ほど)のなければや
124()てし濡衣(ぬれぎぬ)ひる(よし)もなき
125(なげ)(たま)ひし菅原(すがはら)道真(みちざね)(こう)真心(まごころ)(つひ)天地(てんち)貫徹(くわんてつ)し、126鳴神(なるかみ)とまで()けて神異(しんい)霊徳(れいとく)(あら)はし一陽(いちやう)来復(らいふく)(とき)(いた)つて北野(きたの)天神(てんじん)(まつ)られ後世(こうせい)までも()くも手厚(てあつ)官祭(くわんさい)(あづか)(たま)ふは、127(じつ)聖明(せいめい)()(たまもの)()ふべし。128(しか)(なが)らここに(おも)(いだ)されて(しの)(がた)きは(われ)()奉仕(ほうし)する(うしとら)大神(おほかみ)国常立(くにとこたちの)(みこと)()(うへ)である。129大神(おほかみ)天地(てんち)開闢(かいびやく)太初(はじめ)にあたり、130海月(くらげ)なす(ただよ)へる国土(こくど)修理(しうり)固成(こせい)して豊葦原(とよあしはら)瑞穂(みづほ)(くに)建設(けんせつ)し、131(もつ)神人(しんじん)安住(あんぢう)基礎(きそ)()厳格(げんかく)なる神政(しんせい)励行(れいかう)(たま)ふや、132剛直(がうちよく)峻正(しゆんせい)にして柔弱(じうじやく)なる万神(ばんしん)忌憚(きたん)する(ところ)となり、133衆議(しうぎ)結果(けつくわ)悪鬼(あくき)邪神(じやしん)(へん)せられ、134千座(ちくら)置戸(おきど)()ひて神域(しんゐき)(そと)神退(かむやら)ひに退(やら)はれて(その)尊身(そんしん)(かく)し、135千万(ちよろづ)()無念(むねん)136()(しの)()(こら)天地(てんち)諸霊(しよれい)守護(しゆご)(たま)へども、137(めくら)(せん)(にん)目明(めあき)一人(ひとり)現社会(げんしやくわい)(たれ)ありて神名(しんめい)(とな)(まつ)(もの)なく、138神饌(しんせん)一回(いつくわい)(けん)ずる(ひと)()く、139暗黒裡(あんこくり)血涙(けつるい)()落武者(おちむしや)悲境(ひきやう)(おは)(たま)ひしに、140時節(じせつ)到来(たうらい)141大神(おほかみ)至誠(しせい)天地(てんち)(つう)じ、142煎豆(いりまめ)(はな)()()でしが(ごと)月日(つきひ)(なら)びて(おさ)まれる、143二十五(にじふご)(ねん)(しやう)(ぐわつ)元朝(ぐわんてう)(とら)(こく)144天津(あまつ)(かみ)(よさ)しのまにまに、
145三千(さんぜん)世界(せかい)一度(いちど)(ひら)(うめ)(はな)146(うしとら)金神(こんじん)()になりたぞよ。147須弥仙(しゆみせん)(ざん)(こし)()丑寅(うしとら)金神(こんじん)(まも)るぞよ」
148大歓喜(だいくわんき)大抱負(だいはうふ)とを(もつ)目出度(めでた)産声(うぶごゑ)()げ、149(ふたた)現在(げんざい)主宰(しゆさい)とならせ(たま)へり。150あゝ()くも至尊(しそん)至貴(しき)至仁(しじん)至愛(しあい)なる大神(おほかみ)御心(みこころ)(さつ)(たてまつ)りて(いち)(にち)(はや)片時(かたとき)(すみやか)に、151大神(おほかみ)仮宮(かりみや)なりとも造営(ざうえい)(たてまつ)(わが)神洲(しんしう)神民(しんみん)として敬神(けいしん)愛民(あいみん)至誠(しせい)(やしな)神恩(しんおん)(かたじ)けなきを覚悟(かくご)せしめ、152日本(やまと)(だましひ)錬磨(れんま)修養(しうやう)せしめねば、153邦家(はうか)前途(ぜんと)(じつ)寒心(かんしん)()へず。154瞬時(しゆんじ)(すみや)かに大慈(だいじ)大悲(だいひ)大神(おほかみ)()洪徳(こうとく)宣伝(せんでん)し、155悪鬼(あくき)邪神(じやしん)との冤罪(ゑんざい)(すす)(たてまつ)るは(われ)()大責任(だいせきにん)にして(また)畢生(ひつせい)(かなら)決行(けつかう)せざるべからざる大願(たいぐわん)なり。156(いま)北野(きたの)(かみ)官祭(くわんさい)(はい)して大神(おほかみ)(おん)(うへ)追懐(つゐくわい)し、157悲歎(ひたん)()()なし』
158とて()えたる御声(みこゑ)(いよいよ)(くも)光眼(くわうがん)(またた)(こと)(しき)りと見受(みうけ)られ……草枕(くさまくら)(たび)には(いと)村時雨(むらしぐれ)はらはらかかるを(そで)にうけつつ(かた)()でらるる(その)真情(まごころ)(ほだ)されて、159海潮(かいてう)澄子(すみこ)(こゑ)をのみ、160(もら)()きせし(その)(かほ)を、161(すげ)小笠(をがさ)(かく)して同行(どうぎやう)()(にん)(つゑ)()いて鞍馬(くらま)()して(いそ)()く。
162 鞍馬(くらま)(いよいよ)到着(たうちやく)してより(その)()()(みや)(まへ)にて()通夜(つや)する(こと)とした。163四方(しかた)春三(はるざう)寺前(じぜん)(そな)へありし御籤(みくじ)(いただ)きしに余程(よほど)(あし)かりしと()え、164(おも)はず、
165春三(はるざう)『オウ失敗(しま)つた』
166などと口外(こうぐわい)する。167(その)()福林(ふくばやし)(たび)疲労(ひらう)にて前後(ぜんご)不覚(ふかく)(てい)寝入(ねい)りしが、168不図(ふと)夜中(よなか)(いち)()(ごろ)()()まし()れば、169(かたはら)にありし四方(しかた)春三(はるざう)姿(すがた)()えざるに(おどろ)き、170(さが)()るに(そと)(はう)(あた)つて『()きて(くだ)さい』と(しき)りに(よば)はる(こゑ)(きこ)ゆるままに(みみ)をすませば(たしか)四方(しかた)(こゑ)である。171福林(ふくばやし)(いそ)(そと)()()れば、172(おほ)いなる()(たま)173(みや)(まへ)()きつ(もど)りつ()けめぐり、174(しか)(その)()(たま)()には(まさ)しく(たづ)ねる四方(しかた)春三(はるざう)姿(すがた)あるを(みと)め、175(いま)(こゑ)所在(ありか)(はじ)めてわかつた。176薄気味(うすきみ)(わる)見守(みまも)(うち)177()(たま)次第(しだい)先方(むかう)()きし(ゆゑ)(おそ)(おそ)るも(その)方角(はうがく)()きて()れば四方(しかた)(おほ)きな焚火(たきび)をして()た。178福林(ふくばやし)(ちか)づいて、
179福林(ふくばやし)一体(いつたい)如何(どう)したのか』
180()けば四方(しかた)(あを)(かほ)して(ふる)(なが)ら、
181四方(しかた)『オヽ(こは)(こは)い、182こんなに(こは)(こと)はない、183(いま)のを()()れたら(なに)()(こと)()い』
184()ふのみにて()()けもせず()いて()る。185それから()()ちて()(みや)(もど)(ふたた)(しん)()き、186夜明(よあ)けてから(あらた)めて四方(しかた)夜半(やはん)出来事(できごと)(たづ)ねたけれど、187四方(しかた)(なに)()らぬと()ふ。188(ねん)()昨夜(さくや)焚火(たきび)せる(ところ)()つて()たが(その)(あと)さへ()不思議(ふしぎ)福林(ふくばやし)(ただ)(おどろ)くばかりであつた。189海潮(かいてう)教祖(けうそ)(むか)今度(こんど)鞍馬参(くらままゐ)りの神慮(しんりよ)(うかが)ひしに、190教祖(けうそ)(ただ)
191教祖(けうそ)(さき)()つたら(わか)りませう』
192()はれしのみであつた。
193 帰途(きと)京都(きやうと)より亀岡(かめをか)()八木(やぎ)にて一泊(いつぱく)せしが四方(しかた)終日(しうじつ)蒼白(あをじろ)(かほ)して悄気込(せうげこ)()たりし(さま)()るも(あは)れであつた。194同人(どうにん)(その)()園部(そのべ)まで()()行程(かうてい)(はし)つて友人(いうじん)()ひ、
195四方(しかた)今度(こんど)()ぬやも()れぬ』
196とて(いとま)()ひを()して(かへ)れる(よし)197教祖(けうそ)(この)(こと)()きて(しか)つてゐられた。
198 翌日(よくじつ)綾部(あやべ)役員(やくゐん)信者(しんじや)途中(とちう)(まで)出迎(でむか)ひに()無事(ぶじ)大広前(おほひろまへ)(かへ)()く。199四方(しかた)春三(はるざう)始終(しじう)太息(といき)()らし()たが上谷(うへだに)(たく)より(むか)ひに(きた)り、200帰宅(きたく)して(のち)(いつ)(げつ)ほど(わづら)ひて帰幽(きいう)して(しま)つた。201(それ)より(まへ)
202四方(しかた)生前(せいぜん)是非(ぜひ)先生(せんせい)一度(いちど)()(もら)はねば()ぬにも()なれぬ』
203とて使(つか)ひが()たから海潮(かいてう)見舞(みまひ)()き、
204海潮(かいてう)(ゆる)してやる』
205()へば安心(あんしん)して帰幽(きいう)した。206春三(はるざう)(とき)十八(じふはつ)(さい)207(じつ)霊学(れいがく)(たつ)したる(をとこ)であつたが慢心(まんしん)取違(とりちが)ひの(すゑ)208神罰(しんばつ)(かうむ)りて一命(いちめい)(をは)はつたのは遺憾(ゐかん)(こと)であつた。
209 (ある)()(にはか)大風(おほかぜ)()きて広前(ひろまへ)(すぎ)()210ゴウゴウと(うな)りし(こと)がある。211(のち)教祖(けうそ)(うかが)ひしに、212鞍馬山(くらまやま)大僧正(だいそうじやう)(きた)りて本宮山(ほんぐうやま)(しづ)まり(また)(その)眷族(けんぞく)馬場(ばば)大杉(おほすぎ)()つたが(その)()大杉(おほすぎ)には(はち)(ごと)沢山(たくさん)眷族(けんぞく)()えたと教祖(けうそ)物語(ものがた)られた。
213大正一一・一〇・一八 旧八・二八 北村隆光録)
文芸社文庫『あらすじで読む霊界物語』絶賛発売中!
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki