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霊界物語
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第1巻(子の巻)
第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
第4巻(卯の巻)
第5巻(辰の巻)
第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
第12巻(亥の巻)
如意宝珠
第13巻(子の巻)
第14巻(丑の巻)
第15巻(寅の巻)
第16巻(卯の巻)
第17巻(辰の巻)
第18巻(巳の巻)
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第21巻(申の巻)
第22巻(酉の巻)
第23巻(戌の巻)
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海洋万里
第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
第27巻(寅の巻)
第28巻(卯の巻)
第29巻(辰の巻)
第30巻(巳の巻)
第31巻(午の巻)
第32巻(未の巻)
第33巻(申の巻)
第34巻(酉の巻)
第35巻(戌の巻)
第36巻(亥の巻)
舎身活躍
第37巻(子の巻)
第38巻(丑の巻)
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第40巻(卯の巻)
第41巻(辰の巻)
第42巻(巳の巻)
第43巻(午の巻)
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第45巻(申の巻)
第46巻(酉の巻)
第47巻(戌の巻)
第48巻(亥の巻)
真善美愛
第49巻(子の巻)
第50巻(丑の巻)
第51巻(寅の巻)
第52巻(卯の巻)
第53巻(辰の巻)
第54巻(巳の巻)
第55巻(午の巻)
第56巻(未の巻)
第57巻(申の巻)
第58巻(酉の巻)
第59巻(戌の巻)
第60巻(亥の巻)
山河草木
第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
第63巻(寅の巻)
第64巻(卯の巻)上
第64巻(卯の巻)下
第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
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第38巻(丑の巻)
序歌
総説
第1篇 千万無量
01 道すがら
〔1038〕
02 吉崎仙人
〔1039〕
03 帰郷
〔1040〕
04 誤親切
〔1041〕
05 三人組
〔1042〕
06 曲の猛
〔1043〕
07 火事蚊
〔1044〕
第2篇 光風霽月
08 三ツ巴
〔1045〕
09 稍安定
〔1046〕
10 思ひ出(一)
〔1047〕
11 思ひ出(二)
〔1048〕
12 思ひ出(三)
〔1049〕
第3篇 冒険神験
13 冠島
〔1050〕
14 沓島
〔1051〕
15 怒濤
〔1052〕
16 禁猟区
〔1053〕
17 旅装
〔1054〕
第4篇 霊火山妖
18 鞍馬山(一)
〔1055〕
19 鞍馬山(二)
〔1056〕
20 元伊勢
〔1057〕
第5篇 正信妄信
21 凄い権幕
〔1058〕
22 難症
〔1059〕
23 狐狸狐狸
〔1060〕
24 呪の釘
〔1061〕
25 雑草
〔1062〕
26 日の出
〔1063〕
27 仇箒
〔1064〕
28 金明水
〔1065〕
余白歌
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第38巻
> 第5篇 正信妄信 > 第23章 狐狸狐狸
<<< 難症
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第二三章
狐狸
(
こり
)
々々
(
こり
)
〔一〇六〇〕
インフォメーション
著者:
巻:
篇:
よみ(新仮名遣い):
章:
よみ(新仮名遣い):
通し章番号:
口述日:
口述場所:
筆録者:
校正日:
校正場所:
初版発行日:
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm3823
愛善世界社版:
八幡書店版:
修補版:
校定版:
普及版:
初版:
ページ備考:
001
明治
(
めいぢ
)
卅八
(
さんじふはち
)
年
(
ねん
)
の
八
(
はち
)
月
(
ぐわつ
)
、
002
西田
(
にしだ
)
元教
(
げんけう
)
は
種々
(
いろいろ
)
と
艱難
(
かんなん
)
辛苦
(
しんく
)
して
山城
(
やましろ
)
の
宇治
(
うぢ
)
で
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
信徒
(
しんと
)
をこしらへ、
003
茨木
(
いばらき
)
清次郎
(
せいじらう
)
と
云
(
い
)
ふ
人
(
ひと
)
の
座敷
(
ざしき
)
を
借
(
か
)
つて
盛
(
さか
)
んに
布教
(
ふけう
)
をやつて
居
(
ゐ
)
たが、
004
あまりの
多忙
(
たばう
)
に
一度
(
いちど
)
応援
(
おうゑん
)
に
来
(
き
)
て
呉
(
く
)
れと
云
(
い
)
ふ
端書
(
はがき
)
を
寄越
(
よこ
)
したので、
005
自分
(
じぶん
)
はソツと
綾部
(
あやべ
)
を
未明
(
みめい
)
に
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
し、
006
鞄
(
かばん
)
をさげて
須知山
(
しゆちやま
)
峠
(
たうげ
)
を
登
(
のぼ
)
つた
頃
(
ころ
)
、
007
太陽
(
たいやう
)
が
昇
(
のぼ
)
られた。
008
それから
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
榎木峠
(
えのきたうげ
)
、
009
観音峠
(
くわんおんたうげ
)
を
越
(
こ
)
え、
010
園部
(
そのべ
)
の
支部
(
しぶ
)
へ
一寸
(
ちよつと
)
立
(
た
)
ち
寄
(
よ
)
り
才
(
さい
)
幸太郎
(
かうたらう
)
と
云
(
い
)
ふ
信者
(
しんじや
)
を
荷持
(
にも
)
ちとし、
011
徒歩
(
とほ
)
にて
亀岡
(
かめをか
)
、
012
王子
(
わうじ
)
を
越
(
こ
)
え
沓掛
(
くつかけ
)
から
道
(
みち
)
を
右
(
みぎ
)
にとつて
伏見
(
ふしみ
)
に
着
(
つ
)
いた
時
(
とき
)
は、
013
已
(
すで
)
に
太陽
(
たいやう
)
は
西
(
にし
)
の
山
(
やま
)
の
上
(
うへ
)
一二間
(
いちにけん
)
ばかりの
処
(
ところ
)
にあつた。
014
伏見
(
ふしみ
)
の
安田
(
やすだ
)
庄太郎
(
しやうたらう
)
と
云
(
い
)
ふ
信者
(
しんじや
)
の
家
(
うち
)
に
立寄
(
たちよ
)
つて
見
(
み
)
た
処
(
ところ
)
、
015
瓦屋
(
かはらや
)
で
今
(
いま
)
竈
(
かま
)
へ
火
(
ひ
)
を
入
(
い
)
れて
居
(
を
)
る
最中
(
さいちう
)
、
016
ユツクリ
話
(
はなし
)
も
出来
(
でき
)
ずして
居
(
ゐ
)
ると、
017
中村
(
なかむら
)
の
股肱
(
ここう
)
となつてゐる
男
(
をとこ
)
の
事
(
こと
)
とて、
018
安田
(
やすだ
)
『
海潮
(
かいてう
)
ハン、
019
何
(
なん
)
で
綾部
(
あやべ
)
に
居
(
を
)
りなさらぬ。
020
又
(
また
)
しても
病気
(
びやうき
)
が
起
(
おこ
)
りましたか。
021
海潮
(
かいてう
)
のする
事
(
こと
)
は
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も
後戻
(
あともど
)
りばかりぢやと
教祖
(
けうそ
)
さまは
仰有
(
おつしや
)
るのに
又
(
また
)
行
(
ゆ
)
くのですか。
022
さあ
帰
(
かへ
)
りなされ、
023
それとも
今
(
いま
)
竈
(
かま
)
へ
火
(
ひ
)
を
入
(
い
)
れて
居
(
ゐ
)
る
最中
(
さいちう
)
ですから
話
(
はな
)
しも
出来
(
でき
)
ませぬ、
024
今夜
(
こんや
)
泊
(
とま
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
025
又
(
また
)
後
(
あと
)
で
話
(
はなし
)
をしますから………』
026
と
云
(
い
)
ふ。
027
『これはまだ
目
(
め
)
が
醒
(
さ
)
めぬのか、
028
愚図
(
ぐづ
)
々々
(
ぐづ
)
しては
大変
(
たいへん
)
………』
029
と
幸太郎
(
かうたろう
)
を
促
(
うなが
)
して
早々
(
さうさう
)
に
立別
(
たちわか
)
れ、
030
伏見
(
ふしみ
)
の
豊後橋
(
ぶんごばし
)
を
渡
(
わた
)
つて
宇治川
(
うぢがは
)
の
長
(
なが
)
い
土手
(
どて
)
を
遡
(
さかのぼ
)
り、
031
綾部
(
あやべ
)
から
二十四五
(
にじふしご
)
里
(
り
)
の
道
(
みち
)
を
漸
(
やうや
)
く
夜
(
よる
)
の
八
(
はち
)
時
(
じ
)
頃
(
ごろ
)
茨木
(
いばらき
)
の
宅
(
たく
)
へついた。
032
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
れば
人
(
ひと
)
が
一杯
(
いつぱい
)
詰
(
つま
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
033
南郷
(
なんがう
)
国松
(
くにまつ
)
、
034
茨木
(
いばらき
)
清次郎
(
せいじらう
)
、
035
岡田
(
をかだ
)
熊次郎
(
くまじらう
)
、
036
長谷川
(
はせがは
)
仙吉
(
せんきち
)
、
037
其
(
その
)
外
(
ほか
)
七八
(
しちはち
)
人
(
にん
)
の
世話方
(
せわかた
)
が
出来
(
でき
)
て
大変
(
たいへん
)
な
勢
(
いきほひ
)
で
月例祭
(
つきなみさい
)
をやつてる
処
(
ところ
)
だつた。
038
家
(
いへ
)
の
内
(
うち
)
にも
外
(
そと
)
にも
参詣者
(
さんけいしや
)
が
一杯
(
いつぱい
)
詰
(
つま
)
つてゐる。
039
海潮
(
かいてう
)
が
見
(
み
)
えたと
云
(
い
)
ふので
沢山
(
たくさん
)
の
信者
(
しんじや
)
が
涙
(
なみだ
)
を
流
(
なが
)
して
喜
(
よろこ
)
んでゐた。
040
それから
自分
(
じぶん
)
は
綾部
(
あやべ
)
の
者
(
もの
)
には
少
(
すこ
)
しも
知
(
し
)
らさず、
041
清次郎
(
せいじろう
)
の
家
(
うち
)
で
布教
(
ふけう
)
宣伝
(
せんでん
)
をやつて
居
(
ゐ
)
ると、
042
毎日
(
まいにち
)
五六十
(
ごろくじふ
)
人
(
にん
)
から
百
(
ひやく
)
人
(
にん
)
位
(
くらゐ
)
の
参詣者
(
さんけいしや
)
が
出
(
で
)
て
来
(
き
)
て、
043
いろいろの
病人
(
びやうにん
)
がお
神徳
(
かげ
)
を
頂
(
いただ
)
いて
帰
(
かへ
)
るので
宇治
(
うぢ
)
の
町
(
まち
)
は
坊主
(
ばうず
)
と
医者
(
いしや
)
を
除
(
のぞ
)
く
外
(
ほか
)
、
044
全部
(
ぜんぶ
)
信者
(
しんじや
)
になつて
了
(
しま
)
つた。
045
そして
近村
(
きんそん
)
からも
三四
(
さんよ
)
里
(
り
)
の
処
(
ところ
)
から
日々
(
にちにち
)
参拝
(
さんぱい
)
する
非常
(
ひじやう
)
な
盛況
(
せいきやう
)
である。
046
宇津
(
うつ
)
の
小西
(
こにし
)
松元
(
しようげん
)
の
広間
(
ひろま
)
が
気
(
き
)
にかかつて
居
(
ゐ
)
るので、
047
一生
(
いつしやう
)
小西
(
こにし
)
の
処
(
ところ
)
へ
行
(
ゆ
)
かぬと
云
(
い
)
ふた
西田
(
にしだ
)
元教
(
げんけう
)
を
無理
(
むり
)
に
勧
(
すす
)
めて、
048
視察
(
しさつ
)
の
為
(
た
)
めに
才
(
さい
)
幸太郎
(
かうたろう
)
と
共
(
とも
)
に
使
(
つかひ
)
にやつた。
049
さうすると
松元
(
しようげん
)
は
自分
(
じぶん
)
の
宅
(
たく
)
が
狭
(
せま
)
いので
産土
(
うぶすな
)
の
八幡
(
はちまん
)
神社
(
じんじや
)
の
広
(
ひろ
)
い
社務所
(
しやむしよ
)
を
借
(
か
)
つて、
050
そこで
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
を
祭
(
まつ
)
り
大変
(
たいへん
)
な
勢
(
いきほひ
)
で
布教
(
ふけう
)
宣伝
(
せんでん
)
をやつて
居
(
を
)
つた。
051
さうして
西田
(
にしだ
)
が
来
(
き
)
たのを
見
(
み
)
て
小西
(
こにし
)
は、
052
小西
(
こにし
)
『よう
珍
(
めづら
)
しい、
053
能
(
よ
)
う
忘
(
わす
)
れずに
来
(
こ
)
られましたな』
054
と
横柄
(
わうへい
)
に
云
(
い
)
ふて
居
(
ゐ
)
る。
055
さうした
処
(
ところ
)
が
小西
(
こにし
)
の
神懸
(
かむがかり
)
[
※
初版・愛世版では「神懸」、校定版では「神がかり」。
]
の
様子
(
やうす
)
が
大変
(
たいへん
)
に
怪
(
あや
)
しいので
一寸
(
ちよつと
)
影
(
かげ
)
から
審神者
(
さには
)
をして
見
(
み
)
ると、
056
何
(
なん
)
でも
狸
(
たぬき
)
が
憑依
(
ひようい
)
してる
様
(
やう
)
なので
押戸
(
おしど
)
を
開
(
あ
)
けて
見
(
み
)
ると、
057
手
(
て
)
のとれた
古
(
ふる
)
い
仏
(
ほとけ
)
さまが
五
(
いつ
)
つ
六
(
む
)
つ
無雑作
(
むざふさ
)
に
突
(
つ
)
つ
込
(
こ
)
んである。
058
そこで
西田
(
にしだ
)
が、
059
西田
(
にしだ
)
『
小西
(
こにし
)
サン、
060
こんな
虫
(
むし
)
の
喰
(
く
)
た
仏像
(
ぶつざう
)
は
川
(
かは
)
へ
流
(
なが
)
したら
如何
(
どう
)
だ。
061
此奴
(
こいつ
)
あ
屹度
(
きつと
)
狸
(
たぬき
)
が
守護
(
しゆご
)
してゐるから、
062
其奴
(
そいつ
)
がお
前
(
まへ
)
に
憑
(
うつ
)
つて
居
(
ゐ
)
るのでお
前
(
まへ
)
の
神懸
(
かむがかり
)
[
※
初版・愛世版では「神懸」、校定版では「神がかり」。
]
が
可笑
(
おか
)
しうなつて、
063
一寸
(
ちよつと
)
もあはぬ
様
(
やう
)
になつたのだ』
064
と
云
(
い
)
ふと、
065
小西
(
こにし
)
が
大変
(
たいへん
)
に
怒
(
おこ
)
つて、
066
小西
(
こにし
)
『
馬鹿
(
ばか
)
の
事
(
こと
)
云
(
い
)
ふな。
067
お
前
(
まへ
)
は
海潮
(
かいてう
)
の
狐
(
きつね
)
の
尾先
(
をさき
)
に
使
(
つか
)
はれて
来
(
き
)
たのだらう』
068
と
悪口
(
あくこう
)
をつき、
069
大勢
(
おほぜい
)
の
信者
(
しんじや
)
の
前
(
まへ
)
で
散々
(
さんざん
)
に
罵倒
(
ばたう
)
するので
西田
(
にしだ
)
は
立腹
(
りつぷく
)
し、
070
そこを
立出
(
たちい
)
で
宮村
(
みやむら
)
へまはり、
071
芹生峠
(
せりふたうげ
)
を
越
(
こ
)
えて
貴船
(
きぶね
)
神社
(
じんじや
)
を
右
(
みぎ
)
に
見
(
み
)
乍
(
なが
)
ら、
072
京都
(
きやうと
)
を
横断
(
わうだん
)
して
漸
(
やうや
)
く
宇治
(
うぢ
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
てブツブツ
小言
(
こごと
)
を
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
073
さうすると
翌日
(
よくじつ
)
になると、
074
西田
(
にしだ
)
が
真青
(
まつさを
)
な
顔
(
かほ
)
になりブルブル
慄
(
ふる
)
ひ
出
(
だ
)
した。
075
よくよく
調
(
しら
)
べて
見
(
み
)
ると
瘧
(
おこり
)
を
起
(
おこ
)
して
居
(
ゐ
)
るのである。
076
そこで
海潮
(
かいてう
)
が
審神
(
さには
)
すると、
077
西田
(
にしだ
)
が
口
(
くち
)
を
切
(
き
)
つて、
078
『
俺
(
おれ
)
は
宇津
(
うつ
)
の
八幡
(
はちまん
)
様
(
さま
)
の
社務所
(
ながとこ
)
に
居
(
ゐ
)
る
仏像
(
ぶつざう
)
を
守護
(
しゆご
)
して
居
(
ゐ
)
る
狸
(
たぬき
)
だ。
079
俺
(
おれ
)
の
大切
(
たいせつ
)
な
御
(
ご
)
本尊
(
ほんぞん
)
を
川
(
かは
)
へ
流
(
なが
)
せと
吐
(
ぬか
)
しやがつたから、
080
此奴
(
こやつ
)
の
生命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
らにやおかぬ』
081
と
意地
(
いぢ
)
張
(
ば
)
つて
益々
(
ますます
)
身体
(
からだ
)
を
苦
(
くるし
)
めるので、
082
摺鉢
(
すりばち
)
を
西田
(
にしだ
)
の
頭
(
あたま
)
に
着
(
き
)
せ、
083
其
(
その
)
上
(
うへ
)
に
艾
(
もぐさ
)
を
一掴
(
ひとつか
)
み
乗
(
の
)
せて
灸
(
やいと
)
を
据
(
す
)
えると『
熱
(
あつ
)
い、
084
苦
(
くるし
)
い』と
云
(
い
)
ひ
出
(
だ
)
し
到頭
(
たうとう
)
落
(
お
)
ちて
了
(
しま
)
つた。
085
それから
其
(
その
)
翌日
(
よくじつ
)
は
何
(
なん
)
ともなかつたが、
086
三日目
(
みつかめ
)
の
同
(
おな
)
じ
時刻
(
じこく
)
になると
西田
(
にしだ
)
が、
087
西田
(
にしだ
)
『
又
(
また
)
来
(
き
)
やがつた。
088
何
(
なに
)
糞
(
くそ
)
ツ』
089
と
気張
(
きば
)
つてゐる。
090
されど
狸
(
たぬき
)
の
憑霊
(
ひようれい
)
は
猛烈
(
まうれつ
)
な
勢
(
いきほひ
)
で
襲
(
おそ
)
ひ
来
(
きた
)
り、
091
又
(
また
)
瘧
(
おこり
)
を
慄
(
ふる
)
はせて
苦
(
くるし
)
めて
居
(
ゐ
)
る。
092
自分
(
じぶん
)
は
今度
(
こんど
)
は
西田
(
にしだ
)
の
頭
(
あたま
)
に
濡
(
ぬ
)
れた
手拭
(
てぬぐひ
)
を
着
(
き
)
せ
其
(
その
)
上
(
うへ
)
に
摺鉢
(
すりばち
)
を
乗
(
の
)
せて、
093
百匁
(
ひやくめ
)
ばかりの
艾
(
もぐさ
)
をつけて
扇
(
あふぎ
)
で
煽
(
あふ
)
ぎ
乍
(
なが
)
ら
鎮魂
(
ちんこん
)
して
居
(
ゐ
)
ると、
094
ヤツとの
事
(
こと
)
で
落
(
お
)
ちた。
095
それから
二三遍
(
にさんぺん
)
チヨコチヨコやつて
来
(
き
)
たが
到頭
(
たうとう
)
退散
(
たいさん
)
して
了
(
しま
)
ひ、
096
西田
(
にしだ
)
は
元
(
もと
)
の
通
(
とほ
)
り
元気
(
げんき
)
になつて
布教
(
ふけう
)
に
従事
(
じうじ
)
して
居
(
ゐ
)
た。
097
話
(
はなし
)
は
後
(
あと
)
へ
戻
(
もど
)
るが、
098
西田
(
にしだ
)
の
手紙
(
てがみ
)
を
見
(
み
)
て
綾部
(
あやべ
)
を
立
(
た
)
つて
園部
(
そのべ
)
の
支部
(
しぶ
)
へ
立寄
(
たちよ
)
り、
099
それから
小山
(
こやま
)
の
田井
(
たゐ
)
儀兵
(
ぎへい
)
の
宅
(
うち
)
に
一寸
(
ちよつと
)
一服
(
いつぷく
)
してゐると、
100
東
(
ひがし
)
から
園部
(
そのべ
)
へ
這入
(
はい
)
つて
来
(
き
)
た
汽車
(
きしや
)
の
汽笛
(
きてき
)
の
声
(
こゑ
)
が、
101
何
(
なん
)
とはなしに
驚
(
おどろ
)
きと
悲
(
かな
)
しみとを
含
(
ふく
)
んでをるので、
102
海潮
(
かいてう
)
は
田井
(
たゐ
)
儀兵
(
ぎへい
)
に
向
(
むか
)
つて、
103
海潮
(
かいてう
)
『あの
汽笛
(
きてき
)
の
声
(
こゑ
)
は
誰
(
たれ
)
か
轢死
(
れきし
)
したに
違
(
ちがひ
)
ない』
104
といふと、
105
田井
(
たゐ
)
『
如何
(
いか
)
にも
何時
(
いつ
)
もとは
違
(
ちが
)
ふ、
106
烈
(
はげ
)
しい
声
(
こゑ
)
ですな』
107
と
外
(
そと
)
を
覗
(
のぞ
)
くと
野良
(
のら
)
に
居
(
ゐ
)
た
沢山
(
たくさん
)
の
人
(
ひと
)
が
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
鉄道
(
てつだう
)
へ
駆
(
か
)
けつける。
108
自分
(
じぶん
)
も
宇治
(
うぢ
)
へ
行
(
ゆ
)
く
道
(
みち
)
だから、
109
此処
(
ここ
)
でユツクリして
居
(
を
)
れぬと
鉄道
(
てつだう
)
の
側
(
そば
)
へ
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
ると、
110
小
(
ちひ
)
さい
青
(
あを
)
い
顔
(
かほ
)
した
男
(
をとこ
)
が
胴
(
どう
)
から
二
(
ふた
)
つになつて
五六間
(
ごろくけん
)
ばかり
引
(
ひ
)
きずられて
真青
(
まつさを
)
な
顔
(
かほ
)
して
死
(
し
)
んで
居
(
ゐ
)
る。
111
西田
(
にしだ
)
が
自分
(
じぶん
)
を
迎
(
むか
)
へに
来
(
き
)
て
轢
(
し
)
かれて
死
(
し
)
んだのではないかと
思
(
おも
)
ふ
位
(
くらゐ
)
、
112
其
(
その
)
顔
(
かほ
)
がよく
似
(
に
)
て
居
(
ゐ
)
たので
側
(
そば
)
へ
寄
(
よ
)
り、
113
よくよく
見
(
み
)
れば、
114
さうではなかつた。
115
其
(
その
)
間
(
あひだ
)
に
巡査
(
じゆんさ
)
が
来
(
き
)
たりいろいろして
調
(
しら
)
べて
居
(
ゐ
)
た。
116
轢
(
し
)
かれた
処
(
ところ
)
の
砂
(
すな
)
の
上
(
うへ
)
に
新庄村
(
しんしやうむら
)
の
何某
(
なにぼう
)
と
木
(
き
)
の
先
(
さき
)
で
土
(
つち
)
に
書
(
か
)
いてあつた。
117
後
(
あと
)
にて
聞
(
き
)
けば
此
(
この
)
男
(
をとこ
)
は
僅
(
たつ
)
た
一
(
いち
)
円
(
ゑん
)
五十銭
(
ごじつせん
)
の
主人
(
しゆじん
)
の
金
(
かね
)
を
使
(
つか
)
ひ
過
(
す
)
ごし、
118
それを
園部
(
そのべ
)
の
親類
(
しんるゐ
)
へ
借
(
か
)
りに
来
(
き
)
て
拒絶
(
きよぜつ
)
せられ
轢死
(
れきし
)
したと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
新聞
(
しんぶん
)
で
知
(
し
)
つた。
119
さて
才
(
さい
)
幸太郎
(
かうたろう
)
の
顔
(
かほ
)
が
俄
(
にはか
)
に
其
(
その
)
轢死
(
れきし
)
した
男
(
をとこ
)
に
見
(
み
)
え
出
(
だ
)
し
気分
(
きぶん
)
が
悪
(
わる
)
くて
仕方
(
しかた
)
がないのを
無理
(
むり
)
に
宇治
(
うぢ
)
迄
(
まで
)
荷
(
に
)
を
持
(
も
)
たして
居
(
ゐ
)
たのである。
120
才
(
さい
)
幸太郎
(
かうたろう
)
は
時々
(
ときどき
)
瘧
(
おこり
)
を
又
(
また
)
慄
(
ふる
)
ひ
出
(
だ
)
し、
121
審神
(
さには
)
して
見
(
み
)
ると、
122
才
(
さい
)
『
俺
(
おれ
)
は
小山
(
こやま
)
の
軋道
(
レール
)
の
上
(
うへ
)
で
轢死
(
れきし
)
した
男
(
をとこ
)
だ。
123
一番先
(
いちばんさき
)
にお
前
(
まへ
)
が
俺
(
おれ
)
の
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
たので
憑
(
つ
)
いたのだ』
124
と
云
(
い
)
ふ。
125
それから
又
(
また
)
摺鉢
(
すりばち
)
の
灸
(
やいと
)
で、
126
やつとの
事
(
こと
)
で
全快
(
ぜんくわい
)
させ
園部
(
そのべ
)
へ
帰
(
かへ
)
した。
127
さうこうして
居
(
ゐ
)
ると、
128
伏見
(
ふしみ
)
の
安田
(
やすだ
)
から
聞
(
き
)
いたと
見
(
み
)
えて
三牧
(
みまき
)
次三郎
(
じさぶらう
)
と
云
(
い
)
ふ
中村
(
なかむら
)
の
乾児
(
こぶん
)
が
宇治
(
うぢ
)
へやつて
来
(
き
)
て、
129
南郷
(
なんがう
)
国松
(
くにまつ
)
や
長谷川
(
はせがは
)
仙吉
(
せんきち
)
其
(
その
)
外
(
ほか
)
の
役員
(
やくゐん
)
に
種々
(
いろいろ
)
雑多
(
ざつた
)
の
海潮
(
かいてう
)
や
西田
(
にしだ
)
の
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ひ、
130
三牧
(
みまき
)
『
艮
(
うしとら
)
の
金神
(
こんじん
)
様
(
さま
)
に
敵
(
てき
)
とうて
来
(
き
)
た
奴
(
やつ
)
だから
相手
(
あひて
)
になるな』
131
と
云
(
い
)
ひ
出
(
だ
)
し、
132
到頭
(
たうとう
)
卅九
(
さんじふく
)
年
(
ねん
)
の
一
(
いち
)
月
(
ぐわつ
)
元日
(
ぐわんじつ
)
の
朝
(
あさ
)
大勢
(
おほぜい
)
寄
(
よ
)
つて
自分
(
じぶん
)
を
放
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
して
了
(
しま
)
つた。
133
自分
(
じぶん
)
は
一文
(
いちもん
)
も
旅費
(
りよひ
)
なしに
小山
(
こやま
)
の
田井
(
たゐ
)
氏
(
し
)
の
宅
(
うち
)
迄
(
まで
)
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
ると
沢山
(
たくさん
)
の
信者
(
しんじや
)
がよつて
来
(
き
)
て
泣
(
な
)
いて
喜
(
よろこ
)
び
四五
(
しご
)
円
(
ゑん
)
ばかりの
小遣
(
こづか
)
ひを
呉
(
く
)
れた。
134
それを
以
(
もつ
)
て
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りに
綾部
(
あやべ
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
た。
135
それから
西田
(
にしだ
)
は
其
(
その
)
月
(
つき
)
の
十五
(
じふご
)
日
(
にち
)
に
三牧
(
みまき
)
次三郎
(
じさぶらう
)
や
南郷
(
なんがう
)
其
(
そ
)
の
他
(
た
)
の
者
(
もの
)
の
計略
(
けいりやく
)
にかかつて
荷物
(
にもつ
)
一切
(
いつさい
)
を
取
(
と
)
られた
上
(
うへ
)
、
136
放
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
されてお
雪
(
ゆき
)
と
夫婦
(
ふうふ
)
連
(
づ
)
れ
伏見
(
ふしみ
)
へ
行
(
ゆ
)
き、
137
お
雪
(
ゆき
)
は
或
(
ある
)
撚糸
(
ねんし
)
の
工場
(
こうば
)
へ
女工
(
ぢよこう
)
になつて
這入
(
はい
)
り、
138
西田
(
にしだ
)
は
按摩
(
あんま
)
を
稽古
(
けいこ
)
して、
139
商売
(
しやうばい
)
片手
(
かたて
)
に
伏見
(
ふしみ
)
地方
(
ちはう
)
に
布教
(
ふけう
)
して
居
(
ゐ
)
たが、
140
四十二
(
しじふに
)
年
(
ねん
)
に
自分
(
じぶん
)
が
綾部
(
あやべ
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
大広前
(
おほひろまへ
)
を
建
(
た
)
てたりお
宮
(
みや
)
を
建
(
た
)
てる
様
(
やう
)
になつてから、
141
ソロソロ
綾部
(
あやべ
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
て、
142
頻
(
しき
)
りに
宣伝
(
せんでん
)
する
事
(
こと
)
となつたのである。
143
これより
先
(
さき
)
、
144
西田
(
にしだ
)
と
三牧
(
みまき
)
は
宇治
(
うぢ
)
の
橋熊
(
はしぐま
)
と
云
(
い
)
ふ
顔役
(
かほやく
)
に
頼
(
たの
)
まれて
其
(
その
)
乾児
(
こぶん
)
等
(
ら
)
の
家
(
うち
)
の
祖霊祭
(
みたままつり
)
を
夜
(
よる
)
になると
頻
(
しき
)
りにやつてゐた。
145
さうした
処
(
ところ
)
が
其
(
その
)
祖霊箱
(
みたまばこ
)
が
時々
(
ときどき
)
躍
(
をど
)
り
出
(
だ
)
し、
146
お
供物
(
そなへもの
)
をすると
魚
(
さかな
)
のお
供
(
そなへ
)
の
方
(
はう
)
へカタツと
音
(
おと
)
をさしては
向
(
む
)
き
直
(
なほ
)
つたり、
147
階段
(
かいだん
)
を
下
(
お
)
りたりするので、
148
霊
(
れい
)
と
云
(
い
)
ふものは
偉
(
えら
)
いものだ。
149
本当
(
ほんたう
)
に
西田
(
にしだ
)
サンや
三牧
(
みまき
)
サンは
偉
(
えら
)
いと
云
(
い
)
ふ
評判
(
へうばん
)
になり、
150
何処
(
どこ
)
もかも
競
(
きそ
)
ふて
祖霊祭
(
みたままつり
)
を
頼
(
たの
)
んでゐた。
151
橋熊
(
はしぐま
)
は
親分
(
おやぶん
)
の
事
(
こと
)
とて
自分
(
じぶん
)
の
宅
(
うち
)
だけは
海潮
(
かいてう
)
にして
貰
(
もら
)
ひ
度
(
た
)
いと
云
(
い
)
つて
特別
(
とくべつ
)
に
頼
(
たの
)
みに
来
(
き
)
たので、
152
自分
(
じぶん
)
が
行
(
い
)
つて
祖霊祭
(
みたままつり
)
をすませ、
153
一服
(
いつぷく
)
をして
居
(
ゐ
)
ると
橋熊
(
はしぐま
)
が
妙
(
めう
)
な
顔
(
かほ
)
をして、
154
橋熊
(
はしぐま
)
『もし
先生
(
せんせい
)
、
155
宅
(
うち
)
の
祖霊
(
みたま
)
さまはまだ
納
(
をさ
)
まらぬのですか、
156
他家
(
よそ
)
の
祖霊
(
みたま
)
さまは
皆
(
みな
)
動
(
うご
)
くのに、
157
何故
(
なぜ
)
宅
(
うち
)
丈
(
だけ
)
は
動
(
うご
)
きませぬ。
158
貴方
(
あなた
)
は
先生
(
せんせい
)
であり
乍
(
なが
)
ら
霊
(
れい
)
が
利
(
き
)
かぬのですか』
159
と
不足
(
ふそく
)
相
(
さう
)
に
云
(
い
)
ふので、
160
狸
(
たぬき
)
が
這入
(
はい
)
つて
動
(
うご
)
くのだと
明
(
あ
)
かす
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かず、
161
喜楽
(
きらく
)
『
私
(
わたし
)
は
祖霊祭
(
みたままつり
)
は
今日
(
けふ
)
が
初
(
はじ
)
めてだから
勝手
(
かつて
)
を
知
(
し
)
りませぬ、
162
三牧
(
みまき
)
さんが
上手
(
じやうづ
)
ですからして
貰
(
もら
)
ひなさい』
163
と
体
(
てい
)
よく
云
(
い
)
ふた。
164
さうすると
今度
(
こんど
)
は、
165
三牧
(
みまき
)
を
頼
(
たの
)
んで
祖霊祭
(
みたままつり
)
を
改
(
あらた
)
めてやつた
所
(
ところ
)
が、
166
大変
(
たいへん
)
に
箱
(
はこ
)
が
動
(
うご
)
き
出
(
だ
)
したので、
167
三牧
(
みまき
)
の
信用
(
しんよう
)
が
高
(
たか
)
まり、
168
西田
(
にしだ
)
がやつても
自分
(
じぶん
)
がやつてもチツとも
動
(
うご
)
かぬので
到頭
(
たうとう
)
迷信家
(
めいしんか
)
の
信用
(
しんよう
)
を
失
(
うしな
)
ひ、
169
自分
(
じぶん
)
は
真先
(
まつさき
)
に
放
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
され、
170
西田
(
にしだ
)
も
次
(
つい
)
で
追
(
お
)
ひ
払
(
はら
)
はれて
了
(
しま
)
ふたのである。
171
綴喜郡
(
つづきぐん
)
の
郷
(
がう
)
の
口
(
くち
)
の
浅田
(
あさだ
)
安治
(
やすぢ
)
といふ
酒造屋
(
しゆざうや
)
の
妹
(
いもうと
)
に、
172
お
鶴
(
つる
)
と
云
(
い
)
ふ
癲疳
(
てんかん
)
病者
(
やみ
)
があつた。
173
其
(
その
)
女
(
をんな
)
の
病気
(
びやうき
)
を
癒
(
なほ
)
して
呉
(
く
)
れと
云
(
い
)
つて
頼
(
たの
)
みに
来
(
き
)
たので、
174
遥々
(
はるばる
)
と
郷
(
ごう
)
の
口
(
くち
)
へ
行
(
い
)
つて
鎮魂
(
ちんこん
)
した
処
(
ところ
)
、
175
一月
(
ひとつき
)
ばかり
癲疳
(
てんかん
)
は
止
(
と
)
まつて
居
(
ゐ
)
た。
176
さうした
処
(
ところ
)
酒倉
(
さかぐら
)
の
中
(
なか
)
で
又
(
また
)
もや
癲疳
(
てんかん
)
が
起
(
おこ
)
つたのでソロソロ
海潮
(
かいてう
)
の
信用
(
しんよう
)
が
薄
(
うす
)
くなつた
処
(
ところ
)
へ、
177
其
(
その
)
村
(
むら
)
で
廿才
(
はたち
)
位
(
くらゐ
)
の
娘
(
むすめ
)
で
永
(
なが
)
らく
足
(
あし
)
の
起
(
た
)
たぬ
病人
(
びやうにん
)
があつた。
178
自分
(
じぶん
)
は
再
(
ふたた
)
び
宇治
(
うぢ
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
南郷
(
なんがう
)
の
宅
(
たく
)
に
居
(
ゐ
)
て
布教
(
ふけう
)
してゐると、
179
又
(
また
)
頼
(
たの
)
みに
来
(
き
)
たので
今度
(
こんど
)
は
三牧
(
みまき
)
と
小竹
(
こたけ
)
が
鎮魂
(
ちんこん
)
に
行
(
い
)
つた。
180
さうすると
其
(
その
)
娘
(
むすめ
)
が、
181
『
俺
(
おれ
)
は
三年前
(
さんねんまへ
)
に
死
(
し
)
んだ
此処
(
ここ
)
の
婆
(
ばば
)
アぢやが
村中
(
むらぢう
)
の
誰
(
たれ
)
彼
(
かれ
)
に
内所
(
ないしよ
)
で
金
(
かね
)
を
何程
(
なんぼ
)
何程
(
なんぼ
)
貸
(
か
)
した』
182
と
誠
(
まこと
)
しやかに
喋
(
しやべ
)
り
立
(
た
)
てるので、
183
合
(
あは
)
して
見
(
み
)
ると
千
(
せん
)
円
(
ゑん
)
ばかりの
金
(
かね
)
だから、
184
病人
(
びやうにん
)
の
兄
(
あに
)
が、
185
『
家
(
うち
)
の
婆
(
ば
)
アサンの
霊
(
れい
)
がお
前
(
まへ
)
の
処
(
ところ
)
へ
金
(
かね
)
を
貸
(
か
)
したと
云
(
い
)
ふが
返
(
かへ
)
して
呉
(
く
)
れ』
186
と
其処
(
そこ
)
ら
中
(
ぢう
)
へ
歩
(
ある
)
いたので、
187
村中
(
むらぢう
)
の
大騒動
(
だいさうどう
)
となり、
188
『
一体
(
いつたい
)
誰
(
たれ
)
がそんな
事
(
こと
)
云
(
い
)
ふたか』
189
と
調
(
しら
)
べて
見
(
み
)
ると、
190
三牧
(
みまき
)
が
鎮魂
(
ちんこん
)
して
其
(
その
)
娘
(
むすめ
)
が
喋
(
しやべ
)
り
出
(
だ
)
し、
191
小竹
(
こたけ
)
と
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
と
二人
(
ふたり
)
がついて
居
(
ゐ
)
ると
云
(
い
)
ふので、
192
巡査
(
じゆんさ
)
がやつて
来
(
き
)
たり
色々
(
いろいろ
)
と
悶錯
(
もんさく
)
が
初
(
はじ
)
まつた。
193
そこで
郷
(
がう
)
の
口
(
くち
)
から
自分
(
じぶん
)
を
呼
(
よ
)
びに
来
(
き
)
たので
行
(
い
)
つて
見
(
み
)
ると、
194
其
(
その
)
娘
(
むすめ
)
は
頻
(
しき
)
りに
婆
(
ば
)
アサンの
声色
(
こわいろ
)
を
使
(
つか
)
ふて、
195
『
如何
(
どう
)
しても
金
(
かね
)
を
貸
(
か
)
した』と
意地張
(
いぢば
)
つてゐる。
196
それから
三牧
(
みまき
)
と
小竹
(
こたけ
)
を
宇治
(
うぢ
)
へ
帰
(
かへ
)
し、
197
自分
(
じぶん
)
が
一晩
(
ひとばん
)
泊
(
とま
)
つて
様子
(
やうす
)
を
考
(
かんが
)
へた
処
(
ところ
)
が、
198
非常
(
ひじやう
)
に
怪
(
あや
)
しいので
刀
(
かたな
)
を
一本
(
いつぽん
)
主人
(
しゆじん
)
から
貸
(
か
)
して
貰
(
もら
)
ふて
祝詞
(
のりと
)
をあげ
乍
(
なが
)
ら
空
(
くう
)
を
切
(
き
)
つて
見
(
み
)
ると
箪笥
(
たんす
)
の
横
(
よこ
)
から
昼
(
ひる
)
の
真中
(
まなか
)
に
七匹
(
しちひき
)
の
豆狸
(
まめだぬき
)
が
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
した。
199
それと
共
(
とも
)
に
其
(
その
)
娘
(
むすめ
)
は
病気
(
びやうき
)
が
癒
(
なほ
)
つて
了
(
しま
)
つた。
200
さうすると
海潮
(
かいてう
)
にお
礼
(
れい
)
を
云
(
い
)
ふ
所
(
どころ
)
か、
201
『お
前
(
まへ
)
サンは
三牧
(
みまき
)
の
様
(
やう
)
な
弟子
(
でし
)
を
使
(
つか
)
ふて
宅
(
うち
)
の
娘
(
むすめ
)
に
狸
(
たぬき
)
を
憑
(
つ
)
けて、
202
こんな
村中
(
むらぢう
)
の
騒動
(
さうだう
)
をさしたのだらう』
203
と
反対
(
はんたい
)
に
理屈
(
りくつ
)
を
云
(
い
)
ひ、
204
『ど
狸
(
たぬき
)
奴
(
め
)
が、
205
早
(
はや
)
うかへれ』
206
と
呶鳴
(
どな
)
りつけられるので
到頭
(
たうとう
)
狸憑
(
たぬきつ
)
けにしられて
了
(
しま
)
ひ
怨
(
うら
)
みを
呑
(
の
)
んで
宇治
(
うぢ
)
まで
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
た。
207
さうすると、
208
南郷
(
なんがう
)
や
長谷川
(
はせがは
)
が
三牧
(
みまき
)
と
一
(
ひと
)
つになつて、
209
三十九
(
さんじふく
)
年
(
ねん
)
の
正
(
しやう
)
月
(
ぐわつ
)
元日
(
ぐわんじつ
)
に
朝
(
あさ
)
つぱらから
自分
(
じぶん
)
を
放
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
す
事
(
こと
)
となつたのである。
210
霊界
(
れいかい
)
の
事
(
こと
)
の
分
(
わか
)
らぬ
連中
(
れんちう
)
になると
困
(
こま
)
つたもので、
211
訳
(
わけ
)
を
云
(
い
)
へば
云
(
い
)
ふ
程
(
ほど
)
益々
(
ますます
)
疑
(
うたが
)
ふて
始末
(
しまつ
)
におへぬものである。
212
それから
自分
(
じぶん
)
も
病人
(
びやうにん
)
の
鎮魂
(
ちんこん
)
がサツパリ
嫌
(
いや
)
になり、
213
神懸
(
かむがかり
)
の
修行
(
しうぎやう
)
も
断念
(
だんねん
)
して
了
(
しま
)
ふた。
214
が
大正
(
たいしやう
)
五
(
ご
)
年
(
ねん
)
に
横須賀
(
よこすか
)
の
浅野
(
あさの
)
サンの
宅
(
たく
)
へ
行
(
い
)
つた
時
(
とき
)
、
215
参考
(
さんかう
)
のために
又
(
また
)
もや
幽斎
(
いうさい
)
の
修行
(
しうぎやう
)
をして
見
(
み
)
せたのが
元
(
もと
)
となつて
浅野
(
あさの
)
サンが
霊学
(
れいがく
)
を
熱心
(
ねつしん
)
に
研究
(
けんきう
)
し
始
(
はじ
)
める
事
(
こと
)
となつたのである。
216
(
大正一一・一〇・一八
旧八・二八
北村隆光
録)
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