霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第三章 出師(すゐし)〔一〇六八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第39巻 舎身活躍 寅の巻 篇:第1篇 伊祖の神風 よみ(新仮名遣い):いそのかみかぜ
章:第3章 出師 よみ(新仮名遣い):すいし 通し章番号:1068
口述日:1922(大正11)年10月21日(旧09月2日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年5月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
照国別は日の出神からハルナの都への出立を許され、意気揚々と座に就いた。そして妻の幾代姫に後事を託し、神軍として出立の抱負を歌った。
黄竜姫、蜈蚣姫の母子二人連れは、旅人に身を変えてフサの国を横断し、フサの海から舟に乗ってハルナの都に進んでいくことになった。
一方照国別は宣伝使の服装を整え、照公、国公、梅公を従者として河鹿峠を越えてフサの国の東南から月の国へ進むこととなった。
玉国別は立ち上がり、自分とても多くのバラモン教徒を言向け和してきた勇者であり、広い月の国の大敵に照国別一人では前途を案じられるとして、自分も派遣してほしいと願い出た。
日の出神はその心をよしとして、玉国別にも出立の許可を出した。玉国別は一同に別れを告げて後を託し、三人の従者を従えて河鹿峠を越え、フサの国の原野を越えて印度を指して進んでいった。
また治国別も印度への出陣を願い出て、これもまた日の出神の許可を得て出立していった。初稚姫は五人の神司の出陣を祝して、金扇を開いて歌い舞った。
そして初稚姫自身も、単身大黒主の館に忍び込んで曲神を帰順させるために出陣を願い出た。日の出神は躊躇したが、初稚姫と時置師神の強い言葉を受けて、ハルナ行きを許可した。初稚姫は単身、共も連れずに出立して行った。
こうしていよいよ、月の国の大黒主に対する言霊戦の準備はまったく整ったのであった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-11-15 09:20:18 OBC :rm3903
愛善世界社版:33頁 八幡書店版:第7輯 291頁 修補版: 校定版:35頁 普及版:13頁 初版: ページ備考:
001 照国別(てるくにわけ)梅彦(うめひこ)日出別(ひのでわけ)教主(けうしゆ)より(つき)(くに)のハルナの(みやこ)(むか)(こと)(ゆる)され、002意気(いき)揚々(やうやう)として()につき、
 
003照国別有難(ありがた)(かみ)(こころ)(かな)ひしか
004  (つき)(くに)をば照国別(てるくにわけ)()く。
005 いざさらばこれより(われ)幾代姫(いくよひめ)
006  やかたを(きよ)(あと)(まも)れよ』
 
007 幾代姫(いくよひめ)(うた)ふ。
008幾代姫照国別(てるくにわけ)(わが)(つま)
009日出別(ひのでのわけ)教主(けうしゆ)より
010(つき)御国(みくに)(ひそ)みたる
011大黒主(おほくろぬし)神司(かむつかさ)
012(その)(ほか)(もも)醜神(しこがみ)
013(たふと)(かみ)御教(みをしへ)
014言向和(ことむけやは)(すく)ふべく
015斎苑(いそ)(やかた)立出(たちい)でて
016()でます今日(けふ)雄々(をを)しさよ
017(わらは)(あと)(とど)まりて
018(かみ)(をしへ)(まも)りつつ
019力限(ちからかぎ)りに()(ひと)
020(すめ)大神(おほかみ)大道(おほみち)
021(みちび)(すく)ひまつるべし
022わが()(きみ)一時(ひととき)
023(はや)(やかた)立出(たちい)でて
024天地(あめつち)(もも)神人(しんじん)
025(くるし)(なや)(わざはひ)
026(はら)はせ(たま)惟神(かむながら)
027(かみ)御前(みまへ)()ぎまつる』
028(うた)(をは)るや、029照国別(てるくにわけ)は、
030照国別『いざさらば曲津(まがつ)(うん)(つき)(くに)
031(あたま)ハルナの(みやこ)(すす)まむ。
032大黒主(おほくろぬし)斎苑(いそ)(やかた)神軍(しんぐん)
033(おどろ)くならむ今日(けふ)出立(いでた)ち。
034八尋殿(やひろどの)(なら)びいませる(つかさ)たちよ
035(われ)はハルナの(みやこ)()たむ』
036 時置師(ときおかしの)(かみ)()つて(うた)ふ。
037時置師照国別(てるくにわけ)(かみ)(みこと)はとく()かせ
038われは(やかた)(とど)まり(まも)らむ』
039 これより黄竜姫(わうりようひめ)040蜈蚣姫(むかでひめ)は、041日出別(ひのでわけの)(みこと)承諾(しようだく)()042数多(あまた)(つかさ)讃嘆(さんたん)され(なが)ら、043母娘(おやこ)普通(ふつう)旅人(たびびと)()(へん)じ、044フサの(くに)横断(わうだん)し、045フサの(うみ)より(ふね)()りて、046ハルナの(みやこ)(すす)()くこととなつた。047(また)梅彦(うめひこ)(ただ)ちに宣伝使(せんでんし)服装(ふくさう)(ととの)へ、048照公(てるこう)049国公(くにこう)050梅公(うめこう)従者(じゆうしや)(とも)河鹿(かじか)(たうげ)をこえ、051フサの(くに)東南(とうなん)さして(すす)み、052(つき)(くに)(すす)むこととなつた。
053 (この)(とき)玉国別(たまくにわけ)音彦(おとひこ)立上(たちあが)つて(うた)()した。
054玉国別三五教(あななひけう)(つか)へたる
055玉国別(たまくにわけ)宣伝使(せんでんし)
056(おと)(きこ)えし音彦(おとひこ)
057ペルシヤの(くに)宣伝(せんでん)
058(うみ)(うか)びて自転倒(おのころ)
059(しま)(わた)りて遠近(おちこち)
060(かみ)(をしへ)()(なが)
061大江(おほえ)(やま)(たて)こもる
062バラモン(けう)大棟梁(だいとうりやう)
063鬼雲彦(おにくもひこ)鬼熊別(おにくまわけ)
064魔神(まがみ)(むか)つて言霊(ことたま)
065(いくさ)(ひら)曲神(まがかみ)
066()()らしたる強者(つはもの)
067梅彦(うめひこ)いかに(ゆう)あるも
068音彦司(おとひこつかさ)(およ)ばむや
069日出別(ひのでのわけ)大教主(だいけうしゆ)
070照国別(てるくにわけ)(つか)はして
071大黒主(おほくろぬし)曲神(まがかみ)
072言向和(ことむけやは)(たま)はむと
073(はか)(たま)ふはいぶかしも
074いかに神徳(しんとく)充実(じうじつ)
075天地(てんち)をゆるがす言霊(ことたま)
076()()けゐるとは()(なが)
077(てき)にも(するど)(やいば)あり
078いかでかこれの大敵(たいてき)
079一人(ひとり)二人(ふたり)(ちから)にて
080言向和(ことむけやは)(おう)せむや
081(この)音彦(おとひこ)心中(しんちう)
082(じつ)不安(ふあん)(くも)(おほ)
083前途(ぜんと)(あん)じやられけり
084あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
085(かみ)(こころ)見直(みなほ)して
086玉国別(たまくにわけ)(いま)一人(ひとり)
087(つか)はし(たま)真心(まごころ)
088こめてぞ(いの)(たてまつ)
089朝日(あさひ)()るとも(くも)るとも
090(つき)()つとも()くるとも
091仮令(たとへ)大地(だいち)(しづ)むとも
092三五教(あななひけう)御教(みをしへ)
093(けつ)して(けが)(こと)あらじ
094月日(つきひ)(ごと)(あきら)けく
095(みち)(ひかり)(あら)はして
096(かみ)御前(みまへ)復言(かへりごと)
097(まを)しまつらむ惟神(かむながら)
098(はや)(ゆる)させ(たま)へかし』
099 と(うた)(もつ)希望(きばう)()べた。100日出別(ひのでわけの)(かみ)は、101(うた)(もつ)てこれに(こた)ふ。
102日出別玉国別(たまくにわけ)(かみ)(つかさ)言霊(ことたま)
103(きよ)くいませば(なや)むことなし。
104さり(なが)(かず)(かぎ)りなき八十(やそ)(くに)
105(ただ)一柱(ひとはしら)にてせむ(すべ)もなけむ。
106玉国別(たまくにわけ)(かみ)(つかさ)(こころ)して
107曲津(まがつ)(すさ)(つき)()でませ。
108月照彦(つきてるひこ)(かみの)(みこと)をあがめつつ
109()()についで(すす)みませ(きみ)
110 玉国別(たまくにわけ)欣然(きんぜん)として立上(たちあが)り、111(また)(うた)にて(こた)ふ。
112玉国別千早(ちはや)ふる(かみ)(ひかり)(あら)はれて
113玉国別(たまくにわけ)(たま)()らさむ。
114月照彦(つきてるひこ)(かみの)(みこと)御光(みひかり)
115暗路(やみぢ)(やす)(わた)らむと(おも)ふ。
116イソイソと斎苑(いそ)(やかた)立出(たちい)でて
117(すす)(われ)こそ(たの)(うれ)しき。
118東野別(あづまのわけ)(つかさ)(まへ)物申(ものまを)
119(まも)らせ(たま)(つま)()(うへ)
120 東野別(あづまのわけ)はこれに(こた)へて、
121東野別五十子(いそこ)(ひめ)(きよ)雄々(をを)しくましまさば
122(おと)づれなくも(やす)()きませ。
123素盞嗚(すさのを)(かみの)(みこと)愛娘(まなむすめ)
124(みづ)御霊(みたま)とあれし(きみ)はも。
125(この)(きみ)のこれの(やかた)にゐます(かぎ)
126(やす)(たの)しく(みち)(さか)えむ。
127村肝(むらきも)(こころ)(のこ)さず印度(ツキ)(くに)
128ハルナの(みやこ)にとく(すす)みませ』
129 音彦(おとひこ)(また)(うた)ふ。
130玉国別(音彦)有難(ありがた)(こころ)にかかる(くも)もなく
131(みち)(つた)()かむ印度(ツキ)御国(みくに)へ。
132時置師(ときおかしの)(かみの)(みこと)昼夜(ひるよる)
133(まも)らせ(たま)へこれの(やかた)を。
134いざさらば(なみ)ゐる(つかさ)(あと)にして
135(かみ)随々(まにまに)(わか)れて()かむ。
136五十子(いそこ)(ひめ)玉国別(たまくにわけ)(いさ)ましく
137復言(かへりごと)する()をこそまてよ』
138 五十子(いそこ)(ひめ)(うた)ふ。
139五十子姫(いさ)ましき(わが)()(きみ)御姿(みすがた)
140(かく)るるまでに(なが)(まも)らな。
141村肝(むらきも)(こころ)(のこ)(たま)はずに
142(かみ)のまにまに(すす)みませ(きみ)
143 玉国別(たまくにわけ)一同(いちどう)(むか)会釈(ゑしやく)(なが)宣伝歌(せんでんか)(うた)ひつつ、144(さん)(にん)随行(ずゐかう)(とも)に、145これ(また)河鹿(かじか)(たうげ)()()え、146フサの(くに)原野(げんや)(わた)りて、147印度(いんど)()して(すす)()かむとする。
148 治国別(はるくにわけ)亀彦(かめひこ)立上(たちあが)つて(うた)もて自分(じぶん)希望(きばう)()べた。
149治国別(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)
150(かく)(たま)ひし斎苑(いそ)(やかた)
151教司(をしへつかさ)()れませる
152日出別(ひのでのわけ)物申(ものまを)
153ウラルの(みち)(ほう)じたる
154(しこ)(つかさ)(われ)なれど
155フサの(うみ)にて(めぐ)()
156(なれ)(みこと)薫陶(くんたう)
157()けて(まこと)(ひと)となり
158()さへめでたき宣伝使(せんでんし)
159(よろこ)(いさ)んで四方(よも)(くに)
160自転倒(おのころ)(じま)まで打渡(うちわた)
161(しこ)魔神(まがみ)言向(ことむけ)けて
162(ふたた)びこれの斎苑(いそ)(やかた)
163(すめ)大神(おほかみ)(したが)ひて
164功績(いさを)()てしわが身魂(みたま)
165見向(みむ)きもやらず梅彦(うめひこ)
166音彦(おとひこ)二人(ふたり)抜擢(ばつてき)
167大黒主(おほくろぬし)をいましめの
168任務(にんむ)()さし(たま)ひたり
169あゝ(うら)めしし(うら)めしし
170われも(かみ)()(かみ)(みや)
171いかでか(かれ)(おと)らむや
172直日(なほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)
173宣直(のりなほ)しまし亀彦(かめひこ)
174印度(ツキ)御国(みくに)(つか)はして
175八岐(やまた)大蛇(をろち)のかかりたる
176(しこ)(つかさ)(ことごと)
177三五教(あななひけう)大道(おほみち)
178(すく)(たす)くる神使(かみつかひ)
179()けさせ(たま)逸早(いちはや)
180(かみ)御前(みまへ)(うかが)ひて
181わが言霊(ことたま)神力(しんりき)
182()らさせ(たま)惟神(かむながら)
183菊子(きくこ)(ひめ)諸共(もろとも)
184(つつし)(うやま)()(まつ)る』
185 と(うた)(をは)つた。186日出別(ひのでわけの)(みこと)は、187これに(こた)へて、
188日出別(いさ)ましき治国別(はるくにわけ)(こと)あげを
189(こころ)(すず)しく(たの)もしく(おも)ふ。
190いざさらば(なれ)(みこと)印度(ツキ)(くに)
191すみずみ(まで)(めぐ)(すく)へよ。
192言霊(ことたま)(さち)はふ(くに)神司(かむつかさ)
193勝鬨(かちどき)あげて早帰(はやかへ)りませ』
194 と(うた)もて印度(ツキ)(くに)への出陣(しゆつぢん)(ゆる)した。195治国別(はるくにわけ)(いさ)()ち、
196治国別『かけ(まく)(あや)(かしこ)皇神(すめかみ)
197御言(みこと)のままに(すす)みて()かむ。
198日出別(ひのでわけ)(かみ)(みこと)(いま)しばし
199わが復言(かへりごと)()たせ(たま)はれ。
200東野別(あづまのわけ)(つかさ)(まへ)物申(ものまを)
201(もも)(つかさ)(めぐ)ませ(たま)へよ。
202われは(いま)印度(ツキ)(くに)へと(すす)みゆく
203(まも)らせ(たま)菊子(きくこ)(ひめ)を。
204(のこ)しおく(つま)(みこと)もつつしみて
205(かみ)(をしへ)()(つた)へせよ』
206 東野別(あづまのわけ)(これ)(こた)へて、
207東野別『みづみづし益良(ますら)武夫(たけを)亀彦(かめひこ)
208()万世(よろづよ)(つた)へますらむ。
209千代(ちよ)八千代(やちよ)万代(よろづよ)までも亀彦(かめひこ)
210治国別(はるくにわけ)()をや()らさむ。
211治国別(はるくにわけ)(かみ)(みこと)のいさをしを
212(あふ)ぎて()たむ唐土(もろこし)(そら)
213 菊子姫(きくこひめ)(また)(うた)ふ。
214菊子姫『けなげなる(たふと)便(たよ)りを菊子姫(きくこひめ)
215()()(なが)真鶴(まなづる)(くび)
216一足(ひとあし)(あゆ)みも(こころ)(くば)らせつ
217(すす)()きませ(わが)()(きみ)は。
218(やま)()荒野(あらの)をわたり(あめ)にぬれ
219(すす)()(きみ)()れば雄々(をを)しも』
220 初稚姫(はつわかひめ)立上(たちあが)り、221金扇(きんせん)(ひら)いて、222(みづか)(うた)(みづか)()ひ、223()(にん)神司(かむづかさ)出陣(しゆつぢん)(しゆく)した。
224初稚姫久方(ひさかた)天津(あまつ)御空(みそら)(かぎ)りなく
225()(わた)るなる三五(あななひ)
226(つき)(をしへ)四方(よも)(くに)
227青人草(あをひとぐさ)(とり)(けもの)
228(くさ)片葉(かきは)(いた)るまで
229(めぐみ)(つゆ)(うるほ)ひて
230(たふと)(かみ)御光(みひかり)
231(あふ)(たの)しむ葦原(あしはら)
232八洲(やしま)(くに)(その)(なか)
233如何(いか)なる(かみ)仕組(しぐみ)にや
234取残(とりのこ)されし印度(ツキ)(くに)
235七千(しちせん)(あま)りの国々(くにぐに)
236(きみ)()れます刹帝利(せつていり)
237八岐(やまた)大蛇(をろち)醜霊(しこたま)
238(まど)はされつつ()(つき)
239よからぬ(こと)のみ(おこな)ひつ
240()常暗(とこやみ)となりて()
241(とき)しもあれやバラモンの
242(みち)(つか)ふる神司(かむづかさ)
243大黒主(おほくろぬし)(あら)はれて
244ハルナの(みやこ)根拠(こんきよ)とし
245バラモン(ぞく)庇護(ひご)しつつ
246刹帝利(せつていり)(ぞく)押込(おしこ)めて
247暴威(ばうゐ)(ふる)ふぞうたてけれ
248それに()いては毘舎(びしや)首陀(しゆだ)
249三種(さんしゆ)階級(かいきふ)民族(みんぞく)
250バラモン(ぞく)暴虐(ばうぎやく)
251(くるし)(もだ)国原(くにはら)
252怨嗟(ゑんさ)(こゑ)にみちみちぬ
253あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
254(かみ)御霊(みたま)(さち)はひて
255(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)
256(とき)(はか)らひ瑞御霊(みづみたま)
257発揮(はつき)(たま)ひて印度(ツキ)(くに)
258ハルナの(みやこ)三五(あななひ)
259(かみ)(つかさ)(つか)はして
260世人(よびと)(すく)(たま)はむと
261御計(みはか)()りし(たふと)さよ
262日出別(ひのでのわけ)教主(つかさ)より
263(この)大業(たいげふ)(めい)ぜられ
264黄竜姫(わうりようひめ)蜈蚣姫(むかでひめ)
265(たふと)(つかさ)(はじ)めとし
266(こころ)(あか)照国別(てるくにわけ)
267(かみ)(みこと)玉国別(たまくにわけ)
268治国別(はるくにわけ)三柱(みはしら)
269おのもおのもにこと()けて
270(かみ)(おん)(ため)()(ため)
271(つか)はし(たま)ふぞ有難(ありがた)
272われも初稚姫(はつわかひめの)(かみ)
273年端(としは)()かぬ()なれ(ども)
274(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)
275(つか)はし(たま)ひし八乙女(やおとめ)
276(きよ)御業(みわざ)(かむ)(なら)
277大黒主(おほくろぬし)(やかた)まで
278(しの)(まゐ)りて三五(あななひ)
279(まこと)(みち)曲神(まがかみ)
280言向和(ことむけやは)させ(たま)へかし
281日出別(ひのでのわけ)東野別(あづまのわけ)
282(かみ)(つかさ)(おん)(まへ)
283(つつし)(うやま)()ぎまつる
284(ちち)とあれます時置師(ときおかし)
285(かみ)(つかさ)初稚(はつわか)
286(ねがひ)(かなら)(ゆる)すべし
287(かみ)御言(みこと)(さち)はひて
288われを(つか)はし(たま)ひなば
289如何(いか)なる(なや)みも()(しの)
290わが大神(おほかみ)御心(みこころ)
291うまらにつばらに()きさとし
292時節(じせつ)()つて大黒主(おほくろぬし)
293(まこと)(みち)帰順(きじゆん)させ
294(かみ)御前(みまへ)復言(かへりごと)
295(まを)(まつ)らむいざ(はや)
296(ゆる)させ(たま)惟神(かむながら)
297(かみ)御前(みまへ)()ぎまつる』
298(うた)つて、299自分(じぶん)単独(たんどく)にて、300大黒主(おほくろぬし)(やかた)(しの)()み、301曲神(まがかみ)帰順(きじゆん)せしむべく、302出陣(しゆつぢん)(ゆる)されむ(こと)請願(せいぐわん)した。303日出別(ひのでわけ)(うた)(もつ)てこれに(こた)ふ。
304日出別(いさ)ましき初稚姫(はつわかひめ)言霊(ことたま)
305()(たび)(ごと)(なみだ)こぼるる。
306さり(なが)初稚姫(はつわかひめ)(ひと)御子(みこ)
307いかでか印度(ツキ)(つか)はすを()む』
308 初稚姫(はつわかひめ)はこれに(こた)へて、
309初稚姫『いぶかしき日出別(ひのでのわけ)言霊(ことたま)
310(かみ)(ささ)げし(わが)()ならずや。
311時置師(ときおかし)(ちち)(みこと)初稚(はつわか)
312(まこと)言葉(ことば)()(ゆる)しませ』
313 時置師(ときおかしの)(かみ)(うた)もて(こた)ふ。
314時置師天地(あめつち)御霊(みたま)にあれし(わが)(むすめ)
315(かみ)のまにまに(つか)へまつれよ。
316時置師(ときおかし)(かみ)(つかさ)(ただ)一人(ひとり)
317いでゆく(なれ)雄々(をを)しくぞ(おも)ふ』
318 日出別(ひのでわけの)(みこと)(また)(うた)ふ。
319日出別(いさ)ましき親子(おやこ)二人(ふたり)心根(こころね)
320(かみ)(よろこ)(たま)ふなるらむ。
321いざさらば初稚姫(はつわかひめ)神司(かむづかさ)
322(かみ)のまにまに(すす)()きませ』
323 東野別(あづまのわけ)立上(たちあが)りて(うた)ふ。
324東野別年若(としわか)初稚姫(はつわかひめ)御姿(みすがた)
325()るにつけても(なみだ)ぐまれつ。
326さり(なが)(たふと)(かみ)(まも)ります
327(つかさ)にませば(こころ)(いた)めず。
328いざ(はや)御言(みこと)のままに()でまして
329(かみ)御前(みまへ)復言(かへりごと)せよ』
330 初稚姫(はつわかひめ)(うれ)しげに(また)(うた)ふ。
331初稚姫日出別(ひのでわけ)東野別(あづまのわけ)垂乳根(たらちね)
332(ちち)言葉(ことば)(われ)()かせり。
333有難(ありがた)(かみ)(めぐみ)()(なが)
334印度(ツキ)御国(みくに)()(すす)みゆかむ』
335 かく(うた)ひて、336一同(いちどう)(わか)れを()げ、337瓢然(へうぜん)として(ただ)一人(ひとり)供人(ともびと)をもつれず、338万里(ばんり)山河(さんか)()えて、339印度(ツキ)(くに)(すす)()く。
340 神界(しんかい)()経綸(けいりん)にて最初(さいしよ)より印度(ツキ)(くに)のハルナの(みやこ)(あら)はれたる大黒主(おほくろぬし)言向和(ことむけやは)(ため)出張(しゆつちやう)(めい)ぜらるべき神司(かむつかさ)は、341(ほぼ)決定(けつてい)されてゐたのである。342(しか)(なが)(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)(わが)(むすめ)(をつと)三柱(みはしら)(まで)(くは)はり()(こと)とて、343(あから)さまに()()でかね(たま)ひ、344日出別(ひのでわけの)(かみ)(めい)じて、345相談会(さうだんくわい)(ひら)かせ、346随意(ずゐい)(この)使(つかひ)奉仕(ほうし)する(こと)手続(てつづき)をとられたのであつた。347(また)初稚姫(はつわかひめ)(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)八人(やたり)乙女(おとめ)一柱(ひとはしら)(のこ)さず、348(てき)牙城(がじやう)使(つか)はし(たま)ひし(たふと)(きよ)大御心(おほみこころ)感激(かんげき)し、349如何(いか)にもして、350八人(やたり)乙女(おとめ)(つく)(たま)ひたる(ごと)神務(しんむ)従事(じゆうじ)せばやと、351(とき)(いた)るを()ちつつあつたのである。352時置師(ときおかしの)(かみ)杢助(もくすけ)も、353初稚姫(はつわかひめ)健気(けなげ)なる(こころ)(かん)じ、354(わが)()(なが)らも天晴(あつぱ)れなる(もの)よと、355ひそかに感涙(かんるい)(むせ)んでゐた。
356 ()くの(ごと)くにして、357(いよいよ)印度(ツキ)(くに)大黒主(おほくろぬし)(たい)する言霊戦(ことたません)準備(じゆんび)(まつた)(ととの)うたのである。358あゝ惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
359大正一一・一〇・二一 旧九・二 松村真澄録)
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