霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。実験用サイトサブスク
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第四章 河鹿(かじか)(ごえ)〔一〇六九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第39巻 舎身活躍 寅の巻 篇:第2篇 黄金清照 よみ(新仮名遣い):おうごんせいしょう
章:第4章 河鹿越 よみ(新仮名遣い):かじかごえ 通し章番号:1069
口述日:1922(大正11)年10月22日(旧09月3日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年5月5日
概要: 舞台:河鹿峠 あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
蜈蚣姫は、神素盞嗚大神より黄金姫と名を賜った。また黄竜姫は清照姫と名を賜った。二人は秋の空の下、巡礼姿に身をやつして河鹿峠の厳しい坂道を登って行った。二人はまずフサの都を指して進んでいる。
激流ほとばしる谷川を下に眺める細い山道の傍らに、五人の男(ハム、イール、ヨセフ、レーブ、タール)が腰をかけて雑談にふけっている。バラモン教の鬼熊別の部下であった。彼らは主人鬼熊別の妻・蜈蚣姫と娘・黄竜姫を探していたのであった。
鬼熊別は大教主・大黒主の次の地位にあったが、行方知れずになった妻や娘が三五教に入ったという噂のために大黒主に目を付けられているのだという。それにもかかわらず、大黒主のように放埓せずに品行を謹んで信者に手本を示しているとのことで、大黒主よりもバラモン教信者たちの信任を得ている様子である。
五人は峠を下ってくる黄金姫と清照姫を見つけて、道端の茂みに姿を隠した。そうとはしらない二人は谷川の眺めながらふと立ち止まり、述懐話にふけっていた。
そこへ五人の男がガサガサと現れて、二人を誰何した。五人は、二人が三五教の者だと見てとり、捕まえようとする。二人は男たちを山賊だと思って啖呵を切った。
五人の男はいっせいに二人に飛び掛かったが、黄金姫はハムとイールの両人を苦も無く谷底へ投げ入れてしまった。清照姫は、ヨセフを谷底へ投げ込む。これを見たレーブ、タールの両人は肝をつぶし、一目散に駆けだした。そして三人(ハム、イール、ヨセフ)を助けようと谷川に下りて行った。
黄金姫と清照姫は、男たちには構わずに宣伝歌を歌いながら峠を降って行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-11-16 10:11:21 OBC :rm3904
愛善世界社版:55頁 八幡書店版:第7輯 299頁 修補版: 校定版:57頁 普及版:20頁 初版: ページ備考:
001 満目(まんもく)蕭条(せうでう)として何処(どこ)となくおちついた(あき)(そら)002四方(よも)山辺(やまべ)佐保姫(さほひめ)(にしき)()りなす金色(こんじき)山野(さんや)黄金姫(わうごんひめ)003清照姫(きよてるひめ)二人(ふたり)巡礼姿(じゆんれいすがた)甲斐(かひ)々々(がひ)しく、004河鹿(かじか)(たうげ)峻坂(しゆんばん)を、005二本(にほん)(つゑ)にて(たた)(なが)らエチエチ(のぼ)()く。
006 黄金姫(わうごんひめ)()ふは(かむ)素盞嗚(すさのをの)(みこと)より(あらた)()(たま)はりたる蜈蚣姫(むかでひめ)のことである。007(また)清照姫(きよてるひめ)といふのは黄竜姫(わうりようひめ)のことである。008二人(ふたり)(いは)(こし)(うち)かけ、009(いき)(やす)め、010所々(ところどころ)圭角(けいかく)(あら)はした、011まだらに禿()げた(やま)谷間(たにま)(なが)るる激流(げきりう)打眺(うちなが)め、012斑鳩(はんきう)のここかしこ()びまはる姿(すがた)(なが)めて旅情(りよじやう)(なぐさ)めて()た。
013清照姫(きよてるひめ)『お()アさま、014(なん)()景色(けしき)御座(ござ)いますな。015此処(ここ)言依別(ことよりわけの)(みこと)(さま)(うま)()りて烈風(れつぷう)()かれ、016従者(じゆうしや)玉彦(たまひこ)017楠彦(くすひこ)018厳彦(いづひこ)(とも)(この)谷間(たにま)転落(てんらく)し、019人事(じんじ)不省(ふせい)となつて御座(ござ)(あひだ)に、020五十万(ごじふまん)(ねん)未来(みらい)天国(てんごく)探検(たんけん)せられたといふ有名(いうめい)(ところ)御座(ござ)います。021(はる)(なつ)になると河鹿(かじか)名所(めいしよ)で、022随分(ずゐぶん)いい(こゑ)谷水(たにみづ)(なが)れを(あつ)して、023(この)山上(さんじやう)まで(きこ)えて()るさうです。024(いそ)いで(いそ)がぬ(たび)ですから、025ここでゆつくりと(いき)(やす)めて(まゐ)りませうか』
026黄金姫(わうごんひめ)(なに)()うてもバラモン(けう)やらウラル(けう)間者(まはしもの)が、027斎苑(いそ)(やかた)近傍(きんばう)沢山(たくさん)出没(しゆつぼつ)してるといふことだから、028(あま)油断(ゆだん)はなりますまい。029ゆつくりとして()ては、030予定(よてい)(ところ)までに()()れると大変(たいへん)だから、031ボツボツと()きませう。032何程(なにほど)(あし)(おそ)くても(こん)(まか)せて()けば(はや)いもの、033何程(なにほど)(いそ)いで(ある)いても、034休息(きうそく)(なが)いと(かへつ)(みち)がはかどらぬもの、035サア()きませう』
036(さき)()つ。037清照姫(きよてるひめ)(はは)(げん)(いな)(よし)なく、038(つゑ)(ちから)峻坂(しゆんぱん)(のぼ)りつ(くだ)りつ、039(たに)(いく)つとなく(わた)りてフサの(くに)(みやこ)()して(いそ)()く。
040 一方(いつぱう)(けは)しき禿山(はげやま)041一方(いつぱう)淙々(そうそう)たる激流(げきりう)ほとばしる谷川(たにがは)(なが)めて、042(やま)(こし)鉢巻(はちまき)をしたやうに(つう)じてゐる(ほそ)(みち)(かたはら)(いは)(こし)打掛(うちか)四五(しご)(にん)(をとこ)(この)風景(ふうけい)(なが)めて雑談(ざつだん)(ふけ)つてゐる。043(この)()(にん)鬼熊別(おにくまわけ)部下(ぶか)(もの)で、044ハム(半六)イール(伊造)ヨセフ(芳二)レーブ(麗二)タール(太郎)の()(にん)であつた。
045ハム『吾々(われわれ)今年(ことし)(あし)かけ(さん)(ねん)046()うして(この)附近(ふきん)(さが)しまはつてゐるのだが、047(なに)()うても(ひろ)世界(せかい)048蜈蚣姫(むかでひめ)所在(ありか)(わか)(はず)はないぢやないか。049人相書(にんさうがき)何程(なにほど)()つてゐても、050十年前(じふねんまへ)姿(すがた)(いま)とは余程(よほど)(ちが)つてゐるに相違(さうゐ)ない。051(また)一度(いちど)でも、052今迄(いままで)()うて()ればどこかに(おぼ)えがあるのだけれど、053(すこ)しく(かほ)四角(しかく)いの、054()(おほ)きいの、055(せい)通常(つうじやう)だのと(この)(くらゐ)のことでは到底(たうてい)見当(けんたう)がつかない。056()(かく)()アさんと()たら、057小口(こぐち)から(ひつ)とらまへて(つら)検査(けんさ)を、058これからはすることにしようかい。059蜈蚣姫(むかでひめ)(さま)発見(はつけん)しさへすれば、060それこそ(たい)したものだから…………』
061イール『蜈蚣姫(むかでひめ)(さま)三五教(あななひけう)沈没(ちんぼつ)したといふぢやないか。062一層(いつそう)のこと三五教(あななひけう)霊場(れいぢやう)々々(れいぢやう)()()んで(かんが)へて()たら、063それが一番(いちばん)早道(はやみち)かも()れぬぞ』
064ハム『何程(なにほど)早道(はやみち)だつて、065さう(かたき)(なか)易々(やすやす)這入(はい)れるものか。066三五教(あななひけう)には天眼通(てんがんつう)とかいつて、067すぐに吾々(われわれ)行動(かうどう)前知(ぜんち)する(はふ)があるから、068迂濶(うつか)近寄(ちかよ)れない。069ここは斎苑(いそ)(やかた)(ちか)くだから、070三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)比較(ひかく)(てき)沢山(たくさん)(とほ)る。071時節(じせつ)()つてをれば、072蜈蚣姫(むかでひめ)(さま)がお(とほ)りになるかも()れないからな。073まづ(あわ)てず(いそ)がず、074かうして手当(てあて)(もら)つて()(くら)してさへ()れば安全(あんぜん)ぢやないか』
075イール『それだと()つて、076足掛(あしか)(さん)(ねん)(なん)手掛(てがか)りも()ず、077手当(てあて)ばかり(もら)つて()るのは、078(なん)とはなしに()(どく)のやうな()になつて()る。079つひには無能(むのう)()ばはりをされて免職(めんしよく)憂目(うきめ)()ふかも()れないぞ。080さうなつたら(おれ)(たち)ばかりの難儀(なんぎ)ぢやない。081妻子(さいし)眷族(けんぞく)(まで)(たちま)路頭(ろとう)(まよ)はねばならぬ破目(はめ)(おちい)るから、082第一(だいいち)それが(おそ)ろしいぢやないか。083大黒主(おほくろぬし)大教主(だいけうしゆ)()いでの鬼熊別(おにくまわけ)(さま)が、084あの(いきほ)ひであり(なが)ら、085肝腎(かんじん)奥様(おくさま)(むすめ)()きは「行きは」は「行き端」(行方、行く先の意)のことか?()れず、086()うてあゝ()()(かた)いお(かた)だから、087大黒主(おほくろぬし)(やう)大切(たいせつ)奥様(おくさま)(はう)()して、088綺麗(きれい)(をんな)本妻(ほんさい)にしたり、089(てかけ)沢山(たくさん)()いて、090ひそかに(たはむ)れるといふやうな不始末(ふしまつ)なことはなさらぬのだから、091実際(じつさい)()いても()(どく)なものだ。092吾々(われわれ)信者(しんじや)()(なが)ら、093結構(けつこう)手当(てあて)鬼熊別(おにくまわけ)(さま)から(いただ)いて()るのだから、094(はや)くお(たづ)(いた)して、095夫婦(ふうふ)和合(わがふ)して()神業(しんげふ)参加(さんか)なさるやうにして()げねばなろまいぞ』
096ハム『鬼熊別(おにくまわけ)(さま)信仰(しんかう)(つよ)(かみ)(さま)だから、097何事(なにごと)一切(いつさい)惟神(かむながら)にお(まか)(あそ)ばし、098妻子(さいし)のことなどはチツとも()にかけてゐられない。099(ただ)(かみ)(さま)にお(まか)せしておけば()いのだと日夜(にちや)品行(ひんかう)(つつし)むで、100信仰(しんかう)三昧(ざんまい)()り、101吾々(われわれ)(まこと)手本(てほん)をお()(くだ)さる救世主(きうせいしゆ)のやうな(かた)だが、102(この)(ごろ)大将(たいしやう)大黒主(おほくろぬし)(さま)嫌疑(けんぎ)がかかつて大変(たいへん)()迷惑(めいわく)103ハルナの(しろ)へは()出仕(しゆつし)欠勤(けつきん)(がち)だといふことだ』
104イール『(おほ)きな(こゑ)では()はれぬが、105(おれ)(たち)大黒主(おほくろぬし)のやうな放埒(はうらつ)不羈(ふき)(かた)教主(けうしゆ)(あふ)ぐよりも、106鬼熊別(おにくまわけ)(さま)(わが)主人(しゆじん)教主(けうしゆ)(あふ)(はう)余程(よほど)心持(こころもち)()いワ。107二人(ふたり)人気(にんき)といふものは大変(たいへん)相違(さうゐ)ぢや。108なぜあれ(ほど)人気(にんき)(わる)大黒主(おほくろぬし)羽振(はぶり)()かしてゐるのだらうかなア』
109ハム『(なん)()つても、110勢力(せいりよく)圧倒(あつたふ)さるる()(なか)だから、111仕方(しかた)がない。112(まこと)(ひと)つの(をしへ)(つた)ふるバラモン(けう)本城(ほんじやう)でさへも、113勢力(せいりよく)といふ(やつ)には如何(どう)しても()つことが出来(でき)ないと()える。114鬼熊別(おにくまわけ)奥様(おくさま)やお一人(ひとり)のお娘子(むすめご)小糸姫(こいとひめ)(さま)三五教(あななひけう)降服(かうふく)されたといふことが、115大黒主(おほくろぬし)大将(たいしやう)(みみ)()り、116それから大黒主(おほくろぬし)鬼熊別(おにくまわけ)(たい)して猜疑(さいぎ)(まなこ)(ひか)らし、117妻子(さいし)行方(ゆくへ)(さが)()して、118それをバラモン(けう)(こころ)(そこ)から帰順(きじゆん)せしめなければならぬ。119さうでなければ二心(ふたごころ)(きま)つてゐると、120()(どく)にも無理(むり)難題(なんだい)(あふ)せられるのだから、121(おれ)(たち)大将(たいしやう)(さま)本当(ほんたう)()迷惑(めいわく)千万(せんばん)(こと)だ。122()ふに()はれぬ()(くるし)みだらう』
123レーブ『オイあすこに(なん)だか人影(ひとかげ)()えるぢやないか。124ソロソロ此方(こちら)近寄(ちかよ)つて()るやうだ。125(しばら)沈黙(ちんもく)して(この)(はやし)(なか)(かく)れる(こと)としようかい。126彼奴(あいつ)三五教(あななひけう)(やつ)かも()れぬぞ』
127タール『あのスタイルから()ると、128巡礼(じゆんれい)のやうだが、129どうやら(をんな)らしい』
130ハム『()しもあれが(をんな)であつたら、131イヤ(ばば)アであつたら、132(たれ)でも(かま)はぬからフン(じば)つて印度(ツキ)(くに)まで()(かへ)り、133吾々(われわれ)安閑(あんかん)として手当(てあて)(いただ)いて(あそ)んでゐるのぢやないといふことを()せようぢやないか。134さうなとせなくては申訳(まをしわけ)がないからな』
135イール『はるばると偽物(にせもの)()(かへ)つたところで、136肝腎(かんじん)鬼熊別(おにくまわけ)(さま)一目(ひとめ)御覧(ごらん)になつたらすぐに(わか)るぢやないか。137貴様(きさま)余程(よほど)バカな(やつ)だ」とお目玉(めだま)頂戴(ちやうだい)するだけのことだ、138そんな偽者(にせもの)()れて(かへ)つた(ところ)で、139骨折損(ほねをりぞん)疲労(くたび)れまうけだ、140(わか)らぬ代物(しろもの)相手(あひて)にならぬ(はう)安全(あんぜん)でいいぞ』
141ハム『(もと)より吾々(われわれ)身分(みぶん)(いや)しき(もの)で、142蜈蚣姫(むかでひめ)(さま)小糸姫(こいとひめ)(さま)のお(かほ)()らないのだから(ばば)アや(むすめ)()つけたら、143これに(ちがひ)ないと(おも)ひましたと()つて()(かへ)りさへすれば、144仮令(たとへ)(ちが)つた(ところ)温厚(をんこう)篤実(とくじつ)鬼熊別(おにくまわけ)(さま)は、145ソラさうだらう、146見違(みちが)へるも無理(むり)はない。147こんな簡単(かんたん)人相書(にんさうがき)だから……そして大変(たいへん)(とし)()つて人相(にんさう)(かは)つてるだらうからと仰有(おつしや)つて、148見直(みなほ)聞直(ききなほ)し、149反対(あべこべ)にお()めの言葉(ことば)(いただ)いて、150(また)(この)(やく)(なが)らく(にん)じて(もら)ふやうになるかも()れないぞ。151()(かく)熱心振(ねつしんぶり)をあらはさねば吾々(われわれ)(やく)がすむまい。152イヤ責任(せきにん)(はた)せないからなア』
153レーブ『オイオイ其処(そこ)近付(ちかづ)いて()たぞ。154サア(かく)れた(かく)れた』
155()(なが)ら、156道端(みちばた)灌木(くわんぼく)(しげ)みに姿(すがた)(かく)して(しま)つた。
157 親子(おやこ)二人(ふたり)巡礼(じゆんれい)は、158()(にん)此処(ここ)(ひそ)むとは()らず、159風景(ふうけい)()谷川(たにがは)(なが)(なが)ら、160ツト立止(たちど)まり、
161清照姫(きよてるひめ)『お()アさま、162河鹿(かじか)(たうげ)天下(てんか)絶景(ぜつけい)だと()きましたが、163本当(ほんたう)勇壮(ゆうさう)谷川(たにがは)(ながれ)164(にしき)(やう)(やま)(いろ)165(あき)殊更(ことさら)(うつく)しく、166(まる)でお()アさまの()(やう)黄金色(わうごんしよく)で、167天国(てんごく)旅行(りよかう)してゐるやうな()になりましたなア。168斎苑(いそ)()(やかた)随分(ずゐぶん)結構(けつこう)(ところ)ですが、169(この)風景(ふうけい)(くら)ぶれば(そば)へもよれませぬよ』
170黄金姫(わうごんひめ)本当(ほんたう)(うつく)しい景色(けしき)だ。171(はる)(はな)()き、172(とり)(うた)青芽(あをめ)はふき、173そこら(ぢう)(なん)とはなしにみづみづしうて、174一層(いつそう)(なが)めが(よろ)しからうが、175(あき)(なが)めも(また)格別(かくべつ)なものだ。176(しか)(なが)らかうして(あき)(にしき)()てゐる(うち)に、177(また)もや(つめた)(こがらし)()いて、178()()(この)()常磐木(ときはぎ)(のぞ)(ほか)は、179羽衣(はごろも)()いだ枯木(かれき)のやうになつて(しま)ふのだから、180人生(じんせい)といふものは(じつ)果敢(はか)ないものだ。181(わたし)追々(おひおひ)(とし)()つて、182どうやら羽衣(はごろも)()いだ()(やう)に、183(なん)ともなしに心淋(こころさび)しくなりました。184(まへ)はまだ(うぐひす)(はな)(つぼみ)185(はや)()(をつと)()たせて(わたし)(はや)安心(あんしん)したいものだが、186まだ(かみ)(さま)()(ゆる)しがないと()えます。187今度(こんど)使命(しめい)(はた)して、188(はや)くよい(をつと)()たせ、189(たの)しい家庭(かてい)(つく)り、190(わたし)(また)(をつと)(めぐ)()うて、191夫婦(ふうふ)(おな)(みち)(くら)したいものだ。192()んとした(わたし)因果(いんぐわ)(もの)だらう。193現在(げんざい)(をつと)はありながら、194信仰(しんかう)(ちが)ふために、195(いま)(をつと)所在(ありか)(わか)つて()つても名乗(なの)つて()(わけ)にもゆかず、196(わか)(とき)(なん)とも(おも)はなかつたが、197()(とし)()ると、198(をつと)のことが(おも)()さるる』
199(こゑ)(くも)らせ、200(なみだ)ぐんで(かた)る。201清照姫(きよてるひめ)は、
202清照姫『お()アさま、203()心配(しんぱい)なされますな。204(わたし)はまだまだ(とし)(わか)()(うへ)205さう(あわ)てて(をつと)()つにも(およ)びますまい。206(しか)(なが)広大(くわうだい)無辺(むへん)(かみ)(さま)()(めぐみ)()つて、207キツと()両親(りやうしん)(さま)()面会(めんくわい)(あそ)ばし、208(おな)三五(あななひ)(みち)にお(つか)(あそ)ばすやうになりませう』
209 ()(はな)(をり)しも、210ガサガサガサと()(ゆす)つて、211(あら)はれ()でた()(にん)(をとこ)212(ほそ)山腹(さんぷく)(みち)(たち)はだかり、
213ハム『お(まへ)(いま)()いて()れば、214(なん)でも(かみ)(みち)(ひら)きに(ある)いてゐる(もの)らしいが、215一体(いつたい)何処(どこ)(もの)だ。216そして姓名(せいめい)(なん)といふか』
217居丈高(ゐたけだか)(ひぢ)をはつて、218頭押(あたまお)さへに()ひかける。
219黄金姫(わうごんひめ)(わたし)は……お(まへ)最前(さいぜん)(しやう)(わる)い、220ここで(かく)れて()いただろが、221(この)()黄金(わうごん)世界(せかい)立直(たてなほ)黄金姫(わうごんひめ)といふ(もの)だ。222(なん)だかエライ権幕(けんまく)(わたし)姓名(せいめい)(たづ)ねるに()いては仔細(しさい)があらう』
223ハム『あらいでか、224貴様(きさま)黄金姫(わうごんひめ)(ぬか)すからは、225聖地(せいち)エルサレムの(やつ)だらう、226黄金山(わうごんざん)(した)にあつて三五教(あななひけう)(ひら)いて()つた、227埴安姫(はにやすひめ)だな。228オイ(みな)(もの)229最前(さいぜん)もいふ(とほ)り、230(おれ)(たち)(おん)大将(たいしやう)土産(みやげ)がないから、231此奴(こいつ)(ひと)つふん(じば)つて、232はるばるとフサの(うみ)(まで)かつぎ()し、233()(やかた)()(かへ)ることにしようぢやないか』
234一同(いちどう)『ヨシ、235(しか)しモ(すこ)様子(やうす)(さぐ)つてからにしたら如何(どう)だ。236もしもレコだつたら大変(たいへん)だぞ』
237(やや)躊躇(ちうちよ)して()る。238黄金姫(わうごんひめ)は、
239黄金姫『ホヽヽヽヽお(まへ)山賊(さんぞく)ぢやないか。240大方(おほかた)(この)(へん)岩窟(いはや)があるのだらう。241(おな)人間(にんげん)(うま)(なが)ら、242往来(ゆきき)旅人(たびびと)をおどかして渡世(とせい)をするとは(じつ)(あは)れな(もの)だ。243(わたし)三五教(あななひけう)信者(しんじや)だが、244(ひと)(はなし)をしてあげるから、245トツクリとそこで()きなさい』
246ハム『オイ(みな)(やつ)247此奴(こいつ)中々(なかなか)()ごわい(やつ)だ、248レコではないと()ふことは(いま)言葉(ことば)判然(はんぜん)した。249サアかかれ、250()()(みい)ツ』
251号令(がうれい)をする。252清照姫(きよてるひめ)(かさ)(かぶ)つたまま、
253清照姫『コレ耄碌(まうろく)サン、254(をんな)ばかりと(あなど)つて、255いらぬチヨツカイを()すと、256キツイ()()はされますよ。257(この)物騒(ぶつそう)山坂(やまさか)(わづ)かに二人(ふたり)(をんな)(とほ)(くらゐ)だから、258(うで)(おぼえ)がなくては(かな)はぬこと、259美事(みごと)相手(あひて)になるなら、260なつて()たがよからう』
261ハム『コリヤ失敬(しつけい)千万(せんばん)な、262(おれ)(たち)泥棒(どろばう)とは(なん)だ。263(きさま)こそ(ふて)(やつ)だ、264泥棒(どろばう)親方(おやかた)だらう。265何程(なにほど)親分(おやぶん)でも駄目(だめ)だぞ。266こちらは屈強(くつきやう)(ざか)りの(をとこ)()(にん)267そちらは老耄婆(おいぼればば)アに小娘(こむすめ)268そんな負惜(まけをし)みを(ぬか)すより、269神妙(しんめう)(おれ)(たち)()ふやうにしたらどうだ。270(さわ)ぎさへせねば(べつ)にひつ(くく)りもせず、271よい(ところ)()れて()つてやる、272返答(へんたふ)はどうだ』
273()めつける。274黄金姫(わうごんひめ)泰然(たいぜん)自若(じじやく)として、
275黄金姫『オツホヽヽヽ()トンボのやうな(うで)(ふり)まはして(なに)寝言(ねごと)をいつてるのだ。276斑鳩(いかるが)(わら)つてゐるぞや。277サア清照姫(きよてるひめ)278こんな胡麻(ごま)(はへ)みたやうな(やつ)相手(あひて)になつてる(ひま)がない、279()(がた)代物(しろもの)だ。280それよりも(はや)く、281(れい)()(かは)いた(かみ)御子(みこ)一人(ひとり)でも(すく)ひつつ目的地(もくてきち)(まゐ)りませう』
282(むすめ)(うなが)し、283(とほ)()ぎようとするのを、284ハムは、
285ハム『サアかかれツ』
286命令(めいれい)をする。287両方(りやうはう)から両人(りやうにん)()がけて、288武者(むしや)()りつくのを『エー面倒(めんだう)』とハム、289イールの両人(りやうにん)黄金姫(わうごんひめ)()もなく谷底(たにぞこ)()()んで(しま)つた。290ヨセフは清照姫(きよてるひめ)細腕(ほそうで)首筋(くびすぢ)をグツと(にぎ)られ、291これ(また)眼下(がんか)青淵(あをふち)()がけて、292空中(くうちう)三四回(さんしくわい)293回転(くわいてん)(なが)らザンブとばかりに落込(おちこ)んだ。
294 (これ)(なが)めたレーブ、295タールの両人(りやうにん)一目散(いちもくさん)にかけ()し、296(さん)(にん)()()まれた谷川(たにがは)辿(たど)りつき、297(さん)(にん)(すく)はむと(あせ)(ども)298(いた)()てたる(ごと)大岩壁(だいがんぺき)299(ちか)よることも出来(でき)ず、300十町(じつちやう)ばかり下手(しもて)()()き、301(やうや)くにして(つる)などにつかまつて谷川(たにがは)()り、302(なが)れを(つた)うて、303(さん)(にん)落込(おちこ)んだ青淵(あをふち)(たづ)ねて(のぼ)つて()く。
304 黄金姫(わうごんひめ)305清照姫(きよてるひめ)委細(ゐさい)(かま)はず、306宣伝歌(せんでんか)(うた)(なが)ら、307倉皇(さうくわう)として(たうげ)東南(とうなん)(くだ)()く。
308大正一一・一〇・二二 旧九・三 松村真澄録)
ロシアのプーチン大統領が霊界物語に予言されていた!?<絶賛発売中>
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki