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霊界物語
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第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
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第6巻(巳の巻)
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第61巻(子の巻)
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第71巻(戌の巻)
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特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
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第39巻(寅の巻)
序歌
総説
第1篇 伊祖の神風
01 大黒主
〔1066〕
02 評定
〔1067〕
03 出師
〔1068〕
第2篇 黄金清照
04 河鹿越
〔1069〕
05 人の心
〔1070〕
06 妖霧
〔1071〕
07 都率天
〔1072〕
08 母と娘
〔1073〕
第3篇 宿世の山道
09 九死一生
〔1074〕
10 八の字
〔1075〕
11 鼻摘
〔1076〕
12 種明志
〔1077〕
第4篇 浮木の岩窟
13 浮木の森
〔1078〕
14 清春山
〔1079〕
15 焼糞
〔1080〕
16 親子対面
〔1081〕
第5篇 馬蹄の反影
17 テームス峠
〔1082〕
18 関所守
〔1083〕
19 玉山嵐
〔1084〕
附録 大祓祝詞解
余白歌
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> 第3篇 宿世の山道 > 第11章 鼻摘
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第一一章
鼻摘
(
はなつまみ
)
〔一〇七六〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第39巻 舎身活躍 寅の巻
篇:
第3篇 宿世の山道
よみ(新仮名遣い):
すぐせのやまみち
章:
第11章 鼻摘
よみ(新仮名遣い):
はなつまみ
通し章番号:
1076
口述日:
1922(大正11)年10月27日(旧09月8日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年5月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
激しい山颪が吹き荒れる中、照国別一行は宣伝歌を歌いながら山道を下ってきていた。山道に二人の男が倒れている。照国別は、国公に二人の介護を命じて先を急いだ。
国公はタールに近づいて様子を見ていた。タールはたいしたけがではなかったので、二人は軽口をたたきあって打ち解けてしまった。あたりは暗くなり、二人はいつの間にかそこに寝てしまった。
ハムは起きてきて、二人の髪の毛を結んでしまい、鼻をつまんでからかっている。ひとしきりからかって二人が起きたところで、ハムとタールは今までのことを水に流して仲直りをした。
夜が明け、三人は兄弟のように親しくなった。三人は無駄口をたたきながら照国別の後を追っていく。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-11-19 13:16:29
OBC :
rm3911
愛善世界社版:
139頁
八幡書店版:
第7輯 330頁
修補版:
校定版:
147頁
普及版:
58頁
初版:
ページ備考:
001
バラモン
国
(
こく
)
の
天地
(
あめつち
)
を
002
塞
(
ふさ
)
ぎて
暗
(
くら
)
き
妖雲
(
えううん
)
を
003
吹
(
ふ
)
き
払
(
はら
)
ひつつ
三五
(
あななひ
)
の
004
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
敷
(
しき
)
ひろめ
005
心
(
こころ
)
も
暗
(
くら
)
き
大黒主
(
おほくろぬし
)
を
006
言向和
(
ことむけやは
)
し
日月
(
じつげつ
)
の
007
光
(
ひかり
)
をてらす
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
008
照国別
(
てるくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
009
照国梅
(
てるくにうめ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
010
従
(
したが
)
へ
坂路
(
さかみち
)
下
(
くだ
)
り
来
(
く
)
る
011
国公
(
くにこう
)
は
路々
(
みちみち
)
宣伝歌
(
せんでんか
)
012
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
らに
進
(
すす
)
むなり。
013
○
014
国公
『
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
015
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわ
)
ける
016
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
は
其
(
その
)
昔
(
むかし
)
017
言依別
(
ことよりわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
018
栗毛
(
くりげ
)
の
馬
(
うま
)
に
打乗
(
うちの
)
りて
019
渡
(
わた
)
らせ
玉
(
たま
)
ふ
時
(
とき
)
もあれ
020
レコード
破
(
やぶ
)
りの
烈風
(
れつぷう
)
に
021
吹
(
ふ
)
きまくられて
谷底
(
たにそこ
)
に
022
陥
(
おちい
)
り
玉
(
たま
)
ひ
天国
(
てんごく
)
を
023
探検
(
たんけん
)
したる
旧蹟地
(
きうせきち
)
024
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
025
神
(
かみ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
幸
(
さち
)
はひて
026
今
(
いま
)
吹来
(
ふききた
)
る
烈風
(
れつぷう
)
を
027
止
(
とど
)
めて
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
の
一行
(
いつかう
)
を
028
月
(
つき
)
の
都
(
みやこ
)
へ
易々
(
やすやす
)
と
029
進
(
すす
)
ませ
玉
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
030
神
(
かみ
)
の
使
(
つかひ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
031
御供
(
みとも
)
に
仕
(
つか
)
ふる
国公
(
くにこう
)
が
032
真心
(
まごころ
)
こめて
願
(
ね
)
ぎまつる
033
秋
(
あき
)
も
漸
(
やうや
)
く
深
(
ふか
)
くして
034
千黄
(
せんくわう
)
万紅
(
ばんこう
)
綾錦
(
あやにしき
)
035
機
(
はた
)
を
織
(
お
)
りなす
佐保姫
(
さほひめ
)
の
036
姿
(
すがた
)
もいとど
美
(
うる
)
はしく
037
常世
(
とこよ
)
の
春
(
はる
)
の「ドツコイシヨ」
038
秋
(
あき
)
の
紅葉
(
もみぢ
)
の
如
(
ごと
)
くなり
039
今
(
いま
)
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
は
曲風
(
まがかぜ
)
か
040
但
(
ただし
)
は
尊
(
たふと
)
き
神風
(
かみかぜ
)
か
041
誠
(
まこと
)
に
危
(
あぶ
)
ない
風
(
かぜ
)
の
玉
(
たま
)
042
ドンと
計
(
ばか
)
りにつき
当
(
あた
)
り
043
もろくも
空中
(
くうちう
)
滑走
(
くわつそう
)
して
044
此
(
この
)
谷底
(
たにそこ
)
に
陥
(
おちい
)
らば
045
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
の
旅立
(
たびだち
)
が
046
出来
(
でき
)
るに
定
(
きま
)
つてあるならば
047
チツとも
恐
(
おそ
)
れはせぬけれど
048
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
の
如
(
ごと
)
き
罪
(
つみ
)
重
(
おも
)
き
049
身魂
(
みたま
)
が
如何
(
どう
)
して「ウントコシヨ
050
ドツコイ ドツコイ ドツコイシヨ」
051
ホンに
危
(
あぶな
)
い
坂路
(
さかみち
)
ぢや
052
根底
(
ねそこ
)
の
国
(
くに
)
に
転落
(
てんらく
)
し
053
八寒
(
はちかん
)
地獄
(
ぢごく
)
に
陥
(
おちい
)
りて
054
万劫
(
まんごふ
)
末代
(
まつだい
)
苦
(
くるし
)
みの
055
門
(
もん
)
を
開
(
ひら
)
くは
知
(
し
)
れた
事
(
こと
)
056
暫
(
しば
)
し
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
永
(
なが
)
らへて
057
神
(
かみ
)
に
対
(
たい
)
して
功績
(
いさをし
)
を
058
少
(
すこ
)
しは
立
(
た
)
てし
後
(
のち
)
ならば
059
決
(
けつ
)
して
悔
(
く
)
ゆる
事
(
こと
)
はない
060
さはさり
乍
(
なが
)
ら
今
(
いま
)
の
内
(
うち
)
061
さやうな
事
(
こと
)
があつたなら
062
どうして
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
063
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
出来
(
でき
)
やうか
064
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
065
此
(
この
)
風
(
かぜ
)
とめて
下
(
くだ
)
さんせ
066
私
(
わたし
)
は
危
(
あぶな
)
うてたまらない
067
先
(
さき
)
に
進
(
すす
)
みし
黄金姫
(
わうごんひめ
)
068
清照姫
(
きよてるひめ
)
は
今頃
(
いまごろ
)
は
069
何地
(
いづち
)
を
進
(
すす
)
み
玉
(
たま
)
ふやら
070
定
(
さだ
)
めて
母娘
(
おやこ
)
お
二人
(
ふたり
)
は
071
此
(
この
)
難風
(
なんぷう
)
になやまされ
072
尻
(
しり
)
をまくられスタスタと
073
赤
(
あか
)
い
顔
(
かほ
)
して
居
(
ゐ
)
るだらう
074
今
(
いま
)
見
(
み
)
るやうに
思
(
おも
)
はれて
075
そいつが
第一
(
だいいち
)
気
(
き
)
にかかる
076
黄金姫
(
わうごんひめ
)
は
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
077
清照姫
(
きよてるひめ
)
のあの
姿
(
すがた
)
078
案
(
あん
)
じすごさでおかれようか
079
ホンに
毒性
(
どくしやう
)
な
風
(
かぜ
)
ぢやなア
080
「ウントコドツコイ
梅公
(
うめこう
)
よ」
081
「ヤツトコドツコイ
照
(
てる
)
さまよ」
082
互
(
たがひ
)
に
気
(
き
)
をつけ
足元
(
あしもと
)
に
083
風
(
かぜ
)
ばつかりぢやない
程
(
ほど
)
に
084
これ
程
(
ほど
)
キツイ
坂路
(
さかみち
)
に
085
尖
(
とが
)
つた
石
(
いし
)
がムクムクと
086
頭
(
あたま
)
を
抬
(
もた
)
げてゐよるぞよ
087
虎
(
とら
)
狼
(
おほかみ
)
や
獅子
(
しし
)
熊
(
くま
)
も
088
此
(
この
)
烈風
(
れつぷう
)
にあふられて
089
谷間
(
たにま
)
を
這
(
は
)
ひ
出
(
い
)
で
行
(
ゆ
)
く
路
(
みち
)
に
090
必
(
かなら
)
ずしやがむで
居
(
ゐ
)
るだらう
091
ウツカリ
相手
(
あひて
)
に「ドツコイシヨ」
092
なつてはならぬぞ
照
(
てる
)
梅
(
うめ
)
よ
093
モーシモーシ
宣伝使
(
せんでんし
)
094
あなたも
元
(
もと
)
は
梅彦
(
うめひこ
)
と
095
世
(
よ
)
に
謳
(
うた
)
はれし
神司
(
かむづかさ
)
096
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
の
国々
(
くにぐに
)
を
097
おまはりなさつたお
方
(
かた
)
なら
098
烈風
(
れつぷう
)
豪雨
(
がうう
)
に
遭遇
(
さうぐう
)
した
099
其
(
その
)
経験
(
けいけん
)
はありませう
100
何卒
(
なにとぞ
)
話
(
はな
)
して
下
(
くだ
)
さんせ
101
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
にて
臍
(
へそ
)
の
緒
(
を
)
を
102
切
(
き
)
つて
此
(
この
)
方
(
かた
)
こんな
目
(
め
)
に
103
会
(
あ
)
うたる
例
(
ため
)
しは
荒男
(
あらをとこ
)
104
強
(
つよ
)
そに
言
(
い
)
つても
腹
(
はら
)
の
中
(
うち
)
105
胸
(
むね
)
はドキドキ
早鐘
(
はやがね
)
を
106
つくよな
思
(
おも
)
ひになりました
107
これこれモーシ
宣伝使
(
せんでんし
)
108
これ
程
(
ほど
)
私
(
わたし
)
が
頼
(
たの
)
むのに
109
沈黙
(
ちんもく
)
するとは
胴欲
(
どうよく
)
な
110
何
(
なに
)
ほど
沈黙
(
ちんもく
)
したとても
111
此
(
この
)
烈風
(
れつぷう
)
は
易々
(
やすやす
)
と
112
容易
(
ようい
)
に
沈黙
(
ちんもく
)
致
(
いた
)
すまい
113
「ウントコドツコイ アイタヽヽ」
114
エーエー
怪体
(
けたい
)
の
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
ぢや
115
どうやら
足許
(
あしもと
)
「ドツコイシヨ」
116
危
(
あやふ
)
うなつて
来
(
き
)
たわいな
117
路
(
みち
)
の
片方
(
かたへ
)
の
古祠
(
ふるほこら
)
118
此
(
この
)
烈風
(
れつぷう
)
に
煽
(
あふ
)
られて
119
バラバラ バラバラ メチヤメチヤに
120
姿
(
すがた
)
もとめず
散
(
ち
)
り
失
(
う
)
せぬ
121
神
(
かみ
)
を
祀
(
まつ
)
つた
祠
(
ほこら
)
さへ
122
これ
程
(
ほど
)
ムゴク
散
(
ち
)
るものを
123
梵天王
(
ぼんてんわう
)
の
鎮
(
しづ
)
まれる
124
国公
(
くにこう
)
さまの
肉
(
にく
)
の
宮
(
みや
)
125
これが
散
(
ち
)
らずに
居
(
を
)
りませうか
126
ホンに
思
(
おも
)
へば
気
(
き
)
にかかる
127
「ウントコ ドツコイ ドツコイシヨ」
128
アレアレ
向
(
むか
)
うに
人
(
ひと
)
の
影
(
かげ
)
129
此奴
(
こいつ
)
も
風
(
かぜ
)
にあふられて
130
斃
(
くたば
)
りよつてかメソメソと
131
泣
(
な
)
いたか
泣
(
な
)
かぬかおれや
知
(
し
)
らぬ
132
八
(
はち
)
の
字形
(
じがた
)
にふんのびて
133
黒
(
くろ
)
いお
尻
(
しり
)
をむき
出
(
いだ
)
し
134
ウンウン
呻
(
うめ
)
いてゐるやうだ
135
彼処
(
あこ
)
は
何
(
なん
)
でも
風玉
(
かぜたま
)
の
136
当
(
あた
)
る
難所
(
なんしよ
)
に
違
(
ちがひ
)
ない
137
照国別
(
てるくにわけ
)
の
神司
(
かむづかさ
)
138
一寸
(
ちよつと
)
一服
(
いつぷく
)
しませうか
139
鉢植
(
はちうゑ
)
みたよな
木
(
き
)
ぢやけれど
140
ヤツパリ
此奴
(
こいつ
)
にや
根
(
ね
)
が
厶
(
ござ
)
る
141
此
(
この
)
根
(
ね
)
をシツカリ
捉
(
つか
)
まへて
142
四
(
よ
)
人
(
にん
)
が
互
(
たがひ
)
に
手
(
て
)
をつなぎ
143
科戸
(
しなど
)
の
風
(
かぜ
)
の
災
(
わざはひ
)
を
144
しばしのがれて
休
(
やす
)
まうか
145
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
146
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
147
照国別
(
てるくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
148
何卒
(
なにとぞ
)
一言
(
ひとこと
)
国公
(
くにこう
)
に
149
休
(
やす
)
んで
行
(
ゆ
)
けよと「ドツコイシヨ」
150
言霊
(
ことたま
)
宣
(
の
)
らして
下
(
くだ
)
さんせ
151
唖
(
おし
)
の
旅行
(
りよかう
)
ぢやあるまいし
152
沈黙
(
ちんもく
)
するにも
程
(
ほど
)
がある
153
照国別
(
てるくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
154
レコード
破
(
やぶ
)
りの
烈風
(
れつぷう
)
に
155
肝
(
きも
)
をつぶして
胸
(
むね
)
をつめ
156
俄
(
にはか
)
に
唖
(
おし
)
となつたのか
157
「ウントコ ドツコイ ドツコイシヨ」
158
如何
(
どう
)
しても
斯
(
こ
)
しても
吾
(
わが
)
足
(
あし
)
は
159
膝
(
ひざ
)
がキヨクキヨク
笑
(
わら
)
ひ
出
(
だ
)
し
160
腰
(
こし
)
まで
怪
(
あや
)
しくなつて
来
(
き
)
て
161
最早
(
もはや
)
一歩
(
いつぽ
)
も
進
(
すす
)
めない
162
「アイタヽタツタ アイタヽヽ」
163
蜈蚣
(
むかで
)
が
足
(
あし
)
をかんだよな
164
キツイ
痛
(
いた
)
みにふりかへり
165
眺
(
なが
)
むる
途端
(
とたん
)
に
尖
(
とが
)
り
石
(
いし
)
166
あつかましくも
足
(
あし
)
の
血
(
ち
)
を
167
甘
(
うま
)
そな
顔
(
かほ
)
して
吸
(
す
)
うてゐる
168
「ウントコ ドツコイ ドツコイシヨ」
169
同
(
おな
)
じ
旅路
(
たびぢ
)
をするならば
170
モウこれからは
山路
(
やまみち
)
を
171
よけて
平
(
たひ
)
らな
大野原
(
おほのはら
)
172
草
(
くさ
)
ふみ
分
(
わ
)
けて
進
(
すす
)
む
方
(
はう
)
が
173
何程
(
なにほど
)
楽
(
らく
)
か
分
(
わか
)
らない
174
急
(
いそ
)
がばまはれと
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
175
子供
(
こども
)
の
時
(
とき
)
から
聞
(
き
)
いてゐた
176
照国別
(
てるくにわけ
)
も
気
(
き
)
が
利
(
き
)
かぬ
177
コレコレもうし
宣伝使
(
せんでんし
)
178
何
(
なに
)
が
不足
(
ふそく
)
でそんな
顔
(
かほ
)
179
コレ
程
(
ほど
)
私
(
わたし
)
が
頼
(
たの
)
むのに
180
聞
(
き
)
かぬふりしてスタスタと
181
坂路
(
さかみち
)
行
(
ゆ
)
くとは
曲
(
きよく
)
がない
182
こんな
無慈悲
(
むじひ
)
な
神司
(
かむづかさ
)
183
照国別
(
てるくにわけ
)
に
導
(
みちび
)
かれ
184
はるばる
月
(
つき
)
の
御国
(
みくに
)
まで
185
どうしてお
供
(
とも
)
が
出来
(
でき
)
やうか
186
私
(
わたくし
)
は
前途
(
ぜんと
)
が
案
(
あん
)
じられ
187
悲
(
かな
)
しう
苦
(
くる
)
しうなつて
来
(
き
)
た
188
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
189
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
190
と
歌
(
うた
)
ひ、
191
烈風
(
れつぷう
)
に
煽
(
あふ
)
られつつ
下
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
192
さしもに
烈
(
はげ
)
しかりし
山颪
(
やまおろし
)
はピタリとやんで、
193
木々
(
きぎ
)
の
騒
(
さや
)
ぎもおとなしく
鎮
(
しづ
)
まり
返
(
かへ
)
つた
天地
(
てんち
)
の
光景
(
くわうけい
)
、
194
空
(
そら
)
は
紺青
(
こんじやう
)
に
彩
(
いろど
)
られ、
195
地
(
ち
)
は
一面
(
いちめん
)
の
錦
(
にしき
)
の
野辺
(
のべ
)
、
196
天
(
あま
)
つ
日
(
ひ
)
の
神
(
かみ
)
は
山
(
やま
)
の
端
(
は
)
にうすづき
玉
(
たま
)
ひ、
197
黄昏
(
たそがれ
)
の
気
(
き
)
、
198
追々
(
おひおひ
)
に
迫
(
せま
)
り
来
(
く
)
る。
199
どこともなしに
響
(
ひび
)
き
来
(
く
)
る
鐘
(
かね
)
の
声
(
こゑ
)
、
200
諸行
(
しよぎやう
)
無常
(
むじやう
)
と
告
(
つ
)
げわたる。
201
鳥
(
とり
)
は
塒
(
ねぐら
)
を
求
(
もと
)
めて
早
(
はや
)
くも
棲処
(
すみか
)
をさして
帰
(
かへ
)
るものの
如
(
ごと
)
く
羽使
(
はづか
)
ひ
忙
(
いそが
)
がしさうに
西山
(
せいざん
)
の
峰
(
みね
)
をさして、
202
十羽
(
じつぱ
)
二十羽
(
にじつぱ
)
三十羽
(
さんじつぱ
)
と
列
(
れつ
)
を
作
(
つく
)
つて
翔
(
かけ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
203
照国別
(
てるくにわけ
)
は
初
(
はじ
)
めて
口
(
くち
)
を
開
(
ひら
)
き、
204
照国別
『アヽ
国公
(
くにこう
)
さま、
205
お
前
(
まへ
)
もこれで
安心
(
あんしん
)
だらう。
206
風
(
かぜ
)
も
随分
(
ずゐぶん
)
騒
(
さわ
)
いだが、
207
お
前
(
まへ
)
も
中々
(
なかなか
)
負
(
ま
)
けず
劣
(
おと
)
らず
騒
(
さわ
)
いだねい。
208
余程
(
よほど
)
怖
(
こは
)
かつたと
見
(
み
)
える、
209
肝
(
きも
)
の
小
(
ちひ
)
さい
男
(
をとこ
)
だなア。
210
人
(
ひと
)
の
心
(
こころ
)
はすべて
言行
(
げんかう
)
に
現
(
あら
)
はれるものだ。
211
モウ
少
(
すこ
)
し
沈着
(
ちんちやく
)
の
態度
(
たいど
)
をとらないと、
212
天下
(
てんか
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は
到底
(
たうてい
)
駄目
(
だめ
)
だらうよ』
213
国公
(
くにこう
)
『
滅相
(
めつさう
)
もない、
214
私
(
わたし
)
はあの
風
(
かぜ
)
が
自分
(
じぶん
)
等
(
ら
)
の
前途
(
ぜんと
)
を
祝
(
しゆく
)
するかのやうで、
215
勇
(
いさ
)
ましき
気分
(
きぶん
)
が
漂
(
ただよ
)
ひ
愉快
(
ゆくわい
)
でたまらなかつたのです。
216
死
(
し
)
んだか
生
(
い
)
きたか
知
(
し
)
れぬやうな
閑寂
(
かんじやく
)
な
秋
(
あき
)
の
天地
(
てんち
)
を、
217
亡者然
(
まうじやぜん
)
とトボトボと
歩
(
ある
)
くのは
余
(
あま
)
り
男
(
をとこ
)
らしくありませぬ。
218
私
(
わたし
)
の
騒
(
さわ
)
いだのは
所謂
(
いはゆる
)
沈着
(
ちんちやく
)
の
表徴
(
へうちよう
)
です。
219
静中動
(
せいちうどう
)
ありといふ
筆法
(
ひつぱふ
)
だから、
220
それに
付
(
つ
)
いても
照公
(
てるこう
)
、
221
梅公
(
うめこう
)
の
御
(
ご
)
両人
(
りやうにん
)
真青
(
まつさを
)
な
顔
(
かほ
)
をして、
222
チウの
声
(
こゑ
)
一
(
ひと
)
つヨウあげず、
223
本当
(
ほんたう
)
に
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
でたまらなかつたので、
224
二人
(
ふたり
)
の
恐怖心
(
きようふしん
)
を
代表
(
だいへう
)
して
一寸
(
ちよつと
)
あんな
洒落
(
しやれ
)
を
言
(
い
)
つてみたのです。
225
心
(
こころ
)
から
卑怯者
(
ひけふもの
)
と
思
(
おも
)
はれてはたまりませぬからなア。
226
アツハヽヽヽ』
227
と
肩
(
かた
)
をゆすつて
豪傑
(
がうけつ
)
笑
(
わら
)
ひをしてみせる。
228
照国別
(
てるくにわけ
)
は、
229
照国別
『マア
何
(
なん
)
でもいい、
230
元気
(
げんき
)
でさへあれば
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だ。
231
決
(
けつ
)
して
悲観
(
ひくわん
)
はせぬがよい。
232
随分
(
ずゐぶん
)
国公
(
くにこう
)
さまを
初
(
はじ
)
め
二人
(
ふたり
)
は
恐怖心
(
きようふしん
)
にかられてゐましたなア』
233
照公
(
てるこう
)
『ハイ
仰
(
あふ
)
せの
通
(
とほ
)
り
随分
(
ずゐぶん
)
荒肝
(
あらぎも
)
をとられました』
234
梅公
(
うめこう
)
『
私
(
わたし
)
も
一寸
(
ちよつと
)
おつ
な
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
きやがるなア……と
思
(
おも
)
ひながら、
235
震
(
ふる
)
つてゐました。
236
併
(
しか
)
し
怖
(
こは
)
うて
震
(
ふる
)
ふのではありませぬ。
237
薄着
(
うすぎ
)
の
肌
(
はだ
)
に
吹
(
ふ
)
きつける
風
(
かぜ
)
が
寒
(
さむ
)
いので、
238
一寸
(
ちよつと
)
景物
(
けいぶつ
)
に
震動
(
しんどう
)
してみたのです』
239
国公
(
くにこう
)
『アハヽヽヽ
何
(
なん
)
と
負惜
(
まけをし
)
みの
強
(
つよ
)
い
奴
(
やつ
)
だなア。
240
名
(
な
)
が
梅公
(
うめこう
)
丈
(
だけ
)
あつて、
241
ウメイ
事
(
こと
)
を
吐
(
ほざ
)
きやがる。
242
モシモシ
照国別
(
てるくにわけ
)
さま、
243
あこに
二人
(
ふたり
)
、
244
梅
(
うめ
)
さまの
様
(
やう
)
な
豪傑
(
がうけつ
)
が
昼寝
(
ひるね
)
をしてゐるぢやありませぬか。
245
一
(
ひと
)
つ
起
(
おこ
)
してやりませうか』
246
照国別
(
てるくにわけ
)
『あれはどうやら
怪我
(
けが
)
をしてゐるやうだ。
247
オイ
国公
(
くにこう
)
さま、
248
お
前
(
まへ
)
に
一任
(
いちにん
)
するから、
249
鎮魂
(
ちんこん
)
を
施
(
ほどこ
)
して
助
(
たす
)
けてやりなさい。
250
これが
首途
(
かどで
)
の
功名
(
こうみやう
)
手柄
(
てがら
)
だ。
251
そして
照公
(
てるこう
)
、
252
梅公
(
うめこう
)
の
両人
(
りやうにん
)
は
吾
(
われ
)
に
従
(
つ
)
いて
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
山坂
(
やまさか
)
を
下
(
くだ
)
るのだ。
253
此
(
この
)
谷口
(
たにぐち
)
に
一寸
(
ちよつと
)
した
岩屋
(
いはや
)
がある、
254
そこで
今宵
(
こよひ
)
を
明
(
あ
)
かす
事
(
こと
)
にする。
255
国
(
くに
)
さま
早
(
はや
)
く
両人
(
りやうにん
)
を
助
(
たす
)
けて、
256
あとから
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さい、
257
吾々
(
われわれ
)
はお
先
(
さき
)
へ
失礼
(
しつれい
)
するから』
258
国公
(
くにこう
)
『モシ、
259
そりやチと
御
(
ご
)
了見
(
れうけん
)
が
違
(
ちがひ
)
はしませぬか、
260
天下
(
てんか
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
が
道
(
みち
)
に
倒
(
たふ
)
れてゐる
旅人
(
たびびと
)
を
見
(
み
)
すてて、
261
冷淡
(
れいたん
)
至極
(
しごく
)
にも
私
(
わたくし
)
一人
(
ひとり
)
に
介抱
(
かいほう
)
させようとは
無慈悲
(
むじひ
)
にも
程
(
ほど
)
がある。
262
ヘン
馬鹿
(
ばか
)
らしい、
263
そんな
事
(
こと
)
で
宣伝使
(
せんでんし
)
がつとまりますかい。
264
ナア
照公
(
てるこう
)
、
265
梅公
(
うめこう
)
、
266
さうぢやないか』
267
照公
(
てるこう
)
『ウンさうぢやない』
268
梅公
(
うめこう
)
『
動中静
(
どうちうせい
)
ありといふお
前
(
まへ
)
の
役目
(
やくめ
)
だよ。
269
それで
日出別
(
ひのでわけ
)
さまがお
前
(
まへ
)
もお
供
(
とも
)
をして、
270
道中
(
だうちう
)
せい
(
動中静
(
どうちうせい
)
)と
仰有
(
おつしや
)
つたのだ。
271
ナア
照公
(
てるこう
)
さま、
272
大分
(
だいぶん
)
に
日
(
ひ
)
も
暗
(
くら
)
くなつて
来
(
き
)
たし、
273
グヅグヅしてゐるとそこら
中
(
ぢう
)
が
暗
(
くら
)
くなつて
来
(
き
)
ちや、
274
何程
(
なにほど
)
くらく
(
苦楽
(
くらく
)
)
不二
(
ふじ
)
でもやり
切
(
き
)
れないワ。
275
何
(
なん
)
とマア
蛙
(
かへる
)
をブツけたやうによく
斃
(
くた
)
ばつてゐる
事
(
こと
)
わいのう』
276
国公
(
くにこう
)
『モシ、
277
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
278
一層
(
いつそう
)
のこと
吾々
(
われわれ
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
が
鎮魂
(
ちんこん
)
を
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
に
与
(
あた
)
へて、
279
手早
(
てばや
)
くここを
切上
(
きりあ
)
げたら
如何
(
どう
)
でせう』
280
照国別
(
てるくにわけ
)
『
宣伝使
(
せんでんし
)
の
言
(
げん
)
に
二言
(
にごん
)
はない。
281
お
前
(
まへ
)
はあとに
残
(
のこ
)
つて
旅人
(
たびびと
)
の
介抱
(
かいほう
)
を
命
(
めい
)
ずる。
282
サア
照
(
てる
)
、
283
梅
(
うめ
)
の
両人
(
りやうにん
)
早
(
はや
)
く
行
(
ゆ
)
かう』
284
と
二人
(
ふたり
)
をつれて、
285
ドシドシと
坂路
(
さかみち
)
を
下
(
くだ
)
りゆく。
286
あとに
国公
(
くにこう
)
は
呆然
(
ばうぜん
)
自失
(
じしつ
)
、
287
為
(
な
)
す
所
(
ところ
)
を
知
(
し
)
らず、
288
だんだんそこらが
暗
(
くら
)
くなつて
来
(
く
)
る。
289
二人
(
ふたり
)
の
旅人
(
たびびと
)
は、
290
半死
(
はんし
)
半生
(
はんしやう
)
の
体
(
てい
)
で
苦
(
くる
)
しむ
声
(
こゑ
)
が、
291
ウンウンと
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
292
国公
(
くにこう
)
はタールの
側
(
そば
)
に
立
(
たち
)
より、
293
国公
『オイ
旅人
(
たびびと
)
、
294
ウンウンと
何
(
なに
)
をきばつてゐるのだ。
295
赤
(
あか
)
ん
坊
(
ばう
)
か
何
(
なん
)
ぞのやうに
寝
(
ね
)
乍
(
なが
)
らウンコをたれる
奴
(
やつ
)
がどこにあるか』
296
と
体
(
からだ
)
を
一寸
(
ちよつと
)
撫
(
な
)
でて
見
(
み
)
て、
297
国公
『
何
(
なん
)
とマア
長
(
なが
)
い
男
(
をとこ
)
だなア、
298
ハハー
此奴
(
こいつ
)
あモウ
駄目
(
だめ
)
だ、
299
九死
(
きうし
)
一生
(
いつしやう
)
だ。
300
こんな
男
(
をとこ
)
の
命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けて、
301
娑婆
(
しやば
)
で
辛
(
つら
)
い
苦労
(
くらう
)
をさすよりも
一層
(
いつそう
)
の
事
(
こと
)
一思
(
ひとおも
)
ひにやつつけてやつた
方
(
はう
)
が、
302
俺
(
おれ
)
も
手間
(
てま
)
がいらず、
303
当人
(
たうにん
)
もさぞ
満足
(
まんぞく
)
だらう。
304
ウフヽヽヽ』
305
タール『モシモシ
旅
(
たび
)
のお
方
(
かた
)
、
306
どうぞ
私
(
わたし
)
の
命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さい』
307
国公
(
くにこう
)
『ヤアお
前
(
まへ
)
はヤツパリ
人間
(
にんげん
)
かなア』
308
タール『
殺生
(
せつしやう
)
な、
309
人間
(
にんげん
)
でなくて
何
(
なん
)
としませう』
310
国公
(
くにこう
)
『おれや
又
(
また
)
野狸
(
のだぬき
)
が
化
(
ば
)
けてゐやがるのかと
早合点
(
はやがつてん
)
したから、
311
殺
(
ころ
)
してやろと
言
(
い
)
つたのだ。
312
人間
(
にんげん
)
さまと
聞
(
き
)
くからは
助
(
たす
)
けにやおかれまい。
313
(
芝居
(
しばゐ
)
口調
(
くてう
)
)
最前
(
さいぜん
)
照国別
(
てるくにわけ
)
殿
(
どの
)
に
別
(
わか
)
れて
帰
(
かへ
)
る
暗
(
くら
)
まぎれ、
314
山越
(
やまこ
)
す
獅子
(
しし
)
に
出会
(
であ
)
ひ、
315
二
(
ふた
)
つ
玉
(
だま
)
にて
撃
(
うち
)
とめ、
316
近
(
ちか
)
より
見
(
み
)
れば、
317
狸
(
たぬき
)
にはあらで
旅
(
たび
)
の
人
(
ひと
)
、
318
薬
(
くすり
)
はないかと
懐中
(
くわいちゆう
)
を
探
(
さぐ
)
りみれば、
319
財布
(
さいふ
)
に
入
(
い
)
つたる
此
(
この
)
金
(
かね
)
、
320
道
(
みち
)
ならぬ
事
(
こと
)
とは
思
(
おも
)
へども、
321
天
(
てん
)
の
与
(
あた
)
へと
押頂
(
おしいただ
)
き、
322
亡君
(
ばうくん
)
の
石塔料
(
せきたふれう
)
に
使
(
つか
)
つてくれむ。
323
コリヤ
旅人
(
たびびと
)
の
幽霊
(
いうれい
)
、
324
金
(
かね
)
の
所在
(
ありか
)
をハツキリ
申
(
まを
)
さぬか』
325
タール『モシモシ
泥坊
(
どろばう
)
様
(
さま
)
、
326
お
金
(
かね
)
はここに
幾
(
いく
)
らでも
持
(
も
)
つて
居
(
を
)
ります。
327
命
(
いのち
)
計
(
ばか
)
りはお
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいませ。
328
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
膝頭
(
ひざがしら
)
を
打
(
うち
)
くじき、
329
身動
(
みうご
)
きならぬ
弱味
(
よわみ
)
をつけ
込
(
こ
)
んで、
330
金
(
かね
)
も
命
(
いのち
)
も
取
(
と
)
らうとは、
331
余
(
あま
)
り
虫
(
むし
)
がよすぎます』
332
国公
(
くにこう
)
『オイ
旅人
(
たびびと
)
、
333
泥坊
(
どろばう
)
ではないぞ。
334
世界
(
せかい
)
を
助
(
たす
)
けまはる
宣伝使
(
せんでんし
)
……ではない、
335
其
(
その
)
お
供
(
とも
)
だ。
336
言
(
い
)
はば
宣伝使
(
せんでんし
)
の
卵
(
たまご
)
だ。
337
どうかして
助
(
たす
)
けてやりたいは
山々
(
やまやま
)
なれど、
338
生憎
(
あひにく
)
此
(
この
)
山
(
やま
)
は
禿山
(
はげやま
)
で
薬草
(
やくさう
)
はなし、
339
谷水
(
たにみづ
)
を
呑
(
の
)
ましてやりたいけれど、
340
谷
(
たに
)
は
深
(
ふか
)
く、
341
かう
暗
(
やみ
)
の
帳
(
とばり
)
がおりては、
342
人
(
ひと
)
を
助
(
たす
)
ける
所
(
どころ
)
か、
343
自分
(
じぶん
)
の
命
(
いのち
)
が
危
(
あやふ
)
うなつて
来
(
き
)
た。
344
どうぞ
私
(
わたし
)
を
助
(
たす
)
けると
思
(
おも
)
うて、
345
そんな
無理
(
むり
)
をいはずに
早
(
はや
)
く
去
(
い
)
なしてくれ、
346
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り
手
(
て
)
を
合
(
あ
)
はして、
347
泥坊
(
どろばう
)
オツトドツコイ、
348
こなさまが
拝
(
をが
)
みます』
349
タール『アハヽヽヽ
何
(
なん
)
とマア
面白
(
おもしろ
)
いお
方
(
かた
)
ですこと、
350
私
(
わたし
)
も
最前
(
さいぜん
)
の
烈風
(
れつぷう
)
に
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
した
一刹那
(
いつせつな
)
、
351
一寸
(
ちよつと
)
膝頭
(
ひざがしら
)
から
血
(
ち
)
は
出
(
で
)
たけれど、
352
俄
(
にはか
)
に
病気
(
びやうき
)
が
治
(
なほ
)
り、
353
こんな
坂路
(
さかみち
)
位
(
くらゐ
)
は
屁
(
へ
)
でもないのだが、
354
寝
(
ね
)
た
序
(
ついで
)
に
日
(
ひ
)
の
暮
(
くれ
)
にも
近
(
ちか
)
いから、
355
此
(
この
)
儘
(
まま
)
夜明
(
よあ
)
かししようと
思
(
おも
)
うてゐたのだ。
356
さうした
所
(
ところ
)
がお
前
(
まへ
)
さま
等
(
ら
)
の
一行
(
いつかう
)
が、
357
面白
(
おもしろ
)
相
(
さう
)
に
歌
(
うた
)
を
歌
(
うた
)
つて
出
(
で
)
て
来
(
く
)
るので、
358
一寸
(
ちよつと
)
なぶつてやらうと、
359
半死
(
はんし
)
半生
(
はんしやう
)
人
(
にん
)
の
真似
(
まね
)
をしてゐた。
360
半鐘
(
はんしよう
)
泥棒
(
どろばう
)
だよ。
361
ウツフヽヽヽ』
362
国公
(
くにこう
)
頭
(
あたま
)
をかき
乍
(
なが
)
ら、
363
国公
『エーいまいましい、
364
一杯
(
いつぱい
)
くはされたか、
365
今日
(
けふ
)
に
限
(
かぎ
)
つて
照国別
(
てるくにわけ
)
さまが、
366
なぜあんな
無慈悲
(
むじひ
)
な
事
(
こと
)
を
吐
(
ぬ
)
かすのだろと、
367
聊
(
いささ
)
か
憤慨
(
ふんがい
)
してゐたが、
368
流石
(
さすが
)
照国別
(
てるくにわけ
)
さまは
偉
(
えら
)
いワイ、
369
ヤツパリおれの
先生
(
せんせい
)
だ。
370
チヤツと
此奴
(
こいつ
)
の
狂言
(
きやうげん
)
を
見
(
み
)
ぬかれた
其
(
その
)
天眼力
(
てんがんりき
)
は
天晴
(
あつぱれ
)
なものだ。
371
イヤもう
感
(
かん
)
じ
入
(
い
)
りました』
372
タール『お
前
(
まへ
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
のお
供
(
とも
)
をいたす
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
中
(
なか
)
でも
一番
(
いちばん
)
よりぬきの、
373
はね
代物
(
しろもの
)
だなア』
374
国公
(
くにこう
)
『コラ
失礼
(
しつれい
)
な
事
(
こと
)
をぬかすか。
375
おれには
親
(
おや
)
があるぞよ』
376
タール『アハヽヽヽ
広
(
ひろ
)
い
世界
(
せかい
)
に
親
(
おや
)
のない
者
(
もの
)
があらうか、
377
たわけた
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ふない』
378
国公
(
くにこう
)
『ヘン、
379
チとすまぬが、
380
俺
(
おれ
)
の
親
(
おや
)
はチツと
違
(
ちが
)
ふのだ。
381
国治立
(
くにはるたちの
)
大神
(
おほかみ
)
といふ
親神
(
おやがみ
)
があるのだ。
382
それだから
国公
(
くにこう
)
さまと
言
(
い
)
ふのだよ。
383
オイ
貴様
(
きさま
)
の
名
(
な
)
は
何
(
なん
)
といふか』
384
タール『
俺
(
おれ
)
の
名
(
な
)
かい。
385
俺
(
おれ
)
はタールさまだ』
386
国公
(
くにこう
)
『
失礼
(
しつれい
)
な
寝
(
ね
)
もつて
挨拶
(
あいさつ
)
をする
奴
(
やつ
)
があるかい、
387
何
(
なん
)
でも
酒
(
さけ
)
くらひのやうなスタイルだと
思
(
おも
)
うてゐたら、
388
ヤツパリ
名詮
(
めいせん
)
自称
(
じしやう
)
タールとぬかす
代物
(
しろもの
)
か、
389
それでは
親
(
おや
)
のないのも
尤
(
もつと
)
もだ。
390
お
前
(
まへ
)
はバラモン
教
(
けう
)
のケレ
又
(
また
)
だらう。
391
タールといふやうな
神
(
かみ
)
さまはどこにあるか。
392
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
神
(
かみ
)
を
祖神
(
おやがみ
)
にもつならば、
393
黒
(
くろ
)
といふ
名
(
な
)
がつき
相
(
さう
)
なものだのに、
394
タールなどとは、
395
チツと
物
(
もの
)
ターランぢやないか、
396
足
(
あし
)
がタールなつて、
397
大方
(
おほかた
)
ここで
平太
(
へた
)
ばつてゐやがるのだらう』
398
タール『コリヤ
国
(
くに
)
とやら、
399
そんな
劫託
(
ごふたく
)
をほざくと
罰
(
ばち
)
があタールぞよ』
400
国公
(
くにこう
)
『エー
此
(
この
)
位
(
くらゐ
)
ウソ
気味
(
きみ
)
悪
(
わる
)
いのに
化物然
(
ばけものぜん
)
と
洒落
(
しやれ
)
やがるない、
401
チツと
起
(
お
)
きたら
如何
(
どう
)
だい』
402
タール『ザワザワ
騒
(
さわ
)
いで
立
(
たち
)
くらすのも
一
(
いち
)
日
(
にち
)
なら、
403
安楽
(
あんらく
)
に
寝
(
ね
)
てくらすのも
一
(
いち
)
日
(
にち
)
だ。
404
俺
(
おれ
)
は
俺
(
おれ
)
の
主義
(
しゆぎ
)
がある。
405
道
(
みち
)
に
平
(
へ
)
タール
主義
(
しゆぎ
)
と
申
(
まを
)
すのだよ』
406
国公
(
くにこう
)
『オイ
俺
(
おれ
)
もそこで
一寸
(
ちよつと
)
添寝
(
そへね
)
をさしてくれないか。
407
モウ
斯
(
か
)
うなつちや、
408
一寸
(
いつすん
)
も
歩
(
ある
)
けないぢやないか』
409
タール『ヨーシ、
410
一緒
(
いつしよ
)
に
寝
(
ね
)
んねをさしてやろ……ネンネンねんこの
穴
(
けつ
)
に
蟹
(
かに
)
が
這
(
は
)
ひ
込
(
こ
)
んだ──いたかゆ かゆかゆ
取
(
と
)
つて
呉
(
く
)
れ──ヤツトの
事
(
こと
)
で
引
(
ひき
)
ずり
出
(
だ
)
したら、
411
又
(
また
)
這
(
は
)
ひ
込
(
こ
)
んだ──いたかゆ かゆかゆとつて
呉
(
く
)
れ。
412
……
坊
(
ばう
)
ヤのもりはどこへいた、
413
山
(
やま
)
をこえて
里
(
さと
)
へいた、
414
里
(
さと
)
の
土産
(
みやげ
)
に
何
(
なに
)
貰
(
もら
)
うた、
415
ハルナの
饅頭
(
まんぢう
)
に
笙
(
しやう
)
の
笛
(
ふえ
)
、
416
ねんねんよう ねんねんよう、
417
ねんねんコロリ ねんコロリ、
418
年中
(
ねんぢう
)
コロリとねて
居
(
を
)
れば、
419
これ
程
(
ほど
)
楽
(
らく
)
な
事
(
こと
)
はない』
420
国公
(
くにこう
)
『コリヤ
洒落
(
しやれ
)
ない、
421
おれや
赤
(
あか
)
ン
坊
(
ばう
)
ぢやないぞ』
422
タール『お
前
(
まへ
)
は
赤
(
あか
)
ン
坊
(
ばう
)
所
(
どころ
)
かい、
423
まだ
卵
(
たまご
)
ぢやないか、
424
それだからコロリコロリと
歌
(
うた
)
つたのぢやい、
425
大人
(
おとな
)
なら
大人
(
おとな
)
らしうお
前
(
まへ
)
に
一
(
ひと
)
つ
註文
(
ちうもん
)
がある。
426
何
(
なん
)
と
聞
(
き
)
いてはくれまいかなア』
427
国公
(
くにこう
)
『
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
に
其
(
その
)
人
(
ひと
)
ありと
聞
(
きこ
)
えたる
国治立
(
くにはるたちの
)
命
(
みこと
)
の
名
(
な
)
を
賜
(
たま
)
はつた
国公
(
くにこう
)
さまだ。
428
何事
(
なにごと
)
なりと
天地
(
てんち
)
の
間
(
あひだ
)
の
事
(
こと
)
ならば
叶
(
かな
)
へてつかはす。
429
サア
遠慮
(
ゑんりよ
)
はいらぬ、
430
ドシドシと
申上
(
まをしあ
)
げよ』
431
タール『ハヽヽヽヽ、
432
何
(
なに
)
をぬかしやがるのだ。
433
けたいな
法螺
(
ほら
)
吹
(
ふき
)
だなア』
434
国公
(
くにこう
)
『
風
(
かぜ
)
でさへも
大変
(
たいへん
)
に
吹
(
ふ
)
いたぢやないか。
435
ホラ
吹
(
ふ
)
くの
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
とはおれの
事
(
こと
)
だ。
436
何
(
なん
)
でも
叶
(
かな
)
ふ
事
(
こと
)
なら
聞
(
き
)
いてやろ。
437
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
今
(
いま
)
おれに
金
(
かね
)
を
一万
(
いちまん
)
両
(
りやう
)
くれと
云
(
い
)
つても、
438
ソリヤ
一寸
(
ちよつと
)
聞
(
き
)
く
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ぬ。
439
女房
(
にようばう
)
の
代
(
かは
)
りになれといつても、
440
それも
叶
(
かな
)
はぬ。
441
其
(
その
)
外
(
ほか
)
の
事
(
こと
)
ならば、
442
一切
(
いつさい
)
万事
(
ばんじ
)
叶
(
かな
)
へてつかはす
程
(
ほど
)
に、
443
其
(
その
)
代
(
かは
)
りに
一生
(
いつしやう
)
火物断
(
ひものだ
)
ちを
致
(
いた
)
せよ』
444
タール『エー
何
(
なん
)
でも
良
(
よ
)
いワ。
445
実
(
じつ
)
の
所
(
ところ
)
は
俺
(
おれ
)
の
仇
(
かたき
)
が、
446
ソレそこにウンウン
唸
(
うな
)
つてゐやがるのだ。
447
彼奴
(
あいつ
)
を
殺
(
ころ
)
さねば、
448
俺
(
おれ
)
が
殺
(
ころ
)
されるのだから、
449
今
(
いま
)
の
内
(
うち
)
に
殺
(
ころ
)
しておきたいのだが、
450
折角
(
せつかく
)
横
(
よこ
)
になつたのだから
動
(
うご
)
くのが
面倒
(
めんだう
)
臭
(
くさ
)
いので、
451
一時
(
いつとき
)
延
(
の
)
ばしに
延
(
の
)
ばしてゐた
所
(
ところ
)
だ。
452
オイそこな
岩
(
いは
)
でも
一
(
ひと
)
つグツと
抱
(
かか
)
へて、
453
彼奴
(
あいつ
)
のドタマへドスンと
当
(
あ
)
ててくれ。
454
そしたらそれで
此
(
この
)
タールさまは
至極
(
しごく
)
安全
(
あんぜん
)
、
455
天下
(
てんか
)
泰平
(
たいへい
)
、
456
五穀
(
ごこく
)
成就
(
じやうじゆ
)
だ』
457
国公
(
くにこう
)
『アハヽヽヽ
何
(
なん
)
と
気楽
(
きらく
)
な
奴
(
やつ
)
だなア、
458
最前
(
さいぜん
)
から
所在
(
ありか
)
が
見
(
み
)
えたけれど、
459
モウ
斯
(
か
)
う
暗
(
くら
)
くなつちや、
460
足元
(
あしもと
)
もロクに
見
(
み
)
えないワ。
461
夜
(
よ
)
が
明
(
あ
)
けてから、
462
ゆつくり
俺
(
おれ
)
が
自
(
みづか
)
ら
神占
(
くじ
)
をやつて、
463
タールを
殺
(
ころ
)
すか、
464
ハムを
殺
(
ころ
)
すか、
465
どちらを
殺
(
ころ
)
さうかといふ
事
(
こと
)
を
伺
(
うかが
)
つてみて、
466
其
(
その
)
上
(
うへ
)
の
事
(
こと
)
にしようかい。
467
若
(
も
)
しタールを
殺
(
ころ
)
せといふ
おみくじ
が
出
(
で
)
たら、
468
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
乍
(
なが
)
ら
観念
(
くわんねん
)
してくれねば、
469
なるまいぞ。
470
アーア
今晩
(
こんばん
)
はかう
言
(
い
)
うて
噪
(
さは
)
いでゐるが、
471
明日
(
あす
)
の
朝
(
あさ
)
になつたらヒヨツとしたら
俺
(
おれ
)
の
手
(
て
)
にかかつて
死
(
し
)
ぬかと
思
(
おも
)
へば、
472
いささか
以
(
もつ
)
て
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
でも
何
(
なん
)
でもないワイ。
473
ウツフヽヽヽ』
474
タール『コラ
馬鹿
(
ばか
)
にすない。
475
よい
加減
(
かげん
)
にからかつておけ』
476
国公
(
くにこう
)
『
唐
(
から
)
が
勝
(
か
)
つても
印度
(
いんど
)
が
勝
(
かつ
)
ても、
477
そんな
事
(
こと
)
にお
構
(
かま
)
ひがあるかい』
478
二人
(
ふたり
)
は
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
抱
(
だき
)
ついた
儘
(
まま
)
、
479
道
(
みち
)
の
真
(
ま
)
ん
中
(
なか
)
でグツと
寝
(
ね
)
て
了
(
しま
)
つた。
480
雷
(
らい
)
のやうな
鼾声
(
いびきごゑ
)
が
競争
(
きやうさう
)
的
(
てき
)
に
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
481
ハムはニツコと
笑
(
わら
)
つて
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
り
四這
(
よつば
)
ひになつて
探
(
さぐ
)
り
寄
(
よ
)
り、
482
二人
(
ふたり
)
の
髪
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
を
固
(
かた
)
く
結
(
むす
)
び
合
(
あは
)
せ、
483
息使
(
いきづか
)
ひを
考
(
かんが
)
へて、
484
タールの
鼻
(
はな
)
をむしれる
程
(
ほど
)
捻
(
ね
)
ぢた。
485
タールは
痛
(
いた
)
さに
目
(
め
)
をさまし、
486
タール
『イヽヽイツタイワイ、
487
コラ
国公
(
くにこう
)
、
488
しやれた
事
(
こと
)
をすな、
489
人
(
ひと
)
の
鼻
(
はな
)
を
咬
(
か
)
みやがつて、
490
何
(
なん
)
ぞ
蛸
(
たこ
)
でも
喰
(
くら
)
うてる
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
やがつたのかな』
491
国公
(
くにこう
)
はウニヤ ウニヤ ウニヤと
何事
(
なにごと
)
か
口
(
くち
)
の
内
(
うち
)
にて
言
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
492
又
(
また
)
もやグーグーと
大鼾
(
おほいびき
)
をかく。
493
タール『ハハー
此奴
(
こいつ
)
夢
(
ゆめ
)
をみやがつて、
494
おれの
鼻
(
はな
)
を
摘
(
つま
)
みやがつたのだな、
495
エー
仕方
(
しかた
)
がない、
496
夢
(
ゆめ
)
で
為
(
し
)
た
事
(
こと
)
を
咎
(
とが
)
める
訳
(
わけ
)
にも
行
(
い
)
こまい。
497
一樹
(
いちじゆ
)
の
蔭
(
かげ
)
の
雨宿
(
あまやど
)
り、
498
一河
(
いちが
)
の
流
(
なが
)
れを
汲
(
く
)
むさへも
深
(
ふか
)
い
縁
(
えにし
)
と
聞
(
き
)
くからは、
499
よくよくの
因縁
(
いんねん
)
だらう。
500
見
(
み
)
ず
知
(
し
)
らずの
旅人
(
たびびと
)
同士
(
どうし
)
が、
501
雲天井
(
くもてんじやう
)
に
石枕
(
いしまくら
)
、
502
夫婦
(
ふうふ
)
か
何
(
なん
)
ぞのやうに、
503
抱
(
だき
)
ついて
寝
(
ね
)
るのも、
504
何
(
なに
)
かの
因縁
(
いんねん
)
がなくてはなろまい。
505
あゝモウ
寝
(
ね
)
よう』
506
と
独言
(
ひとりごと
)
をいひ
乍
(
なが
)
ら、
507
早
(
はや
)
くもグーグーと
鼾
(
いびき
)
をかき
出
(
だ
)
した。
508
ハムは
又
(
また
)
もや
手探
(
てさぐ
)
りに
国公
(
くにこう
)
の
鼻
(
はな
)
をむしる
程
(
ほど
)
捻
(
ね
)
ぢた。
509
国公
(
くにこう
)
『イヽイターい、
510
ハナハナハナ
放
(
はな
)
せ
放
(
はな
)
せ、
511
放
(
はな
)
さぬか
放
(
はな
)
さぬか』
512
ハムはあわてて
手
(
て
)
を
放
(
はな
)
す。
513
国公
(
くにこう
)
『コラ、
514
タール、
515
俺
(
おれ
)
を
計略
(
けいりやく
)
にかけやがつて、
516
寝
(
ね
)
とる
間
(
ま
)
に、
517
鼻
(
はな
)
をねぢて
殺
(
ころ
)
さうとしよつたなア。
518
待
(
ま
)
て
待
(
ま
)
て
鼻
(
はな
)
ねぢなら、
519
俺
(
おれ
)
も
負
(
まけ
)
はせぬぞ。
520
アイタタ、
521
メツタ
矢鱈
(
やたら
)
に
人
(
ひと
)
の
髪
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
を
引張
(
ひつぱ
)
りやがる。
522
ヤイ、
523
タール
一寸
(
ちよつと
)
髪
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
を
放
(
はな
)
せ』
524
ハム『コリヤ
国公
(
くにこう
)
、
525
此
(
この
)
タールを
何
(
なん
)
と
心得
(
こころえ
)
てゐるか、
526
甘
(
あま
)
く
計略
(
けいりやく
)
にかけてやつたのだ。
527
此
(
この
)
髪
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
をグツと
握
(
にぎ
)
り、
528
鼻
(
はな
)
を
捻
(
ね
)
ぢて
殺
(
ころ
)
してやろとの
計略
(
けいりやく
)
を
知
(
し
)
らないのか、
529
余程
(
よほど
)
良
(
よ
)
い
頓馬
(
とんま
)
だなア。
530
ウツフヽヽヽ』
531
『
何
(
なに
)
糞
(
くそ
)
ツ』と
国公
(
くにこう
)
は
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
鼻
(
はな
)
と
言
(
い
)
はず、
532
目
(
め
)
といはず、
533
爪
(
つめ
)
立
(
た
)
ててグツとかきむしつた。
534
よく
寝込
(
ねこ
)
んでゐたタールはビツクリして
目
(
め
)
をさまし、
535
タール
『アイタヽヽコリヤ
猿
(
さる
)
奴
(
め
)
、
536
おれの
顔
(
かほ
)
をかきやがつたな、
537
オイ
国公
(
くにこう
)
貴様
(
きさま
)
も
起
(
お
)
きぬかい、
538
猿
(
さる
)
が
出
(
で
)
やがつたぞ。
539
ヤア
俺
(
おれ
)
の
髪
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
を
引張
(
ひつぱ
)
つてゐやがる』
540
国公
(
くにこう
)
『コラ、
541
タール
俺
(
おれ
)
が
知
(
し
)
らぬかと
思
(
おも
)
つて、
542
頭
(
あたま
)
の
毛
(
け
)
を
引張
(
ひつぱ
)
つたり、
543
鼻
(
はな
)
をやたらに
捻
(
ね
)
ぢやがつて、
544
おまけに
俺
(
おれ
)
を
殺
(
ころ
)
さうと
企
(
たく
)
みやがつたなア、
545
サアもう
斯
(
か
)
うなつた
上
(
うへ
)
は
了見
(
れうけん
)
ならぬ』
546
と
手
(
て
)
を
伸
(
の
)
ばして、
547
又
(
また
)
タールの
顔
(
かほ
)
をかく。
548
タール『オイ
国公
(
くにこう
)
、
549
マア
待
(
ま
)
て、
550
此奴
(
こいつ
)
あチト
可怪
(
をか
)
しいぞ』
551
ハム『オイ、
552
タール、
553
国
(
くに
)
さまの
頭
(
あたま
)
を
無性
(
むしやう
)
矢鱈
(
やたら
)
に
引張
(
ひつぱ
)
りやがつて
如何
(
どう
)
する
積
(
つもり
)
だ。
554
コリヤ
睾丸
(
きんたま
)
を
握
(
にぎ
)
りしめてやろか』
555
国公
(
くにこう
)
『ヤア、
556
おれの
代理
(
だいり
)
をする
奴
(
やつ
)
が
出来
(
でき
)
て
来
(
き
)
よつたぞ。
557
いつの
間
(
ま
)
にか
副
(
ふく
)
守護神
(
しゆごじん
)
奴
(
め
)
が
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
しやがつて、
558
此
(
この
)
方
(
はう
)
さまの
意思
(
いし
)
に
反
(
はん
)
した
事
(
こと
)
を
囀
(
さへづ
)
りやがるものだから、
559
サツパリ
事
(
こと
)
が
面倒
(
めんだう
)
だ』
560
ハム『コリヤ
国公
(
くにこう
)
、
561
トボケない、
562
そんな
事
(
こと
)
を
食
(
く
)
ふタールぢやないぞ。
563
タールの
腕
(
うで
)
には
肉
(
にく
)
があるぞ』
564
国公
(
くにこう
)
『コリヤ、
565
タール、
566
貴様
(
きさま
)
の
肉
(
にく
)
よりも
俺
(
おれ
)
の
骨
(
ほね
)
の
方
(
はう
)
がチツと
固
(
かた
)
いぞ。
567
大人
(
おとな
)
なぶりの
骨
(
ほね
)
なぶり、
568
サア
是
(
これ
)
からは
睾丸
(
きんたま
)
の
掴
(
つか
)
み
合
(
あひ
)
だ。
569
一
(
ひ
)
イ
二
(
ふ
)
ウ
三
(
み
)
ツ、
570
アイタツタ、
571
コラ
髪
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
を
放
(
はな
)
さぬかい』
572
ハム『アツハヽヽヽ、
阿呆
(
あほう
)
奴
(
め
)
が、
573
オホヽヽヽ
臆病者
(
おくびやうもの
)
奴
(
め
)
、
574
ウツフヽヽヽうろたへ
者
(
もの
)
、
575
エツヘヽヽヽエタイの
知
(
し
)
れぬ
化者
(
ばけもの
)
にいらはれてゐる
うつ
け
者
(
もの
)
、
576
イツヒヽヽヽ
意地
(
いぢ
)
くね
悪
(
わる
)
いハムさまの
御
(
ご
)
出現
(
しゆつげん
)
、
577
サアもう
斯
(
か
)
うなる
上
(
うへ
)
はタールを
殺
(
ころ
)
そか、
578
国公
(
くにこう
)
をやつつけようか、
579
明日
(
あす
)
の
朝
(
あさ
)
手製
(
てせい
)
の
神籤
(
みくじ
)
で
伺
(
うかが
)
つて
見
(
み
)
よう。
580
モシ、
581
タールさま、
582
お
前
(
まへ
)
を
殺
(
ころ
)
せと
御
(
お
)
みくじが
出
(
で
)
たら
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
乍
(
なが
)
ら、
583
お
前
(
まへ
)
の
命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
らねばならぬ。
584
それを
思
(
おも
)
へば、
585
おれやモウ
可哀相
(
かあいさう
)
で、
586
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
でも
何
(
なん
)
でもないワイ。
587
ウツフヽヽヽ』
588
国公
(
くにこう
)
『コリヤ
俺
(
おれ
)
の
受売
(
うけうり
)
をしやがる
奴
(
やつ
)
は、
589
ダダ
誰奴
(
だいつ
)
だい』
590
ハム『
最前
(
さいぜん
)
からここに
寝
(
ね
)
てゐたバラモン
教
(
けう
)
のハムさまだ。
591
これからタールをやつつけるのだから、
592
国
(
くに
)
さま
一
(
ひと
)
つ
加勢
(
かせい
)
をしてくれないか』
593
国公
(
くにこう
)
『
折角
(
せつかく
)
斯
(
か
)
うして
抱
(
だ
)
き
付
(
つ
)
いて
親
(
した
)
しうなつたタールぢやもの、
594
如何
(
どう
)
して
之
(
これ
)
を
殺
(
ころ
)
すことが
出来
(
でき
)
ようかい、
595
おれやそんな
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
くと、
596
貴様
(
きさま
)
が
憎
(
にく
)
らしくなつて
来
(
き
)
て、
597
腹
(
はら
)
が
一寸
(
ちよつと
)
も
立
(
た
)
たないワ。
598
オツホヽヽヽ』
599
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ
山
(
やま
)
の
尾
(
を
)
を
登
(
のぼ
)
り
来
(
く
)
る
満月
(
まんげつ
)
の
光
(
ひかり
)
、
600
ハムは
手早
(
てばや
)
く
両人
(
りやうにん
)
の
髪
(
かみ
)
をほどき、
601
ハム
『ヤア、
602
タール、
603
モウ
許
(
ゆる
)
してやらう。
604
以後
(
いご
)
はキツと
慎
(
つつし
)
んであの
様
(
やう
)
な
悪戯
(
いたづら
)
を
致
(
いた
)
すでないぞ、
605
そしてあのやうな
水臭
(
みづくさ
)
い
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
ふと、
606
今度
(
こんど
)
はモウ
了見
(
れうけん
)
せぬからさう
思
(
おも
)
へ。
607
今日
(
けふ
)
はこれきり
忘
(
わす
)
れて
遣
(
つか
)
はす』
608
タール『
俺
(
おれ
)
もお
前
(
まへ
)
がさう
出
(
で
)
れば、
609
万更
(
まんざら
)
憎
(
にく
)
いとは
思
(
おも
)
はない、
610
只今
(
ただいま
)
限
(
かぎ
)
り
忘
(
わす
)
れタールから、
611
マア
安心
(
あんしん
)
致
(
いた
)
すがよからう。
612
ナア
国
(
くに
)
さま、
613
余
(
あま
)
り
物
(
もの
)
をクニクニと
苦
(
く
)
にすると、
614
病気
(
びやうき
)
になつて、
615
しまひにや
国替
(
くにがへ
)
をせなくてはなりませぬからなア』
616
国公
(
くにこう
)
『
国替
(
くにがへ
)
なぞと
縁起
(
えんぎ
)
の
悪
(
わる
)
い
事
(
こと
)
をいつてくれるない』
617
ハム『アツハヽヽヽ』
618
タール『イツヒヽヽヽ』
619
国公
(
くにこう
)
『ウツフヽヽヽ、
620
サアもう
夜
(
よ
)
があけた。
621
行
(
ゆ
)
かうぢやないか』
622
と
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
兄弟
(
きやうだい
)
の
如
(
ごと
)
く
親
(
した
)
しくなつて、
623
無駄口
(
むだぐち
)
を
叩
(
たた
)
き
乍
(
なが
)
ら
坂路
(
さかみち
)
さして
降
(
くだ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
624
(
大正一一・一〇・二七
旧九・八
松村真澄
録)
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