霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
目 次
設 定
閉じる
×
霊界物語
三鏡
大本神諭
伊都能売神諭
出口王仁三郎全集
出口王仁三郎著作集
王仁文庫
惟神の道
幼ながたり
開祖伝
聖師伝
霧の海(第六歌集)
大本七十年史
大本史料集成
神霊界
新聞記事
新月の光
その他
王仁文献考証
検索は「
王仁DB
」で
←
戻る
霊界物語
霊主体従
第1巻(子の巻)
第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
第4巻(卯の巻)
第5巻(辰の巻)
第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
第12巻(亥の巻)
如意宝珠
第13巻(子の巻)
第14巻(丑の巻)
第15巻(寅の巻)
第16巻(卯の巻)
第17巻(辰の巻)
第18巻(巳の巻)
第19巻(午の巻)
第20巻(未の巻)
第21巻(申の巻)
第22巻(酉の巻)
第23巻(戌の巻)
第24巻(亥の巻)
海洋万里
第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
第27巻(寅の巻)
第28巻(卯の巻)
第29巻(辰の巻)
第30巻(巳の巻)
第31巻(午の巻)
第32巻(未の巻)
第33巻(申の巻)
第34巻(酉の巻)
第35巻(戌の巻)
第36巻(亥の巻)
舎身活躍
第37巻(子の巻)
第38巻(丑の巻)
第39巻(寅の巻)
第40巻(卯の巻)
第41巻(辰の巻)
第42巻(巳の巻)
第43巻(午の巻)
第44巻(未の巻)
第45巻(申の巻)
第46巻(酉の巻)
第47巻(戌の巻)
第48巻(亥の巻)
真善美愛
第49巻(子の巻)
第50巻(丑の巻)
第51巻(寅の巻)
第52巻(卯の巻)
第53巻(辰の巻)
第54巻(巳の巻)
第55巻(午の巻)
第56巻(未の巻)
第57巻(申の巻)
第58巻(酉の巻)
第59巻(戌の巻)
第60巻(亥の巻)
山河草木
第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
第63巻(寅の巻)
第64巻(卯の巻)上
第64巻(卯の巻)下
第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
←
戻る
第39巻(寅の巻)
序歌
総説
第1篇 伊祖の神風
01 大黒主
〔1066〕
02 評定
〔1067〕
03 出師
〔1068〕
第2篇 黄金清照
04 河鹿越
〔1069〕
05 人の心
〔1070〕
06 妖霧
〔1071〕
07 都率天
〔1072〕
08 母と娘
〔1073〕
第3篇 宿世の山道
09 九死一生
〔1074〕
10 八の字
〔1075〕
11 鼻摘
〔1076〕
12 種明志
〔1077〕
第4篇 浮木の岩窟
13 浮木の森
〔1078〕
14 清春山
〔1079〕
15 焼糞
〔1080〕
16 親子対面
〔1081〕
第5篇 馬蹄の反影
17 テームス峠
〔1082〕
18 関所守
〔1083〕
19 玉山嵐
〔1084〕
附録 大祓祝詞解
余白歌
このサイトは『霊界物語』を始めとする出口王仁三郎等の著書を無料で公開しています。
(注・出口王仁三郎の全ての著述を収録しているわけではありません。未収録のものも沢山あります)
閉じる
×
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
その他の設定項目を表示する
ここから下を閉じる
文字サイズ
S
【標準】
M
L
フォント
フォント1
【標準】
フォント2
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
古いブラウザでうまく表示されない時はこの設定を試してみて下さい
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側にだけ表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注
[?]
[※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
全ての脚注を開く
全ての脚注を閉じる(マーク表示)
【標準】
脚注マークを表示しない
文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色
[?]
底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。
[×閉じる]
外字1の色
[?]
この設定は現在使われておりません。
[×閉じる]
外字2の色
[?]
文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。
[×閉じる]
→
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
サブスクのお知らせ
霊界物語
>
第39巻
> 第4篇 浮木の岩窟 > 第14章 清春山
<<< 浮木の森
(B)
(N)
焼糞 >>>
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。
【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034 アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。
第一四章
清春山
(
きよはるやま
)
〔一〇七九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第39巻 舎身活躍 寅の巻
篇:
第4篇 浮木の岩窟
よみ(新仮名遣い):
うききのがんくつ
章:
第14章 清春山
よみ(新仮名遣い):
きよはるやま
通し章番号:
1079
口述日:
1922(大正11)年10月28日(旧09月9日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年5月5日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
清春山の大岩窟には、バラモン教の一派が暴力をもって地方民に生産物を奉納させ、信仰を強要し、恨みの声は地上に満ちている有様であった。
照国別は照公・梅公を連れて清春山山麓にさしかかったとき、谷底に聞こえてきた女の声に立ち止まった。一行が谷底に向かうと、大の男が女を縛って打ち殴っている。宣伝歌を歌いながら近づくと、男たちは逃げてしまった。
女は、梅彦というウラル教徒の兄が竜宮の一つ島へ渡ったのを探しいているのだという。三五教に梅彦という宣伝使がいると聞き、信者と化けて兄の行方を探っていたが、いつしかその教えがありがたくなり、本当の三五教徒になったのだという。
女は、兄の行方を尋ねる旅の途上、清春山に巣窟を構える大足別というバラモン教の悪神の部下たちに捉えられていたのだと明かした。照国別は、女の名・菖蒲から、この女が自分の妹であることを確信した。
菖蒲は大足別の妻になるようにと強要され、両親をさらわれてしまったことを照国別に明かした。照国別は大神の使命の途中に寄り道をすることをためらうが、照公と梅公は、人々の危難を見過ごして通り過ぎるわけにはいかない、と主張し、大足別を言向け和しに出発することになった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-11-21 10:35:54
OBC :
rm3914
愛善世界社版:
194頁
八幡書店版:
第7輯 350頁
修補版:
校定版:
204頁
普及版:
83頁
初版:
ページ備考:
001
フサと
月
(
つき
)
との
国境
(
くにざかひ
)
に
屹山
(
きつりつ
)
せる
半禿山
(
はんはげやま
)
の
山奥
(
やまおく
)
に
大岩窟
(
だいがんくつ
)
を
構
(
かま
)
へて、
002
バラモン
教
(
けう
)
を
開設
(
かいせつ
)
し、
003
一方
(
いつぱう
)
無暗
(
むやみ
)
に
地方民
(
ちはうみん
)
の
生産物
(
せいさんぶつ
)
を
暴力
(
ばうりよく
)
を
以
(
もつ
)
て
奉納
(
ほうなふ
)
せしめ、
004
驕慢
(
けうまん
)
日
(
ひ
)
に
募
(
つの
)
り
怨嗟
(
ゑんさ
)
の
声
(
こゑ
)
は
地上
(
ちじやう
)
に
充
(
み
)
ちてゐる。
005
バラモン
教
(
けう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は
清春山
(
きよはるやま
)
の
部下
(
ぶか
)
に
限
(
かぎ
)
り、
006
左手
(
ゆんで
)
にコーランを
持
(
も
)
ち
右手
(
めて
)
に
剣
(
つるぎ
)
を
携
(
たづさ
)
へて
無理
(
むり
)
往生
(
わうじやう
)
に
信仰
(
しんかう
)
を
強要
(
きやうえう
)
しつつあつた。
007
照国別
(
てるくにわけ
)
は
照公
(
てるこう
)
、
008
梅公
(
うめこう
)
の
両人
(
りやうにん
)
と
共
(
とも
)
に、
009
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
を
難
(
なん
)
なく
打越
(
うちこ
)
え
清春山
(
きよはるやま
)
の
山麓
(
さんろく
)
にさしかかる
時
(
とき
)
しもあれや、
010
俄
(
にはか
)
に
谷底
(
たにそこ
)
に
聞
(
きこ
)
える
女
(
をんな
)
の
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
に
一同
(
いちどう
)
立止
(
たちど
)
まり
暫
(
しば
)
し
首
(
かうべ
)
を
傾
(
かたむ
)
けてゐた。
011
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
は
益々
(
ますます
)
烈
(
はげ
)
しくなつて
来
(
き
)
た。
012
只事
(
ただごと
)
ならじと
照国別
(
てるくにわけ
)
一行
(
いつかう
)
は
悲鳴
(
ひめい
)
を
尋
(
たづ
)
ねて
谷底
(
たにそこ
)
に
近寄
(
ちかよ
)
り
見
(
み
)
れば、
013
大
(
だい
)
の
男
(
をとこ
)
四五
(
しご
)
人
(
にん
)
、
014
女
(
をんな
)
を
後手
(
うしろで
)
に
縛
(
しば
)
り
打擲
(
ちやうちやく
)
してゐる。
015
人
(
ひと
)
を
助
(
たす
)
くる
宣伝使
(
せんでんし
)
、
016
これが
見
(
み
)
すてておかれやうかと、
017
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
間近
(
まぢか
)
くかけつけた。
018
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
荒男
(
あらをとこ
)
は
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
るより、
019
あわてふためき、
020
女
(
をんな
)
をそこに
残
(
のこ
)
して、
021
チリヂリバラバラに
思
(
おも
)
ひ
思
(
おも
)
ひの
方
(
はう
)
へ
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く。
022
照国別
(
てるくにわけ
)
は
女
(
をんな
)
の
側近
(
そばちか
)
く
立寄
(
たちよ
)
り、
023
照国別
『
吾々
(
われわれ
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
、
024
此
(
この
)
街道
(
かいだう
)
を
通
(
とほ
)
る
折
(
をり
)
しも、
025
俄
(
にはか
)
に
女
(
をんな
)
の
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
、
026
コリヤ
何事
(
なにごと
)
か
惨劇
(
さんげき
)
が
演
(
えん
)
ぜられてゐるのであらう、
027
何
(
なに
)
は
兎
(
と
)
もあれ
助
(
たす
)
けねばなるまいとここ
迄
(
まで
)
尋
(
たづ
)
ねて
来
(
き
)
たもの、
028
最早
(
もはや
)
吾々
(
われわれ
)
が
現
(
あら
)
はれた
以上
(
いじやう
)
は
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だから、
029
御
(
ご
)
安心
(
あんしん
)
なされよ』
030
と
親切
(
しんせつ
)
に
労
(
いた
)
はれば、
031
女
(
をんな
)
は
目
(
め
)
をしばたき、
032
女(菖蒲)
『ハイ、
033
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います、
034
ようマア
危急
(
ききふ
)
存亡
(
そんばう
)
の
場合
(
ばあひ
)
をお
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいました。
035
これと
云
(
い
)
ふのも
全
(
まつた
)
く
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
助
(
たす
)
けで
厶
(
ござ
)
いませう。
036
何
(
なに
)
を
隠
(
かく
)
しませう、
037
妾
(
わたし
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
、
038
兄
(
あに
)
の
行方
(
ゆくへ
)
を
尋
(
たづ
)
ねて
巡礼
(
じゆんれい
)
する
者
(
もの
)
、
039
女
(
をんな
)
の
一人旅
(
ひとりたび
)
、
040
ここ
迄
(
まで
)
参
(
まゐ
)
りますとバラモン
教
(
けう
)
の
連中
(
れんちう
)
に
取巻
(
とりま
)
かれ、
041
高手
(
たかて
)
小手
(
こて
)
に
縛
(
いまし
)
められ、
042
無体
(
むたい
)
の
要求
(
えうきう
)
に
立腹
(
りつぷく
)
の
余
(
あま
)
り、
043
口
(
くち
)
を
極
(
きは
)
めて
罵
(
ののし
)
つてやりました
所
(
ところ
)
、
044
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
は
大
(
おほい
)
に
怒
(
いか
)
り
殺
(
ころ
)
してくれむと
四方
(
しはう
)
八方
(
はつぱう
)
より、
045
刀
(
かたな
)
の
鞘
(
さや
)
にて
体
(
からだ
)
一面
(
いちめん
)
所
(
ところ
)
かまはず、
046
突
(
つ
)
いて
突
(
つ
)
いて
突
(
つ
)
きまはし、
047
苦痛
(
くつう
)
に
堪
(
た
)
へかね、
048
卑怯
(
ひけふ
)
にも
悲鳴
(
ひめい
)
を
上
(
あ
)
げた
所
(
ところ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
049
よくマアお
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいました』
050
照国別
(
てるくにわけ
)
『それは
危
(
あぶな
)
い
事
(
こと
)
、
051
マアマア
安心
(
あんしん
)
なさい。
052
オイ、
053
照公
(
てるこう
)
、
054
梅公
(
うめこう
)
、
055
此
(
この
)
婦人
(
ふじん
)
の
縛
(
いましめ
)
を
解
(
と
)
け』
056
『ハイ』と
答
(
こた
)
へて
両人
(
りやうにん
)
は
手早
(
てばや
)
く
縛
(
いましめ
)
をときにかかつた。
057
照公
(
てるこう
)
『
何
(
なん
)
とマア
惨酷
(
ざんこく
)
な
縛
(
しば
)
りやうだ。
058
藤蔓
(
ふぢづる
)
で
肉
(
にく
)
にくひ
入
(
い
)
る
様
(
やう
)
に
縛
(
しば
)
つてゐやがる』
059
と
言
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
守刀
(
まもりがたな
)
をスラリと
引
(
ひき
)
ぬき、
060
蔓
(
つる
)
を
切
(
き
)
り
放
(
はな
)
し、
061
女
(
をんな
)
を
漸
(
やうや
)
くにして
縛
(
いましめ
)
よりとき
放
(
はな
)
つた。
062
女
(
をんな
)
(菖蒲)
『おかげで
安心
(
あんしん
)
致
(
いた
)
しました。
063
あなたは
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
064
私
(
わたし
)
はコーカス
山
(
ざん
)
に
参
(
まゐ
)
り
或
(
ある
)
動機
(
どうき
)
より
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
になつた
者
(
もの
)
で
厶
(
ござ
)
います。
065
私
(
わたし
)
の
兄
(
あに
)
は
梅彦
(
うめひこ
)
といつて
盤古
(
ばんこ
)
神王
(
しんわう
)
様
(
さま
)
の
教
(
をしへ
)
を
伝
(
つた
)
ふべく、
066
竜宮
(
りうぐう
)
の
一
(
ひと
)
つ
島
(
じま
)
へ
参
(
まゐ
)
つたきり、
067
今
(
いま
)
に
行方
(
ゆくへ
)
が
判
(
わか
)
りませぬ。
068
父母
(
ふぼ
)
はそれを
苦
(
く
)
にして
最早
(
もはや
)
世
(
よ
)
を
去
(
さ
)
り、
069
後
(
あと
)
に
残
(
のこ
)
つた
妾
(
わたし
)
は
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
、
070
家
(
うち
)
にゐる
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
ず、
071
噂
(
うはさ
)
に
聞
(
き
)
けば、
072
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
に
梅彦
(
うめひこ
)
といふ
方
(
かた
)
があると
承
(
うけたまは
)
り、
073
コーカス
山
(
ざん
)
に
元
(
もと
)
は
信者
(
しんじや
)
と
化
(
ば
)
け
込
(
こ
)
んで
様子
(
やうす
)
を
探
(
さぐ
)
る
折
(
をり
)
しも、
074
いつとはなしに
三五
(
あななひ
)
の
教理
(
けうり
)
が
有難
(
ありがた
)
くなり、
075
とうとう
誠
(
まこと
)
の
信者
(
しんじや
)
となつて
了
(
しま
)
ひました。
076
承
(
うけたま
)
はれば
兄
(
あに
)
の
梅彦
(
うめひこ
)
は
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
とやらへ
宣伝使
(
せんでんし
)
となつて
参
(
まゐ
)
つたと
云
(
い
)
ふこと、
077
そして
日出別
(
ひのでわけ
)
の
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
弟子
(
でし
)
になつた
事
(
こと
)
まで
承
(
うけたま
)
はり、
078
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
の
日出別
(
ひのでわけ
)
様
(
さま
)
にお
目
(
め
)
にかかり、
079
兄
(
あに
)
の
所在
(
ありか
)
を
尋
(
たづ
)
ねむと、
080
アーメニヤを
後
(
あと
)
にはるばる
此処
(
ここ
)
まで
参
(
まゐ
)
る
途中
(
とちう
)
に、
081
悪者
(
わるもの
)
に
出会
(
であ
)
つてかかる
憂目
(
うきめ
)
に
会
(
あ
)
うた
所
(
ところ
)
で
厶
(
ござ
)
います。
082
此
(
この
)
近
(
ちか
)
くには
清春山
(
きよはるやま
)
といふ
高山
(
かうざん
)
があつて、
083
其
(
その
)
山奥
(
やまおく
)
に
大足別
(
おほだるわけ
)
といふ
悪神
(
わるがみ
)
の
大将
(
たいしやう
)
が
巣窟
(
さうくつ
)
を
構
(
かま
)
へて
居
(
を
)
りまする。
084
其
(
その
)
部下
(
ぶか
)
共
(
ども
)
に
捉
(
とら
)
へられ、
085
大足別
(
おほだるわけ
)
の
女房
(
にようばう
)
になれよとの
無体
(
むたい
)
の
要求
(
えうきう
)
に
腹
(
はら
)
を
立
(
た
)
てこんな
憂目
(
うきめ
)
に
会
(
あ
)
うてゐた
所
(
ところ
)
、
086
よくマア
助
(
たす
)
けて
下
(
くだ
)
さいました。
087
たつた
一人
(
ひとり
)
の
兄妹
(
きやうだい
)
を
尋
(
たづ
)
ねて
参
(
まゐ
)
る
憐
(
あは
)
れな
女
(
をんな
)
で
厶
(
ござ
)
います。
088
あなた
様
(
さま
)
も
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
と
承
(
うけたま
)
はりましたが、
089
梅彦
(
うめひこ
)
の
所在
(
ありか
)
は
御存
(
ごぞん
)
じでは
厶
(
ござ
)
いませぬか』
090
照公
(
てるこう
)
『ヤア
其
(
その
)
梅彦
(
うめひこ
)
とやら
梅公
(
うめこう
)
とやら
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
は
此処
(
ここ
)
にザツと
一対
(
いつつゐ
)
居
(
を
)
られますよ』
091
女
(
をんな
)
(菖蒲)
『エヽそれは
本当
(
ほんたう
)
で
厶
(
ござ
)
いますか』
092
照公
(
てるこう
)
『
梅公
(
うめこう
)
といふのは
此
(
この
)
男
(
をとこ
)
、
093
照国別
(
てるくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
は
今迄
(
いままで
)
梅彦
(
うめひこ
)
さまと
言
(
い
)
つてゐました。
094
ナアもし
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
095
あなたは
何時
(
いつ
)
やら、
096
一人
(
ひとり
)
の
妹
(
いもうと
)
があると
仰有
(
おつしや
)
つたやうに
覚
(
おぼ
)
えて
居
(
を
)
ります。
097
ヨモヤ
此
(
この
)
お
方
(
かた
)
ではありますまいか、
098
三日月
(
みかづき
)
眉毛
(
まゆげ
)
にクルリとした
目
(
め
)
の
具合
(
ぐあひ
)
、
099
よく
似
(
に
)
て
居
(
を
)
りますで』
100
梅公
(
うめこう
)
『ホンにホンに
似
(
に
)
たりや
似
(
に
)
たりや、
101
瓜二
(
うりふた
)
つだ。
102
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
照国別
(
てるくにわけ
)
様
(
さま
)
の
妹
(
いもうと
)
に
違
(
ちがひ
)
ない』
103
照国別
(
てるくにわけ
)
は
黙然
(
もくねん
)
として
女
(
をんな
)
の
顔
(
かほ
)
をマジマジと
眺
(
なが
)
めてゐる。
104
女
(
をんな
)
も
亦
(
また
)
宣伝使
(
せんでんし
)
の
顔
(
かほ
)
を
穴
(
あな
)
のあく
程
(
ほど
)
首
(
くび
)
をかたげ
乍
(
なが
)
ら
見
(
み
)
つめてゐた。
105
暫
(
しばら
)
くあつて
女
(
をんな
)
は
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
つた
様
(
やう
)
に、
106
女(菖蒲)
『あなたは
兄上
(
あにうへ
)
ぢや
厶
(
ござ
)
いませぬか、
107
お
懐
(
なつ
)
かしう
存
(
ぞん
)
じます』
108
照国別
(
てるくにわけ
)
『お
前
(
まへ
)
の
幼名
(
えうめい
)
は
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つたか』
109
女(菖蒲)
『ハイ
私
(
わたし
)
の
幼名
(
えうめい
)
は
菖蒲
(
あやめ
)
と
申
(
まを
)
しました』
110
照国別
(
てるくにわけ
)
『そんなら
擬
(
まが
)
ふ
方
(
かた
)
なき
吾
(
わが
)
妹
(
いもうと
)
、
111
ようマア
無事
(
ぶじ
)
でゐてくれた。
112
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
海山
(
うみやま
)
の
御恩
(
ごおん
)
深
(
ふか
)
き
御
(
ご
)
両親
(
りやうしん
)
は、
113
此
(
この
)
梅彦
(
うめひこ
)
の
事
(
こと
)
を
苦
(
く
)
にやんでお
国替
(
くにがへ
)
なさつたか、
114
アヽ
残念
(
ざんねん
)
やなア。
115
如何
(
どう
)
して
両親
(
りやうしん
)
に
申訳
(
まをしわけ
)
が
立
(
た
)
たうか、
116
余
(
あま
)
り
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
のお
道
(
みち
)
に
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
になつて
今迄
(
いままで
)
両親
(
りやうしん
)
の
事
(
こと
)
や
妹
(
いもうと
)
の
事
(
こと
)
を
忘
(
わす
)
れてゐた。
117
妹
(
いもうと
)
、
118
どうぞ
許
(
ゆる
)
してくれ』
119
菖蒲
(
あやめ
)
『
勿体
(
もつたい
)
ない
兄上
(
あにうへ
)
様
(
さま
)
、
120
許
(
ゆる
)
すも
許
(
ゆる
)
さぬも
厶
(
ござ
)
いませぬ、
121
斯
(
か
)
うなる
上
(
うへ
)
は
最前
(
さいぜん
)
申
(
まを
)
しました
事
(
こと
)
は
取消
(
とりけ
)
します。
122
実
(
じつ
)
の
処
(
ところ
)
は
吾々
(
われわれ
)
の
両親
(
りやうしん
)
は
清春山
(
きよはるやま
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
に
捕
(
とら
)
はれて
居
(
ゐ
)
るさうで
厶
(
ござ
)
います。
123
要
(
えう
)
するに
私
(
わたし
)
を
女房
(
にようばう
)
にくれよと、
124
バラモン
教
(
けう
)
の
大足別
(
おほだるわけ
)
が
幾度
(
いくど
)
となく
使
(
つかひ
)
を
遣
(
つか
)
はしましたなれども、
125
教理
(
けうり
)
が
違
(
ちが
)
ふので、
126
両親
(
りやうしん
)
はやらぬと
申
(
まを
)
しますなり、
127
私
(
わたし
)
も
兄上
(
あにうへ
)
に
巡
(
めぐ
)
り
会
(
あ
)
うた
上
(
うへ
)
でなければ、
128
返答
(
へんたふ
)
は
出来
(
でき
)
ないと
申
(
まを
)
してゐましたら、
129
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にやら、
130
私
(
わたし
)
の
山
(
やま
)
に
行
(
い
)
つてゐる
不在中
(
るすちう
)
に、
131
両親
(
りやうしん
)
をかつさらへて、
132
清春山
(
きよはるやま
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
に
立帰
(
たちかへ
)
り、
133
私
(
わたし
)
に
女房
(
にようばう
)
になるならば、
134
両親
(
りやうしん
)
の
命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けてやらう、
135
さなくば
両親
(
りやうしん
)
を
殺
(
ころ
)
して
了
(
しま
)
うとの
悪虐
(
あくぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
の
掛合
(
かけあひ
)
、
136
両親
(
りやうしん
)
も
最早
(
もはや
)
三五教
(
あななひけう
)
の
信者
(
しんじや
)
となつた
以上
(
いじやう
)
は、
137
何程
(
なにほど
)
苦
(
くる
)
しき
責苦
(
せめく
)
に
会
(
あ
)
うても、
138
バラモン
教
(
けう
)
には
降伏
(
かうふく
)
せないと
頑張
(
ぐわんば
)
つて
居
(
を
)
りましたから、
139
さぞ
今頃
(
いまごろ
)
は
悪神
(
わるがみ
)
の
為
(
ため
)
に
苦
(
くるし
)
んでゐる
事
(
こと
)
でせう。
140
私
(
わたし
)
は
心
(
こころ
)
も
心
(
こころ
)
ならず、
141
何
(
なん
)
とかして
兄上
(
あにうへ
)
の
所在
(
ありか
)
を
尋
(
たづ
)
ね
兄妹
(
きやうだい
)
力
(
ちから
)
を
合
(
あは
)
せて
両親
(
りやうしん
)
を
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
さむと、
142
斎苑
(
いそ
)
の
館
(
やかた
)
へ
進
(
すす
)
む
途中
(
とちう
)
で
厶
(
ござ
)
いました』
143
とワツと
許
(
ばか
)
りに
声
(
こゑ
)
をあげて
泣
(
な
)
き
倒
(
たふ
)
れる
其
(
その
)
憐
(
あは
)
れさ。
144
照国別
(
てるくにわけ
)
は
吐息
(
といき
)
をつき
乍
(
なが
)
ら
落涙
(
らくるい
)
に
沈
(
しづ
)
んでゐる。
145
照公
(
てるこう
)
『ヤア
菖蒲
(
あやめ
)
様
(
さま
)
、
146
あなたの
今
(
いま
)
のお
話
(
はなし
)
で、
147
何
(
なに
)
もかもハツキリ
致
(
いた
)
しました。
148
サアこれから
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
のお
供
(
とも
)
して、
149
清春山
(
きよはるやま
)
の
征伐
(
せいばつ
)
に
向
(
むか
)
ひませう』
150
照国別
(
てるくにわけ
)
『
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
より
大切
(
たいせつ
)
な
使命
(
しめい
)
を
受
(
う
)
け
乍
(
なが
)
ら、
151
如何
(
いか
)
に
両親
(
りやうしん
)
の
危難
(
きなん
)
を
救
(
すく
)
ふとは
云
(
い
)
へ、
152
使命
(
しめい
)
も
果
(
はた
)
さずに、
153
そんな
私上
(
しじやう
)
の
事
(
こと
)
は
致
(
いた
)
されまい、
154
ハテ
困
(
こま
)
つたことだなア。
155
両親
(
りやうしん
)
を
救
(
すく
)
はむとすれば、
156
大神
(
おほかみ
)
の
使命
(
しめい
)
が
遅
(
おく
)
れる、
157
神
(
かみ
)
の
命
(
めい
)
に
従
(
したが
)
はむとすれば
両親
(
りやうしん
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
はいかに
成行
(
なりゆ
)
くかも
計
(
はか
)
られない。
158
ハテ
困
(
こま
)
つた
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
たワイ』
159
梅公
(
うめこう
)
『モシ
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
160
何程
(
なにほど
)
御
(
ご
)
神命
(
しんめい
)
なればとて、
161
途中
(
とちう
)
に
悪者
(
わるもの
)
のために
虐
(
さいな
)
まれてゐる
者
(
もの
)
があれば、
162
これを
見
(
み
)
のがして
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ますまい。
163
却
(
かへつ
)
て
世界
(
せかい
)
を
救
(
すく
)
ふ
宣伝使
(
せんでんし
)
の
職務
(
しよくむ
)
に
反
(
はん
)
するもので
厶
(
ござ
)
いませう。
164
谷底
(
たにそこ
)
の
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
を
尋
(
たづ
)
ねて、
165
ここへ
道寄
(
みちよ
)
りしたも
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
、
166
そんな
斟酌
(
しんしやく
)
は
決
(
けつ
)
していりますまい、
167
サア
早
(
はや
)
く
清春山
(
きよはるやま
)
征伐
(
せいばつ
)
に
参
(
まゐ
)
りませう』
168
照国別
(
てるくにわけ
)
『お
前
(
まへ
)
のいふのも
一応
(
いちおう
)
尤
(
もつと
)
もだ。
169
そんならすまぬ
事
(
こと
)
乍
(
なが
)
ら、
170
両親
(
りやうしん
)
の
危難
(
きなん
)
を
救
(
すく
)
ふ
事
(
こと
)
に
致
(
いた
)
さう』
171
菖蒲
(
あやめ
)
『
兄上
(
あにうへ
)
様
(
さま
)
、
172
有難
(
ありがた
)
う
厶
(
ござ
)
います。
173
そんなら
私
(
わたし
)
が
先導
(
せんと
)
に
立
(
た
)
ちます。
174
最早
(
もはや
)
之
(
これ
)
から
三
(
さん
)
里
(
り
)
ばかり
奥
(
おく
)
まで
行
(
ゆ
)
けばそこが
敵
(
てき
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
否
(
いな
)
御
(
ご
)
両親
(
りやうしん
)
の
捉
(
とら
)
はれ
場所
(
ばしよ
)
、
175
かういふ
内
(
うち
)
にも
心
(
こころ
)
が
急
(
いそ
)
ぎます。
176
サア
早
(
はや
)
く
行
(
い
)
つて
下
(
くだ
)
さい』
177
照国別
(
てるくにわけ
)
『そんなら
照
(
てる
)
さま、
178
梅
(
うめ
)
さま、
179
御
(
ご
)
苦労
(
くらう
)
だが
一緒
(
いつしよ
)
に
来
(
き
)
てくれるか』
180
両人
(
りやうにん
)
『ハイあなたのお
供
(
とも
)
だもの、
181
どこへでも
参
(
まゐ
)
ります』
182
照国別
(
てるくにわけ
)
は
二人
(
ふたり
)
の
言葉
(
ことば
)
に
勢
(
いきほひ
)
を
得
(
え
)
、
183
一行
(
いつかう
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
山奥
(
やまおく
)
の
岩窟
(
がんくつ
)
さして、
184
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
をひそかに
奏上
(
そうじやう
)
し
乍
(
なが
)
ら
尋
(
たづ
)
ね
行
(
ゆ
)
く。
185
菖蒲
(
あやめ
)
は
道々
(
みちみち
)
歌
(
うた
)
ふ。
186
菖蒲
『
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
187
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわ
)
ける
188
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
189
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
190
只
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
191
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
せ
聞直
(
ききなほ
)
せ
192
世
(
よ
)
の
過
(
あやまち
)
は
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
せ
193
此
(
この
)
御教
(
みをしへ
)
は
三五
(
あななひ
)
の
194
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
託宣
(
たくせん
)
195
とは
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
両親
(
ふたおや
)
を
196
悪魔
(
あくま
)
の
司
(
つかさ
)
に
奪
(
うば
)
はれて
197
どうして
見直
(
みなほ
)
し
聞
(
き
)
き
直
(
なほ
)
し
198
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
す
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ようか
199
山
(
やま
)
より
高
(
たか
)
き
父
(
ちち
)
の
恩
(
おん
)
200
海
(
うみ
)
より
深
(
ふか
)
き
母
(
はは
)
の
恩
(
おん
)
201
報
(
むく
)
い
返
(
かへ
)
さでおくべきか
202
神
(
かみ
)
は
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
と
共
(
とも
)
にあり
203
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
204
照国別
(
てるくにわけ
)
とはわが
兄
(
あに
)
と
205
分
(
わか
)
りし
時
(
とき
)
の
嬉
(
うれ
)
しさよ
206
曲津
(
まがつ
)
の
神
(
かみ
)
は
多
(
おほ
)
くとも
207
悪魔
(
あくま
)
の
猛
(
たけ
)
びは
強
(
つよ
)
くとも
208
いかでか
恐
(
おそ
)
れむ
三五
(
あななひ
)
の
209
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
神司
(
かむづかさ
)
210
仁義
(
じんぎ
)
の
軍
(
いくさ
)
に
如何
(
いか
)
にして
211
刃向
(
はむか
)
ふ
術
(
すべ
)
のあるべきぞ
212
照国別
(
てるくにわけ
)
を
初
(
はじ
)
めとし
213
照
(
てる
)
さま
梅
(
うめ
)
さま
菖蒲
(
あやめ
)
まで
214
心
(
こころ
)
を
合
(
あは
)
せ
力
(
ちから
)
をば
215
一
(
ひと
)
つになして
進
(
すす
)
むなら
216
大足別
(
おほだるわけ
)
の
醜神
(
しこがみ
)
が
217
何程
(
なにほど
)
手下
(
てした
)
は
多
(
おほ
)
くとも
218
旭
(
あさひ
)
に
露
(
つゆ
)
の
消
(
き
)
ゆる
如
(
ごと
)
219
亡
(
ほろ
)
び
行
(
ゆ
)
かむは
目
(
ま
)
のあたり
220
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
221
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
222
曲津
(
まがつ
)
の
神
(
かみ
)
に
苦
(
くるし
)
みし
223
父
(
ちち
)
と
母
(
はは
)
との
生命
(
せいめい
)
を
224
救
(
すく
)
はせ
玉
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
225
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
願
(
ね
)
ぎまつる
226
旭
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
227
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
228
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
229
三五教
(
あななひけう
)
に
仕
(
つか
)
へたる
230
女心
(
をんなごころ
)
の
一
(
ひと
)
すぢに
231
岩
(
いは
)
をも
射
(
い
)
ぬく
吾
(
わが
)
覚悟
(
かくご
)
232
言向和
(
ことむけやは
)
さでおくべきか
233
照国別
(
てるくにわけ
)
の
神司
(
かむづかさ
)
234
神
(
かみ
)
の
力
(
ちから
)
をうけ
玉
(
たま
)
ひ
235
今
(
いま
)
は
立派
(
りつぱ
)
な
宣伝使
(
せんでんし
)
236
其
(
その
)
風采
(
ふうさい
)
も
何
(
なん
)
とやら
237
高尚
(
かうしやう
)
優美
(
いうび
)
に
変
(
かは
)
りまし
238
昔
(
むかし
)
の
面影
(
おもかげ
)
どこへやら
239
英雄
(
えいゆう
)
君子
(
くんし
)
の
御姿
(
みすがた
)
と
240
ならせ
玉
(
たま
)
ひし
尊
(
たふと
)
さよ
241
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
242
思
(
おも
)
ひの
晴
(
は
)
るる
今
(
いま
)
や
時
(
とき
)
243
花
(
はな
)
さく
春
(
はる
)
の
至
(
いた
)
る
時
(
とき
)
244
アヽ
勇
(
いさ
)
ましや
勇
(
いさ
)
ましや
245
大足別
(
おほだるわけ
)
は
強
(
つよ
)
くとも
246
神
(
かみ
)
の
力
(
ちから
)
に
如
(
し
)
かざらむ
247
清春山
(
きよはるやま
)
は
高
(
たか
)
くとも
248
此
(
この
)
谷路
(
たにみち
)
はさかしとも
249
なぞや
恐
(
おそ
)
れむ
三五
(
あななひ
)
の
250
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
言霊
(
ことたま
)
に
251
言向和
(
ことむけやは
)
しバラモンの
252
砦
(
とりで
)
にひそむ
醜神
(
しこがみ
)
を
253
まつろへ
和
(
やは
)
さでおくべきか
254
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
255
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
256
と
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
257
梅公
(
うめこう
)
は
後
(
うしろ
)
より
歌
(
うた
)
ふ。
258
梅公
『
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
259
照国別
(
てるくにわけ
)
に
従
(
したが
)
ひて
260
河鹿
(
かじか
)
峠
(
たうげ
)
を
打
(
うち
)
わたり
261
いろいろ
雑多
(
ざつた
)
と
面白
(
おもしろ
)
き
262
景色
(
けしき
)
をながめ
来
(
き
)
てみれば
263
千尋
(
ちひろ
)
の
谷間
(
たにま
)
に「ウントコシヨ
264
ヤツトコドツコイきつい
坂
(
さか
)
」
265
グヅグヅしてゐちや
危
(
あぶな
)
いぞ
266
キヤツと
一声
(
ひとこゑ
)
「ウントコシヨ
267
けたたましくもドツコイシヨ」
268
女
(
をんな
)
の
叫
(
さけ
)
び
声
(
ごゑ
)
がする
269
照国別
(
てるくにわけ
)
に
従
(
したが
)
ひて
270
声
(
こゑ
)
を
尋
(
たづ
)
ねて
来
(
き
)
てみれば
271
思
(
おも
)
ひもよらぬ
菖蒲
(
あやめ
)
さま
272
兄妹
(
きやうだい
)
名乗
(
なの
)
りをあげ
乍
(
なが
)
ら
273
二人
(
ふたり
)
の
親
(
おや
)
の
御
(
ご
)
難儀
(
なんぎ
)
を
274
救
(
すく
)
はむ
為
(
ため
)
と
勇
(
いさ
)
みたち
275
此
(
この
)
山坂
(
やまさか
)
を
上
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く
276
其
(
その
)
いでたちの
勇
(
いさ
)
ましさ
277
「ウントコドツコイ、ハーハーハー」
278
本当
(
ほんたう
)
にきつい
坂路
(
さかみち
)
ぢや
279
コレコレまうし
菖蒲
(
あやめ
)
さま
280
足元
(
あしもと
)
用心
(
ようじん
)
なされませ
281
ここには
蛇
(
へび
)
や
蜈蚣
(
むかで
)
めが
282
沢山
(
たくさん
)
路
(
みち
)
に
横
(
よこ
)
たはり
283
手具脛
(
てぐすね
)
引
(
ひ
)
いて
待
(
ま
)
つてゐる
284
此奴
(
こいつ
)
も
矢張
(
やつぱ
)
りバラモンの
285
大足別
(
おほだるわけ
)
の
醜魂
(
しこみたま
)
286
蛇
(
へび
)
や
蜈蚣
(
むかで
)
となりかはり
287
害
(
がい
)
を
加
(
くは
)
へて「ドツコイシヨ」
288
困
(
こま
)
らしやらむと
待
(
ま
)
つのだろ
289
虫
(
むし
)
一匹
(
いつぴき
)
と
言
(
い
)
うたとて
290
決
(
けつ
)
して
油断
(
ゆだん
)
はなりませぬ
291
「ウントコドツコイドツコイシヨ」
292
これ
程
(
ほど
)
きつい
山路
(
やまみち
)
を
293
越
(
こ
)
えて
行
(
ゆ
)
かねばならぬよな
294
山奥
(
やまおく
)
深
(
ふか
)
き
岩窟
(
がんくつ
)
に
295
潜
(
ひそ
)
んでゐる
奴
(
やつ
)
あ「ドツコイシヨ」
296
ロクな
奴
(
やつ
)
ではあるまいに
297
本当
(
ほんたう
)
に
力
(
ちから
)
があるならば
298
正々
(
せいせい
)
堂々
(
だうだう
)
と
広原
(
くわうげん
)
に
299
館
(
やかた
)
を
構
(
かま
)
へてゐるだらう
300
獣
(
けもの
)
もロクに
通
(
かよ
)
へない
301
此
(
この
)
谷路
(
たにみち
)
のドン
奥
(
おく
)
に
302
鳥
(
とり
)
なき
里
(
さと
)
の
蝙蝠
(
かうもり
)
を
303
気取
(
きど
)
つてゐやがる
馬鹿神
(
ばかがみ
)
は
304
どうで
弱虫
(
よわむし
)
腰抜
(
こしぬけ
)
の
305
張本人
(
ちやうほんにん
)
に
違
(
ちが
)
ひない
306
脾肉
(
ひにく
)
の
歎
(
たん
)
にたへかぬる
307
梅公
(
うめこう
)
さまが
只
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
308
あつたら「ドツコイドツコイシヨ」
309
バラモン
教
(
けう
)
の
奴原
(
やつばら
)
を
310
片
(
かた
)
つ
端
(
ぱし
)
からなで
切
(
ぎ
)
りに
311
するのは
手間暇
(
てまひま
)
いらね
共
(
ども
)
312
ヤツパリ
一人
(
ひとり
)
は
危
(
あぶな
)
いと
313
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
宣直
(
のりなほ
)
し
314
四
(
よ
)
人
(
にん
)
一度
(
いちど
)
に
上
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く
315
力
(
ちから
)
が
余
(
あま
)
りて
仕様
(
しやう
)
がない
316
千引
(
ちびき
)
の
岩
(
いは
)
もて
鶏
(
にはとり
)
の
317
玉子
(
たまご
)
をわるより
易
(
やす
)
からう
318
あゝ
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い
319
清春山
(
きよはるやま
)
はまだ
来
(
こ
)
ぬか
320
何
(
なに
)
をグヅグヅしてゐるぞ
321
アタ
邪魔臭
(
じやまくさ
)
い
邪魔臭
(
じやまくさ
)
い
322
ヤツパリ
俺
(
おれ
)
が
てく
らねば
323
山
(
やま
)
はどうしても
動
(
うご
)
かない
324
「ウントコドツコイドツコイシヨ」
325
向
(
むか
)
ふに
見
(
み
)
ゆる
黒煙
(
くろけむり
)
326
どうやらあこが
岩窟
(
がんくつ
)
だ
327
さぞ
今頃
(
いまごろ
)
は
御
(
ご
)
両親
(
りやうしん
)
328
われ
等
(
ら
)
の
到
(
いた
)
るを
待
(
ま
)
ちかねて
329
厶
(
ござ
)
るであらう「ドツコイシヨ」
330
悪
(
あく
)
のみたまの
年
(
ねん
)
のあき
331
いよいよこれから
正念場
(
しやうねんば
)
332
進
(
すす
)
めや
進
(
すす
)
めいざ
進
(
すす
)
め
333
照国別
(
てるくにわけ
)
や
菖蒲
(
あやめ
)
さま
334
照公
(
てるこう
)
さまも
潔
(
いさぎよ
)
く
335
駒
(
こま
)
に
鞭
(
むち
)
打
(
う
)
ち
進
(
すす
)
みませ
336
それそれそこに
高
(
たか
)
い
石
(
いし
)
337
遠慮
(
ゑんりよ
)
会釈
(
ゑしやく
)
も「ドツコイシヨ」
338
知
(
し
)
らぬ
顔
(
かほ
)
して
立
(
た
)
つてゐる
339
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
岩窟
(
がんくつ
)
に
340
進
(
すす
)
んで
曲津
(
まがつ
)
の
首
(
かうべ
)
をば
341
片
(
かた
)
つ
端
(
ぱし
)
から
切
(
き
)
りおとし
342
勝鬨
(
かちどき
)
あげて
三五
(
あななひ
)
の
343
教
(
をしへ
)
を
照
(
て
)
らし
世
(
よ
)
の
人
(
ひと
)
の
344
悩
(
なや
)
みを
救
(
すく
)
ひ
助
(
たす
)
くべし
345
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
346
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
347
われ
等
(
ら
)
一行
(
いつかう
)
四
(
よ
)
人
(
にん
)
づれ
348
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
世
(
よ
)
の
為
(
ため
)
に
349
雄々
(
をを
)
しき
功績
(
いさを
)
をたてぬいて
350
二人
(
ふたり
)
の
親
(
おや
)
の
生命
(
せいめい
)
を
351
救
(
すく
)
ひて
月
(
つき
)
の
都
(
みやこ
)
まで
352
進
(
すす
)
ませ
玉
(
たま
)
へ
大神
(
おほかみ
)
の
353
御前
(
みまへ
)
に
慎
(
つつし
)
みねぎまつる』
354
と
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
355
勢
(
いきほひ
)
よく
秋風
(
あきかぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かれつつ
谷間
(
たにま
)
を
登
(
のぼ
)
り
行
(
ゆ
)
く。
356
(
大正一一・一〇・二八
旧九・九
松村真澄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 浮木の森
(B)
(N)
焼糞 >>>
霊界物語
>
第39巻
> 第4篇 浮木の岩窟 > 第14章 清春山
Tweet
目で読むのに疲れたら耳で聴こう!霊界物語の朗読ユーチューブ
オニド関連サイト
最新更新情報
10/22
【霊界物語ネット】
『
王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)
』をテキスト化しました。
9/18
【
飯塚弘明.com
】
飯塚弘明著『
PTC2 出口王仁三郎の霊界物語で透見する世界現象 T之巻
』発刊!
5/8
【霊界物語ネット】
霊界物語ネットに出口王仁三郎の
第六歌集『霧の海』
を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【14 清春山|第39巻(寅の巻)|霊界物語/rm3914】
合言葉「みろく」を入力して下さい→