霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サブスクのお知らせ
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一四章 清春山(きよはるやま)〔一〇七九〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第39巻 舎身活躍 寅の巻 篇:第4篇 浮木の岩窟 よみ(新仮名遣い):うききのがんくつ
章:第14章 清春山 よみ(新仮名遣い):きよはるやま 通し章番号:1079
口述日:1922(大正11)年10月28日(旧09月9日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年5月5日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
清春山の大岩窟には、バラモン教の一派が暴力をもって地方民に生産物を奉納させ、信仰を強要し、恨みの声は地上に満ちている有様であった。
照国別は照公・梅公を連れて清春山山麓にさしかかったとき、谷底に聞こえてきた女の声に立ち止まった。一行が谷底に向かうと、大の男が女を縛って打ち殴っている。宣伝歌を歌いながら近づくと、男たちは逃げてしまった。
女は、梅彦というウラル教徒の兄が竜宮の一つ島へ渡ったのを探しいているのだという。三五教に梅彦という宣伝使がいると聞き、信者と化けて兄の行方を探っていたが、いつしかその教えがありがたくなり、本当の三五教徒になったのだという。
女は、兄の行方を尋ねる旅の途上、清春山に巣窟を構える大足別というバラモン教の悪神の部下たちに捉えられていたのだと明かした。照国別は、女の名・菖蒲から、この女が自分の妹であることを確信した。
菖蒲は大足別の妻になるようにと強要され、両親をさらわれてしまったことを照国別に明かした。照国別は大神の使命の途中に寄り道をすることをためらうが、照公と梅公は、人々の危難を見過ごして通り過ぎるわけにはいかない、と主張し、大足別を言向け和しに出発することになった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-11-21 10:35:54 OBC :rm3914
愛善世界社版:194頁 八幡書店版:第7輯 350頁 修補版: 校定版:204頁 普及版:83頁 初版: ページ備考:
001 フサと(つき)との国境(くにざかひ)屹山(きつりつ)せる半禿山(はんはげやま)山奥(やまおく)大岩窟(だいがんくつ)(かま)へて、002バラモン(けう)開設(かいせつ)し、003一方(いつぱう)無暗(むやみ)地方民(ちはうみん)生産物(せいさんぶつ)暴力(ばうりよく)(もつ)奉納(ほうなふ)せしめ、004驕慢(けうまん)()(つの)怨嗟(ゑんさ)(こゑ)地上(ちじやう)()ちてゐる。005バラモン(けう)宣伝使(せんでんし)清春山(きよはるやま)部下(ぶか)(かぎ)り、006左手(ゆんで)にコーランを()右手(めて)(つるぎ)(たづさ)へて無理(むり)往生(わうじやう)信仰(しんかう)強要(きやうえう)しつつあつた。
007 照国別(てるくにわけ)照公(てるこう)008梅公(うめこう)両人(りやうにん)(とも)に、009河鹿(かじか)(たうげ)(なん)なく打越(うちこ)清春山(きよはるやま)山麓(さんろく)にさしかかる(とき)しもあれや、010(にはか)谷底(たにそこ)(きこ)える(をんな)(さけ)(ごゑ)一同(いちどう)立止(たちど)まり(しば)(かうべ)(かたむ)けてゐた。011(さけ)(ごゑ)益々(ますます)(はげ)しくなつて()た。012只事(ただごと)ならじと照国別(てるくにわけ)一行(いつかう)悲鳴(ひめい)(たづ)ねて谷底(たにそこ)近寄(ちかよ)()れば、013(だい)(をとこ)四五(しご)(にん)014(をんな)後手(うしろで)(しば)打擲(ちやうちやく)してゐる。015(ひと)(たす)くる宣伝使(せんでんし)016これが()すてておかれやうかと、017宣伝歌(せんでんか)(うた)(なが)(その)()間近(まぢか)くかけつけた。018()(にん)荒男(あらをとこ)(さん)(にん)姿(すがた)()るより、019あわてふためき、020(をんな)をそこに(のこ)して、021チリヂリバラバラに(おも)(おも)ひの(はう)()げて()く。022照国別(てるくにわけ)(をんな)側近(そばちか)立寄(たちよ)り、
023照国別吾々(われわれ)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)024(この)街道(かいだう)(とほ)(をり)しも、025(にはか)(をんな)(さけ)(ごゑ)026コリヤ何事(なにごと)惨劇(さんげき)(えん)ぜられてゐるのであらう、027(なに)()もあれ(たす)けねばなるまいとここ(まで)(たづ)ねて()たもの、028最早(もはや)吾々(われわれ)(あら)はれた以上(いじやう)大丈夫(だいぢやうぶ)だから、029()安心(あんしん)なされよ』
030親切(しんせつ)(いた)はれば、031(をんな)()をしばたき、
032女(菖蒲)『ハイ、033有難(ありがた)(ござ)います、034ようマア危急(ききふ)存亡(そんばう)場合(ばあひ)をお(たす)(くだ)さいました。035これと()ふのも(まつた)(かみ)(さま)のお(たす)けで(ござ)いませう。036(なに)(かく)しませう、037(わたし)三五教(あななひけう)信者(しんじや)038(あに)行方(ゆくへ)(たづ)ねて巡礼(じゆんれい)する(もの)039(をんな)一人旅(ひとりたび)040ここ(まで)(まゐ)りますとバラモン(けう)連中(れんちう)取巻(とりま)かれ、041高手(たかて)小手(こて)(いまし)められ、042無体(むたい)要求(えうきう)立腹(りつぷく)(あま)り、043(くち)(きは)めて(ののし)つてやりました(ところ)044()(にん)(をとこ)(おほい)(いか)(ころ)してくれむと四方(しはう)八方(はつぱう)より、045(かたな)(さや)にて(からだ)一面(いちめん)(ところ)かまはず、046()いて()いて()きまはし、047苦痛(くつう)()へかね、048卑怯(ひけふ)にも悲鳴(ひめい)()げた(ところ)(ござ)います。049よくマアお(たす)(くだ)さいました』
050照国別(てるくにわけ)『それは(あぶな)(こと)051マアマア安心(あんしん)なさい。052オイ、053照公(てるこう)054梅公(うめこう)055(この)婦人(ふじん)(いましめ)()け』
056 『ハイ』と(こた)へて両人(りやうにん)手早(てばや)(いましめ)をときにかかつた。
057照公(てるこう)(なん)とマア惨酷(ざんこく)(しば)りやうだ。058藤蔓(ふぢづる)(にく)にくひ()(やう)(しば)つてゐやがる』
059()(なが)守刀(まもりがたな)をスラリと(ひき)ぬき、060(つる)()(はな)し、061(をんな)(やうや)くにして(いましめ)よりとき(はな)つた。
062(をんな)(菖蒲)『おかげで安心(あんしん)(いた)しました。063あなたは三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)(さま)064(わたし)はコーカス(ざん)(まゐ)(ある)動機(どうき)より三五教(あななひけう)信者(しんじや)になつた(もの)(ござ)います。065(わたし)(あに)梅彦(うめひこ)といつて盤古(ばんこ)神王(しんわう)(さま)(をしへ)(つた)ふべく、066竜宮(りうぐう)(ひと)(じま)(まゐ)つたきり、067(いま)行方(ゆくへ)(わか)りませぬ。068父母(ふぼ)はそれを()にして最早(もはや)()()り、069(あと)(のこ)つた(わたし)(ただ)一人(ひとり)070(うち)にゐる(こと)出来(でき)ず、071(うはさ)()けば、072三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)梅彦(うめひこ)といふ(かた)があると(うけたまは)り、073コーカス(ざん)(もと)信者(しんじや)()()んで様子(やうす)(さぐ)(をり)しも、074いつとはなしに三五(あななひ)教理(けうり)有難(ありがた)くなり、075とうとう(まこと)信者(しんじや)となつて(しま)ひました。076(うけたま)はれば(あに)梅彦(うめひこ)自転倒(おのころ)(じま)とやらへ宣伝使(せんでんし)となつて(まゐ)つたと()ふこと、077そして日出別(ひのでわけ)(かみ)(さま)のお弟子(でし)になつた(こと)まで(うけたま)はり、078斎苑(いそ)(やかた)日出別(ひのでわけ)(さま)にお()にかかり、079(あに)所在(ありか)(たづ)ねむと、080アーメニヤを(あと)にはるばる此処(ここ)まで(まゐ)途中(とちう)に、081悪者(わるもの)出会(であ)つてかかる憂目(うきめ)()うた(ところ)(ござ)います。082(この)(ちか)くには清春山(きよはるやま)といふ高山(かうざん)があつて、083(その)山奥(やまおく)大足別(おほだるわけ)といふ悪神(わるがみ)大将(たいしやう)巣窟(さうくつ)(かま)へて()りまする。084(その)部下(ぶか)(ども)(とら)へられ、085大足別(おほだるわけ)女房(にようばう)になれよとの無体(むたい)要求(えうきう)(はら)()てこんな憂目(うきめ)()うてゐた(ところ)086よくマア(たす)けて(くだ)さいました。087たつた一人(ひとり)兄妹(きやうだい)(たづ)ねて(まゐ)(あは)れな(をんな)(ござ)います。088あなた(さま)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)(うけたま)はりましたが、089梅彦(うめひこ)所在(ありか)御存(ごぞん)じでは(ござ)いませぬか』
090照公(てるこう)『ヤア(その)梅彦(うめひこ)とやら梅公(うめこう)とやら()(をとこ)此処(ここ)にザツと一対(いつつゐ)()られますよ』
091(をんな)(菖蒲)『エヽそれは本当(ほんたう)(ござ)いますか』
092照公(てるこう)梅公(うめこう)といふのは(この)(をとこ)093照国別(てるくにわけ)宣伝使(せんでんし)今迄(いままで)梅彦(うめひこ)さまと()つてゐました。094ナアもし宣伝使(せんでんし)(さま)095あなたは何時(いつ)やら、096一人(ひとり)(いもうと)があると仰有(おつしや)つたやうに(おぼ)えて()ります。097ヨモヤ(この)(かた)ではありますまいか、098三日月(みかづき)眉毛(まゆげ)にクルリとした()具合(ぐあひ)099よく()()りますで』
100梅公(うめこう)『ホンにホンに()たりや()たりや、101瓜二(うりふた)つだ。102(なん)()つても照国別(てるくにわけ)(さま)(いもうと)(ちがひ)ない』
103 照国別(てるくにわけ)黙然(もくねん)として(をんな)(かほ)をマジマジと(なが)めてゐる。104(をんな)(また)宣伝使(せんでんし)(かほ)(あな)のあく(ほど)(くび)をかたげ(なが)()つめてゐた。105(しばら)くあつて(をんな)(おも)()つた(やう)に、
106女(菖蒲)『あなたは兄上(あにうへ)ぢや(ござ)いませぬか、107(なつ)かしう(ぞん)じます』
108照国別(てるくにわけ)『お(まへ)幼名(えうめい)(なん)()つたか』
109女(菖蒲)『ハイ(わたし)幼名(えうめい)菖蒲(あやめ)(まを)しました』
110照国別(てるくにわけ)『そんなら(まが)(かた)なき(わが)(いもうと)111ようマア無事(ぶじ)でゐてくれた。112(しか)(なが)海山(うみやま)御恩(ごおん)(ふか)()両親(りやうしん)は、113(この)梅彦(うめひこ)(こと)()にやんでお国替(くにがへ)なさつたか、114アヽ残念(ざんねん)やなア。115如何(どう)して両親(りやうしん)申訳(まをしわけ)()たうか、116(あま)(かみ)(さま)のお(みち)一生(いつしやう)懸命(けんめい)になつて今迄(いままで)両親(りやうしん)(こと)(いもうと)(こと)(わす)れてゐた。117(いもうと)118どうぞ(ゆる)してくれ』
119菖蒲(あやめ)勿体(もつたい)ない兄上(あにうへ)(さま)120(ゆる)すも(ゆる)さぬも(ござ)いませぬ、121()うなる(うへ)最前(さいぜん)(まを)しました(こと)取消(とりけ)します。122(じつ)(ところ)吾々(われわれ)両親(りやうしん)清春山(きよはるやま)岩窟(がんくつ)(とら)はれて()るさうで(ござ)います。123(えう)するに(わたし)女房(にようばう)にくれよと、124バラモン(けう)大足別(おほだるわけ)幾度(いくど)となく使(つかひ)(つか)はしましたなれども、125教理(けうり)(ちが)ふので、126両親(りやうしん)はやらぬと(まを)しますなり、127(わたし)兄上(あにうへ)(めぐ)()うた(うへ)でなければ、128返答(へんたふ)出来(でき)ないと(まを)してゐましたら、129何時(いつ)()にやら、130(わたし)(やま)()つてゐる不在中(るすちう)に、131両親(りやうしん)をかつさらへて、132清春山(きよはるやま)岩窟(がんくつ)立帰(たちかへ)り、133(わたし)女房(にようばう)になるならば、134両親(りやうしん)(いのち)(たす)けてやらう、135さなくば両親(りやうしん)(ころ)して(しま)うとの悪虐(あくぎやく)無道(ぶだう)掛合(かけあひ)136両親(りやうしん)最早(もはや)三五教(あななひけう)信者(しんじや)となつた以上(いじやう)は、137何程(なにほど)(くる)しき責苦(せめく)()うても、138バラモン(けう)には降伏(かうふく)せないと頑張(ぐわんば)つて()りましたから、139さぞ今頃(いまごろ)悪神(わるがみ)(ため)(くるし)んでゐる(こと)でせう。140(わたし)(こころ)(こころ)ならず、141(なん)とかして兄上(あにうへ)所在(ありか)(たづ)兄妹(きやうだい)(ちから)(あは)せて両親(りやうしん)(すく)()さむと、142斎苑(いそ)(やかた)(すす)途中(とちう)(ござ)いました』
143とワツと(ばか)りに(こゑ)をあげて()(たふ)れる(その)(あは)れさ。144照国別(てるくにわけ)吐息(といき)をつき(なが)落涙(らくるい)(しづ)んでゐる。
145照公(てるこう)『ヤア菖蒲(あやめ)(さま)146あなたの(いま)のお(はなし)で、147(なに)もかもハツキリ(いた)しました。148サアこれから宣伝使(せんでんし)(さま)のお(とも)して、149清春山(きよはるやま)征伐(せいばつ)(むか)ひませう』
150照国別(てるくにわけ)(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)より大切(たいせつ)使命(しめい)()(なが)ら、151如何(いか)両親(りやうしん)危難(きなん)(すく)ふとは()へ、152使命(しめい)(はた)さずに、153そんな私上(しじやう)(こと)(いた)されまい、154ハテ(こま)つたことだなア。155両親(りやうしん)(すく)はむとすれば、156大神(おほかみ)使命(しめい)(おく)れる、157(かみ)(めい)(したが)はむとすれば両親(りやうしん)()(うへ)はいかに成行(なりゆ)くかも(はか)られない。158ハテ(こま)つた(こと)出来(でき)たワイ』
159梅公(うめこう)『モシ宣伝使(せんでんし)(さま)160何程(なにほど)()神命(しんめい)なればとて、161途中(とちう)悪者(わるもの)のために(さいな)まれてゐる(もの)があれば、162これを()のがして()(こと)出来(でき)ますまい。163(かへつ)世界(せかい)(すく)宣伝使(せんでんし)職務(しよくむ)(はん)するもので(ござ)いませう。164谷底(たにそこ)(さけ)(ごゑ)(たづ)ねて、165ここへ道寄(みちよ)りしたも(おな)(こと)166そんな斟酌(しんしやく)(けつ)していりますまい、167サア(はや)清春山(きよはるやま)征伐(せいばつ)(まゐ)りませう』
168照国別(てるくにわけ)『お(まへ)のいふのも一応(いちおう)(もつと)もだ。169そんならすまぬ(こと)(なが)ら、170両親(りやうしん)危難(きなん)(すく)(こと)(いた)さう』
171菖蒲(あやめ)兄上(あにうへ)(さま)172有難(ありがた)(ござ)います。173そんなら(わたし)先導(せんと)()ちます。174最早(もはや)(これ)から(さん)()ばかり(おく)まで()けばそこが(てき)岩窟(がんくつ)(いな)()両親(りやうしん)(とら)はれ場所(ばしよ)175かういふ(うち)にも(こころ)(いそ)ぎます。176サア(はや)()つて(くだ)さい』
177照国別(てるくにわけ)『そんなら(てる)さま、178(うめ)さま、179()苦労(くらう)だが一緒(いつしよ)()てくれるか』
180両人(りやうにん)『ハイあなたのお(とも)だもの、181どこへでも(まゐ)ります』
182 照国別(てるくにわけ)二人(ふたり)言葉(ことば)(いきほひ)()183一行(いつかう)()(にん)山奥(やまおく)岩窟(がんくつ)さして、184天津(あまつ)祝詞(のりと)をひそかに奏上(そうじやう)(なが)(たづ)()く。185菖蒲(あやめ)道々(みちみち)(うた)ふ。
186菖蒲(かみ)(おもて)(あら)はれて
187(ぜん)(あく)とを立別(たてわ)ける
188(この)()(つく)りし神直日(かむなほひ)
189(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
190(ただ)何事(なにごと)(ひと)()
191直日(なほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)
192()(あやまち)()(なほ)
193(この)御教(みをしへ)三五(あななひ)
194(たふと)(かみ)()託宣(たくせん)
195とは()(なが)両親(ふたおや)
196悪魔(あくま)(つかさ)(うば)はれて
197どうして見直(みなほ)()(なほ)
198()(なほ)(こと)出来(でき)ようか
199(やま)より(たか)(ちち)(おん)
200(うみ)より(ふか)(はは)(おん)
201(むく)(かへ)さでおくべきか
202(かみ)(われ)()(とも)にあり
203三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
204照国別(てるくにわけ)とはわが(あに)
205(わか)りし(とき)(うれ)しさよ
206曲津(まがつ)(かみ)(おほ)くとも
207悪魔(あくま)(たけ)びは(つよ)くとも
208いかでか(おそ)れむ三五(あななひ)
209(まこと)(ひと)つの神司(かむづかさ)
210仁義(じんぎ)(いくさ)如何(いか)にして
211刃向(はむか)(すべ)のあるべきぞ
212照国別(てるくにわけ)(はじ)めとし
213(てる)さま(うめ)さま菖蒲(あやめ)まで
214(こころ)(あは)(ちから)をば
215(ひと)つになして(すす)むなら
216大足別(おほだるわけ)醜神(しこがみ)
217何程(なにほど)手下(てした)(おほ)くとも
218(あさひ)(つゆ)()ゆる(ごと)
219(ほろ)()かむは()のあたり
220あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
221御霊(みたま)(さち)はひましまして
222曲津(まがつ)(かみ)(くるし)みし
223(ちち)(はは)との生命(せいめい)
224(すく)はせ(たま)惟神(かむながら)
225(かみ)御前(みまへ)()ぎまつる
226(あさひ)()るとも(くも)るとも
227(つき)()つとも()くるとも
228仮令(たとへ)大地(だいち)(しづ)むとも
229三五教(あななひけう)(つか)へたる
230女心(をんなごころ)(ひと)すぢに
231(いは)をも()ぬく(わが)覚悟(かくご)
232言向和(ことむけやは)さでおくべきか
233照国別(てるくにわけ)神司(かむづかさ)
234(かみ)(ちから)をうけ(たま)
235(いま)立派(りつぱ)宣伝使(せんでんし)
236(その)風采(ふうさい)(なん)とやら
237高尚(かうしやう)優美(いうび)(かは)りまし
238(むかし)面影(おもかげ)どこへやら
239英雄(えいゆう)君子(くんし)御姿(みすがた)
240ならせ(たま)ひし(たふと)さよ
241あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
242(おも)ひの()るる(いま)(とき)
243(はな)さく(はる)(いた)(とき)
244アヽ(いさ)ましや(いさ)ましや
245大足別(おほだるわけ)(つよ)くとも
246(かみ)(ちから)()かざらむ
247清春山(きよはるやま)(たか)くとも
248(この)谷路(たにみち)はさかしとも
249なぞや(おそ)れむ三五(あななひ)
250(まこと)(ひと)つの言霊(ことたま)
251言向和(ことむけやは)しバラモンの
252(とりで)にひそむ醜神(しこがみ)
253まつろへ(やは)さでおくべきか
254あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
255御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
256(うた)(なが)(のぼ)()く。257梅公(うめこう)(うしろ)より(うた)ふ。
258梅公三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)
259照国別(てるくにわけ)(したが)ひて
260河鹿(かじか)(たうげ)(うち)わたり
261いろいろ雑多(ざつた)面白(おもしろ)
262景色(けしき)をながめ()てみれば
263千尋(ちひろ)谷間(たにま)に「ウントコシヨ
264ヤツトコドツコイきつい(さか)
265グヅグヅしてゐちや(あぶな)いぞ
266キヤツと一声(ひとこゑ)「ウントコシヨ
267けたたましくもドツコイシヨ」
268(をんな)(さけ)(ごゑ)がする
269照国別(てるくにわけ)(したが)ひて
270(こゑ)(たづ)ねて()てみれば
271(おも)ひもよらぬ菖蒲(あやめ)さま
272兄妹(きやうだい)名乗(なの)りをあげ(なが)
273二人(ふたり)(おや)()難儀(なんぎ)
274(すく)はむ(ため)(いさ)みたち
275(この)山坂(やまさか)(のぼ)()
276(その)いでたちの(いさ)ましさ
277「ウントコドツコイ、ハーハーハー」
278本当(ほんたう)にきつい坂路(さかみち)ぢや
279コレコレまうし菖蒲(あやめ)さま
280足元(あしもと)用心(ようじん)なされませ
281ここには(へび)蜈蚣(むかで)めが
282沢山(たくさん)(みち)(よこ)たはり
283手具脛(てぐすね)()いて()つてゐる
284此奴(こいつ)矢張(やつぱ)りバラモンの
285大足別(おほだるわけ)醜魂(しこみたま)
286(へび)蜈蚣(むかで)となりかはり
287(がい)(くは)へて「ドツコイシヨ」
288(こま)らしやらむと()つのだろ
289(むし)一匹(いつぴき)()うたとて
290(けつ)して油断(ゆだん)はなりませぬ
291「ウントコドツコイドツコイシヨ」
292これ(ほど)きつい山路(やまみち)
293()えて()かねばならぬよな
294山奥(やまおく)(ふか)岩窟(がんくつ)
295(ひそ)んでゐる(やつ)あ「ドツコイシヨ」
296ロクな(やつ)ではあるまいに
297本当(ほんたう)(ちから)があるならば
298正々(せいせい)堂々(だうだう)広原(くわうげん)
299(やかた)(かま)へてゐるだらう
300(けもの)もロクに(かよ)へない
301(この)谷路(たにみち)のドン(おく)
302(とり)なき(さと)蝙蝠(かうもり)
303気取(きど)つてゐやがる馬鹿神(ばかがみ)
304どうで弱虫(よわむし)腰抜(こしぬけ)
305張本人(ちやうほんにん)(ちが)ひない
306脾肉(ひにく)(たん)にたへかぬる
307梅公(うめこう)さまが(ただ)一人(ひとり)
308あつたら「ドツコイドツコイシヨ」
309バラモン(けう)奴原(やつばら)
310(かた)(ぱし)からなで()りに
311するのは手間暇(てまひま)いらね(ども)
312ヤツパリ一人(ひとり)(あぶな)いと
313直日(なほひ)見直(みなほ)宣直(のりなほ)
314()(にん)一度(いちど)(のぼ)()
315(ちから)(あま)りて仕様(しやう)がない
316千引(ちびき)(いは)もて(にはとり)
317玉子(たまご)をわるより(やす)からう
318あゝ面白(おもしろ)面白(おもしろ)
319清春山(きよはるやま)はまだ()ぬか
320(なに)をグヅグヅしてゐるぞ
321アタ邪魔臭(じやまくさ)邪魔臭(じやまくさ)
322ヤツパリ(おれ)てくらねば
323(やま)はどうしても(うご)かない
324「ウントコドツコイドツコイシヨ」
325(むか)ふに()ゆる黒煙(くろけむり)
326どうやらあこが岩窟(がんくつ)
327さぞ今頃(いまごろ)()両親(りやうしん)
328われ()(いた)るを()ちかねて
329(ござ)るであらう「ドツコイシヨ」
330(あく)のみたまの(ねん)のあき
331いよいよこれから正念場(しやうねんば)
332(すす)めや(すす)めいざ(すす)
333照国別(てるくにわけ)菖蒲(あやめ)さま
334照公(てるこう)さまも(いさぎよ)
335(こま)(むち)()(すす)みませ
336それそれそこに(たか)(いし)
337遠慮(ゑんりよ)会釈(ゑしやく)も「ドツコイシヨ」
338()らぬ(かほ)して()つてゐる
339(いち)()(はや)岩窟(がんくつ)
340(すす)んで曲津(まがつ)(かうべ)をば
341(かた)(ぱし)から()りおとし
342勝鬨(かちどき)あげて三五(あななひ)
343(をしへ)()らし()(ひと)
344(なや)みを(すく)(たす)くべし
345あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
346御霊(みたま)(さち)はひましまして
347われ()一行(いつかう)()(にん)づれ
348(かみ)(おん)(ため)()(ため)
349雄々(をを)しき功績(いさを)をたてぬいて
350二人(ふたり)(おや)生命(せいめい)
351(すく)ひて(つき)(みやこ)まで
352(すす)ませ(たま)大神(おほかみ)
353御前(みまへ)(つつし)みねぎまつる』
354(うた)(なが)ら、355(いきほひ)よく秋風(あきかぜ)()かれつつ谷間(たにま)(のぼ)()く。
356大正一一・一〇・二八 旧九・九 松村真澄録)
目で読むのに疲れたら耳で聴こう!霊界物語の朗読ユーチューブ
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki