霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。実験用サイトサブスク
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第七章 文珠(もんじゆ)〔一〇九一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第40巻 舎身活躍 卯の巻 篇:第2篇 寒梅照国 よみ(新仮名遣い):かんばいしょうこく
章:第7章 文珠 よみ(新仮名遣い):もんじゅ 通し章番号:1091
口述日:1922(大正11)年11月02日(旧09月14日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1924(大正13)年5月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
騎馬隊は、バラモン軍の武将・片彦の一隊であった。照国別一行は、彼らがイソ館への進軍の先鋒隊だと聞いてなんとか追い返そうと思案をめぐらした。
照国別は声も涼しく宣伝歌を歌い始めた。その言霊に打たれて、早くも騎馬隊の四五人は馬首をめぐらし躊躇の色が見え始めた。片彦は味方に叱咤し、今こそ三五教の宣伝使を打ち倒す時だと活を入れた。
照国別に襲い来る騎馬武者たちを見かねて、岩彦は金剛杖を振り回して突撃し、馬の足を殴り倒した。二騎が落馬し、騎馬隊は一目散に逃げ散った。岩彦は敵の馬を奪い、騎馬隊を追いかけて行ってしまった。
照国別は泰然として宣伝歌を歌っていたが、照公、梅公とともに岩彦が打ち落とした敵の騎馬武者二名を介抱し始めた。二人はたちまち回復すると、照国別一行に命乞いを始めた。
照国別は、バラモン教の騎馬武者ケーリスとタークスを自分の弟子となし安堵させると、清春山への使いを頼み、その後はイソ館に行って修業をなすよう諭し、手紙を託して送り出した。
一方、片彦の一隊を追って行った岩彦は、バラモン教の援軍に攻められて身体一面に矢を受け、瀕死の重傷を負って地面に転落してしまった。片彦と釘彦が岩彦の首を取ろうとしたとき、どこからともなく唐獅子の大群が現れた。
巨大な獅子の背にまたがった大男の眉間から強烈な神光が発射され、その勢いにバラモン軍は散り散りに逃げてしまった。
岩彦が気が付いてその神人を見上げると、それは時置師神・杢助であった。岩彦は驚きかつ喜び、杢助にお礼を述べた。
杢助は笑って岩彦の乱暴をいさめると、一頭の大きな唐獅子を岩彦に託し、ライオン河を渡って黄金姫・清照姫の遭難を救うように命じて姿を隠してしまった。実は木花姫命が杢助の姿を借りて、岩彦を助けたのであった。
このときから岩彦の姿は透き通って鼈甲のようになっていた。岩彦は文殊菩薩となり、獅子の助けによって月の国の諸所に縦横無尽に変幻出没し、三五教の神軍を助けることになった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-11-29 10:53:38 OBC :rm4007
愛善世界社版:80頁 八幡書店版:第7輯 448頁 修補版: 校定版:84頁 普及版:39頁 初版: ページ備考:
001 照国別(てるくにわけ)照公(てるこう)002梅公(うめこう)003岩彦(いはひこ)宣伝使(せんでんし)(とも)にクルスの(もり)休息(きうそく)する(をり)しも、004前方(ぜんぱう)よりイソ(やかた)(むか)つて進撃(しんげき)する鬼春別(おにはるわけ)部将(ぶしやう)片彦(かたひこ)一隊(いつたい)(きた)るに()ひ、005(ひそ)かに()(しげ)みに(かく)れて様子(やうす)(うかが)ひつつあつた。006片彦(かたひこ)一隊(いつたい)数十騎(すうじつき)はライオン(がは)(わた)り、007百丁(ひやくちやう)(あま)りの(みち)疾駆(しつく)して、008(やうや)くクルスの(もり)到着(たうちやく)し、009人馬(じんば)休息(きうそく)をなさむと(うま)()()て、010(もり)(なか)逍遥(せうえう)する(もの)011(また)(よこた)はつて雑談(ざつだん)(ふけ)(もの)もあつた。
012 (この)一隊(いつたい)はイソ(やかた)(むか)攻撃軍(こうげきぐん)先鋒隊(せんぽうたい)とも斥候隊(せきこうたい)ともいふべき重要(ぢゆうえう)任務(にんむ)()いてゐる隊列(たいれつ)である。
013 (しばら)休息(きうそく)(うへ)014片彦(かたひこ)(ふたた)(うま)にヒラリと飛乗(とびの)り、015人員(じんゐん)点呼(てんこ)をなし、016馬上(ばじやう)より大音声(だいおんじやう)()()げて下知(げち)して(いは)く、
017片彦(これ)より(さき)三五教(あななひけう)勢力(せいりよく)範囲(はんゐ)ともいふべき地点(ちてん)である。018清春山(きよはるやま)大足別(おほだるわけ)将軍(しやうぐん)019(いま)やカルマタ(こく)進軍(しんぐん)(ため)不在中(るすちう)なれば、020(まも)(すくな)く、021到底(たうてい)(ちから)とするに()らず。022本隊(ほんたい)のランチ将軍(しやうぐん)は、023(あと)より(すす)(きた)るべしと(いへど)も、024(われ)()(われ)()としての任務(にんむ)あり。025四辺(あたり)(こころ)(くば)り、026左右(さいう)(うかが)ひつつ、027(これ)より以北(いほく)(もつと)注意(ちうい)(えう)す』
028命令(めいれい)しつつあつた。029木蔭(こかげ)(かく)れし照国別(てるくにわけ)一行(いつかう)はイソの(やかた)進軍(しんぐん)先鋒(せんぽう)()き、030仮令(たとへ)少数(せうすう)(いへど)(この)(まま)通過(つうくわ)せしむる(こと)出来(でき)ない。031(なん)とかして(この)先鋒隊(せんぽうたい)()(まく)らねばならない。032(あと)より(きた)玉国別(たまくにわけ)(たい)しても、033照国別(てるくにわけ)(てき)()ひながら(これ)()のがし、034ウブスナ(やま)近付(ちかづ)かしめたりと()はれては、035吾々(われわれ)職務(しよくむ)(つく)せない…………と(うで)()思案(しあん)()れてゐた。
036 岩彦(いはひこ)(こころ)(いら)ち、
037岩彦照国別(てるくにわけ)さま、038大変(たいへん)(こと)になつて()ました。039片彦(かたひこ)一隊(いつたい)()えます。040(これ)(おく)(すす)ませてはなりませぬから、041(ひと)つここで(なん)とか方法(はうはふ)(かう)じようではありませぬか。042最前(さいぜん)のお(はなし)()れば、043三五教(あななひけう)何処(どこ)までも無抵抗(むていかう)主義(しゆぎ)()はれましたが、044(てき)武力(ぶりよく)(もつ)(すす)(きた)るもの、045いかに言霊(ことたま)妙用(めうよう)ありとて、046十数倍(じふすうばい)(てき)(むか)つて(たたか)ふは容易(ようい)(わざ)ではありますまい。047如何(どう)しても武力(ぶりよく)(うつた)へなければ駄目(だめ)でせうから、048あなたは宣伝歌(せんでんか)(うた)魔神(まがみ)(れい)畏服(ゐふく)させて(くだ)さい。049(この)岩彦(いはひこ)得意(とくい)(つゑ)使(つか)ひ、050(てき)真只中(まつただなか)(をど)()んで、051一歩(いつぽ)(これ)より(おく)へは進入(しんにふ)させない(やう)(いた)しますから、052(けつ)して(てき)殺傷(さつしやう)する(やう)(こと)(いた)しませぬ。053(ただ)(てき)威喝(ゐかつ)して、054(もと)()(かへ)(まで)(こと)ですから………』
055照国(てるくに)先鋒隊(せんぽうたい)として黄金姫(わうごんひめ)056清照姫(きよてるひめ)()つて()(はず)だから、057(あと)()(かへ)せば、058(かへつ)両人(りやうにん)(あと)より()()敵軍(てきぐん)(とも)(はさ)()ちに()はす(やう)なものだ。059ハテ(こま)つたことが出来(でき)たものだ。060吾々(われわれ)目的(もくてき)はハルナの(みやこ)大黒主(おほくろぬし)帰順(きじゆん)さすのが使命(しめい)眼目(がんもく)で、061(かれ)()(ごと)木端(こつぱ)武者(むしや)相手(あひて)にすべきものではない。062ぢやといつて、063みすみすイソ(やかた)進撃(しんげき)する一隊(いつたい)()つて、064(これ)防止(ばうし)せざるは吾々(われわれ)職務(しよくむ)(はた)さざるといふもの。065()(かく)言霊(ことたま)(もつ)(かれ)片彦(かたひこ)一隊(いつたい)(むか)戦闘(せんとう)開始(かいし)してみよう。066それでゆかない(とき)岩彦(いはひこ)(かんが)への(とほ)りに(つゑ)使(つか)つて(てき)散乱(さんらん)させる方法(はうはふ)()るより仕方(しかた)はあるまい。067()第一(だいいち)(かみ)(さま)のお(ちから)()つて善戦(ぜんせん)善闘(ぜんとう)する(こと)にせう。068照公(てるこう)069梅公(うめこう)もその用意(ようい)(いた)すがよからう』
070照公(てるこう)(はじ)めて(てき)軍隊(ぐんたい)出会(でつくは)し、071こんな愉快(ゆくわい)(こと)はありませぬワイ。072わが言霊(ことたま)神力(しんりき)(ため)すは(この)(とき)(ござ)いませう』
073(いさぎよ)()つてのけたものの、074(なん)とはなしに(その)(こゑ)(ふる)うてゐた。
075梅公(うめこう)宣伝使(せんでんし)(さま)076万々一(まんまんいち)(てき)馬蹄(ばてい)()(にじ)られ、077(いのち)(あやふ)くなつた(とき)抵抗(ていかう)するかも()れませぬから、078それ(だけ)()承知(しようち)(ねが)つておきます。079(わたし)岩彦(いはひこ)さまのやうに武器(ぶき)使(つか)(こと)不得手(ふえて)です、080(なん)とかして防衛(ばうゑい)をなし、081一身(いつしん)(まも)らねばなりませぬ』
082大事(だいじ)使命(しめい)(わす)れて(ただ)自分(じぶん)安全(あんぜん)(つい)てのみ(こころ)(いた)めて()様子(やうす)であつた。083岩彦(いはひこ)(はや)くも(つゑ)をしごいて、084(つる)(はな)れむとする間際(まぎは)()(ごと)く、085(たい)(しや)(かま)へて、086照国別(てるくにわけ)命令(めいれい)(いま)(おそ)しと()つて()た。087(この)(とき)(てき)(すで)馬首(ばしゆ)(なら)べて北進(ほくしん)せむとする様子(やうす)()えて()た。
088 照国別(てるくにわけ)(こゑ)(すず)しく宣伝歌(せんでんか)(うた)ふ。
089照国別常世(とこよ)(くに)自在天(じざいてん)
090大国彦(おほくにひこ)(まつ)りたる
091バラモン(けう)神館(かむやかた)
092(そら)()(わた)(つき)(くに)
093ハルナの(みやこ)(あら)はれて
094鬼雲彦(おにくもひこ)(また)御名(みな)
095大黒主(おほくろぬし)郎党(らうたう)
096()(つど)ひつつ()(つき)
097(ふたた)(いきほひ)()(かへ)
098(おご)(たか)ぶり(いま)(はや)
099自高(じかう)自慢(じまん)(はな)(たか)
100(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)
101(しづ)まりいますイソ(やかた)
102進撃(しんげき)せむと(すす)()
103(その)扮装(いでたち)(いさ)ましさ
104片彦(かたひこ)いかに(ゆう)あるも
105天地(てんち)(ゆる)がせ雷電(らいでん)
106風雨(ふうう)自由(じいう)叱咤(しつた)する
107三五教(あななひけう)言霊(ことたま)
108いかでか(てき)()ざらむや
109あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
110(かみ)(こころ)見直(みなほ)して
111無謀(むぼう)(いくさ)(おこ)すより
112一日(ひとひ)(はや)真心(まごころ)
113立復(たちかへ)りませ片彦(かたひこ)
114われも(かみ)()(なれ)(また)
115(たふと)(かみ)(うづ)御子(みこ)
116御子(みこ)御子(みこ)とは(むつ)()
117(まこと)(ひと)つの天地(あめつち)
118(かみ)大道(おほぢ)(かな)ひつつ
119(あめ)(した)なる神人(しんじん)
120(すく)(たす)けて神国(かみくに)
121(はしら)とならむ惟神(かむながら)
122(かみ)(まこと)(ちか)ひつつ
123(なれ)(いくさ)()(むか)
124言霊車(ことたまぐるま)()(いだ)
125われは照国別(てるくにわけ)(かみ)
126(この)()()らす照公(てるこう)
127(かみ)御稜威(みいづ)一時(いつとき)
128(ひら)いて(かを)梅公(うめこう)
129(こころ)(かた)宣伝使(せんでんし)
130岩彦司(いはひこつかさ)四人(よたり)(づれ)
131イソの(やかた)立出(たちい)でて
132ここ(まで)(すす)みクルス(もり)
133木蔭(こかげ)(ひそ)(よこた)はり
134()一隊(いつたい)物語(ものがたり)
135完全(うまら)委曲(つばら)聞終(ききをは)
136(さと)りし(うへ)如何(いか)にして
137(なれ)(この)(まま)(とほ)さむや
138鬼春別(おにはるわけ)部下(ぶか)とます
139(なんぢ)片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)
140言霊隊(ことたまたい)神軍(しんぐん)
141勇士(ゆうし)()れし三五(あななひ)
142照国別(てるくにわけ)(こと)()
143いと(たひら)けく(やす)らけく
144(こころ)(かがみ)にうつし()
145(かへり)(たま)惟神(かむながら)
146(かみ)(ちか)ひて()(つた)ふ』
147 (にはか)(もり)(なか)より(きこ)()宣伝歌(せんでんか)(こゑ)に、148片彦(かたひこ)(はじ)一同(いちどう)(あん)相違(さうゐ)し、149(しば)馬首(ばしゆ)(とど)め、150(やや)躊躇(ちうちよ)(いろ)()えて()た。151(あと)(ひか)へし四五(しご)(にん)騎士(きし)言霊(ことたま)()たれて、152(なん)となく怖気(おぢけ)づき、153(はや)くも馬首(ばしゆ)をめぐらし、154()()さむとする形勢(けいせい)さへ()えて()た。155片彦(かたひこ)はこの(てい)()て、156()(いら)ち、157躊躇(ちうちよ)してゐては、158(かへつ)味方(みかた)不統一(ふとういつ)(きた)し、159不利益(ふりえき)(この)(うへ)なしと(こゑ)(はげ)まし、
160片彦『ヤアヤア一同(いちどう)騎士(きし)161三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)一行(いつかう)(あら)はれたり、162大自在天(だいじざいてん)大国彦(おほくにひこの)(かみ)神力(しんりき)()()けたる吾々(われわれ)神軍(しんぐん)勇士(ゆうし)は、163(かれ)()躊躇(ちうちよ)することなく、164馬蹄(ばてい)にかけて()(ころ)せよ』
165(きび)しく下知(げち)すれば、166(こま)(またが)り、167照国別(てるくにわけ)(かた)(むか)つて、168(むち)をきびしく馬背(ばはい)()てながら踏砕(ふみくだ)かむと(すす)()る。169照国別(てるくにわけ)泰然(たいぜん)自若(じじやく)として(あま)数歌(かずうた)奏上(そうじやう)し、170(また)もや宣伝歌(せんでんか)(うた)()した。171されど(こころ)(くも)()つたる曲神(まがかみ)には、172宣伝歌(せんでんか)(ちから)充分(じうぶん)透徹(とうてつ)せず、173(てき)(いのち)(かぎ)りに()(きた)る。174(その)猛勢(まうせい)(うで)(たた)いて待構(まちかま)へてゐた岩彦(いはひこ)は『照国別(てるくにわけ)殿(どの)(ゆる)しあれ』と()ひながら(つる)(はな)れた()(ごと)く、175金剛杖(こんがうづゑ)上下(じやうげ)左右(さいう)(うな)りを()てて()(まは)しながら、176(てき)(むか)つて突撃(とつげき)し、177(またた)(うち)(うま)(あし)(かた)(ぱし)から(なぐ)()てた。178(うま)(おどろ)いて立上(たちあが)り、179馬上(ばじやう)騎士(きし)真逆(まつさか)(さま)地上(ちじやう)転落(てんらく)し、180(うま)()()四方(しはう)八方(はつぱう)()()りゆく。181片彦(かたひこ)騎馬(きば)(まま)182一目散(いちもくさん)南方(なんぱう)さして()(いだ)すを、183岩彦(いはひこ)(てき)(うま)(またが)(つゑ)にて馬腹(ばふく)(むちう)ちながら片彦(かたひこ)(あと)()うて一目散(いちもくさん)(かけ)()く。
184 照国別(てるくにわけ)泰然(たいぜん)自若(じじやく)として(なほ)宣伝歌(せんでんか)(うた)ひつつあつた。185数多(あまた)騎士(きし)(おも)(おも)ひに四方(しはう)八方(はつぱう)()けつ(まろ)びつ散乱(さんらん)した。186されども(きた)へは一人(ひとり)(おそ)れてか()()(もの)はない。187岩彦(いはひこ)膝頭(ひざがしら)()たれて(たふ)れてゐる馬匹(ばひつ)七八頭(しちはつとう)188彼方(あなた)此方(こなた)(うめ)(ごゑ)をあげてゐる。189(うま)から転落(てんらく)する(さい)190(くび)突込(つつこ)み、191肩骨(かたぼね)(はづ)して九死(きうし)一生(いつしやう)(くるし)みを()呻吟(しんぎん)してゐる二人(ふたり)(てき)を、192照公(てるこう)193梅公(うめこう)手分(てわ)けして介抱(かいほう)してゐる。194照国別(てるくにわけ)(てき)負傷者(ふしやうしや)(むか)つて一生(いつしやう)懸命(けんめい)鎮魂(ちんこん)(あた)へた。195(やうや)(くび)(ほね)二人(ふたり)介抱(かいほう)()つて(もと)(ふく)し、196(はづ)れた肩胛骨(けんかうこつ)(もと)(ごと)(をさ)まつた。
197 (さん)(にん)介抱(かいほう)()けて(やうや)(もと)(ふく)したる二人(ふたり)騎士(きし)は、198味方(みかた)一人(ひとり)もあたりに()らず、199(さん)(にん)三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)信者(しんじや)(かほ)()(おほい)(おどろ)き、
200二人の騎士(ケーリス、タークス)(わたし)片彦(かたひこ)将軍(しやうぐん)見出(みいだ)しに(あづ)かり、201バラモン(けう)宣伝使(せんでんし)となつてゐるケーリス、202タークスといふ二人(ふたり)(もの)(ござ)います。203どうぞ今日(こんにち)只今(ただいま)より三五教(あななひけう)帰順(きじゆん)(いた)しますから、204(いのち)ばかりはお(たす)けを(ねが)ひます』
205とハラハラと(なみだ)(なが)して(たの)()んだ。206照国別(てるくにわけ)言葉(ことば)(あらた)めて、207いと慇懃(いんぎん)(いた)はりながら、
208照国別『あなた(がた)矢張(やつぱり)バラモンの宣伝使(せんでんし)(ござ)つたか。209()(なか)相見互(あひみたがひ)だ、210(たがひ)(たす)(たす)けられ、211()ちつ()たれつの()(なか)212三五教(あななひけう)(けつ)してバラモン(けう)(ごと)(てき)殺傷(さつしやう)するといふやうな非人道(ひじんだう)(てき)なことはやらないから安心(あんしん)してゐるがよい。213(つい)ては(なんぢ)()両人(りやうにん)申付(まをしつ)くることがある。214(これ)より清春山(きよはるやま)立寄(たちよ)り、215イソの(やかた)へお使(つかひ)()つてはくれまいかなア』
216二人の騎士(ケーリス、タークス)『ハイ最早(もはや)貴方(あなた)のお弟子(でし)となつた以上(いじやう)如何(いか)なることも(うけたま)はりませう。217(しか)(なが)らイソの(やかた)(まゐ)るの(だけ)(なん)だか(おそ)ろしい心持(こころもち)(いた)します』
218照国別(けつ)して三五教(あななひけう)(てき)でも(たす)ける(やく)だから、219(なんぢ)()(くるし)めるやうなことはない。220(また)照国別(てるくにわけ)弟子(でし)だといへば屹度(きつと)大切(たいせつ)(あつか)つて(くだ)さるであらう。221(いま)手紙(てがみ)()くから、222(これ)()つて清春山(きよはるやま)立寄(たちよ)り、223(その)(つぎ)にはイソの(やかた)()つて()出別(でわけの)(かみ)(さま)面会(めんくわい)し、224(しばら)くイソ(やかた)にて三五(あななひ)(みち)修業(しうげふ)(いた)すやう取計(とりはか)らうてやらう』
225 二人(ふたり)は、
226『ハイ』
227()つたきり有難涙(ありがたなみだ)にくれ、228(ふたた)(うま)(またが)(きた)(きた)へと(すす)むこととなつた。229一通(いつつう)手紙(てがみ)清春山(きよはるやま)のポーロに()て、230帰順(きじゆん)(うなが)文面(ぶんめん)であり、231一通(いつつう)照国別(てるくにわけ)出陣(しゆつぢん)途中(とちう)遭遇(さうぐう)したる一伍(いちぶ)一什(しじふ)()出別(でわけの)(かみ)報告(はうこく)し、232()(この)両人(りやうにん)をして三五教(あななひけう)教理(けうり)(まな)ばしめ、233将来(しやうらい)宣伝使(せんでんし)として(もち)(たま)はば、234相当(さうたう)成績(せいせき)をあぐる(もの)なるべし、235何分(なにぶん)(よろ)しく(たの)()るとの文面(ぶんめん)であつた。236二人(ふたり)(こころ)(そこ)より照国別(てるくにわけ)慈愛(じあい)(かん)じ、237(つひ)清春山(きよはるやま)立寄(たちよ)り、238ポーロに手紙(てがみ)(わた)し、239()いでイソ(やかた)(すす)んで教理(けうり)(まな)び、240(かつ)(また)バラモン(けう)のイソ(やかた)攻撃(こうげき)する一伍(いちぶ)一什(しじふ)作戦(さくせん)計画(けいくわく)(のこ)らず打開(うちあ)けて物語(ものがた)り、241非常(ひじやう)便宜(べんぎ)(あた)へたのである。
242 清春山(きよはるやま)二人(ふたり)立寄(たちよ)り、243ポーロ(その)(ほか)帰順(きじゆん)せしめたる一条(いちでう)(その)()面白(おもしろ)経路(けいろ)(かう)(あらた)めて()ぶることとする。
244 (はなし)(もと)(かへ)つて、245岩彦(いはひこ)駿馬(しゆんめ)(またが)り、246()げゆく片彦(かたひこ)(あと)を、247(おのれ)(うま)(またが)つて一目散(いちもくさん)西南(せいなん)()して()()く。248ライオン(がは)(ちか)くまでやつて()ると、249釘彦(くぎひこ)将軍(しやうぐん)一隊(いつたい)(また)もや数十騎(すうじつき)250片彦(かたひこ)(とも)岩彦(いはひこ)一人(ひとり)()がけて(ゆみ)()かけ、251()めかくる。252岩彦(いはひこ)一隊(いつたい)(まと)となり、253身体(からだ)一面(いちめん)()()され、254(はりねずみ)(ごと)くなつて(しま)つた。255されど生死(せいし)(さかひ)超越(てうゑつ)したる岩彦(いはひこ)獅子(しし)奮迅(ふんじん)(いきほひ)(もつ)て、256(うま)(ひづめ)にて一隊(いつたい)()(にじ)らむと、257前後(ぜんご)左右(さいう)をかけ(めぐ)りつつあつたが、258身体(からだ)重傷(ふかで)(つか)()て、259ドツと馬上(ばじやう)より地上(ちじやう)転落(てんらく)し、260人事(じんじ)不省(ふせい)となつて(しま)つた。261片彦(かたひこ)262釘彦(くぎひこ)将軍(しやうぐん)(いま)(この)(とき)と、263(うま)()()り、264岩彦(いはひこ)(くび)()ねむとする(とき)265何処(いづこ)ともなく山岳(さんがく)(くづ)るるばかりの大音響(だいおんきやう)(とも)数十頭(すうじつとう)唐獅子(からじし)(あら)はれ(きた)り、266(その)(うち)にて(もつと)巨大(きよだい)なる獅子(しし)()(だい)(をとこ)(またが)り、267眉間(みけん)より強烈(きやうれつ)なる神光(しんくわう)発射(はつしや)しながら、268釘彦(くぎひこ)一隊(いつたい)(むか)つて突込(つつこ)(きた)る、269(その)(いきほひ)辟易(へきえき)し、270得物(えもの)()()て、271(あるひ)(うま)()て、272四方(しはう)八方(はつぱう)散乱(さんらん)して(しま)つた。273獅子(しし)(うな)(ごゑ)岩彦(いはひこ)はハツと()()きあたりを()れば、274巨大(きよだい)なる獅子(しし)()(またが)り、275眉間(みけん)より霊光(れいくわう)発射(はつしや)する神人(しんじん)側近(そばちか)莞爾(くわんじ)として(ひか)へてゐる。276岩彦(いはひこ)(からだ)(いた)みを(わす)起直(おきなほ)り、277(ひざまづ)いて救命(きうめい)(おん)(しや)した。278よくよく()れば嵩計(あにはか)らむや、279三五教(あななひけう)にて()(たか)英雄(えいゆう)豪傑(がうけつ)時置師(ときおかしの)(かみ)であつた。280岩彦(いはひこ)(おどろ)きと(よろこ)びの(あま)り、
281岩彦『ヤア貴神(あなた)杢助(もくすけ)(さま)282如何(どう)して(わたし)遭難(さうなん)(わか)りましたか、283よくマア(たす)けて(くだ)さいました』
284 杢助(もくすけ)はカラカラと打笑(うちわら)ひ、
285杢助『イヤ岩彦(いはひこ)286今後(こんご)(けつ)して乱暴(らんばう)なことは(いた)してはなりませぬぞ。287(いやし)くも三五教(あななひけう)宣伝使(せんでんし)たる()(もつ)暴力(ばうりよく)(うつた)(てき)(なや)まさむとするは()神慮(しんりよ)(はん)する行動(かうどう)である。288飽迄(あくまで)善戦(ぜんせん)善闘(ぜんとう)し、289言霊(ことたま)神力(しんりき)発射(はつしや)し、290それにしても()かなければ、291(すき)(ねら)つて(いち)()退却(たいきやく)するも、292(けつ)して神慮(しんりよ)(そむ)くものではない。293(なんぢ)(これ)より(この)獅子(しし)(またが)り、294ライオン(がは)(わた)り、295黄金姫(わうごんひめ)296清照姫(きよてるひめ)遭難(さうなん)(すく)ふべし、297さらば』
298といふより(はや)杢助(もくすけ)姿(すがた)(けむり)()え、299数多(あまた)獅子(しし)(かげ)もなく、300(ただ)一頭(いつとう)巨大(きよだい)なる唐獅子(からじし)のみ両足(りやうあし)(そろ)へ、301行儀(ぎやうぎ)よく(すわ)つてゐた。302(いま)杢助(もくすけ)(あら)はれたのは、303(その)(じつ)五六七(みろくの)大神(おほかみ)(めい)()り、304木花姫(このはなひめの)(みこと)()りに杢助(もくすけ)姿(すがた)(あら)はし、305岩彦(いはひこ)危難(きなん)(すく)はれたのである。306岩彦(いはひこ)(これ)より(ただ)一人(ひとり)唐獅子(からじし)(またが)り、307ライオン(がは)打渡(うちわた)り、308黄金姫(わうごんひめ)危急(ききふ)(すく)ふべく、309(いそ)(あと)()ふこととなつた。
310 (この)(とき)311岩彦(いはひこ)姿(すがた)何時(いつ)()にやら()(とほ)り、312(あだか)鼈甲(べつかう)(ごと)くなつてゐた。313仏者(ぶつしや)所謂(いはゆる)文珠(もんじゆ)菩薩(ぼさつ)岩彦(いはひこ)宣伝使(せんでんし)(みたま)である。314(これ)より岩彦(いはひこ)(つき)(くに)縦横(じうわう)無尽(むじん)獅子(しし)(たす)けに()りて、315所々(しよしよ)変幻(へんげん)出没(しゆつぼつ)し、316三五(あななひ)神軍(しんぐん)を、317危急(ききふ)場合(ばあひ)(あら)はれて(すく)(まも)ることとなつたのである。
318 惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)
319大正一一・一一・二 旧九・一四 松村真澄録)
目で読むのに疲れたら耳で聴こう!霊界物語の朗読ユーチューブ
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki