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第75巻(寅の巻)
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第40巻(卯の巻)
序文に代へて
緒言
総説
第1篇 恋雲魔風
01 大雲山
〔1085〕
02 出陣
〔1086〕
03 落橋
〔1087〕
04 珍客
〔1088〕
05 忍ぶ恋
〔1089〕
第2篇 寒梅照国
06 仁愛の真相
〔1090〕
07 文珠
〔1091〕
08 使者
〔1092〕
09 雁使
〔1093〕
第3篇 霊魂の遊行
10 衝突
〔1094〕
11 三途館
〔1095〕
12 心の反映
〔1096〕
13 試の果実
〔1097〕
14 空川
〔1098〕
第4篇 関風沼月
15 氷嚢
〔1099〕
16 春駒
〔1100〕
17 天幽窟
〔1101〕
18 沼の月
〔1102〕
19 月会
〔1103〕
20 入那の森
〔1104〕
余白歌
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第一四章
空川
(
からかは
)
〔一〇九八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第40巻 舎身活躍 卯の巻
篇:
第3篇 霊魂の遊行
よみ(新仮名遣い):
れいこんのゆうこう
章:
第14章 空川
よみ(新仮名遣い):
からかわ
通し章番号:
1098
口述日:
1922(大正11)年11月03日(旧09月15日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年5月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
レーブとカルは下の大道の惨劇を見て傍観するわけにもゆかず、お互いに宣伝歌を歌って、幾分かでもこの惨状を軽減するように努めようと心を定めた。
二人は眼下の惨状にある人々に向かって、心を改め行いを省み改めるよう呼びかける宣伝歌を歌った。すると自動車や馬車は駕籠に変じ、人々が駕籠をかついで往来するようになってしまった。
いつの間にか左右の道が高くなり、自分たちが通っていた神界道路は川底のようになってしまった。両側の道からは、相変わらず人々が往来する音が盛んに聞こえてくる。
カルとレーブはいつの間にかまた飢えと渇きを感じるようになった。もう五六年の歳月が過ぎたのであろうと話し合っていると、山の頂から二人に呼ばわる者たちがある。見れば、三五教の宣伝使のようであった。
二人は声のする方に向かって行くことを決めた。左右両側の高い大道の上には、数千頭の狼が走り抜けていく。思わず二人は川底の道に伏して、狼の群れが去っていくのを念じていた。どこからともなく、冷たい水が二人の頭上に落ちかかってきた。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-12-02 10:52:32
OBC :
rm4014
愛善世界社版:
184頁
八幡書店版:
第7輯 485頁
修補版:
校定版:
190頁
普及版:
86頁
初版:
ページ備考:
001
レーブとカルの
両人
(
りやうにん
)
は、
002
両側
(
りやうがは
)
の
低
(
ひく
)
き
大道
(
だいだう
)
の
惨劇
(
さんげき
)
を
見
(
み
)
て、
003
傍観
(
ばうくわん
)
する
訳
(
わけ
)
にも
行
(
ゆ
)
かず、
004
心
(
こころ
)
を
定
(
さだ
)
めて、
005
レーブ『オイ、
006
カル、
007
お
前
(
まへ
)
は
現界
(
げんかい
)
の
方
(
はう
)
に
向
(
むか
)
つて
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ、
008
娑婆
(
しやば
)
の
惨状
(
さんじやう
)
を
幾分
(
いくぶん
)
でも
軽減
(
けいげん
)
するやうに
努力
(
どりよく
)
せよ。
009
俺
(
おれ
)
は
幽界
(
いうかい
)
の
大道
(
だいだう
)
に
向
(
むか
)
つて、
010
此
(
この
)
惨劇
(
さんげき
)
を
軽減
(
けいげん
)
すべく
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ふから、
011
両方
(
りやうはう
)
一度
(
いちど
)
に
手分
(
てわ
)
けして
自分
(
じぶん
)
の
天職
(
てんしよく
)
を
全
(
まつた
)
うしようではないか』
012
カル『それなら
俺
(
おれ
)
は
左道
(
さだう
)
に
向
(
むか
)
つて
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ふ
事
(
こと
)
にしよう』
013
レーブ
『ヨシ、
014
さうきまらば
両方
(
りやうはう
)
一時
(
いつとき
)
に
言霊戦
(
ことたません
)
を
開始
(
かいし
)
しよう』
015
と
云
(
い
)
ひながら
両人
(
りやうにん
)
左右
(
さいう
)
に
別
(
わか
)
れ、
016
眼下
(
がんか
)
の
大道
(
だいだう
)
に
行
(
おこな
)
はれてゐる
惨劇
(
さんげき
)
を
見下
(
みお
)
ろしながら
歌
(
うた
)
ひ
始
(
はじ
)
めた。
017
レーブの
歌
(
うた
)
、
018
レーブ
『
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
019
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立別
(
たてわ
)
ける
020
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
021
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
022
只
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
023
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
せ
聞直
(
ききなほ
)
せ
024
身
(
み
)
の
過
(
あやま
)
ちは
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
す
025
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
教
(
をしへ
)
026
三五教
(
あななひけう
)
やバラモンと
027
教
(
をしへ
)
の
区劃
(
くくわく
)
は
立
(
た
)
ちぬれど
028
其
(
その
)
源
(
みなもと
)
を
尋
(
たづ
)
ぬれば
029
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
の
五六七
(
みろく
)
神
(
しん
)
030
誠
(
まこと
)
の
神
(
かみ
)
は
一柱
(
ひとはしら
)
031
開
(
ひら
)
き
給
(
たま
)
ひし
三界
(
さんかい
)
の
032
喜怒
(
きど
)
哀楽
(
あいらく
)
の
有様
(
ありさま
)
は
033
残
(
のこ
)
らず
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
経綸
(
けいりん
)
034
仕組
(
しぐみ
)
にもるるものはなし
035
バラモン
教
(
けう
)
の
神柱
(
かむばしら
)
036
大黒主
(
おほくろぬし
)
に
仕
(
つか
)
へたる
037
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
初
(
はじ
)
めとし
038
それに
従
(
したが
)
ふ
身魂
(
みたま
)
たち
039
玉山峠
(
たまやまたうげ
)
の
谷間
(
たにあひ
)
で
040
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
の
041
御言
(
みこと
)
畏
(
かしこ
)
み
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
042
曲津
(
まがつ
)
の
神
(
かみ
)
を
言向
(
ことむけ
)
けて
043
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
を
地
(
ち
)
の
上
(
うへ
)
に
044
建設
(
けんせつ
)
せむと
進
(
すす
)
みゆく
045
黄金姫
(
わうごんひめ
)
や
清照
(
きよてる
)
の
046
姫
(
ひめ
)
の
命
(
みこと
)
の
前途
(
ぜんと
)
をば
047
擁
(
よう
)
して
戦
(
いくさ
)
挑
(
いど
)
みつつ
048
其
(
その
)
惨劇
(
さんげき
)
は
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
049
短
(
みじか
)
き
浮世
(
うきよ
)
に
永
(
なが
)
らへて
050
永遠
(
ゑいゑん
)
無窮
(
むきう
)
の
霊界
(
れいかい
)
の
051
苦悩
(
くなう
)
の
種
(
たね
)
を
蒔
(
ま
)
くよりは
052
一日
(
ひとひ
)
も
早
(
はや
)
く
大神
(
おほかみ
)
の
053
元
(
もと
)
つ
教
(
をしへ
)
に
省
(
かへり
)
みて
054
心
(
こころ
)
の
駒
(
こま
)
を
立直
(
たてなほ
)
し
055
互
(
たがひ
)
に
睦
(
むつ
)
び
親
(
した
)
しみて
056
天地
(
てんち
)
の
中
(
うち
)
に
生
(
うま
)
れたる
057
神
(
かみ
)
の
御子
(
みこ
)
たる
職責
(
しよくせき
)
を
058
完全
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に
尽
(
つく
)
せかし
059
人
(
ひと
)
は
神
(
かみ
)
の
子
(
こ
)
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
060
仮令
(
たとへ
)
天地
(
てんち
)
はかへるとも
061
現幽神
(
げんいうしん
)
の
三界
(
さんかい
)
に
062
さまよふ
人
(
ひと
)
は
神
(
かみ
)
の
御子
(
みこ
)
063
神
(
かみ
)
の
宮居
(
みやゐ
)
に
違
(
ちがひ
)
ない
064
八十
(
やそ
)
の
曲津
(
まがつ
)
や
醜神
(
しこがみ
)
に
065
心
(
こころ
)
の
根城
(
ねじろ
)
を
占領
(
せんりやう
)
され
066
小
(
ちひ
)
さき
欲
(
よく
)
にからまれて
067
貴重
(
きちよう
)
な
命
(
いのち
)
の
取合
(
とりあ
)
ひを
068
手柄顔
(
てがらがほ
)
して
始
(
はじ
)
むるは
069
道
(
みち
)
を
知
(
し
)
らぬも
程
(
ほど
)
がある
070
現幽神
(
げんいうしん
)
の
三界
(
さんかい
)
の
071
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
を
悟
(
さと
)
りなば
072
無慈悲
(
むじひ
)
極
(
きは
)
まる
戦
(
たたか
)
ひは
073
どうでも
止
(
や
)
めずにやおかれまい
074
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
075
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
076
仁慈
(
じんじ
)
無限
(
むげん
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
077
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
のあれませる
078
イソの
館
(
やかた
)
に
立向
(
たちむか
)
ふ
079
醜神
(
しこがみ
)
たちを
言向
(
ことむ
)
けて
080
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
に
甦
(
よみがへ
)
り
081
現幽神
(
げんいうしん
)
の
三界
(
さんかい
)
の
082
教
(
のり
)
になびかせ
給
(
たま
)
へかし
083
黄金姫
(
わうごんひめ
)
や
清照
(
きよてる
)
の
084
姫
(
ひめ
)
の
司
(
つかさ
)
は
云
(
い
)
ふも
更
(
さら
)
085
ランチ
将軍
(
しやうぐん
)
其
(
その
)
外
(
ほか
)
の
086
百
(
もも
)
の
強者
(
つはもの
)
悉
(
ことごと
)
く
087
神
(
かみ
)
の
御水火
(
みいき
)
の
言霊
(
ことたま
)
に
088
救
(
すく
)
ひ
助
(
たす
)
けて
大神
(
おほかみ
)
の
089
御子
(
みこ
)
とあれます
天職
(
てんしよく
)
を
090
完全
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に
永久
(
とこしへ
)
に
091
立
(
た
)
てさせ
給
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
092
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
祈
(
ね
)
ぎまつる
093
一
(
ひと
)
二
(
ふた
)
三
(
みい
)
四
(
よ
)
五
(
いつ
)
つ
六
(
む
)
つ
094
七
(
なな
)
八
(
や
)
つ
九
(
ここの
)
つ
十
(
たり
)
百
(
もも
)
千
(
ち
)
095
万
(
よろづ
)
の
災
(
わざはひ
)
悉
(
ことごと
)
く
096
払
(
はら
)
はせ
給
(
たま
)
へ
天地
(
あめつち
)
の
097
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御教
(
みをしへ
)
に
098
科戸
(
しなど
)
の
風
(
かぜ
)
の
百草
(
ももぐさ
)
を
099
吹
(
ふ
)
き
靡
(
なび
)
かせる
其
(
その
)
如
(
ごと
)
く
100
あしたの
深霧
(
みきり
)
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
101
深霧
(
みきり
)
を
朝風
(
あさかぜ
)
夕風
(
ゆふかぜ
)
の
102
吹払
(
ふきはら
)
ふ
如
(
ごと
)
悉
(
ことごと
)
く
103
心
(
こころ
)
の
汚
(
けが
)
れ
身
(
み
)
の
曇
(
くも
)
り
104
潮
(
しほ
)
の
八百路
(
やほぢ
)
八潮路
(
やしほぢ
)
の
105
青海
(
あをみ
)
の
原
(
はら
)
の
底
(
そこ
)
深
(
ふか
)
く
106
かかのみ
給
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
107
国治立
(
くにはるたちの
)
大神
(
おほかみ
)
の
108
御前
(
みまへ
)
に
畏
(
かしこ
)
み
願
(
ね
)
ぎまつる』
109
カルの
歌
(
うた
)
、
110
カル
『バラモン
教
(
けう
)
の
大教主
(
だいけうしゆ
)
111
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
開
(
ひら
)
きます
112
教
(
をしへ
)
に
従
(
したが
)
ひ
日
(
ひ
)
に
夜
(
よる
)
に
113
霊
(
みたま
)
を
洗
(
あら
)
ひ
浄
(
きよ
)
めむと
114
尽
(
つく
)
せし
功
(
こう
)
も
荒風
(
あらかぜ
)
に
115
吹
(
ふ
)
かれて
散
(
ち
)
りし
玉山
(
たまやま
)
の
116
峠
(
たうげ
)
の
麓
(
ふもと
)
の
谷底
(
たにそこ
)
に
117
落
(
お
)
ちて
現世
(
げんせ
)
を
立退
(
たちの
)
きし
118
カルの
司
(
つかさ
)
はわれなるぞ
119
吾
(
われ
)
は
幸
(
さいは
)
ひ
大神
(
おほかみ
)
の
120
深
(
ふか
)
き
恵
(
めぐみ
)
に
抱
(
いだ
)
かれて
121
今
(
いま
)
は
嬉
(
うれ
)
しき
霊界
(
れいかい
)
の
122
中
(
なか
)
にも
尊
(
たふと
)
き
真秀良場
(
まほらば
)
や
123
天国
(
てんごく
)
浄土
(
じやうど
)
の
旅
(
たび
)
の
空
(
そら
)
124
神
(
かみ
)
のまにまに
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
125
時
(
とき
)
しもあれや
目
(
め
)
の
下
(
した
)
に
126
忽
(
たちま
)
ち
聞
(
きこ
)
ゆる
鬨
(
とき
)
の
声
(
こゑ
)
127
何者
(
なにもの
)
ならむと
振返
(
ふりかへ
)
り
128
眼下
(
がんか
)
をキツト
見
(
み
)
わたせば
129
うつし
世
(
よ
)
に
住
(
す
)
む
人々
(
ひとびと
)
が
130
喜怒
(
きど
)
哀楽
(
あいらく
)
や
愛悪欲
(
あいをよく
)
131
名利
(
めいり
)
の
鬼
(
おに
)
に
捉
(
とら
)
はれて
132
手
(
て
)
ぶり
足
(
あし
)
ぶりするさまは
133
二目
(
ふため
)
と
見
(
み
)
られぬ
惨状
(
さんじやう
)
ぞ
134
互
(
たがひ
)
に
生血
(
いきち
)
を
搾
(
しぼ
)
り
合
(
あ
)
ひ
135
或
(
あるひ
)
は
互
(
たがひ
)
に
肉
(
にく
)
をそぎ
136
膏
(
あぶら
)
を
搾
(
しぼ
)
り
いが
み
合
(
あ
)
ふ
137
地獄
(
ぢごく
)
か
修羅
(
しゆら
)
か
畜生
(
ちくしやう
)
か
138
比喩
(
たと
)
へ
方
(
がた
)
なき
娑婆
(
しやば
)
世界
(
せかい
)
139
これが
人世
(
じんせ
)
の
行路
(
かうろ
)
かと
140
思
(
おも
)
へば
涙
(
なみだ
)
自
(
おのづか
)
ら
141
滝
(
たき
)
の
如
(
ごと
)
くに
流
(
なが
)
れ
来
(
く
)
る
142
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
143
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
144
仮令
(
たとへ
)
肉体
(
にくたい
)
朽
(
く
)
ちはてて
145
霊体
(
れいたい
)
ばかりの
吾
(
われ
)
なれど
146
之
(
これ
)
が
見
(
み
)
すてておかれうか
147
目下
(
ました
)
を
通
(
とほ
)
る
人々
(
ひとびと
)
よ
148
カルの
言葉
(
ことば
)
をよつく
聞
(
き
)
け
149
死生
(
しせい
)
禍福
(
くわふく
)
を
超越
(
てうゑつ
)
し
150
生
(
せい
)
なく
死
(
し
)
なき
神
(
かみ
)
さまの
151
御霊
(
みたま
)
を
受
(
う
)
けし
人々
(
ひとびと
)
は
152
現界
(
げんかい
)
ばかりが
永久
(
とこしへ
)
の
153
住処
(
すみか
)
にあらず
劫因
(
がふいん
)
の
154
結果
(
けつくわ
)
によりて
天国
(
てんごく
)
に
155
生
(
うま
)
るるもあり
幽界
(
いうかい
)
に
156
おちて
焦熱
(
せうねつ
)
大地獄
(
おほぢごく
)
157
無限
(
むげん
)
の
永苦
(
えいく
)
を
受
(
う
)
くるあり
158
心一
(
こころひと
)
つの
持様
(
もちやう
)
ぞ
159
人
(
ひと
)
は
神
(
かみ
)
の
子
(
こ
)
神
(
かみ
)
の
宮
(
みや
)
160
かかる
尊
(
たふと
)
き
御
(
お
)
諭
(
さと
)
しを
161
聞
(
き
)
きたる
人
(
ひと
)
は
省
(
かへり
)
みよ
162
言心行
(
げんしんかう
)
の
三大
(
さんだい
)
を
163
合一
(
がふいつ
)
させて
現世
(
うつしよ
)
に
164
命
(
いのち
)
のつづく
其
(
その
)
限
(
かぎ
)
り
165
神
(
かみ
)
の
御子
(
みこ
)
たる
職責
(
しよくせき
)
を
166
尽
(
つく
)
して
魂
(
たま
)
の
行末
(
ゆくすゑ
)
は
167
天津
(
あまつ
)
御神
(
みかみ
)
の
永久
(
とこしへ
)
に
168
住
(
すま
)
はせ
給
(
たま
)
ふ
花園
(
はなぞの
)
に
169
常世
(
とこよ
)
の
春
(
はる
)
を
送
(
おく
)
るべく
170
誠
(
まこと
)
を
励
(
はげ
)
み
現世
(
うつしよ
)
の
171
青人草
(
あをひとぐさ
)
の
魂
(
たましひ
)
に
172
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
の
真諦
(
しんたい
)
を
173
完全
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に
宣
(
の
)
り
伝
(
つた
)
ふ
174
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
175
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
176
現世
(
うつしよ
)
の
人
(
ひと
)
ことごとく
177
欲
(
よく
)
の
悪魔
(
あくま
)
にひしがれて
178
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
地獄道
(
ぢごくだう
)
179
無限
(
むげん
)
永苦
(
えいく
)
の
魁
(
さきがけ
)
を
180
根本
(
こんぽん
)
的
(
てき
)
に
改革
(
かいかく
)
し
181
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
子
(
こ
)
と
生
(
うま
)
れたる
182
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
をおしなべて
183
守
(
まも
)
る
真人
(
まびと
)
となさしめよ
184
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
185
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
186
レーブやカルの
願言
(
ねぎごと
)
を
187
完全
(
うまら
)
に
委曲
(
つばら
)
に
聞
(
きこ
)
し
召
(
め
)
せ
188
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
189
畏
(
かしこ
)
み
畏
(
かしこ
)
み
願
(
ね
)
ぎまつる』
190
二人
(
ふたり
)
はかく
歌
(
うた
)
ひ
了
(
をは
)
り、
191
眼下
(
がんか
)
をみれば、
192
今
(
いま
)
まで
目
(
め
)
に
映
(
えい
)
じたる
惨劇
(
さんげき
)
は
煙
(
けむり
)
の
如
(
ごと
)
く
消
(
き
)
え、
193
右道
(
うだう
)
には
三角
(
さんかく
)
の
霊衣
(
れいい
)
を
被
(
かぶ
)
つた
亡者
(
まうじや
)
連
(
れん
)
が
三々
(
さんさん
)
五々
(
ごご
)
杖
(
つゑ
)
を
曳
(
ひ
)
いて、
194
力
(
ちから
)
なげに
北
(
きた
)
へ
北
(
きた
)
へと
進
(
すす
)
んで
行
(
ゆ
)
く。
195
何
(
いづ
)
れも
痩
(
や
)
せ
衰
(
おとろ
)
へ
腰
(
こし
)
屈
(
かが
)
み、
196
或
(
あるひ
)
は
跛者
(
びつこ
)
の
亡者
(
まうじや
)
も
沢山
(
たくさん
)
交
(
まじ
)
つてゐた。
197
目
(
め
)
を
転
(
てん
)
じて
左道
(
さだう
)
を
見下
(
みおろ
)
せば、
198
今
(
いま
)
まで
轟々
(
がうがう
)
と
唸
(
うな
)
りを
立
(
た
)
てて
走
(
はし
)
つてゐた
自動車
(
じどうしや
)
は
忽
(
たちま
)
ち
窮屈
(
きうくつ
)
な
山駕籠
(
やまかご
)
と
変
(
へん
)
じ、
199
数多
(
あまた
)
の
男女
(
なんによ
)
が
肩
(
かた
)
に
棒
(
ぼう
)
を
担
(
かつ
)
ぎ、
200
汗
(
あせ
)
をタラタラ
流
(
なが
)
しながらエチエチと
往来
(
わうらい
)
してゐる。
201
二人
(
ふたり
)
は
物
(
もの
)
をも
言
(
い
)
はず、
202
左道
(
さだう
)
右道
(
うだう
)
を
互
(
たがひ
)
にキヨロキヨロと
見
(
み
)
まはしてゐた。
203
いつの
間
(
ま
)
にやら、
204
左道
(
さだう
)
右道
(
うだう
)
はチクチクと
高
(
たか
)
くなり、
205
恰
(
あだか
)
も
自分
(
じぶん
)
の
通
(
とほ
)
つてゐる
道
(
みち
)
の
両側
(
りやうがは
)
を
垣
(
かき
)
の
如
(
ごと
)
くに
塞
(
ふさ
)
いで
了
(
しま
)
つた。
206
今迄
(
いままで
)
一番
(
いちばん
)
高
(
たか
)
い
道
(
みち
)
だと
思
(
おも
)
うてゐたる
神界
(
しんかい
)
道路
(
だうろ
)
は
水
(
みづ
)
のない
川
(
かは
)
の
底
(
そこ
)
を
行
(
ゆ
)
くやうに
見
(
み
)
えて
来
(
き
)
た。
207
そして
両側
(
りやうがは
)
の
現界
(
げんかい
)
道路
(
だうろ
)
と
幽界
(
いうかい
)
道路
(
だうろ
)
は
自分
(
じぶん
)
の
頭
(
あたま
)
よりも
二三間
(
にさんげん
)
も
高
(
たか
)
くもり
上
(
あが
)
り、
208
其
(
その
)
上
(
うへ
)
を
人馬
(
じんば
)
の
往来
(
わうらい
)
する
音
(
おと
)
盛
(
さかん
)
に
聞
(
きこ
)
えて
来
(
く
)
るのであつた。
209
レーブ『オイ、
210
カル
公
(
こう
)
、
211
天国
(
てんごく
)
忽
(
たちま
)
ち
化
(
くわ
)
して
川底
(
かはそこ
)
となつて
了
(
しま
)
つたぢやないか。
212
そして
俄
(
にはか
)
に
喉
(
のど
)
が
渇
(
かは
)
いて
来
(
き
)
たやうだ。
213
最前
(
さいぜん
)
貰
(
もら
)
つた
足魂
(
たるむすび
)
の
木
(
こ
)
の
実
(
み
)
の
効能
(
かうのう
)
も
最早
(
もはや
)
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せたと
見
(
み
)
えるなア』
214
カル『
最前
(
さいぜん
)
の
女神
(
めがみ
)
の
言
(
い
)
つたには、
215
五六
(
ごろく
)
年
(
ねん
)
が
間
(
あひだ
)
は
飢渇
(
うゑかは
)
く
事
(
こと
)
はないとの
示
(
しめ
)
しであつたが、
216
最早
(
もはや
)
五六
(
ごろく
)
年
(
ねん
)
の
歳月
(
さいげつ
)
が
暮
(
く
)
れたのであらう。
217
何事
(
なにごと
)
も
現界
(
げんかい
)
と
神界
(
しんかい
)
とは
様子
(
やうす
)
が
違
(
ちが
)
ふからなア、
218
神界
(
しんかい
)
で
三千
(
さんぜん
)
年
(
ねん
)
と
言
(
い
)
へば
現界
(
げんかい
)
で
云
(
い
)
ふ
五十六
(
ごじふろく
)
億
(
おく
)
七千万
(
しちせんまん
)
年
(
ねん
)
の
事
(
こと
)
だから、
219
神界
(
しんかい
)
の
一
(
いつ
)
分間
(
ぷんかん
)
が
娑婆
(
しやば
)
の
五六
(
ごろく
)
年
(
ねん
)
に
当
(
あた
)
るだらう』
220
かく
話
(
はな
)
す
折
(
をり
)
しも
何処
(
どこ
)
ともなく、
221
『オーイ オーイ』
222
と
二人
(
ふたり
)
の
名
(
な
)
を
呼
(
よ
)
ぶ
者
(
もの
)
がある。
223
二人
(
ふたり
)
は
声
(
こゑ
)
する
方
(
はう
)
を
見
(
み
)
つめると、
224
青々
(
あをあを
)
とした
山
(
やま
)
の
頂
(
いただき
)
から
三四
(
さんよ
)
人
(
にん
)
の
男
(
をとこ
)
が
此方
(
こなた
)
に
向
(
むか
)
つて
手招
(
てまね
)
きしながら
呼
(
よ
)
ばはつて
居
(
ゐ
)
た。
225
レーブ『オイ、
226
カル
公
(
こう
)
、
227
あの
山
(
やま
)
の
上
(
うへ
)
から
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
を
呼
(
よ
)
んでゐるのは、
228
如何
(
どう
)
やら
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
様
(
やう
)
だぞ。
229
あの
連中
(
れんぢう
)
もヤツパリ
神界
(
しんかい
)
旅行
(
りよかう
)
をやつて、
230
俺
(
おれ
)
たちとは
一足先
(
ひとあしさき
)
に
行
(
い
)
つたのだらう。
231
これ
丈
(
だけ
)
喉
(
のど
)
が
渇
(
かは
)
き
腹
(
はら
)
がすいて
来
(
き
)
ては、
232
到底
(
たうてい
)
あんな
高
(
たか
)
い
山
(
やま
)
へは
上
(
あが
)
る
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ない、
233
だと
云
(
い
)
つてこんな
狭
(
せま
)
い
石
(
いし
)
だらけの
空川
(
からかは
)
の
底
(
そこ
)
にまごついて
居
(
を
)
つても
約
(
つま
)
らぬぢやないか』
234
カル『
何
(
なに
)
は
兎
(
と
)
もあれ、
235
声
(
こゑ
)
する
方
(
はう
)
に
向
(
むか
)
つて
突喊
(
とつかん
)
する
事
(
こと
)
にしよう。
236
倒
(
たふ
)
れたら
倒
(
たふ
)
れた
時
(
とき
)
の
事
(
こと
)
だ』
237
かく
話
(
はな
)
す
折
(
をり
)
しも、
238
両方
(
りやうはう
)
の
土手
(
どて
)
の
上
(
うへ
)
をけたたましく
砂
(
すな
)
ぼこりを
立
(
た
)
てて
走
(
はし
)
りゆくものがある。
239
よくよく
見
(
み
)
れば
数千頭
(
すうせんとう
)
の
狼
(
おほかみ
)
の
群
(
むれ
)
であつた。
240
二人
(
ふたり
)
の
佇
(
たたず
)
む
両側
(
りやうがは
)
の
土手
(
どて
)
の
上
(
うへ
)
から
力
(
ちから
)
一杯
(
いつぱい
)
口
(
くち
)
をあけて、
241
ウーウー……と
唸
(
うな
)
り
立
(
た
)
てる
其
(
その
)
凄
(
すさま
)
じさ。
242
二人
(
ふたり
)
は
川底
(
かはそこ
)
にガワと
伏
(
ふ
)
し、
243
狼
(
おほかみ
)
の
一時
(
いつとき
)
も
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立去
(
たちさ
)
れかしと
念
(
ねん
)
じつつあつた。
244
どこともなしに
冷
(
ひや
)
やかな
水
(
みづ
)
、
245
二人
(
ふたり
)
の
頭上
(
づじやう
)
にボトボトと
落
(
お
)
ちかかつて
来
(
き
)
た。
246
(
大正一一・一一・三
旧九・一五
松村真澄
録)
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