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第78巻(巳の巻)
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第40巻(卯の巻)
序文に代へて
緒言
総説
第1篇 恋雲魔風
01 大雲山
〔1085〕
02 出陣
〔1086〕
03 落橋
〔1087〕
04 珍客
〔1088〕
05 忍ぶ恋
〔1089〕
第2篇 寒梅照国
06 仁愛の真相
〔1090〕
07 文珠
〔1091〕
08 使者
〔1092〕
09 雁使
〔1093〕
第3篇 霊魂の遊行
10 衝突
〔1094〕
11 三途館
〔1095〕
12 心の反映
〔1096〕
13 試の果実
〔1097〕
14 空川
〔1098〕
第4篇 関風沼月
15 氷嚢
〔1099〕
16 春駒
〔1100〕
17 天幽窟
〔1101〕
18 沼の月
〔1102〕
19 月会
〔1103〕
20 入那の森
〔1104〕
余白歌
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第一八章
沼
(
ぬま
)
の
月
(
つき
)
〔一一〇二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第40巻 舎身活躍 卯の巻
篇:
第4篇 関風沼月
よみ(新仮名遣い):
かんぷうしょうげつ
章:
第18章 沼の月
よみ(新仮名遣い):
ぬまのつき
通し章番号:
1102
口述日:
1922(大正11)年11月04日(旧09月16日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1924(大正13)年5月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
満月が葵の沼を照らす中、黄金姫と清照姫の二人は沼のほとりを通りかかった。二人は月を題材に道歌を交わす。
そこへ、沼に映った月を砕き、バサバサと水音を立てて八人の黒い影が沼を渡ってくる。これは、照国別たちから逃げてきたバラモン教徒たちであった。
黄金姫と清照姫は八人の前に立ち現われて、自ら蜈蚣姫だと名乗り立ちはだかった。母娘二人は、男たちをつかんで沼に投げ返した。この勢いに八人は沼を逆戻りしてまた照国別たちの所に逃げていく。
八人はカルとレーブに赦しを乞うが、カルとレーブは八人を片っ端から沼へ投げ落とした。八人は浅い沼を渡って逃げていく。
春公は、八人の会話から沼の反対側に黄金姫と清照姫がいるのではないかと照国別に諮り、一同は沼を渡って母娘を探しに出た。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-12-04 11:16:57
OBC :
rm4018
愛善世界社版:
237頁
八幡書店版:
第7輯 505頁
修補版:
校定版:
245頁
普及版:
110頁
初版:
ページ備考:
001
十五夜
(
じふごや
)
の
満月
(
まんげつ
)
は
水
(
みづ
)
清
(
きよ
)
き
可
(
か
)
なり
広
(
ひろ
)
き
葵
(
あふひ
)
の
沼
(
ぬま
)
に
浮
(
う
)
いてゐる。
002
空
(
そら
)
には
円満
(
ゑんまん
)
清朗
(
せいろう
)
の
月
(
つき
)
、
003
池
(
いけ
)
の
面
(
おも
)
にも
亦
(
また
)
月影
(
つきかげ
)
をうつして、
004
小波
(
さざなみ
)
にゆらいでゐる。
005
そこを
通
(
とほ
)
りかかつた
二人
(
ふたり
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
があつた。
006
これは
黄金姫
(
わうごんひめ
)
、
007
清照姫
(
きよてるひめ
)
の
二人
(
ふたり
)
である。
008
黄金
(
わうごん
)
『
今日
(
けふ
)
の
御
(
ご
)
機嫌
(
きげん
)
のよいお
月
(
つき
)
さまの
御
(
おん
)
かむばせ、
009
まるで
黄金色
(
わうごんいろ
)
のやうだ。
010
一
(
ひと
)
つ
此
(
この
)
池
(
いけ
)
の
畔
(
ほとり
)
で
月
(
つき
)
を
賞翫
(
しやうぐわん
)
しながら
休息
(
きうそく
)
致
(
いた
)
しませうか』
011
清照
(
きよてる
)
『お
母
(
か
)
アさま。
012
お
月様
(
つきさま
)
の
色
(
いろ
)
は
黄金姫
(
わうごんひめ
)
で
厶
(
ござ
)
いますなア、
013
そして
清
(
きよ
)
く
照
(
て
)
り
輝
(
かがや
)
き
給
(
たま
)
ふ
所
(
ところ
)
は
清照姫
(
きよてるひめ
)
といつてもいいやうですなア。
014
さうするとヤツパリ
貴方
(
あなた
)
が
体
(
たい
)
で
私
(
わたし
)
が
用
(
よう
)
といふやうなもの、
015
一
(
いち
)
日
(
にち
)
も
早
(
はや
)
く
此
(
この
)
娑婆
(
しやば
)
世界
(
せかい
)
をして
黄金
(
わうごん
)
世界
(
せかい
)
に
化
(
くわ
)
せしめ、
016
清
(
きよ
)
く
照
(
て
)
り
渡
(
わた
)
る
三五
(
あななひ
)
の
教
(
をしへ
)
を
天下
(
てんか
)
に
輝
(
かがや
)
かしたきもので
厶
(
ござ
)
います。
017
此
(
この
)
沼
(
ぬま
)
は
何
(
なん
)
といふ
沼
(
ぬま
)
で
厶
(
ござ
)
いませうか』
018
黄金姫
『
何
(
なん
)
でも
葵沼
(
あふひぬま
)
とかいふ
事
(
こと
)
だ。
019
青空
(
あをぞら
)
が
映
(
うつ
)
つて、
020
星
(
ほし
)
の
影
(
かげ
)
さへ
浮
(
うか
)
んでゐる。
021
何
(
なん
)
ともいへぬ
景色
(
けしき
)
だ。
022
一
(
ひと
)
つここで
歌
(
うた
)
でもよみませうか』
023
清照姫
『ハイ
宜
(
よろ
)
しからう、
024
お
母
(
か
)
アさまから
一
(
ひと
)
つ
出
(
だ
)
して
下
(
くだ
)
さい、
025
私
(
わたし
)
が
下
(
しも
)
の
句
(
く
)
をつけますから』
026
黄金
(
わうごん
)
……
大空
(
おほぞら
)
も
水底
(
みなそこ
)
までも
葵沼
(
あふひぬま
)
027
清照
(
きよてる
)
………
黄金色
(
わうごんいろ
)
に
月
(
つき
)
は
輝
(
かがや
)
く。
028
黄金姫
黄金
(
わうごん
)
の
玉
(
たま
)
の
姿
(
すがた
)
は
天
(
あめ
)
と
地
(
つち
)
に
029
清照姫
輝
(
かがや
)
きわたり
清
(
きよ
)
く
照
(
て
)
りぬる。
030
黄金姫
清
(
きよ
)
くてる
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
の
一
(
ひと
)
しほに
031
清照姫
沼
(
ぬま
)
に
映
(
うつ
)
りていとどさやけし。
032
黄金姫
月
(
つき
)
うかび
星
(
ほし
)
さへ
浮
(
うか
)
ぶ
此
(
この
)
沼
(
ぬま
)
は
033
清照姫
高天原
(
たかあまはら
)
の
姿
(
すがた
)
なるらむ。
034
黄金姫
三五
(
あななひ
)
の
月
(
つき
)
の
教
(
をしへ
)
をまつぶさに
035
清照姫
上
(
うへ
)
と
下
(
した
)
とに
照
(
て
)
らしゆかなむ。
036
黄金姫
照
(
て
)
りわたる
此
(
この
)
池水
(
いけみづ
)
を
眺
(
なが
)
むれば
037
清照姫
雲井
(
くもゐ
)
の
空
(
そら
)
にまがふべらなり。
038
黄金姫
風
(
かぜ
)
さへも
凪
(
な
)
ぎわたりたる
池
(
いけ
)
の
面
(
も
)
に
039
清照姫
黄金
(
わうごん
)
の
月
(
つき
)
清
(
きよ
)
く
照
(
て
)
るなり。
040
黄金姫
望
(
もち
)
の
夜
(
よ
)
の
月
(
つき
)
の
姿
(
すがた
)
を
眺
(
なが
)
むれば
041
清照姫
心持
(
こころもち
)
よき
沼
(
ぬま
)
の
面
(
おも
)
かな。
042
黄金姫
沼
(
ぬま
)
の
月
(
つき
)
波
(
なみ
)
に
砕
(
くだ
)
けてなみなみと
043
清照姫
動
(
うご
)
く
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
れば
飽
(
あ
)
かぬかも。
044
黄金姫
今宵
(
こよひ
)
こそ
沼
(
ぬま
)
の
畔
(
ほとり
)
に
熟睡
(
うまゐ
)
して
045
清照姫
身魂
(
みたま
)
の
疲
(
つか
)
れ
休
(
やす
)
めむとぞ
思
(
おも
)
ふ。
046
黄金姫
吾
(
わが
)
魂
(
たま
)
は
今
(
いま
)
見
(
み
)
る
月
(
つき
)
の
如
(
ごと
)
くなり
047
清照姫
砕
(
くだ
)
けむとしていかな
砕
(
くだ
)
けず。
048
黄金姫
大空
(
おほぞら
)
に
澄
(
す
)
み
渡
(
わた
)
りたる
月影
(
つきかげ
)
は
049
清照姫
清照姫
(
きよてるひめ
)
の
姿
(
すがた
)
ならまし。
050
黄金姫
清
(
きよ
)
く
照
(
て
)
る
月
(
つき
)
の
姿
(
すがた
)
は
素盞嗚
(
すさのを
)
の
051
清照姫
神
(
かみ
)
の
尊
(
みこと
)
の
光
(
ひかり
)
なるらむ。
052
黄金姫
月読
(
つきよみ
)
の
神
(
かみ
)
の
姿
(
すがた
)
や
瑞御霊
(
みづみたま
)
053
清照姫
沼
(
ぬま
)
の
底
(
そこ
)
まで
照
(
て
)
りわたる
哉
(
かな
)
。
054
黄金
(
わうごん
)
『オホヽヽヽ
清
(
きよ
)
さま、
055
中々
(
なかなか
)
お
上手
(
じやうづ
)
ですこと、
056
黄金姫
(
わうごんひめ
)
も
如何
(
どう
)
やら
歌
(
うた
)
の
種
(
たね
)
が
切
(
き
)
れました』
057
清照
(
きよてる
)
『お
母
(
か
)
アさま、
058
それなら
私
(
わたくし
)
が
始
(
はじ
)
めますから、
059
どうぞ
後
(
あと
)
の
句
(
く
)
をつけて
下
(
くだ
)
さい』
060
黄金
(
わうごん
)
『それも
面白
(
おもしろ
)
からう、
061
やつて
見
(
み
)
なさい』
062
清照
(
きよてる
)
……われは
今
(
いま
)
葵
(
あふひ
)
の
沼
(
ぬま
)
の
月
(
つき
)
を
見
(
み
)
る
063
黄金
(
わうごん
)
………
月
(
つき
)
の
教
(
をしへ
)
を
開
(
ひら
)
く
道
(
みち
)
にて。
064
清照姫
月
(
つき
)
見
(
み
)
れば
此
(
この
)
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
も
楽
(
たの
)
しけれ
065
黄金姫
みちかけ
繁
(
しげ
)
き
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
なれど。
066
清照姫
清
(
きよ
)
く
照
(
て
)
る
月
(
つき
)
に
心
(
こころ
)
をあらはめや
067
黄金姫
天
(
あめ
)
が
下
(
した
)
をば
照
(
て
)
らし
行
(
ゆ
)
く
身
(
み
)
は。
068
清照姫
此
(
この
)
沼
(
ぬま
)
の
主
(
ぬし
)
は
幸
(
さち
)
も
多
(
おほ
)
からむ
069
黄金姫
夜
(
よ
)
な
夜
(
よ
)
な
清
(
きよ
)
き
月
(
つき
)
を
眺
(
なが
)
めて。
070
清照姫
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
打仰
(
うちあふ
)
ぐ
度
(
たび
)
に
目
(
め
)
は
晦
(
くら
)
む
071
黄金姫
月
(
つき
)
のみ
独
(
ひと
)
り
眼
(
まなこ
)
養
(
やしな
)
ふ。
072
清照姫
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
隅
(
くま
)
なく
照
(
て
)
らす
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
073
黄金姫
又
(
また
)
もや
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
めでたし。
074
清照姫
日
(
ひ
)
も
月
(
つき
)
も
世人
(
よびと
)
の
為
(
ため
)
に
大空
(
おほぞら
)
に
075
黄金姫
輝
(
かがや
)
き
給
(
たま
)
ふ
神
(
かみ
)
の
御恵
(
みめぐみ
)
。
076
清照姫
有難
(
ありがた
)
し
三五
(
あななひ
)
の
月
(
つき
)
の
御教
(
みをしへ
)
の
077
黄金姫
旭
(
あさひ
)
の
如
(
ごと
)
く
照
(
て
)
りわたる
世
(
よ
)
は。
078
清照姫
日
(
ひ
)
も
月
(
つき
)
も
波間
(
なみま
)
に
浮
(
うか
)
ぶ
葵沼
(
あふひぬま
)
079
黄金姫
心
(
こころ
)
も
赤
(
あか
)
きわれは
眺
(
なが
)
めつ。
080
清照姫
母
(
おや
)
と
娘
(
こ
)
が
葵
(
あふひ
)
の
沼
(
ぬま
)
を
打眺
(
うちなが
)
め
081
黄金姫
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
をめづる
今日
(
けふ
)
かな。
082
清照姫
バラモンの
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
は
晦日
(
つもごり
)
の
083
黄金姫
暗夜
(
やみよ
)
の
如
(
ごと
)
き
姿
(
すがた
)
なるらむ。
084
清照姫
暗
(
やみ
)
の
夜
(
よ
)
を
照
(
て
)
らし
清
(
きよ
)
むる
黄金
(
わうごん
)
の
085
黄金姫
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
ぞ
雄々
(
をを
)
しかりけり。
086
清照姫
晦日
(
つもごり
)
の
大空
(
おほぞら
)
遠
(
とほ
)
く
眺
(
なが
)
むれば
087
黄金姫
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
暗夜
(
やみよ
)
なりけり。
088
清照姫
鬼熊
(
おにくま
)
の
別
(
わけ
)
の
命
(
みこと
)
の
魂
(
たましひ
)
は
089
黄金姫
空
(
そら
)
行
(
ゆ
)
く
雲
(
くも
)
に
包
(
つつ
)
まれし
月
(
つき
)
。
090
清照姫
大空
(
おほぞら
)
もやがてハルナの
神館
(
かむやかた
)
091
黄金姫
三五
(
あななひ
)
の
月
(
つき
)
の
清
(
きよ
)
く
照
(
て
)
るらむ。
092
清照
(
きよてる
)
『オホヽヽヽ
私
(
わたし
)
もこれで
小出
(
こだ
)
しが
切
(
き
)
れました。
093
又
(
また
)
暇
(
ひま
)
な
時
(
とき
)
、
094
倉庫
(
さうこ
)
よりドツサリ
出
(
だ
)
してお
目
(
め
)
にかけませう』
095
黄金
(
わうごん
)
『オホヽヽヽヽ
清
(
きよ
)
さま、
096
お
前
(
まへ
)
さまも
随分
(
ずゐぶん
)
杢助
(
もくすけ
)
さまの
側
(
そば
)
に
居
(
ゐ
)
たおかげで、
097
滑稽
(
こつけい
)
が
上手
(
じやうづ
)
になりましたな』
098
清照
(
きよてる
)
『コツケコと
東雲
(
しののめ
)
つぐる
鶏
(
とり
)
の
声
(
こゑ
)
099
やがて
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
神
(
かみ
)
や
昇
(
のぼ
)
らむ』
100
黄金
(
わうごん
)
『オホヽヽ
早速
(
さつそく
)
の
滑稽
(
こつけい
)
が
始
(
はじ
)
まつた。
101
ドレ
此
(
この
)
母
(
はは
)
も
一
(
ひと
)
つ
旅
(
たび
)
の
疲
(
つか
)
れを
慰
(
なぐさ
)
むる
為
(
ため
)
、
102
駄句
(
だく
)
つて
見
(
み
)
ませう。
103
葵沼
(
あふひぬま
)
に
赤
(
あか
)
い
心
(
こころ
)
の
神司
(
かむづかさ
)
104
白
(
しろ
)
い
三五
(
あななひ
)
の
月
(
つき
)
を
見
(
み
)
る
哉
(
かな
)
。
105
黄金
(
わうごん
)
の
姫
(
ひめ
)
の
司
(
つかさ
)
が
現
(
あら
)
はれて
106
葵
(
あふひ
)
の
沼
(
ぬま
)
のわれた
月
(
つき
)
みる』
107
清照
(
きよてる
)
『われた
月
(
つき
)
そりや
母
(
かあ
)
さまの
事
(
こと
)
ですよ
108
私
(
わたし
)
の
月
(
つき
)
はまん
丸
(
まる
)
い
月
(
つき
)
』
109
黄金
(
わうごん
)
『オツホヽヽヽ
手
(
て
)
にも
足
(
あし
)
にも
合
(
あ
)
はぬお
嬢
(
ぢやう
)
さまだなア』
110
清照姫
『われぬ
月
(
つき
)
とは
言
(
い
)
ふものの
友彦
(
ともひこ
)
の
111
波
(
なみ
)
に
砕
(
くだ
)
けし
半
(
はん
)
われの
月
(
つき
)
』
112
黄金姫
『うまうまと
母
(
はは
)
の
前
(
まへ
)
にて
嘘
(
うそ
)
をつき
113
つき
通
(
とほ
)
さむとするぞ
可笑
(
をか
)
しき』
114
清照姫
『
片
(
かた
)
われの
月
(
つき
)
さへ
望
(
もち
)
の
夜
(
よ
)
となれば
115
どこもかけない
黄金
(
わうごん
)
の
月
(
つき
)
』
116
黄金
(
わうごん
)
『オホヽヽヽヽ
余
(
あま
)
り
月々
(
つきつき
)
云
(
い
)
うてると、
117
月
(
つき
)
がひつくり
返
(
かへ
)
つて、
118
キズが
出
(
で
)
て
来
(
き
)
ます。
119
モウいい
加減
(
かげん
)
に
歌
(
うた
)
の
材料
(
ざいれう
)
も
つき
だ。
120
サアサアここでゆつくり
寝
(
ね
)
ツキ
ませう』
121
清照
(
きよてる
)
『
私
(
わたし
)
も
ツキ
合
(
あ
)
ひにお
側
(
そば
)
に
ツキ
添
(
そ
)
うて、
122
寝
(
ね
)
ツキ
ませう。
123
オホヽヽヽ』
124
と
笑
(
わら
)
ひながら、
125
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
を
浴
(
あ
)
びつつ、
126
蓑
(
みの
)
を
布
(
し
)
いて
沼
(
ぬま
)
の
畔
(
ほとり
)
に
たわい
もなく
横
(
よこた
)
はる。
127
斯
(
か
)
かる
所
(
ところ
)
へ、
128
沼
(
ぬま
)
に
浮
(
うか
)
んだ
月
(
つき
)
を
砕
(
くだ
)
いて、
129
バサバサバサと
波
(
なみ
)
を
蹴破
(
けやぶ
)
り、
130
走
(
はし
)
つて
来
(
き
)
た
七八
(
しちはち
)
人
(
にん
)
の
黒
(
くろ
)
い
影
(
かげ
)
、
131
エル『あゝあ、
132
ドテライ
目
(
め
)
に
会
(
あ
)
うた。
133
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
、
134
小糸姫
(
こいとひめ
)
の
両人
(
りやうにん
)
に、
135
テツキリと
玉山峠
(
たまやまたうげ
)
の
南坂
(
みなみざか
)
で
出会
(
でつくは
)
し、
136
カルの
大将
(
たいしやう
)
の
命令
(
めいれい
)
で、
137
遮二
(
しやに
)
無二
(
むに
)
攻
(
せ
)
めかけた
所
(
ところ
)
、
138
苦
(
く
)
もなく
谷底
(
たにそこ
)
へ
取
(
と
)
つてほられ、
139
気絶
(
きぜつ
)
して
一途
(
いちづ
)
の
川
(
かは
)
まで
鬼
(
おに
)
に
引
(
ひ
)
きゆかれ
困
(
こま
)
つてゐる
所
(
ところ
)
へ、
140
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
がやつて
来
(
き
)
やがつて、
141
何
(
なん
)
とも
知
(
し
)
れぬ
甘露水
(
かんろすゐ
)
を
呑
(
の
)
ませて
呉
(
く
)
れやがつたと
思
(
おも
)
へば、
142
谷底
(
たにそこ
)
にブツ
倒
(
たふ
)
れて
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
てゐたのであつた。
143
本当
(
ほんたう
)
にこはい
夢
(
ゆめ
)
だつたが、
144
気
(
き
)
がついて
見
(
み
)
ると
馬鹿
(
ばか
)
らしい、
145
それにも
拘
(
かかは
)
らず、
146
カルの
大将
(
たいしやう
)
奴
(
め
)
、
147
安眠中
(
あんみんちう
)
に
起
(
おこ
)
されて、
148
命
(
いのち
)
の
御
(
ご
)
恩人
(
おんじん
)
だなどと、
149
御
(
ご
)
追従
(
つゐしよう
)
を
百万
(
ひやくまん
)
陀羅
(
だら
)
並
(
なら
)
べ、
150
胸糞
(
むねくそ
)
が
悪
(
わる
)
くつてたまらない、
151
とうと
彼奴
(
あいつ
)
ア
三五教
(
あななひけう
)
に
沈没
(
ちんぼつ
)
して
了
(
しま
)
ひやがつた、
152
猫
(
ねこ
)
の
目
(
め
)
の
玉
(
たま
)
程
(
ほど
)
よく
気
(
き
)
の
変
(
かは
)
る
奴
(
やつ
)
だ。
153
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
はどこ
迄
(
まで
)
も
初心
(
しよしん
)
を
変
(
へん
)
ぜず、
154
大黒主
(
おほくろぬしの
)
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
為
(
ため
)
に
身命
(
しんめい
)
を
捧
(
ささ
)
げたのだから、
155
あんな
柔弱
(
にうじやく
)
な
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ない、
156
なあキル
公
(
こう
)
、
157
本当
(
ほんたう
)
に
約
(
つま
)
らぬ
腰弱
(
こしよわ
)
ぢやないか』
158
キル『オヽさうだ、
159
おれも
余
(
あま
)
りケツ
体
(
たい
)
が
悪
(
わる
)
くて、
160
あんな
宣伝使
(
せんでんし
)
に………ハイハイおかげで
命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けて
貰
(
もら
)
ひました………などと、
161
馬鹿
(
ばか
)
らしい、
162
其
(
その
)
場
(
ば
)
逃
(
のが
)
れにお
世辞
(
せじ
)
を
云
(
い
)
つてやつたが、
163
何
(
なん
)
だか
打
(
う
)
たぬ
博奕
(
ばくち
)
に
負
(
ま
)
けた
様
(
やう
)
で、
164
気色
(
きしよく
)
が
悪
(
わる
)
くて
堪
(
たま
)
らない。
165
一
(
ひと
)
つは
仇討
(
あだうち
)
の
為
(
ため
)
、
166
一
(
ひと
)
つは
大黒主
(
おほくろぬし
)
様
(
さま
)
の
前
(
まへ
)
に
功名
(
こうみやう
)
を
立
(
た
)
てる
為
(
ため
)
、
167
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
の
寝息
(
ねいき
)
を
考
(
かんが
)
へて、
168
ソツと
宣伝使
(
せんでんし
)
の
腰
(
こし
)
に
綱
(
つな
)
をつけ、
169
一
(
いつ
)
ぺんにグイと
引張
(
ひつぱ
)
つて
喉
(
のど
)
のしまる
仕掛
(
しかけ
)
をしておいた
所
(
ところ
)
、
170
宣伝使
(
せんでんし
)
の
奴
(
やつ
)
、
171
大変
(
たいへん
)
な
古狸
(
ふるだぬき
)
だから、
172
寝真似
(
ねまね
)
をしてをつたと
見
(
み
)
えて、
173
いつの
間
(
ま
)
にか
魔法
(
まはふ
)
を
使
(
つか
)
ひ、
174
あべこべに
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
をフン
縛
(
じば
)
り、
175
レーブに
綱
(
つな
)
を
引
(
ひ
)
かしやがつた
時
(
とき
)
の
苦
(
くる
)
しさ、
176
今度
(
こんど
)
こそ
本当
(
ほんたう
)
に
幽界
(
いうかい
)
旅行
(
りよかう
)
をせねばならぬかと
心配
(
しんぱい
)
したよ。
177
一体
(
いつたい
)
貴様
(
きさま
)
達
(
たち
)
ア
気
(
き
)
の
利
(
き
)
かぬ
奴
(
やつ
)
だから、
178
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
しやがつて………
命
(
いのち
)
の
御
(
ご
)
恩人
(
おんじん
)
に
恩
(
おん
)
を
仇
(
あだ
)
で
返
(
かへ
)
すよな
事
(
こと
)
をしたら
神罰
(
しんばつ
)
が
当
(
あた
)
るなんて
吐
(
ぬか
)
しやがるものだから、
179
とうとう
計略
(
けいりやく
)
が
外
(
はづ
)
れ、
180
虻蜂取
(
あぶはちと
)
らずになつて
了
(
しま
)
つたぢやないか。
181
今度
(
こんど
)
から
気
(
き
)
をつけぬと、
182
どんな
目
(
め
)
に
会
(
あ
)
はされるか
知
(
し
)
れやしないぞ。
183
本当
(
ほんたう
)
に
馬鹿
(
ばか
)
だなア。
184
今
(
いま
)
にも
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
や
小糸姫
(
こいとひめ
)
が
此
(
この
)
沼
(
ぬま
)
を
迂回
(
うくわい
)
して、
185
ここに
来
(
く
)
るに
違
(
ちがひ
)
ないから、
186
今度
(
こんど
)
はぬかつちやならないぞ。
187
おれ
達
(
たち
)
や
貴様
(
きさま
)
達
(
たち
)
は
大黒主
(
おほくろぬし
)
様
(
さま
)
のおかげで、
188
女房
(
にようぼう
)
子
(
こ
)
を
安楽
(
あんらく
)
に
養
(
やしな
)
うてゐるのぢやないか。
189
よう
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
い、
190
果物
(
くだもの
)
ばかり
食
(
く
)
つて
命
(
いのち
)
をつなぐ
訳
(
わけ
)
にもゆくまい。
191
大黒主
(
おほくろぬし
)
様
(
さま
)
から
御
(
お
)
扶持
(
ふち
)
を
頂
(
いただ
)
かなかつたら、
192
家内中
(
かないぢう
)
が
皆
(
みな
)
かつゑて
死
(
し
)
なねばならない。
193
それ
程
(
ほど
)
大恩
(
たいおん
)
深
(
ふか
)
き
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
様
(
さま
)
の
事
(
こと
)
を
打忘
(
うちわす
)
れ、
194
たつた
自分
(
じぶん
)
一人
(
ひとり
)
の
命
(
いのち
)
を
助
(
たす
)
けてくれた
宣伝使
(
せんでんし
)
が、
195
ナニそれ
程
(
ほど
)
有難
(
ありがた
)
いか、
196
而
(
しか
)
も
安眠
(
あんみん
)
してゐる
所
(
ところ
)
を
起
(
おこ
)
されたと
云
(
い
)
つていい
様
(
やう
)
なものだ。
197
大勢
(
おほぜい
)
の
命
(
いのち
)
を
常住
(
じやうぢう
)
不断
(
ふだん
)
につながして
下
(
くだ
)
さる
大黒主
(
おほくろぬし
)
様
(
さま
)
に、
198
如何
(
どう
)
して
替
(
か
)
へる
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ようか。
199
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
、
200
さうぢやないか』
201
一同
(
いちどう
)
『さう
事
(
こと
)
を
分
(
わ
)
けて
説明
(
せつめい
)
して
貰
(
もら
)
へば、
202
大黒主
(
おほくろぬし
)
さまは
有難
(
ありがた
)
いなア。
203
此
(
この
)
御恩
(
ごおん
)
に
酬
(
むく
)
ゆるには
如何
(
どう
)
しても
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
、
204
小糸姫
(
こいとひめ
)
の
二人
(
ふたり
)
を
捜
(
さが
)
して
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
るのが
第一
(
だいいち
)
の
御
(
ご
)
恩報
(
おんはう
)
じだ。
205
最早
(
もはや
)
将軍
(
しやうぐん
)
はイソ
館
(
やかた
)
へ
進軍
(
しんぐん
)
され、
206
遠
(
とほ
)
く
行
(
ゆ
)
かれたに
違
(
ちがひ
)
ないから、
207
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
は
到底
(
たうてい
)
本隊
(
ほんたい
)
をはなれて、
208
此
(
この
)
小部隊
(
せうぶたい
)
では
険呑
(
けんのん
)
で
進
(
すす
)
む
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
ないから、
209
せめては
母娘
(
おやこ
)
二人
(
ふたり
)
の
行方
(
ゆくへ
)
を
捜
(
さが
)
して、
210
彼奴
(
あいつ
)
を
捕縛
(
ほばく
)
して
凱旋
(
がいせん
)
する
方
(
はう
)
が、
211
何程
(
なんぼ
)
手柄
(
てがら
)
になるか
知
(
し
)
れたものぢやないぞ。
212
浅
(
あさ
)
い
沼
(
ぬま
)
ではあるが、
213
時々
(
ときどき
)
泥深
(
どろぶか
)
い
所
(
ところ
)
があつて、
214
睾丸
(
きんたま
)
も
褌
(
ふんどし
)
もズクタンボー
[
※
但馬地方の方言で「ずぶ濡れ」を意味する「ずくたんぼ」のことだと思われる。
]
になりよつた。
215
何
(
なん
)
とかして
此奴
(
こいつ
)
を
早
(
はや
)
く
干
(
かは
)
かさぬと、
216
気分
(
きぶん
)
が
悪
(
わる
)
くて
仕方
(
しかた
)
ない。
217
月
(
つき
)
は
照
(
て
)
つてゐるが、
218
彼奴
(
あいつ
)
はあつてもなうてもよい
奴
(
やつ
)
だから、
219
俺
(
おれ
)
の
褌
(
ふんどし
)
一
(
ひと
)
つよう
乾
(
かわ
)
かす
力
(
ちから
)
を
持
(
も
)
つてゐやがらせぬワイ。
220
其
(
その
)
事
(
こと
)
思
(
おも
)
へば、
221
日輪
(
にちりん
)
さまはエライものだなア。
222
三五教
(
あななひけう
)
は
月
(
つき
)
の
教
(
をしへ
)
だとか
吐
(
ぬか
)
して
居
(
ゐ
)
るが、
223
夜
(
よる
)
の
守護
(
しゆご
)
だから、
224
サツパリ
駄目
(
だめ
)
だ。
225
サア
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
、
226
ここで
一
(
ひと
)
つ
一服
(
いつぷく
)
致
(
いた
)
さうかい』
227
黄金姫
(
わうごんひめ
)
は
草
(
くさ
)
の
中
(
なか
)
から、
228
黄金姫
『われこそは
一途
(
いちづ
)
の
川
(
かは
)
の
鬼婆
(
おにばば
)
だぞよ、
229
其
(
その
)
方
(
はう
)
は
此処
(
ここ
)
を
葵
(
あふひ
)
の
沼
(
ぬま
)
と
思
(
おも
)
うて
居
(
ゐ
)
るか、
230
ここは
冥途
(
めいど
)
の
関所
(
せきしよ
)
だ。
231
サア
早
(
はや
)
く
其
(
その
)
衣
(
ころも
)
を
脱
(
ぬ
)
げ』
232
キル『オイ
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
、
233
ヤツパリ
此奴
(
こいつ
)
ア
夢
(
ゆめ
)
かも
知
(
し
)
れぬぞ。
234
宣伝使
(
せんでんし
)
が
助
(
たす
)
けよつたと
思
(
おも
)
うたのは
嘘
(
うそ
)
だつたかいな。
235
一途
(
いちづ
)
の
川
(
かは
)
のヤツパリここは
連続
(
れんぞく
)
だ。
236
エヽもう
斯
(
か
)
うなつてはヤケクソだ。
237
どつかここらの
草
(
くさ
)
の
中
(
なか
)
に
脱衣婆
(
だついばば
)
の
声
(
こゑ
)
がして
来
(
き
)
た。
238
サア
突貫
(
とつくわん
)
々々
(
とつくわん
)
』
239
と
号令
(
がうれい
)
する。
240
黄金姫
(
わうごんひめ
)
、
241
清照姫
(
きよてるひめ
)
は
草
(
くさ
)
を
分
(
わ
)
けて
八
(
はち
)
人
(
にん
)
の
前
(
まへ
)
にスツクと
立現
(
たちあら
)
はれ、
242
黄金
(
わうごん
)
『バラモン
教
(
けう
)
の
悪人
(
あくにん
)
共
(
ども
)
、
243
サア
之
(
これ
)
から
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
が
武勇
(
ぶゆう
)
の
試
(
ため
)
し
時
(
どき
)
、
244
覚悟
(
かくご
)
いたせ』
245
キル『ナヽ
何
(
なん
)
だあ、
246
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
だ、
247
甘
(
うま
)
い
事
(
こと
)
吐
(
ぬか
)
すない、
248
一途
(
いちづ
)
の
川
(
かは
)
の
星々婆
(
ほしほしばば
)
ア
奴
(
め
)
、
249
ガキも
人数
(
にんず
)
だ。
250
八
(
はち
)
人
(
にん
)
と
一人
(
ひとり
)
では
叶
(
かな
)
ふまい。
251
サア
突貫
(
とつくわん
)
々々
(
とつくわん
)
』
252
清照
(
きよてる
)
『
妾
(
わらは
)
は
三五教
(
あななひけう
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
小糸姫
(
こいとひめ
)
だ。
253
バラモン
教
(
けう
)
の
悪人
(
あくにん
)
共
(
ども
)
、
254
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
らず
冥途
(
めいど
)
の
旅立
(
たびだち
)
をさしてやらう。
255
サア
覚悟
(
かくご
)
はよいか』
256
キル『ヤア
此奴
(
こいつ
)
は
又
(
また
)
若
(
わか
)
い
脱衣婆
(
だついばば
)
アだ。
257
コリヤ
両人
(
りやうにん
)
、
258
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
や
小糸姫
(
こいとひめ
)
の
名
(
な
)
をかたつても
駄目
(
だめ
)
だぞ。
259
一
(
ひ
)
イ
二
(
ふ
)
ウ
三
(
み
)
ツ』
260
といひながら、
261
八
(
はち
)
人
(
にん
)
は
二人
(
ふたり
)
に
向
(
むか
)
つて
武者
(
むしや
)
振
(
ぶ
)
りつくを、
262
『エヽ
面倒
(
めんだう
)
』
263
と
母娘
(
おやこ
)
二人
(
ふたり
)
は
首筋
(
くびすぢ
)
つかんで
葵
(
あふひ
)
の
沼
(
ぬま
)
の
真中
(
まんなか
)
へ、
264
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
らず、
265
バサリバサリと
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
んだ。
266
八
(
はち
)
人
(
にん
)
は
此
(
この
)
勢
(
いきほひ
)
に
辟易
(
へきえき
)
し、
267
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
再
(
ふたた
)
び
沼
(
ぬま
)
の
真中
(
まんなか
)
をバサバサバサと
北
(
きた
)
を
指
(
さ
)
して
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く。
268
八
(
はち
)
人
(
にん
)
の
奴
(
やつ
)
は
驚
(
おどろ
)
きの
余
(
あま
)
り、
269
照国別
(
てるくにわけ
)
の
休
(
やす
)
んでゐる
所
(
ところ
)
へ、
270
以前
(
いぜん
)
の
怖
(
こは
)
さを
忘
(
わす
)
れて
又
(
また
)
もやバサバサバサと
命
(
いのち
)
からがら
上
(
あが
)
つて
来
(
き
)
た。
271
レーブは
此
(
この
)
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
て、
272
レーブ
『アハヽヽヽ、
273
コリヤ
八
(
や
)
つの
蛙
(
かへる
)
、
274
如何
(
どう
)
したのだ。
275
いかにカヘルだと
云
(
い
)
つて、
276
再
(
ふたた
)
び
元
(
もと
)
の
所
(
ところ
)
へ
逃
(
に
)
げカヘル
奴
(
やつ
)
があるかい』
277
キル『ヤア…………
此奴
(
こいつ
)
アしまつた、
278
余
(
あま
)
りビツクリして
忘
(
わす
)
れてゐた。
279
前門
(
ぜんもん
)
の
狼
(
おほかみ
)
、
280
後門
(
こうもん
)
の
虎
(
とら
)
だ。
281
オイ、
282
レーブ、
283
こらへてくれ。
284
向
(
むか
)
ふへ
渡
(
わた
)
ると
蜈蚣姫
(
むかでひめ
)
、
285
小糸姫
(
こいとひめ
)
の
名
(
な
)
をかたつて
婆
(
ばば
)
や
娘
(
むすめ
)
がヒユードロドロと
出
(
で
)
やがるなり、
286
こつちへ
来
(
く
)
れば
又
(
また
)
此
(
この
)
通
(
とほ
)
り、
287
進退
(
しんたい
)
これ
谷
(
きは
)
まるだ。
288
モウ
改心
(
かいしん
)
するから
許
(
ゆる
)
してくれ。
289
頼
(
たの
)
む
頼
(
たの
)
む』
290
レーブ『たとへ
宣伝使
(
せんでんし
)
がお
赦
(
ゆる
)
しになつても、
291
貴様
(
きさま
)
の
様
(
やう
)
な
不都合
(
ふつがふ
)
な
奴
(
やつ
)
は
此
(
この
)
レーブが
赦
(
ゆる
)
さぬのだ。
292
オイ、
293
カル、
294
貴様
(
きさま
)
も
一
(
ひと
)
つ
手伝
(
てつだ
)
つてくれ。
295
この
八匹
(
はつぴき
)
の
蛙
(
かへる
)
を
元
(
もと
)
のドブ
池
(
いけ
)
へ
突込
(
つつこ
)
んでやるのだから』
296
カル
『ヨシ
来
(
き
)
た』
297
とカルは
立上
(
たちあが
)
り、
298
手
(
て
)
に
唾
(
つば
)
して、
299
片
(
かた
)
つぱしからドブンドブンと
沼
(
ぬま
)
を
目
(
め
)
がけて
投込
(
なげこ
)
んだ。
300
八
(
はち
)
人
(
にん
)
は
又
(
また
)
もやバサバサバサと
浅
(
あさ
)
き
沼
(
ぬま
)
を
命
(
いのち
)
カラガラ
南
(
みなみ
)
を
指
(
さ
)
して
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く。
301
春公
(
はるこう
)
『モシ
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
302
ヒヨツとしたら、
303
黄金姫
(
わうごんひめ
)
様
(
さま
)
、
304
清照姫
(
きよてるひめ
)
様
(
さま
)
は
此
(
この
)
沼
(
ぬま
)
の
向方
(
むかふ
)
あたりにお
休
(
やす
)
みになつてるのかも
知
(
し
)
れませぬぜ』
305
照国
(
てるくに
)
『いかにもさうかも
知
(
し
)
れない、
306
一
(
ひと
)
つ
此
(
この
)
沼
(
ぬま
)
を
渡
(
わた
)
つて、
307
追
(
お
)
つついて
査
(
しら
)
べてみよう。
308
サア
一同
(
いちどう
)
用意
(
ようい
)
だ』
309
と
云
(
い
)
ひながら、
310
早
(
はや
)
くも
照国別
(
てるくにわけ
)
は
裾
(
すそ
)
をからげ、
311
浅
(
あさ
)
き
沼
(
ぬま
)
をバサバサと
歩
(
あゆ
)
み
出
(
だ
)
した。
312
照
(
てる
)
、
313
梅
(
うめ
)
、
314
春
(
はる
)
、
315
レーブ、
316
カルの
一行
(
いつかう
)
は
照国別
(
てるくにわけ
)
の
後
(
あと
)
に
従
(
したが
)
ひ、
317
月
(
つき
)
照
(
て
)
り
渡
(
わた
)
る
沼
(
ぬま
)
の
中
(
なか
)
をバサリバサリと、
318
波
(
なみ
)
に
円
(
ゑん
)
を
描
(
ゑが
)
きながら
急
(
いそ
)
ぎ
行
(
ゆ
)
く。
319
(
大正一一・一一・四
旧九・一六
松村真澄
録)
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