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第67巻(午の巻)
序文
総説
第1篇 美山梅光
01 梅の花香
〔1703〕
02 思想の波
〔1704〕
03 美人の腕
〔1705〕
04 笑の座
〔1706〕
05 浪の皷
〔1707〕
第2篇 春湖波紋
06 浮島の怪猫
〔1708〕
07 武力鞘
〔1709〕
08 糸の縺れ
〔1710〕
09 ダリヤの香
〔1711〕
10 スガの長者
〔1712〕
第3篇 多羅煩獄
11 暗狐苦
〔1713〕
12 太子微行
〔1714〕
13 山中の火光
〔1715〕
14 獣念気
〔1716〕
15 貂心暴
〔1717〕
16 酒艶の月
〔1718〕
17 晨の驚愕
〔1719〕
第4篇 山色連天
18 月下の露
〔1720〕
19 絵姿
〔1721〕
20 曲津の陋呵
〔1722〕
21 針灸思想
〔1723〕
22 憧憬の美
〔1724〕
余白歌
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> 第1篇 美山梅光 > 第1章 梅の花香
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第一章
梅
(
うめ
)
の
花香
(
はなか
)
〔一七〇三〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第67巻 山河草木 午の巻
篇:
第1篇 美山梅光
よみ(新仮名遣い):
びざんばいこう
章:
第1章 梅の花香
よみ(新仮名遣い):
うめのはなか
通し章番号:
1703
口述日:
1924(大正13)年12月19日(旧11月23日)
口述場所:
教主殿
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1926(大正15)年8月19日
概要:
舞台:
オーラ山、タライの村
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm6701
愛善世界社版:
7頁
八幡書店版:
第12輯 31頁
修補版:
校定版:
7頁
普及版:
初版:
ページ備考:
001
オーラ
山
(
さん
)
の
曲
(
まが
)
の
企
(
たく
)
みも
大杉
(
おほすぎ
)
の
怪
(
あや
)
しき
夜這星
(
よばひぼし
)
は
神
(
かみ
)
の
伊吹
(
いぶき
)
に
吹
(
ふき
)
消
(
け
)
され、
002
一旦
(
いつたん
)
包
(
つつ
)
みし
木下暗
(
こしたやみ
)
、
003
晴
(
は
)
れては
清
(
きよ
)
き
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
の
梅
(
うめ
)
の
花香
(
はなか
)
、
004
峰
(
みね
)
の
尾上
(
をのへ
)
を
包
(
つつ
)
みし
黒雲
(
くろくも
)
もサラリと
散
(
ち
)
りて、
005
宇宙晴
(
うちうばれ
)
の
大広原
(
だいくわうげん
)
、
006
真夜中
(
まよなか
)
の
空
(
そら
)
には、
007
宝石
(
はうせき
)
を
鏤
(
ちりば
)
めた
様
(
やう
)
な
一面
(
いちめん
)
の
星光
(
せいくわう
)
瞬
(
またた
)
き、
008
鬼
(
おに
)
の
囁
(
ささや
)
き、
009
猛獣
(
まうじう
)
の
健
(
たけ
)
び、
010
狐狸
(
こり
)
の
鳴
(
な
)
き
声
(
ごゑ
)
も
虫
(
むし
)
の
音
(
ね
)
も、
011
ピタリと
止
(
と
)
まつて
天地
(
てんち
)
静寂
(
せいじやく
)
、
012
恰
(
あたか
)
もふくらむだ
庭
(
には
)
の
砂
(
すな
)
に、
013
程々
(
ほどほど
)
に
水
(
みづ
)
を
打
(
う
)
つたるが
如
(
ごと
)
く、
014
一点
(
いつてん
)
の
風塵
(
ふうぢん
)
もなく、
015
雲霧
(
うんむ
)
もなし。
016
微風
(
びふう
)
徐
(
おもむろ
)
に
人
(
ひと
)
の
面
(
おもて
)
を
吹
(
ふ
)
き、
017
五臓
(
ござう
)
六腑
(
ろくぷ
)
に
静涼
(
せいりやう
)
の
気
(
き
)
浸
(
し
)
み
渡
(
わた
)
る。
018
諸行
(
しよぎやう
)
無常
(
むじやう
)
の
鐘
(
かね
)
の
声
(
こゑ
)
、
019
是生
(
ぜしやう
)
滅法
(
めつぽふ
)
の
杜鵑
(
とけん
)
の
啼
(
な
)
く
音
(
ね
)
、
020
生滅
(
しやうめつ
)
々已
(
めつち
)
の
梟
(
ふくろ
)
の
叫
(
さけ
)
び、
021
何
(
いづ
)
れも
寂滅
(
じやくめつ
)
為楽
(
ゐらく
)
の
清浄界
(
しやうじやうかい
)
となり
果
(
は
)
てぬ。
022
丹花
(
たんくわ
)
の
唇
(
くちびる
)
、
023
木蓮
(
もくれん
)
の
莟
(
つぼみ
)
の
如
(
ごと
)
き
鼻
(
はな
)
の
格好
(
かくかう
)
、
024
黒豆
(
くろまめ
)
に
露
(
つゆ
)
を
帯
(
お
)
びたやうな
優
(
やさ
)
しく
床
(
ゆか
)
しく
光
(
ひか
)
る
二
(
ふた
)
つの
眼
(
まなこ
)
、
025
地蔵
(
ぢざう
)
の
眉
(
まゆ
)
、
026
所在
(
あらゆる
)
美
(
び
)
の
極
(
きよく
)
、
027
善
(
ぜん
)
の
極
(
きよく
)
、
028
愛嬌
(
あいけう
)
を
満面
(
まんめん
)
にしたたらして、
029
心
(
こころ
)
に
豺狼
(
さいらう
)
の
爪牙
(
さうが
)
を
蔵
(
ざう
)
し、
030
天下
(
てんか
)
を
掌握
(
しやうあく
)
せむと、
031
昼夜
(
ちうや
)
肝胆
(
かんたん
)
を
砕
(
くだ
)
いて、
032
外面
(
げめん
)
如
(
によ
)
菩薩
(
ぼさつ
)
内心
(
ないしん
)
如
(
によ
)
夜叉
(
やしや
)
、
033
羅刹
(
らせつ
)
悪鬼
(
あくき
)
の
権化
(
ごんげ
)
とも
譬
(
たと
)
ふべき
山賊
(
さんぞく
)
の
大頭目
(
だいとうもく
)
、
034
ヨリコ
姫
(
ひめ
)
女帝
(
によてい
)
は、
035
梅公
(
うめこう
)
が
口
(
くち
)
より
迸
(
ほとばし
)
る
天性
(
てんせい
)
の
神気
(
しんき
)
に
打
(
う
)
たれて、
036
忽
(
たちま
)
ち
心内
(
しんない
)
に
天変
(
てんぺん
)
地妖
(
ちえう
)
を
起
(
おこ
)
し、
037
胸
(
むね
)
には
革新軍
(
かくしんぐん
)
の
喇叭
(
らつぱ
)
の
音
(
ね
)
響
(
ひび
)
き、
038
五臓
(
ござう
)
六腑
(
ろつぷ
)
一度
(
いちど
)
に
更生
(
かうせい
)
的
(
てき
)
活動
(
くわつどう
)
を
起
(
おこ
)
して、
039
専制
(
せんせい
)
と
強圧
(
きやうあつ
)
と
尊貴
(
そんき
)
を
願
(
ねが
)
ふ
欲念
(
よくねん
)
と、
040
自己愛
(
じこあい
)
の
兇党
(
きようたう
)
連
(
れん
)
は
俄
(
にはか
)
に
影
(
かげ
)
を
潜
(
ひそ
)
め、
041
惟神
(
かむながら
)
の
本性
(
ほんせい
)
、
042
生
(
うま
)
れ
赤児
(
あかご
)
の
真心
(
まごころ
)
に
立
(
たち
)
帰
(
かへ
)
り、
043
一身
(
いつしん
)
の
利欲
(
りよく
)
を
忘
(
わす
)
れ、
044
神
(
かみ
)
に
従
(
したが
)
ひ
神
(
かみ
)
を
愛
(
あい
)
し、
045
人
(
ひと
)
を
愛
(
あい
)
し
万有
(
ばんいう
)
一切
(
いつさい
)
を
愛
(
あい
)
するの
宇宙
(
うちう
)
的
(
てき
)
大
(
だい
)
恋愛心
(
れんあいしん
)
に
往生
(
わうじやう
)
したのである。
046
斯
(
か
)
くヨリコ
姫
(
ひめ
)
が
心
(
こころ
)
に
悔悟
(
くわいご
)
の
花
(
はな
)
開
(
ひら
)
き、
047
愛善
(
あいぜん
)
の
果実
(
くわじつ
)
みのり、
048
信真
(
しんしん
)
の
光輝
(
くわうき
)
と、
049
慈味
(
じみ
)
に
浴
(
よく
)
したる
刹那
(
せつな
)
に
於
(
おい
)
て、
050
其
(
その
)
真心
(
まごころ
)
は
天地
(
てんち
)
に
感応
(
かんおう
)
し、
051
天
(
てん
)
は
高
(
たか
)
く
清
(
きよ
)
く
澄
(
す
)
み
亘
(
わた
)
り、
052
一点
(
いつてん
)
の
雲
(
くも
)
もなく、
053
七宝
(
しちほう
)
を
鏤
(
ちりば
)
めたるが
如
(
ごと
)
き
星
(
ほし
)
の
大空
(
おほぞら
)
をボカして、
054
見渡
(
みわた
)
す
東
(
あづま
)
の
原野
(
げんや
)
より
千草
(
ちぐさ
)
を
分
(
わ
)
けて
昇
(
のぼ
)
り
来
(
きた
)
る
上弦
(
じやうげん
)
の
月光
(
げつくわう
)
、
055
恰
(
あたか
)
も
切
(
き
)
れ
味
(
あぢ
)
のよい
庖丁
(
はうちやう
)
を
以
(
もつ
)
て、
056
円満
(
ゑんまん
)
具足
(
ぐそく
)
せる
西瓜
(
すいくわ
)
を
真中
(
まんなか
)
より
二
(
ふた
)
つに
手際
(
てぎは
)
能
(
よ
)
く
切
(
き
)
りわけし
如
(
ごと
)
き、
057
輪廓
(
りんくわく
)
の
判然
(
はつきり
)
とした
白銀
(
はくぎん
)
の
半玉
(
はんぎよく
)
、
058
忽
(
たちま
)
ち
天地
(
てんち
)
を
照
(
て
)
り
輝
(
かがや
)
かし、
059
地上
(
ちじやう
)
に
往来
(
わうらい
)
する
蟻
(
あり
)
の
姿
(
すがた
)
さへも
明瞭
(
めいれう
)
に
見
(
み
)
えて
来
(
き
)
た。
060
白髪
(
はくはつ
)
童顔
(
どうがん
)
の
山賊
(
さんぞく
)
の
巨頭
(
きよとう
)
、
061
修験者
(
しゆげんじや
)
と
化
(
ば
)
けすまし、
062
三千
(
さんぜん
)
の
部下
(
ぶか
)
を
使役
(
しえき
)
し、
063
豺狼
(
さいらう
)
の
欲
(
よく
)
を
逞
(
たくま
)
しうし、
064
ヨリコ
姫
(
ひめ
)
を
謀師
(
ぼうし
)
と
仰
(
あふ
)
ぎ、
065
大親分
(
おほおやぶん
)
と
崇
(
あが
)
め、
066
大胆
(
だいたん
)
不敵
(
ふてき
)
にもハルナの
都
(
みやこ
)
の
大黒主
(
おほくろぬし
)
を
征伐
(
せいばつ
)
し、
067
印度
(
いんど
)
七千
(
しちせん
)
余国
(
よこく
)
の
覇権
(
はけん
)
を
握
(
にぎ
)
らむと、
068
霜
(
しも
)
の
晨
(
あした
)
雨
(
あめ
)
の
夕
(
ゆふべ
)
、
069
夢寐
(
むび
)
にも
忘
(
わす
)
れぬ
胸裡
(
きようり
)
の
秘密
(
ひみつ
)
深
(
ふか
)
く
包
(
つつ
)
んで、
070
雲
(
くも
)
に
聳
(
そび
)
えたオーラ
山
(
さん
)
に
立籠
(
たてこも
)
り、
071
霧
(
きり
)
を
帯
(
おび
)
にし、
072
靄
(
もや
)
を
被衣
(
かづき
)
となし、
073
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
のそよぎを
扇
(
あふぎ
)
の
風
(
かぜ
)
と
見做
(
みな
)
し、
074
青空
(
あをぞら
)
を
天井
(
てんじやう
)
と
定
(
さだ
)
め、
075
草
(
くさ
)
を
褥
(
しとね
)
となし、
076
髑髏
(
どくろ
)
を
仮睡
(
うたたね
)
の
枕
(
まくら
)
となし、
077
虎
(
とら
)
狼
(
おほかみ
)
獅子
(
しし
)
熊
(
くま
)
の
肉
(
にく
)
を
嗜
(
たしな
)
み、
078
阿修羅
(
あしゆら
)
王
(
わう
)
の
如
(
ごと
)
く
魔王
(
まわう
)
の
如
(
ごと
)
く、
079
時
(
とき
)
あつては
彗星
(
すゐせい
)
の
如
(
ごと
)
く、
080
妖邪
(
えうじや
)
の
気
(
き
)
を
四方
(
しはう
)
に
吐
(
はき
)
散
(
ち
)
らし、
081
一本
(
いつぽん
)
の
錫杖
(
しやくぢやう
)
に
四海
(
しかい
)
を
征服
(
せいふく
)
し、
082
心
(
こころ
)
に
秘
(
ひ
)
めた
魔法
(
まはふ
)
の
剣
(
つるぎ
)
に、
083
諸天
(
しよてん
)
諸善
(
しよぜん
)
を
悩
(
なや
)
ませ
苦
(
くる
)
しめ、
084
吾
(
わが
)
儘
(
まま
)
を
振舞
(
ふるま
)
ひ、
085
天地
(
てんち
)
を
自由
(
じいう
)
に
攪乱
(
かくらん
)
せむものと、
086
夢
(
ゆめ
)
の
如
(
ごと
)
き、
087
虹
(
にじ
)
の
如
(
ごと
)
き
蜃気楼
(
しんきろう
)
の
如
(
ごと
)
き
空中
(
くうちう
)
楼閣
(
ろうかく
)
的
(
てき
)
妄念
(
まうねん
)
を
抱
(
いだ
)
いて、
088
得々
(
とくとく
)
として、
089
其
(
その
)
無謀
(
むぼう
)
なる
目的
(
もくてき
)
に
心身
(
しんしん
)
を
傾注
(
けいちう
)
したる、
0891
彼
(
か
)
れシーゴーは、
090
三五教
(
あななひけう
)
の
神司
(
かむつかさ
)
梅公
(
うめこう
)
が
言霊
(
ことたま
)
に
其
(
その
)
心胆
(
しんたん
)
を
奪
(
うば
)
はれ、
091
五臓
(
ござう
)
六腑
(
ろつぷ
)
の
汚濁
(
をじよく
)
を
払拭
(
ふつしき
)
され、
092
彼
(
かれ
)
が
神気
(
しんき
)
に
打
(
う
)
たれ、
093
心気
(
しんき
)
忽
(
たちま
)
ち
一転
(
いつてん
)
して、
094
夜嵐
(
よあらし
)
にそよぐ
枯尾花
(
かれをばな
)
の
手振
(
てぶり
)
にも
驚
(
おどろ
)
き
慄
(
ふる
)
ふ、
095
いとも
弱
(
よわ
)
き
落武者
(
おちむしや
)
とならむとする
一刹那
(
いつせつな
)
、
096
力
(
ちから
)
と
頼
(
たの
)
みしヨリコ
姫
(
ひめ
)
の
打
(
う
)
つて
変
(
かは
)
つた
言行
(
げんかう
)
に、
097
今
(
いま
)
は
尚
(
なほ
)
更
(
さら
)
反抗
(
はんかう
)
の
勇気
(
ゆうき
)
もなく、
098
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
包
(
つつ
)
みし
心天
(
しんてん
)
の
黒雲
(
こくうん
)
はオーラ
山
(
さん
)
の
荒風
(
あらかぜ
)
に
吹
(
ふき
)
散
(
ち
)
らされて、
099
心
(
こころ
)
も
清
(
きよ
)
き
上弦
(
じやうげん
)
の
月
(
つき
)
、
100
忽
(
たちま
)
ち
大地
(
だいち
)
に
鰭
(
ひれ
)
伏
(
ふ
)
して、
101
其
(
その
)
慈愛
(
じあい
)
と
温雅
(
をんが
)
と
清楚
(
せいそ
)
なる
月神
(
げつしん
)
の
美影
(
みかげ
)
に
渇仰
(
かつかう
)
憧憬
(
どうけい
)
し、
102
本然
(
ほんぜん
)
の
性
(
せい
)
に
立
(
たち
)
返
(
かへ
)
り、
103
悪魔
(
あくま
)
は
忽
(
たちま
)
ち
煙
(
けぶり
)
と
消
(
き
)
え、
104
胸
(
むね
)
の
奥
(
おく
)
深
(
ふか
)
き
所
(
ところ
)
に
神
(
かみ
)
の
囁
(
ささや
)
きを
聞
(
き
)
き、
105
其
(
その
)
霊光
(
れいくわう
)
に
触
(
ふ
)
れ、
106
信真
(
しんしん
)
なる
愛
(
あい
)
の
情味
(
じやうみ
)
に
接
(
せつ
)
し、
107
全
(
まつた
)
く
別人
(
べつじん
)
の
如
(
ごと
)
く
成
(
な
)
り、
108
白
(
しろ
)
き
長
(
なが
)
き
彼
(
か
)
れの
髪
(
かみ
)
は
白金
(
はくきん
)
の
色
(
いろ
)
、
109
益々
(
ますます
)
艶
(
あで
)
やかに、
110
其
(
その
)
顔色
(
かんばせ
)
は
天上
(
てんじやう
)
の
女神
(
めがみ
)
かと
疑
(
うたが
)
はるる
許
(
ばか
)
り、
1101
純化
(
じゆんくわ
)
遷善
(
せんぜん
)
し、
111
罪
(
つみ
)
もなく
穢
(
けがれ
)
もなく、
112
一点
(
いつてん
)
の
憎悪心
(
ぞうをしん
)
もなく、
113
欲望
(
よくばう
)
の
雲霧
(
うんむ
)
もなし。
114
只
(
ただ
)
此
(
この
)
上
(
うへ
)
は
天地
(
てんち
)
神明
(
しんめい
)
の
加護
(
かご
)
に
依
(
よ
)
り、
115
誠
(
まこと
)
の
道
(
みち
)
を
踏
(
ふ
)
み、
116
誠
(
まこと
)
の
業
(
げふ
)
を
行
(
おこな
)
ひ、
117
戦々
(
せんせん
)
恟々
(
きようきよう
)
として
神
(
かみ
)
を
畏
(
おそ
)
れ
神
(
かみ
)
を
愛
(
あい
)
し、
118
日夜
(
にちや
)
心力
(
しんりよく
)
を
神
(
かみ
)
に
捧
(
ささ
)
げむ
事
(
こと
)
を
希求
(
ききう
)
するに
至
(
いた
)
つた。
119
次
(
つぎ
)
に
天来
(
てんらい
)
の
救世主
(
きうせいしゆ
)
、
120
天帝
(
てんてい
)
の
化身
(
けしん
)
、
121
オーラ
山
(
さん
)
の
活神
(
いきがみ
)
と
揚言
(
やうげん
)
し、
122
毒舌
(
どくぜつ
)
を
揮
(
ふる
)
つて
天下
(
てんか
)
万民
(
ばんみん
)
を
誑惑
(
けうわく
)
し、
123
悪事
(
あくじ
)
の
限
(
かぎり
)
を
尽
(
つく
)
さむとしたる、
124
奸侫
(
かんねい
)
邪智
(
じやち
)
の
曲者
(
くせもの
)
、
125
玄真坊
(
げんしんばう
)
、
126
天下
(
てんか
)
唯一
(
ゆゐいつ
)
の
色餓鬼
(
いろがき
)
、
127
情欲
(
じやうよく
)
の
焔
(
ほのほ
)
に
苦
(
くるし
)
められ、
128
煩悶
(
はんもん
)
苦悩
(
くなう
)
の
結果
(
けつくわ
)
、
129
恥
(
はぢ
)
を
忘
(
わす
)
れて
獣畜
(
じうちく
)
の
行為
(
かうゐ
)
に
及
(
およ
)
ばむとせし、
130
偽
(
にせ
)
救世主
(
きうせいしゆ
)
、
131
偽
(
にせ
)
予言者
(
よげんしや
)
なる、
132
彼
(
か
)
れ
売僧
(
まいす
)
は、
133
三五教
(
あななひけう
)
の
神光
(
しんくわう
)
に
打
(
う
)
たれ、
134
正義心
(
せいぎしん
)
の
神卒
(
しんそつ
)
に
攻
(
せ
)
め
立
(
た
)
てられ、
135
遂
(
つひ
)
に
悔悟
(
くわいご
)
して、
136
大頭目
(
だいとうもく
)
のヨリコ
姫
(
ひめ
)
及
(
および
)
シーゴーと
行動
(
かうどう
)
を
共
(
とも
)
にせむ
事
(
こと
)
を
誓
(
ちか
)
ふに
至
(
いた
)
つた。
137
オーラ
河
(
がは
)
の
水
(
みづ
)
は
緩
(
ゆるやか
)
に
流
(
なが
)
れ、
138
深
(
ふか
)
く
青
(
あを
)
くして
底
(
そこ
)
さへ
見
(
み
)
えぬ
河
(
かは
)
の
面
(
おも
)
にきらめく
星
(
ほし
)
の
大空
(
おほぞら
)
を
映
(
うつ
)
し、
139
そよと
吹
(
ふ
)
く
小波
(
さざなみ
)
に
月光
(
げつくわう
)
如来
(
によらい
)
の
千々
(
ちぢ
)
に
砕
(
くだ
)
くる
慈愛
(
じあい
)
の
御影
(
みかげ
)
を
宿
(
やど
)
して、
140
天地
(
てんち
)
燦爛
(
さんらん
)
光明界
(
くわうみやうかい
)
の
現象
(
げんしやう
)
を
泛
(
うか
)
ばせたり。
141
東
(
あづま
)
の
大空
(
おほぞら
)
は
紅
(
くれなゐ
)
の
雲
(
くも
)
、
142
紫
(
むらさき
)
の
霞
(
かすみ
)
棚引
(
たなび
)
き
初
(
そ
)
め、
143
木々
(
きぎ
)
の
百鳥
(
ももどり
)
は
千代
(
ちよ
)
々々
(
ちよ
)
と
永遠
(
ゑいゑん
)
無窮
(
むきう
)
の
前途
(
ぜんと
)
を
寿
(
ことほ
)
ぎ、
144
せせらぎの
音
(
ね
)
は
何事
(
なにごと
)
か
宇宙
(
うちう
)
の
神秘
(
しんぴ
)
を
語
(
かた
)
るが
如
(
ごと
)
く、
145
風
(
かぜ
)
の
響
(
ひびき
)
にさへも
神
(
かみ
)
の
御声
(
みこゑ
)
の
宿
(
やど
)
るかと
疑
(
うたが
)
はる。
146
ヨリコ
姫
(
ひめ
)
を
始
(
はじ
)
め、
147
其
(
その
)
他
(
た
)
の
兇党
(
きようたう
)
が
心
(
こころ
)
の
天地
(
てんち
)
忽然
(
こつぜん
)
として
蓮
(
はちす
)
の
花
(
はな
)
の
開
(
ひら
)
くが
如
(
ごと
)
く、
148
薫
(
かを
)
り
初
(
そ
)
めたる
一刹那
(
いつせつな
)
、
149
五色
(
ごしき
)
の
雲
(
くも
)
を
押
(
お
)
し
分
(
わ
)
けて、
150
忽
(
たちま
)
ち
昇
(
のぼ
)
らせ
給
(
たま
)
ふ
黄金鴉
(
こがねからす
)
、
151
旗雲
(
はたぐも
)
の
中
(
なか
)
にまん
丸
(
まる
)
き
日
(
ひ
)
の
丸
(
まる
)
を
印
(
いん
)
し、
152
愈
(
いよいよ
)
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
の
神代
(
かみよ
)
の
祥兆
(
しやうてう
)
を
天地
(
てんち
)
万有
(
ばんいう
)
に
示
(
しめ
)
し
給
(
たま
)
ふ。
153
瑞祥
(
ずゐしやう
)
開
(
ひら
)
く
聖
(
ひじり
)
の
御代
(
みよ
)
の
魁
(
さきがけ
)
とぞ、
154
神
(
かみ
)
も
人
(
ひと
)
も、
155
此
(
この
)
山
(
やま
)
に
集
(
あつ
)
まれる
曲人
(
まがびと
)
も
禽獣
(
きんじう
)
虫魚
(
ちうぎよ
)
も、
156
一斉
(
いつせい
)
に
五六七
(
みろく
)
の
御世
(
みよ
)
を
寿
(
ことほ
)
ぎまつる
思
(
おも
)
ひあり。
157
あゝ
惟神
(
かむながら
)
霊
(
たま
)
幸倍
(
ちはへ
)
坐世
(
ませ
)
。
158
○
159
現幽神
(
げんいうしん
)
の
三界
(
さんがい
)
を
浄
(
きよ
)
め、
160
天地
(
てんち
)
開闢
(
かいびやく
)
の
昔
(
むかし
)
の
祥代
(
しやうだい
)
に
立替
(
たてかへ
)
立直
(
たてなほ
)
し、
161
神人
(
しんじん
)
万有
(
ばんいう
)
を
黄金
(
わうごん
)
世界
(
せかい
)
の
恩恵
(
おんけい
)
に
浴
(
よく
)
せしめ、
162
宇宙
(
うちう
)
最初
(
さいしよ
)
の
大意志
(
だいいし
)
を
実行
(
じつかう
)
せむと
天
(
てん
)
より
降
(
くだ
)
りて
厳
(
いづ
)
の
御霊
(
みたま
)
と
現
(
げん
)
じ、
163
大国常立
(
おほくにとこたちの
)
尊
(
みこと
)
と
現
(
あら
)
はれて
神業
(
しんげふ
)
を
開始
(
かいし
)
し
給
(
たま
)
ひし、
164
宇宙
(
うちう
)
唯一
(
ゆゐいつ
)
の
生神
(
いきがみ
)
、
165
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
諄々
(
じゆんじゆん
)
として
神人
(
しんじん
)
万有
(
ばんいう
)
を
導
(
みちび
)
き
給
(
たま
)
ふ。
166
愛善
(
あいぜん
)
と
信真
(
しんしん
)
の
大神教
(
だいしんけう
)
を
天下
(
てんか
)
に
布衍
(
ふえん
)
し、
167
五六七
(
みろく
)
神政
(
しんせい
)
出現
(
しゆつげん
)
の
実行
(
じつかう
)
に
着手
(
ちやくしゆ
)
せむと、
168
ウブスナ
山
(
やま
)
に
聖蹟
(
せいせき
)
を
垂
(
た
)
れ、
169
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
と
現
(
げん
)
じて
三界
(
さんがい
)
の
不浄
(
ふじやう
)
を
払拭
(
ふつしき
)
し、
170
清浄
(
しやうじやう
)
無垢
(
むく
)
の
新天地
(
しんてんち
)
を
樹立
(
じゆりつ
)
せむと、
171
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
大神
(
おほかみ
)
は、
172
世界
(
せかい
)
各山
(
かくざん
)
各地
(
かくち
)
の
霊場
(
れいぢやう
)
に
御霊
(
みたま
)
を
止
(
とど
)
め、
173
数多
(
あまた
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
を
教養
(
けうやう
)
し、
174
之
(
これ
)
を
天下
(
てんか
)
四方
(
しはう
)
に
派遣
(
はけん
)
し
給
(
たま
)
ひぬ。
175
派遣
(
はけん
)
されたる
神柱
(
かむばしら
)
の
一
(
いち
)
人
(
にん
)
、
176
照国別
(
てるくにわけ
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
従者
(
じゆうしや
)
となり、
177
ハルナの
都
(
みやこ
)
の
魔神
(
まがみ
)
の
言向戦
(
ことむけせん
)
に
従軍
(
じゆうぐん
)
したる
梅公司
(
うめこうつかさ
)
は、
178
勇気
(
ゆうき
)
凛々
(
りんりん
)
たる
壮者
(
さうしや
)
にして、
179
其
(
その
)
心鏡
(
しんきやう
)
は
惶々
(
くわうくわう
)
として
照
(
て
)
り
亘
(
わた
)
り、
180
能
(
よ
)
く
神
(
かみ
)
に
通
(
つう
)
じ、
181
万民
(
ばんみん
)
が
心
(
こころ
)
の
奥底
(
おくそこ
)
迄
(
まで
)
、
182
玻璃
(
はり
)
を
通
(
とほ
)
して
伺
(
うかが
)
ふが
如
(
ごと
)
く、
183
通観
(
つうくわん
)
して
過
(
あやま
)
らず、
184
且
(
かつ
)
心
(
こころ
)
は
清浄
(
しやうじやう
)
潔白
(
けつぱく
)
にして
神律
(
しんりつ
)
を
弁
(
わきま
)
へ、
185
道理
(
だうり
)
に
通
(
つう
)
じ、
186
挙措
(
きよそ
)
常
(
つね
)
に
軽快
(
けいくわい
)
にして
且
(
か
)
つ
軽
(
かる
)
からず
重
(
おも
)
からず、
187
中庸
(
ちうよう
)
を
得
(
え
)
たる
好漢
(
かうかん
)
なり。
188
彼
(
か
)
れの
行
(
ゆ
)
く
所
(
ところ
)
、
189
百花
(
ひやくくわ
)
爛漫
(
らんまん
)
として
咲
(
さ
)
き
満
(
み
)
ち、
190
地獄
(
ぢごく
)
は
忽
(
たちま
)
ち
天国
(
てんごく
)
と
化
(
くわ
)
し、
191
猛獣
(
まうじう
)
の
猛
(
たけ
)
る
原野
(
げんや
)
は
鳥
(
とり
)
唄
(
うた
)
ひ
蝶
(
てふ
)
舞
(
ま
)
ふ
百花
(
ひやくくわ
)
爛漫
(
らんまん
)
の
天国
(
てんごく
)
と
化
(
くわ
)
するの
慨
(
がい
)
あり。
192
精神
(
せいしん
)
剛直
(
がうちよく
)
にして
富貴
(
ふうき
)
に
阿
(
おもね
)
らず
威武
(
ゐぶ
)
に
屈
(
くつ
)
せず、
193
常
(
つね
)
に
其
(
その
)
職
(
しよく
)
に
甘
(
あま
)
んじ、
194
何事
(
なにごと
)
も
神意
(
しんい
)
と
解
(
かい
)
して、
195
如何
(
いか
)
なる
境遇
(
きやうぐう
)
に
在
(
あ
)
るも
不平
(
ふへい
)
を
洩
(
も
)
らさず、
196
悲
(
かな
)
しまず、
197
如何
(
いか
)
なる
悲境
(
ひきやう
)
に
沈淪
(
ちんりん
)
するも
悲観
(
ひくわん
)
せず、
198
悠々
(
いういう
)
閑々
(
かんかん
)
として
自
(
みづか
)
ら
楽
(
たのし
)
み、
199
自
(
みづか
)
ら
喜
(
よろこ
)
び、
200
災
(
わざはひ
)
の
来
(
きた
)
る
時
(
とき
)
は、
201
之
(
こ
)
れ
天
(
てん
)
の
恩恵
(
おんけい
)
の
鞭
(
むち
)
となし、
202
喜
(
よろこ
)
びの
来
(
きた
)
る
時
(
とき
)
は
天
(
てん
)
の
誡
(
いましめ
)
と
警戒
(
けいかい
)
し、
203
寸毫
(
すんがう
)
も
油断
(
ゆだん
)
なく、
204
且
(
か
)
つ
楽天
(
らくてん
)
主義
(
しゆぎ
)
を
以
(
もつ
)
て
世
(
よ
)
に
処
(
しよ
)
す。
205
実
(
じつ
)
に
神人
(
しんじん
)
の
典型
(
てんけい
)
、
206
宣伝使
(
せんでんし
)
の
模範
(
もはん
)
、
207
言心行
(
げんしんかう
)
何
(
いづ
)
れの
方面
(
はうめん
)
より
見
(
み
)
るも、
208
一点
(
いつてん
)
の
批評
(
ひひやう
)
をさしはさむの
間隙
(
かんげき
)
だになし。
209
彼
(
か
)
れは
照国別
(
てるくにわけ
)
に
従
(
したが
)
つて、
210
能
(
よ
)
く
師弟
(
してい
)
の
情誼
(
じやうぎ
)
を
守
(
まも
)
り、
211
自分
(
じぶん
)
の
師
(
し
)
に
優
(
すぐ
)
れる
数多
(
あまた
)
の
美点
(
びてん
)
を
隠
(
かく
)
して、
212
其
(
その
)
徳
(
とく
)
を
長上
(
ちやうじやう
)
に
譲
(
ゆづ
)
り、
213
同情
(
どうじやう
)
に
富
(
と
)
み、
214
僚友
(
れういう
)
を
能
(
よ
)
く
愛
(
あい
)
し、
215
目
(
め
)
にふるる
者
(
もの
)
、
216
耳
(
みみ
)
に
入
(
い
)
る
物
(
もの
)
、
217
何
(
いづ
)
れも
彼
(
かれ
)
が
感化
(
かんくわ
)
の
徳
(
とく
)
に
浴
(
よく
)
せざるはなし。
218
元来
(
ぐわんらい
)
梅公
(
うめこう
)
は
大神
(
おほかみ
)
より
特
(
とく
)
に
選
(
えら
)
まれたる
神柱
(
かむばしら
)
にして、
219
無限
(
むげん
)
の
秘密
(
ひみつ
)
を
蔵
(
ざう
)
し、
220
神妙
(
しんめう
)
秘門
(
ひもん
)
の
鍵
(
かぎ
)
を
授
(
さづ
)
かり、
221
宇宙間
(
うちうかん
)
一
(
いつ
)
の
怖
(
おそ
)
るる
者
(
もの
)
なき
大神人
(
だいしんじん
)
なり。
222
夫
(
そ
)
れ
故
(
ゆゑ
)
彼
(
かれ
)
は
平然
(
へいぜん
)
として
悪魔
(
あくま
)
の
巣窟
(
さうくつ
)
に
単騎
(
たんき
)
出入
(
しゆつにふ
)
し、
223
豺狼
(
さいらう
)
の
群
(
むれ
)
に
入
(
い
)
つて、
224
機
(
き
)
に
臨
(
のぞ
)
み
変
(
へん
)
に
処
(
しよ
)
し、
225
一男
(
いちなん
)
二女
(
にぢよ
)
の
危難
(
きなん
)
を
救
(
すく
)
ひ、
226
且
(
か
)
つ
他
(
た
)
の
宣伝使
(
せんでんし
)
の
如
(
ごと
)
く、
227
千言
(
せんげん
)
万語
(
ばんご
)
を
費
(
つひや
)
すの
要
(
えう
)
なく、
228
さしも
兇悪
(
きようあく
)
なる
悪神
(
あくがみ
)
の
巨頭
(
きよとう
)
、
229
ヨリコ
姫
(
ひめ
)
等
(
ら
)
の
一派
(
いつぱ
)
を
翻然
(
ほんぜん
)
として
悔悟
(
くわいご
)
せしめたる
英雄
(
えいゆう
)
なり。
230
彼
(
かれ
)
が
師
(
し
)
の
照国別
(
てるくにわけ
)
宣伝使
(
せんでんし
)
も
231
彼
(
かれ
)
が
神格
(
しんかく
)
の
一部分
(
いちぶぶん
)
を
窺知
(
きち
)
する
事
(
こと
)
さへ
出来
(
でき
)
なかつた。
232
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
彼
(
かれ
)
は
和光
(
わくわう
)
同塵
(
どうぢん
)
的
(
てき
)
態度
(
たいど
)
を
以
(
もつ
)
て、
233
愛善
(
あいぜん
)
の
徳
(
とく
)
と
信真
(
しんしん
)
の
光
(
ひかり
)
の
劣
(
おと
)
れる
照国別
(
てるくにわけ
)
を
神
(
かみ
)
の
経綸
(
けいりん
)
として、
234
吾
(
わが
)
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
と
尊敬
(
そんけい
)
し、
235
照公
(
てるこう
)
其
(
その
)
他
(
た
)
の
同僚
(
どうれう
)
に
対
(
たい
)
しても、
236
常
(
つね
)
に
後輩者
(
こうはいしや
)
として
行動
(
かうどう
)
せむ
事
(
こと
)
を
望
(
のぞ
)
んでゐた。
237
果
(
はた
)
して
梅公司
(
うめこうつかさ
)
は
魔
(
ま
)
か
神
(
かみ
)
か
真人
(
しんじん
)
か、
238
但
(
ただ
)
しは
大神
(
おほかみ
)
の
化身
(
けしん
)
か、
239
今後
(
こんご
)
の
物語
(
ものがたり
)
に
依
(
よ
)
つて
読者
(
どくしや
)
の
自
(
みづか
)
ら
判知
(
はんち
)
されむ
事
(
こと
)
を
望
(
のぞ
)
む。
240
之
(
これ
)
よりヨリコ
姫
(
ひめ
)
は
梅公
(
うめこう
)
241
花香
(
はなか
)
の
勧
(
すす
)
めにより、
242
タライの
村
(
むら
)
に
立
(
たち
)
帰
(
かへ
)
り、
243
母
(
はは
)
のサンヨに
面会
(
めんくわい
)
し、
244
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
の
不孝
(
ふかう
)
不始末
(
ふしまつ
)
の
罪
(
つみ
)
を
謝
(
しや
)
し、
245
今後
(
こんご
)
は
悔
(
く
)
い
改
(
あらた
)
めて、
246
老後
(
らうご
)
の
母
(
はは
)
の
心
(
こころ
)
を
安
(
やす
)
んじ、
247
且
(
か
)
つ
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
世
(
よ
)
の
為
(
ため
)
に、
248
愛善
(
あいぜん
)
の
道
(
みち
)
に
生涯
(
しやうがい
)
を
投
(
とう
)
ぜむ
事
(
こと
)
を
誓
(
ちか
)
つた。
249
母
(
はは
)
のサンヨは
二人
(
ふたり
)
の
姉妹
(
しまい
)
が
梅公司
(
うめこうつかさ
)
の
艱難
(
かんなん
)
辛苦
(
しんく
)
の
結果
(
けつくわ
)
と
慈愛心
(
じあいしん
)
の
発露
(
はつろ
)
に
仍
(
よ
)
つて、
250
無事
(
ぶじ
)
母子
(
おやこ
)
の
対面
(
たいめん
)
が
出来
(
でき
)
た
事
(
こと
)
を
涙
(
なみだ
)
片手
(
かたて
)
に
感謝
(
かんしや
)
し、
251
梅公
(
うめこう
)
を
真
(
まこと
)
の
生神
(
いきがみ
)
として
尊敬
(
そんけい
)
して
止
(
や
)
まなかつた。
252
次
(
つぎ
)
にシーゴー
坊
(
ばう
)
や
玄真坊
(
げんしんばう
)
の
両人
(
りやうにん
)
はサンダーの
家
(
いへ
)
に
至
(
いた
)
り、
253
彼
(
かれ
)
が
両親
(
りやうしん
)
に
向
(
むか
)
つて、
254
今日
(
こんにち
)
迄
(
まで
)
の
悪業
(
あくごふ
)
を
謝
(
しや
)
し、
255
且
(
かつ
)
悔
(
くひ
)
改
(
あらた
)
めて
天下
(
てんか
)
万民
(
ばんみん
)
の
為
(
ため
)
に
神業
(
しんげふ
)
の
一部
(
いちぶ
)
に
奉仕
(
ほうし
)
せむ
事
(
こと
)
を
誓
(
ちか
)
つた。
256
サンダーの
両親
(
りやうしん
)
は
夢
(
ゆめ
)
かと
許
(
ばか
)
り
喜
(
よろこ
)
んで、
257
梅公
(
うめこう
)
其
(
その
)
他
(
た
)
に
対
(
たい
)
し、
258
百味
(
ひやくみ
)
の
飲食
(
おんじき
)
を
調理
(
てうり
)
して
之
(
これ
)
を
饗応
(
きやうおう
)
し、
259
且
(
か
)
つシーゴーには
数多
(
あまた
)
の
所有地
(
しよいうち
)
を
与
(
あた
)
へ
260
開拓
(
かいたく
)
の
事業
(
じげふ
)
に
従事
(
じうじ
)
せしむる
事
(
こと
)
となつた。
261
彼
(
か
)
れシーゴーはサンダー、
262
スガコ
姫
(
ひめ
)
に
従
(
したが
)
ひ、
263
両人
(
りやうにん
)
を
主人
(
しゆじん
)
と
仰
(
あふ
)
ぎ、
264
スガコ
姫
(
ひめ
)
が
父
(
ちち
)
のジャンクが
所有
(
しよいう
)
せる
無限
(
むげん
)
の
山林
(
さんりん
)
田畑
(
でんばた
)
を
開墾
(
かいこん
)
し、
265
三千
(
さんぜん
)
の
部下
(
ぶか
)
をして
之
(
これ
)
に
従事
(
じうじ
)
せしめ、
266
大都会
(
だいとくわい
)
を
造
(
つく
)
つて………………
新
(
あたら
)
しき
村
(
むら
)
を
経営
(
けいえい
)
し、
267
タライの
村
(
むら
)
の
真人
(
しんじん
)
と
謳
(
うた
)
はれて
生涯
(
しやうがい
)
を
送
(
おく
)
つた。
268
父
(
ちち
)
のジャンクは
遥
(
はるか
)
にサンダー、
269
スガコの
無事
(
ぶじ
)
に
帰宅
(
きたく
)
せし
事
(
こと
)
、
270
梅公司
(
うめこうつかさ
)
に
救
(
すく
)
はれし
事
(
こと
)
、
271
及
(
および
)
シーゴーを
一
(
いち
)
の
番頭
(
ばんとう
)
となし、
272
数千
(
すうせん
)
の
部下
(
ぶか
)
を
使役
(
しえき
)
して
開墾
(
かいこん
)
の
業
(
げふ
)
に
従事
(
じゆうじ
)
せしめ、
273
日々
(
にちにち
)
事業
(
じげふ
)
の
発展
(
はつてん
)
しつつある
事
(
こと
)
を
聞知
(
ぶんち
)
し、
274
大
(
おほい
)
に
喜
(
よろこ
)
んで、
275
全
(
まつた
)
く
神
(
かみ
)
の
恩恵
(
おんけい
)
となし、
276
一生
(
いつしやう
)
を
神
(
かみ
)
に
捧
(
ささ
)
げ、
277
神業
(
しんげふ
)
に
参加
(
さんか
)
し、
278
屍
(
かばね
)
をさらす
迄
(
まで
)
、
279
吾
(
わが
)
郷里
(
きやうり
)
に
帰
(
かへ
)
らなかつた。
280
そしてジャンクは
義勇軍
(
ぎゆうぐん
)
の
勇士
(
ゆうし
)
としてバルガン
城下
(
じやうか
)
に
驍名
(
げうめい
)
を
走
(
は
)
せた。
281
一旦
(
いつたん
)
悔
(
く
)
い
改
(
あらた
)
めたる
玄真坊
(
げんしんばう
)
は
再
(
ふたた
)
び
悪化
(
あくくわ
)
して、
282
シーゴーと
論争
(
ろんそう
)
し、
283
三千
(
さんぜん
)
の
部下
(
ぶか
)
の
中
(
うち
)
、
284
不平組
(
ふへいぐみ
)
三百
(
さんびやく
)
余
(
よ
)
名
(
めい
)
を
引率
(
いんそつ
)
し、
285
オーラの
峰
(
みね
)
を
渉
(
わた
)
つて
民家
(
みんか
)
を
掠奪
(
りやくだつ
)
し
乍
(
なが
)
ら、
286
地教山
(
ちけうざん
)
方面
(
はうめん
)
指
(
さ
)
して
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
したのである。
287
惟神
(
かむながら
)
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
は
白梅
(
しらうめ
)
の
288
旭
(
あさひ
)
に
匂
(
にほ
)
ふ
姿
(
すがた
)
なりけり。
289
梅
(
うめ
)
の
花
(
はな
)
香
(
にほ
)
ひ
初
(
そ
)
めたる
如月
(
きさらぎ
)
の
290
空
(
そら
)
に
瞬
(
またた
)
く
珍
(
うづ
)
の
星影
(
ほしかげ
)
。
291
何事
(
なにごと
)
も
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
にヨリコ
姫
(
ひめ
)
292
世
(
よ
)
の
神柱
(
みはしら
)
となりし
雄々
(
をを
)
しさ。
293
現世
(
うつしよ
)
の
罪
(
つみ
)
をば
恐
(
おそ
)
れシーゴー(
死後
(
しご
)
)を
294
思
(
おも
)
ひて
神
(
かみ
)
に
帰
(
かへ
)
るつはもの。
295
サンダーやスガコは
生
(
うま
)
れし
己
(
お
)
のが
村
(
むら
)
に
296
帰
(
かへ
)
りて
新村
(
にひむら
)
永久
(
とは
)
に
開
(
ひら
)
きぬ。
297
光
(
ひかり
)
暗
(
やみ
)
行
(
ゆ
)
きかふ
曲
(
まが
)
の
玄真
(
げんしん
)
は
298
心
(
こころ
)
変
(
かは
)
りて
鬼
(
おに
)
となりぬる。
299
村肝
(
むらきも
)
の
心
(
こころ
)
曇
(
くも
)
りし
曲人
(
まがびと
)
と
300
山野
(
やまの
)
に
迷
(
まよ
)
ふ
玄真
(
げんしん
)
の
果
(
はて
)
。
301
(
大正一三・一一・二三
新一二・一九
於教主殿
松村真澄
録)
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