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第67巻(午の巻)
序文
総説
第1篇 美山梅光
01 梅の花香
〔1703〕
02 思想の波
〔1704〕
03 美人の腕
〔1705〕
04 笑の座
〔1706〕
05 浪の皷
〔1707〕
第2篇 春湖波紋
06 浮島の怪猫
〔1708〕
07 武力鞘
〔1709〕
08 糸の縺れ
〔1710〕
09 ダリヤの香
〔1711〕
10 スガの長者
〔1712〕
第3篇 多羅煩獄
11 暗狐苦
〔1713〕
12 太子微行
〔1714〕
13 山中の火光
〔1715〕
14 獣念気
〔1716〕
15 貂心暴
〔1717〕
16 酒艶の月
〔1718〕
17 晨の驚愕
〔1719〕
第4篇 山色連天
18 月下の露
〔1720〕
19 絵姿
〔1721〕
20 曲津の陋呵
〔1722〕
21 針灸思想
〔1723〕
22 憧憬の美
〔1724〕
余白歌
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> 第2篇 春湖波紋 > 第7章 武力鞘
<<< 浮島の怪猫
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第七章
武力鞘
(
ぶりきざや
)
〔一七〇九〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第67巻 山河草木 午の巻
篇:
第2篇 春湖波紋
よみ(新仮名遣い):
しゅんこはもん
章:
第7章 武力鞘
よみ(新仮名遣い):
ぶりきざや
通し章番号:
1709
口述日:
1924(大正13)年12月27日(旧12月2日)
口述場所:
祥雲閣
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1926(大正15)年8月19日
概要:
舞台:
波切丸
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
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:
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
OBC :
rm6707
愛善世界社版:
90頁
八幡書店版:
第12輯 63頁
修補版:
校定版:
90頁
普及版:
68頁
初版:
ページ備考:
001
ヨリコ
姫
(
ひめ
)
は
甲板
(
かんばん
)
に
立
(
た
)
つて、
002
平和
(
へいわ
)
な
湖面
(
こめん
)
を
打
(
うち
)
眺
(
なが
)
め、
003
声
(
こゑ
)
も
涼
(
すず
)
しく
歌
(
うた
)
ふ。
004
『
久方
(
ひさかた
)
の
大空
(
おほぞら
)
高
(
たか
)
く
聳
(
そび
)
えたる
005
オーラの
山
(
やま
)
は
霞
(
かすみ
)
けり
006
常夜
(
とこよ
)
の
暗
(
やみ
)
もハルの
湖
(
うみ
)
007
うつ
小波
(
さざなみ
)
の
音
(
ね
)
も
清
(
きよ
)
く
008
吾
(
わが
)
船舷
(
ふなばた
)
に
皷
(
つづみ
)
うつ
009
千波
(
せんぱ
)
万波
(
ばんぱ
)
の
皺
(
しわ
)
の
湖
(
うみ
)
010
伸
(
の
)
べ
行
(
ゆ
)
く
波切丸
(
なみきりまる
)
の
上
(
うへ
)
011
天
(
てん
)
より
高
(
たか
)
く
咲
(
さ
)
く
花
(
はな
)
の
012
聖
(
きよ
)
き
御教
(
みのり
)
を
聞
(
き
)
き
乍
(
なが
)
ら
013
彼方
(
あなた
)
の
岸
(
きし
)
に
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
014
心
(
こころ
)
曇
(
くも
)
りしヨリコ
姫
(
ひめ
)
も
015
村雲
(
むらくも
)
はらす
時津風
(
ときつかぜ
)
に
016
心
(
こころ
)
の
暗
(
やみ
)
を
払
(
はら
)
はれて
017
澄
(
すみ
)
わたりたる
湖
(
うみ
)
の
上
(
うへ
)
018
小鳥
(
ことり
)
は
千代
(
ちよ
)
を
唄
(
うた
)
ひつつ
019
翼
(
つばさ
)
拡
(
ひろ
)
げてアンボイナ
020
神
(
かみ
)
に
輝
(
かがや
)
く
頭上
(
づじやう
)
をば
021
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
に
飛
(
と
)
びかへて
022
吾
(
わが
)
行手
(
ゆくて
)
をば
守
(
まも
)
る
如
(
ごと
)
023
見
(
み
)
ゆるも
床
(
ゆか
)
し
波
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
024
大
(
おほ
)
き
小
(
ちひ
)
さき
島々
(
しまじま
)
は
025
パインの
木蔭
(
こかげ
)
を
宿
(
やど
)
しつつ
026
彼方
(
あなた
)
此方
(
こなた
)
に
漂
(
ただよ
)
ひて
027
眺
(
なが
)
めも
清
(
きよ
)
き
今日
(
けふ
)
の
旅
(
たび
)
028
忽
(
たちま
)
ち
来
(
きた
)
る
夜嵐
(
よあらし
)
の
029
猛
(
たけ
)
びに
船
(
ふね
)
は
中天
(
ちうてん
)
に
030
捲
(
ま
)
き
上
(
あ
)
げられて
暗礁
(
あんせう
)
の
031
苦難
(
くなん
)
を
逃
(
のが
)
れ
玉
(
たま
)
の
緒
(
を
)
の
032
命
(
いのち
)
を
無事
(
ぶじ
)
に
保
(
たも
)
ちしも
033
三五教
(
あななひけう
)
に
仕
(
つか
)
へたる
034
梅公
(
うめこう
)
の
君
(
きみ
)
の
御
(
おん
)
恵
(
めぐみ
)
035
神
(
かみ
)
の
稜威
(
みいづ
)
の
目
(
ま
)
のあたり
036
顕
(
あら
)
はれませし
尊
(
たふと
)
さよ
037
船
(
ふね
)
は
行
(
ゆ
)
く
波
(
なみ
)
は
静
(
しづか
)
に
立
(
たち
)
並
(
なら
)
ぶ
038
魚鱗
(
ぎよりん
)
は
静
(
しづ
)
かにまたたきて
039
天津
(
あまつ
)
日影
(
ひかげ
)
を
宿
(
やど
)
しつつ
040
世
(
よ
)
の
太平
(
たいへい
)
を
謳
(
うた
)
ふなり
041
類
(
たぐひ
)
稀
(
まれ
)
なる
師
(
し
)
の
君
(
きみ
)
の
042
優
(
やさ
)
しき
言葉
(
ことば
)
に
導
(
みちび
)
かれ
043
根底
(
ねそこ
)
の
国
(
くに
)
を
後
(
あと
)
にして
044
常磐
(
とは
)
の
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
く
天津
(
あまつ
)
神
(
かみ
)
045
鎮
(
しづ
)
まりゐます
御
(
おん
)
国
(
くに
)
へ
046
進
(
すす
)
みて
行
(
ゆ
)
かむ
心地
(
ここち
)
こそ
047
吾
(
わが
)
身
(
み
)
此
(
この
)
世
(
よ
)
に
生
(
うま
)
れてゆ
048
まだ
例
(
ためし
)
なき
喜
(
よろこ
)
びの
049
涙
(
なみだ
)
に
袖
(
そで
)
はうるほひぬ
050
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
051
神
(
かみ
)
の
守
(
まも
)
らす
此
(
この
)
船
(
ふね
)
は
052
スガの
港
(
みなと
)
に
渡
(
わた
)
るてふ
053
げにスガスガし
吾
(
あが
)
心
(
こころ
)
054
何
(
なに
)
に
譬
(
たとへ
)
む
物
(
もの
)
もなし
055
二八
(
にはち
)
の
春
(
はる
)
の
花盛
(
はなざか
)
り
056
心
(
こころ
)
の
嵐
(
あらし
)
吹
(
ふ
)
きすさび
057
よからぬ
人
(
ひと
)
と
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
いて
058
枉
(
まが
)
の
醜業
(
しこわざ
)
企
(
たく
)
らみつ
059
オーラの
山
(
やま
)
の
砦
(
とりで
)
をば
060
千代
(
ちよ
)
の
住家
(
すみか
)
と
定
(
さだ
)
めつつ
061
罪
(
つみ
)
を
重
(
かさ
)
ねし
悔
(
くや
)
しさよ
062
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
浅
(
あさ
)
からず
063
吾
(
わが
)
身
(
み
)
の
運
(
うん
)
の
尽
(
つ
)
きずして
064
かくも
目出
(
めで
)
たき
神教
(
みをしへ
)
に
065
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
りしは
天地
(
あめつち
)
の
066
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
と
畏
(
かしこ
)
みて
067
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
怠
(
おこた
)
らず
068
其
(
その
)
御
(
おん
)
徳
(
とく
)
を
感謝
(
かんしや
)
しつ
069
晴
(
はれ
)
渡
(
わた
)
りたる
胸
(
むね
)
の
空
(
そら
)
070
大日
(
おほひ
)
は
清
(
きよ
)
く
照
(
て
)
り
渡
(
わた
)
り
071
月影
(
つきかげ
)
清
(
きよ
)
く
澄
(
す
)
みきりて
072
星
(
ほし
)
の
瞬
(
またた
)
きいと
妙
(
たへ
)
に
073
風
(
かぜ
)
は
不断
(
ふだん
)
の
音楽
(
おんがく
)
を
074
奏
(
かな
)
でまつりて
神々
(
かみがみ
)
の
075
深
(
ふか
)
き
稜威
(
みいづ
)
を
現
(
あら
)
はせり
076
時
(
とき
)
しもあれや
大高島
(
おほたかじま
)
077
如何
(
いか
)
なる
神
(
かみ
)
の
計
(
はか
)
らひか
078
下津
(
したつ
)
岩根
(
いはね
)
の
底
(
そこ
)
深
(
ふか
)
く
079
つき
立
(
た
)
ちたりと
聞
(
きこ
)
えしが
080
何
(
なん
)
の
苦
(
く
)
もなく
見
(
み
)
るうちに
081
水泡
(
みなわ
)
と
消
(
き
)
えて
跡
(
あと
)
もなく
082
其
(
その
)
頂
(
いただ
)
きに
永久
(
とこしへ
)
に
083
立
(
たち
)
並
(
なら
)
びたる
夫婦岩
(
めうといは
)
084
俄
(
にはか
)
に
獣
(
けもの
)
と
身
(
み
)
を
変
(
へん
)
じ
085
高
(
たか
)
き
岩座
(
いはくら
)
相放
(
あひはな
)
れ
086
屠所
(
としよ
)
に
曳
(
ひ
)
かるる
羊
(
ひつじ
)
なす
087
憐
(
あはれ
)
な
姿
(
すがた
)
トボトボと
088
岩
(
いは
)
の
虚隙
(
きよげき
)
を
伝
(
つた
)
ひつつ
089
猿捕荊
(
さるとりいばら
)
に
身
(
み
)
を
破
(
やぶ
)
り
090
或
(
あるひ
)
は
転
(
ころ
)
げ
又
(
また
)
倒
(
たふ
)
れ
091
頭
(
かしら
)
を
下
(
した
)
に
尾
(
を
)
を
上
(
うへ
)
に
092
漸
(
やうや
)
く
磯辺
(
いそべ
)
に
降
(
くだ
)
りつき
093
波
(
なみ
)
を
渡
(
わた
)
つて
逃
(
にげ
)
失
(
う
)
せぬ
094
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
095
オーラの
山
(
やま
)
に
永久
(
とこしへ
)
に
096
神
(
かみ
)
を
詐
(
いつは
)
り
世
(
よ
)
の
人
(
ひと
)
を
097
欺
(
あざむ
)
き
悩
(
なや
)
め
吾
(
わが
)
威勢
(
ゐせい
)
098
四方
(
よも
)
に
張
(
は
)
らむと
思
(
おも
)
ひしを
099
思
(
おも
)
ひ
返
(
かへ
)
せば
愚
(
おろか
)
なる
100
企
(
たく
)
みとこそは
知
(
し
)
られけり
101
遠
(
とほ
)
き
神代
(
かみよ
)
の
昔
(
むかし
)
より
102
常磐
(
ときは
)
堅磐
(
かきは
)
に
此
(
この
)
湖
(
うみ
)
の
103
光
(
ひかり
)
ともなり
花
(
はな
)
となり
104
湖中
(
こちう
)
の
王
(
わう
)
と
敬
(
うやま
)
はれ
105
万民
(
ばんみん
)
憧憬
(
どうけい
)
の
的
(
まと
)
となり
106
時
(
とき
)
めき
渡
(
わた
)
りし
岩島
(
いはじま
)
も
107
忽
(
たちま
)
ち
天
(
てん
)
の
時
(
とき
)
到
(
いた
)
らば
108
かくも
無残
(
むざん
)
に
失
(
う
)
せにける
109
之
(
これ
)
を
思
(
おも
)
へば
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
は
110
尚
(
なほ
)
更
(
さら
)
果敢
(
はか
)
なきものならむ
111
大黒主
(
おほくろぬし
)
の
勢
(
いきほひ
)
は
112
天地
(
てんち
)
に
貫
(
つらぬ
)
く
威
(
ゐ
)
あり
共
(
とも
)
113
神
(
かみ
)
の
戒
(
いまし
)
め
下
(
くだ
)
りなば
114
旭
(
あさひ
)
に
霜
(
しも
)
の
消
(
き
)
ゆる
如
(
ごと
)
115
夏
(
なつ
)
の
氷
(
こほり
)
の
解
(
と
)
くる
如
(
ごと
)
116
はかなく
消
(
き
)
えむ
惟神
(
かむながら
)
117
神
(
かみ
)
の
力
(
ちから
)
の
恐
(
おそ
)
ろしや
118
シーゴーの
司
(
つかさ
)
は
幸
(
さいは
)
ひに
119
神
(
かみ
)
の
大道
(
おほぢ
)
に
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
り
120
曲
(
まが
)
の
関所
(
せきしよ
)
を
乗
(
のり
)
越
(
こ
)
えて
121
今
(
いま
)
は
高天
(
たかま
)
の
花苑
(
はなぞの
)
に
122
通
(
かよ
)
ふ
旅路
(
たびぢ
)
となりにけり
123
吾
(
わが
)
妹
(
いもうと
)
の
花香姫
(
はなかひめ
)
124
教
(
をしへ
)
の
君
(
きみ
)
に
伴
(
ともな
)
はれ
125
千
(
せん
)
里
(
り
)
の
波濤
(
はたう
)
を
打
(
うち
)
渡
(
わた
)
り
126
万里
(
ばんり
)
の
広野
(
くわうや
)
を
跋渉
(
ばつせう
)
して
127
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
世
(
よ
)
の
為
(
ため
)
に
128
尽
(
つく
)
さむ
身
(
み
)
とはなりにけり
129
吾
(
わ
)
れも
妹
(
いもうと
)
も
惟神
(
かむながら
)
130
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
に
救
(
すく
)
はれて
131
旭
(
あさひ
)
のただ
刺
(
さ
)
す
神国
(
かみくに
)
へ
132
勇
(
いさ
)
み
行
(
ゆ
)
くこそ
嬉
(
うれ
)
しけれ
133
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
134
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
慎
(
つつし
)
みて
135
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
が
前途
(
ぜんと
)
に
幸
(
さち
)
あれと
136
天地
(
てんち
)
に
向
(
むか
)
つて
願
(
ね
)
ぎ
奉
(
まつ
)
る
137
畏
(
かしこ
)
み
敬
(
ゐやま
)
ひ
願
(
ねぎ
)
奉
(
まつ
)
る』
138
花香姫
(
はなかひめ
)
『
湖
(
うみ
)
の
面
(
おも
)
を
飛
(
と
)
び
交
(
か
)
ふ
鳥
(
とり
)
の
翼
(
つばさ
)
こそ
139
花
(
はな
)
か
蝶
(
てふ
)
かと
見
(
み
)
まがひにける。
140
大高島
(
おほたかじま
)
音
(
おと
)
さへ
立
(
た
)
てず
湖底
(
うなそこ
)
に
141
沈
(
しづ
)
みしを
見
(
み
)
て
世
(
よ
)
の
移
(
うつ
)
るをさとる。
142
うつり
行
(
ゆ
)
く
御代
(
みよ
)
に
扇
(
あふぎ
)
の
末
(
すゑ
)
広
(
ひろ
)
く
143
栄
(
さか
)
ゆる
春
(
はる
)
の
花香
(
はなか
)
をぞ
待
(
ま
)
つ』
144
シーゴー『
島々
(
しまじま
)
は
泰然
(
たいぜん
)
自若
(
じじやく
)
波
(
なみ
)
に
浮
(
う
)
くを
145
大高島
(
おほたかじま
)
の
憐
(
あはれ
)
はかなさ。
146
行
(
ゆき
)
かひの
船
(
ふね
)
を
悩
(
なや
)
めし
岩島
(
いはじま
)
も
147
あへなく
失
(
う
)
せて
水泡
(
みなわ
)
となりぬ。
148
吾
(
わが
)
胸
(
むね
)
に
巣
(
す
)
ぐひし
曲
(
まが
)
も
岩島
(
いはじま
)
の
149
あはれを
見
(
み
)
ては
水泡
(
みなわ
)
ときえぬ。
150
天地
(
あめつち
)
の
中
(
なか
)
はら
渡
(
わた
)
る
此
(
この
)
船
(
ふね
)
は
151
神
(
かみ
)
の
救
(
すく
)
ひの
御梯
(
みはし
)
とぞ
思
(
おも
)
ふ。
152
常世
(
とこよ
)
行
(
ゆ
)
く
暗
(
やみ
)
を
照
(
てら
)
せし
島山
(
しまやま
)
も
153
今
(
いま
)
は
根底
(
ねそこ
)
に
沈
(
しづ
)
みけるかな。
154
高
(
たか
)
きより
低
(
ひく
)
きにおつる
世
(
よ
)
のならひ
155
吾
(
われ
)
もオーラの
山
(
やま
)
を
下
(
くだ
)
りつ。
156
水平
(
すいへい
)
の
波
(
なみ
)
漕
(
こ
)
ぎ
渡
(
わた
)
る
此
(
この
)
船
(
ふね
)
は
157
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
の
御姿
(
みすがた
)
なるらむ。
158
惟神
(
かむながら
)
水平線
(
すいへいせん
)
を
辷
(
すべ
)
り
行
(
ゆ
)
く
159
波切丸
(
なみきりまる
)
の
姿
(
すがた
)
勇
(
いさ
)
まし』
160
梅公
(
うめこう
)
『
見
(
み
)
わたせば
波間
(
なみま
)
にきらめく
御光
(
みひかり
)
は
161
千々
(
ちぢ
)
に
砕
(
くだ
)
くる
神影
(
みかげ
)
なるらむ。
162
四海
(
しかい
)
波
(
なみ
)
いとも
静
(
しづか
)
におさまりて
163
大高山
(
おほたかやま
)
の
影
(
かげ
)
だにもなし。
164
大高山
(
おほたかやま
)
雲間
(
くもま
)
に
高
(
たか
)
く
波
(
なみ
)
の
上
(
へ
)
に
165
うかびて
人
(
ひと
)
を
悩
(
なや
)
ませにける。
166
日
(
ひ
)
も
月
(
つき
)
も
大高山
(
おほたかやま
)
の
頂
(
いただ
)
きに
167
蔽
(
おほ
)
はる
悩
(
なや
)
みなきぞ
嬉
(
うれ
)
しき』
168
梅公
(
うめこう
)
、
169
ヨリコ
姫
(
ひめ
)
、
170
花香姫
(
はなかひめ
)
、
171
シーゴーは
階段
(
かいだん
)
を
下
(
くだ
)
り、
172
各自
(
かくじ
)
の
船室
(
せんしつ
)
に
入
(
い
)
つて
肱
(
ひぢ
)
を
枕
(
まくら
)
に
横
(
よこ
)
たはつた。
173
デッキの
上
(
うへ
)
には
色々
(
いろいろ
)
の
雑談
(
ざつだん
)
が
始
(
はじ
)
まつてゐる。
174
見
(
み
)
るからに
目
(
め
)
のくるりとした
色
(
いろ
)
の
黒
(
くろ
)
い、
175
一癖
(
ひとくせ
)
有
(
あり
)
さうな
大男
(
おほをとこ
)
、
176
十数
(
じふすう
)
人
(
にん
)
の
船客
(
せんきやく
)
の
中
(
なか
)
に
胡坐
(
あぐら
)
をかき
177
傍若
(
ばうじやく
)
無人
(
ぶじん
)
的
(
てき
)
に
武術
(
ぶじゆつ
)
の
自慢話
(
じまんばなし
)
をやつてゐる。
178
バラック『もし、
179
お
前
(
まへ
)
さまは
一見
(
いつけん
)
した
所
(
ところ
)
、
180
中々
(
なかなか
)
の
豪勇
(
がうゆう
)
と
見
(
み
)
えるが、
181
お
角力
(
すまう
)
さまですか、
182
但
(
ただ
)
しは
武術家
(
ぶじゆつか
)
ですか』
183
ドラック『
俺
(
おれ
)
かい、
184
俺
(
おれ
)
は
若
(
わか
)
い
時
(
とき
)
や、
185
角力
(
すまう
)
も
随分
(
ずいぶん
)
取
(
と
)
つたものだ。
186
そして
日下
(
ひのした
)
開山
(
かいさん
)
横綱
(
よこづな
)
を、
187
一度
(
いちど
)
は
張
(
は
)
つたものだよ。
188
ハルナの
都
(
みやこ
)
の
大相撲
(
おほずまう
)
の
時
(
とき
)
にや
随分
(
ずいぶん
)
面白
(
おもしろ
)
かつたね。
189
十日
(
とをか
)
の
角力
(
すまう
)
に
十日
(
とをか
)
迄
(
まで
)
地
(
つち
)
つかずで、
190
大変
(
たいへん
)
な
人気
(
にんき
)
だつたよ。
191
数万
(
すうまん
)
の
見物人
(
けんぶつにん
)
の
血
(
ち
)
を
躍
(
をど
)
らせた
事
(
こと
)
といつたら、
192
前古
(
ぜんこ
)
未曽有
(
みぞう
)
といふ
評判
(
ひやうばん
)
だつた。
193
お
前
(
まへ
)
も
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
るだらうが、
194
日下
(
ひのした
)
開山
(
かいさん
)
ドラック
山
(
やま
)
といふのは
俺
(
おれ
)
の
事
(
こと
)
だ。
195
之
(
これ
)
見
(
み
)
玉
(
たま
)
へ、
196
俺
(
おれ
)
の
腕
(
かひな
)
は
丸
(
まる
)
で
鉄
(
てつ
)
のやうだ。
197
何程
(
なにほど
)
強
(
つよ
)
い
男
(
をとこ
)
でも、
198
グツと
一
(
ひと
)
つ
握
(
にぎ
)
るが
最後
(
さいご
)
、
199
息
(
いき
)
がつまり
胸
(
むね
)
がつかへ、
200
青
(
あを
)
くなつて
了
(
しま
)
ふのだ。
201
そして
物
(
もの
)
が
云
(
い
)
へなくなるのだ。
202
余
(
あま
)
り
力
(
ちから
)
が
強
(
つよ
)
いので、
203
どの
力士
(
りきし
)
も
此
(
この
)
力士
(
りきし
)
もドラック
山
(
やま
)
にかかつちや
勝目
(
かちめ
)
がないといふので、
204
終
(
しま
)
ひの
果
(
はて
)
にや
相手
(
あひて
)
がなくなつたのだ。
205
相手
(
あひて
)
なしに
一人
(
ひとり
)
角力
(
ずまう
)
とる
訳
(
わけ
)
にもゆかず、
206
止
(
やむ
)
を
得
(
え
)
ず
力士
(
りきし
)
を
廃業
(
はいげふ
)
して、
207
今
(
いま
)
は
剣道
(
けんだう
)
の
師範
(
しはん
)
兼
(
けん
)
柔術
(
じうじゆつ
)
の
師範
(
しはん
)
になつたのだよ』
208
バラ『
成程
(
なるほど
)
、
209
いかにも
強
(
つよ
)
さうな
腕
(
うで
)
つ
節
(
ぷし
)
ですなア。
210
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
夫
(
それ
)
程
(
ほど
)
強
(
つよ
)
いお
前
(
まへ
)
さまが、
211
海賊
(
かいぞく
)
の
親分
(
おやぶん
)
コーズが
襲来
(
しふらい
)
した
時
(
とき
)
に、
212
なぜ
彼奴
(
あいつ
)
をとつつめて
下
(
くだ
)
さらなかつたのですか。
213
所謂
(
いはゆる
)
宝
(
たから
)
の
持
(
もち
)
ぐさりぢやありませぬか』
214
ドラ『
其
(
その
)
時
(
とき
)
にや、
215
自分
(
じぶん
)
の
船室
(
せんしつ
)
で
安楽
(
あんらく
)
な
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
てゐたものだから、
216
チツとも
知
(
し
)
らなかつたよ。
217
腕
(
うで
)
がなつて、
218
血
(
ち
)
が
湧
(
わ
)
いて、
219
相手
(
あひて
)
がほしくつて、
220
脾肉
(
ひにく
)
の
歎
(
たん
)
にたえない
俺
(
おれ
)
だもの、
221
海賊
(
かいぞく
)
の
親玉
(
おやだま
)
が
襲
(
おそ
)
うて
来
(
き
)
たと
聞
(
き
)
きや、
222
どうして
俺
(
おれ
)
が
見逃
(
みのが
)
すものか。
223
あとから、
224
本当
(
ほんたう
)
に
人
(
ひと
)
の
噂
(
うはさ
)
を
聞
(
き
)
いて、
225
取返
(
とりかへ
)
しのつかない
末代
(
まつだい
)
の
損
(
そん
)
をしたものだと、
226
心
(
こころ
)
私
(
ひそ
)
かに
悔
(
くや
)
んでゐたのだよ』
227
バラ『
貴方
(
あなた
)
の
様
(
やう
)
な
豪勇
(
がうゆう
)
と
同船
(
どうせん
)
して
居
(
を
)
れば、
228
私
(
わたし
)
も、
229
此
(
この
)
航海
(
かうかい
)
は
安心
(
あんしん
)
致
(
いた
)
しますワ。
230
之
(
これ
)
も
全
(
まつた
)
く
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御
(
お
)
恵
(
めぐみ
)
だと
感謝
(
かんしや
)
せざるを
得
(
え
)
ませぬ』
231
ドラ『ウン、
232
何
(
なに
)
も
心配
(
しんぱい
)
はいらぬ。
233
剣術
(
けんじゆつ
)
は
世界中
(
せかいぢう
)
俺
(
おれ
)
に
勝
(
か
)
つ
者
(
もの
)
は、
234
マア、
235
現代
(
げんだい
)
では
一人
(
ひとり
)
もなからうよ。
236
角力
(
すまう
)
では、
237
雷電
(
らいでん
)
為右衛門
(
ためうゑもん
)
、
238
小野川
(
をのがは
)
、
239
谷風
(
たにかぜ
)
、
240
梅ケ谷
(
うめがたに
)
、
241
常陸山
(
ひたちやま
)
位
(
ぐらゐ
)
は
束
(
そく
)
にゆふて
来
(
き
)
ても、
242
てんで、
243
角力
(
すまう
)
にならぬのだからな。
244
又
(
また
)
剣道
(
けんだう
)
や
柔術
(
じうじゆつ
)
にかけたら、
245
ゴライヤスに
宮本
(
みやもと
)
武蔵
(
むさし
)
、
246
塚原
(
つかはら
)
卜伝
(
ぼくでん
)
、
247
野見
(
のみ
)
の
宿弥
(
すくね
)
に
塙
(
ばん
)
団右衛門
(
だんうゑもん
)
、
248
岩見
(
いはみ
)
重太郎
(
ぢうたらう
)
、
249
荒木
(
あらき
)
又右衛門
(
またうゑもん
)
などが
束
(
そく
)
に
結
(
ゆふ
)
て
来
(
き
)
ても
足許
(
あしもと
)
へもよりつけぬのだから
大
(
たい
)
したものだよ。
250
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
余
(
あま
)
り
強
(
つよ
)
すぎて
相手
(
あひて
)
のないのも
淋
(
さび
)
しいものだ。
251
何
(
なん
)
とかして
強
(
つよ
)
い
相手
(
あひて
)
にブツつかりたいものだが、
252
タカが
海賊
(
かいぞく
)
の
親分
(
おやぶん
)
位
(
ぐらゐ
)
では、
253
実際
(
じつさい
)
の
事
(
こと
)
いふと、
254
歯
(
は
)
ごたえがしないのだからな』
255
バラックは
呆気
(
あつけ
)
にとられ、
256
怪訝
(
けげん
)
な
顔
(
かほ
)
して
舌
(
した
)
をまいてゐる。
257
大勢
(
おほぜい
)
の
船客
(
せんきやく
)
はドラックの
大法螺
(
おほぼら
)
を
真
(
ま
)
にうけ、
258
肩
(
かた
)
をいからし
乍
(
なが
)
ら
豪勇談
(
がうゆうだん
)
に
興味
(
きようみ
)
を
有
(
も
)
ち、
259
チクリチクリと
膝
(
ひざ
)
をにじりよせ、
260
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか、
261
ドラックを
取
(
とり
)
巻
(
ま
)
いて
貝細工
(
かひざいく
)
で
作
(
つく
)
つた
洋菊
(
やうぎく
)
の
花
(
はな
)
のやうにして
了
(
しま
)
つた。
262
チエックといふ
一人
(
ひとり
)
の
商人風
(
せうにんふう
)
の
男
(
をとこ
)
は
恐
(
おそ
)
る
恐
(
おそ
)
る、
263
ドラックに
向
(
むか
)
つて、
264
『モシ、
265
先生
(
せんせい
)
それ
程
(
ほど
)
強
(
つよ
)
いお
方
(
かた
)
なら、
266
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
恐
(
おそ
)
るべき
者
(
もの
)
は
一
(
ひと
)
つもないでせうな』
267
ドラ『そらさうだ。
268
弓
(
ゆみ
)
でも
鉄砲
(
てつぱう
)
でも、
269
大砲
(
たいはう
)
でも
何
(
なん
)
でも
彼
(
かん
)
でも、
270
俺
(
おれ
)
にかかつちや
駄目
(
だめ
)
だ。
271
此
(
この
)
拳骨
(
げんこつ
)
で、
272
一
(
ひと
)
つグワンと、
273
此
(
この
)
帆柱
(
ほばしら
)
でもなぐらうものなら、
274
根元
(
ねもと
)
からポクリと
折
(
を
)
れて
了
(
しま
)
ふよ。
275
それだから、
276
天下
(
てんか
)
に
敵
(
てき
)
なしといふのだ。
277
マア
君
(
きみ
)
達
(
たち
)
も
安心
(
あんしん
)
し
玉
(
たま
)
へ。
278
俺
(
おれ
)
が
此
(
この
)
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
つてゐる
以上
(
いじやう
)
は、
279
仮令
(
たとへ
)
千
(
せん
)
人
(
にん
)
万
(
まん
)
人
(
にん
)
の
海賊
(
かいぞく
)
が
来
(
き
)
たつて、
280
屁
(
へ
)
一
(
ひと
)
つひつたらしまひだ。
281
ドラックの
名
(
な
)
を
聞
(
き
)
いてさへも
縮
(
ちぢ
)
み
上
(
あが
)
つて
了
(
しま
)
ふからな』
282
チエック『
何
(
なん
)
とマア、
283
私
(
わたし
)
達
(
たち
)
は
仕合
(
しあは
)
せなものでせう。
284
それ
程
(
ほど
)
力
(
ちから
)
の
強
(
つよ
)
い、
285
武術
(
ぶじゆつ
)
の
達者
(
たつしや
)
なお
客
(
きやく
)
さまと
同船
(
どうせん
)
するとは、
286
全
(
まつた
)
く
先祖
(
せんぞ
)
様
(
さま
)
のお
手引
(
てびき
)
でせう。
287
安心
(
あんしん
)
して
国許
(
くにもと
)
へ
帰
(
かへ
)
らして
頂
(
いただ
)
きます。
288
本当
(
ほんたう
)
に
貴方
(
あなた
)
は
活神
(
いきがみ
)
さまのやうなお
方
(
かた
)
ですな。
289
併
(
しか
)
し
夜前
(
やぜん
)
コーズの
頭目
(
とうもく
)
が
此
(
この
)
船
(
ふね
)
に
上
(
あが
)
つて
来
(
き
)
た
時
(
とき
)
、
290
うす
暗
(
くら
)
がりの
中
(
なか
)
から、
291
繊弱
(
かよわ
)
い
女
(
をんな
)
が
現
(
あら
)
はれて、
292
恐
(
おそ
)
ろしい
海賊
(
かいぞく
)
を、
293
皆
(
みな
)
湖中
(
こちう
)
へ
投込
(
なげこ
)
んで
了
(
しま
)
ひ、
294
吾々
(
われわれ
)
の
着物
(
きもの
)
を
取
(
とり
)
返
(
かへ
)
して
下
(
くだ
)
さつたのは、
295
本当
(
ほんたう
)
に
有難
(
ありがた
)
い
事
(
こと
)
でした。
296
あの
方
(
かた
)
は
貴方
(
あなた
)
のお
弟子
(
でし
)
ぢや
厶
(
ござ
)
いませぬか』
297
ドラ『ウン、
298
総
(
すべ
)
て
少
(
すこ
)
し
手
(
て
)
の
利
(
き
)
いた
奴
(
やつ
)
ア、
299
皆
(
みな
)
俺
(
おれ
)
の
教育
(
けういく
)
をうけてるのだ。
300
余
(
あま
)
り
沢山
(
たくさん
)
な
弟子
(
でし
)
だから、
301
スツカリ、
302
顔
(
かほ
)
も
名
(
な
)
も
覚
(
おぼ
)
えてゐないが、
303
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
七千
(
しちせん
)
余国
(
よこく
)
の
武術家
(
ぶじゆつか
)
は
皆
(
みな
)
俺
(
おれ
)
の
部下
(
ぶか
)
と
云
(
い
)
つても
差支
(
さしつかへ
)
なからうよ。
304
各
(
かく
)
取締所
(
とりしまりしよ
)
の
捕手
(
とりて
)
連
(
れん
)
は
全部
(
ぜんぶ
)
俺
(
おれ
)
に
剣術
(
けんじゆつ
)
や
柔術
(
じうじゆつ
)
を
学
(
まな
)
んだのだからな。
305
そして
其
(
その
)
女
(
をんな
)
といふのは
何者
(
なにもの
)
だか、
306
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
は
知
(
し
)
つてゐるだらうな。
307
名
(
な
)
は
聞
(
き
)
いておいたか』
308
バラック『
何
(
なん
)
でも
天
(
てん
)
から
俄
(
にはか
)
に
下
(
くだ
)
つて
来
(
き
)
た
女神
(
めがみ
)
さまが
309
吾々
(
われわれ
)
の
危難
(
きなん
)
を
救
(
すく
)
つて
下
(
くだ
)
さつたのだらうと、
310
一般
(
いつぱん
)
の
噂
(
うはさ
)
だ。
311
何程
(
なにほど
)
武術
(
ぶじゆつ
)
が
達者
(
たつしや
)
だと
云
(
い
)
つても、
312
人間
(
にんげん
)
なれば、
313
女
(
をんな
)
の
分際
(
ぶんざい
)
として、
314
あんな
離
(
はな
)
れ
業
(
わざ
)
は
出来
(
でき
)
ないからな』
315
チエ『それでも、
316
バラックさま、
317
暫
(
しばら
)
くすると
暗
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
に
現
(
あら
)
はれた
美人
(
びじん
)
と
同
(
おな
)
じやうなスタイルの
女
(
をんな
)
が、
318
甲板
(
かんばん
)
の
上
(
うへ
)
へあがつて
来
(
き
)
て、
319
ヨリコ
姫
(
ひめ
)
だとか
何
(
なん
)
とか
云
(
い
)
つて、
320
自分
(
じぶん
)
が
助
(
たす
)
けたやうな
事
(
こと
)
を
唄
(
うた
)
つてゐましたよ』
321
バラ『ナアニ、
322
人
(
ひと
)
の
手柄
(
てがら
)
を
横取
(
よこどり
)
せうと
思
(
おも
)
ふ
奴
(
やつ
)
の
多
(
おほ
)
い
時節
(
じせつ
)
だから、
323
あんな
事
(
こと
)
云
(
い
)
つて、
324
吾
(
われ
)
の
信用
(
しんよう
)
をつながうとしよつた
奸策
(
かんさく
)
だよ。
325
今
(
いま
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の
奴
(
やつ
)
ア、
326
口
(
くち
)
では
立派
(
りつぱ
)
な
強
(
つよ
)
さうな
事
(
こと
)
を
吐
(
ぬか
)
す
奴
(
やつ
)
許
(
ばか
)
りで、
327
サア
鎌倉
(
かまくら
)
となつたら、
328
手足
(
てあし
)
はガタガタ
胸
(
むね
)
はドキドキ
唇
(
くちびる
)
ビルビル、
329
ヘコタレ
腰
(
ごし
)
になつて、
330
逃
(
に
)
げまわすといふ
代物
(
しろもの
)
許
(
ばか
)
りだからな。
331
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
大言
(
たいげん
)
壮語
(
さうご
)
のはやる
時節
(
じせつ
)
だ。
332
そして
今日
(
こんにち
)
は
昔
(
むかし
)
と
違
(
ちが
)
ひ、
333
……
桃季
(
たうり
)
物
(
もの
)
いはざれ
共
(
ども
)
、
334
自
(
おのづか
)
ら
小径
(
せうけい
)
をなす……といふやうな、
335
まどろしい
事
(
こと
)
は
誰
(
たれ
)
も
考
(
かんが
)
へてゐない。
336
自家
(
じか
)
広告
(
くわうこく
)
を
盛
(
さか
)
んにやる
時節
(
じせつ
)
だから、
337
お
手際
(
てぎは
)
を
拝見
(
はいけん
)
しなくちや、
338
誰
(
たれ
)
だつて
信用
(
しんよう
)
するこた
出来
(
でき
)
やしないワ、
339
アツハヽヽヽ』
340
ドラ『コレコレ、
341
バラックさま、
342
俺
(
おれ
)
の
前
(
まへ
)
で、
343
そんな
悪口
(
あくこう
)
をつくといふ
事
(
こと
)
があるものか。
344
お
前
(
まへ
)
は
俺
(
おれ
)
の
最前
(
さいぜん
)
いつた
事
(
こと
)
を
大言
(
たいげん
)
壮語
(
さうご
)
だと
思
(
おも
)
つてゐるのだなア。
345
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
は、
346
言心行
(
げんしんかう
)
一致
(
いつち
)
だから、
347
決
(
けつ
)
して
嘘
(
うそ
)
は
云
(
い
)
はないよ。
348
嘘
(
うそ
)
と
思
(
おも
)
ふなら、
349
一寸
(
ちよつと
)
其
(
その
)
腕
(
うで
)
を
貸
(
か
)
し
玉
(
たま
)
へ、
350
一
(
ひと
)
つ
握
(
にぎ
)
つて
見
(
み
)
せてやらう』
351
バラ『イヤもう、
352
恐
(
おそ
)
れ
入
(
い
)
りました。
353
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
して、
354
お
前
(
まへ
)
さまを
信用
(
しんよう
)
せないのぢやありませぬ。
355
言心行
(
げんしんかう
)
一致
(
いつち
)
のお
前
(
まへ
)
さまとは
実
(
じつ
)
に
見上
(
みあ
)
げたものだ。
356
今日
(
こんにち
)
の
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は
口
(
くち
)
と
心
(
こころ
)
がスツカリ
反対
(
はんたい
)
になつて
居
(
ゐ
)
る
者
(
もの
)
許
(
ばか
)
りだから、
357
せめて
言心
(
げんしん
)
一致
(
いつち
)
ならまだしもだが、
358
詐
(
いつはり
)
と
高慢
(
かうまん
)
との
流行
(
りうかう
)
する
悪社会
(
あくしやくわい
)
ですからな』
359
ドラ『
俺
(
おれ
)
の
豪勇
(
がうゆう
)
たる
事
(
こと
)
がお
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
に
合点
(
がつてん
)
がいつたとあらば
許
(
ゆる
)
してやる。
360
毛筋
(
けすぢ
)
の
横巾
(
よこはば
)
程
(
ほど
)
でも、
361
疑惑
(
ぎわく
)
をさし
挟
(
はさ
)
むのなら、
362
論
(
ろん
)
より
証拠
(
しようこ
)
言心行
(
げんしんかう
)
一致
(
いつち
)
と
出
(
で
)
かけて、
363
腕
(
うで
)
なり
肩
(
かた
)
なり、
364
一握
(
ひとにぎ
)
り
握
(
にぎ
)
つてみせてやる
積
(
つもり
)
だつたが、
365
先
(
ま
)
づ
骨
(
ほね
)
の
砕
(
くだ
)
けるのが
助
(
たす
)
かつて、
366
お
前
(
まへ
)
も
仕合
(
しあは
)
せだつたよ、
367
アツハヽヽヽ』
368
と
傍若
(
ばうじやく
)
無人
(
ぶじん
)
に
笑
(
わら
)
ふ。
369
かく
話
(
はな
)
す
折
(
をり
)
しも
数隻
(
すうせき
)
の
海賊船
(
かいぞくせん
)
、
370
島影
(
しまかげ
)
より
現
(
あら
)
はれ
来
(
きた
)
り、
371
波切丸
(
なみきりまる
)
を
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
より
取囲
(
とりかこ
)
み
縄梯子
(
なはばしご
)
を
投
(
な
)
げかけ、
372
兇器
(
きようき
)
を
携
(
たづさ
)
へ
乍
(
なが
)
ら、
373
コーズが
指揮
(
しき
)
の
下
(
もと
)
に、
374
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
、
375
バラバラと
甲板
(
デッキ
)
に
上
(
のぼ
)
つて
来
(
き
)
た。
376
チエ『ヤ、
377
先生
(
せんせい
)
、
378
海賊
(
かいぞく
)
がやつて
来
(
き
)
ました。
379
どうか
天下
(
てんか
)
無双
(
むさう
)
の
豪力
(
がうりき
)
を
出
(
だ
)
して、
380
海賊
(
かいぞく
)
を
懲
(
こら
)
しめて
下
(
くだ
)
さい』
381
バラ『サア、
382
先生
(
せんせい
)
、
383
今
(
いま
)
が
先生
(
せんせい
)
のお
力
(
ちから
)
の
現
(
あら
)
はれ
時
(
どき
)
です。
384
私
(
わたし
)
もお
手伝
(
てつだ
)
ひしますから、
385
やつて
下
(
くだ
)
さいな』
386
ドラ『アイタヽヽヽヽ。
387
あ、
388
俄
(
にはか
)
に
腹痛
(
ふくつう
)
が
致
(
いた
)
し、
389
腰
(
こし
)
が
立
(
た
)
たなくなつたワイ。
390
運
(
うん
)
の
悪
(
わる
)
い
時
(
とき
)
や
悪
(
わる
)
いものだ。
391
エ、
392
残念
(
ざんねん
)
だな。
393
肚
(
はら
)
さへ
痛
(
いた
)
くなくば、
394
海賊
(
かいぞく
)
の
百疋
(
ひやつぴき
)
や
千疋
(
せんびき
)
ひねりつぶしてやるのだけどなア』
395
とガタガタと
唇
(
くちびる
)
を
紫色
(
むらさきいろ
)
に
染
(
そめ
)
て
慄
(
ふる
)
ひ
戦
(
をのの
)
いてゐる。
396
コーズは
数十
(
すうじふ
)
人
(
にん
)
の
手下
(
てした
)
を
指揮
(
しき
)
し
乍
(
なが
)
ら、
397
先
(
ま
)
づ
甲板
(
デッキ
)
より
逃
(
に
)
げ
惑
(
まど
)
ふ
船客
(
せんきやく
)
を
引
(
ひ
)
つつかまへて
赤裸
(
まつぱだか
)
となし、
398
ドラックも
亦
(
また
)
同様
(
どうやう
)
に、
399
持物
(
もちもの
)
一切
(
いつさい
)
を
掠奪
(
りやくだつ
)
され、
400
赤裸
(
まつぱだか
)
にむかれて
了
(
しま
)
つた。
401
コーズは
勢
(
いきほひ
)
に
乗
(
じやう
)
じ、
402
階段
(
かいだん
)
を
降
(
くだ
)
つて、
403
船室
(
せんしつ
)
に
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
つた。
404
デッキの
上
(
うへ
)
は
老若
(
らうにやく
)
男女
(
なんによ
)
が
右往
(
うわう
)
左往
(
さわう
)
に
駆
(
か
)
けまわり
405
阿鼻
(
あび
)
叫喚
(
けうくわん
)
の
地獄道
(
ぢごくだう
)
を
現出
(
げんしゆつ
)
してゐた。
406
(
大正一三・一二・二
新一二・二七
於祥雲閣
松村真澄
録)
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