霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。実験用サイトサブスク
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第八章 無遊怪(むいうくわい)〔一七九七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第71巻 山河草木 戌の巻 篇:第2篇 迷想痴色 よみ(新仮名遣い):めいそうちしき
章:第8章 夢遊怪 よみ(新仮名遣い):むゆうかい 通し章番号:1797
口述日:1926(大正15)年01月31日(旧12月18日) 口述場所:月光閣 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1929(昭和4)年2月1日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
玄真坊・コブライ・コオロの三人は、バルギーを袋叩きにした後、ダリヤ姫は逃げてしまったと思い込み、あきらめてハル山峠を上っていく。
玄真坊は、天下を驚かすようなことをやって英雄ともてはやされれば、ダリヤのような美人は思いのままだと一人合点し、一旗あげようと思案をめぐらす。
コブライにどうやって活動資金を作るのかと聞かれ、玄真坊は似せ坊主をやめて、また盗賊に戻るつもりであることを明かす。
そうこうするうちに、コオロは大あくびをして目を覚まし、夢の中で夢の国の国王となっていたと語る。
玄真坊は、その夢を売ってくれと掛け合い、コオロは、夢を売る代わりに自分に命令権を与えてくれと要求する。玄真坊は承知し、一同は山を下っていく。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm7108
愛善世界社版:105頁 八幡書店版:第12輯 537頁 修補版: 校定版:109頁 普及版:49頁 初版: ページ備考:普及版・校定版「夢」。八幡版は目次「夢」、本文「無」。
001 オーラ(さん)立籠(たてこも)り、002星下(ほしくだ)しの芸当(げいたう)(えん)じ、003三千(さんぜん)(にん)小盗児(せうとる)(あつ)004印度(いんど)七千(しちせん)余国(よこく)(わが)()(にぎ)らむと(くも)(つか)()うな泡沫(はうまつ)(ひと)しく、005(てん)(かがや)(ほし)竿竹(さをだけ)でガラチ(おと)()うな空想(くうさう)(ゑが)いて、006不格好(ぶかつかう)出来(でき)(あが)つた(はな)(ぱしら)をピコつかせてゐた玄真坊(げんしんばう)007三五教(あななひけう)梅公別(うめこうわけ)()()まれ、008最愛(さいあい)(つま)ヨリコには愛想(あいさう)をつかされ、009兄弟分(きやうだいぶん)(たの)むシーゴーには絶交(ぜつかう)され、010折角(せつかく)策戦(さくせん)計画(けいくわく)(いよいよ)画餅(ぐわへい)()し、011(わづか)三百(さんびやく)悪党輩(あくたうばら)引具(ひきぐ)し、012第二(だいに)作戦(さくせん)計画(けいくわく)遂行(すゐかう)せむと、013(かんぬき)(をんな)(また)しても(をとこ)()()うに彼方(あち)此方(こち)とウロつき(まは)り、014(つひ)にはスガの(みなと)のダリヤ(ひめ)(うつつ)()かし、015数多(あまた)部下(ぶか)(わか)016タニグク(やま)のシヤカンナが岩窟(がんくつ)天晴(あつぱれ)救世主(きうせいしゆ)(ばけ)()んで罷越(まかりこ)し、017シヤカンナには荒肝(あらぎも)(ひし)がれ、018ダリヤには()丁寧(ていねい)(かほ)落書(らくがき)までされ、019(その)(うへ)後足(あとあし)(すな)をふりかけ、020ドロンと()えられた(くや)しさに、021シヤカンナの部下(ぶか)応援(おうゑん)(たの)み、022自分(じぶん)はコブライと(とも)山阪(やまさか)(かけ)めぐり、023玉清別(たまきよわけ)(やかた)にダリヤ(ひめ)(しの)びゐる(こと)をつきとめ、024執念深(しふねんぶか)くも(ひめ)奪取(だつしゆ)せむと(へび)(かはづ)(ねら)()うに、025(とざ)された(もん)(まへ)にコブライと(とも)夜警(やけい)(やく)(つと)めてゐた。026そこへ玉清別(たまきよわけ)(せがれ)()(げん)じた(かみ)()言霊(ことたま)()ちまくられ、027ダリヤ(ひめ)(すで)(すで)玉清別(たまきよわけ)(やかた)()()したりと(しん)じ、028ハル山峠(やまたうげ)(ふもと)(まで)やつて()たが、029(おな)じシヤカンナの部下(ぶか)であつたコオロと出会(でくは)し、030バルギーを(たた)()ばし、031此処(ここ)(さん)(にん)()(たづさ)へて、032ダリヤの(こと)()(かく)鉢巻(はちまき)締直(しめなほ)し、033一奮発(ひとふんぱつ)をやつて天下(てんか)耳目(じもく)(おどろ)かすやうな大事業(だいじげふ)遂行(すゐかう)し、034天晴(あつぱ)英雄(えいゆう)豪傑(がうけつ)ともてはやされなば、035ダリヤの(ごと)美人(びじん)(もと)めず(とも)(あめ)()(ごと)()つて()るだらうと(ひと)合点(がつてん)し、036不細工(ぶさいく)目鼻(めはな)一所(ひととこ)集中(しふちう)させ、037出歯(でば)をむき()し、038禿茶瓶(はげちやびん)から湯気(ゆげ)()ててニタリと(わら)ふた(その)()面相(めんさう)は、039平素(へいそ)苦虫(にがむし)をかんだやうな(むつ)かしい(をとこ)040(おも)はず()()さずには()られない()うなスタイルであつた。
041 玄真坊(げんしんばう)はコブライ、042コオロの両人(りやうにん)後前(あとさき)(したが)へ、043ハル山峠(やまたうげ)頂上(ちやうじやう)辿(たど)りつき、044東南(とうなん)(はう)瞰下(かんか)すれば、045タラハン(じやう)(いらか)(たか)(かべ)(しろ)夕陽(ゆふひ)(かがや)いて、046(なん)ともなく壮大(さうだい)気分(きぶん)()いて()た。047玄真坊(げんしんばう)頂上(ちやうじやう)右側(うそく)なる大岩(おほいは)(うへ)にドツカと団尻(だんじり)(おろ)し、048(なつ)(ゆふべ)(がま)()()()うな調子(てうし)(くち)をパクパク開閉(かいへい)し、049(あご)をしやくり(なが)(ひとり)(ごと)
050『ヤア見渡(みわた)(かぎ)りの連山(れんざん)樹木(じゆもく)繁茂(はんも)し、051土地(とち)(こえ)たる原野(げんや)際限(さいげん)もなく展開(てんかい)し、052タラハン城市(じやうし)(なん)となく殷盛(いんせい)(きは)めた(やう)光景(くわうけい)()(うつ)つてゐる。053大丈夫(だいぢやうぶ)たる(もの)(まさ)(この)()(おい)永住(えいぢう)し、054天下(てんか)()をなすべきである。055シヤカンナも、056かのタラハン(じやう)左守(さもり)として(とき)めいて()つた(やつ)057あれ(くらゐ)(をとこ)左守(さもり)になれる(くらゐ)なら、058(わが)法力(はふりき)才智(さいち)(もつ)(のぞ)めばタラハン(じやう)(わが)()()れる(くらゐ)(なん)手間(てま)ヒマが()るものか、059オヽさうぢや さうぢや、060これから(ひと)(あたま)改造(かいざう)をなし、061大計画(だいけいくわく)(とり)かかつてやらう。062()いては棟梁(とうりやう)(しん)がなくては(かな)ふまい、063(なん)とかして()家来(けらい)()ちたいものだが、064三千(さんぜん)部下(ぶか)(ひき)つれた(この)玄真坊(げんしんばう)065今日(こんにち)(ところ)では(じつ)にみじめなザマだ。066栄枯(えいこ)盛衰(せいすゐ)(つね)ならざるが人生(じんせい)経路(けいろ)とはいひ(なが)ら、067泥棒(どろばう)小頭(こがしら)をやつてゐたコブライや小盗児(せうとる)のコオロ両人(りやうにん)左守(さもり)068右守(うもり)では到底(たうてい)駄目(だめ)だ。069(ああ)(なん)とかして、070せめてはシヤカンナの部下(ぶか)糾合(きうがふ)し、071(また)オーラ(さん)からひつぱり()した三百(さんびやく)部下(ぶか)(あつ)めて、072種々(しゆじゆ)訓練(くんれん)(ほどこ)し、073天下(てんか)()つてみねば、074自分(じぶん)(はら)(むし)(をさ)まらない。075ダリヤ(ひめ)()(がた)いが、076タラハン(じやう)()(がた)い、077ナアニ精神(せいしん)一到(いつたう)何事(なにごと)()らざらむやだ』
078岩上(がんじやう)()立上(たちあが)り、079東南(とうなん)(そら)をハツタと見下(みおろ)した(その)眼光(がんくわう)080どこともなく物凄(ものすご)()えた。081コブライは(この)様子(やうす)()て、082()()(なが)ら、
083『ウツフヽヽ、084もし玄真坊(げんしんばう)さま、085(なん)だか()りませぬが、086大変(たいへん)雄猛(をたけ)びで御座(ござ)いますな、087丸切(まるき)枯木(かれき)(はな)()(やう)()計画(けいくわく)()うに、088一寸(ちよつと)(ぬす)(ぎき)(いた)しましたが、089一体(いつたい)どんな()計画(けいくわく)ですか、090タラハン(じやう)なんか到底(たうてい)駄目(だめ)でせう。091あの城内(じやうない)には綺羅星(きらぼし)(ごと)名智(めいち)勇将(ゆうしやう)(はやし)(ごと)(なら)んで()りますれば、092何程(なにほど)玄真坊(げんしんばう)さまが天来(てんらい)救世主(きうせいしゆ)でも、093一寸(ちよつと)(てこ)には()ひますまい。094空想(くうさう)(ふけ)るも結構(けつこう)だが、095ここは(ひと)相応(さうおう)()といふ(こと)()(かんが)へにならないと、096(おん)()破滅(はめつ)(まね)くかも()れませぬよ。097(わたし)忠実(ちうじつ)なる臣下(しんか)として、098貴方(あなた)将来(しやうらい)(ため)()忠告(ちうこく)(まをし)()げます』
099(げん)『ナアニ、100盗人(ぬすびと)分際(ぶんざい)として英雄(えいゆう)心事(しんじ)(わか)るものか、101()細工(さいく)粒々(りうりう)102(おれ)のする(こと)()てをれ』
103コブ『盗人(ぬすびと)分際(ぶんざい)仰有(おつしや)いますが、104貴方(あなた)だつて盗人(ぬすびと)親分(おやぶん)ぢやありませぬか。105殊勝(しゆしよう)らしく数珠(じゆず)(つま)ぐり、106金剛杖(こんがうづゑ)をつき、107救世主(きうせいしゆ)(ばけ)()んで御座(ござ)るが、108(こころ)(なか)はヤハリ虎狼(こらう)(ひと)しい大泥棒(おほどろばう)109()()ふと、110チツタお()(さは)るか()りませぬが、111貴方(あなた)()面相(めんさう)には凶兆(きようてう)(あら)はれてゐますよ。112匹夫(ひつぷ)(げん)にも(また)真理(しんり)ありで、113吾々(われわれ)()(こと)もチツとは(みみ)(かたむ)けて()いて(もら)ひたいものですな』
114(げん)『ソリヤお(まへ)()(こと)()かねばなろまい、115(しか)(なが)(おれ)だとて一足飛(いつそくとび)にヒマラヤ(さん)(うへ)まで(あが)らうと()ふのぢやない。116(これ)から(じゆん)()ふて味方(みかた)(ふや)し、117(ちから)(やしな)ひ、118(その)(うへ)(おい)ていよいよ実行(じつかう)()(かか)(つも)りだ。119(なん)()つても三千(さんぜん)(にん)部下(ぶか)統率(とうそつ)して()(うで)(おぼえ)のある玄真坊(げんしんばう)だからのう』
120コブ『成程(なるほど)121ソラさうでせう、122貴方(あなた)()器量(きりやう)はコブライと(いへど)も、123毛頭(まうとう)(うたがひ)(いた)しませぬ。124(しか)(なが)(なに)をやるにも(かね)先立(さきだ)つぢやありませぬか、125(その)(かね)(いづ)れどつかに(かく)してあるのでせうなア』
126(げん)『ソリヤ(かく)してある(とも)127あのタラハン(じやう)()よ、128(まち)所々(ところどころ)(しろ)(くら)(かべ)()えるだろ、129あれは(のこ)らず(おれ)財産(ざいさん)がしまひ()んであるのだ』
130コブ『アハヽヽ何程(なにほど)財産(ざいさん)がしまひこんであつても、131自分(じぶん)所有主(しよいうぬし)でない(かぎ)り、132公然(こうぜん)とひつぱり()して使(つか)(わけ)には()きますまい、133如何(どう)なさる()(かんが)へですか』
134(げん)『そこが天帝(てんてい)化身(けしん)135天来(てんらい)救世主(きうせいしゆ)だ。136(この)()(うへ)にありと所在(あらゆる)財産(ざいさん)(みな)(かみ)(つく)つた(もの)137手段(てだて)(もつ)()()使(つか)(つもり)だ』
138コブ『あ、139さうすると、140貴方(あなた)矢張(やつぱ)り、141天来(てんらい)救世主(きうせいしゆ)仮面(かめん)()ぎ、142(もと)泥棒(どろばう)親方(おやかた)還元(くわんげん)なさる()計画(けいくわく)とみえますな』
143(げん)千変(せんぺん)万化(ばんくわ)変現(へんげん)出没(しゆつぼつ)(きは)まりなきが、144大英雄(だいえいゆう)本領(ほんりやう)だ。145キリストも()つたでないか…(ひと)(かみ)(かね)とに(つか)ふる(こと)(あた)はず…と、146大宗教(だいしうけう)法主(ほつす)不渡(ふわたり)手形(てがた)発行(はつかう)したり、147貴族院(きぞくゐん)議員(ぎゐん)詐欺(さぎ)広告(くわうこく)をやつて貧乏人(びんばふにん)(かね)(しぼ)つたりする()(なか)だ。148(なん)()つても(かね)(もと)だ。149(きさま)(おれ)目的(もくてき)(たつ)したなれば、150キツと(おも)(もち)ゐてやる、151それ(まで)()んな(こと)でも(おれ)のいふ(こと)は、152(ぜん)にまれ(あく)にもあれ服従(ふくじゆう)するのだ。153第一(だいいち)(まへ)(はら)さへ()まれば、154(この)玄真坊(げんしんばう)神算(しんさん)鬼謀(きぼう)のあらむ(かぎ)りを(つく)し、155大望(たいまう)(おこ)してみようと(おも)ふのだ』
156コブ『成程(なるほど)157此奴(こいつ)面白(おもしろ)からう。158(しか)しながら貴下(あなた)天下(てんか)()つた(とき)や、159(この)コブライは、160キツと左守(さもり)右守(うもり)にして(くだ)さるでせうなア』
161(げん)『ウーン、162(また)(その)(とき)(その)(とき)(かぜ)()くだらう』
163コブ『(その)(とき)(かぜ)()(やう)によつては、164どんな運命(うんめい)(おち)()れられるかも()れませぬな。165そんな(たよ)りないお約束(やくそく)出来(でき)ませぬワ』
166(げん)(いま)から()らぬ(たぬき)皮算用(かはざんよう)()つて()るよりも、167()実行力(じつかうりよく)肝腎(かんじん)だ。168実行(じつかう)さへすれば、169(まへ)(いや)だと()つても、170(おれ)(はう)から(たの)んで左守(さもり)になつて(もら)ふワ、171論功(ろんこう)行賞(かうしやう)成功(せいこう)した(あと)(こと)だ。172サ、173(これ)から(ひと)つ、174(おれ)数珠(じゆず)(なげ)()て、175金剛杖(こんがうづゑ)をへし(をり)176天晴(あつぱ)泥棒(どろばう)張本(ちやうほん)石川(いしかは)五右衛門(ごうゑもん)再来(さいらい)となつて、177大活動(だいくわつどう)をしてみよう』
178といひ(なが)ら、179数珠(じゆず)をズタズタにむしつて、180岩上(がんじやう)にブチつけ、181百八(ひやくはち)煩悩(ぼんなう)にかたどつた、182(ひやく)(やつ)つの菩提樹(ぼだいじゆ)(たま)雨霰(あめあられ)四方(しはう)(とび)()り、183金剛杖(こんがうづゑ)(みつ)つにへし()られ、184(うら)めし(さう)(つら)をして大岩(おほいは)(ふもと)(たふ)れてゐる。
185 玄真坊(げんしんばう)流石(さすが)数珠(じゆず)幾分(いくぶん)執着(しふちやく)(のこ)つたか、186(とび)ちる数珠(じゆず)(たま)(なが)(なが)ら、
187南無(なむ)百八(ひやくはち)煩悩(ぼんなう)数珠(じゆず)大菩薩(だいぼさつ)188南無(なむ)(だい)救世主(きうせいしゆ)遍照(へんぜう)金剛(こんがう)(つゑ)如来(によらい)189南無(なむ)阿弥陀(あみだ)(ぶつ)南無(なむ)阿弥陀(あみだ)(ぶつ)
190手向(たむ)けの言葉(ことば)(のこ)し、191岩上(がんじやう)(くだ)つて、192(たうげ)(あま)(ひろ)くない赤土(あかつち)(みち)()た。193コオロは(たび)(つか)れで、194コロリと(よこ)たはり(らい)(ごと)(いびき)をかいてゐた。195玄真坊(げんしんばう)(これ)(なが)めて、
196『オイ、197コブライ、198コオロといふ(やつ)199気楽(きらく)(やつ)ぢやないか、200こんな(ところ)何時(なんどき)追手(おつて)()るかも()れないのに、201(らい)のやうな(いびき)をかいて()てゐやがる。202(ひと)(ゆす)(おこ)してみたらどうだ』
203コブ『玄真坊(げんしんばう)さま、204(この)コオロといふ(やつ)205(なに)(なん)だか(わか)りませぬぜ。206ワザとに(たぬき)空寝入(そらねい)りをして、207貴下(あなた)(わたし)計画(けいくわく)(のこ)らず聞取(ききと)208タラハン(じやう)へでも()つた(とき)にや、209(おそ)(なが)らと内通(ないつう)をする(やつ)かも(わか)りませぬ。210どうも此奴(こいつ)のそぶりが(へん)だと(おも)つて、211始終(しじう)注意(ちうい)(おこた)らなかつたのですが、212こんな(ところ)(いびき)をかくとは益々(ますます)(あや)しいぢやありませぬか、213(わざはひ)未然(みぜん)(ふせ)ぐは智者(ちしや)のなすべき(ところ)214二葉(ふたば)禍根(くわこん)()()るが将来(しやうらい)安全策(あんぜんさく)心得(こころえ)ます。215斧鉞(ふゑつ)(もち)ゐても()()はない()うになつてからは、216最早(もはや)如何(いかん)ともすることが出来(でき)ますまい』
217(げん)『さう深案(ふかあん)じをするものでない、218(この)(つら)(なに)出来(でき)るものか、219マア心配(しんぱい)をするな、220(おれ)(まか)しておけ』
221コブ『ヘーン、222さうですかいな、223そんなら(わたし)提案(ていあん)をどうぞ(この)コオロに(はな)さないやうにして(くだ)さいや』
224(げん)『ウンよしよし、225いらざる(こと)(しやべ)つて、226同僚間(どうれうかん)内訌(ないこう)(おこ)させる()うな拙劣(へた)(こと)はやらないよ、227マ、228安心(あんしん)したが()いワ』
229 コオロは「ウーンー」と手足(てあし)()ばし、230ワザと()()つビリビリとふるひ、231アーアーと欠伸(あくび)をつづけて(のち)232()をこすり、233どん(ぐり)(まなこ)をギロリとむき()し、
234『アーアーよう()た よう()た、235たうとう華胥(くわしよ)(くに)国王(こくわう)殿下(でんか)になりかけてゐたのに、236(をし)(ゆめ)()めたものだ。237……(いのち)にも()へて(をし)けくあるものは、238みはてぬ(ゆめ)のさむるなりけり……だ。239ヤ、240玄真坊(げんしんばう)さま、241ア、242コブライの哥兄(あにい)243えらい失礼(しつれい)をしたな』
244(げん)『よく()たものだな、245(しか)しお(まへ)華胥(くわしよ)(くに)国王(こくわう)になつた(ゆめ)をみたといふが、246そら()辻占(つじうら)だ、247(その)(ゆめ)(おれ)()つてやらう』
248コオ『ハイ、249有難(ありがた)御座(ござ)います、250(しか)(なが)らこんな(ゆめ)金銭(きんせん)()(わけ)には()きませぬ。251(ところ)はハル山峠(やまたうげ)頂上(ちやうじやう)252常磐(ときは)堅磐(かきは)(いは)()()(ゆめ)ですから、253キツト(これ)実現(じつげん)するでせう、254絶対(ぜつたい)()(こと)出来(でき)ませぬ』
255(げん)(なん)()つても(ゆめ)ぢやないか、256(もと)がかかつてゐるのぢやなし、257(ひやく)(りやう)やるから()つてくれ』
258コオ『…………』
259コブ『モシ、260玄真(げんしん)さま、261そんなバカなこた、262おいたら如何(どう)ですか、263折角(せつかく)計画(けいくわく)(ゆめ)になつちや(つま)りませぬがな。264無形(むけい)(ゆめ)有形(いうけい)(たから)()はうとは、265チツと貴方(あなた)(あたま)(わる)いですな』
266(げん)『バカを()ふな、267(ゆめ)()といふ、268()()なり、269()より()(しやう)ず、270()にして()なり、271()にして()なり、272()(すなは)言霊学(げんれいがく)(じやう)言霊(げんれい)活用(くわつよう)だ。273(てん)なり(ちち)なり、274大宇宙(だいうちう)なり、275大権威(だいけんゐ)なり、276どうしても(この)睡眠中(すゐみんちう)()霊夢(れいむ)(おれ)()()れねば、277目的(もくてき)成就(じやうじゆ)せない。278こらキツと(かみ)さまがコオロにお()せなさつたのだろ。279(まへ)(おれ)とがタラハン(ごく)占領(せんりやう)し、280国王(こくわう)にならうと(まで)計画(けいくわく)()ててゐる、281(その)足許(あしもと)()(ゆめ)だから、282現幽(げんいう)一致(いつち)だ、283こんな瑞祥(ずゐしやう)(また)とあるまい。284それだから、285コオロが()らないと()へば、286(その)(ゆめ)(この)玄真(げんしん)()つて(しま)ふのだ。287(もと)より(ひと)(もの)()るのは(おれ)商売(しやうばい)だから、288アハヽヽ』
289コブ『何程(なんぼ)泥棒(どろばう)商売(しやうばい)だと()つても、290(ひと)(ゆめ)(まで)ふんだくるとは、291(あま)(ねん)()りすぎるぢやありませぬか』
292(げん)(みづ)()らさぬ仕組(しぐみ)といふぢやないか、293(ねん)には(ねん)()れ、294(さい)より()()つて、295注意(ちうい)をめぐらすのが、296(まさ)智者(ちしや)のなすべき(ところ)だ。297至大(しだい)無外(むぐわい)298至小(しせう)無内(むない)活用(くわつよう)(すなは)(かみ)たる(もの)資格(しかく)だ』
299コブ『貴方(あなた)(いま)300数珠(じゆず)()て、301金剛杖(こんがうづゑ)をヘシ()泥棒(どろばう)還元(くわんげん)し、302天帝(てんてい)化身(けしん)廃業(はいげふ)なさつたぢやありませぬか。303最早(もはや)只今(ただいま)となつては、304(かみ)(さま)()ばはりは通用(つうよう)(いた)しませぬよ』
305(げん)『アハヽヽ、306(かみ)にもいろいろある、307(おれ)正神界(せいしんかい)辞職(じしよく)したが、308(これ)から邪神界(じやしんかい)(かみ)となるのだ。309泥棒(どろばう)にも(かみ)さまがあるよ、310(おれ)(これ)から泥棒(どろばう)(かみ)だ、311ボロンスの(かみ)だ』
312コブ『ヘー、313フンさうすると貴方(あなた)天国(てんごく)浄土(じやうど)死後(しご)安住(あんぢう)はお(のぞ)みにならないのですか』
314(げん)『オイ、315泥棒(どろばう)分際(ぶんざい)として、316(あるひ)(ひと)(くに)占領(せんりやう)するといふ豺狼(さいらう)(こころ)抱持(はうぢ)(なが)ら、3161天国(てんごく)浄土(じやうど)もあつたものかい、317霊肉(れいにく)(とも)地獄(ぢごく)覇者(はしや)となつて活動(くわつどう)するのだ。318極楽(ごくらく)浄土(じやうど)()つて百味(ひやくみ)飲食(おんじき)(あた)へられ、319(はす)(うてな)安逸(あんいつ)生活(せいくわつ)(おく)無聊(むれう)(くる)しむよりも、320地獄(ぢごく)(ちまた)(かけ)()つて、321(いのち)(まと)車輪(しやりん)活動(くわつどう)(はう)(なに)(ほど)(たの)しいか()れやしないワ。322極楽(ごくらく)なんか(おれ)たちの(しやう)()はない(ところ)だ』
323コブ『ウン成程(なるほど)…チギル秋茄子(あきなすび)324地獄(ぢごく)御尤(ごもつと)もだ。325そんなら(わたくし)玄真坊(げんしんばう)悪鬼(あくき)羅刹(らせつ)乾児(こぶん)となつて修羅(しゆら)(ちまた)突入(とつにふ)し、326獅子(しし)奮迅(ふんじん)327暴虎(ばうこ)憑河(ひようが)(いきほひ)(もつ)て、328タラハン(じやう)根底(こんてい)から、329メチヤメチヤに(くつが)へし、330()にかけて御覧(ごらん)()れませう、331イツヒヽヽヽ』
332(げん)『オイ、333コオロ、334どうしても(おれ)()つてくれないか』
335コオ『ハイ、336()りませう。337(その)(かは)(わたくし)(ひと)つの註文(ちうもん)があります。338(かね)()りませぬ、339(わたくし)命令権(めいれいけん)(あた)へて(くだ)さい』
340(げん)『よし、341(あた)へてやる。342(その)(かは)(ゆめ)(たしか)(この)(はう)受取(うけと)つたぞ』
343 コオロは(よこ)()いて一寸(ちよつと)(した)()し、344素知(そし)らぬ(かほ)して、
345コオ『ヤ、346()(がた)い、347サ、348(これ)から玄真坊(げんしんばう)だらうが、349コブライだらうが、350(おれ)命令(めいれい)服従(ふくじゆう)するのだ』
351といひ、352(かた)(そびや)かし、353(にはか)元気(げんき)づく。
354(げん)『ハヽヽ仕方(しかた)のない代物(しろもの)だな』
355コブ『ヘン、356こんな(やつ)命令(めいれい)()いて(たま)るかい、357チヤンチヤラ可笑(をか)しい、358臍茶(へそちや)(いた)りだ。359(しか)玄真(げんしん)さま、360こんな(やま)(うへ)何時(いつ)(まで)()つても、361食物(たべもの)もなし、362何処(どつか)人家(じんか)(おそ)ふて(はら)(こしら)へようぢやありませぬか。363()西山(せいざん)(かたむ)いたし、364(この)(ふもと)(さと)(まで)はまだ(さん)()御座(ござ)いますよ、365サ、366(まゐ)りませう』
367とコブライは勝手(かつて)(おぼ)えし山路(やまみち)を、368(さき)()ち、369(さん)(にん)急阪(きふはん)(くだ)()く。
370大正一五・一・三一 旧一四・一二・一八 於月光閣 松村真澄録)
目で読むのに疲れたら耳で聴こう!霊界物語の朗読ユーチューブ
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki