霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サブスクのお知らせ
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一六章 妖魅(よみ)(がへり)〔一八〇五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第71巻 山河草木 戌の巻 篇:第3篇 惨嫁僧目 よみ(新仮名遣い):さんかそうもく
章:第16章 妖魅返 よみ(新仮名遣い):よみがえり 通し章番号:1805
口述日:1926(大正15)年02月01日(旧12月19日) 口述場所:月光閣 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1929(昭和4)年2月1日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
玄真坊、コブライ、コオロの3人は、淵に流れ着いたときに漁をしていた首陀たちに引き上げられ、弔われようとしていたのだった。
そこへやってきた千草の高姫が、3人を蘇生させて従者にしようと、ウラナイ教の神に一生懸命祈願をするが、何も起きない。最後に我を折って三五教の大神に祈願したところ、ようやく息を吹き返した。
高姫は玄真坊と偽の夫婦となって一仕事しようともちかける。玄真坊は幽冥界での戒めも忘れて、またもや色欲を出すが、高姫は相手にしない。
高姫は3人が一文無しと聞いて、愛想をつかして去ろうとするが、コブライ・コオロが黄金を掘り出す。
それを見て高姫は態度をがらっと変える。そして、コブライとコオロに、ダイヤモンドがあるからといって、さらに穴を掘らせる。
玄真坊と高姫は、いきなりコブライとコオロの上から土をかけて生き埋めにし、黄金を奪って行ってしまう。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日: OBC :rm7116
愛善世界社版:213頁 八幡書店版:第12輯 578頁 修補版: 校定版:223頁 普及版:104頁 初版: ページ備考:
001 タラハン城市(じやうし)西(にし)()三十(さんじふ)()(ばか)りの(ところ)岩滝村(いはたきむら)()小部落(せうぶらく)がある。002此所(ここ)には魚ケ淵(うをがふち)()つて、003(あを)()つた()なり(ひろ)水溜(みづたまり)があり、004沢山(たくさん)(うを)四季(しき)(とも)集中(しふちう)してゐる。005印度(いんど)(くに)風習(ふうしふ)として(みだり)生物(いきもの)()はないので、006魚類(ぎよるゐ)()()繁殖(はんしよく)する(ばか)りであつた。007(みづ)一升(いつしよう)(うを)一升(いつしよう)(とな)へらるる(この)魚ケ淵(うをがふち)時々(ときどき)(れう)()首陀(しゆだ)があつた。008浄行(じやうぎやう)刹帝利(せつていり)毘舎(びしや)(など)(けつ)して(うを)()つたり、009殺生(せつしやう)(など)はやらないが、010首陀(しゆだ)となると、0101身分(みぶん)(ひく)(ため)011(ほと)んど人間扱(にんげんあつかひ)をされてゐないので、012(なに)(ほど)殺生(せつしやう)をしても神仏(しんぶつ)(とがめ)()いといふ信念(しんねん)一般(いつぱん)(つた)はつてゐた。013(しか)(なが)浄行(じやうぎやう)014刹帝利(せつていり)015毘舎(びしや)(いへども)016()きた(もの)()はない(ばか)りで017店舗(てんぽ)()つてゐる(うを)ならば代価(だいか)(はら)つて買求(かひもと)め、018(これ)食膳(しよくぜん)にのぼす(こと)(べつ)殺生(せつしやう)とも(かん)じてゐないのである。019夏木(なつき)(しげ)れる川縁(かはべり)木蔭(こかげ)(こし)(うち)かけ雑談(ざつだん)(ふけ)(なが)ら、020四五(しご)(にん)首陀(しゆだ)魚漁(うをとり)用意(ようい)をやつてゐると、021(ふち)舞込(まひこ)んで()(みつ)つのコルブスがあつた。022首陀(しゆだ)()岩上(がんじやう)から(この)コルブスに(むか)つて(あみ)()ちかけ、023(やうや)くにして道傍(みちばた)(ひろ)()げてみた(ところ)024一人(ひとり)はどうしても修験者(しゆげんじや)(はて)らしく、025二人(ふたり)(やつ)何処(どこ)(とも)なしに泥棒(どろばう)らしい面相(めんさう)をしてゐるので、026古寺(ふるでら)坊主(ばうず)()葬式(さうしき)をすることとなつた。027泥棒(どろばう)なんかは(その)死骸(しがい)虎狼(こらう)餌食(ゑじき)(まか)して(かへり)みないが028修験者(しゆげんじや)となれば()うしても()てて()(わけ)には()かぬと()ふので、029珠露海(しゆろかい)といふ吉凶(きつきよう)禍福(くわふく)卜筮(ぼくぜい)(など)(しる)した経文(きやうもん)記事(きじ)(あん)じて、030五行葬(ごぎやうさう)(いづ)れに()さむかとやつてみた(ところ)031(この)修験者(しゆげんじや)()うしても土葬(どさう)にせにやならぬ032()(うらなひ)()たので、033村人(むらびと)()つて(かか)つて、034(からだ)(その)(まま)(つち)(なか)()け、035(しるし)()てる(かは)りに(みみ)から(うへ)(かほ)()して()いたのである。036五行葬(ごぎやうさう)(なか)には野葬(やさう)037木葬(もくさう)038火葬(くわさう)039土葬(どさう)040水葬(すいさう)()(いつ)つの葬式法(さうしきはふ)がある。041そして木葬(もくさう)()ふのは、042コルブスを()(うへ)()けて()き、043(かぜ)(さら)葬式法(さうしきはふ)である。044(この)珠露海(しゆろかい)卜筮(ぼくぜい)にかからない(もの)(かみ)冥護(めいご)のない(もの)として045死屍(しかばね)路傍(ろばう)()てて()(こと)になつてゐた。046()かる(ところ)四十(しじふ)前後(ぜんご)美人(びじん)宣伝歌(せんでんか)(うた)(なが)(ちか)より(きた)り、047路傍(ろばう)遺棄(ゐき)してある(ふた)つの死骸(しがい)(なが)(なが)ら、
048(をんな)『あ、049何処(どこ)何人(なにびと)()らぬが可哀相(かあいさう)に、050コラ、051土佐衛門(どざゑもん)になつた(ところ)(たれ)かに()()げられたのだらう、052まだ着物(きもの)はズクズクになつてゐる。053かふいふ(ところ)()つて()けば、0531(いぬ)(からす)餌食(ゑじき)になるだらう。054(なん)とかして此奴(こいつ)(たす)自分(じぶん)従者(じゆうしや)にしてやりたいものだなア、055ウラナイ(けう)大神(おほかみ)(まも)(たま)(さきは)(たま)へ』
056()(なが)ら、057(しろ)(ほそ)鼈甲(べつかふ)細工(ざいく)()うな()両人(りやうにん)(ひたひ)にあて、058一生(いつしやう)懸命(けんめい)祈願(きぐわん)(はじ)めた。059(しか)(なが)(なに)(ほど)ウラナイ(けう)大神(おほかみ)(ねん)じても効験(ききめ)()いので、060今度(こんど)(こころ)みに、061三五教(あななひけう)大神(おほかみ)神名(しんめい)()へて一心(いつしん)不乱(ふらん)念願(ねんぐわん)すると、062両人(りやうにん)(からだ)追々(おひおひ)(ぬく)みが(まは)り、063半時(はんとき)(ばか)りの(のち)にやうやう(いき)()(かへ)し、064ムクムクと()(あが)つて、065救命主(きうめいしゆ)大恩(だいおん)(しや)し、066(なみだ)(なが)らに感謝(かんしや)した。067(この)(をんな)はトルマン(じやう)脱出(だつしゆつ)した千草(ちぐさ)高姫(たかひめ)である。068千草(ちぐさ)城内(じやうない)()()してから、069人通(ひとどほり)(すく)(さう)山野(さんや)(えら)んで此所(ここ)(まで)やつて()たが、070(はじ)めて二人(ふたり)死者(ししや)(よみがへ)らせ、071得意(とくい)頂点(ちやうてん)(たつ)し、
072『コレコレお(まへ)(たち)何処(どこ)泥棒(どろばう)かは()らね(ども)073(この)千草(ちぐさ)高姫(たかひめ)此処(ここ)(とほ)らなかつたならば、074(たま)()(いのち)(すで)(すで)十万(じふまん)億土(おくど)()(ところ)()つて(しま)つて、075二度(にど)(ふたたび)(この)()(かへ)(こと)出来(でき)ないのだよ。076一体(いつたい)(まへ)()(なん)()()だい、077それを()いて()かねば、078日出(ひのでの)(かみ)生宮(いきみや)(おほ)ミロク(さま)へお(れい)(まをし)()げることが出来(でき)ないからなア』
079(をとこ)『ハイ、080(わたくし)はコブライと(まを)します。081一人(ひとり)はコオロと(まをし)まして、082(じつ)はタラハン(じやう)左守(さもり)(つかさ)幕下(ばくか)御座(ござ)いましたが、083フトした(こと)から勘当(かんだう)()けまして()()(どころ)なく、084タラハン(がは)()()げましたので御座(ござ)います。085其所(そこ)貴女(あなた)(さま)にお(たすけ)(ねが)ひ、086斯様(かやう)(うれ)しい(こと)御座(ござ)いませぬ』
087千草(ちぐさ)『ア、088さうかいナ、089そりやお(まへ)090(いのち)のよい拾物(ひろひもの)だよ。091(この)千草姫(ちぐさひめ)地上(ちじやう)人間(にんげん)ぢやありませぬぞえ。092第一(だいいち)霊国(れいごく)天人(てんにん)093日出(ひのでの)(かみ)生宮(いきみや)094(おほ)ミロクの太柱(ふとばしら)095千草(ちぐさ)高姫(たかひめ)(まを)(もの)だが、096衆生(しゆじやう)済度(さいど)(ため)(これ)から(つき)(くに)七千(しちせん)余国(よこく)巡歴(じゆんれき)する(つもり)だから、097(まへ)(たち)二人(ふたり)(この)千草(ちぐさ)両腕(りやううで)となつて、098天下(てんか)国家(こくか)(ため)大々(だいだい)(てき)活動(くわつどう)()し、099天下(てんか)()()げる()はないかい。100そしてお(まへ)(たち)二人(ふたり)はどんな(わる)(こと)をしたのだい。101主人(しゆじん)から勘当(かんだう)()けるといふ(こと)は、102よくよくの(こと)でなければ()(はず)だが』
103コ『ハイ、104(はづか)しう御座(ござ)いますが、105玄真坊(げんしんばう)()天帝(てんてい)化身(けしん)(しよう)する修験者(しゆげんじや)泥棒(どろばう)(さま)一緒(いつしよ)に、106左守(さもり)(つかさ)(やかた)(しのび)()み、107金庫(かねぐら)(ぢやう)捩折(ねぢを)つてる(ところ)(つかま)へられ、108牢獄(らうごく)打込(ぶちこ)まれたので御座(ござ)います』
109()(なん)とまア、110(まへ)も、111(つら)にも似合(にあは)悪党(あくたう)だな、112アハヽヽヽ。113(ぜん)(つよ)ければ(あく)にも(つよ)いと()(ことわざ)もある、114その(はう)(かへつ)(たの)もしい。115そして(その)玄真坊(げんしんばう)()修験者(しゆげんじや)如何(どう)なつたのかい』
116コ『ハイ、117(さん)(にん)一緒(いつしよ)身投(みなげ)をしましたが、118(その)()気絶(きぜつ)をしたものですから、119如何(どう)なつた(こと)()うなつた(こと)か、120チツとも(ぞん)じませぬ』
121()如何(いか)にも、122そらさうだろ。123(しか)(なが)此所(ここ)(くび)(だけ)()して()けられて()るコルブスがあるが、124(この)(つら)にお(まへ)(おぼ)えはないかの』
125三間(さんげん)(ばか)りの(かたはら)新墓(しんばか)()(しめ)す。126コブライ、127コオロの両人(りやうにん)一目(ひとめ)()るより、
128両人(りやうにん)『ア、129玄真(げんしん)さま……で御座(ござ)います。130(なん)とマア(えら)(こと)になつたものですな、131何卒(どうぞ)此奴(こいつ)(たす)けてやつて(くだ)さいますまいか。132(わたし)(たち)二人(ふたり)貴女(あなた)(たす)けられたとは()きますが、133()んでゐたので(なに)(わか)りませぬ。134本当(ほんたう)のこた、135(まへ)さまの神力(しんりき)(たす)かつたか、136(また)はハタの(ひと)(たす)けられたか(わか)りませぬが、137()(まへ)(この)玄真(げんしん)さまを(たす)けて(くだ)さつたら138弥々(いよいよ)吾々(われわれ)二人(ふたり)をお(まへ)さまが(たす)けて(くだ)さつたといふ証拠(しようこ)になりますからなア』
139()『コーラ、140(やつこ)141(なん)といふ(くち)(はば)つたい(こと)(まを)すのだい。142(この)千草(ちぐさ)高姫(たかひめ)神力(しんりき)によつて(いのち)(たす)けられ(なが)ら、143左様(さやう)挨拶(あいさつ)があるものか。144(しか)(なが)無智(むち)蒙昧(もうまい)人外(にんぐわい)人足(にんそく)だから(なに)(わか)ろまい、145議論(ぎろん)よりも実地(じつち)だ。146それではお(まへ)(うたがひ)()らす(ため)に、147千草姫(ちぐさひめ)(いま)神力(しんりき)()せてやらうぞや。148(この)修験者(しゆげんじや)(たす)かつたが最後(さいご)149どこ(まで)(この)千草(ちぐさ)絶対(ぜつたい)服従(ふくじゆう)をするだらうナ』
150コブ『そら、151さうですとも。152さうでなくても、153貴方(あなた)にどこ(まで)(したが)ひますと約束(やくそく)をしたのですもの、154現当(げんたう)利益(りやく)()せて(もら)へば文句(もんく)はありませぬワ』
155()(これ)から(わたし)(この)修験者(しゆげんじや)(よみがへ)らして()せるから、156キツと(かみ)(さま)のお()(おぼ)えて()つて、157(その)()神徳(しんとく)(わす)れないやうにするのだよ』
158()(なが)ら、159(くび)から(うへ)()てゐるコルブスの(ひたひ)(しろ)(やはら)かい()をあて、160「ウラナイ(けう)大神(おほかみ)(すく)(たま)(たす)(たま)へ、161惟神(かむながら)(たま)幸倍(ちはへ)坐世(ませ)」と一生(いつしやう)懸命(けんめい)(あせ)をタラタラ(なが)し、162(いの)れど(いの)れどビクともせぬ、163(よみがへ)(さう)気配(けはい)もない。164千草(ちぐさ)高姫(たかひめ)二人(ふたり)(まへ)大法螺(おほぼら)()いた手前(てまへ)165如何(どう)しても此奴(こいつ)()かさねばおかぬと益々(ますます)一生(いつしやう)懸命(けんめい)になる。166(ほと)んど半時(はんとき)(ばか)(いの)れど(ねが)へど、167矢張(やつぱり)コルブスは(こほり)(ごと)(つめ)たい。168流石(さすが)千草(ちぐさ)()()169三五教(あななひけう)大御神(おほみかみ)(まも)(たま)(ゆる)(たま)へ」と宣直(のりなほ)した。170(たちま)(ひたひ)(ぬく)みが(まは)り、171青黒(あをぐろ)(つら)鮮紅色(せんこうしよく)()びて()た。172千草(ちぐさ)此処(ここ)ぞと173一生(いつしやう)懸命(けんめい)に「三五(あななひ)大神(おほかみ)(まも)(たま)(さきは)(たま)へ」と(いの)るにつれ、174大地(だいち)はビリビリと(ふる)()し、175コルブスを中心(ちうしん)として四方(しはう)八方(はつぱう)地割(ぢわれ)がなし、176「ウン」と一声(ひとこゑ)(れい)をかけるや(いな)や、177玄真坊(げんしんばう)死体(したい)三間(さんげん)(ばか)中天(ちうてん)()(あが)り、178ドスンと(もと)(ところ)()ちた拍子(ひやうし)にパツと()がつき、179目鼻(めはな)一所(ひとところ)へよせて、180四辺(あたり)二三回(にさんくわい)見廻(みまは)(なが)ら、
181(げん)『ヤ、182其処(そこ)()るのは、183コブライにコオロぢやないか。184あーア、185(こは)(ゆめ)()たものだのう』
186コブ『()し、187玄真坊(げんしんばう)さま、188(ゆめ)(どころ)(さわぎ)ぢやありませぬよ。189吾々(われわれ)(さん)(にん)追手(おつて)出会(であ)つて進退(しんたい)(きは)まり、190谷川(たにがは)投身(とうしん)して(すで)土佐衛門(どざゑもん)となつて()つた(ところ)191村人(むらびと)死体(したい)(ひろ)()げられ、192(まへ)さまは修験者(しゆげんじや)(こと)とて、193(くび)(だけ)()して、1931鄭重(ていちよう)(はうむ)られてあつたが、194吾々(われわれ)二人(ふたり)地上(ちじやう)遺棄(ゐき)されてゐたのだ。195そこへ(この)(ひめ)さまが(とほ)りかかつて、196(れい)とか(なん)とかをかけて(たす)けて(くだ)さつたのですよ。197(げん)にお(まへ)さまを(たす)けて(くだ)さつたのを実地(じつち)目撃(もくげき)したのは(この)コブライ、198コオロ、199サアサア()(れい)(まを)しなさい。200(この)(ひめ)さまで御座(ござ)いますワイ』
201(げん)『あ、202これはこれは、203()くまアお(たす)(くだ)さいました。204ても(さて)()容貌(きれう)のよいお(ひめ)さまで御座(ござ)いますこと、205エヘヽヽヽ。206(これ)といふのも(まつた)(かみ)(さま)のお仕組(しぐみ)御座(ござ)いませう。207(まる)(きり)(やみ)(くに)から日出国(ひのでのくに)(うま)(かは)つたやうな気分(きぶん)(いた)します。208(いのち)(おや)のお(ひめ)さま、209(これ)から如何(どん)(こと)でも貴女(あなた)御用(ごよう)なら(つと)めますから、210何卒(どうぞ)可愛(かあい)がつて使(つか)つて(くだ)さいませや』
211()『ホヽヽヽ、212(なん)とまア、213(これ)(だけ)念入(ねんい)りに不細工(ぶさいく)出来上(できあが)つた(つら)()(こと)はありませぬワ。214(しか)(なが)215どこ(とも)なしにキユーバーさまに()(ところ)がある(やう)だ、216(これ)からお(まへ)さまも、217(この)千草(ちぐさ)高姫(たかひめ)がおイドを()けと()ふたら、218おイドでも()くのですよ。219(いのち)(たす)けて(もら)ふた()恩返(おんがへ)しと(おも)ふて、220口答(くちごたへ)(ひと)つしちや()けませぬぜ』
221(げん)『ヤ、222如何(どん)(こと)でも(うけたま)はりませうが、223(しり)()(こと)(だけ)は、224(わたし)人格(じんかく)(めん)じて(ゆる)して(いただ)きたいものです。225貴女(あなた)尻拭(しりふ)きする(くらゐ)なら、226(たす)けて(もら)はぬ(はう)(なに)(ほど)幸福(かうふく)()れませぬからなア』
227()『ホヽヽ、228(うそ)だよ(うそ)だよ、229(まへ)さまの(つら)一寸(ちよつと)人並(ひとなみ)(すぐ)れて(かは)つてゐるが、230どこ(とも)なしに()(おく)才気(さいき)()ちてゐるやうだ。231(まへ)さまを(なに)かの(たま)使(つか)つて、232(ひと)仕事(しごと)をやつたら面白(おもしろ)からう』
233(げん)『ヤ、234そこ(まで)(わたし)器量(きりやう)(みと)めて(いただ)けば満足(まんぞく)です。235(わたし)(いま)()うなつて、236みすぼらしい(ふう)(いた)して()りますが、237オーラ(さん)立籠(たてこも)り、238シーゴー、239依子姫(よりこひめ)などの豪傑(がうけつ)幕下(ばくか)使(つか)ひ、240三千(さんぜん)部下(ぶか)(したが)へ、241印度(いんど)七千(しちせん)余国(よこく)(わが)()(にぎ)らむと計画(けいくわく)してゐた天晴(あつぱれ)大丈夫(だいぢやうぶ)ですよ』
242()『あ、243(まへ)さまが、244()名高(なだか)いオーラ(さん)山子(やまこ)坊主(ばうず)だつたのか。245ヤ、246そら()(ところ)()ふた、247()(もの)見付(みつ)かつた、248()拾物(ひろいもの)をした。249さア、250(これ)からお(まへ)さまと夫婦(ふうふ)(ばけ)()んで、251(ひと)仕事(しごと)をやらうぢやないか』
252(げん)成程(なるほど)253面白(おもしろ)からう、254夫婦(ふうふ)にならうと()ふたな、255(その)(した)()(かわ)かぬ(うち)女房(にようばう)()んで()く。256コラ女房(にようばう)257千草姫(ちぐさひめ)258第一(だいいち)霊国(れいごく)天人(てんにん)259天来(てんらい)救世主(きうせいしゆ)260天帝(てんてい)化身(けしん)261天真坊(てんしんばう)宿(やど)(つま)262ヨモヤ不服(ふふく)はあるまいなア』
263()『お(まへ)さまと夫婦(ふうふ)になる(こと)(だけ)異議(いぎ)ありませぬ。264(しか)(なが)(わらは)こそ、265第一(だいいち)霊国(れいごく)天人(てんにん)266日出(ひのでの)(かみ)生宮(いきみや)267底津(そこつ)岩根(いはね)(おほ)ミロクの太柱(ふとばしら)268三千(さんぜん)世界(せかい)救世主(きうせいしゆ)269千草(ちぐさ)高姫(たかひめ)だから、270神格(しんかく)(うへ)から、271(この)千草(ちぐさ)高姫(たかひめ)(しゆ)であり、272(まへ)さまは従僕(じゆうぼく)となつて(もら)はねばならぬ(みたま)因縁(いんねん)だよ。273肉体(にくたい)(じやう)からはお(まへ)さまが(をつと)千草(ちぐさ)(つま)()めて()きませう。274(まへ)さまの天帝(てんてい)化身(けしん)自分(じぶん)(こしら)へたのだらう。275そんな山子(やまこ)(これ)からは駄目(だめ)ですよ。276正真(しやうしん)正銘(しやうめい)第一(だいいち)霊国(れいごく)天人(てんにん)でなけら、277肝腎(かんじん)場合(ばあひ)(おい)て、278名実(めいじつ)ともなふ活動(はたらき)出来(でき)ませぬからな。279こんな(ところ)(くび)(だけ)()して()けられてるやうな神力(しんりき)()(こと)で、280天帝(てんてい)化身(けしん)なんて()つて(もら)へますまい』
281(げん)『イヤ、282モウ、283天帝(てんてい)化身(けしん)も、284第一(だいいち)霊国(れいごく)天人(てんにん)285(かぶ)を、2851女房(にようばう)のお(まへ)(ゆづ)らう、286(まへ)女房(にようばう)にさへすりや、287(おれ)やモウ満足(まんぞく)だからのう』
288()(いや)ですよ、289(ゆづ)つて(もら)はなくても、290(もと)から第一(だいいち)霊国(れいごく)天人(てんにん)291日出(ひのでの)(かみ)生宮(いきみや)292(おほ)ミロクの太柱(ふとばしら)293三千(さんぜん)世界(せかい)救世主(きうせいしゆ)294千草(ちぐさ)高姫(たかひめ)ですもの』
295(げん)『あ、296(なん)(うへ)には(うへ)のあるものだな。297これ(だけ)美貌(びばう)弁舌(べんぜつ)とでやられたら、298大抵(たいてい)(をとこ)(まゐ)つて(しま)ふだろ』
299()『そら、300さうです(とも)301トルマン(ごく)王妃(わうひ)(ぼう)()つて、302(ただ)一人(ひとり)猛獣(まうじう)(たけ)(くる)原野(げんや)をやつて()るといふ(がう)(をんな)ですもの、303そんなこた、304()(だけ)野暮(やぼ)ですワ、305ホヽヽヽ』
306コオ『(なん)とマア、307(えら)(かた)(ばか)()られたものですな。308のうコブライ、309(まる)()(きつね)(つま)まれたやうぢやないか』
310コ『(おれ)ヤ、311モウ()いた(くち)がすぼまらぬワイ』
312()『コレコレ其処(そこ)(やつこ)さま、313(なん)()無礼(ぶれい)(こと)()ふのだ。314ミロクの太柱(ふとばしら)(あら)はれてゐるのに、315(きつね)(つま)まれたやうだとは(なん)ぢやいな。316(これ)から(きつね)のキの()()つては()けませぬよ』
317コオ『ハイ(おそ)()りまして御座(ござ)います、318玉藻前(たまものまへ)芝居(しばゐ)()金毛(きんまう)九尾(きうび)さまの()面相(めんさう)(あま)りによく()てるものだから、319つい(きつね)のやうだと(まを)して、320()機嫌(きげん)(そこ)ねましたのは(ひら)()(わび)(いた)します』
321(げん)『あ、322()うやら()()(さう)だ。323どつかへ324宿(やど)(もと)めて、325今晩(こんばん)はゆつくりと(かた)(あか)さうぢやありませぬか、326………ナニ(ちが)(ちが)ふ。327オイ女房(にようばう)千草(ちぐさ)328どつかで、329宿(やど)(もと)めて(ゆつ)くり(やす)まうかい、330ヨモヤ(いや)とは(まを)すまいのう』
331()『ホツホヽヽ、332立派(りつぱ)()主人(しゆじん)出来(でき)たものだ、333(これ)でもひだるい(とき)不味(まづい)ものなしだから……ホヽヽヽヽ』
334小声(こごゑ)(わら)ふ。335玄真坊(げんしんばう)半分(はんぶん)(ばか)(きき)かじり、
336『コラ女房(にようばう)337さう心配(しんぱい)するものぢやない、338(けつ)して不味物(まづいもの)()はさないよ。339ひだるい()もささないから、340(おれ)(まか)しておけ。341(かね)(この)(とほ)り、342胴巻(どうまき)一杯(いつぱい)つめてあるからのう』
343といひ(なが)ら、344(こし)(あたり)()をやつてみてビツクリ、
345『ヤ、346何時(いつ)()にか所持金(しよぢきん)()くなつてゐる。347コラ、348コブライ、349(きさま)()つたのぢやないか』
350コ『そんな殺生(せつしやう)(こと)()ひなさるな、351(なに)(ほど)泥棒(どろばう)でもお(まへ)さまの(かね)まで()りませぬよ。352(わたし)(ども)(かは)()()んだ(とき)353(みな)川底(かはぞこ)(おと)して(しま)つたのです。354(この)(とほり)無一文(むいちもん)です。355コオロだつて(その)(とほ)り、356一文(いちもん)だつて()つてゐやしませぬで』
357(げん)『あゝ、358(こま)つた(こと)だの、359それぢや、360今晩(こんばん)宿屋(やどや)(とま)(わけ)にはゆかず、361(なん)とか工夫(くふう)はあるまいかのう』
362()『ホヽヽヽ、363(なん)とまア、364スカン(ぴん)寄合(よりあひ)だこと、365(かね)でも()つて()(さう)なと(おも)ひ、366こんな茶瓶頭(ちやびんあたま)蜥蜴面(とかげづら)秋波(しうは)(おく)つて()たのだけれど、367文無(もんな)しと()いちや、368愛想(あいさう)もコソも()()てて(しま)つた。369エーエ(けが)らはしい、370何所(どこ)なつとお(まへ)さま勝手(かつて)()きなさい、371(この)千草(ちぐさ)一文(いちもん)(かね)()くても(この)美貌(びばう)(たね)に、372如何(どん)宿屋(やどや)にでも贅沢(ぜいたく)三昧(ざんまい)をして(とま)つて()せませう。373(しか)(なが)らお(まへ)さまのやうなガラクタが()いてると、374女盗賊(をんなたうぞく)間違(まちが)へられるから御免(ごめん)(かうむ)りませう、375左様(さやう)なら』
376(たち)(あが)らうとする。377玄真坊(げんしんばう)一生(いつしやう)懸命(けんめい)(あし)にくらひつき、
378『コラ女房(にようばう)379一夜(いちや)(まくら)もかはさずに、380(うち)()()すと()(こと)があるか、381せめて今宵(こよひ)一夜(いちや)()つてくれ』
382()()(ぱら)(なか)で、383(うち)()()()()さぬもあるかい、384宿無(やどな)(もの)()385死損(しにぞこな)ひの蛸坊主(たこばうず)386おイドが(あき)れて雪隠(せんち)(をど)()すワイ』
387とふり()()(やう)ともがく。
388(げん)『オイ、389コブライ、390コオロの両人(りやうにん)391女房(にようばう)(しつか)(つかま)へてくれ。392(おれ)一人(ひとり)ではどうやら取放(とりはな)しさうだ』
393 コブライ、394コオロ両手(りやうて)(ひろ)げて、395(まへ)突立(つつた)ち、
396『コレコレ(おく)さま、397さう短気(たんき)(おこ)しちや()けませぬ、398(あんま)水臭(みづくさ)いぢやありませぬか。399小判(こばん)吾々(われわれ)(さん)(にん)(うご)けぬ(ほど)(こし)()いて()て、400(ふち)(おと)したのですから、401()入用(にふよう)とあれば(いのち)(まと)川底(かはそこ)から(ひろ)うて()せます、402どうか短気(たんき)(おこ)さぬ(やう)にして(くだ)さいませ』
403()『ホヽヽヽ、404一寸(ちよつと)405(あま)(すき)玄真(げんしん)さまだから、406(あい)程度(ていど)(ため)(ため)嘲弄(からか)つてみたのですよ。407どこ(まで)玄真(げんしん)さまは(この)千草姫(ちぐさひめ)(あい)して(くだ)さると()(こと)が、408只今(ただいま)行動(かうどう)()つて証明(しようめい)されました。409一遍(いつぺん)沢山(たくさん)黄金(わうごん)必用(ひつよう)()いけれど、410(この)千草(ちぐさ)命令(めいれい)する(ごと)に、411(まへ)さまは(この)(ふち)()()んで、412(その)(かね)(ひろ)つて()るでせうなア』
413コブ『ヘー、414(おほ)(まで)御座(ござ)いませぬ、415(わたし)だつて416可惜(あたら)(たから)水底(みなそこ)()てて()くのは勿体(もつたい)なう御座(ござ)います。417のうコオロ418さうぢやないか』
419コオ『ウンさう(とも)さう(とも)420(おれ)(きさま)(たから)はキーツと()()んだあの(ふち)(をさ)まつてるに(ちがひ)ない。421(しか)玄真(げんしん)さまのお(たから)は、422滅多(めつた)(かは)()()んでも(からだ)(はな)れる理由(りいう)がない。423あれ(だけ)しつかりと胴巻(どうまき)(くく)りつけてあつたのだもの。424ヒヨツとしたら、425(この)(はか)()つて()よ。426(この)(そこ)にあるかも()れぬ。427モシ玄真坊(げんしんばう)さま、428一寸(ちよつと)天帝(てんてい)さまに(うかが)つて(くだ)さいな』
429(げん)『ウン、430(たしか)にある、431()つてみてくれ』
432コ『ヤ、433貴方(あなた)のお言葉(ことば)とあらア間違(まちがひ)御座(ござ)いますまい、434()らう』
435二人(ふたり)(つめ)坊主(ばうず)になる(ところ)(まで)(つち)()()けて(そこ)(そこ)へと()()んだ。436()(しやく)(ばか)()つた(ところ)胴巻(どうまき)ぐるめ、437ドスンと(おも)たい(ほど)黄金(わうごん)()をむいてゐた。438コブライは()()(ばか)(よろこ)んで、
439『モシモシ玄真(げんしん)さま、440()りました()りました、441(よろこ)んで(くだ)さい』
442(げん)『そらさうだろ、443(きさま)()二人(ふたり)黄金(わうごん)()についてゐないのだ、444(おれ)()についた(かね)だから(この)(とほり)(のこ)つてるのだ。445サ、446両人(りやうにん)(はや)()()げてくれ。447コレコレ女房(にようばう)448どうだ、449一寸(ちよつと)(この)(かね)()ろ、450(これ)(みな)(おれ)(かね)だ。451これ(だけ)ありや452(まへ)(おれ)とが(さん)(ねん)()(ねん)(のみ)つづけても大丈夫(だいぢやうぶ)だよ』
453()(なん)貴方(あなた)(えら)いお(かた)ですな、454(わたし)(をつと)として(はづか)しからぬ人格者(じんかくしや)ですワ、455ホヽヽヽヽ。456コレコレ コブライ、457コオロの両人(りやうにん)458()苦労(くらう)だつたが、459まだ(この)(そこ)三尺(さんじやく)()(しやく)()つて(くだ)さい、460ダイヤモンドがありますよ。461(わたし)神勅(しんちよく)によつて黄金(わうごん)以上(いじやう)(もの)があるといふ(こと)(わか)つたから……』
462コ『エ、463承知(しようち)しました、464貴女(あなた)(おほ)せなら()(そこ)(まで)()りますよ』
465とコオロと両人(りやうにん)(あせ)みどろになつて、466(つち)()()げてゐる。467玄真坊(げんしんばう)468千草(ちぐさ)二人(ふたり)(した)をペロリと()し、469手早(てばや)二人(ふたり)生埋(いきう)めにせむと、470一生(いつしやう)懸命(けんめい)(つち)(うへ)から()()み、471(そば)にあつた立石(たていし)をドスンと()せ、472立石(たていし)(うへ)(こし)うちかけ(なが)ら、473モウ(これ)大丈夫(だいぢやうぶ)()ふやうな面構(つらがまへ)で、474スパリスパリと千草姫(ちぐさひめ)煙草(たばこ)(ひつ)たくつて()うてゐる。
475()(なん)とマア厄介者(やくかいもの)二人(ふたり)ゐやがる、476如何(どう)したら()からうと心配(しんぱい)でならなかつたが、477矢張(やはり)以心(いしん)伝心(でんしん)478(まへ)さまの(こころ)(わたし)(こころ)はピツタリ()ふてゐたとみえて、479一言(ひとこと)()はずにこんな(はな)(わざ)をやつたのだから(めう)ですなア』
480(げん)本当(ほんたう)にさうだ、481(じつ)(おれ)此奴(こいつ)埋込(うめこ)んでやろと(おも)つたが、482(まへ)もさうだつたか、483こんな(やつ)がウロツキやがると二人(ふたり)(こひ)邪魔(じやま)になるし484将来(しやうらい)手足(てあし)(まとひ)になるが、485(これ)から二人(ふたり)でどつか宿(やど)(とま)るか、486見晴(みはらし)のよい(やま)(あが)つて神秘(しんぴ)(とびら)(ひら)くか、487(あるひ)神楽舞(かぐらまひ)でもやつて、488今日(こんにち)結婚(けつこん)内祝(うちいはひ)でもせうぢやないか』
489()『そら面白(おもしろ)いでせう。490宿屋(やどや)()つても(あや)しまれると一寸(ちよつと)具合(ぐあひ)(わる)いから、491そんなら今夜(こんや)月夜(つきよ)(さいはひ)492あのコンモリした(もり)(まで)()きませう。493あの(もり)にはキツと古堂(ふるだう)(ぐらゐ)()つてゐるでせうからね』
494(げん)『オイ、495モウ少時(しばらく)(この)(うへ)頑張(ぐわんば)つて()らねば、496彼奴(あいつ)生返(いきかへ)つて(あと)(おつ)かけて(きた)大変(たいへん)だぞ』
497()『ナーニそんな心配(しんぱい)()りますものか、498(この)千草姫(ちぐさひめ)神力(しんりき)霊縛(れいばく)をかけておきましたから、499(あな)(そこ)(いし)()うに(かた)まつてゐますよ。500サ、501(まゐ)りませう、502コレ玄真(げんしん)さま、503みつともない、504(よだれ)()きなさいナ』
505 玄真(げんしん)(あわて)(りやう)()(よだれ)手繰(たぐ)り、506(ひざ)のあたりに両手(りやうて)をこすりつけてゐる。
507()『マアマア(いや)なこと、508玄真(げんしん)さま509(よだれ)()(ひざ)()いたり、510(まる)着物(きもの)雑巾(ざふきん)(ひと)つだワ、511ホヽヽ』
512 (これ)より両人(りやうにん)月夜(つきよ)(みち)(みなみ)()り、513コンモリとした(やま)目当(めあて)(はし)りゆく。
514大正一五・二・一 旧一四・一二・一九 於月光閣 松村真澄録)
文芸社文庫『あらすじで読む霊界物語』絶賛発売中!
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki