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第75巻(寅の巻)
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第16巻(卯の巻)
序文
凡例
総説歌
第1篇 神軍霊馬
01 天橋立
〔591〕
02 暗夜の邂逅
〔592〕
03 門番の夢
〔593〕
04 夢か現か
〔594〕
05 秋山館
〔595〕
06 石槍の雨
〔596〕
07 空籠
〔597〕
08 衣懸松
〔598〕
09 法螺の貝
〔599〕
10 白狐の出現
〔600〕
第2篇 深遠微妙
11 宝庫の鍵
〔601〕
12 捜索隊
〔602〕
13 神集の玉
〔603〕
14 鵜呑鷹
〔604〕
15 谷間の祈
〔605〕
16 神定の地
〔606〕
17 谷の水
〔607〕
第3篇 真奈為ケ原
18 遷宅婆
〔608〕
19 文珠如来
〔609〕
20 思はぬ歓
〔610〕
21 御礼参詣
〔611〕
跋
霊の礎(一)
霊の礎(二)
余白歌
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第五章
秋山
(
あきやま
)
館
(
やかた
)
〔五九五〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第16巻 如意宝珠 卯の巻
篇:
第1篇 神軍霊馬
よみ(新仮名遣い):
しんぐんれいば
章:
第5章 秋山館
よみ(新仮名遣い):
あきやまやかた
通し章番号:
595
口述日:
1922(大正11)年04月14日(旧03月18日)
口述場所:
瑞祥閣
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1922(大正11)年12月25日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
秋山彦は、鬼雲彦の手下・鬼彦らの一行に捕らえられてしまった。秋山彦を助けようと血気にはやる亀彦に対して、国武彦は「秋山彦一人の命くらいどうということはない」と挑発する。
怒った亀彦が表へ走ろうとするのを、英子姫が制止した。
しかし捕らえられたと思われた秋山彦は、無事に奥の間に戻ってきた。国武彦は、実は配下の白狐たちの神術によって鬼彦らを追い払っていたのだ、と明かす。
神素盞嗚大神は、亀彦の真心をその行いから知り、満足の意を表した。そして、大江山は国武彦と白狐たちに任せて、一行は聖地を指して進むこととした。
神素盞嗚大神は、聖地に入って三五教の教えを固める意を歌に歌った。また国武彦は、自分が国治立大神の分霊であり、瑞霊・神素盞嗚大神に仕え守る役割であることを明かした。
英子姫は大江山の悪神たちが、大神出立の後に秋山彦を襲うことを心配し、この館に残って鬼雲彦を言向け和す役を願い出るが、国武彦は後は自分に任せるようにと諭した。
一行は由良の港から、世継王丸に乗り込んで、河瀬をさかのぼり聖地に向かった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
熊野樟毘命(熊野樟日命)
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-09-22 04:01:28
OBC :
rm1605
愛善世界社版:
58頁
八幡書店版:
第3輯 422頁
修補版:
校定版:
60頁
普及版:
25頁
初版:
ページ備考:
001
高天原
(
たかあまはら
)
を
追
(
やら
)
はれて
002
千座
(
ちくら
)
の
置戸
(
おきど
)
を
負
(
お
)
はせつつ
003
八洲
(
やしま
)
の
国
(
くに
)
を
漂浪
(
さすらひ
)
の
004
旅
(
たび
)
に
出立
(
いでた
)
ち
給
(
たま
)
ひたる
005
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
006
行衛
(
ゆくゑ
)
如何
(
いかん
)
と
案
(
あん
)
じつつ
007
東
(
あづま
)
の
空
(
そら
)
を
打眺
(
うちなが
)
め
008
心
(
こころ
)
にかかる
村肝
(
むらきも
)
の
009
雲
(
くも
)
の
渦巻
(
うづまき
)
サラサラと
010
晴
(
は
)
れて
嬉
(
うれ
)
しき
今日
(
けふ
)
の
朝
(
あさ
)
011
君
(
きみ
)
の
便
(
たよ
)
りを
菊月
(
きくづき
)
の
012
上九日
(
かみここのか
)
の
菊
(
きく
)
の
宴
(
えん
)
013
親子
(
おやこ
)
主従
(
しゆじゆう
)
めぐり
会
(
あ
)
ひ
014
胸
(
むね
)
の
岩戸
(
いはと
)
も
秋山彦
(
あきやまひこ
)
の
015
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
の
真心
(
まごころ
)
に
016
綾
(
あや
)
と
錦
(
にしき
)
の
機
(
はた
)
を
織
(
お
)
る
017
赤
(
あか
)
き
心
(
こころ
)
は
紅葉姫
(
もみぢひめ
)
018
万代
(
よろづよ
)
祝
(
いは
)
ふ
亀彦
(
かめひこ
)
が
019
暗
(
やみ
)
を
照
(
て
)
らして
英子姫
(
ひでこひめ
)
020
心地
(
ここち
)
もわけて
悦子姫
(
よしこひめ
)
021
廻
(
めぐ
)
り
会
(
あ
)
うたる
折柄
(
をりから
)
に
022
表
(
おもて
)
に
聞
(
きこ
)
ゆる
鬨
(
とき
)
の
声
(
こゑ
)
023
忽
(
たちま
)
ち
開
(
ひら
)
く
表門
(
おもてもん
)
024
秋山彦
(
あきやまひこ
)
は
立出
(
たちい
)
でて
025
寄
(
よ
)
せ
来
(
く
)
る
魔軍
(
まぐん
)
に
打向
(
うちむか
)
ひ
026
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
勇
(
いさ
)
ましく
027
力限
(
ちからかぎ
)
りに
宣
(
の
)
りつれば
028
敵
(
てき
)
の
人数
(
にんず
)
も
大江山
(
おほえやま
)
029
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
が
部下
(
てした
)
共
(
ども
)
030
大地
(
だいち
)
にドツと
打倒
(
うちたふ
)
れ
031
苦
(
くるし
)
み
悶
(
もだ
)
ゆる
状態
(
ありさま
)
は
032
実
(
げ
)
に
面白
(
おもしろ
)
き
限
(
かぎ
)
りなり
033
顔色
(
かほいろ
)
赤
(
あか
)
く
目
(
め
)
は
青
(
あを
)
く
034
棕櫚
(
しゆろ
)
の
赤髪
(
あかがみ
)
を
振紊
(
ふりみだ
)
し
035
六
(
ろく
)
尺
(
しやく
)
計
(
ばか
)
りも
踏張
(
ふんば
)
つて
036
ノソリノソリと
遣
(
や
)
つて
来
(
く
)
る
037
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
が
懐
(
ふところ
)
の
038
刀
(
かたな
)
と
頼
(
たの
)
む
鬼彦
(
おにひこ
)
は
039
虎皮
(
こひ
)
の
褌
(
ふんどし
)
締
(
し
)
め
乍
(
なが
)
ら
040
牛
(
うし
)
の
様
(
やう
)
なる
角目
(
つのめ
)
立
(
た
)
て
041
大口
(
おほぐち
)
開
(
あ
)
けて
高笑
(
たかわら
)
ひ。
042
鬼彦
(
おにひこ
)
『アハヽヽヽ、
043
猪口才
(
ちよこざい
)
千万
(
せんばん
)
な、
044
秋山彦
(
あきやまひこ
)
が
言霊
(
ことたま
)
の
防戦
(
ばうせん
)
、
045
左様
(
さやう
)
な
事
(
こと
)
でたぢつく
様
(
やう
)
な
鬼彦
(
おにひこ
)
と
思
(
おも
)
うて
居
(
ゐ
)
るか。
046
此方
(
こちら
)
には
雲霞
(
うんか
)
の
如
(
ごと
)
きジヤンジヤヒエールが、
047
数
(
かず
)
限
(
かぎ
)
りもなく
控
(
ひか
)
へて
居
(
ゐ
)
るぞ。
048
仮令
(
たとへ
)
汝
(
なんじ
)
獅子王
(
ししわう
)
の
勢
(
いきほひ
)
あるとも、
049
此
(
この
)
鬼彦
(
おにひこ
)
が
片腕
(
かたうで
)
を
揮
(
ふる
)
ふや
否
(
いな
)
や、
050
汝
(
なんぢ
)
の
身体
(
からだ
)
は
木
(
こ
)
つ
端
(
ぱ
)
微塵
(
みじん
)
、
051
今日
(
けふ
)
は
九
(
く
)
月
(
ぐわつ
)
九日
(
ここのか
)
、
052
大江山
(
おほえやま
)
の
本城
(
ほんじやう
)
に
於
(
おい
)
ては、
053
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
の
御
(
おん
)
大将
(
たいしやう
)
、
054
バラモンの
大祭典
(
だいさいてん
)
を
御
(
ご
)
執行
(
しつかう
)
の
贄
(
いけにへ
)
として、
055
神前
(
しんぜん
)
に
暖
(
あたた
)
かき
人肉
(
じんにく
)
を
供
(
そな
)
へ、
056
血
(
ち
)
の
酒
(
さけ
)
を
献
(
たてまつ
)
らねばならぬ。
057
それに
就
(
つい
)
ては、
058
バラモン
教
(
けう
)
を
目
(
め
)
の
敵
(
かたき
)
と
狙
(
ねら
)
ふ
三五教
(
あななひけう
)
の
張本人
(
ちやうほんにん
)
、
059
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
一族
(
いちぞく
)
の
者
(
もの
)
、
060
汝
(
なんぢ
)
が
館
(
やかた
)
に
隠
(
かく
)
れ
忍
(
しの
)
ぶと
聞
(
き
)
く、
061
四
(
し
)
の
五
(
ご
)
の
吐
(
ぬか
)
さず、
062
速
(
すみやか
)
に
主人
(
しゆじん
)
を
吾
(
わが
)
面前
(
めんぜん
)
に
引
(
ひき
)
ずり
出
(
いだ
)
せ。
063
ゴテゴテ
吐
(
ぬか
)
さば、
064
それがし
自
(
みづか
)
ら
踏
(
ふ
)
み
込
(
こ
)
みて、
065
片
(
かた
)
つ
端
(
ぱし
)
から
腕
(
うで
)
を
捻
(
ね
)
ぢ、
066
脚
(
あし
)
を
折
(
を
)
り、
067
量
(
かさ
)
を
低
(
ひく
)
く
致
(
いた
)
して
此
(
この
)
網代籠
(
あじろかご
)
に
詰
(
つ
)
め
込
(
こ
)
み、
068
汝
(
なんぢ
)
諸共
(
もろとも
)
神
(
かみ
)
の
神饌
(
しんせん
)
に
供
(
きよう
)
してくれむ』
069
と
言
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く、
070
秋山彦
(
あきやまひこ
)
の
襟首
(
えりくび
)
をグツと
握
(
にぎ
)
り、
071
締
(
し
)
め
附
(
つ
)
けたり。
072
秋山彦
(
あきやまひこ
)
は
豪力
(
がうりき
)
無双
(
むさう
)
の
鬼彦
(
おにひこ
)
に
捻
(
ね
)
ぢ
伏
(
ふ
)
せられ
乍
(
なが
)
ら、
073
委細
(
ゐさい
)
構
(
かま
)
はず
言霊
(
ことたま
)
を
奏上
(
そうじやう
)
せむとするや、
074
手頃
(
てごろ
)
の
石
(
いし
)
を
拾
(
ひろ
)
つて
秋山彦
(
あきやまひこ
)
の
口
(
くち
)
に
捻
(
ね
)
ぢ
込
(
こ
)
み、
075
其
(
その
)
上
(
うへ
)
に
猿轡
(
さるぐつわ
)
を
啣
(
は
)
ませ、
076
鬼彦
(
おにひこ
)
『アツハヽヽヽ、
077
最早
(
もはや
)
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だ、
078
サア
秋山彦
(
あきやまひこ
)
、
079
汝
(
なんぢ
)
が
唯一
(
ゆゐいつ
)
の
武器
(
ぶき
)
と
頼
(
たの
)
む
言霊
(
ことたま
)
も、
080
モウ
斯
(
こ
)
うなつては
叶
(
かな
)
ふまい。
081
オイ
言霊
(
ことたま
)
はどうだい……ヤアヤア
皆
(
みな
)
の
者
(
もの
)
共
(
ども
)
、
082
最早
(
もはや
)
心配
(
しんぱい
)
は
要
(
い
)
らぬ。
083
速
(
すみやか
)
に
立上
(
たちあが
)
れ』
084
と
云
(
い
)
ふ
間
(
ま
)
もなく、
085
言霊
(
ことたま
)
に
打
(
う
)
たれて
苦悶
(
くもん
)
し
居
(
ゐ
)
たる
部下
(
ぶか
)
の
魔神
(
まがみ
)
共
(
ども
)
は、
086
やうやう
立上
(
たちあ
)
がり、
087
真
(
ま
)
つ
青
(
さを
)
な
顔
(
かほ
)
に、
088
空元気
(
からげんき
)
を
附
(
つ
)
け、
089
ガタガタ
震
(
ぶる
)
ひの
空威張
(
からゐば
)
り
声
(
ごゑ
)
、
090
『ウワア ウワア』
091
と
鬨
(
とき
)
を
作
(
つく
)
つて、
092
盛
(
さかん
)
に
示威
(
じゐ
)
運動
(
うんどう
)
を
開始
(
かいし
)
するこそ
可笑
(
をかし
)
かりける。
093
奥
(
おく
)
には
糸竹
(
しちく
)
管絃
(
くわんげん
)
の
響
(
ひびき
)
、
094
長閑
(
のどか
)
な
歌
(
うた
)
の
声
(
こゑ
)
、
095
此
(
この
)
場
(
ば
)
の
光景
(
くわうけい
)
を
知
(
し
)
らず
顔
(
がほ
)
に
響
(
ひび
)
き
渡
(
わた
)
りける。
096
魔軍
(
まぐん
)
は
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
りに
鬨
(
とき
)
の
声
(
こゑ
)
を
揚
(
あ
)
げ
呶鳴
(
どな
)
り
立
(
た
)
て
居
(
ゐ
)
たり。
097
此方
(
こなた
)
の
奥殿
(
おくでん
)
には、
098
此
(
この
)
声
(
こゑ
)
を
峰
(
みね
)
の
嵐
(
あらし
)
の
音
(
おと
)
と
聞
(
き
)
き
流
(
なが
)
し
酒宴
(
しゆえん
)
の
真最中
(
まつさいちう
)
、
099
慌
(
あは
)
ただしく
駆
(
か
)
けつけ
来
(
きた
)
る
門番
(
もんばん
)
の
銀公
(
ぎんこう
)
、
100
加米公
(
かめこう
)
はピタリと
両手
(
りやうて
)
をつき、
101
頭
(
かしら
)
を
畳
(
たたみ
)
に
摺
(
す
)
り
附
(
つ
)
け
乍
(
なが
)
ら、
102
加米公
『
申上
(
まをしあ
)
げます、
103
表門
(
おもてもん
)
はタタ
大変
(
たいへん
)
で
御座
(
ござ
)
います』
104
紅葉姫
(
もみぢひめ
)
『ヤア
汝
(
なんぢ
)
は
加米
(
かめ
)
、
105
銀
(
ぎん
)
の
両人
(
りやうにん
)
、
106
大変
(
たいへん
)
とは
何事
(
なにごと
)
なるぞ。
107
委曲
(
つぶさ
)
に
物語
(
ものがた
)
れ』
108
加米公
(
かめこう
)
『ハイハイ
申上
(
まをしあ
)
げます、
109
あのモシ……あの……
何
(
なん
)
で
御座
(
ござ
)
います。
110
夫
(
そ
)
れは
夫
(
そ
)
れは
申上
(
まをしあ
)
げ
難
(
にく
)
い
事
(
こと
)
で……マアマア
大変
(
たいへん
)
な
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ました……
斯
(
こ
)
う
言
(
い
)
へば、
111
申上
(
まをしあ
)
げずとも
大抵
(
たいてい
)
、
112
御
(
ご
)
判断
(
はんだん
)
が
附
(
つ
)
きませう』
113
紅葉姫
(
もみぢひめ
)
『
早
(
はや
)
くしつかり
申
(
まを
)
しなさい』
114
加米公
(
かめこう
)
『オイ
銀公
(
ぎんこう
)
、
115
お
前
(
まへ
)
は
上役
(
うはやく
)
だ。
116
詳
(
くは
)
しい
事
(
こと
)
は、
117
お
前
(
まへ
)
が
知
(
し
)
つとる
筈
(
はず
)
だ。
118
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
の
御
(
ご
)
容子
(
ようす
)
を……』
119
銀公
(
ぎんこう
)
『ヤア
此方
(
こちら
)
は
折悪
(
をりあし
)
く
雪隠
(
せつちん
)
に
往
(
い
)
つて
居
(
を
)
つたのだから、
120
実状
(
じつじやう
)
は
承知
(
しようち
)
して
居
(
を
)
らぬ。
121
加米
(
かめ
)
、
122
貴様
(
きさま
)
は
実地
(
じつち
)
目撃
(
もくげき
)
して
居
(
を
)
つたのだ。
123
直
(
すぐ
)
に
申上
(
まをしあ
)
げぬか』
124
加米公
(
かめこう
)
『
上役
(
うはやく
)
の
分際
(
ぶんざい
)
として、
125
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
様
(
さま
)
が
危急
(
ききふ
)
存亡
(
そんばう
)
の
場合
(
ばあひ
)
、
126
雪隠
(
せつちん
)
へ
隠
(
かく
)
れよつて、
127
慄
(
ふる
)
うて
居
(
を
)
つたぢやないか。
128
俺
(
おれ
)
は
何分
(
なにぶん
)
大勢
(
おほぜい
)
の
寄
(
よ
)
せ
手
(
て
)
に、
129
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
し、
130
目
(
め
)
は
眩
(
くら
)
み、
131
実地
(
じつち
)
目撃
(
もくげき
)
不充分
(
ふじゆうぶん
)
、
132
貴様
(
きさま
)
は
安全
(
あんぜん
)
地帯
(
ちたい
)
に
身
(
み
)
を
隠
(
かく
)
し、
133
雪隠
(
せんち
)
の
窓
(
まど
)
から
覗
(
のぞ
)
いて
居
(
ゐ
)
よつたのだ。
134
早
(
はや
)
く
申
(
まを
)
さぬと、
135
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
様
(
さま
)
の
口
(
くち
)
に
石
(
いし
)
を
捻
(
ね
)
ぢ
込
(
こ
)
み、
136
猿轡
(
さるぐつわ
)
を
箝
(
は
)
め、
137
高手
(
たかて
)
小手
(
こて
)
に
縛
(
いま
)
しめて、
138
網代籠
(
あじろかご
)
に、
139
手足
(
てあし
)
をもぎとり
量
(
かさ
)
を
低
(
ひく
)
うして、
140
今日
(
けふ
)
の
祭典
(
まつり
)
に
大江山
(
おほえやま
)
の
本城
(
ほんじやう
)
に
連
(
つ
)
れ
帰
(
かへ
)
り、
141
犠牲
(
ぎせい
)
にするかも
知
(
し
)
れぬぞや、
142
早
(
はや
)
く
実地
(
じつち
)
を
申
(
まを
)
さぬかい』
143
銀公
(
ぎんこう
)
『ハア
申上
(
まをしあ
)
げます。
144
加米公
(
かめこう
)
の
申
(
まを
)
した
通
(
とほ
)
り、
145
寸分
(
すんぶん
)
違
(
ちがひ
)
は
御座
(
ござ
)
いませぬ。
146
早
(
はや
)
く
何々
(
なになに
)
をなさらぬと、
147
鬼彦
(
おにひこ
)
が
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
様
(
さま
)
を
何々
(
なになに
)
して、
148
何々
(
なになに
)
へ
何々
(
なになに
)
するかも
知
(
し
)
れませぬ。
149
どうぞ
一時
(
いつとき
)
も
早
(
はや
)
く
表門
(
おもてもん
)
に
立向
(
たちむか
)
ひ、
150
御
(
ご
)
主人
(
しゆじん
)
様
(
さま
)
をお
助
(
たす
)
け
下
(
くだ
)
さいませ』
151
素尊
(
すそん
)
『ハヽヽヽヽ』
152
国武彦
(
くにたけひこ
)
『ヤア
面白
(
おもしろ
)
い
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
ました。
153
鬼彦
(
おにひこ
)
とやらの
軍勢
(
ぐんぜい
)
を、
154
当館
(
たうやかた
)
を
開放
(
かいはう
)
し
奥深
(
おくふか
)
く
侵入
(
しんにふ
)
させて、
155
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
が
手振
(
てぶ
)
り
足振
(
あしぶ
)
りを
眺
(
なが
)
め
乍
(
なが
)
ら、
156
悠
(
ゆつ
)
くりと
菊見
(
きくみ
)
の
宴
(
えん
)
を
張
(
は
)
りませう』
157
亀彦
(
かめひこ
)
『これはこれは
国武彦
(
くにたけひこ
)
の
御
(
お
)
言葉
(
ことば
)
とも
覚
(
おぼ
)
えぬ。
158
今
(
いま
)
承
(
うけたま
)
はれば、
159
秋山彦
(
あきやまひこ
)
は
敵
(
てき
)
の
為
(
ため
)
に
囚
(
とら
)
はれの
身
(
み
)
となり、
160
危機
(
きき
)
一髪
(
いつぱつ
)
の
場合
(
ばあひ
)
、
161
チツトは
紅葉姫
(
もみぢひめ
)
の
御
(
ご
)
心中
(
しんちう
)
も
察
(
さつ
)
し
上
(
あ
)
げねばなりますまい。
162
それだから
此
(
この
)
亀彦
(
かめひこ
)
が、
163
寄
(
よ
)
せ
来
(
く
)
る
敵
(
てき
)
に
向
(
むか
)
つて
進
(
すす
)
まむと
致
(
いた
)
せし
時
(
とき
)
、
164
横合
(
よこあひ
)
から
吾
(
わ
)
が
行動
(
かうどう
)
を
止
(
と
)
めさせられたは、
165
其
(
その
)
意
(
い
)
を
得
(
え
)
ぬ。
166
冷淡
(
れいたん
)
至極
(
しごく
)
の
貴下
(
きか
)
が
振舞
(
ふるまひ
)
、
167
秋山彦
(
あきやまひこ
)
を
見殺
(
みごろ
)
しになさる
所存
(
しよぞん
)
か
返答
(
へんたふ
)
聞
(
き
)
かう』
168
と
目
(
め
)
を
怒
(
いか
)
らし、
169
腕
(
うで
)
を
張
(
は
)
つて
詰
(
つ
)
め
寄
(
よ
)
せたれば、
170
国武彦
(
くにたけひこ
)
はニツコリしながら、
171
国武彦
『
秋山彦
(
あきやまひこ
)
の
一人
(
ひとり
)
や
二人
(
ふたり
)
犠牲
(
ぎせい
)
にした
処
(
ところ
)
で、
172
何
(
なに
)
騒
(
さわ
)
ぐ
事
(
こと
)
があるか。
173
一人
(
ひとり
)
を
殺
(
ころ
)
して
吾々
(
われわれ
)
数人
(
すうにん
)
が
助
(
たす
)
かると
云
(
い
)
ふものだ。
174
一人
(
ひとり
)
を
損
(
そん
)
するか、
175
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
一同
(
いちどう
)
を
損
(
そん
)
するか、
176
利害
(
りがい
)
得失
(
とくしつ
)
を
能
(
よ
)
く
胸
(
むね
)
に
手
(
て
)
を
当
(
あ
)
て、
177
算段
(
さんだん
)
をして
見
(
み
)
よ。
178
情
(
なさけ
)
を
棄
(
す
)
つるか、
179
理智
(
りち
)
を
棄
(
す
)
つるか、
180
二
(
ふた
)
つに
一
(
ひと
)
つの
性念場
(
しやうねんば
)
だ。
181
情
(
なさけ
)
に
惹
(
ひ
)
かされ、
182
大事
(
だいじ
)
を
謬
(
あやま
)
る
天下
(
てんか
)
の
痴呆者
(
うつけもの
)
、
183
仮令
(
たとへ
)
秋山彦
(
あきやまひこ
)
の
三
(
さん
)
人
(
にん
)
、
184
五
(
ご
)
人
(
にん
)
殺
(
ころ
)
されようとも、
185
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
様
(
さま
)
さへ
御
(
ご
)
無事
(
ぶじ
)
ならば、
186
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
是
(
こ
)
れにて
満足
(
まんぞく
)
致
(
いた
)
す。
187
マアマアゆつくりと、
188
酒
(
さけ
)
でも
飲
(
の
)
みて、
189
今日
(
けふ
)
の
酒宴
(
しゆえん
)
を
賑
(
にぎ
)
やかに
致
(
いた
)
せ。
190
喜悦
(
よろこび
)
の
座席
(
ざせき
)
に
血腥
(
ちなまぐさ
)
い
話
(
はなし
)
を
持込
(
もちこ
)
まれては、
191
サツパリお
座
(
ざ
)
が
醒
(
さ
)
める』
192
亀彦
(
かめひこ
)
『
汝
(
なんぢ
)
国武彦
(
くにたけひこ
)
とは
真赤
(
まつか
)
な
詐
(
いつは
)
り、
193
大江山
(
おほえやま
)
に
現
(
あら
)
はれたる、
194
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
が
鬼
(
おに
)
の
片腕
(
かたうで
)
、
195
国武彦
(
くにたけひこ
)
と
名
(
な
)
を
偽
(
いつは
)
り、
196
三五教
(
あななひけう
)
に
忍
(
しの
)
び
込
(
こ
)
み
来
(
き
)
たり、
197
内外
(
ないぐわい
)
相応
(
あひおう
)
じ、
198
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
を
損
(
そこな
)
はむとする
者
(
もの
)
ならむ、
199
首途
(
かどで
)
の
血祭
(
ちまつ
)
り、
200
亀彦
(
かめひこ
)
が
一刀
(
いつたう
)
の
下
(
もと
)
に
斬
(
き
)
りつけ、
201
蹴散
(
けち
)
らかして
呉
(
く
)
れむ』
202
と
短剣
(
たんけん
)
ヒラリと
引抜
(
ひきぬ
)
いて、
203
切
(
き
)
つて
掛
(
か
)
かるを、
204
国武彦
(
くにたけひこ
)
は
少
(
すこ
)
しも
騒
(
さわ
)
がず、
205
体
(
たい
)
を
左右
(
さいう
)
に
躱
(
かは
)
し、
206
あしらひ
乍
(
なが
)
ら、
207
国武彦
『アハヽヽヽヽ、
208
亀
(
かめ
)
の
踊
(
をどり
)
は
格別
(
かくべつ
)
面白
(
おもしろ
)
う
御座
(
ござ
)
る、
209
ヤア
素盞嗚
(
すさのを
)
の
大神殿
(
おほかみどの
)
、
210
御
(
ご
)
愉快
(
ゆくわい
)
では
御座
(
ござ
)
らぬか』
211
素尊
『ワハヽヽヽヽ
面白
(
おもしろ
)
い
面白
(
おもしろ
)
い』
212
亀彦
(
かめひこ
)
『
是
(
こ
)
れは
怪
(
け
)
しからぬ、
213
利己
(
りこ
)
主義
(
しゆぎ
)
の
中心
(
ちうしん
)
、
214
個人主義
(
われよし
)
の
行方
(
やりかた
)
……
高天原
(
たかあまはら
)
を
神退
(
かむやら
)
ひに
退
(
やら
)
はれたは、
215
寧
(
むし
)
ろ
当然
(
たうぜん
)
の
成行
(
なりゆき
)
、
216
此
(
この
)
亀彦
(
かめひこ
)
は
今迄
(
いままで
)
貴神
(
きしん
)
が
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
の
心中
(
しんちう
)
を
知
(
し
)
らず、
217
至善
(
しぜん
)
至美
(
しび
)
至仁
(
しじん
)
至愛
(
しあい
)
の
大神
(
おほかみ
)
と
信
(
しん
)
じて
居
(
ゐ
)
たは
残念
(
ざんねん
)
だ。
218
モウ
斯
(
こ
)
うなる
上
(
うへ
)
は、
219
天下
(
てんか
)
の
為
(
ため
)
に
汝
(
なんぢ
)
を
滅
(
ほろぼ
)
し、
220
吾
(
わ
)
れも
生命
(
いのち
)
を
棄
(
す
)
てて、
221
宇宙
(
うちう
)
の
悪魔
(
あくま
)
を
除
(
のぞ
)
かむ』
222
と
切
(
き
)
つて
掛
(
かか
)
るを、
223
英子姫
(
ひでこひめ
)
、
224
悦子姫
(
よしこひめ
)
は
其
(
その
)
前
(
まへ
)
に
立塞
(
たちふさ
)
がり、
225
英子姫、悦子姫
『オホヽヽヽヽあの
亀彦
(
かめひこ
)
の
元気
(
げんき
)
な
事
(
こと
)
、
226
さぞお
草臥
(
くたびれ
)
でせう。
227
妾
(
わらは
)
が
代
(
かは
)
つて
一芝居
(
ひとしばゐ
)
致
(
いた
)
しませう。
228
マアマアお
休
(
やす
)
み
遊
(
あそ
)
ばせ』
229
紅葉姫
(
もみぢひめ
)
は
声
(
こゑ
)
を
挙
(
あ
)
げて
泣伏
(
なきふ
)
しける。
230
亀彦
(
かめひこ
)
『
是
(
こ
)
れは
是
(
こ
)
れは
紅葉姫
(
もみぢひめ
)
様
(
さま
)
、
231
お
歎
(
なげ
)
き
御尤
(
ごもつと
)
も、
232
主人
(
しゆじん
)
の
災難
(
さいなん
)
を
聞
(
き
)
き
乍
(
なが
)
ら、
233
女房
(
にようばう
)
として
此
(
こ
)
れがどう
忍
(
しの
)
ばれませう。
234
あかの
他人
(
たにん
)
の
亀彦
(
かめひこ
)
さへも、
235
残念
(
ざんねん
)
で
残念
(
ざんねん
)
で
堪
(
たま
)
りませぬワイ。
236
斯
(
こ
)
う
云
(
い
)
ふ
時
(
とき
)
に
助
(
たす
)
けて
貰
(
もら
)
はうと
思
(
おも
)
つて、
237
秋山彦
(
あきやまひこ
)
が
日頃
(
ひごろ
)
の
親切
(
しんせつ
)
、
238
イヤモウ
気楽
(
きらく
)
千万
(
せんばん
)
な
素盞嗚
(
すさのを
)
の
御
(
おん
)
大将
(
たいしやう
)
呆
(
あき
)
れ
蛙
(
がへる
)
の
面
(
つら
)
の
水
(
みづ
)
と
申
(
まを
)
さうか、
239
馬耳
(
ばじ
)
東風
(
とうふう
)
と
言
(
い
)
はうか、
240
味方
(
みかた
)
の
危難
(
きなん
)
を
対岸
(
たいがん
)
の
火災視
(
くわさいし
)
し、
241
一臂
(
いつぴ
)
の
力
(
ちから
)
も
添
(
そ
)
へざるのみか、
242
愉快気
(
ゆくわいげ
)
に
酒
(
さけ
)
を
飲
(
の
)
むで
戯
(
たは
)
むれむとするは、
243
人情
(
にんじやう
)
軽薄
(
けいはく
)
紙
(
かみ
)
の
如
(
ごと
)
く、
244
イヤもう
実
(
じつ
)
に
呆
(
あき
)
れ
果
(
は
)
てて
御座
(
ござ
)
る。
245
サア
紅葉姫
(
もみぢひめ
)
殿
(
どの
)
、
246
斯
(
か
)
かる
連中
(
れんぢう
)
に
斟酌
(
しんしやく
)
なく、
247
亀彦
(
かめひこ
)
と
共
(
とも
)
に
表
(
おもて
)
へ
駆
(
か
)
け
出
(
だ
)
し、
248
秋山彦
(
あきやまひこ
)
が
弔戦
(
とむらひいくさ
)
、
249
此
(
この
)
細腕
(
ほそうで
)
の
続
(
つづ
)
かむ
限
(
かぎ
)
り、
250
剣
(
つるぎ
)
の
目釘
(
めくぎ
)
の
続
(
つづ
)
く
丈
(
だけ
)
、
251
縦横
(
じうわう
)
無尽
(
むじん
)
に
斬
(
き
)
り
立
(
た
)
て、
252
薙
(
な
)
ぎ
立
(
た
)
て、
253
敵
(
てき
)
の
奴輩
(
やつばら
)
一人
(
ひとり
)
も
残
(
のこ
)
さず、
254
秋
(
あき
)
の
紅葉
(
もみぢ
)
を
散
(
ち
)
らせし
如
(
ごと
)
く、
255
大地
(
だいち
)
を
血汐
(
ちしほ
)
に
染
(
そ
)
めなし、
256
血河
(
けつか
)
屍山
(
しざん
)
の
大活動
(
だいくわつどう
)
を
仕
(
つかまつ
)
らう、
257
紅葉姫
(
もみぢひめ
)
、
258
サア
亀彦
(
かめひこ
)
に
続
(
つづ
)
かせ
給
(
たま
)
へ』
259
と
表
(
おもて
)
を
指
(
さ
)
して
行
(
ゆ
)
かむとす。
260
英子姫
(
ひでこひめ
)
は
腰
(
こし
)
の
紐帯
(
ひもおび
)
を
取
(
と
)
るより
早
(
はや
)
く、
261
亀彦
(
かめひこ
)
が
首
(
くび
)
にヒラリと
打
(
うち
)
かけ、
262
グイと
引戻
(
ひきもど
)
せば、
263
亀彦
(
かめひこ
)
は
細紐
(
ほそひも
)
に
喉笛
(
のどぶえ
)
を
締
(
し
)
められ、
264
脆
(
もろ
)
くも
仰向
(
あふむけ
)
に
其
(
その
)
場
(
ば
)
にパタリと
倒
(
たふ
)
れたり。
265
表
(
おもて
)
に
聞
(
きこ
)
ゆる
人声
(
ひとごゑ
)
は、
266
刻々
(
こくこく
)
に
館
(
やかた
)
の
奥
(
おく
)
を
目蒐
(
めが
)
けて
近
(
ちか
)
づき
来
(
きた
)
る。
267
紅葉姫
(
もみぢひめ
)
は、
268
心
(
こころ
)
も
魂
(
たま
)
も
捧
(
ささ
)
げたる
269
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
大神
(
おほかみ
)
に
270
力
(
ちから
)
の
限
(
かぎ
)
り
身
(
み
)
の
限
(
かぎ
)
り
271
仕
(
つか
)
へまつるか
但
(
ただ
)
し
又
(
また
)
272
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
棄
(
す
)
てて
吾
(
わが
)
夫
(
つま
)
の
273
秋山彦
(
あきやまひこ
)
を
救
(
すく
)
はむか。
274
神命
(
しんめい
)
は
重
(
おも
)
し
又
(
また
)
夫
(
をつと
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
は、
275
妻
(
つま
)
の
身
(
み
)
として
坐視
(
ざし
)
するに
忍
(
しの
)
びず、
276
千思
(
せんし
)
万慮
(
ばんりよ
)
とつおいつ、
277
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
を
紅葉姫
(
もみぢひめ
)
、
278
顔
(
かほ
)
に
散
(
ち
)
らした
唐紅
(
からくれなゐ
)
の
血汐
(
ちしほ
)
漲
(
みなぎ
)
る
鬨
(
とき
)
の
声
(
こゑ
)
、
279
胸
(
むね
)
はドキドキ、
280
刻々
(
こくこく
)
に、
281
近付
(
ちかづ
)
き
来
(
きた
)
る
敵
(
てき
)
の
勢
(
ぜい
)
、
282
姫
(
ひめ
)
が
心
(
こころ
)
ぞ
憐
(
あは
)
れなる。
283
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
近付
(
ちかづ
)
き
来
(
きた
)
るかと
聞
(
きこ
)
えし
声
(
こゑ
)
は、
284
何時
(
いつ
)
しか
消
(
き
)
えて
跡
(
あと
)
なき
小春空
(
こはるぞら
)
、
285
秋山彦
(
あきやまひこ
)
は
悠然
(
いうぜん
)
と
騒
(
さわ
)
がず、
286
遽
(
あせ
)
らず、
287
奥
(
おく
)
の
間
(
ま
)
指
(
さ
)
して
帰
(
かへ
)
り
来
(
く
)
る。
288
亀彦
(
かめひこ
)
、
289
紅葉姫
(
もみぢひめ
)
の
両人
(
りやうにん
)
は、
290
余
(
あま
)
りの
嬉
(
うれ
)
しさに、
291
ハツと
胸
(
むね
)
逼
(
せま
)
り、
292
ものをも
言
(
い
)
はず、
293
其
(
その
)
場
(
ば
)
に
打倒
(
うちたふ
)
れ、
294
夢
(
ゆめ
)
か
現
(
うつつ
)
か
幻
(
まぼろし
)
かと、
295
吾
(
われ
)
と
吾
(
わ
)
が
心
(
こころ
)
を
疑
(
うたが
)
ひ、
296
思案
(
しあん
)
に
時
(
とき
)
を
移
(
うつ
)
すのみ。
297
国武彦
(
くにたけひこ
)
は
立
(
た
)
ちあがり、
298
国武彦
『
亀彦
(
かめひこ
)
、
299
紅葉姫
(
もみぢひめ
)
、
300
心配
(
しんぱい
)
致
(
いた
)
すな。
301
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
が
眷族
(
けんぞく
)
鬼武彦
(
おにたけひこ
)
をして、
302
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
の
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
ぶだう
)
を
懲
(
こら
)
す
為
(
ため
)
神変
(
しんぺん
)
不思議
(
ふしぎ
)
の
神術
(
かむわざ
)
を
用
(
もち
)
ひ、
303
敵
(
てき
)
の
本城
(
ほんじやう
)
に
忍
(
しの
)
ばせたれば、
304
少
(
すこ
)
しも
案
(
あん
)
ずる
事
(
こと
)
勿
(
なか
)
れ』
305
と
始
(
はじ
)
めて
事情
(
じじやう
)
を
打明
(
うちあ
)
けたるにぞ、
306
亀彦
(
かめひこ
)
、
307
紅葉姫
(
もみぢひめ
)
は、
308
亀彦、紅葉姫
『ハヽア、
309
ハツ』
310
と
計
(
ばか
)
りに
嬉
(
うれ
)
し
泣
(
な
)
き、
311
暫
(
しば
)
しは
顔
(
かほ
)
を
得上
(
えあ
)
げざりしが、
312
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
は
亀彦
(
かめひこ
)
に
向
(
むか
)
ひ、
313
素尊
『ヤア
亀彦
(
かめひこ
)
、
314
汝
(
なんぢ
)
が
心
(
こころ
)
の
中
(
うち
)
の
美
(
うる
)
はしさ、
315
吾
(
わ
)
れは
満足
(
まんぞく
)
致
(
いた
)
したぞよ、
316
イザ
是
(
こ
)
れより
賑々
(
にぎにぎ
)
しく
酒宴
(
しゆえん
)
を
催
(
もよほ
)
し、
317
大江山
(
おほえやま
)
の
本城
(
ほんじやう
)
は
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
眷族
(
けんぞく
)
に
打任
(
うちまか
)
せ、
318
吾々
(
われわれ
)
一行
(
いつかう
)
は
由良
(
ゆら
)
の
湊
(
みなと
)
より
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
り
綾
(
あや
)
の
高天原
(
たかま
)
に
進
(
すす
)
まむ』
319
と
宣示
(
せんじ
)
し
給
(
たま
)
へば、
320
亀彦
(
かめひこ
)
は
勇
(
いさ
)
み
立
(
た
)
ち、
321
亀彦
(
かめひこ
)
『アヽ、
322
ハツハヽヽヽ
芽出
(
めで
)
たし
芽出
(
めで
)
たし、
323
愈
(
いよいよ
)
是
(
こ
)
れより
大神
(
おほかみ
)
の
御
(
お
)
伴
(
とも
)
致
(
いた
)
し、
324
聖地
(
せいち
)
を
指
(
さ
)
して
逸早
(
いちはや
)
く
進
(
すす
)
み
上
(
のぼ
)
り、
325
神政
(
しんせい
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
基
(
もとい
)
を
開
(
ひら
)
かむ、
326
ヤア
秋山彦
(
あきやまひこ
)
、
327
紅葉姫
(
もみぢひめ
)
、
328
お
喜
(
よろこ
)
びあれ。
329
貴下
(
きか
)
が
誠忠
(
せいちう
)
、
330
至誠
(
しせい
)
、
331
至愛
(
しあい
)
の
真心
(
まごころ
)
天地
(
てんち
)
に
通
(
つう
)
じたり。
332
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
吾々
(
われわれ
)
一同
(
いちどう
)
当家
(
たうけ
)
を
去
(
さ
)
らば、
333
再
(
ふたた
)
び
大江山
(
おほえやま
)
より
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
の
部下
(
ぶか
)
の
者
(
もの
)
、
334
又
(
また
)
もや
押
(
お
)
し
寄
(
よ
)
せ
来
(
きた
)
るも
計
(
はか
)
り
難
(
がた
)
し、
335
随分
(
ずゐぶん
)
心
(
こころ
)
を
附
(
つ
)
け
召
(
め
)
されよ』
336
秋山彦
(
あきやまひこ
)
夫婦
(
ふうふ
)
は
涙
(
なみだ
)
を
揮
(
ふる
)
ひ、
337
秋山彦夫婦
『
何
(
なに
)
から
何
(
なに
)
まで、
338
貴下
(
あなた
)
の
御
(
ご
)
親切
(
しんせつ
)
、
339
骨身
(
ほねみ
)
に
徹
(
てつ
)
して
辱
(
かたじけ
)
なう
存
(
ぞん
)
じます。
340
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
大神
(
おほかみ
)
の
御
(
お
)
守
(
まも
)
りあれば、
341
必
(
かなら
)
ず
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
下
(
くだ
)
さいますな、
342
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
聖地
(
せいち
)
を
指
(
さ
)
して
御
(
お
)
上
(
のぼ
)
り
下
(
くだ
)
され。
343
神政
(
しんせい
)
成就
(
じやうじゆ
)
の
基礎
(
きそ
)
を
樹立
(
じゆりつ
)
する
為
(
ため
)
、
344
御
(
ご
)
奮励
(
ふんれい
)
の
程
(
ほど
)
偏
(
ひとへ
)
に
希
(
こひねが
)
ひ
上
(
あ
)
げ
奉
(
たてまつ
)
る』
345
と
慇懃
(
いんぎん
)
に
謝辞
(
しやじ
)
を
述
(
の
)
べける。
346
素尊
(
すそん
)
『ヤア
秋山彦
(
あきやまひこ
)
夫婦
(
ふうふ
)
、
347
多大
(
いか
)
いお
世話
(
せわ
)
になりしよ。
348
我
(
わ
)
れは
是
(
これ
)
より
一先
(
ひとま
)
づ
聖地
(
せいち
)
に
立向
(
たちむか
)
ひ、
349
天下
(
てんか
)
の
悪神
(
あくがみ
)
を
掃蕩
(
さうたう
)
すべき
準備
(
じゆんび
)
をなさむ、
350
船
(
ふね
)
の
用意
(
ようい
)
を
致
(
いた
)
せ』
351
秋山彦
(
あきやまひこ
)
『ハハア
委細
(
ゐさい
)
承知
(
しようち
)
仕
(
つかまつ
)
りました。
352
……
銀公
(
ぎんこう
)
、
353
加米公
(
かめこう
)
、
354
汝
(
なんぢ
)
は
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
湊
(
みなと
)
に
出
(
い
)
で、
355
御船
(
みふね
)
の
用意
(
ようい
)
にかかれ』
356
銀公
(
ぎんこう
)
『ハヽア
委細
(
ゐさい
)
承知
(
しようち
)
仕
(
つかまつ
)
りました。
357
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
船
(
ふね
)
は
敵軍
(
てきぐん
)
の
為
(
ため
)
に
殆
(
ほとん
)
ど
占領
(
せんりやう
)
せられたるやも
計
(
はか
)
られませぬ。
358
万々一
(
まんまんいち
)
船
(
ふね
)
なき
時
(
とき
)
は、
359
如何
(
いかが
)
取計
(
とりはか
)
らひませうや』
360
秋山彦
(
あきやまひこ
)
双手
(
もろて
)
を
組
(
く
)
み
頭
(
かうべ
)
を
傾
(
かたむ
)
け
思案
(
しあん
)
にくるるを、
361
国武彦
(
くにたけひこ
)
は、
362
国武彦
『ナニ
心配
(
しんぱい
)
に
及
(
およ
)
ばぬ、
363
御船
(
みふね
)
は
残
(
のこ
)
らず
国武彦
(
くにたけひこ
)
が
眷属
(
けんぞく
)
を
以
(
もつ
)
て
守
(
まも
)
らせあれば
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
なり。
364
安心
(
あんしん
)
致
(
いた
)
せ。
365
且
(
かつ
)
又
(
また
)
当邸
(
たうてい
)
の
周囲
(
しうゐ
)
には、
366
最早
(
もはや
)
敵
(
てき
)
の
片影
(
へんえい
)
だもなし、
367
勇
(
いさ
)
み
出船
(
しゆつせん
)
の
用意
(
ようい
)
をせよ』
368
銀公
(
ぎんこう
)
、
369
加米公
(
かめこう
)
は、
370
銀公、加米公
『ハイ』
371
と
答
(
こた
)
へて
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
立去
(
たちさ
)
りぬ。
372
又
(
また
)
もや
糸竹
(
しちく
)
管絃
(
くわんげん
)
の
響
(
ひびき
)
は
屋外
(
をくぐわい
)
に
洩
(
も
)
るる
陽気
(
やうき
)
と
一変
(
いつぺん
)
したりけり。
373
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのをの
)
尊
(
みこと
)
は
突立
(
つつたち
)
上
(
あが
)
り、
374
声
(
こゑ
)
も
涼
(
すず
)
しく
歌
(
うた
)
はせ
給
(
たま
)
ひぬ。
375
素尊
『
高天原
(
たかあまはら
)
を
立出
(
たちい
)
でて
376
四方
(
よも
)
の
国々
(
くにぐに
)
島々
(
しまじま
)
を
377
世人
(
よびと
)
を
助
(
たす
)
け
守
(
まも
)
らむと
378
彼方
(
あちら
)
こちらと
漂浪
(
さすらひ
)
の
379
旅
(
たび
)
を
重
(
かさ
)
ねて
西蔵
(
チベツト
)
や
380
フサの
荒野
(
あらの
)
を
打渡
(
うちわた
)
り
381
ウブスナ
山
(
さん
)
に
立籠
(
たてこも
)
り
382
イソ
山峠
(
やまたうげ
)
の
絶頂
(
ぜつちやう
)
に
383
仮
(
かり
)
の
館
(
やかた
)
を
構
(
かま
)
へつつ
384
熊野
(
くまの
)
樟毘
(
くすびの
)
命
(
みこと
)
をば
385
留守居
(
るすゐ
)
の
神
(
かみ
)
と
定
(
さだ
)
めおき
386
我
(
わ
)
れは
悲
(
かな
)
しき
隠
(
かく
)
れ
身
(
み
)
の
387
愛
(
いと
)
しき
娘
(
むすめ
)
は
四方
(
よも
)
八方
(
やも
)
に
388
四鳥
(
してう
)
の
別
(
わか
)
れ
釣魚
(
てうぎよ
)
の
涙
(
なみだ
)
389
憂
(
うき
)
を
重
(
かさ
)
ねてやうやうに
390
渡
(
わた
)
りて
来
(
きた
)
る
和田
(
わだ
)
の
原
(
はら
)
391
醜
(
しこ
)
の
曲津
(
まがつ
)
も
大江山
(
おほえやま
)
392
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
を
言向
(
ことむ
)
けて
393
世人
(
よびと
)
の
悩
(
なや
)
みを
救
(
すく
)
はむと
394
船
(
ふね
)
に
揺
(
ゆ
)
られて
由良湊
(
ゆらみなと
)
395
心
(
こころ
)
も
赤
(
あか
)
き
秋山彦
(
あきやまひこ
)
の
396
館
(
やかた
)
に
暫
(
しば
)
し
身
(
み
)
を
休
(
やす
)
め
397
四方
(
よも
)
の
国形
(
くにがた
)
伺
(
うかが
)
へば
398
十
(
じふ
)
里
(
り
)
四方
(
しはう
)
は
宮
(
みや
)
の
内
(
うち
)
399
内
(
うち
)
と
外
(
そと
)
との
境
(
さかひ
)
なる
400
大江
(
おほえ
)
の
山
(
やま
)
にバラモンの
401
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
の
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
が
402
又
(
また
)
もや
砦
(
とりで
)
を
築
(
きづ
)
きつつ
403
醜
(
しこ
)
の
荒
(
すさ
)
びの
最中
(
さいちう
)
に
404
訪
(
たづ
)
ねて
来
(
きた
)
る
艮
(
うしとら
)
の
405
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
の
分霊
(
わけみたま
)
406
国武彦
(
くにたけひこ
)
と
現
(
あら
)
はれて
407
我
(
わ
)
れに
附添
(
つきそ
)
ひ
右左
(
みぎひだり
)
408
前
(
まへ
)
や
後
(
うしろ
)
を
構
(
かま
)
ひつつ
409
鬼武彦
(
おにたけひこ
)
の
伊猛
(
いたけ
)
るの
410
神
(
かみ
)
に
従
(
したが
)
ふ
白狐
(
びやくこ
)
共
(
ども
)
411
暗夜
(
やみよ
)
を
照
(
て
)
らす
朝日子
(
あさひこ
)
や
412
月日
(
つきひ
)
明神
(
みやうじん
)
神徳
(
しんとく
)
も
413
高倉
(
たかくら
)
稲荷
(
いなり
)
の
活動
(
はたらき
)
に
414
悩
(
なや
)
ませられて
悪神
(
あくがみ
)
は
415
愈
(
いよいよ
)
今日
(
けふ
)
は
運
(
うん
)
の
尽
(
つき
)
416
月
(
つき
)
に
村雲
(
むらくも
)
花
(
はな
)
に
風
(
かぜ
)
417
心
(
こころ
)
の
錦
(
にしき
)
秋山彦
(
あきやまひこ
)
の
418
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
の
真心
(
まごころ
)
は
419
紅葉
(
もみぢ
)
の
姫
(
ひめ
)
の
如
(
ごと
)
くなり
420
光
(
ひかり
)
眩
(
まば
)
ゆき
英子姫
(
ひでこひめ
)
421
すべての
用意
(
ようい
)
も
悦子姫
(
よしこひめ
)
422
万代
(
よろづよ
)
固
(
かた
)
むる
亀彦
(
かめひこ
)
が
423
忠義
(
ちうぎ
)
の
刃
(
やいば
)
研
(
と
)
ぎすまし
424
さしもに
猛
(
たけ
)
き
曲神
(
まがかみ
)
を
425
言向和
(
ことむけやは
)
すは
目前
(
まのあたり
)
426
吁
(
あゝ
)
、
面白
(
おもしろ
)
し
面白
(
おもしろ
)
し
427
さはさりながら
神心
(
かみごころ
)
428
凡
(
すべ
)
ての
敵
(
てき
)
を
救
(
すく
)
はむと
429
善
(
ぜん
)
をば
助
(
たす
)
け
曲神
(
まがかみ
)
を
430
懲
(
こら
)
して
救
(
すく
)
ふ
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
431
青垣山
(
あをがきやま
)
を
繞
(
めぐ
)
らせる
432
天津
(
あまつ
)
神籬
(
ひもろぎ
)
磐境
(
いはさか
)
と
433
現
(
あら
)
はれませる
世継王
(
よつわう
)
山
(
ざん
)
434
深
(
ふか
)
き
仕組
(
しぐみ
)
を
暫
(
しばら
)
くは
435
雲
(
くも
)
に
包
(
つつ
)
みて
弥仙山
(
みせんざん
)
436
本宮山
(
ほんぐうやま
)
に
現
(
あら
)
はれて
437
はちすの
山
(
やま
)
の
蓮華台
(
れんげだい
)
438
三五教
(
あななひけう
)
の
御教
(
みをしへ
)
を
439
常磐
(
ときは
)
堅磐
(
かきは
)
に
搗固
(
つきかた
)
め
440
鬼
(
おに
)
も
大蛇
(
をろち
)
も
丸山
(
まるやま
)
の
441
神
(
かみ
)
の
稜威
(
みいづ
)
に
桶伏
(
をけぶせ
)
や
442
汚
(
けが
)
れを
流
(
なが
)
す
由良
(
ゆら
)
の
川
(
かは
)
443
言霊
(
ことたま
)
響
(
ひび
)
く
五十鈴
(
いすず
)
川
(
がは
)
444
曲
(
まが
)
の
健
(
たけ
)
びは
音無瀬
(
おとなせ
)
の
445
水
(
みづ
)
に
流
(
なが
)
して
清
(
きよ
)
め
行
(
ゆ
)
く
446
科戸
(
しなど
)
の
風
(
かぜ
)
の
福知山
(
ふくちやま
)
447
めぐりて
此処
(
ここ
)
に
鬼城山
(
きじやうざん
)
448
鬼
(
おに
)
も
悪魔
(
あくま
)
も
無
(
な
)
き
世
(
よ
)
ぞと
449
治
(
をさ
)
むる
御代
(
みよ
)
こそ
楽
(
たの
)
しけれ
450
治
(
をさ
)
むる
御代
(
みよ
)
こそ
楽
(
たの
)
しけれ』
451
国武彦
(
くにたけひこ
)
は
立
(
た
)
ちあがり
歌
(
うた
)
ひけり。
452
その
歌
(
うた
)
、
453
国武彦
『
宇宙
(
うちう
)
を
造
(
つく
)
り
固
(
かた
)
めたる
454
大国治立
(
おほくにはるたちの
)
神
(
かみ
)
の
裔
(
すゑ
)
455
国治立
(
くにはるたち
)
の
大神
(
おほかみ
)
と
456
綾
(
あや
)
の
高天原
(
たかま
)
に
現
(
あら
)
はれて
457
天地
(
てんち
)
の
律法
(
りつぱう
)
制定
(
せいてい
)
し
458
天地
(
てんち
)
を
浄
(
きよ
)
め
照
(
てら
)
さむと
459
思
(
おも
)
ひし
事
(
こと
)
も
水
(
みづ
)
の
泡
(
あわ
)
460
天足
(
あだる
)
の
彦
(
ひこ
)
や
胞場姫
(
えばひめ
)
の
461
邪気
(
じやき
)
より
成
(
な
)
れる
鬼
(
おに
)
大蛇
(
をろち
)
462
醜
(
しこ
)
の
狐
(
きつね
)
や
悪神
(
わるがみ
)
の
463
荒
(
すさ
)
びの
息
(
いき
)
は
四方
(
よも
)
の
国
(
くに
)
464
充塞
(
みちふさ
)
がりて
月
(
つき
)
も
日
(
ひ
)
も
465
光
(
ひかり
)
失
(
うしな
)
ひ
山河
(
やまかは
)
や
466
木草
(
きくさ
)
の
果
(
は
)
てに
至
(
いた
)
るまで
467
所
(
ところ
)
得
(
え
)
ずしてサワサワに
468
騒
(
さわ
)
ぎ
烈
(
はげ
)
しき
醜
(
しこ
)
の
風
(
かぜ
)
469
誠
(
まこと
)
嵐
(
あらし
)
の
吹
(
ふ
)
き
荒
(
すさ
)
び
470
日
(
ひ
)
の
稚宮
(
わかみや
)
に
坐
(
ま
)
しませる
471
日
(
ひ
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
思召
(
おぼしめ
)
し
472
根底
(
ねそこ
)
の
国
(
くに
)
に
退
(
やら
)
はれて
473
百千万
(
ももちよろづ
)
の
苦
(
くる
)
しみを
474
嘗
(
な
)
め
尽
(
つく
)
したる
身
(
み
)
の
果
(
は
)
ては
475
野立彦
(
のだちひこ
)
の
神
(
かみ
)
と
現
(
あら
)
はれて
476
天教山
(
てんけうざん
)
を
胞衣
(
えな
)
となし
477
猛火
(
まうくわ
)
の
中
(
なか
)
を
出入
(
しゆつにふ
)
し
478
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
守
(
まも
)
る
我
(
わ
)
が
身魂
(
みたま
)
479
世
(
よ
)
を
艮
(
うしとら
)
の
神国
(
しんこく
)
と
480
鳴
(
な
)
り
響
(
ひび
)
きたる
中津国
(
なかつくに
)
481
自転倒
(
おのころ
)
島
(
じま
)
の
中央
(
まんなか
)
に
482
姿
(
すがた
)
隠
(
かく
)
して
今
(
いま
)
は
早
(
はや
)
483
国武彦
(
くにたけひこ
)
となり
下
(
さが
)
り
484
五六七
(
みろく
)
の
御代
(
みよ
)
の
来
(
きた
)
る
迄
(
まで
)
485
心
(
こころ
)
を
尽
(
つく
)
し
守
(
まも
)
らむと
486
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
大神
(
おほかみ
)
の
487
瑞
(
みづ
)
の
御霊
(
みたま
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
488
愈
(
いよいよ
)
此処
(
ここ
)
に
厳御霊
(
いづみたま
)
489
三
(
みづ
)
と
五
(
いづ
)
との
組合
(
くみあは
)
せ
490
八洲
(
やしま
)
の
国
(
くに
)
を
三五
(
あななひ
)
の
491
教
(
をしへ
)
の
則
(
のり
)
に
治
(
をさ
)
めむと
492
心
(
こころ
)
尽
(
つく
)
しの
益良夫
(
ますらを
)
が
493
花
(
はな
)
咲
(
さ
)
く
春
(
はる
)
を
松
(
まつ
)
の
世
(
よ
)
の
494
松
(
まつ
)
の
緑
(
みどり
)
に
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
き
495
一度
(
いちど
)
に
開
(
ひら
)
く
白梅
(
しらうめ
)
の
496
花
(
はな
)
の
香
(
かをり
)
を
天地
(
あめつち
)
に
497
揚
(
あ
)
ぐる
時
(
とき
)
こそ
待
(
ま
)
たれける
498
我
(
われ
)
は
是
(
これ
)
より
世継王
(
よつわう
)
の
499
山
(
やま
)
の
麓
(
ふもと
)
に
身
(
み
)
を
忍
(
しの
)
び
500
弥勒
(
みろく
)
の
御代
(
みよ
)
の
魁
(
さきがけ
)
を
501
勤
(
つと
)
むる
艮
(
うしとら
)
金
(
かね
)
の
神
(
かみ
)
502
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
大神
(
おほかみ
)
は
503
一旦
(
いつたん
)
聖地
(
せいち
)
に
現
(
あら
)
はれて
504
三五教
(
あななひけう
)
の
礎
(
いしずゑ
)
を
505
築固
(
つきかた
)
めたる
其
(
その
)
上
(
うへ
)
に
506
又
(
また
)
もや
海原
(
うなばら
)
打渡
(
うちわた
)
り
507
大地
(
だいち
)
隈
(
くま
)
なく
言向
(
ことむ
)
けて
508
五六七
(
みろく
)
の
御代
(
みよ
)
の
魁
(
さきがけ
)
を
509
開
(
ひら
)
く
神業
(
みわざ
)
に
真心
(
まごころ
)
を
510
注
(
そそ
)
がせ
給
(
たま
)
ふ
瑞御霊
(
みづみたま
)
511
三五
(
さんご
)
の
月
(
つき
)
のキラキラと
512
明
(
あか
)
き
神代
(
かみよ
)
を
望
(
もち
)
の
夜
(
よ
)
の
513
月
(
つき
)
より
丸
(
まる
)
く
治
(
をさ
)
めませ
514
治
(
をさ
)
まる
御代
(
みよ
)
は
日
(
ひ
)
の
本
(
もと
)
の
515
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
光
(
ひかり
)
なり
516
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つの
光
(
ひかり
)
なり』
517
英子姫
(
ひでこひめ
)
は
立上
(
たちあが
)
り、
518
英子姫
『
父
(
ちち
)
大神
(
おほかみ
)
の
御言
(
みこと
)
もて
519
妾
(
わらは
)
姉妹
(
おとどひ
)
八乙女
(
やおとめ
)
は
520
豊葦原
(
とよあしはら
)
の
中津国
(
なかつくに
)
521
メソポタミヤの
顕恩
(
けんおん
)
の
522
郷
(
さと
)
に
籠
(
こも
)
れる
曲神
(
まがかみ
)
の
523
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
を
平
(
たひら
)
げて
524
三五教
(
あななひけう
)
の
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
525
八洲
(
やしま
)
の
国
(
くに
)
に
照
(
てら
)
さむと
526
思
(
おも
)
ふ
折
(
をり
)
しも
曲神
(
まがかみ
)
が
527
醜
(
しこ
)
の
企
(
たく
)
みの
捨小船
(
すてをぶね
)
528
波
(
なみ
)
のまにまに
流
(
なが
)
されて
529
流
(
なが
)
す
涙
(
なみだ
)
も
海
(
うみ
)
の
上
(
うへ
)
530
荒
(
あら
)
き
汐路
(
しほぢ
)
を
踏
(
ふ
)
み
分
(
わ
)
けて
531
やうやう
此処
(
ここ
)
に
揺
(
ゆ
)
られつつ
532
由良
(
ゆら
)
の
湊
(
みなと
)
に
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
533
秋山彦
(
あきやまひこ
)
が
真心
(
まごころ
)
に
534
妾
(
われ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
は
照
(
てら
)
されて
535
心
(
こころ
)
の
暗
(
やみ
)
も
晴
(
は
)
れわたる
536
斯
(
かか
)
る
浮世
(
うきよ
)
に
鬼
(
おに
)
無
(
な
)
しと
537
世人
(
よびと
)
は
言
(
い
)
へど
大江山
(
おほえやま
)
538
鬼
(
おに
)
の
棲家
(
すみか
)
のいと
近
(
ちか
)
く
539
人
(
ひと
)
の
生血
(
いきち
)
を
絞
(
しぼ
)
り
喰
(
く
)
ふ
540
此
(
この
)
有様
(
ありさま
)
を
聞
(
き
)
き
乍
(
なが
)
ら
541
どうして
此
(
この
)
場
(
ば
)
を
去
(
さ
)
られうか
542
父
(
ちち
)
大神
(
おほかみ
)
や
国武彦
(
くにたけひこ
)
の
543
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
の
出立
(
いでたち
)
は
544
是非
(
ぜひ
)
に
及
(
およ
)
ばず
然
(
さ
)
り
乍
(
なが
)
ら
545
妾
(
わらは
)
は
後
(
あと
)
に
残
(
のこ
)
り
居
(
ゐ
)
て
546
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
の
一類
(
いちるゐ
)
を
547
言向和
(
ことむけやわ
)
し
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
の
548
醜
(
しこ
)
の
災禍
(
わざはひ
)
根
(
ね
)
を
絶
(
た
)
ちて
549
聖地
(
せいち
)
に
進
(
すす
)
むも
遅
(
おそ
)
からじ
550
許
(
ゆる
)
させ
給
(
たま
)
へ
父
(
ちち
)
の
神
(
かみ
)
551
国武彦
(
くにたけひこ
)
の
大神
(
おほかみ
)
よ
552
偏
(
ひとへ
)
に
願
(
ねが
)
ひ
奉
(
たてまつ
)
る
553
偏
(
ひとへ
)
に
拝
(
をが
)
み
奉
(
たてまつ
)
る』
554
と
両手
(
りやうて
)
を
合
(
あは
)
せ、
555
二神
(
にしん
)
に
向
(
むか
)
つて
拝礼
(
はいれい
)
し、
556
涙
(
なみだ
)
と
共
(
とも
)
に
頼
(
たの
)
み
入
(
い
)
る。
557
国武彦
(
くにたけひこ
)
『
英子姫
(
ひでこひめ
)
の
願
(
ねがひ
)
、
558
一応
(
いちおう
)
尤
(
もつと
)
もなれども、
559
多寡
(
たくわ
)
が
知
(
し
)
れたる
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
が
一派
(
いつぱ
)
、
560
何
(
なん
)
の
恐
(
おそ
)
るる
事
(
こと
)
かあらむ。
561
神力
(
しんりき
)
無限
(
むげん
)
の
鬼武彦
(
おにたけひこ
)
をして、
562
彼
(
か
)
れ
悪神
(
わるがみ
)
が
征討
(
せいたう
)
に
向
(
むか
)
はせたれば
安心
(
あんしん
)
あれ、
563
サアサア
一
(
いち
)
時
(
じ
)
も
早
(
はや
)
く
聖地
(
せいち
)
を
指
(
さ
)
して
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
かむ。
564
躊躇
(
ちうちよ
)
に
及
(
およ
)
ばば、
565
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
が
一派
(
いつぱ
)
鬼掴
(
おにつかみ
)
の
眷属
(
けんぞく
)
共
(
ども
)
、
566
我
(
われ
)
等
(
ら
)
が
到着
(
たうちやく
)
に
先立
(
さきだ
)
ち、
567
聖地
(
せいち
)
を
穢
(
けが
)
すの
虞
(
おそれ
)
あり、
568
イザ
早
(
はや
)
く……』
569
と
急
(
せ
)
き
立
(
た
)
つれば、
570
神
(
かむ
)
素盞嗚
(
すさのを
)
の
大神
(
おほかみ
)
は、
571
装束
(
しやうぞく
)
整
(
ととの
)
へ、
572
一行
(
いつかう
)
と
共
(
とも
)
に
悠然
(
いうぜん
)
として
此
(
この
)
家
(
や
)
を
立出
(
たちい
)
で、
573
由良
(
ゆら
)
の
湊
(
みなと
)
の
渡船場
(
とせんば
)
、
574
世継王
(
よつわう
)
丸
(
まる
)
に
身
(
み
)
を
任
(
まか
)
せ、
575
折
(
をり
)
から
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
北風
(
きたかぜ
)
に
真帆
(
まほ
)
を
孕
(
はら
)
ませ、
576
悠々
(
いういう
)
と
河瀬
(
かはせ
)
を
溯
(
さかのぼ
)
り
給
(
たま
)
ふこそ
尊
(
たふと
)
けれ。
577
(
大正一一・四・一四
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於瑞祥閣
松村真澄
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