霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。実験用サイトサブスク
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第二一章 御礼(おれい)参詣(まゐり)〔六一一〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第16巻 如意宝珠 卯の巻 篇:第3篇 真奈為ケ原 よみ(新仮名遣い):まないがはら
章:第21章 御礼参詣 よみ(新仮名遣い):おれいまいり 通し章番号:611
口述日:1922(大正11)年04月16日(旧03月20日) 口述場所: 筆録者:北村隆光 校正日: 校正場所: 初版発行日:1922(大正11)年12月25日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
お節は比治山の奥に閉じ込められていたが、悦子姫が助けてくれたことを知ると、平助とお楢は悦子姫に礼を言った。
悦子姫は、音彦ら一行を今晩泊めてくれるようにと平助に頼み、平助は承諾した。しかし鬼虎、鬼彦が居ることを知ると、平助はその二人だけは泊めることはならぬ、と言って聞かない。
鬼虎、鬼彦もかつて悪事をした手前、恥ずかしくてその晩は平助の家に泊まらず、先を急ぐことにした。平助の家には岩公、勘公、櫟公の三人が宿泊した。
晩のうちに平助、お楢、お節も相談して、真名井ケ原の豊国姫神の顕現地にお礼参りに行くことになった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2024-04-13 16:58:19 OBC :rm1621
愛善世界社版:270頁 八幡書店版:第3輯 501頁 修補版: 校定版:275頁 普及版:124頁 初版: ページ備考:
001 (てん)にも()にもかけ(がへ)なき一人(ひとり)(むすめ)(かどはか)され、002(ぢい)(ばば)との二人(ふたり)(ぐら)(この)()果敢(はか)なみ(のろ)ひつつ、003不平(ふへい)たらだら()(おく)渋面造(しぶづらつく)りの平助(へいすけ)は、004(おも)いもよらぬ孫娘(まごむすめ)のお(せつ)がゆくりなく(かへ)(きた)りしに(よろこ)(おどろ)き、005()()(あし)()(ところ)()らず、006音沙汰(おとさた)()かりし(むすめ)便(たよ)り、007姿(すがた)()せぬ(くさ)()アさまのお(なら)(とも)(かが)める(こし)をヘコヘコと(ゆす)りて飛立(とびた)可笑(をか)しさよ。
008平助(へいすけ)『これこれ、009(せつ)010(まへ)(いま)まで何処(どこ)如何(どう)して()つたのだ、011()けても()れても(ばば)二人(ふたり)012(まへ)(こと)ばつかり、013(うはさ)をして()いて()りました。014()う、015まア(もど)つて(くだ)さつた、016もう(これ)(この)平助(へいすけ)も、017何時(いつ)国替(くにがへ)しても(こころ)(のこ)(こと)はない、018さアさ、019一寸(ちよつと)様子(やうす)()かして()れ』
020(せつ)『ハイハイ』
021(うれ)(なみだ)(こゑ)得立(えた)てず、022(わづか)に、
023お節(わたし)比治山(ひぢやま)(おく)岩窟(いはや)()()められて()りました。024其処(そこ)(かみ)さまの(やう)なお(かた)(あら)はれて(わらは)(すく)つて(くだ)さいました、025(いま)門口(かどぐち)まで親切(しんせつ)(おく)(とど)けて(くだ)さりました。026何卒(どうぞ)027(ぢい)さま、028()アさま(よろ)しう()(れい)(まを)して(くだ)さい』
029平助(へいすけ)『ナヽヽ(なん)()ふ、030(まへ)(たす)けたお(かた)(かど)御座(ござ)るのか、031これや()うしては()られぬ、032一言(ひとこと)(れい)(まを)さねば()むまい、033これこれ(ばば)034(まへ)もお(れい)(まを)さぬか』
035 ()アは莞爾(にこ)々々(にこ)(なが)(みみ)(きこ)えぬので、
036(なら)(ぢい)さま、037結構(けつこう)ぢやな、038(はや)(かみ)さまに()(れい)(まを)しませう』
039平助(へいすけ)(かみ)さまも(かみ)さまだが愚図(ぐづ)々々(ぐづ)して()ると、040(たす)けて(くだ)さつたお(かた)(かへ)られるかも()れぬ』
041とカンテラを()門口(かどぐち)立出(たちい)で、
042平助誰方(どなた)()りませぬが、043(むすめ)(たす)けて(くだ)さつて有難(ありがた)御座(ござ)います、044御覧(ごらん)(とほ)(いぶせ)荒屋(あばらや)御座(ござ)いますがお這入(はい)(くだ)さいませ、045(そと)(この)(とほ)(ゆき)(たま)つて()ます、046(さぞ)(さむ)(こと)でせう、047(には)()でも()きますから』
048悦子姫(よしこひめ)『ア、049貴方(あなた)がお(せつ)殿(どの)のお(やぢ)さまでござりますか』
050平助(へいすけ)『へいへい、051平助(へいすけ)()(おやぢ)御座(ござ)います、052若夫婦(わかふうふ)には先立(さきだ)たれ、053たつた一人(ひとり)(まご)(むすめ)として(そだ)()げ、054()()ばす(やう)(おも)うて()りましたのに去年(きよねん)(ふゆ)055大江山(おほえやま)鬼雲彦(おにくもひこ)手下(てした)悪者(わるもの)056鬼彦(おにひこ)057鬼虎(おにとら)()ふそれはそれは意地癖(いぢくせ)(わる)悪人(あくにん)大切(たいせつ)(むすめ)(さら)はれ、058()ても()きてもそればつかりを()()みて()いて(くら)して()りました。059(ばば)(わたくし)もそれが()めに二十(にじふ)(ねん)(ほど)生命(いのち)(ちぢ)みました、060(かげ)さまでその孫娘(まごむすめ)()はれまするのも(まつた)貴方(あなた)(さま)のお(かげ)061何卒(どうぞ)這入(はい)つて(ゆる)りとお(やす)(くだ)さいませ、062(ばば)()(れい)(まを)()()いと(まを)して()ますから』
063悦子姫(よしこひめ)『アヽ()親切(しんせつ)有難(ありがた)御座(ござ)いまするが、064(わらは)(すこ)しく神界(しんかい)御用(ごよう)()(せま)つて()りますれば(これ)にて御免(ごめん)(かうむ)ります、065(つい)ては(わらは)より貴方(あなた)()つての()(ねが)ひが御座(ござ)います。066()いて(くだ)さいますまいか』
067平助(へいすけ)生命(いのち)(おや)貴方(あなた)(さま)068(なん)なつと仰有(おつしや)つて(くだ)さいませ、069(おやぢ)()(かな)(こと)なら生命(いのち)でも()()げます』
070悦子姫(よしこひめ)早速(さつそく)()承知(しようち)071有難(ありがた)御座(ござ)います、072此処(ここ)()ります(もの)(わらは)道連(みちづ)れ、073四五(しご)(にん)(もの)何卒(どうぞ)今晩(こんばん)()(には)(すみ)でも()いから()めてやつて(くだ)さいませぬか』
074平助(へいすけ)『へいへい承知(しようち)(いた)しました、075(ひやく)(にん)でも(せん)(にん)でも(とま)つて(くだ)さい』
076悦子姫(よしこひめ)(ひやく)(にん)(とま)(ところ)はありますまい、077(ただ)五六(ごろく)(にん)()めて(もら)へば(よろ)しいのです』
078平助(へいすけ)(これ)失礼(しつれい)(いた)しまして、079あまり(うれ)しうて(おやぢ)脱線(だつせん)(いた)しました、080サアサ(みな)さま()遠慮(ゑんりよ)なくお這入(はい)(くだ)さい、081(しか)(なが)無茶(むちや)苦茶(くちや)這入(はい)つて(もら)うと、082大江山(おほえやま)鬼除(おによ)けの陥穽(おとしあな)御座(ござ)いますから(わたくし)(あと)()いてお(とほ)(くだ)さい』
083(さき)()つ。
084悦子姫(よしこひめ)左様(さやう)なら、085(せつ)殿(どの)(よろ)しく()つて(くだ)さい、086御縁(ごえん)があれば(また)()にかかります。087音彦(おとひこ)さま、088加米公(かめこう)さま、089貴方(あなた)今晩(こんばん)疲労(くたびれ)御座(ござ)いませうが(わらは)()いて()(くだ)さい。090(すこ)しく()相談(さうだん)()(こと)御座(ござ)いますから』
091音彦、加米公委細(ゐさい)承知(しようち)(つかまつ)りました、092(あふ)せに(したが)ひお(とも)(いた)します』
093 悦子姫(よしこひめ)二人(ふたり)(ともな)(いそ)いで(この)()()()りぬ。094岩公(いはこう)095鬼彦(おにひこ)096鬼虎(おにとら)097(かん)098(いち)()(にん)青彦も一行の中に居たはずだが名前が無い。第17巻第4章の章末に「平助の門口にて別れたる音彦、青彦、加米彦は」と書いてあるので、ここで青彦も悦子姫と一緒に去ったようである。這入(はい)りも()せず門口(かどぐち)()つてうろうろして()る。
099平助(へいすけ)『サアサア(みな)さま、100此処(ここ)(とほ)つてズツとお這入(はい)(くだ)さい』
101 岩公(いはこう)102(かん)103(いち)(さん)(にん)平助(へいすけ)()いて(おく)()る。
104(なら)『これはこれは(みな)さま、105(さむ)いのに()うまア(むすめ)(おく)つて()(くだ)さつた、106何卒(どうぞ)今晩(こんばん)(ゆつく)(とま)つて(くだ)さい』
107岩公(いはこう)『へい、108如何(どう)(いた)しまして、109(せつ)さまの御存(ごぞん)じの(とほ)(わたくし)悦子姫(よしこひめ)(さま)家来(けらい)御座(ござ)います、110(れい)()つて(もら)うと(かへつ)(こま)ります、111何卒(どうぞ)今晩(こんばん)()()めて(くだ)さらば有難(ありがた)御座(ござ)います。112ヤア鬼彦(おにひこ)113鬼虎(おにとら)(やつ)114這入(はい)つて()ぬかい、115(なに)愚図(ぐづ)々々(ぐづ)して()るのだ』
116平助(へいすけ)『ヤアお(まへ)大江山(おほえやま)鬼雲彦(おにくもひこ)同類(どうるゐ)ぢやな、117鬼彦(おにひこ)鬼虎(おにとら)這入(はい)つて()(たま)るものかい、118折角(せつかく)だが(かへ)りて()(かへ)りて()れ』
119岩公(いはこう)『モシモシお(ぢい)さま、120(その)鬼彦(おにひこ)鬼虎(おにとら)()(やつ)は、121(せつ)さまを(たす)けた悦子姫(よしこひめ)さまの家来(けらい)だよ、122二人(ふたり)(やつ)123到頭(たうとう)(あく)後悔(こうくわい)しよつて悦子姫(よしこひめ)さまの家来(けらい)となり、124(せつ)さまの所在(ありか)()らせたものだから(むすめ)(たす)かつたのだよ。125今迄(いままで)怨恨(うらみ)(みづ)(なが)悦子姫(よしこひめ)さまに(めん)じて()めてやつて(くだ)さいナ』
126平助(へいすけ)(なん)()つてもお(まへ)さま(たち)(さん)(にん)()めるが二人(ふたり)餓鬼(がき)()められませぬ、127這入(はい)()ければ勝手(かつて)這入(はい)つて()たが()い、128勝手(かつて)()らずに陥穽(おとしあな)にはまるだらう』
129岩公(いはこう)『これはしたり、130(ぢい)さま、131(とし)()つても敵愾心(てきがいしん)(つよ)(ひと)だな、132今迄(いままで)(こと)(みづ)(なが)すのだよ』
133平助(へいすけ)(みづ)(なが)せと()つたつて、134(この)怨恨(うらみ)(なが)されやうか、135(わし)()にも、136チツトは()つて()れたが()(わい)
137勘公(かんこう)『それやさうぢや、138(もつと)もぢや。139(ぢい)さまの仰有(おつしや)(とほ)り、140拙者(せつしや)()(とほ)りぢや、141ナア櫟公(いちこう)
142櫟公(いちこう)『オヽ、143さうともさうとも、144(たれ)だつて可愛(かはい)(むすめ)仮令(たとへ)(いち)(ねん)でも(くる)しめられた(おや)()として(たれ)だつて(だま)つて()れようかい、145(ぢい)さまの仰有(おつしや)るのは至極(しごく)(もつと)もだ。146鬼彦(おにひこ)147鬼虎(おにとら)(やつ)148因縁(いんねん)(むく)うて()たのだから仕方(しかた)()い、149今晩(こんばん)(そと)立番(たちばん)でもするのが(かへつ)今迄(いままで)罪亡(つみほろ)ぼしになつて()いかも()れぬ』
150平助(へいすけ)『アヽお(まへ)さま()(さん)(にん)のお(かた)151()()つて(くだ)さつた、152(この)(ぢい)大変(たいへん)()()つた、153サアサ(とま)つて(くだ)さい、154(たれ)(なん)()つても二人(ふたり)餓鬼(がき)()める(こと)出来(でき)ませぬ(わい)
155 (いへ)(そと)にて、
156鬼彦(おにひこ)『おい兄弟(きやうだい)何程(なにほど)()めてやると()つても、157如何(どう)てれ(くさ)くて這入(はい)れぬぢやないか』
158鬼虎(おにとら)『さうだ、159(むかし)因果(いんぐわ)(めぐ)つて()(こころ)(おに)()()められ、160暢気(のんき)()めて(もら)(わけ)にも()かず、161(おほ)きな(かほ)をして(ぢい)さまや()アさまに()(わけ)にも()かず、162エー仕方(しかた)がない、163音彦(おとひこ)さま加米公(かめこう)さまでさへも(この)雪道(ゆきみち)(ある)いて()かれた(くらゐ)だもの、164無理(むり)()つたら()けぬ(こと)はない、165此処(ここ)ばかりが(いへ)ぢやない(わい)166(さん)(にん)(やつ)此処(ここ)(ゆつく)()めて(もら)(こと)にし、167(おれ)(たち)二人(ふたり)はも(すこ)てく(こと)仕様(しやう)かい』
168鬼彦(おにひこ)『アヽ、169それが上分別(じやうふんべつ)だ、170オイ岩公(いはこう)171勘公(かんこう)172櫟公(いちこう)173(おれ)一足先(ひとあしさき)()つて比治山(ひぢやま)(ふもと)()つて()るから、174()()けたら貴様(きさま)()(さん)(にん)()()い、175左様(さやう)なら、176(さき)御免(ごめん)だ、177貴様(きさま)()はお(せつ)さまの(かほ)でも()(よだれ)でもくるが()(わい)
178捨台詞(すてぜりふ)(のこ)し、179すたすたと(この)()(あと)比治山(ひぢやま)方面(はうめん)()して(はし)()く。
180平助(へいすけ)『サア(さん)(にん)さま、181(おく)炬燵(こたつ)がしてある、182(さむ)からうからお這入(はい)りなさい、183(わし)今晩(こんばん)はあまり(うれ)しうて()られぬから、184(むすめ)(ひさ)()りに(さん)(にん)(はなし)をするから、185茶漬(ちやづけ)なつと()つて(はや)くお(やす)(くだ)さい、186(また)明日(あす)(いは)ひに()馳走(ちそう)をして()げます』
187岩公(いはこう)『これはこれはお(ぢい)さま、188()アさま、189奇麗(きれい)(むすめ)さま有難(ありがた)御座(ござ)います、190ソンナラお(さき)御免(ごめん)(かうむ)ります、191弁当(べんたう)沢山(たくさん)()つて()ますから()心配(しんぱい)(くだ)さいますな、192(いま)道々(みちみち)(にぎ)(めし)頬張(ほほば)つて()ましたので(あんま)(はら)()つて()りませぬ、193(やす)まして(もら)へば結構(けつこう)です』
194(せつ)『サアサ(みな)さま、195(やす)(くだ)さいませ、196(わたくし)()案内(あんない)(いた)しませう』
197(つぎ)()案内(あんない)する。
198岩公(いはこう)『アヽ有難(ありがた)い、199勘公(かんこう)200櫟公(いちこう)201世界(せかい)(おに)()いなア、202マア(ゆつく)(やす)まして(もら)はうかい』
203勘公(かんこう)(なん)だか()がパチパチして()られないワ』
204岩公(いはこう)()られなくても、205(この)(あたた)かい炬燵(こたつ)這入(はい)つて、206明日(あす)(あさ)(まで)ゆつくり休息(きうそく)すれば()いのだ』
207 (つぎ)()には(さん)(にん)家内(かない)ひそびそと(なに)(はな)して()る。
208平助(へいすけ)『マア(なん)とした(うれ)しい(こと)だらう、209ナアお(なら)210(これ)でもう(おれ)()ンでも得心(とくしん)だよ』
211(なら)親爺(おやぢ)どの、212それや(なに)()はつしやるのだい、213(ふた)()には()()ぬつて、214ソンナ縁起(えんぎ)(わる)(こと)()ふものぢやない、215(むすめ)(もど)つた(うれ)しさに元気(げんき)()して、216(これ)から()(わか)()(せん)(ねん)(まん)(ねん)生延(いきの)びると()()になりなさらぬかいな』
217平助(へいすけ)『オーお(なら)218(まへ)(みみ)がよう(きこ)える(やう)になつたぢやないか、219此奴(こいつ)不思議(ふしぎ)だ、220如何(どう)したものだ、221(ころ)されたと(おも)(むすめ)(かへ)るし、222一生(いつしやう)聾耳(かなつん)ぢやと(あきら)めて()(ばば)(みみ)(きこ)()す、223アヽコンナ有難(ありがた)(こと)があらうか、224(これ)()ふも(まつた)真名井(まなゐ)(はら)今度(こんど)(あら)はれ(たま)うた豊国姫(とよくにひめ)(かみ)(さま)()利益(りやく)だ、225ちつと(ゆき)()けたら親子(おやこ)(さん)(にん)礼詣(れいまゐ)りに()かうかい』
226(なら)()かうとも()かうとも、227(みち)あかいでも今晩(こんばん)でも(すぐ)()きたいのだが、228(さん)(にん)のお(きやく)さまが()らつしやるのだから、229今晩(こんばん)()()けたら(さん)(にん)のお(きやく)さまと一緒(いつしよ)()(じや)でも(まゐ)りませう、230ナアお(せつ)231さう仕様(しやう)ぢやないか』
232(せつ)『はいはい(わたし)案内(あんない)(いた)しますから()(れい)参詣(まゐり)をして(くだ)さい、233(しか)明日(あす)のお(きやく)さまの()馳走(ちそう)(かんが)へて()かねばなりますまい、234ナアお(ぢい)さま』
235平助(へいすけ)『オヽ、236さうだつたな、237(なん)()馳走(ちそう)をして()げようか、238砂混(すなま)ぜの御飯(ごはん)をして()げようか、239栗石(くりいし)()御飯(ごはん)にして()げようか、240どちらが()からうか、241ナアお(なら)
242(なら)(むすめ)無事(ぶじ)(かへ)つて()れたのだから(いは)ひがてら()馳走(ちそう)半殺(はんごろ)しにしませうか、243一層(いつそう)(こと)皆殺(みなごろ)しにして()げようかナア』
244(せつ)皆殺(みなごろ)しにするのは大層(たいそう)だから一層(いつそう)(こと)(ぢい)さま、245半殺(はんごろ)しが(よろ)しからうぜ』
246平助(へいすけ)『アヽ、247さうじや、248半殺(はんごろ)しが手間(てま)()らぬで()いワ、249それでは半殺(はんごろ)しに()めようか、250サア(これ)からそろそろ()アさま、251用意(ようい)(かか)らうかな』
252 (となり)()()()岩公(いはこう)真青(まつさを)(かほ)をして小声(こごゑ)になり、
253岩公『オイ、254勘公(かんこう)255櫟公(いちこう)256あれ()いたか』
257勘公、櫟公『オ、258()いた、259(なん)(おそ)ろしい(うち)ぢやないか、260(すな)()ぜて御飯(ごはん)()はさうとか、261栗石(くりいし)()れて()馳走(ちそう)にしようとか、262(えら)(こと)()ひよつたぢやないか、263一体(いつたい)如何(どう)なるのだらう』
264岩公(いはこう)『ソンナへどろい(こと)かい、265(いま)(さん)(にん)がひそびそ(はなし)をしてるのを()いて()れば半殺(はんごろ)しにしようか、266皆殺(みなごろ)しにしようかと()うて()つたぢやないか、267コンナ(ところ)愚図(ぐづ)々々(ぐづ)して()ると生命(いのち)がないぞ、268(なん)とかして()()工夫(くふう)はあるまいか、269門口(かどぐち)には陥穽(おとしあな)()つて()よるし(うら)絶壁(ぜつぺき)だし進退(しんたい)(これ)(きはま)るとは此処(ここ)(こと)だ、270エ、271仕方(しかた)()い、272逃出(にげだ)そかい、273(ぢい)(ある)きよつた(ところ)(おぼ)えて()るから其処(そこ)()つて(とほ)れば()い、274(みな)(やつ)275用意(ようい)をせい、276(かん)277(いち)278(みな)()た、279三十六(さんじふろく)(けい)(おく)()だ』
280()(あが)りそろりそろりとカンテラの火影(ほかげ)(しの)びて(には)(おもて)()()したり。281平助(へいすけ)はフツと(には)()途端(とたん)(くろ)(もの)のさのさ()うて()る。
282平助(へいすけ)『ヤイ、283何者(なにもの)ぢや、284盗人(ぬすびと)か』
285岩公(いはこう)『ハイ、286盗人(ぬすびと)でも(なん)でも御座(ござ)いませぬ、287夜前(やぜん)(さん)(にん)(きやく)御座(ござ)います』
288平助(へいすけ)『お(まへ)さまは寝惚(ねとぼ)けたのかい、289そこは(には)ぢやぜ、290さあさ(はや)くお炬燵(こた)這入(はい)つて(やす)みなさい』
291岩公(いはこう)『こら、292やいやい、293鬼爺(おにぢぢ)294鬼婆(おにばば)295鬼娘(おにむすめ)296貴様(きさま)計略(けいりやく)はチヤンと()つて()るのだ、297貴様(きさま)(やう)(おに)(めし)(すな)()れたり、298栗石(くりいし)()れて()ふか()らぬが、299人間(にんげん)(さま)(すな)栗石(くりいし)(あが)らないぞ、300(まへ)301半殺(はんごろ)しにしようとか、302皆殺(みなごろ)しにしようとか、303それや何事(なにごと)だ、304老耄爺(おいぼれぢい)()が』
305平助(へいすけ)『ハヽヽヽ、306ア、307(まへ)さまは()(ちが)ひしたのか、308(すな)()ぜの御飯(ごはん)()ふのはお(こめ)(くり)との御飯(ごはん)ぢや、309栗石(くりいし)()ぜると()ふのはお(こめ)(むぎ)との()御飯(ごはん)ぢやわいナ』
310岩公(いはこう)『それでも貴様(きさま)311半殺(はんごろ)しにするの、312皆殺(みなごろ)しにするのと()つたぢやないか』
313平助(へいすけ)『ハヽヽヽ、314半殺(はんごろ)しと()つたら牡丹餅(ぼたもち)(こと)ぢや、315皆殺(みなごろ)しと()つたら()いて()いて()ききつた(もち)(こと)だ、316心配(しんぱい)しなさるな』
317岩公(いはこう)(なん)だ、318ソンナ(こと)だつたかい、319いや、320これやお(ぢい)さまの折角(せつかく)思召(おぼしめし)321半殺(はんごろ)しでも皆殺(みなごろ)しでも結構(けつこう)です、322どしどし(こしら)へて(くだ)さい。323おい、324(いち)325(かん)326心配(しんぱい)するな、327牡丹餅(ぼたもち)餡転餅(あんころもち)()馳走(ちそう)(こと)だつたよ、328アハヽヽヽ』
329(いち)330(かん)『ア、331それで安心(あんしん)した、332()()(きも)(つぶ)したか()れたものぢやない、333団子(だんご)(もち)(よば)れぬ(さき)胸元(むなもと)()()餡転餅(あんころもち)(かた)まりが出来(でき)よつたワ、334アハヽヽヽ』
335(なら)『サアサ皆様(みなさま)336()心配(しんぱい)なしに()(やす)(くだ)さい、337(わたし)(これ)から皆殺(みなごろ)しを(こしら)へます』
338岩彦(いはひこ)何分(なにぶん)(よろ)しう()(たの)(まを)します、339(おな)(こと)なら半殺(はんごろ)しと、340皆殺(みなごろ)しと両方(りやうはう)(いただ)()いものですな』
341(せつ)『ホヽヽヽ』
342 (さん)(にん)はやつと安心(あんしん)(うへ)343他愛(たあい)もなく(しん)()きける。344ふと()(さま)せば小鶏(ちやぼ)(こゑ)
345岩公(いはこう)『ヤア、346グツと()()にもう夜明(よあ)けだ。347おい(みな)(やつ)348(はや)()きて()馳走(ちそう)頂戴(ちやうだい)しようかい』
349 お(せつ)(この)()(あら)はれ、
350(せつ)『サアサ(みな)さま、351()手洗(てうず)をお使(つか)(あそ)ばせ、352半殺(はんごろ)しと皆殺(みなごろ)しとが出来(でき)ましたから、353どつさりお(あが)(くだ)さいませ。354今日(けふ)真名井(まなゐ)(はら)豊国姫(とよくにひめ)(かみ)さまの出現場(しゆつげんば)にお(れい)(まゐ)りますから何卒(どうぞ)一緒(いつしよ)にお(ねがひ)(まを)します』
355 岩彦(いはひこ)(ほか)二人(ふたり)は『ハイ』と(こた)へて跳起(はねお)き、356手洗(ちようづ)をつかひ牡丹餅(ぼたもち)餡転餅(あんころもち)ウン()()格納(かくなふ)し、357(ろく)(にん)打連(うちつ)()つて真名井(まなゐ)(はら)宣伝歌(せんでんか)(うた)(なが)(すす)()く。
358大正一一・四・一六 旧三・二〇 北村隆光録)
絶賛発売中『超訳霊界物語2/出口王仁三郎の「身魂磨き」実践書/一人旅するスサノオの宣伝使たち』
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki