第二章 真心の花(一)〔七六七〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第26巻 海洋万里 丑の巻
篇:第1篇 伊都宝珠
よみ(新仮名遣い):いずほっしゅ
章:第2章 真心の花(一)
よみ(新仮名遣い):まごころのはな
通し章番号:767
口述日:1922(大正11)年07月17日(旧閏05月23日)
口述場所:
筆録者:松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:1923(大正12)年6月5日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:竜宮の麻邇の玉が秋山彦の館に安着し、いよいよ五個の神宝は、聖地指して由良川をさかのぼっていくことになった。一同は由良川の河口で禊祓いを行い、金銀色の帆に風をはらませて川をさかのぼることになった。
出発に際して一同は、玉の安着を祝して歌をうたい舞うことになった。まず秋山彦が宣伝使服を身にまとい、歌い舞い始めた。
秋山彦の歌:九月八日のよき日に、神素盞嗚大神と国武彦命の仕組みによって、竜宮の麻邇の玉が自分の館に入ったことを祝した。そして玉が無事に聖地に着くことを祈願した。
次に紅葉姫は立ち上がり、かつて高姫が如意宝珠の玉を盗んで行ったことを思い出に、麻邇の宝珠も心を配って聖地に運んで行くように、と老婆心に注意をする歌を歌った。
初稚姫は、神代に稚桜姫命が八十曲津のために道を誤って地獄の釜の焦げ起こしの試練を受け、いよいよ心を建て直し、今ここに時置師の神の化身である杢助の娘・初稚姫として再生したと歌に明かした。そして、そんな自分が国治立大神の神業に仕えることになったことの感慨を歌った。また竜宮島に至った冒険の経緯とその成功の喜びに、高姫や黒姫ともこの喜びを分かち合いたいとの真心を歌に示した。
続いて梅子姫は、バラモン教に占領されてしまったメソポタミヤの顕恩郷に、父大神の命を受けて潜入して取り戻した故事を歌い、その後バラモン教徒の復讐により小舟に乗せられて大洋に流されたことから、竜宮島の冒険にかかわることになったことを歌った。そして竜宮島での神業をつぶさに歌に歌いこんで表した。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:2021-09-23 17:22:14
OBC :rm2602
愛善世界社版:21頁
八幡書店版:第5輯 155頁
修補版:
校定版:24頁
普及版:7頁
初版:
ページ備考:
001 天火水地結の竜宮の麻邇の玉の無事、002秋山彦館に安着せし歓喜と、003感謝を兼ねたる荘厳なる祭典は無事終了し、004直会の宴は盛に開かれ、005いよいよ五個の神宝は聖地を指して賑々しく由良川を遡り送らるる事となつた。006それに就ては一同由良の港の川口に出て御禊祓を修し、007再び神前に立帰り祭典を行ひ、008美はしき神輿を造り、009これに納めて聖地へ、010水に逆らひ、011金銀色の帆に風を孕ませ上る事となつた。
012 茲に一同は玉の安着を祝する為、013各立つて歌をうたひ舞ふ事となつた。014先づ第一に秋山彦は立つて、015神素盞嗚尊、016国武彦命に一礼し、017許可をえて、018金扇を両手に拡げ、019宣伝使服を身に纏ひ、020悠々として座敷の中央に歌ひ舞ひ始めた。
021秋山彦『年てふ年は多けれど
023生日足日は沢なれど 024今日は如何なる吉日ぞや
025九月八日の秋の空 026四方の山々紅葉して
027錦織りなす佐保姫の 028機の仕組も目のあたり
029綾の高天に宮柱 030太しり建てて永久に
031鎮まりいます国治立の 032厳の命や豊国姫の
033瑞の命の生御魂 034国武彦や言依別の
036裏と表の神界の
037仕組も茲に仄見えて 038天火水地と結びたる
039竜宮島の麻邇の玉
044三つの御霊の神柱
045神素盞嗚大神の
048深遠無量の御経綸
049心の色は紅葉姫
051輝き初めし今日の空
053恵は深き由良の海 054清き流れの川口に
055百の罪咎浄めつつ 056貴の玉筥いや清く
057五つの御玉を納めたる 058新つの御船に身を任せ
059心も涼しき神風に 060黄金の真帆を掲げつつ
061聖地に送る尊さよ 062三千世界の梅の花
063一度に開く常磐木の 064松の神世も近づきて
065海の内外の極みなく 066瑞の御霊の御恵の
067堅磐常磐に照り渡る 068瑞祥は思ひ知られけり
071波斯の国より遥々と 072降り来ませる素盞嗚の
073瑞の御霊の大御神 074四尾の山に奥深く
075隠れて時を待ち給ふ 076国武彦の御前に
077心の幕も秋山彦の 078賤の男が真心を
082 紅葉姫は又もや立上り、
083紅葉姫『月日の駒はいと早く 084思ひ返せば満三年
086八日に吾館に出でましし
087神素盞嗚大神の 088尊き御影を拝してゆ
089心も赤き紅葉姫 090誠の限り身を尽し
091仕へ奉りし甲斐ありて 092天地に充つる喜びは
093又もや廻り甲子の 094九月八日の今日の空
095嬉しき便り菊月の 096薫り床しき此祭典
097金剛不壊の如意宝珠 098古き神代の昔より
099波に漂ふ沓島の
101神秘の鍵を預りし
103黄金の鍵を高姫に
105一同心を焦ちしが
107危き所を発見し
109吾館に帰り来る折 110忽ち腹に呑み込みて
112其古事を思ひ出し
113又もや麻邇の此宝珠 114無事に聖地に御安着
115遊ばす迄は村肝の
117送らせ給へよ人々よ 118朝な夕なに高姫が
121又もや腹に呑み込みて 122如何なる事を仕出かすか
123計り知られぬ一大事
126神素盞嗚大神が
127天地を救ひ助けむと 128配らせ給ふ真心を
130初稚姫や玉能姫
131玉治別や其外の 132百の司の御前に
133紅葉の姫が老婆心 134僅に披瀝し奉る
137と歌ひ終り舞ひ納めた。138初稚姫は又もや立ちあがつて金扇を拡げ、139歌ひ且自ら舞ふ。
140初稚姫『遠き神代の其昔 141日の大神の御水火より
142生れ出でませる稚姫君の 143神の命は天が下
144四方の国々安国と
146心を尽し身を尽し 147神の御業に朝夕に
149八十の曲津の醜魂に
150取り挫がれて妹と背の 151道を誤り大神の
152御教に触れて底の国 153身魂を隠し給ひつつ
154天より高く咲く花も 155地獄の釜のこげ起し
156百の悩みを身に受けて
158時を待ちつつ時置師の 159神の化身の杢助が
160妻のお杉が腹を借り
164尊き神業に仕へむと 165心を配る幼年の
166年端も行かぬ身ながらも
168尊き神業命ぜられ 169三千世界の神宝
170金剛不壊の如意宝珠 171千代に八千代に永久に
172動かぬ松の幹の根に 173隠し奉りて開け渡る
174天の岩戸も五六七の世 175開かむ為の御経綸
176深き心を白浪の 177高姫司や黒姫が
178玉の在処を探らむと 179現界幽界の瀬戸の海
181乗り越え乗り越え竜宮の
182一つの島に上陸し 183隠せし場所を探らむと
185玉治別や玉能姫
186神の司と諸共に
188荒浪猛る海原を 189見えつ隠れつ漕ぎ渡り
190御身の上を守りつつ 191妾も同じ竜宮の
192一つの島へ上陸し 193人跡絶えし荒野原
194山を踏み越え谷渉り 195黄金の波を湛へたる
196玉依姫の隠れ場所 197諏訪の湖水に辿り着き
200彼方此方と布き拡め 201弘め終つて八咫烏
202黄金の翼に乗せられて 203朝日輝き夕日照る
206天火水地を統べ結ぶ 207紫色の麻邇の玉
208無言の儘に拝受して 209梅子の姫の御前に
211仰げば高し天の原
212雲霧分けて自転倒島の 213秀妻の国の中心地
215由良の港の人子の司
216秋山彦が御館
220十曜の紋の十人連れ 221空前絶後の神業に
223吾等一人の物とせず
224高姫司や黒姫の 225神の使の御前に
227手を携へて天地の
230月日も清く明かに 231厳と瑞との神界の
232機織り上げて綾錦 233輝く宮に永久に
234仕へて互に歓ぎつつ
240神素盞嗚大御神
242分の御霊の御前に 243畏み畏み願ぎまつる
244畏み畏み祈ぎまつる』
245 梅子姫は立上り歌ひ舞ひ始めた。
246梅子姫『父大神の神言もて
249鬼雲彦や其外の
250捻け曲れる人々を 251誠の神の大道に
252言向け和す神業に 253八人乙女は身をやつし
255種々雑多と気を配り
257尽せし事も水の泡
258太玉命の神司 259顕恩城を主宰して
261吾等姉妹各自は
263彼方此方と三五の
264道を伝ふる折柄に
266情容赦も荒浪の 267寄る辺渚の捨小舟
268波に漂ひ竜宮の 269宝の島に上陸し
270小糸の姫を守立てて 271五十子の姫や今子姫
272宇豆姫伴ひ地恩郷 273光を隠し黄竜姫の
275影身に添ひて大神の
276尊き御教を説き示し 277心配りし甲斐ありて
278身魂も清き小糸姫
280弊履の如く脱ぎ棄てて 281誠の道に服従ひし
282其嬉しさは如何ばかり
284心を尽し身を尽し
286尽し給へど村肝の
288雲晴れやらず黄金の 289玉の在処に魂抜かれ
291朝な夕なに気を焦つ
292其御心の憐れさよ
294神の教の宣伝使 295初稚姫や玉能姫
297浪路を分けて来ります
298神の柱の高姫が 299地恩の城に来りまし
301密かに誘ひ一つ島
302後に見棄てて波の上 303南洋諸島を隈もなく
304探し索めて瀬戸海の 305淡路の島の司神
307玉の在処を疑ひつ
311彼方此方と彷徨ひて
312玉の在処を索めます
314地恩の城を後にして 315黄竜姫や蜈蚣姫
317伴ひ山の尾打渉り
318深き谷間を潜り抜け
321玉野ケ原を踏み越えて
322金砂銀砂の輝きし 323諏訪の湖水の手前まで
324漸う進む折柄に 325紺青の波を湛へたる
326波上を駆る金銀の
329黄竜姫を先頭に
330初めて悟る神の道
332転迷開悟の花咲きて 333朱欄碧瓦の竜宮城
334玉依姫の御館 335奥の一間に参入し
336一行五人の五つ身魂
339玉依姫の御前に
340月の形の座を占めて 341月光輝く麻邇の玉
343色映え渡る初稚姫の
345吾手に渡し給ひけり
347雪より清く紅葉の
348色にも優る御姿 349妾は忽ち感じ入り
350無言の儘に受取りて 351黄金の翼を拡げたる
355神の御心汲み取りて
357神の司の高姫や
359竜国別や鷹依姫の
360貴の命と諸共に
362麻邇の宝珠の神業に
366国治立大御神
368御前に畏み願ぎまつる
371と歌ひ終り、372悠々として吾席に帰り給うた。
373(大正一一・七・一七 旧閏五・二三 松村真澄録)