タールスの報告を聞いて、サアルボースとホーロケースはヤーチン姫に対して大いに怒った。そして、ヤーチン姫に見方をした侍女のマリヤス姫を詰問した。
マリヤス姫は、血だらけになりながら、自分は実は先代アークス王の落胤であり、サアルボースとホーロケースの身辺を探るために侍女となって忍び込んでいたのだ、と明かした。
サアルボースらはそれを知ってマリヤス姫に斬ってかかったが、マリヤス姫は刃をかいくぐってサアルボースとタールスを投げ飛ばすと、その場を逃げてしまった。
一方カールス王は、日ごろ想いを寄せるヤーチン姫の病気が重いとの報を受けて落胆し、新高山の渓谷から身を投げて死のうと、夜密かに館を抜け出して谷のほとりをさまよっていた。
するとヤーチン姫の姿をした美人が、中空を歩きながら現れ、王の手を取って館まで送ると、その姿は忽然と消えうせた。これは、王の自殺を押し留めようとの邪霊の計略であった。また王は姫の姿が煙のように消えてしまったことでヤーチン姫に対して疑念を抱くことになった。
そこへ、病気が快癒したヤーチン姫が、王に面会しようとやってきた。しかし王は姫に対して疑念を抱いたままであった。そこへサアルボースとホーロケースがやってきた。サアルボースは本物の姫はすでに死して、邪神が化けているのだと王の前に申し立てた。
ヤーチン姫と父・エーリスをはじめ従臣たちは、サアルボースの讒言に怒った。しかしカールス王は前夜の邪神の姿に惑わされ、疑いを晴らすことができなかった。サアルボースは王の疑心に乗じて、数多の部下に命じてヤーチン姫を捕らえてしまった。