霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
目 次
設 定
閉じる
×
霊界物語
三鏡
大本神諭
伊都能売神諭
出口王仁三郎全集
出口王仁三郎著作集
王仁文庫
惟神の道
幼ながたり
開祖伝
聖師伝
霧の海(第六歌集)
大本七十年史
大本史料集成
神霊界
新聞記事
新月の光
その他
王仁文献考証
検索は「
王仁DB
」で
←
戻る
霊界物語
霊主体従
第1巻(子の巻)
第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
第4巻(卯の巻)
第5巻(辰の巻)
第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
第12巻(亥の巻)
如意宝珠
第13巻(子の巻)
第14巻(丑の巻)
第15巻(寅の巻)
第16巻(卯の巻)
第17巻(辰の巻)
第18巻(巳の巻)
第19巻(午の巻)
第20巻(未の巻)
第21巻(申の巻)
第22巻(酉の巻)
第23巻(戌の巻)
第24巻(亥の巻)
海洋万里
第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
第27巻(寅の巻)
第28巻(卯の巻)
第29巻(辰の巻)
第30巻(巳の巻)
第31巻(午の巻)
第32巻(未の巻)
第33巻(申の巻)
第34巻(酉の巻)
第35巻(戌の巻)
第36巻(亥の巻)
舎身活躍
第37巻(子の巻)
第38巻(丑の巻)
第39巻(寅の巻)
第40巻(卯の巻)
第41巻(辰の巻)
第42巻(巳の巻)
第43巻(午の巻)
第44巻(未の巻)
第45巻(申の巻)
第46巻(酉の巻)
第47巻(戌の巻)
第48巻(亥の巻)
真善美愛
第49巻(子の巻)
第50巻(丑の巻)
第51巻(寅の巻)
第52巻(卯の巻)
第53巻(辰の巻)
第54巻(巳の巻)
第55巻(午の巻)
第56巻(未の巻)
第57巻(申の巻)
第58巻(酉の巻)
第59巻(戌の巻)
第60巻(亥の巻)
山河草木
第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
第63巻(寅の巻)
第64巻(卯の巻)上
第64巻(卯の巻)下
第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
←
戻る
第28巻(卯の巻)
序歌
総説歌
第1篇 高砂の島
01 カールス王
〔801〕
02 無理槍
〔802〕
03 玉藻山
〔803〕
04 淡渓の流
〔804〕
05 難有迷惑
〔805〕
06 麻の紊れ
〔806〕
第2篇 暗黒の叫
07 無痛の腹
〔807〕
08 混乱戦
〔808〕
09 当推量
〔809〕
10 縺れ髪
〔810〕
11 木茄子
〔811〕
12 サワラの都
〔812〕
第3篇 光明の魁
13 唖の対面
〔813〕
14 二男三女
〔814〕
15 願望成就
〔815〕
16 盲亀の浮木
〔816〕
17 誠の告白
〔817〕
18 天下泰平
〔818〕
第4篇 南米探険
19 高島丸
〔819〕
20 鉈理屈
〔820〕
21 喰へぬ女
〔821〕
22 高砂上陸
〔822〕
跋(暗闇)
余白歌
このサイトは『霊界物語』を始めとする出口王仁三郎等の著書を無料で公開しています。
(注・出口王仁三郎の全ての著述を収録しているわけではありません。未収録のものも沢山あります)
閉じる
×
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
その他の設定項目を表示する
ここから下を閉じる
文字サイズ
S
【標準】
M
L
フォント
フォント1
【標準】
フォント2
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
古いブラウザでうまく表示されない時はこの設定を試してみて下さい
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側にだけ表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注
[?]
[※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
全ての脚注を開く
全ての脚注を閉じる(マーク表示)
【標準】
脚注マークを表示しない
文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色
[?]
底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。
[×閉じる]
外字1の色
[?]
この設定は現在使われておりません。
[×閉じる]
外字2の色
[?]
文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。
[×閉じる]
→
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。
実験用サイト
|
サブスク
霊界物語
>
第28巻
> 第4篇 南米探険 > 第20章 鉈理屈
<<< 高島丸
(B)
(N)
喰へぬ女 >>>
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。
【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034 アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。
第二〇章
鉈理屈
(
なたりくつ
)
〔八二〇〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第28巻 海洋万里 卯の巻
篇:
第4篇 南米探険
よみ(新仮名遣い):
なんべいたんけん
章:
第20章 鉈理屈
よみ(新仮名遣い):
なたりくつ
通し章番号:
820
口述日:
1922(大正11)年08月10日(旧06月18日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年8月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
常彦と春彦は、高姫にやたらなことを言わずに船中はおとなしくしているように懇願する。しかし高姫は反省するどころか、神がタルチールを使って自分を帆柱の上に上げて陸の様子を見させたのだ、とますます強弁する。
常彦と春彦は、船長に目を付けられないように船中では師弟の縁を切ってもらうことにした。高姫は怒って二人の縁を切り、さんざん憎まれ口を叩いた。
常彦はやけくそになって海に向かって宣伝歌を歌った。高姫への苛立ちを籠めつつも、三人そろって失われた宝珠を見つけ出してつつがなく聖地に帰ることができるよう、神に祈願をこらす歌を歌った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-12-12 16:54:09
OBC :
rm2820
愛善世界社版:
249頁
八幡書店版:
第5輯 442頁
修補版:
校定版:
258頁
普及版:
111頁
初版:
ページ備考:
001
常彦
(
つねひこ
)
、
002
春彦
(
はるひこ
)
は
驚
(
おどろ
)
いて、
003
高姫
(
たかひめ
)
の
縛
(
いましめ
)
を
解
(
と
)
き、
004
抱起
(
だきおこ
)
し、
005
常彦
(
つねひこ
)
『
先生
(
せんせい
)
、
006
どうも
御座
(
ござ
)
いませなんだが、
007
大変
(
たいへん
)
な
危
(
あぶ
)
ないこつて
御座
(
ござ
)
いました。
008
モウどうぞこれから
船
(
ふね
)
の
中
(
なか
)
は、
009
云
(
い
)
ひたい
事
(
こと
)
があつても
仰有
(
おつしや
)
らずに
辛抱
(
しんばう
)
して
居
(
ゐ
)
て
下
(
くだ
)
さいませ。
010
両人
(
りやうにん
)
が
御
(
お
)
願
(
ねがひ
)
致
(
いた
)
します』
011
高姫
(
たかひめ
)
『お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
はそれだから
腰抜
(
こしぬけ
)
といふのだよ。
012
三千
(
さんぜん
)
世界
(
せかい
)
を
団子
(
だんご
)
にせうと
餅
(
もち
)
にせうと、
013
三角
(
さんかく
)
にせうと、
014
四角
(
しかく
)
にせうと、
015
自由
(
じいう
)
自在
(
じざい
)
に
遊
(
あそ
)
ばす
国治立
(
くにはるたちの
)
尊
(
みこと
)
の
片腕
(
かたうで
)
とお
成
(
な
)
り
遊
(
あそ
)
ばす
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
の
生宮
(
いきみや
)
、
016
たかの
知
(
し
)
れた
高島丸
(
たかしままる
)
の
船頭
(
せんどう
)
位
(
くらゐ
)
に
尾
(
を
)
を
巻
(
ま
)
いてなるものか、
017
ヘン
余
(
あんま
)
り
見損
(
みぞこな
)
ひをして
下
(
くだ
)
さるなや。
018
お
前
(
まへ
)
等
(
ら
)
は
丁度
(
ちやうど
)
猫
(
ねこ
)
に
小判
(
こばん
)
を
見
(
み
)
せた
様
(
やう
)
なものだ。
019
小判
(
こばん
)
よりもダイヤモンドよりも
立派
(
りつぱ
)
な
光
(
ひかり
)
の
強
(
つよ
)
い、
020
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
此
(
この
)
生宮
(
いきみや
)
を
何
(
なん
)
と
心得
(
こころえ
)
て
御座
(
ござ
)
る。
021
チツと
確
(
しつか
)
りなさらぬか。
022
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
が
吾々
(
われわれ
)
を
御
(
ご
)
守護
(
しゆご
)
をして
御座
(
ござ
)
る
以上
(
いじやう
)
は、
023
仮令
(
たとへ
)
船頭
(
せんどう
)
の
百
(
ひやく
)
人
(
にん
)
や
千
(
せん
)
人
(
にん
)
、
024
束
(
たば
)
になつて
来
(
き
)
た
所
(
ところ
)
で、
025
指一本
(
ゆびいつぽん
)
さへさす
様
(
やう
)
な
高姫
(
たかひめ
)
ぢやありませぬぞえ』
026
春彦
(
はるひこ
)
『それでも
貴女
(
あなた
)
、
027
タルチールさまに
後手
(
うしろで
)
に
縛
(
しば
)
られ、
028
帆柱
(
ほばしら
)
へ
逆
(
さか
)
さまにして
吊
(
つ
)
り
上
(
あ
)
げられたぢやありませぬか』
029
高姫
(
たかひめ
)
『
何
(
なん
)
とマア、
030
身魂
(
みたま
)
の
曇
(
くも
)
つた
者
(
もの
)
は、
031
御
(
お
)
神徳
(
かげ
)
の
頂
(
いただ
)
きようが
拙劣
(
へた
)
だから
困
(
こま
)
りますワイ。
032
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
が
一寸
(
ちよつと
)
高砂島
(
たかさごじま
)
の
様子
(
やうす
)
を
見
(
み
)
やうと
思
(
おも
)
ひ、
033
タルチールを
御用
(
ごよう
)
に
立
(
た
)
てて、
034
帆柱
(
ほばしら
)
の
上
(
うへ
)
まで
手
(
て
)
も
使
(
つか
)
はず、
035
足
(
あし
)
も
労
(
らう
)
せず、
036
エレベータ
式
(
しき
)
に
上
(
あ
)
げさしたのだよ。
037
何
(
なん
)
でも
人
(
ひと
)
は
神直日
(
かむなほひ
)
大直日
(
おほなほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
し
聞直
(
ききなほ
)
し、
038
善意
(
ぜんい
)
に
解釈
(
かいしやく
)
しなくてはなりませぬぞや。
039
それが
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
さまの
水
(
みづ
)
も
洩
(
も
)
らさぬ
結構
(
けつこう
)
なお
仕組
(
しぐみ
)
、
040
それだから
何時
(
いつ
)
も
身魂
(
みたま
)
を
研
(
みが
)
き
改心
(
かいしん
)
をなされと、
041
耳
(
みみ
)
が
蛸
(
たこ
)
になる
程
(
ほど
)
云
(
い
)
うて
居
(
ゐ
)
るのだよ。
042
タルチールの
奴
(
やつ
)
たうとう、
043
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
御光
(
ごくわう
)
に
恐
(
おそ
)
れて、
044
どつかへ
鼠
(
ねずみ
)
の
様
(
やう
)
に
隠
(
かく
)
れて
了
(
しま
)
つた』
045
常彦
(
つねひこ
)
『
私
(
わたし
)
は
余
(
あま
)
り
感心
(
かんしん
)
して
目
(
め
)
も
碌
(
ろく
)
に
見
(
み
)
えず、
046
ハツキリした
事
(
こと
)
は
分
(
わか
)
りませぬが、
047
何
(
なん
)
でも
立派
(
りつぱ
)
なお
方
(
かた
)
が
二人
(
ふたり
)
現
(
あら
)
はれて、
048
船頭
(
せんどう
)
さまに
何
(
なに
)
か
言
(
い
)
ひつけられたと
思
(
おも
)
へば、
049
船頭
(
せんどう
)
は
匆惶
(
さうくわう
)
として
綱
(
つな
)
をゆるめ、
050
あなたを
吊
(
つ
)
りおろして、
051
どつかへ
隠
(
かく
)
れましたよ』
052
高姫
(
たかひめ
)
『サアさうだから、
053
高姫
(
たかひめ
)
は
神
(
かみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
と
云
(
い
)
ふのだ。
054
船頭
(
せんどう
)
の
奴
(
やつ
)
、
055
帆柱
(
ほばしら
)
の
上
(
うへ
)
へ
吊
(
つ
)
りあげて
見
(
み
)
た
所
(
ところ
)
、
056
余
(
あま
)
り
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
御光
(
ごくわう
)
がきつうて、
057
目
(
め
)
が
眩
(
くら
)
みさうになり、
058
お
客
(
きやく
)
までが
目舞
(
めまひ
)
が
来
(
き
)
さうなので
代表者
(
だいへうしや
)
が
二人
(
ふたり
)
やつて
来
(
き
)
て、
059
船頭
(
せんどう
)
に
掛合
(
かけあ
)
ひ、
060
其
(
その
)
為
(
ため
)
に
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ずおろしよつたのだ。
061
そこが
所謂
(
いはゆる
)
神
(
かみ
)
の
御
(
ご
)
神力
(
しんりき
)
、
062
御
(
ご
)
都合
(
つがふ
)
ある
所
(
ところ
)
だ。
063
こんな
水
(
みづ
)
も
洩
(
も
)
らさぬ
仕組
(
しぐみ
)
が、
064
お
前
(
まへ
)
達
(
たち
)
に
分
(
わか
)
つて
堪
(
たま
)
るものかい』
065
常彦
(
つねひこ
)
『オイ
春彦
(
はるひこ
)
、
066
何
(
なん
)
とマア
剛情
(
がうじやう
)
な
先生
(
せんせい
)
だないか。
067
今日
(
けふ
)
と
云
(
い
)
ふ
今日
(
けふ
)
は
俺
(
おれ
)
も
本当
(
ほんたう
)
に
呆
(
あき
)
れて
了
(
しま
)
つたよ。
068
こんな
人
(
ひと
)
の
弟子
(
でし
)
だと
思
(
おも
)
はれたら、
069
それこそ
無事
(
ぶじ
)
に
高砂島
(
たかさごじま
)
へ
着
(
つ
)
く
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
やしないぞ。
070
大陸
(
たいりく
)
へ
上
(
あが
)
つてからなら、
071
はしやぎなりと、
072
法螺吹
(
ほらふ
)
くなりと、
073
如何
(
どう
)
なつと、
074
高姫
(
たかひめ
)
さまの
勝手
(
かつて
)
になさつてもよいが、
075
こんな
所
(
ところ
)
で
分
(
わか
)
りきつた
負惜
(
まけをし
)
みを
出
(
だ
)
し、
076
へらず
口
(
ぐち
)
を
叩
(
たた
)
き、
077
船長
(
せんちやう
)
に
憎
(
にく
)
まれたら
大変
(
たいへん
)
だぞ。
078
コりや
茲
(
ここ
)
で
一
(
ひと
)
つ
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
にお
願
(
ねがひ
)
申
(
まを
)
して、
079
師弟
(
してい
)
の
縁
(
えん
)
を
切
(
き
)
つて
貰
(
もら
)
ひ、
080
アカの
他人
(
たにん
)
となつて
了
(
しま
)
はうぢやないか。
081
心
(
こころ
)
の
底
(
そこ
)
から
切
(
き
)
つて
頂
(
いただ
)
かうと
云
(
い
)
ふのぢやない。
082
此
(
この
)
船
(
ふね
)
の
上
(
うへ
)
だけ、
083
表面
(
へうめん
)
的
(
てき
)
に
切
(
き
)
つて
貰
(
もら
)
ひたいのぢや』
084
春彦
(
はるひこ
)
『それは
至極
(
しごく
)
妙案
(
めうあん
)
だ。
085
直様
(
すぐさま
)
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
にお
願
(
ねがひ
)
致
(
いた
)
さうぢやないか』
086
常彦
(
つねひこ
)
『
春彦
(
はるひこ
)
と
私
(
わたし
)
との
御
(
お
)
願
(
ねがひ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
087
暫
(
しばら
)
くあなたと
師弟
(
してい
)
の
関係
(
くわんけい
)
を
絶
(
た
)
つて
下
(
くだ
)
さいませぬか。
088
それも
表面
(
へうめん
)
丈
(
だけ
)
で、
089
高砂島
(
たかさごじま
)
へ
無事
(
ぶじ
)
に
着
(
つ
)
いたならば、
090
又
(
また
)
元
(
もと
)
の
通
(
とほ
)
りに
使
(
つか
)
つて
下
(
くだ
)
さい。
091
さうせないと
険呑
(
けんのん
)
で
堪
(
たま
)
りませぬから……』
092
高姫
(
たかひめ
)
『
帳
(
ちやう
)
を
切
(
き
)
つてくれと
云
(
い
)
ふのかい。
093
お
前
(
まへ
)
の
方
(
はう
)
から
言
(
い
)
はいでも、
094
高姫
(
たかひめ
)
の
方
(
はう
)
からお
前
(
まへ
)
の
様
(
やう
)
なガラクタの
弱虫
(
よわむし
)
は、
095
足手纏
(
あしでまと
)
ひになつて
困
(
こま
)
つて
居
(
を
)
つたのだ。
096
一時
(
いつとき
)
も
早
(
はや
)
くうるさいから、
097
縁
(
えん
)
を
切
(
き
)
らうと
思
(
おも
)
うたけれど、
098
此
(
この
)
高姫
(
たかひめ
)
に
見放
(
みはな
)
されたが
最後
(
さいご
)
、
099
乞食
(
こじき
)
一
(
ひと
)
つよう
致
(
いた
)
さぬ、
100
奴甲斐性
(
どかひしやう
)
なしだから、
101
可哀相
(
かはいさう
)
と
思
(
おも
)
つて
今
(
いま
)
まで
助
(
たす
)
けて
来
(
き
)
たのだ。
102
お
前
(
まへ
)
の
方
(
はう
)
から
暇
(
ひま
)
くれと
云
(
い
)
ふのなら、
103
こつちは
得手
(
えて
)
に
帆
(
ほ
)
だ。
104
万劫
(
まんごふ
)
末代
(
まつだい
)
帳
(
ちやう
)
を
切
(
き
)
るから、
105
二度
(
にど
)
と
再
(
ふたた
)
び
高姫
(
たかひめ
)
の
目
(
め
)
に
障
(
さは
)
る
所
(
ところ
)
に
居
(
を
)
つて
下
(
くだ
)
さるな。
106
ガラクタ
野郎
(
やらう
)
奴
(
め
)
、
107
あゝ
盲万人
(
めくらまんにん
)
目明
(
めあ
)
き
一人
(
ひとり
)
とはよくも
言
(
い
)
うたものだ。
108
高姫
(
たかひめ
)
の
真
(
まこと
)
の
力
(
ちから
)
を
知
(
し
)
つて
呉
(
く
)
れる
者
(
もの
)
は
此
(
この
)
広
(
ひろ
)
い
世界
(
せかい
)
に
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
ばつかりだ。
109
人民
(
じんみん
)
を
相手
(
あひて
)
にする
位
(
くらゐ
)
うるさいものはないワイ。
110
サア
常
(
つね
)
、
111
春
(
はる
)
の
両人
(
りやうにん
)
、
112
早
(
はや
)
くどつかへ
行
(
ゆ
)
きなさらぬか。
113
名残
(
なごり
)
惜
(
をし
)
さうに、
114
男
(
をとこ
)
らしうもない、
115
何
(
なに
)
マゴマゴして
居
(
を
)
るのだ、
116
エヽ』
117
と
頬
(
ほほ
)
をプツと
膨
(
ふく
)
らし、
118
体
(
からだ
)
を
角
(
かく
)
に
振
(
ふ
)
つて
甲板
(
かんばん
)
の
上
(
うへ
)
を
二
(
ふた
)
つ
三
(
み
)
つ
強
(
つよ
)
く
踏
(
ふ
)
みならし、
119
二三遍
(
にさんぺん
)
くるりと
廻
(
まは
)
つて
見
(
み
)
せた。
120
常彦
(
つねひこ
)
『モシモシ
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
121
さう
怒
(
おこ
)
つて
貰
(
もら
)
つては
堪
(
たま
)
りませぬ。
122
ホンの
二三
(
にさん
)
日
(
にち
)
の
間
(
あひだ
)
、
123
表
(
おもて
)
むき
丈
(
だけ
)
お
暇
(
ひま
)
を
下
(
くだ
)
されとお
願
(
ねがひ
)
して
居
(
を
)
るので
御座
(
ござ
)
います……なア
春彦
(
はるひこ
)
、
124
お
前
(
まへ
)
もさうだろう』
125
春彦
(
はるひこ
)
『さうだとも、
126
高姫
(
たかひめ
)
さまに
見
(
み
)
すてられて、
127
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
は
如何
(
どう
)
なるものか。
128
どうぞ
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
さう
短気
(
たんき
)
を
出
(
だ
)
さずに、
129
吾々
(
われわれ
)
の
申
(
まを
)
す
事
(
こと
)
を
善意
(
ぜんい
)
に
解釈
(
かいしやく
)
して
下
(
くだ
)
さいませ』
130
高姫
(
たかひめ
)
『
仮令
(
たとへ
)
一
(
いち
)
日
(
にち
)
でも
縁
(
えん
)
を
切
(
き
)
つたが
最後
(
さいご
)
、
131
アカの
他人
(
たにん
)
ぢや。
132
三日
(
みつか
)
や
五日
(
いつか
)
の
間
(
あひだ
)
縁
(
えん
)
切
(
き
)
るのは
邪魔
(
じやま
)
臭
(
くさ
)
い。
133
万劫
(
まんごふ
)
末代
(
まつだい
)
序
(
ついで
)
に
五六七
(
みろく
)
の
世
(
よ
)
の
末
(
すゑ
)
迄
(
まで
)
縁
(
えん
)
を
切
(
き
)
りますぞや。
134
お
前
(
まへ
)
の
様
(
やう
)
な
蛆虫
(
うじむし
)
がたかつて
居
(
ゐ
)
ると、
135
そこら
中
(
ぢう
)
がムザムザして
気分
(
きぶん
)
が
悪
(
わる
)
い。
136
あゝこれで
病晴
(
やまひは
)
れがしたやうだ。
137
縁
(
えん
)
切
(
き
)
つた
以上
(
いじやう
)
は、
138
師匠
(
ししやう
)
でも
弟子
(
でし
)
でもない。
139
どうぞ
早
(
はや
)
う、
140
どつこへなりと
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
して
下
(
くだ
)
さい。
141
見
(
み
)
ても
厭
(
いや
)
らしい、
142
胸
(
むね
)
が
悪
(
わる
)
うなる』
143
常彦
(
つねひこ
)
『
高姫
(
たかひめ
)
様
(
さま
)
、
144
一時
(
いつとき
)
も
早
(
はや
)
う、
145
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
せとか、
146
厭
(
いや
)
らしいとか、
147
胸
(
むね
)
が
悪
(
わる
)
いとか、
148
丸
(
まる
)
で
座敷
(
ざしき
)
へ
青大将
(
あをだいしやう
)
が
這
(
は
)
うて
来
(
き
)
た
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
を
仰有
(
おつしや
)
いますなア』
149
高姫
(
たかひめ
)
『きまつた
事
(
こと
)
だよ、
150
お
前
(
まへ
)
は
本当
(
ほんたう
)
の
阿呆
(
あはう
)
大将
(
だいしやう
)
だ。
151
グヅグヅしてをると、
152
線香
(
せんかう
)
を
立
(
た
)
ててくすべますぞ。
153
あゝ
面倒
(
めんだう
)
臭
(
くさ
)
い、
154
一昨日
(
おととひ
)
来
(
こ
)
い
一昨日
(
おととひ
)
来
(
こ
)
い』
155
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
156
歯
(
は
)
のぬけた
口
(
くち
)
から、
157
ブツブツと、
158
唾
(
つばき
)
を
矢
(
や
)
たらに、
159
両人
(
りやうにん
)
に
向
(
むか
)
つて
吹
(
ふ
)
きかける。
160
春彦
(
はるひこ
)
『
蛛蜘
(
くも
)
か
何
(
なん
)
ぞの
様
(
やう
)
に
一昨日
(
おととひ
)
来
(
こ
)
いとは、
161
そりや
余
(
あんま
)
りぢやありませぬか』
162
高姫
(
たかひめ
)
『お
前
(
まへ
)
は
蜘蛛
(
くも
)
だよ。
163
一寸先
(
いつすんさき
)
の
見
(
み
)
えぬ
暗雲
(
やみくも
)
の
雲助
(
くもすけ
)
だ。
164
今迄
(
いままで
)
高姫
(
たかひめ
)
のおかげで、
165
結構
(
けつこう
)
な
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
の
御用
(
ごよう
)
をして
威張
(
ゐば
)
つて
来
(
き
)
たが、
166
今日
(
けふ
)
限
(
かぎ
)
り
高姫
(
たかひめ
)
から
縁
(
えん
)
を
切
(
き
)
られたが
最後
(
さいご
)
、
167
雲助
(
くもすけ
)
にでもならねば
仕方
(
しかた
)
がないぢやないか。
168
何程
(
なにほど
)
平
(
ひら
)
た
蜘蛛
(
くも
)
になつて
謝
(
あやま
)
つても、
169
苦悶
(
くもん
)
しても
駄目
(
だめ
)
ですよ。
170
オツホヽヽヽ』
171
常彦
(
つねひこ
)
は
稍
(
やや
)
顔色
(
かほいろ
)
を
赤
(
あか
)
らめ、
172
常彦
(
つねひこ
)
『
高姫
(
たかひめ
)
さま、
173
吾々
(
われわれ
)
は
決
(
けつ
)
して
貴女
(
あなた
)
の
弟子
(
でし
)
ではありませぬよ。
174
言依別
(
ことよりわけの
)
命
(
みこと
)
の
教主
(
けうしゆ
)
から
立派
(
りつぱ
)
な
宣伝使
(
せんでんし
)
を
命
(
めい
)
ぜられて
居
(
ゐ
)
る
者
(
もの
)
、
175
言
(
い
)
はばあなたと
同格
(
どうかく
)
だ。
176
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら
長幼
(
ちやうえう
)
の
序
(
じよ
)
を
守
(
まも
)
り、
177
先輩
(
せんぱい
)
の
貴女
(
あなた
)
を
師匠
(
ししやう
)
と、
178
義務
(
ぎむ
)
上
(
じやう
)
から
尊敬
(
そんけい
)
して
居
(
を
)
る
丈
(
だけ
)
の
者
(
もの
)
、
179
弟子扱
(
でしあつかひ
)
をしておき
乍
(
なが
)
ら、
180
帳
(
ちやう
)
を
切
(
き
)
るも
切
(
き
)
らぬも
有
(
あ
)
るものか。
181
グヅグヅ
仰有
(
おつしや
)
ると、
182
私
(
わたし
)
の
方
(
はう
)
から
絶交
(
ぜつかう
)
致
(
いた
)
しますよ……なア
春彦
(
はるひこ
)
、
183
お
前
(
まへ
)
もさうぢやないか』
184
春彦
(
はるひこ
)
『さう
聞
(
き
)
けばさうだ。
185
モシ
高姫
(
たかひめ
)
さま、
186
誠
(
まこと
)
にお
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
乍
(
なが
)
ら、
187
只今
(
ただいま
)
限
(
かぎ
)
り
貴女
(
あなた
)
と
万劫
(
まんがふ
)
末代
(
まつだい
)
、
188
五六七
(
みろく
)
の
世
(
よ
)
の
末
(
すゑ
)
迄
(
まで
)
縁
(
えん
)
をきりますから、
189
否
(
いや
)
絶交
(
ぜつかう
)
しますから、
190
厭
(
いや
)
らしい……
阿呆
(
あほう
)
臭
(
くさ
)
いから
早
(
はや
)
く
何処
(
どこ
)
かへ
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
して
下
(
くだ
)
さい。
191
渋
(
しぶ
)
たうして
御座
(
ござ
)
ると
線香
(
せんかう
)
を
立
(
た
)
てますぞ。
192
アハヽヽヽ』
193
高姫
(
たかひめ
)
『それもよからう。
194
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら、
195
高姫
(
たかひめ
)
との
交際
(
かうさい
)
は
絶
(
た
)
つても、
196
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
に
離
(
はな
)
れる
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ますまい』
197
常彦
(
つねひこ
)
『
尤
(
もつと
)
も、
198
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
には
絶対
(
ぜつたい
)
服従
(
ふくじゆう
)
ですから、
199
誰
(
たれ
)
が
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
離
(
はな
)
れは
致
(
いた
)
しませぬ。
200
春彦
(
はるひこ
)
、
201
お
前
(
まへ
)
もさうだらうなア』
202
春彦
(
はるひこ
)
『
勿論
(
もちろん
)
の
事
(
こと
)
だ』
203
高姫
(
たかひめ
)
『それ
御覧
(
ごらん
)
、
204
ヤツパリさうすると、
205
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
の
高姫
(
たかひめ
)
には
絶対
(
ぜつたい
)
服従
(
ふくじゆう
)
をせなくてはなりますまい』
206
常彦
(
つねひこ
)
『
誠
(
まこと
)
の
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
様
(
さま
)
には
服従
(
ふくじゆう
)
しますが、
207
俄作
(
にはかづく
)
りの
自称
(
じしよう
)
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
には
絶対
(
ぜつたい
)
服従
(
ふくじゆう
)
致
(
いた
)
しませぬ。
208
言依別
(
ことよりわけ
)
の
教主
(
けうしゆ
)
に
玉
(
たま
)
を
隠
(
かく
)
されて、
209
隠
(
かく
)
され
場所
(
ばしよ
)
が
分
(
わか
)
らいで、
210
世界中
(
せかいぢう
)
うろつき
廻
(
まは
)
る
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
さまなら、
211
余
(
あんま
)
り
立派
(
りつぱ
)
な
身魂
(
みたま
)
でもあるまい。
212
日
(
ひ
)
の
出
(
で
)
所
(
どころ
)
か、
213
真暗
(
まつくら
)
がりのまつくろ
黒助
(
くろすけ
)
の
身魂
(
みたま
)
が
憑
(
うつ
)
つてゐる
肉
(
にく
)
の
宮
(
みや
)
の
鼻
(
はな
)
の
高姫
(
たかひめ
)
さま、
214
誰
(
たれ
)
が
馬鹿
(
ばか
)
らしい。
215
服従
(
ふくじゆう
)
する
者
(
もの
)
がありますか。
216
自惚
(
うぬぼれ
)
も
良
(
い
)
い
加減
(
かげん
)
にしておいたが
宜
(
よろ
)
しからうぜ。
217
アツハヽヽヽ』
218
高姫
(
たかひめ
)
『
常彦
(
つねひこ
)
の
結構
(
けつこう
)
な
宣伝使
(
せんでんし
)
様
(
さま
)
、
219
春彦
(
はるひこ
)
の
結構
(
けつこう
)
な
結構
(
けつこう
)
なデモ
宣伝使
(
せんでんし
)
さま、
220
勝手
(
かつて
)
にホラを
吹
(
ふ
)
き、
221
勝手
(
かつて
)
に
自惚
(
うぬぼれ
)
ておきなさい。
222
左様
(
さやう
)
なら』
223
と
体
(
からだ
)
をしやくり
乍
(
なが
)
ら、
224
足音
(
あしおと
)
荒
(
あら
)
く、
225
次
(
つぎ
)
の
船室
(
せんしつ
)
に
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
して
了
(
しま
)
つた。
226
常彦
(
つねひこ
)
は
甲板
(
かんばん
)
の
上
(
うへ
)
に
立
(
た
)
ち、
227
春彦
(
はるひこ
)
と
手
(
て
)
をつなぎ
高姫
(
たかひめ
)
の
去
(
さ
)
つた
後
(
あと
)
で、
228
いろいろと
高姫話
(
たかひめばなし
)
に
耽
(
ふけ
)
り
乍
(
なが
)
ら、
229
焼糞
(
やけくそ
)
になつて、
230
海風
(
うなかぜ
)
に
向
(
むか
)
ひ
歌
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
した。
231
常彦
(
つねひこ
)
『
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
か
232
系統
(
ひつぽう
)
の
身魂
(
みたま
)
か
知
(
し
)
らね
共
(
ども
)
233
自負心
(
じふしん
)
強
(
つよ
)
い
鼻高
(
はなだか
)
の
234
男女郎
(
をとこめろう
)
の
高姫
(
たかひめ
)
に
235
甘
(
うま
)
い
事
(
こと
)
づくめにたらされて
236
結構
(
けつこう
)
な
結構
(
けつこう
)
な
自転倒島
(
おのころ
)
の
237
秀妻
(
ほつま
)
の
国
(
くに
)
の
中心地
(
ちうしんち
)
238
錦
(
にしき
)
の
宮
(
みや
)
を
後
(
あと
)
にして
239
遠
(
とほ
)
き
山坂
(
やまさか
)
打渡
(
うちわた
)
り
240
命
(
いのち
)
を
的
(
まと
)
に
海原
(
うなばら
)
の
241
荒波
(
あらなみ
)
わけて
琉球
(
りうきう
)
の
242
島
(
しま
)
に
漸
(
やうや
)
く
上陸
(
じやうりく
)
し
243
言依別
(
ことよりわけ
)
や
国依別
(
くによりわけ
)
の
244
神
(
かみ
)
の
命
(
みこと
)
の
後
(
あと
)
を
追
(
お
)
ひ
245
執念深
(
しふねんぶか
)
くも
麻邇
(
まに
)
の
玉
(
たま
)
246
高姫
(
たかひめ
)
さまの
手
(
て
)
に
入
(
い
)
れて
247
人
(
ひと
)
も
羨
(
うらや
)
む
神業
(
しんげふ
)
に
248
奉仕
(
ほうし
)
せむとて
両人
(
りやうにん
)
が
249
欲
(
よく
)
の
皮
(
かは
)
をば
引
(
ひつ
)
ぱり
乍
(
なが
)
ら
250
可愛
(
かあい
)
い
女房
(
にようばう
)
をふりすてて
251
ここまで
来
(
き
)
たのが
馬鹿
(
ばか
)
らしい
252
琉球
(
りうきう
)
の
島
(
しま
)
へ
来
(
き
)
て
見
(
み
)
れば
253
言依別
(
ことよりわけ
)
の
神
(
かみ
)
さまは
254
琉
(
りう
)
と
球
(
きう
)
との
宝玉
(
ほうぎよく
)
を
255
すでに
受取
(
うけと
)
り
国依別
(
くによりわけ
)
と
256
小舟
(
こぶね
)
に
乗
(
の
)
つて
高砂
(
たかさご
)
の
257
島
(
しま
)
に
行
(
ゆ
)
かれた
後
(
あと
)
だつた
258
高姫
(
たかひめ
)
さまは
気
(
き
)
をいらち
259
夜叉
(
やしや
)
の
如
(
ごと
)
くに
相恰
(
さうがう
)
を
260
変
(
か
)
へて
又
(
また
)
もや
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
り
261
フーリン
島
(
たう
)
や
台湾島
(
たいわんたう
)
262
後
(
あと
)
に
眺
(
なが
)
めて
漸
(
や
)
う
漸
(
や
)
うに
263
テルの
連峰
(
れんぽう
)
霞
(
かす
)
みつつ
264
目
(
め
)
に
入
(
い
)
る
迄
(
まで
)
に
近寄
(
ちかよ
)
りし
265
時
(
とき
)
しもあれや
生命
(
せいめい
)
の
266
綱
(
つな
)
とも
頼
(
たの
)
む
吾
(
わが
)
船
(
ふね
)
は
267
波間
(
なみま
)
に
潜
(
ひそ
)
む
暗礁
(
あんせう
)
に
268
衝突
(
しようとつ
)
なして
粉砕
(
ふんさい
)
し
269
何
(
なん
)
と
詮方
(
せんかた
)
波
(
なみ
)
の
上
(
うへ
)
270
辛
(
から
)
くも
進
(
すす
)
む
折柄
(
をりから
)
に
271
俄
(
にはか
)
に
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
荒風
(
あらかぜ
)
に
272
波
(
なみ
)
立
(
たち
)
さわぎ
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
273
生命
(
せいめい
)
最早
(
もはや
)
これ
迄
(
まで
)
と
274
慌
(
あわ
)
てふためく
時
(
とき
)
もあれ
275
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
の
幸
(
さち
)
はひて
276
高島丸
(
たかしままる
)
は
走
(
は
)
せ
来
(
きた
)
り
277
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
三人
(
みたり
)
を
救
(
すく
)
ひあげ
278
船長室
(
せんちやうしつ
)
に
招
(
まね
)
かれて
279
国
(
くに
)
や
所
(
ところ
)
や
姓名
(
せいめい
)
を
280
一々
(
いちいち
)
詳
(
くは
)
しく
尋
(
たづ
)
ねられ
281
日
(
ひ
)
の
出神
(
でのかみ
)
の
生宮
(
いきみや
)
と
282
高姫
(
たかひめ
)
さまの
法螺貝
(
ほらがい
)
に
283
船長殿
(
せんちやうどの
)
も
舌
(
した
)
を
巻
(
ま
)
き
284
押
(
お
)
し
問答
(
もんだふ
)
の
末
(
すゑ
)
遂
(
つひ
)
に
285
高姫
(
たかひめ
)
さまを
発狂
(
はつきやう
)
と
286
見
(
み
)
なして
手足
(
てあし
)
を
縛
(
しば
)
りあげ
287
身
(
み
)
を
逆
(
さか
)
しまに
帆柱
(
ほばしら
)
に
288
クルリクルリと
巻
(
まき
)
あげる
289
吾々
(
われわれ
)
二人
(
ふたり
)
は
肝
(
きも
)
潰
(
つぶ
)
し
290
驚
(
おどろ
)
き
倒
(
たふ
)
れて
居
(
を
)
る
内
(
うち
)
に
291
何処
(
どこ
)
の
人
(
ひと
)
かは
知
(
し
)
らね
共
(
ども
)
292
尊
(
たふと
)
き
二人
(
ふたり
)
の
影
(
かげ
)
見
(
み
)
えて
293
タルチールの
船長
(
せんちやう
)
に
294
何
(
なに
)
かヒソビソ
囁
(
ささや
)
けば
295
タルチールは
匆惶
(
さうくわう
)
と
296
畏
(
かしこ
)
まりつつ
高姫
(
たかひめ
)
を
297
即座
(
そくざ
)
にここに
巻
(
まき
)
おろし
298
一間
(
ひとま
)
の
内
(
うち
)
に
隠
(
かく
)
れ
行
(
ゆ
)
く
299
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
二人
(
ふたり
)
は
高姫
(
たかひめ
)
の
300
厳
(
きび
)
しき
縛
(
いまし
)
めとき
放
(
はな
)
ち
301
いと
親切
(
しんせつ
)
に
労
(
いた
)
はれば
302
高姫
(
たかひめ
)
さまのへらず
口
(
ぐち
)
303
分
(
わか
)
りきつたる
負惜
(
まけをし
)
み
304
流石
(
さすが
)
の
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
も
呆
(
あき
)
れ
果
(
は
)
て
305
暇
(
ひま
)
を
呉
(
く
)
れよと
掛合
(
かけあ
)
へば
306
高姫
(
たかひめ
)
さまは
驚
(
おどろ
)
いて
307
万劫
(
まんごふ
)
末代
(
まつだい
)
帳
(
ちやう
)
きると
308
おどし
文句
(
もんく
)
を
並
(
なら
)
べ
立
(
た
)
て
309
ヤツサモツサと
嘅
(
いが
)
み
合
(
あ
)
ひ
310
揚句
(
あげく
)
の
果
(
はて
)
は
四股
(
しこ
)
をふみ
311
肩
(
かた
)
をゆすつてどこへやら
312
婆
(
ばば
)
の
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
された
313
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
314
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましまして
315
折角
(
せつかく
)
茲
(
ここ
)
まで
来
(
き
)
た
三人
(
みたり
)
316
どうぞ
互
(
たがひ
)
に
睦
(
むつ
)
まじう
317
高砂島
(
たかさごじま
)
に
上陸
(
じやうりく
)
し
318
麻邇
(
まに
)
の
宝珠
(
ほつしゆ
)
の
所在
(
ありか
)
をば
319
索
(
もと
)
めて
聖地
(
せいち
)
に
恙
(
つつが
)
なく
320
帰
(
かへ
)
らせ
玉
(
たま
)
へ
惟神
(
かむながら
)
321
尊
(
たふと
)
き
神
(
かみ
)
の
御
(
おん
)
前
(
まへ
)
に
322
常彦
(
つねひこ
)
、
春彦
(
はるひこ
)
謹
(
つつし
)
みて
323
畏
(
かしこ
)
み
畏
(
かしこ
)
み
願
(
ね
)
ぎまつる
324
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
325
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
326
と
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
舞
(
ま
)
ひ
狂
(
くる
)
うて
居
(
ゐ
)
る。
327
左右
(
さいう
)
一丈
(
いちぢやう
)
計
(
ばか
)
りの
羽
(
はね
)
を
拡
(
ひろ
)
げた
信天翁
(
あはうどり
)
は
二人
(
ふたり
)
の
頭上
(
づじやう
)
を
掠
(
かす
)
めて
前後
(
ぜんご
)
左右
(
さいう
)
に
潔
(
いさぎよ
)
く
翺翔
(
かうしやう
)
して
居
(
ゐ
)
る。
328
(
大正一一・八・一〇
旧六・一八
松村真澄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 高島丸
(B)
(N)
喰へぬ女 >>>
霊界物語
>
第28巻
> 第4篇 南米探険 > 第20章 鉈理屈
Tweet
目で読むのに疲れたら耳で聴こう!霊界物語の朗読ユーチューブ
オニド関連サイト
最新更新情報
10/22
【霊界物語ネット】
『
王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)
』をテキスト化しました。
9/18
【
飯塚弘明.com
】
飯塚弘明著『
PTC2 出口王仁三郎の霊界物語で透見する世界現象 T之巻
』発刊!
5/8
【霊界物語ネット】
霊界物語ネットに出口王仁三郎の
第六歌集『霧の海』
を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【20 鉈理屈|第28巻(卯の巻)|霊界物語/rm2820】
合言葉「みろく」を入力して下さい→