霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第八章 混乱戦(こんらんせん)〔八〇八〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第28巻 海洋万里 卯の巻 篇:第2篇 暗黒の叫 よみ(新仮名遣い):あんこくのさけび
章:第8章 混乱戦 よみ(新仮名遣い):こんらんせん 通し章番号:808
口述日:1922(大正11)年08月08日(旧06月16日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年8月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
エールは二三の供人らとともに聖地を脱出し、泰安城近くの山に身を忍ばせて、形成を伺っていた。
聖地の重臣たちは出陣と意向を固め、泰安城に攻め寄せることとなった。真道彦は必死で自分の意ではないことを説いて回ったが、重臣たちは真道彦の言を逆に取り、逆に真道彦も推されて出陣することになってしまった。
日楯・月鉾をそれぞれ天嶺、泰嶺の要所に守りとして残し、聖地にはヤーチン姫、マリヤス姫を残して、三万の兵を率いて泰安城に向かった。
先に泰安城付近に潜んでいたエールは、数十人の部下を集めていた。そして、真道彦の神軍を待ち伏せていた。エールたちを見た、真道彦軍先頭のテールスタンは、仲間割れはやめて共に闘おうと呼びかけた。
エールは感激し、カールス王救出のために一軍を割いてくれないかとテールスタンに頼み込んだ。テールスタンは自分が率いる軍を、カールス王の救出に向かわせることになった。
セールス姫一派のサアルボースは、カールス王を幽閉した淡渓の館を警護していた。トロレンスは王を自分の手中に収めようと、淡渓の館を取り囲んだ。
落城寸前の状況に、サアルボースはカールス王に自害を迫り、王が承諾しないと自ら手を下そうとした。すると一塊の大火光が落下して、サアルボースは失神して倒れてしまった。
トロレンスは勝ちに乗じて館に乱入しようとしたが、そこへテールスタンとエールの神軍が現れ、不意を付かれたトロレンス軍は泰安城方面に敗走した。正気づいたサアルボースも、三五教軍が現れたことに驚いてその場を逃げ出した。
テールスタンとエールはカールス王を救い出し、淡渓をさかのぼった新高山の岩窟を仮の城塞となして立て籠もり、状況を窺うこととなった。
泰安城はセールス姫軍の本体が守り、シャーカルタンの革命軍を防いでいた。そこへテールスタンの一隊が攻め寄せたため、シャーカルタン軍は窮地に陥った。
また、真道彦軍の本隊も到着して攻め寄せたが、はからずもテールスタン軍と衝突してしまった。テールスタン軍は敗走して、新高山岩窟に逃げ帰った。テールスタンは、真道彦のことをカールス王に讒言したため、王は真道彦を疑うこととなった。
真道彦軍は泰安城をセールス姫一派らから奪い返すと、三五教の大神を祀り、戦勝の祝いの宴を開いた。
真道彦は、聖地からヤーチン姫、マリヤス姫を泰安城に招いた。そして、新高山の岩窟にカールス王が隠れていることを知ると、王を城に迎えようと重臣を使いに出した。しかし使いはいつまで待っても帰ってこなかった。そのため後から数人の重臣を使いに出したが、いずれも帰ってこなかった。
真道彦はマリヤス姫に泰安城を任せると、ついに自らヤーチン姫とともに、王の元に向かうこととなった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-11-21 17:46:35 OBC :rm2808
愛善世界社版:96頁 八幡書店版:第5輯 387頁 修補版: 校定版:99頁 普及版:45頁 初版: ページ備考:
001 エールは乱暴(らんばう)(はたら)き、002大勢(おほぜい)取巻(とりま)かれ、003進退(しんたい)(きは)まつて、004(すば)しこくも満座(まんざ)総立(さうだち)となつて立騒(たちさわ)いで()人々(ひとびと)(また)をくぐり、005聖地(せいち)(あと)に、006二三(にさん)知己(ちき)(とも)に、007アーリス(ざん)()え、008泰安城(たいあんじやう)間近(まぢか)(やま)()(しの)ばせ、009形勢(けいせい)如何(いか)にと(うかが)ひつつあつた。
010 一方(いつぱう)八尋殿(やひろどの)(おい)てはホールサース、011マールエース、012テールスタン、013ホーレンス(その)()幹部(かんぶ)(れん)(ふたた)議論(ぎろん)(はな)()かした。014テールスタンは立上(たちあが)りて、015決心(けつしん)(いろ)(おもて)(あら)はし、016満座(まんざ)(むか)つて()ふ。
017テールスタン満場(まんぢやう)諸君(しよくん)よ、018一時(いつとき)(はや)出陣(しゆつぢん)(いた)さうでは御座(ござ)らぬか。019グヅグヅ(いた)して()れば、020シヤーカルタンやトロレンスの一派(いつぱ)(ため)に、021泰安城(たいあんじやう)占領(せんりやう)せられ、022(かれ)()()つてカールス(わう)(すく)()(こと)あらば、023(われ)()今迄(いままで)希望(きばう)苦心(くしん)(まつた)水泡(すゐほう)()すべし。024六菖(ろくしやう)十菊(じつきく)(くい)後日(ごじつ)(のこ)すよりは、025()かず、026一刻(いつこく)(はや)(しう)(ひき)ゐ、027破竹(はちく)(いきほひ)(もつ)て、028旗鼓(きこ)堂々(だうだう)泰安城(たいあんじやう)押寄(おしよ)せ、029セールス(ひめ)一派(いつぱ)撃退(げきたい)し、030()つカールス(わう)(すく)ひ、031シヤーカルタン、032トロレンスの一派(いつぱ)先鞭(せんべん)をつけ、033本島(ほんたう)統治権(とうぢけん)掌握(しやうあく)(いた)すは、034(いま)()いて(また)とある(べか)らず。035千戴(せんざい)一遇(いちぐう)(この)好機(かうき)036躊躇(ちうちよ)逡巡(しゆんじゆん)して、037後日(ごじつ)呑噬(どんぜい)(くい)(のこ)(こと)(なか)れ。038如何(いか)真道彦(まみちひこの)(みこと)039表面(へうめん)無抵抗(むていかう)主義(しゆぎ)(とな)(たま)へばとて、040(けつ)して(その)本心(ほんしん)には(あら)ざるべし。041(さき)んずれば(ひと)(せい)すとかや、042(われ)()率先(そつせん)して(しう)引率(いんそつ)し、043泰安城(たいあんじやう)立向(たちむか)ひなば、044真道彦(まみちひこの)(みこと)も、045ヤーチン(ひめ)(かなら)承諾(しようだく)(たま)ふべし。046三五教(あななひけう)教主(けうしゆ)として、047あらはに神軍(しんぐん)(ひき)ゐ、048泰安城(たいあんじやう)主権(しゆけん)(にぎ)らむなどとは口外(こうぐわい)(たま)はざるは当然(たうぜん)である。049そこは吾々(われわれ)幹部(かんぶ)たる(もの)(いち)()いて(じふ)(さと)るの知識(ちしき)なかる(べか)らず。050(がく)古今(ここん)(ぜつ)し、051(しき)東西(とうざい)()(たま)教主(けうしゆ)にして、052目前(もくぜん)落下(らくか)(きた)(この)天運(てんうん)袖手(しうしゆ)傍観(ばうくわん)して()()(たま)はざるの()あらむや。053不肖(ふせう)(なが)らテールスタンの観察(くわんさつ)(あやま)りますまい。054皆様(みなさま)055何卒(なにとぞ)()賛成(さんせい)(ねが)ひませう』
056 一同(いちどう)(なん)となく(こころ)(いさ)み、057歓声(くわんせい)をあげ、058賛意(さんい)(へう)しける。
059 (ここ)にホールサースを大将(たいしやう)(あふ)ぎ、060マールエース、061テールスタンを副将(ふくしやう)とし、062日月潭(じつげつたん)信徒(しんと)(くは)へて、063(ほとん)三万(さんまん)有余(いうよ)(にん)064竹槍(たけやり)(たづさ)へ、065(いよいよ)(とき)(うつ)さず、066泰安城(たいあんじやう)立向(たちむか)(こと)となつた。
067 真道彦(まみちひこの)(みこと)(おほい)(おどろ)き、068一同(いちどう)(むか)つて(わが)()にあらざる(こと)言葉(ことば)(つく)して、069()(あか)(ども)070(はや)()つたる数多(あまた)人々(ひとびと)071真道彦(まみちひこ)言葉(ことば)(かへ)つて(さか)()り、072容易(ようい)一人(ひとり)として(その)(めい)(したが)(もの)はなかつた。073真道彦(まみちひこ)()むを()ず、074幹部(かんぶ)(その)()()されて出陣(しゆつぢん)する(こと)となつた。075日楯(ひたて)076月鉾(つきほこ)兄弟(きやうだい)天嶺(てんれい)077泰嶺(たいれい)両所(りやうしよ)(のこ)し、078玉藻山(たまもやま)聖地(せいち)にはヤーチン(ひめ)079マリヤス(ひめ)をしてこれを(まも)らしめ、080馬上(ばじやう)(ゆたか)(しう)(ひき)ゐて、081(こころ)ならずも泰安城(たいあんじやう)(むか)(こと)となつた。082あゝ真道彦(まみちひこの)(みこと)運命(うんめい)如何(いか)になるらむか。
083 (さき)逃走(たうそう)したるエールは、084セールス(ひめ)間者(かんじや)として玉藻山(たまもやま)(しの)()()みたるマルチル、085ウラール、086キングス、087トーマス、088マーシヤル()一味(いちみ)(とも)に、089数十(すうじふ)(にん)部下(ぶか)(あつ)め、090アーリス(ざん)北麓(ほくろく)に、091真道彦(まみちひこ)神軍(しんぐん)(いた)るを待伏(まちぶ)せて()た。092先頭(せんとう)()つたるテールスタンはこれを()大音声(だいおんじやう)
093テールスタン『ヤア、094エール、095(なんぢ)聖地(せいち)脱出(だつしゆつ)し、096少数(せうすう)一味(いちみ)奴原(やつばら)引率(いんそつ)し、097(われ)()大軍(たいぐん)待討(まちう)たむとするか。098弱小(じやくせう)味方(みかた)(もつ)て、099雲霞(うんか)(ごと)大軍(たいぐん)抵抗(ていかう)せむとするは、100(じつ)険呑(けんのん)千万(せんばん)であらうぞ。101それよりも()(あらた)めて、102(ふたた)(わが)(ぐん)(くは)はり、103(とも)(とも)抜群(ばつぐん)功名(こうみやう)(いた)さうではないか』
104(をし)ゆる(やう)()つた。105エールは笑顔(ゑがほ)(もつ)てこれを(むか)へ、106つかつかとテールスタンの(まへ)(ちか)づき、107(かた)()(にぎ)り、108両眼(りやうがん)より熱涙(ねつるい)(おと)(なが)ら、
109エール『あゝテールスタンよ、110よくも()つて(くだ)さつた。111(いち)()(いか)りより聖場(せいぢやう)脱出(だつしゆつ)し、112泰安(たいあん)(みやこ)(ちか)立帰(たちかへ)つて()れば、113シヤーカルタンやトロレンスの(いきほひ)114(すこぶ)猖獗(せうけつ)にして(あなど)(べか)らず。115(われ)()少数(せうすう)味方(みかた)(もつ)(かれ)()(あた)るとも、116(なん)効果(かうくわ)もなきのみか、117(かへつ)(みづか)滅亡(めつぼう)(ふち)()()(ごと)きもので御座(ござ)る。118それに()いても、119カールス(わう)()()(うへ)120サアルボースの一派(いつぱ)121淡渓(たんけい)(やかた)十重(とへ)廿重(はたへ)取巻(とりま)き、122シヤーカルタンの寄手(よせて)(むか)つて(わう)(うば)はれまじと(きび)しく警固(けいご)()れば、123(わう)(めい)(はや)旦夕(たんせき)(せま)れり。124(おも)ふにセールス(ひめ)一派(いつぱ)は、125シヤーカルタン()にカールス(わう)(うば)はれ、126これを擁立(ようりつ)して泰安城(たいあんじやう)(あたら)しき政事(せいじ)()くならば、127(われ)()一派(いつぱ)一大事(いちだいじ)心得(こころえ)128(わう)寄手(よせて)(わた)さじと全力(ぜんりよく)()めて(まも)()るものの(ごと)し。129さり(なが)寄手(よせて)(いきほひ)益々(ますます)猛烈(まうれつ)にして、130到底(たうてい)(まも)(べか)らざるを()らば、131サアルボースの一派(いつぱ)後難(こうなん)(おそ)れて、132(わう)(しい)し、133遁走(とんそう)するやも(はか)(がた)し、134これを(おも)へば一刻(いつこく)猶予(いうよ)(べか)らず。135何卒(なにとぞ)三五教(あななひけう)神軍(しんぐん)一部(いちぶ)(われ)(たま)はらば、136(わう)生命(いのち)安全(あんぜん)(まも)(たてまつ)(こと)()む。137()げて(この)()()(ゆる)しあれ』
138言葉(ことば)(つく)して(たの)()る。139テールスタンは(ただ)ちに自己(じこ)(ひき)ゆる神軍(しんぐん)(もつ)てエールの()ふが(まま)に、140淡渓(たんけい)(わう)(やかた)応援(おうゑん)(ため)141()(むか)(こと)となつた。
142 淡渓(たんけい)(やかた)にはサアルボースの部下(ぶか)(もの)十重(とへ)二十重(はたへ)取巻(とりま)(わう)警固(けいご)(あた)つて()る。143トロレンスの一隊(いつたい)淡渓(たんけい)(やかた)()()せ、144(わう)(うば)はむとして、145サアルボースの部下(ぶか)衝突(しようとつ)し、146(たがひ)一勝(いつしよう)一敗(いつぱい)147死力(しりよく)(つく)して(たたか)ひしが、148()()(いきほひ)刻々(こくこく)(くは)はり、149サアルボースは最早(もはや)()(もつ)(まぬが)るるの余儀(よぎ)なきに立到(たちいた)つた。150カールス(わう)敵手(てきしゆ)(わた)しては、151後日(ごじつ)(ため)面白(おもしろ)からずと、152(いま)覚悟(かくご)()め、153(わう)(むか)つて自殺(じさつ)(せま)り、154万一(まんいち)(がえ)んぜざれば、155サアルボース(みづか)()(くだ)して、156(わう)(しい)せむとする(をり)しもあれ、157何処(いづこ)よりともなく、158一塊(いつくわい)大火光(だいくわくわう)飛来(ひらい)して、159サアルボースの(まへ)爆発(ばくはつ)し、160大音響(だいおんきやう)()てた。161サアルボースは(たちま)失心(しつしん)して(その)()(たふ)れた。
162 トロレンスの寄手(よせて)(かち)(じやう)じて(はや)くも館内(くわんない)乱入(らんにふ)せむとする。163(とき)しもあれ、164テールスタン、165エールの(ひき)ゆる竹槍隊(たけやりたい)雲霞(うんか)(ごと)(とき)(つく)つて(この)()(あら)はれ(きた)り、166(たちま)寄手(よせて)(むか)つて遮二(しやに)無二(むに)突込(つつこ)めば、167トロレンスを(はじ)全軍(ぜんぐん)狼狽(らうばい)結果(けつくわ)168泰安城(たいあんじやう)()して敗走(はいそう)して(しま)つた。
169 サアルボースは(やうや)くにして正気(しやうき)づき、170あたりを()れば、171トロレンスの寄手(よせて)(かげ)もなく、172それに(かは)つてテールスタン、173エールの三五軍(あななひぐん)襲来(しふらい)せるに(ふたた)(きも)(つぶ)し、174(わづか)()(もつ)(この)()(のが)るる(こと)()た。175テールスタン、176エールはカールス(わう)(まへ)()で、177(うやうや)しく()(つか)へて(わう)危急(ききふ)()り、178遥々(はるばる)救援(きうゑん)(むか)ひし(こと)奏上(そうじやう)した。179(わう)()つて両人(りやうにん)()(かた)(にぎ)り、180(なみだ)(とも)感謝(かんしや)()(あた)へた。
181 これより二人(ふたり)(わう)(ほう)じ、182淡渓(たんけい)(さかのぼ)新高山(にひたかやま)岩窟(がんくつ)()りの城塞(じやうさい)となし、183テールスタンは一軍(いちぐん)(なかば)()いて泰安城(たいあんじやう)攻撃(こうげき)(むか)ひ、184(のこ)りの神軍(しんぐん)はエールこれを統率(とうそつ)し、185(わう)身辺(しんぺん)(かた)(まも)り、186時機(じき)(うかが)ひつつあつた。187これよりテールスタン、188エールの二人(ふたり)はカールス(わう)殊寵(しゆちよう)(かうむ)り、189得意(とくい)時代(じだい)見舞(みま)はるる(こと)となりぬ。
190
191 一方(いつぱう)泰安城(たいあんじやう)にてはセールス(ひめ)192セウルスチン、193ホーロケースの大将株(たいしやうかぶ)194城内(じやうない)(へい)指揮(しき)し、195華々(はなばな)しく立働(たちはたら)き、196容易(ようい)落城(らくじやう)せず。197()()のシヤーカルタンの攻軍(こうぐん)(もと)より烏合(うがふ)(しう)なれば、198(やや)厭気(いやき)(しやう)じ、199内訌(ないこう)(おこ)し、200内部(ないぶ)より瓦解(ぐわかい)せむとする危急(ききふ)場合(ばあひ)であつた。
201 (この)(とき)淡渓(たんけい)より()()つたるサアルボースは、202散乱(さんらん)せる味方(みかた)(あつ)め、203応援(おうゑん)(ため)(この)()(あつ)まり(きた)る。204民軍(みんぐん)(いきほひ)(やや)回復(くわいふく)し、205(この)()(いつ)せず一挙(いつきよ)()()せむと城塞(じやうさい)()ぢ、206乱入(らんにふ)せむとする(とき)しも、207テールスタンの(ひき)ゆる一隊(いつたい)208後方(こうはう)より(とき)(つく)つて()めよせ(きた)り、209民軍(みんぐん)内外(ないぐわい)より(てき)()け、210(ふたた)窮地(きうち)(おちい)最早(もはや)敗走(はいそう)余儀(よぎ)なき立場(たちば)となつた。211(この)(とき)後方(こうはう)より真道彦(まみちひこの)(みこと)(ひき)ゆる大軍(たいぐん)は、212ホールサース、213マールエースと(とも)(ぐん)三隊(さんたい)(わか)ち、214三方(さんぱう)より泰安城(たいあんじやう)攻寄(せめよ)(きた)る。215(この)(いきほひ)辟易(へきえき)し、216セールス(ひめ)217セウルスチン、218ホーロケース、219サアルボースも(また)()()民軍(みんぐん)も、220敵味方(てきみかた)区別(くべつ)なく、221雪崩(なだれ)(ごと)敗走(はいそう)したり。
222 (ここ)にテールスタンの(ひき)ゆる三五軍(あななひぐん)と、223真道彦(まみちひこの)(みこと)(ひき)ゆる三五軍(あななひぐん)とは、224ゆくりもなくも大衝突(だいしようとつ)(きた)し、225テールスタンは形勢(けいせい)()なりと()るより、226部下(ぶか)(とも)にカールス(わう)臨時(りんじ)城塞(じやうさい)引返(ひきかへ)し、227虚実(きよじつ)交々(こもごも)真道彦(まみちひこの)(みこと)暴状(ぼうじやう)進言(しんげん)したり。228カールス(わう)(いか)心頭(しんとう)(たつ)し、229如何(いか)にもして真道彦(まみちひこ)一派(いつぱ)(ほろ)ぼさむと、230(うで)(やく)し、231()()ひしばり、232(いか)りの(なみだ)ハラハラと(なが)し、233無念(むねん)さを(こら)へて()たり。
234 一方(いつぱう)真道彦(まみちひこの)(みこと)神軍(しんぐん)悠々(いういう)として泰安城(たいあんじやう)(すす)()り、235真道彦(まみちひこの)(みこと)(はじ)め、236ホールサース、237マールエースの副将(ふくしやう)以下(いか)238ホーレンス、239ユートピヤール、240ツーレンス、241シーリンス、242ハーレヤール、243オーイツク、244ヒユーズ、245アンデーヤ、246ニユヂエール(その)()勇将(ゆうしやう)(とも)に、247チユーリツクを()()戦勝(せんしよう)酒宴(しゆえん)(もよほ)し、248数多(あまた)軍卒(ぐんそつ)(ねぎら)うた。249城内(じやうない)奥殿(おくでん)には三五教(あななひけう)大神(おほかみ)(まつ)り、250戦勝(せんしよう)礼代(いやしろ)として各神殿(かくしんでん)音楽(おんがく)(そう)し、251舞曲(ぶきよく)(えん)じ、252神慮(しんりよ)(なぐさ)め、253城内(じやうない)(たちま)天国(てんごく)楽園(らくゑん)(ごと)くになつて()た。
254 真道彦(まみちひこの)(みこと)はホールサースに(めい)じ、255玉藻山(たまもやま)聖地(せいち)()るヤーチン(ひめ)256マリヤス(ひめ)奉迎(ほうげい)して泰安城(たいあんじやう)(かへ)らるべしと、257信書(しんしよ)()たせ、258急遽(きふきよ)259聖地(せいち)(つか)はした。260(また)一方(いつぱう)カールス(わう)御在処(みあらか)(さぐ)()たれば、261マールエースをして(すこ)しの従者(じゆうしや)(とも)に、262(わう)泰安城(たいあんじやう)奉迎(ほうげい)せしめむと、263(いそ)派遣(はけん)したり。
264 ホールサースはヤーチン(ひめ)265マリヤス(ひめ)首尾(しゆび)()(むか)(かへ)りたれ(ども)266何故(なにゆゑ)かマールエースは旬日(じゆんじつ)()(ども)(かへ)(きた)らず、267(なん)音沙汰(おとさた)もなきに不審(ふしん)(いだ)き、268(この)(たび)はホーレンスをして(ふたた)び、269(わう)(むか)ふべく、270(わう)陣所(ぢんしよ)()()けた。271これ(また)幾日(いくにち)()るも(なん)音沙汰(おとさた)()ければ、272ユートピヤール、273ツーレンス、274シーリンス、275ハーレヤールをして(わう)(むか)ふべく()(つか)はしたれ(ども)これ(また)(なん)音沙汰(おとさた)()かりけり。
276 (ここ)真道彦(まみちひこの)(みこと)(やや)不安(ふあん)(ねん)()られ(なが)ら、277(この)(たび)はヤーチン(ひめ)(うなが)し、278(みづか)(わう)(かく)()(いた)りて、279泰安城(たいあんじやう)奉迎(ほうげい)せむとし、280マリヤス(ひめ)(その)()(しろ)(まも)らしめ、281淡渓(たんけい)上流(じやうりう)なる(わう)陣屋(ぢんや)(みづか)出張(しゆつちやう)したりける。
282大正一一・八・八 旧六・一六 松村真澄録)
283(昭和一〇・六・七 王仁校正)
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5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
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