霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。実験用サイトサブスク
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一二章 サワラの(みやこ)〔八一二〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第28巻 海洋万里 卯の巻 篇:第2篇 暗黒の叫 よみ(新仮名遣い):あんこくのさけび
章:第12章 サワラの都 よみ(新仮名遣い):さわらのみやこ 通し章番号:812
口述日:1922(大正11)年08月08日(旧06月16日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年8月10日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
三人はサワラの都にたどり着いた。広い平原の中央に築かれた新都会である。サワラの都は広大な堀で四方をめぐらしている。三十万年前の都としては、かなり大きな街であった。
三人は夕方に門から街区に入り、城門の前で門番に声をかけた。門番は誰もすでに居眠りをしており、起こそうとする日楯に文句を言って寝てしまう。
そこへ表門が開かれ、中から立派な行列が現れた。行列の大将は三人に声をかけ、台湾島の真道彦の子息一行ではないか、と問うた。日楯は丁寧に挨拶を返した。男は自分は照彦王の側近でセルと名乗った。数日前に照子姫に竜世姫が神懸かり、三人の来島を告げたという。一行は、セルに続いて城内に入って行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2021-11-26 18:51:08 OBC :rm2812
愛善世界社版:138頁 八幡書店版:第5輯 404頁 修補版: 校定版:142頁 普及版:66頁 初版: ページ備考:
001玉藻(たまも)(やま)聖場(せいぢやう)
002(とほ)神代(かみよ)(むかし)より
003三五教(あななひけう)(ひら)きたる
004真道(まみち)(ひこ)末流(まつりう)
005()(きこ)えたる真道彦(まみちひこ)
006泰安城(たいあんじやう)急変(きふへん)
007(すく)はむ(ため)三五(あななひ)
008(かみ)(つかさ)信徒(まめひと)
009(あつ)めて神軍(しんぐん)組織(そしき)なし
010泰安城(たいあんじやう)(あら)はれて
011()()(てき)打払(うちはら)
012(つひ)には奇禍(きくわ)(かうむ)りて
013カールス(わう)(うたが)はれ
014(くら)牢獄(ひとや)()()まれ
015(にげ)るる(よし)()(ばか)
016ヤーチン(ひめ)諸共(もろとも)
017()くもいまはし寃罪(ゑんざい)
018かかりて(やみ)呻吟(しんぎん)
019(くる)しき月日(つきひ)(おく)ります
020(その)惨状(さんじやう)(すく)はむと
021(ちち)(おも)ふの真心(まごころ)
022日楯(ひたて)月鉾(つきほこ)両人(りやうにん)
023聖地(せいち)(あと)にユリコ(ひめ)
024(よる)(まぎ)れて蓑笠(みのかさ)
025(かる)姿(すがた)()(よそ)
026アーリス(ざん)(いただ)きに
027(いき)もせきせき辿(たど)()
028(つき)(ひかり)()(なが)
029片方(かたへ)(いは)(こし)をかけ
030(いき)(やす)むる折柄(をりから)
031泰嶺山(たいれいざん)聖地(せいち)より
032(かみ)(つかさ)月鉾(つきほこ)
033(あと)(たづ)ねて()(きた)
034テーリン(ひめ)執拗(しつえう)
035(こひ)(もつ)れの(いと)をとき
036言葉(ことば)(つく)して聖場(せいぢやう)
037(かへ)らしめむと(おも)へども
038(こひ)(くも)りしテーリンは
039とけば()(ほど)もつれ()
040(とき)しもあれや()かげより
041(あら)はれ()でし人影(ひとかげ)
042一同(いちどう)(おどろ)見廻(みまは)せば
043(おも)()けなきマリヤス(ひめ)
044(うづ)(みこと)出現(しゆつげん)
045(やうや)急場(きふば)(のが)()
046日楯(ひたて)月鉾(つきほこ)、ユリコ(ひめ)
047三人(みたり)(つかさ)はやうやうに
048ヤツと蘇生(そせい)心地(ここち)して
049アーリス(ざん)(みね)()
050須安(シユアン)山脈(さんみやく)打渡(うちわた)
051()()についで漸々(やうやう)
052テルナの(さと)辿(たど)りつき
053谷間(たにま)にまたたく(ひと)()
054()あてに(すす)折柄(をりから)
055(のんど)(かわ)(はら)()
056根気(こんき)()きて(さん)(にん)
057とある木蔭(こかげ)(やす)らひつ
058(かす)かに()()人声(ひとごゑ)
059(みみ)をすまして()()れば
060(にはか)()()(たに)(かぜ)
061三人(みたり)(あたま)何物(なにもの)
062(さわ)ると()れば木茄子(きなすび)
063(かを)りゆかしき果物(くだもの)
064()びつく(ばか)(よろこ)びて
065(たちま)三人(みたり)木茄子(きなすび)
066一個(いつこ)(のこ)らずむし()
067(はら)をふくらせ(よこた)はり
068いつしか(ねむ)りにつきにける。
069(をり)(をり)とてバラモンの
070(かみ)祭典(まつり)真最中(まつさいちう)
071四五(しご)土人(どじん)木茄子(きなすび)
072(かみ)御前(みまへ)(そな)へむと
073(かむり)装束(しやうぞく)いかめしく
074(ぬさ)()(なが)(すす)()
075(もと)より三人(みたり)白河(しらかは)
076夜船(よぶね)(あやつ)真最中(まつさいちう)
077土人(どじん)(たちま)木茄子(きなすび)
078一個(いつこ)(のこ)らず何者(なにもの)にか
079(ぬす)まれたるに(きも)(つぶ)
080(あか)りに(てら)して(なが)むれば
081(らい)のやうなる鼾声(いびきごゑ)
082(おどろ)(ただち)(この)(よし)
083テルナの(さと)酋長(しうちやう)
084報告(はうこく)すればゼームスは
085(とき)(うつ)さず駆来(かけきた)
086三人(みたり)男女(だんぢよ)打向(うちむか)
087団栗眼(どんぐりまなこ)(いか)らせて
088『テルナの(さと)人々(ひとびと)
089生命(いのち)()へて(まも)()
090(かみ)(ささ)ぐる木茄子(きなすび)
091()りて(くら)ひし横道者(わうだうもの)
092(なんぢ)三人(みたり)生命(せいめい)
093(うば)ひて(かみ)(いけにへ)
094(たてまつ)らむ』と居丈高(ゐたけだか)
095(ののし)りちらせばユリコ(ひめ)
096酋長(しうちやう)(まへ)()をついて
097長途(ちやうと)(たび)(つか)()
098(のんど)(かわ)(はら)()
099かかる(たふと)果物(くだもの)
100()らずに()つて()ひました
101何卒(なにとぞ)(ふか)(この)(つみ)
102(ひろ)(こころ)見直(みなほ)して
103(われ)()(ゆる)(たま)へかし』
104(ねが)へば酋長(しうちやう)はユリコ(ひめ)
105(かほ)打眺(うちなが)(わら)(がほ)
106(なんぢ)()れの要求(えうきう)
107()れて女房(にようばう)となるならば
108(なんぢ)(つみ)(ゆる)すべし
109二人(ふたり)(をとこ)如何(どう)しても
110(いのち)()つて神前(しんぜん)
111(たふと)犠牲(ぎせい)(きよう)さねば
112(かみ)(いか)りを如何(いか)にせむ
113覚悟(かくご)せよや』と()めつける
114ユリコの(ひめ)はいろいろと
115(ことば)(つく)()(つく)
116口説(くど)()つれば酋長(しうちやう)
117(やうや)(こころ)(やは)らぎて
118(くる)しき荒行(あらぎやう)いろいろと
119二人(ふたり)(をとこ)()()けて
120(やうや)(この)()(けり)がつき
121大祭壇(だいさいだん)(かたはら)
122三人(みたり)男女(なんによ)(ともな)ひて
123ユリコの(ひめ)には(うる)はしき
124衣服(いふく)(あた)二人(ふたり)には
125猛火(まうくわ)(なか)をくぐれよ』と
126言葉(ことば)(きび)しく下知(げち)すれば
127日楯(ひたて)月鉾(つきほこ)両人(りやうにん)
128天津(あまつ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)
129(あま)数歌(かずうた)ひそびそと
130小声(こごゑ)になりて(とな)へつつ
131猛火(まうくわ)(なか)幾度(いくたび)
132いと易々(やすやす)(くぐ)りぬけ
133大祭壇(だいさいだん)(その)(まへ)
134火傷(やけど)もせずに(かへ)()
135()みゐる人々(ひとびと)両人(りやうにん)
136(その)神力(しんりき)(おどろ)きて
137(たがひ)(かほ)見合(みあは)せつ
138(した)()()たる折柄(をりから)
139何処(いづこ)ともなく大火光(だいくわくわう)
140(この)()(たちま)落下(らくか)して
141酋長(しうちやう)ゼームス果敢(あへ)なくも
142()中空(ちうくう)()びあがり
143行方(ゆくへ)()らずなりにける。
144()()数多(あまた)里人(さとびと)
145(この)爆発(ばくはつ)(おどろ)きて
146(くも)(かすみ)()げて()
147()(おく)れたる人々(ひとびと)
148(きも)をば(つぶ)(こし)()かし
149呻吟(うめ)(くるし)折柄(をりから)
150ユリコの(ひめ)酋長(しうちやう)
151(あた)へられたる(きぬ)()
152(ただち)火中(くわちう)(とう)ずれば
153日楯(ひたて)月鉾(つきほこ)両人(りやうにん)
154ユリコの(ひめ)右左(みぎひだり)
155立現(たちあら)はれて宣伝歌(せんでんか)
156(こゑ)(すず)しく()りつれば
157(しこ)曲霊(まがひ)何時(いつ)しかに
158()()せたるか(かぜ)(きよ)
159(なん)とはなしに心地(ここち)よく
160(かみ)(めぐみ)(さん)(にん)
161(よろこ)(をり)しもゼームスは
162衣紋(ゑもん)(ととの)供人(ともびと)
163数多(あまた)引連(ひきつ)(めづら)しき
164()()(うつは)()(なが)
165三人(みたり)(まへ)()をついて
166以前(いぜん)無礼(ぶれい)(こころ)より
167詫入(わびい)姿(すがた)殊勝(しゆしよう)さよ
168(ここ)三人(みたり)三五(あななひ)
169(かみ)(をしへ)細々(こまごま)
170ゼームス(はじ)里人(さとびと)
171(つた)へて(ただ)ちに三五(あななひ)
172(をしへ)(はしら)をつき(かた)
173酋長(しうちやう)(はじ)数十(すうじふ)
174里人(さとびと)(たち)(おく)られて
175()()()いで高砂(たかさご)
176(きた)(はし)なるキールンの
177(やうや)浜辺(はまべ)()きにけり
178あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
179御霊(みたま)(さち)はひましませよ。
180
181常世(とこよ)(なみ)竜世姫(たつよひめ)
182高砂島(たかさごじま)胞衣(えな)として
183(かみ)(つく)りし台湾島(たいわんたう)
184()()(ゆたか)(みづ)(きよ)
185禽獣(きんじう)虫魚(ちうぎよ)()ひたちて
186天与(てんよ)楽土(らくど)(きこ)えたる
187台湾島(たいわんたう)中心地(ちうしんち)
188玉藻(たまも)(やま)聖場(せいぢやう)
189三人(みたり)(あと)立出(たちい)でて
190艱難(かんなん)辛苦(しんく)()(なが)
191テルナの(さと)酋長(しうちやう)
192(なが)道程(だうてい)(まも)られて
193キールの(みなと)安着(あんちやく)
194(ふね)(やと)ひて(さん)(にん)
195(なみ)のまにまに()()しぬ
196折柄(をりから)()()北風(きたかぜ)
197(やま)なす(なみ)容赦(ようしや)なく
198三人(みたり)(ふね)()(あた)
199ユリコの(ひめ)船頭(せんとう)
200()ちて(なみ)をば(しづ)めつつ
201(かみ)のまにまに琉球(りうきう)
202八重山(やへやま)(たう)()して()
203やうやう(ここ)(さん)(にん)
204エルの(みなと)安着(あんちやく)
205岸辺(きしべ)(ふね)をつなぎおき
206声名(せいめい)(とどろ)照彦(てるひこ)
207千代(ちよ)住家(すみか)(きこ)えたる
208サワラの(みやこ)()して()く。
209 サワラの(みやこ)に、210(さん)(にん)(やうや)辿(たど)りついた。211ここは際限(さいげん)もなき広原(くわうげん)中央(まんなか)(きづ)かれたる新都会(しんとくわい)にして、212白楊樹(はくやうじゆ)(もり)四辺(しへん)(つつ)み、213芭蕉(ばせう)(はやし)所々(ところどころ)点綴(てんてつ)してゐる。214国人(くにびと)大抵(たいてい)215芭蕉実(ばなな)216(いちご)217林檎(りんご)218木茄子(きなすび)219(かき)などを常食(じやうしよく)とし、220(あるひ)(やま)(いも)221淡水魚(たんすゐぎよ)などを副食物(ふくしよくもつ)として生活(せいくわつ)(つづ)けてゐる。
222 サワラの(みやこ)には、223広大(くわうだい)なる(ほり)(もつ)四方(しはう)(めぐ)らしてゐる。224(その)(はば)(ほとん)一丁(いつちやう)(ばか)りの(ひろ)さである。225東西(とうざい)南北(なんぼく)堅固(けんご)なる橋梁(けうりやう)(わた)し、226(やや)北方(ほくぱう)にサワラの高峰(かうはう)227雲表(うんぺう)(そび)え、228四神(しじん)相応(さうおう)聖地(せいち)(しよう)せられてゐる。229城内(じやうない)には数百(すうひやく)人家(じんか)立並(たちなら)び、230(いま)より三十万(さんじふまん)年前(ねんぜん)都会(とくわい)としては、231(もつと)(だい)なるものと(しよう)されて()た。232サワラの(しろ)(ほとん)(その)中心(ちうしん)宏大(くわうだい)なる地域(ちゐき)(かま)へ、233石造(せきざう)(やかた)(たか)老樹(らうじゆ)(うへ)にぬき()()る。234城内(じやうない)には(はたけ)もあれば、235(かは)もあり、236(ぬま)もあり、237何一(なにひと)不自由(ふじゆう)なき(やう)(つく)られてゐた。
238 (さん)(にん)(ひがし)(もん)より(はし)(わた)つて、239門内(もんない)(すす)()つた。240(くわう)(こう)(はく)()(こん)いろいろの(はな)()(えだ)に、241(くさ)(さき)に、242爛漫(らんまん)()(みだ)れてゐる。243(また)(みち)両側(りやうがは)には百日紅(さるすべり)日和花(ひよりばな)(たぐひ)密生(みつせい)し、244(しろ)(すな)日光(につくわう)(かがや)き、245台湾島(たいわんたう)日月潭(じつげつたん)()して、246幾層倍(いくそうばい)とも()れぬ気分(きぶん)のよき土地(とち)である。
247 (さん)(にん)(なん)となく(はづか)しき(やう)な、248おめる(やう)心持(こころもち)にて、249小声(こごゑ)宣伝歌(せんでんか)(うた)(なが)ら、250照彦(てるひこ)千代(ちよ)住家(すみか)(さだ)めたる城門(じやうもん)(まへ)(やうや)くにして()(はこ)んだ。251四五(しご)門番(もんばん)頬杖(ほほづゑ)をつき(なが)ら、252(いづ)れも睡魔(すゐま)(おそ)はれて、253コクリコクリと居睡(いねむ)つてゐる(その)長閑(のどか)さ、254天国(てんごく)門番(もんばん)()くやと(おも)(ばか)りの気楽(きらく)さを(あら)はし()る。255日楯(ひたて)門番(もんばん)(まへ)(すす)()り、
256日楯(ひたて)(たの)みます (たの)みます』
257(こゑ)をかけた。258門番(もんばん)(いち)259ねむた()をこすり(なが)ら、
260門番(もんばん)(いち)『アヽ(この)真夜中(まよなか)(たれ)()らぬが、261(ひと)(おこ)しやがつて、262ねむたいワイ。263(この)(もん)(くれ)()つから()()(まで)()ける(こと)出来(でき)ぬ。264()()けたら、265(たれ)()らぬが()つて()い。266キツと()けて(とほ)してやる、267ムニヤ ムニヤ ムニヤ……』
268()(なが)(また)ゴロンと(よこ)になる。
269月鉾(つきほこ)『モシモシ門番(もんばん)(さま)270まだ日中(につちう)御座(ござ)います。271(くれ)()(まで)には余程(よほど)()御座(ござ)いますから、272どうぞ()()まして、273(この)(もん)をお()(くだ)さいませ』
274門番(もんばん)()『お(まへ)()()けとるか()らぬが、275(おれ)()ではそこら(ぢう)真暗(まつくら)がりだ。276(くら)(とき)夜分(やぶん)にきまつて()る。277アタねむたい、278(やかま)しう()はずにトツトと出直(でなほ)して()い』
279月鉾(つきほこ)『アハヽヽヽ、280あなた()をおあけなさい。281さう目蓋(まぶた)(かた)密着(みつちやく)させてゐては、282(ひる)でもヤツパリ(くら)()えますぞ』
283門番(もんばん)()(やかま)しう()ふない。284(くら)(なに)もあつたものかい。285苦楽(くらく)一如(いちによ)だ。286()(なか)()(ほど)(らく)はなきものを、287(おき)てガヤガヤ(さわ)馬鹿(ばか)のたわけ。288おれはまだ夜中(よなか)(ゆめ)()()るのだ。289おれの()引明(ひきあ)けに()()い。290そしたら、291あけてやらぬ(こと)もないワイ』
292とダル(さう)(こゑ)でブツブツ()(なが)ら、293(また)(よこ)にゴロンとなる。294(さん)(にん)はもどかしがり、295(やや)思案(しあん)()れて(たたず)んで()(とき)しも、296表門(おもてもん)はサラリと左右(さいう)(ひら)かれ、297(なか)より立派(りつぱ)なる男女(だんぢよ)幾十(いくじふ)(にん)となく行列(ぎやうれつ)(つく)り、298(さん)(にん)(まへ)(うやうや)しく()をつき(なが)大将(たいしやう)らしき一人(ひとり)は、
299一人の男(セル)『エヽあなたは台湾島(たいわんたう)玉藻山(たまもやま)霊場(れいぢやう)にまします、300真道彦(まみちひこの)(みこと)(さま)()子息(しそく)(さま)では御座(ござ)いませぬか』
301 日楯(ひたて)丁寧(ていねい)(れい)(かへ)し、
302日楯『ハイ()(さつ)しの(とほ)り、303(われ)()真道彦(まみちひこの)(みこと)(せがれ)304日楯(ひたて)305月鉾(つきほこ)(まを)(もの)306これなる(をんな)(わたし)(つま)ユリコ(ひめ)(まを)します。307竜世姫(たつよひめ)(さま)()神勅(しんちよく)()り、308当国(たうこく)城主(じやうしゆ)照彦(てるひこ)(さま)309照子姫(てるこひめ)(さま)()(ねがひ)(すぢ)ありて、310大海原(おほうなばら)(わた)り、311(やうや)くこれへ(まゐ)つた(もの)御座(ござ)います』
312一人(ひとり)(をとこ)(セル)(わたし)はセルと(まを)して、313照彦王(てるひこわう)()(そば)(ちか)(つか)ふる(もの)御座(ござ)います。314二三(にさん)(にち)以前(いぜん)より、315照子姫(てるこひめ)(さま)高砂島(たかさごじま)竜世姫(たつよひめの)(みこと)(さま)()神懸(かむがか)(あそ)ばし、316あなた(がた)()三人(さんにん)(さま)がここへ()()しになるから、317出迎(でむか)ひに()よとのお(つげ)御座(ござ)いました。318それ(ゆゑ)今日(けふ)はお()しの()早朝(さうてう)よりいろいろと、319あなた(がた)歓迎(くわんげい)用意(ようい)(いた)し、320照彦(てるひこ)(さま)321照子姫(てるこひめ)(さま)322(おく)にお(まち)御座(ござ)います。323サア()案内(あんない)(いた)しますから、324(はや)くお這入(はい)(くだ)さいませ』
325 (さん)(にん)一度(いちど)(あたま)()げ、
326三人有難(ありがた)う』
327()(なが)らセルの(あと)(したが)ひ、328(おく)(ふか)(すす)()る。329門番(もんばん)(やうや)()(さま)し、
330(かふ)『オイ、331ベース、332チヤール、333()きぬか()きぬか、334大変(たいへん)(こと)出来(でき)()たぞ。335側役(そばやく)のセル(さま)沢山(たくさん)()近侍(きんじ)方々(かたがた)(とも)(さん)(にん)のお(きやく)さまをお(むか)(あそ)ばして、336(おく)へお這入(はい)りになつた。337貴様(きさま)(たち)はなまくらを(かま)へて、338寝真似(ねまね)をし、339(かす)()うた(やう)(こと)をぬかしてをつたが、340たつた(いま)ドテライお目玉(めだま)だぞ。341サア(はや)(なん)とか、342言訳(いひわけ)(こしら)へて、343セル(さま)へお(ことわ)りに()かねば、344足袋屋(たびや)看板(かんばん)だ。345サツパリ(あし)あがりになつて(しま)ふぞよ』
346エル『バカを()ふな、347(おれ)(たち)寝真似(ねまね)をして()つたのを()つてゐた以上(いじやう)は、348貴様(きさま)もチヨボチヨボだ。349(おれ)(あし)があがる(くらゐ)なら、350貴様(きさま)(かしら)だから、351キツト(くび)()ぶぞよ。352貴様(きさま)(おれ)(たち)組頭(くみがしら)だからお(わび)()つて()るがよからう。353(おれ)や、354こんな門番(もんばん)なんか、355何時(なんどき)(あし)があがつても(かま)やしないのだ。356常世城(とこよじやう)門番(もんばん)()い、357失敗(しつぱい)して(わう)(さま)のお側附(そばつき)になつたぢやないか。358何時(いつ)(まで)門番(もんばん)厳重(げんぢゆう)(つと)めて()つたら、359彼奴(あいつ)門番(もんばん)適当(てきたう)(やつ)だと、360セルの大将(たいしやう)見込(みこ)まれたが最後(さいご)361金槌(かなづち)川流(かはなが)れ、362一生(いつしやう)(あたま)(あが)(こと)はないぞよ。363それより日中(につちう)にグウグウと()てる(はう)が、364何時(いつ)栄達(ゑいたつ)(みち)(ひら)けるか()れないぞ。365大体(だいたい)こんな智者(ちしや)学者(がくしや)門番(もんばん)にさしておくのが見当(けんたう)(ちが)ひだ。366マア()()れ、367明日(あす)になつたら、368貴様(きさま)(たち)門番(もんばん)不適当(ふてきたう)だから、369奥勤(おくづと)めに使(つか)つてやらうとの()命令(めいれい)(くだ)るに(ちがひ)ない。370(あま)取越(とりこし)苦労(くらう)をするものでない。371マア刹那心(せつなしん)(たのし)むのだなア。372()てば海路(かいろ)(かぜ)()くとやら、373何事(なにごと)(うん)(てん)にありだ。374そんな(こと)心配(しんぱい)するよりも、375(さけ)でも()み、376一生(いつしやう)懸命(けんめい)(さわ)ぎ、377ステテコでも(をど)つて、378今度(こんど)のお客様(きやくさま)のお(なぐさ)みに(きよう)したら、379照彦王(てるひこわう)(さま)面白(おもしろ)(やつ)だと()つて、380……(くる)しうない、381門番(もんばん)(ちか)(まゐ)れ……とか(なん)とか仰有(おつしや)つて、382()づから(さかづき)(くだ)され、383結構(けつこう)()褒美(ほうび)(あづか)るやらも()れたものだない。384サアサア、385(さけ)(さけ)だ、386(さけ)なくて(なん)のおのれが門番(もんばん)かなだ。387アハヽヽヽヽ』
388他愛(たあい)もなき無駄事(むだごと)(さへづ)(なが)ら、389バナナで(つく)つた強烈(きつ)(さけ)を、390()(にん)門番(もんばん)胡坐座(あぐらざ)になつてガブリガブリと()(はじ)め、391ヘベレケになつて、392(めう)()つきをし(なが)ら、393(をど)りつ()ひつ、394奥殿(おくでん)()して(ころ)()んだ。
395大正一一・八・八 旧六・一六 松村真澄録)
絶賛発売中『超訳霊界物語2/出口王仁三郎の「身魂磨き」実践書/一人旅するスサノオの宣伝使たち』
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki