霊界物語.ネット
~出口王仁三郎 大図書館~
目 次
設 定
閉じる
×
霊界物語
三鏡
大本神諭
伊都能売神諭
出口王仁三郎全集
出口王仁三郎著作集
王仁文庫
惟神の道
幼ながたり
開祖伝
聖師伝
霧の海(第六歌集)
大本七十年史
大本史料集成
神霊界
新聞記事
新月の光
その他
王仁文献考証
検索は「
王仁DB
」で
←
戻る
霊界物語
霊主体従
第1巻(子の巻)
第2巻(丑の巻)
第3巻(寅の巻)
第4巻(卯の巻)
第5巻(辰の巻)
第6巻(巳の巻)
第7巻(午の巻)
第8巻(未の巻)
第9巻(申の巻)
第10巻(酉の巻)
第11巻(戌の巻)
第12巻(亥の巻)
如意宝珠
第13巻(子の巻)
第14巻(丑の巻)
第15巻(寅の巻)
第16巻(卯の巻)
第17巻(辰の巻)
第18巻(巳の巻)
第19巻(午の巻)
第20巻(未の巻)
第21巻(申の巻)
第22巻(酉の巻)
第23巻(戌の巻)
第24巻(亥の巻)
海洋万里
第25巻(子の巻)
第26巻(丑の巻)
第27巻(寅の巻)
第28巻(卯の巻)
第29巻(辰の巻)
第30巻(巳の巻)
第31巻(午の巻)
第32巻(未の巻)
第33巻(申の巻)
第34巻(酉の巻)
第35巻(戌の巻)
第36巻(亥の巻)
舎身活躍
第37巻(子の巻)
第38巻(丑の巻)
第39巻(寅の巻)
第40巻(卯の巻)
第41巻(辰の巻)
第42巻(巳の巻)
第43巻(午の巻)
第44巻(未の巻)
第45巻(申の巻)
第46巻(酉の巻)
第47巻(戌の巻)
第48巻(亥の巻)
真善美愛
第49巻(子の巻)
第50巻(丑の巻)
第51巻(寅の巻)
第52巻(卯の巻)
第53巻(辰の巻)
第54巻(巳の巻)
第55巻(午の巻)
第56巻(未の巻)
第57巻(申の巻)
第58巻(酉の巻)
第59巻(戌の巻)
第60巻(亥の巻)
山河草木
第61巻(子の巻)
第62巻(丑の巻)
第63巻(寅の巻)
第64巻(卯の巻)上
第64巻(卯の巻)下
第65巻(辰の巻)
第66巻(巳の巻)
第67巻(午の巻)
第68巻(未の巻)
第69巻(申の巻)
第70巻(酉の巻)
第71巻(戌の巻)
第72巻(亥の巻)
特別編 入蒙記
天祥地瑞
第73巻(子の巻)
第74巻(丑の巻)
第75巻(寅の巻)
第76巻(卯の巻)
第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
第79巻(午の巻)
第80巻(未の巻)
第81巻(申の巻)
←
戻る
第28巻(卯の巻)
序歌
総説歌
第1篇 高砂の島
01 カールス王
〔801〕
02 無理槍
〔802〕
03 玉藻山
〔803〕
04 淡渓の流
〔804〕
05 難有迷惑
〔805〕
06 麻の紊れ
〔806〕
第2篇 暗黒の叫
07 無痛の腹
〔807〕
08 混乱戦
〔808〕
09 当推量
〔809〕
10 縺れ髪
〔810〕
11 木茄子
〔811〕
12 サワラの都
〔812〕
第3篇 光明の魁
13 唖の対面
〔813〕
14 二男三女
〔814〕
15 願望成就
〔815〕
16 盲亀の浮木
〔816〕
17 誠の告白
〔817〕
18 天下泰平
〔818〕
第4篇 南米探険
19 高島丸
〔819〕
20 鉈理屈
〔820〕
21 喰へぬ女
〔821〕
22 高砂上陸
〔822〕
跋(暗闇)
余白歌
このサイトは『霊界物語』を始めとする出口王仁三郎等の著書を無料で公開しています。
(注・出口王仁三郎の全ての著述を収録しているわけではありません。未収録のものも沢山あります)
閉じる
×
この文献を王仁DBで開く
印刷用画面を開く
[?]
プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。
[×閉じる]
話者名の追加表示
[?]
セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。
[×閉じる]
追加表示する
追加表示しない
【標準】
表示できる章
テキストのタイプ
[?]
ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。
[×閉じる]
通常のテキスト
【標準】
コピー用のテキスト
その他の設定項目を表示する
ここから下を閉じる
文字サイズ
S
【標準】
M
L
フォント
フォント1
【標準】
フォント2
ルビの表示
通常表示
【標準】
括弧の中に表示
表示しない
古いブラウザでうまく表示されない時はこの設定を試してみて下さい
アンカーの表示
[?]
本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。
[×閉じる]
左側にだけ表示する
【標準】
表示しない
全てのアンカーを表示
宣伝歌
[?]
宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。
[×閉じる]
一段組
【標準】
二段組
脚注
[?]
[※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。
[×閉じる]
全ての脚注を開く
全ての脚注を閉じる(マーク表示)
【標準】
脚注マークを表示しない
文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色
[?]
底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。
[×閉じる]
外字1の色
[?]
この設定は現在使われておりません。
[×閉じる]
外字2の色
[?]
文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。
[×閉じる]
→
表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。
【新着情報】
10月30~31日に旧サイトから新サイトへの移行作業を行う予定です。
実験用サイト
|
サブスク
霊界物語
>
第28巻
> 第2篇 暗黒の叫 > 第12章 サワラの都
<<< 木茄子
(B)
(N)
唖の対面 >>>
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。
【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034 アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。
第一二章 サワラの
都
(
みやこ
)
〔八一二〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第28巻 海洋万里 卯の巻
篇:
第2篇 暗黒の叫
よみ(新仮名遣い):
あんこくのさけび
章:
第12章 サワラの都
よみ(新仮名遣い):
さわらのみやこ
通し章番号:
812
口述日:
1922(大正11)年08月08日(旧06月16日)
口述場所:
筆録者:
松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年8月10日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
[×閉じる]
:
三人はサワラの都にたどり着いた。広い平原の中央に築かれた新都会である。サワラの都は広大な堀で四方をめぐらしている。三十万年前の都としては、かなり大きな街であった。
三人は夕方に門から街区に入り、城門の前で門番に声をかけた。門番は誰もすでに居眠りをしており、起こそうとする日楯に文句を言って寝てしまう。
そこへ表門が開かれ、中から立派な行列が現れた。行列の大将は三人に声をかけ、台湾島の真道彦の子息一行ではないか、と問うた。日楯は丁寧に挨拶を返した。男は自分は照彦王の側近でセルと名乗った。数日前に照子姫に竜世姫が神懸かり、三人の来島を告げたという。一行は、セルに続いて城内に入って行った。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2021-11-26 18:51:08
OBC :
rm2812
愛善世界社版:
138頁
八幡書店版:
第5輯 404頁
修補版:
校定版:
142頁
普及版:
66頁
初版:
ページ備考:
001
玉藻
(
たまも
)
の
山
(
やま
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
に
002
遠
(
とほ
)
き
神代
(
かみよ
)
の
昔
(
むかし
)
より
003
三五教
(
あななひけう
)
を
開
(
ひら
)
きたる
004
真道
(
まみち
)
の
彦
(
ひこ
)
の
末流
(
まつりう
)
と
005
世
(
よ
)
に
聞
(
きこ
)
えたる
真道彦
(
まみちひこ
)
006
泰安城
(
たいあんじやう
)
の
急変
(
きふへん
)
を
007
救
(
すく
)
はむ
為
(
ため
)
に
三五
(
あななひ
)
の
008
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
や
信徒
(
まめひと
)
を
009
集
(
あつ
)
めて
神軍
(
しんぐん
)
組織
(
そしき
)
なし
010
泰安城
(
たいあんじやう
)
に
現
(
あら
)
はれて
011
寄
(
よ
)
せ
来
(
く
)
る
敵
(
てき
)
を
打払
(
うちはら
)
ひ
012
遂
(
つひ
)
には
奇禍
(
きくわ
)
を
蒙
(
かうむ
)
りて
013
カールス
王
(
わう
)
に
疑
(
うたが
)
はれ
014
暗
(
くら
)
き
牢獄
(
ひとや
)
に
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
まれ
015
逃
(
にげ
)
るる
由
(
よし
)
も
泣
(
な
)
く
許
(
ばか
)
り
016
ヤーチン
姫
(
ひめ
)
も
諸共
(
もろとも
)
に
017
聞
(
き
)
くもいまはし
寃罪
(
ゑんざい
)
に
018
かかりて
暗
(
やみ
)
に
呻吟
(
しんぎん
)
し
019
苦
(
くる
)
しき
月日
(
つきひ
)
を
送
(
おく
)
ります
020
其
(
その
)
惨状
(
さんじやう
)
を
救
(
すく
)
はむと
021
父
(
ちち
)
を
思
(
おも
)
ふの
真心
(
まごころ
)
に
022
日楯
(
ひたて
)
、
月鉾
(
つきほこ
)
両人
(
りやうにん
)
は
023
聖地
(
せいち
)
を
後
(
あと
)
にユリコ
姫
(
ひめ
)
024
夜
(
よる
)
に
紛
(
まぎ
)
れて
蓑笠
(
みのかさ
)
の
025
軽
(
かる
)
き
姿
(
すがた
)
に
身
(
み
)
を
装
(
よそ
)
ひ
026
アーリス
山
(
ざん
)
の
頂
(
いただ
)
きに
027
息
(
いき
)
もせきせき
辿
(
たど
)
り
着
(
つ
)
き
028
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
を
浴
(
あ
)
び
乍
(
なが
)
ら
029
片方
(
かたへ
)
の
岩
(
いは
)
に
腰
(
こし
)
をかけ
030
息
(
いき
)
を
休
(
やす
)
むる
折柄
(
をりから
)
に
031
泰嶺山
(
たいれいざん
)
の
聖地
(
せいち
)
より
032
神
(
かみ
)
の
司
(
つかさ
)
の
月鉾
(
つきほこ
)
が
033
後
(
あと
)
を
尋
(
たづ
)
ねて
追
(
お
)
ひ
来
(
きた
)
る
034
テーリン
姫
(
ひめ
)
の
執拗
(
しつえう
)
な
035
恋
(
こひ
)
の
縺
(
もつ
)
れの
糸
(
いと
)
をとき
036
言葉
(
ことば
)
を
尽
(
つく
)
して
聖場
(
せいぢやう
)
に
037
帰
(
かへ
)
らしめむと
思
(
おも
)
へども
038
恋
(
こひ
)
に
曇
(
くも
)
りしテーリンは
039
とけば
説
(
と
)
く
程
(
ほど
)
もつれ
来
(
く
)
る
040
時
(
とき
)
しもあれや
木
(
こ
)
かげより
041
現
(
あら
)
はれ
出
(
い
)
でし
人影
(
ひとかげ
)
に
042
一同
(
いちどう
)
驚
(
おどろ
)
き
見廻
(
みまは
)
せば
043
思
(
おも
)
ひ
掛
(
が
)
けなきマリヤス
姫
(
ひめ
)
の
044
珍
(
うづ
)
の
命
(
みこと
)
の
出現
(
しゆつげん
)
に
045
漸
(
やうや
)
く
急場
(
きふば
)
を
逃
(
のが
)
れ
出
(
い
)
で
046
日楯
(
ひたて
)
、
月鉾
(
つきほこ
)
、ユリコ
姫
(
ひめ
)
047
三人
(
みたり
)
の
司
(
つかさ
)
はやうやうに
048
ヤツと
蘇生
(
そせい
)
の
心地
(
ここち
)
して
049
アーリス
山
(
ざん
)
の
峰
(
みね
)
を
越
(
こ
)
え
050
須安
(
シユアン
)
の
山脈
(
さんみやく
)
打渡
(
うちわた
)
り
051
夜
(
よ
)
を
日
(
ひ
)
についで
漸々
(
やうやう
)
に
052
テルナの
里
(
さと
)
に
辿
(
たど
)
りつき
053
谷間
(
たにま
)
にまたたく
一
(
ひと
)
つ
火
(
び
)
を
054
目
(
め
)
あてに
進
(
すす
)
む
折柄
(
をりから
)
に
055
喉
(
のんど
)
は
渇
(
かわ
)
き
腹
(
はら
)
は
飢
(
う
)
ゑ
056
根気
(
こんき
)
も
尽
(
つ
)
きて
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
057
とある
木蔭
(
こかげ
)
に
休
(
やす
)
らひつ
058
幽
(
かす
)
かに
漏
(
も
)
れ
来
(
く
)
る
人声
(
ひとごゑ
)
を
059
耳
(
みみ
)
をすまして
聞
(
き
)
き
居
(
を
)
れば
060
俄
(
にはか
)
に
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
谷
(
たに
)
の
風
(
かぜ
)
061
三人
(
みたり
)
の
頭
(
あたま
)
に
何物
(
なにもの
)
か
062
触
(
さわ
)
ると
見
(
み
)
れば
木茄子
(
きなすび
)
の
063
香
(
かを
)
りゆかしき
果物
(
くだもの
)
に
064
飛
(
と
)
びつく
計
(
ばか
)
り
喜
(
よろこ
)
びて
065
忽
(
たちま
)
ち
三人
(
みたり
)
は
木茄子
(
きなすび
)
を
066
一個
(
いつこ
)
も
残
(
のこ
)
らず
むし
り
取
(
と
)
り
067
腹
(
はら
)
をふくらせ
横
(
よこた
)
はり
068
いつしか
眠
(
ねむ
)
りにつきにける。
069
折
(
をり
)
も
折
(
をり
)
とてバラモンの
070
神
(
かみ
)
の
祭典
(
まつり
)
の
真最中
(
まつさいちう
)
071
四五
(
しご
)
の
土人
(
どじん
)
は
木茄子
(
きなすび
)
を
072
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
供
(
そな
)
へむと
073
冠
(
かむり
)
装束
(
しやうぞく
)
いかめしく
074
幣
(
ぬさ
)
振
(
ふ
)
り
乍
(
なが
)
ら
進
(
すす
)
み
来
(
く
)
る
075
素
(
もと
)
より
三人
(
みたり
)
は
白河
(
しらかは
)
の
076
夜船
(
よぶね
)
を
操
(
あやつ
)
る
真最中
(
まつさいちう
)
077
土人
(
どじん
)
は
忽
(
たちま
)
ち
木茄子
(
きなすび
)
の
078
一個
(
いつこ
)
も
残
(
のこ
)
らず
何者
(
なにもの
)
にか
079
盗
(
ぬす
)
まれたるに
肝
(
きも
)
潰
(
つぶ
)
し
080
明
(
あか
)
りに
照
(
てら
)
して
眺
(
なが
)
むれば
081
雷
(
らい
)
のやうなる
鼾声
(
いびきごゑ
)
082
驚
(
おどろ
)
き
直
(
ただち
)
に
此
(
この
)
由
(
よし
)
を
083
テルナの
里
(
さと
)
の
酋長
(
しうちやう
)
に
084
報告
(
はうこく
)
すればゼームスは
085
時
(
とき
)
を
移
(
うつ
)
さず
駆来
(
かけきた
)
り
086
三人
(
みたり
)
の
男女
(
だんぢよ
)
に
打向
(
うちむか
)
ひ
087
団栗眼
(
どんぐりまなこ
)
を
怒
(
いか
)
らせて
088
『テルナの
里
(
さと
)
の
人々
(
ひとびと
)
が
089
生命
(
いのち
)
に
代
(
か
)
へて
守
(
まも
)
り
居
(
を
)
る
090
神
(
かみ
)
に
捧
(
ささ
)
ぐる
木茄子
(
きなすび
)
を
091
取
(
と
)
りて
食
(
くら
)
ひし
横道者
(
わうだうもの
)
092
汝
(
なんぢ
)
三人
(
みたり
)
の
生命
(
せいめい
)
を
093
奪
(
うば
)
ひて
神
(
かみ
)
の
贄
(
いけにへ
)
に
094
奉
(
たてまつ
)
らむ』と
居丈高
(
ゐたけだか
)
095
罵
(
ののし
)
りちらせばユリコ
姫
(
ひめ
)
096
酋長
(
しうちやう
)
の
前
(
まへ
)
に
手
(
て
)
をついて
097
『
長途
(
ちやうと
)
の
旅
(
たび
)
に
疲
(
つか
)
れ
果
(
は
)
て
098
喉
(
のんど
)
は
渇
(
かわ
)
き
腹
(
はら
)
は
飢
(
う
)
ゑ
099
かかる
尊
(
たふと
)
き
果物
(
くだもの
)
と
100
知
(
し
)
らずに
取
(
と
)
つて
食
(
く
)
ひました
101
何卒
(
なにとぞ
)
深
(
ふか
)
き
此
(
この
)
罪
(
つみ
)
を
102
広
(
ひろ
)
き
心
(
こころ
)
に
見直
(
みなほ
)
して
103
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
を
赦
(
ゆる
)
し
給
(
たま
)
へかし』
104
願
(
ねが
)
へば
酋長
(
しうちやう
)
はユリコ
姫
(
ひめ
)
の
105
顔
(
かほ
)
打眺
(
うちなが
)
め
笑
(
わら
)
ひ
顔
(
がほ
)
106
『
汝
(
なんぢ
)
は
吾
(
わ
)
れの
要求
(
えうきう
)
を
107
容
(
い
)
れて
女房
(
にようばう
)
となるならば
108
汝
(
なんぢ
)
の
罪
(
つみ
)
を
赦
(
ゆる
)
すべし
109
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
は
如何
(
どう
)
しても
110
命
(
いのち
)
を
取
(
と
)
つて
神前
(
しんぜん
)
の
111
尊
(
たふと
)
き
犠牲
(
ぎせい
)
に
供
(
きよう
)
さねば
112
神
(
かみ
)
の
怒
(
いか
)
りを
如何
(
いか
)
にせむ
113
覚悟
(
かくご
)
せよや』と
睨
(
ね
)
めつける
114
ユリコの
姫
(
ひめ
)
はいろいろと
115
詞
(
ことば
)
を
尽
(
つく
)
し
身
(
み
)
を
尽
(
つく
)
し
116
口説
(
くど
)
き
立
(
た
)
つれば
酋長
(
しうちやう
)
は
117
漸
(
やうや
)
く
心
(
こころ
)
和
(
やは
)
らぎて
118
苦
(
くる
)
しき
荒行
(
あらぎやう
)
いろいろと
119
二人
(
ふたり
)
の
男
(
をとこ
)
に
言
(
い
)
ひ
付
(
つ
)
けて
120
漸
(
やうや
)
く
此
(
この
)
場
(
ば
)
は
鳧
(
けり
)
がつき
121
大祭壇
(
だいさいだん
)
の
傍
(
かたはら
)
に
122
三人
(
みたり
)
の
男女
(
なんによ
)
を
伴
(
ともな
)
ひて
123
ユリコの
姫
(
ひめ
)
には
美
(
うる
)
はしき
124
衣服
(
いふく
)
を
与
(
あた
)
へ
二人
(
ふたり
)
には
125
『
猛火
(
まうくわ
)
の
中
(
なか
)
をくぐれよ』と
126
言葉
(
ことば
)
厳
(
きび
)
しく
下知
(
げち
)
すれば
127
日楯
(
ひたて
)
、
月鉾
(
つきほこ
)
両人
(
りやうにん
)
は
128
天津
(
あまつ
)
祝詞
(
のりと
)
を
奏上
(
そうじやう
)
し
129
天
(
あま
)
の
数歌
(
かずうた
)
ひそびそと
130
小声
(
こごゑ
)
になりて
唱
(
とな
)
へつつ
131
猛火
(
まうくわ
)
の
中
(
なか
)
を
幾度
(
いくたび
)
も
132
いと
易々
(
やすやす
)
と
潜
(
くぐ
)
りぬけ
133
大祭壇
(
だいさいだん
)
の
其
(
その
)
前
(
まへ
)
に
134
火傷
(
やけど
)
もせずに
帰
(
かへ
)
り
来
(
く
)
る
135
並
(
な
)
みゐる
人々
(
ひとびと
)
両人
(
りやうにん
)
が
136
其
(
その
)
神力
(
しんりき
)
に
驚
(
おどろ
)
きて
137
互
(
たがひ
)
に
顔
(
かほ
)
を
見合
(
みあは
)
せつ
138
舌
(
した
)
巻
(
ま
)
き
居
(
ゐ
)
たる
折柄
(
をりから
)
に
139
何処
(
いづこ
)
ともなく
大火光
(
だいくわくわう
)
140
此
(
この
)
場
(
ば
)
に
忽
(
たちま
)
ち
落下
(
らくか
)
して
141
酋長
(
しうちやう
)
ゼームス
果敢
(
あへ
)
なくも
142
身
(
み
)
は
中空
(
ちうくう
)
に
飛
(
と
)
びあがり
143
行方
(
ゆくへ
)
も
知
(
し
)
らずなりにける。
144
並
(
な
)
み
居
(
ゐ
)
る
数多
(
あまた
)
の
里人
(
さとびと
)
は
145
此
(
この
)
爆発
(
ばくはつ
)
に
驚
(
おどろ
)
きて
146
雲
(
くも
)
を
霞
(
かすみ
)
と
逃
(
に
)
げて
行
(
ゆ
)
く
147
逃
(
に
)
げ
遅
(
おく
)
れたる
人々
(
ひとびと
)
は
148
胆
(
きも
)
をば
潰
(
つぶ
)
し
腰
(
こし
)
抜
(
ぬ
)
かし
149
呻吟
(
うめ
)
き
苦
(
くるし
)
む
折柄
(
をりから
)
に
150
ユリコの
姫
(
ひめ
)
は
酋長
(
しうちやう
)
に
151
与
(
あた
)
へられたる
衣
(
きぬ
)
を
脱
(
ぬ
)
ぎ
152
直
(
ただち
)
に
火中
(
くわちう
)
に
投
(
とう
)
ずれば
153
日楯
(
ひたて
)
、
月鉾
(
つきほこ
)
両人
(
りやうにん
)
は
154
ユリコの
姫
(
ひめ
)
の
右左
(
みぎひだり
)
155
立現
(
たちあら
)
はれて
宣伝歌
(
せんでんか
)
156
声
(
こゑ
)
も
涼
(
すず
)
しく
宣
(
の
)
りつれば
157
醜
(
しこ
)
の
曲霊
(
まがひ
)
は
何時
(
いつ
)
しかに
158
消
(
き
)
え
失
(
う
)
せたるか
風
(
かぜ
)
清
(
きよ
)
く
159
何
(
なん
)
とはなしに
心地
(
ここち
)
よく
160
神
(
かみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
を
三
(
さん
)
人
(
にん
)
が
161
喜
(
よろこ
)
ぶ
折
(
をり
)
しもゼームスは
162
衣紋
(
ゑもん
)
を
整
(
ととの
)
へ
供人
(
ともびと
)
を
163
数多
(
あまた
)
引連
(
ひきつ
)
れ
珍
(
めづら
)
しき
164
木
(
こ
)
の
実
(
み
)
を
器
(
うつは
)
に
盛
(
も
)
り
乍
(
なが
)
ら
165
三人
(
みたり
)
が
前
(
まへ
)
に
手
(
て
)
をついて
166
以前
(
いぜん
)
の
無礼
(
ぶれい
)
を
心
(
こころ
)
より
167
詫入
(
わびい
)
る
姿
(
すがた
)
の
殊勝
(
しゆしよう
)
さよ
168
茲
(
ここ
)
に
三人
(
みたり
)
は
三五
(
あななひ
)
の
169
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
を
細々
(
こまごま
)
と
170
ゼームス
始
(
はじ
)
め
里人
(
さとびと
)
に
171
伝
(
つた
)
へて
直
(
ただ
)
ちに
三五
(
あななひ
)
の
172
教
(
をしへ
)
の
柱
(
はしら
)
をつき
固
(
かた
)
め
173
酋長
(
しうちやう
)
始
(
はじ
)
め
数十
(
すうじふ
)
の
174
里人
(
さとびと
)
達
(
たち
)
に
送
(
おく
)
られて
175
夜
(
よ
)
を
日
(
ひ
)
に
継
(
つ
)
いで
高砂
(
たかさご
)
の
176
北
(
きた
)
の
端
(
はし
)
なるキールンの
177
漸
(
やうや
)
く
浜辺
(
はまべ
)
に
着
(
つ
)
きにけり
178
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
179
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ。
180
○
181
常世
(
とこよ
)
の
波
(
なみ
)
も
竜世姫
(
たつよひめ
)
182
高砂島
(
たかさごじま
)
の
胞衣
(
えな
)
として
183
神
(
かみ
)
の
造
(
つく
)
りし
台湾島
(
たいわんたう
)
184
木
(
こ
)
の
実
(
み
)
も
豊
(
ゆたか
)
に
水
(
みづ
)
清
(
きよ
)
く
185
禽獣
(
きんじう
)
虫魚
(
ちうぎよ
)
も
生
(
お
)
ひたちて
186
天与
(
てんよ
)
の
楽土
(
らくど
)
と
聞
(
きこ
)
えたる
187
台湾島
(
たいわんたう
)
の
中心地
(
ちうしんち
)
188
玉藻
(
たまも
)
の
山
(
やま
)
の
聖場
(
せいぢやう
)
を
189
三人
(
みたり
)
は
後
(
あと
)
に
立出
(
たちい
)
でて
190
艱難
(
かんなん
)
辛苦
(
しんく
)
を
嘗
(
な
)
め
乍
(
なが
)
ら
191
テルナの
里
(
さと
)
の
酋長
(
しうちやう
)
に
192
長
(
なが
)
き
道程
(
だうてい
)
を
守
(
まも
)
られて
193
キールの
港
(
みなと
)
に
安着
(
あんちやく
)
し
194
船
(
ふね
)
を
傭
(
やと
)
ひて
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
195
波
(
なみ
)
のまにまに
漕
(
こ
)
ぎ
出
(
だ
)
しぬ
196
折柄
(
をりから
)
吹
(
ふ
)
き
来
(
く
)
る
北風
(
きたかぜ
)
に
197
山
(
やま
)
なす
浪
(
なみ
)
は
容赦
(
ようしや
)
なく
198
三人
(
みたり
)
の
船
(
ふね
)
に
衝
(
つ
)
き
当
(
あた
)
る
199
ユリコの
姫
(
ひめ
)
は
船頭
(
せんとう
)
に
200
立
(
た
)
ちて
波
(
なみ
)
をば
静
(
しづ
)
めつつ
201
神
(
かみ
)
のまにまに
琉球
(
りうきう
)
の
202
八重山
(
やへやま
)
島
(
たう
)
を
指
(
さ
)
して
行
(
ゆ
)
く
203
やうやう
茲
(
ここ
)
に
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
204
エルの
港
(
みなと
)
に
安着
(
あんちやく
)
し
205
岸辺
(
きしべ
)
に
船
(
ふね
)
をつなぎおき
206
声名
(
せいめい
)
轟
(
とどろ
)
く
照彦
(
てるひこ
)
の
207
千代
(
ちよ
)
の
住家
(
すみか
)
と
聞
(
きこ
)
えたる
208
サワラの
都
(
みやこ
)
を
指
(
さ
)
して
行
(
ゆ
)
く。
209
サワラの
都
(
みやこ
)
に、
210
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
漸
(
やうや
)
く
辿
(
たど
)
りついた。
211
ここは
際限
(
さいげん
)
もなき
広原
(
くわうげん
)
の
中央
(
まんなか
)
に
築
(
きづ
)
かれたる
新都会
(
しんとくわい
)
にして、
212
白楊樹
(
はくやうじゆ
)
の
森
(
もり
)
四辺
(
しへん
)
を
包
(
つつ
)
み、
213
芭蕉
(
ばせう
)
の
林
(
はやし
)
は
所々
(
ところどころ
)
に
点綴
(
てんてつ
)
してゐる。
214
国人
(
くにびと
)
は
大抵
(
たいてい
)
、
215
芭蕉実
(
ばなな
)
、
216
苺
(
いちご
)
、
217
林檎
(
りんご
)
、
218
木茄子
(
きなすび
)
、
219
柿
(
かき
)
などを
常食
(
じやうしよく
)
とし、
220
或
(
あるひ
)
は
山
(
やま
)
の
芋
(
いも
)
、
221
淡水魚
(
たんすゐぎよ
)
などを
副食物
(
ふくしよくもつ
)
として
生活
(
せいくわつ
)
を
続
(
つづ
)
けてゐる。
222
サワラの
都
(
みやこ
)
には、
223
広大
(
くわうだい
)
なる
堀
(
ほり
)
を
以
(
もつ
)
て
四方
(
しはう
)
を
囲
(
めぐ
)
らしてゐる。
224
其
(
その
)
巾
(
はば
)
殆
(
ほとん
)
ど
一丁
(
いつちやう
)
計
(
ばか
)
りの
広
(
ひろ
)
さである。
225
東西
(
とうざい
)
南北
(
なんぼく
)
に
堅固
(
けんご
)
なる
橋梁
(
けうりやう
)
を
渡
(
わた
)
し、
226
稍
(
やや
)
北方
(
ほくぱう
)
にサワラの
高峰
(
かうはう
)
、
227
雲表
(
うんぺう
)
に
聳
(
そび
)
え、
228
四神
(
しじん
)
相応
(
さうおう
)
の
聖地
(
せいち
)
と
称
(
しよう
)
せられてゐる。
229
城内
(
じやうない
)
には
数百
(
すうひやく
)
の
人家
(
じんか
)
立並
(
たちなら
)
び、
230
今
(
いま
)
より
三十万
(
さんじふまん
)
年前
(
ねんぜん
)
の
都会
(
とくわい
)
としては、
231
最
(
もつと
)
も
大
(
だい
)
なるものと
称
(
しよう
)
されて
居
(
ゐ
)
た。
232
サワラの
城
(
しろ
)
は
殆
(
ほとん
)
ど
其
(
その
)
中心
(
ちうしん
)
に
宏大
(
くわうだい
)
なる
地域
(
ちゐき
)
を
構
(
かま
)
へ、
233
石造
(
せきざう
)
の
館
(
やかた
)
高
(
たか
)
く
老樹
(
らうじゆ
)
の
上
(
うへ
)
にぬき
出
(
で
)
て
居
(
ゐ
)
る。
234
城内
(
じやうない
)
には
畑
(
はたけ
)
もあれば、
235
川
(
かは
)
もあり、
236
沼
(
ぬま
)
もあり、
237
何一
(
なにひと
)
つ
不自由
(
ふじゆう
)
なき
様
(
やう
)
に
作
(
つく
)
られてゐた。
238
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
東
(
ひがし
)
の
門
(
もん
)
より
橋
(
はし
)
を
渡
(
わた
)
つて、
239
門内
(
もんない
)
に
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
つた。
240
黄
(
くわう
)
紅
(
こう
)
白
(
はく
)
紫
(
し
)
紺
(
こん
)
いろいろの
花
(
はな
)
は
木
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
に、
241
草
(
くさ
)
の
先
(
さき
)
に、
242
爛漫
(
らんまん
)
と
咲
(
さ
)
き
乱
(
みだ
)
れてゐる。
243
又
(
また
)
道
(
みち
)
の
両側
(
りやうがは
)
には
百日紅
(
さるすべり
)
や
日和花
(
ひよりばな
)
の
類
(
たぐひ
)
密生
(
みつせい
)
し、
244
白
(
しろ
)
き
砂
(
すな
)
は
日光
(
につくわう
)
に
輝
(
かがや
)
き、
245
台湾島
(
たいわんたう
)
の
日月潭
(
じつげつたん
)
に
比
(
ひ
)
して、
246
幾層倍
(
いくそうばい
)
とも
知
(
し
)
れぬ
気分
(
きぶん
)
のよき
土地
(
とち
)
である。
247
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
何
(
なん
)
となく
恥
(
はづか
)
しき
様
(
やう
)
な、
248
おめる
様
(
やう
)
な
心持
(
こころもち
)
にて、
249
小声
(
こごゑ
)
に
宣伝歌
(
せんでんか
)
を
歌
(
うた
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
250
照彦
(
てるひこ
)
が
千代
(
ちよ
)
の
住家
(
すみか
)
と
定
(
さだ
)
めたる
城門
(
じやうもん
)
の
前
(
まへ
)
に
漸
(
やうや
)
くにして
歩
(
ほ
)
を
運
(
はこ
)
んだ。
251
四五
(
しご
)
の
門番
(
もんばん
)
は
頬杖
(
ほほづゑ
)
をつき
乍
(
なが
)
ら、
252
何
(
いづ
)
れも
睡魔
(
すゐま
)
に
襲
(
おそ
)
はれて、
253
コクリコクリと
居睡
(
いねむ
)
つてゐる
其
(
その
)
長閑
(
のどか
)
さ、
254
天国
(
てんごく
)
の
門番
(
もんばん
)
も
斯
(
か
)
くやと
思
(
おも
)
ふ
計
(
ばか
)
りの
気楽
(
きらく
)
さを
現
(
あら
)
はし
居
(
ゐ
)
る。
255
日楯
(
ひたて
)
は
門番
(
もんばん
)
の
前
(
まへ
)
に
進
(
すす
)
み
寄
(
よ
)
り、
256
日楯
(
ひたて
)
『
頼
(
たの
)
みます
頼
(
たの
)
みます』
257
と
声
(
こゑ
)
をかけた。
258
門番
(
もんばん
)
の
一
(
いち
)
、
259
ねむた
目
(
め
)
をこすり
乍
(
なが
)
ら、
260
門番
(
もんばん
)
ノ
一
(
いち
)
『アヽ
此
(
この
)
真夜中
(
まよなか
)
に
誰
(
たれ
)
か
知
(
し
)
らぬが、
261
人
(
ひと
)
を
起
(
おこ
)
しやがつて、
262
ねむたいワイ。
263
此
(
この
)
門
(
もん
)
は
暮
(
くれ
)
六
(
む
)
つから
明
(
あ
)
け
六
(
む
)
つ
迄
(
まで
)
は
開
(
あ
)
ける
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ぬ。
264
夜
(
よ
)
が
明
(
あ
)
けたら、
265
誰
(
たれ
)
か
知
(
し
)
らぬが
行
(
や
)
つて
来
(
こ
)
い。
266
キツと
開
(
あ
)
けて
通
(
とほ
)
してやる、
267
ムニヤ ムニヤ ムニヤ……』
268
と
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら
又
(
また
)
ゴロンと
横
(
よこ
)
になる。
269
月鉾
(
つきほこ
)
『モシモシ
門番
(
もんばん
)
様
(
さま
)
、
270
まだ
日中
(
につちう
)
で
御座
(
ござ
)
います。
271
暮
(
くれ
)
六
(
む
)
つ
迄
(
まで
)
には
余程
(
よほど
)
間
(
ま
)
も
御座
(
ござ
)
いますから、
272
どうぞ
目
(
め
)
を
醒
(
さ
)
まして、
273
此
(
この
)
門
(
もん
)
をお
開
(
あ
)
け
下
(
くだ
)
さいませ』
274
門番
(
もんばん
)
ノ
二
(
に
)
『お
前
(
まへ
)
は
夜
(
よ
)
が
明
(
あ
)
けとるか
知
(
し
)
らぬが、
275
俺
(
おれ
)
の
目
(
め
)
ではそこら
中
(
ぢう
)
が
真暗
(
まつくら
)
がりだ。
276
暗
(
くら
)
い
時
(
とき
)
は
夜分
(
やぶん
)
にきまつて
居
(
ゐ
)
る。
277
アタねむたい、
278
喧
(
やかま
)
しう
言
(
い
)
はずにトツトと
出直
(
でなほ
)
して
来
(
こ
)
い』
279
月鉾
(
つきほこ
)
『アハヽヽヽ、
280
あなた
目
(
め
)
をおあけなさい。
281
さう
目蓋
(
まぶた
)
を
固
(
かた
)
く
密着
(
みつちやく
)
させてゐては、
282
昼
(
ひる
)
でもヤツパリ
暗
(
くら
)
く
見
(
み
)
えますぞ』
283
門番
(
もんばん
)
ノ
二
(
に
)
『
喧
(
やかま
)
しう
言
(
い
)
ふない。
284
暗
(
くら
)
く
も
何
(
なに
)
もあつたものかい。
285
苦楽
(
くらく
)
一如
(
いちによ
)
だ。
286
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
に
寝
(
ね
)
る
程
(
ほど
)
楽
(
らく
)
はなきものを、
287
起
(
おき
)
てガヤガヤ
騒
(
さわ
)
ぐ
馬鹿
(
ばか
)
のたわけ。
288
おれはまだ
夜中
(
よなか
)
の
夢
(
ゆめ
)
を
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
るのだ。
289
おれの
目
(
め
)
の
引明
(
ひきあ
)
けに
出
(
で
)
て
来
(
こ
)
い。
290
そしたら、
291
あけてやらぬ
事
(
こと
)
もないワイ』
292
とダル
相
(
さう
)
な
声
(
こゑ
)
でブツブツ
云
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
ら、
293
又
(
また
)
横
(
よこ
)
にゴロンとなる。
294
三
(
さん
)
人
(
にん
)
はもどかしがり、
295
稍
(
やや
)
思案
(
しあん
)
に
暮
(
く
)
れて
佇
(
たたず
)
んで
居
(
ゐ
)
る
時
(
とき
)
しも、
296
表門
(
おもてもん
)
はサラリと
左右
(
さいう
)
に
開
(
ひら
)
かれ、
297
中
(
なか
)
より
立派
(
りつぱ
)
なる
男女
(
だんぢよ
)
幾十
(
いくじふ
)
人
(
にん
)
となく
行列
(
ぎやうれつ
)
を
作
(
つく
)
り、
298
三
(
さん
)
人
(
にん
)
の
前
(
まへ
)
に
恭
(
うやうや
)
しく
手
(
て
)
をつき
乍
(
なが
)
ら
大将
(
たいしやう
)
らしき
一人
(
ひとり
)
は、
299
一人の男(セル)
『エヽあなたは
台湾島
(
たいわんたう
)
の
玉藻山
(
たまもやま
)
の
霊場
(
れいぢやう
)
にまします、
300
真道彦
(
まみちひこの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
子息
(
しそく
)
様
(
さま
)
では
御座
(
ござ
)
いませぬか』
301
日楯
(
ひたて
)
丁寧
(
ていねい
)
に
礼
(
れい
)
を
返
(
かへ
)
し、
302
日楯
『ハイ
御
(
お
)
察
(
さつ
)
しの
通
(
とほ
)
り、
303
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
真道彦
(
まみちひこの
)
命
(
みこと
)
の
伜
(
せがれ
)
、
304
日楯
(
ひたて
)
、
305
月鉾
(
つきほこ
)
と
申
(
まを
)
す
者
(
もの
)
、
306
これなる
女
(
をんな
)
は
私
(
わたし
)
の
妻
(
つま
)
ユリコ
姫
(
ひめ
)
と
申
(
まを
)
します。
307
竜世姫
(
たつよひめ
)
様
(
さま
)
の
御
(
ご
)
神勅
(
しんちよく
)
に
依
(
よ
)
り、
308
当国
(
たうこく
)
の
城主
(
じやうしゆ
)
照彦
(
てるひこ
)
様
(
さま
)
、
309
照子姫
(
てるこひめ
)
様
(
さま
)
に
御
(
お
)
願
(
ねがひ
)
の
筋
(
すぢ
)
ありて、
310
大海原
(
おほうなばら
)
を
渡
(
わた
)
り、
311
漸
(
やうや
)
くこれへ
参
(
まゐ
)
つた
者
(
もの
)
で
御座
(
ござ
)
います』
312
一人
(
ひとり
)
の
男
(
をとこ
)
(セル)
『
私
(
わたし
)
はセルと
申
(
まを
)
して、
313
照彦王
(
てるひこわう
)
の
御
(
お
)
側
(
そば
)
近
(
ちか
)
く
仕
(
つか
)
ふる
者
(
もの
)
で
御座
(
ござ
)
います。
314
二三
(
にさん
)
日
(
にち
)
以前
(
いぜん
)
より、
315
照子姫
(
てるこひめ
)
様
(
さま
)
に
高砂島
(
たかさごじま
)
の
竜世姫
(
たつよひめの
)
命
(
みこと
)
様
(
さま
)
御
(
お
)
神懸
(
かむがか
)
り
遊
(
あそ
)
ばし、
316
あなた
方
(
がた
)
御
(
ご
)
三人
(
さんにん
)
様
(
さま
)
がここへ
御
(
お
)
越
(
こ
)
しになるから、
317
出迎
(
でむか
)
ひに
出
(
で
)
よとのお
告
(
つげ
)
で
御座
(
ござ
)
いました。
318
それ
故
(
ゆゑ
)
今日
(
けふ
)
はお
越
(
こ
)
しの
日
(
ひ
)
と
早朝
(
さうてう
)
よりいろいろと、
319
あなた
方
(
がた
)
の
歓迎
(
くわんげい
)
の
用意
(
ようい
)
を
致
(
いた
)
し、
320
照彦
(
てるひこ
)
様
(
さま
)
、
321
照子姫
(
てるこひめ
)
様
(
さま
)
、
322
奥
(
おく
)
にお
待
(
まち
)
で
御座
(
ござ
)
います。
323
サア
御
(
ご
)
案内
(
あんない
)
致
(
いた
)
しますから、
324
早
(
はや
)
くお
這入
(
はい
)
り
下
(
くだ
)
さいませ』
325
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
一度
(
いちど
)
に
頭
(
あたま
)
を
下
(
さ
)
げ、
326
三人
『
有難
(
ありがた
)
う』
327
と
言
(
い
)
ひ
乍
(
なが
)
らセルの
後
(
あと
)
に
従
(
したが
)
ひ、
328
奥
(
おく
)
深
(
ふか
)
く
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
る。
329
門番
(
もんばん
)
は
漸
(
やうや
)
く
目
(
め
)
を
醒
(
さま
)
し、
330
甲
(
かふ
)
『オイ、
331
ベース、
332
チヤール、
333
起
(
お
)
きぬか
起
(
お
)
きぬか、
334
大変
(
たいへん
)
な
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
て
来
(
き
)
たぞ。
335
お
側役
(
そばやく
)
のセル
様
(
さま
)
が
沢山
(
たくさん
)
の
御
(
ご
)
近侍
(
きんじ
)
の
方々
(
かたがた
)
と
共
(
とも
)
に
三
(
さん
)
人
(
にん
)
のお
客
(
きやく
)
さまをお
迎
(
むか
)
へ
遊
(
あそ
)
ばして、
336
奥
(
おく
)
へお
這入
(
はい
)
りになつた。
337
貴様
(
きさま
)
達
(
たち
)
はなまくらを
構
(
かま
)
へて、
338
寝真似
(
ねまね
)
をし、
339
糟
(
かす
)
に
酔
(
よ
)
うた
様
(
やう
)
な
事
(
こと
)
をぬかしてをつたが、
340
たつた
今
(
いま
)
ドテライお
目玉
(
めだま
)
だぞ。
341
サア
早
(
はや
)
く
何
(
なん
)
とか、
342
言訳
(
いひわけ
)
を
拵
(
こしら
)
へて、
343
セル
様
(
さま
)
へお
断
(
ことわ
)
りに
行
(
ゆ
)
かねば、
344
足袋屋
(
たびや
)
の
看板
(
かんばん
)
だ。
345
サツパリ
足
(
あし
)
あがりになつて
了
(
しま
)
ふぞよ』
346
エル『バカを
言
(
い
)
ふな、
347
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
が
寝真似
(
ねまね
)
をして
居
(
を
)
つたのを
知
(
し
)
つてゐた
以上
(
いじやう
)
は、
348
貴様
(
きさま
)
もチヨボチヨボだ。
349
俺
(
おれ
)
が
足
(
あし
)
があがる
位
(
くらゐ
)
なら、
350
貴様
(
きさま
)
は
頭
(
かしら
)
だから、
351
キツト
首
(
くび
)
が
飛
(
と
)
ぶぞよ。
352
貴様
(
きさま
)
は
俺
(
おれ
)
達
(
たち
)
の
組頭
(
くみがしら
)
だからお
詫
(
わび
)
に
往
(
い
)
つて
来
(
く
)
るがよからう。
353
俺
(
おれ
)
や、
354
こんな
門番
(
もんばん
)
なんか、
355
何時
(
なんどき
)
足
(
あし
)
があがつても
構
(
かま
)
やしないのだ。
356
常世城
(
とこよじやう
)
の
門番
(
もんばん
)
を
見
(
み
)
い、
357
失敗
(
しつぱい
)
して
王
(
わう
)
様
(
さま
)
のお
側附
(
そばつき
)
になつたぢやないか。
358
何時
(
いつ
)
迄
(
まで
)
も
門番
(
もんばん
)
を
厳重
(
げんぢゆう
)
に
勤
(
つと
)
めて
居
(
を
)
つたら、
359
彼奴
(
あいつ
)
は
門番
(
もんばん
)
に
適当
(
てきたう
)
な
奴
(
やつ
)
だと、
360
セルの
大将
(
たいしやう
)
に
見込
(
みこ
)
まれたが
最後
(
さいご
)
、
361
金槌
(
かなづち
)
の
川流
(
かはなが
)
れ、
362
一生
(
いつしやう
)
頭
(
あたま
)
の
上
(
あが
)
る
事
(
こと
)
はないぞよ。
363
それより
日中
(
につちう
)
にグウグウと
寝
(
ね
)
てる
方
(
はう
)
が、
364
何時
(
いつ
)
栄達
(
ゑいたつ
)
の
途
(
みち
)
が
開
(
ひら
)
けるか
知
(
し
)
れないぞ。
365
大体
(
だいたい
)
こんな
智者
(
ちしや
)
学者
(
がくしや
)
を
門番
(
もんばん
)
にさしておくのが
見当
(
けんたう
)
違
(
ちが
)
ひだ。
366
マア
見
(
み
)
て
居
(
を
)
れ、
367
明日
(
あす
)
になつたら、
368
貴様
(
きさま
)
達
(
たち
)
は
門番
(
もんばん
)
に
不適当
(
ふてきたう
)
だから、
369
奥勤
(
おくづと
)
めに
使
(
つか
)
つてやらうとの
御
(
ご
)
命令
(
めいれい
)
が
下
(
くだ
)
るに
違
(
ちがひ
)
ない。
370
余
(
あま
)
り
取越
(
とりこし
)
苦労
(
くらう
)
をするものでない。
371
マア
刹那心
(
せつなしん
)
を
楽
(
たのし
)
むのだなア。
372
待
(
ま
)
てば
海路
(
かいろ
)
の
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
くとやら、
373
何事
(
なにごと
)
も
運
(
うん
)
は
天
(
てん
)
にありだ。
374
そんな
事
(
こと
)
に
心配
(
しんぱい
)
するよりも、
375
酒
(
さけ
)
でも
呑
(
の
)
み、
376
一生
(
いつしやう
)
懸命
(
けんめい
)
に
騒
(
さわ
)
ぎ、
377
ステテコでも
踊
(
をど
)
つて、
378
今度
(
こんど
)
のお
客様
(
きやくさま
)
のお
慰
(
なぐさ
)
みに
供
(
きよう
)
したら、
379
照彦王
(
てるひこわう
)
様
(
さま
)
も
面白
(
おもしろ
)
い
奴
(
やつ
)
だと
云
(
い
)
つて、
380
……
苦
(
くる
)
しうない、
381
門番
(
もんばん
)
近
(
ちか
)
く
参
(
まゐ
)
れ……とか
何
(
なん
)
とか
仰有
(
おつしや
)
つて、
382
お
手
(
て
)
づから
盃
(
さかづき
)
を
下
(
くだ
)
され、
383
結構
(
けつこう
)
な
御
(
ご
)
褒美
(
ほうび
)
に
預
(
あづか
)
るやらも
知
(
し
)
れたものだない。
384
サアサア、
385
酒
(
さけ
)
だ
酒
(
さけ
)
だ、
386
酒
(
さけ
)
なくて
何
(
なん
)
のおのれが
門番
(
もんばん
)
かなだ。
387
アハヽヽヽヽ』
388
と
他愛
(
たあい
)
もなき
無駄事
(
むだごと
)
を
囀
(
さへづ
)
り
乍
(
なが
)
ら、
389
バナナで
作
(
つく
)
つた
強烈
(
きつ
)
い
酒
(
さけ
)
を、
390
五
(
ご
)
人
(
にん
)
の
門番
(
もんばん
)
が
胡坐座
(
あぐらざ
)
になつてガブリガブリと
呑
(
の
)
み
始
(
はじ
)
め、
391
ヘベレケになつて、
392
妙
(
めう
)
な
手
(
て
)
つきをし
乍
(
なが
)
ら、
393
踊
(
をど
)
りつ
舞
(
ま
)
ひつ、
394
奥殿
(
おくでん
)
指
(
さ
)
して
転
(
ころ
)
げ
込
(
こ
)
んだ。
395
(
大正一一・八・八
旧六・一六
松村真澄
録)
Δこのページの一番上に戻るΔ
<<< 木茄子
(B)
(N)
唖の対面 >>>
霊界物語
>
第28巻
> 第2篇 暗黒の叫 > 第12章 サワラの都
Tweet
絶賛発売中『超訳霊界物語2/出口王仁三郎の「身魂磨き」実践書/一人旅するスサノオの宣伝使たち』
オニド関連サイト
最新更新情報
10/22
【霊界物語ネット】
『
王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)
』をテキスト化しました。
9/18
【
飯塚弘明.com
】
飯塚弘明著『
PTC2 出口王仁三郎の霊界物語で透見する世界現象 T之巻
』発刊!
5/8
【霊界物語ネット】
霊界物語ネットに出口王仁三郎の
第六歌集『霧の海』
を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【
メールアドレス
】
【12 サワラの都|第28巻(卯の巻)|霊界物語/rm2812】
合言葉「みろく」を入力して下さい→