第一八章 天下泰平〔八一八〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第28巻 海洋万里 卯の巻
篇:第3篇 光明の魁
よみ(新仮名遣い):こうみょうのさきがけ
章:第18章 天下泰平
よみ(新仮名遣い):てんかたいへい
通し章番号:818
口述日:1922(大正11)年08月10日(旧06月18日)
口述場所:
筆録者:松村真澄
校正日:
校正場所:
初版発行日:1923(大正12)年8月10日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:直会の宴で、マリヤス姫は立ち上がって歌った。自らの生い立ちを歌に明かし、悪人たちの動向を探りつつ、三五教のために立ち働いたこれまでの経緯を歌った。
続いて照代姫は、琉球にて代々三五教を奉じていた家の出であり、妹の八千代姫とともに照彦王に仕えていた身の上を歌に歌った。そして照彦王の命により、台湾島のために尽くす覚悟であることを歌った。
カールス王は真道彦命にこれまでの無理解と無礼を謝し、突如、罪滅ぼしのために宣伝使となって各地を放浪するために、真道彦に王位を継ぐようにと懇願した。
真道彦は驚き、互いの家系の使命を説いてカールス王を諌め、断固として王位に就く意思のないことを明かした。真道彦の清廉潔白なる精神に感じたカールス王は、真道彦を導師として、全島に王として範を示すことになった。
カールス王はヤーチン姫を正妃となし、マールエースを宰相となし、ホールサースを副宰相とするなどして国の要職の人々を定め、ここに台湾島は治まった。王は琉球の照彦王に感謝の使いを遣わした。照彦王はカールス王の誠意に感じて台湾島に渡り、泰安城に迎えられて歓迎を受けた。
ここに琉球と台湾は相提携して神業に奉仕することとなった。マールエースは八千代姫、ホールサースは照世姫を娶り、その子孫は永く繁栄し泰安城に仕えた。
カールス王とヤーチン姫の間に、八千彦、八千姫の一男一女が生まれた。照彦王と照子姫の間にも、照国彦、照国姫の一男一女が生まれた。真道彦の媒酌によって八千彦と照国姫、照国彦と八千姫を娶わせ、両家は親族関係を結ぶこととなった。
また、マリヤス姫はカールス王のいとこにあたるフエールスの妻となり、夫婦合わせて国王夫妻を助け、今まで混乱を重ねた台湾島を天国浄土となした功績が大いにあった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:2023-11-21 20:49:47
OBC :rm2818
愛善世界社版:220頁
八幡書店版:第5輯 432頁
修補版:
校定版:228頁
普及版:99頁
初版:
ページ備考:
001 マリヤス姫は立あがり、002自ら歌ひ自ら舞ふ。
003マリヤス姫『花森彦神の裔
005生れ出でたる吾身魂 006父の命の内命を
007奉じて侍女と身をやつし
010其他の魔神の行動を
011朝な夕なに偵察し 012悪人共の計略を
014時の来るを待つ間に
018泰安城の主権をば
019吾手に握り暴政を
022姫の一派を打懲らし
023泰安城を脱け出でて 024真道の彦の現れませる
025日月潭の聖場に
027朝な夕なに月鉾の 028雄々しき姿を見るにつけ
029忽ち悩む恋の暗 030折ある毎に言ひ寄りて
031心の丈を口説け共 032信心堅固の月鉾は
033天地の道理を楯に取り 034容易に妾が恋路をば
035諾なひ玉はぬ月鉾の 036情なき心を恨みしが
037神の御前に額づきて 038静に神意を伺へば
040罪より生れし吾身体
041神に等しき月鉾の 042尊き司に汚れたる
043吾身を以て妹と背の 044契を迫るは何事ぞ
046茲に愈断念し
047天地の神に其罪を 048詫ぶれば心天忽ちに
049真如の月は輝きて 050恋路の暗は晴れにけり
051其れより妾は一心に 052泰嶺聖地の神前に
053心を尽し身を尽し
056岩窟上の牢獄に
058責苦に会はせ玉ふ事
059聞くより心は焦り立ち 060救ひ出さむと国魂の
061神の御前に朝夕に 062祈る折しも月鉾や
063日楯の神やユリコ姫
065照代の姫や八千代姫 066尊き五つの神宝を
067持ちて聖地に帰りまし 068朝な夕なに奉斎し
069心を研く折柄に
073悪神共を駆り集め
076王に仕へし司等を
077岩窟上の牢獄に 078一人も残らず投げ込みて
079暴虐無道の限りを尽し 080猶も進んで玉藻山
083サアルボースやホーロケースを将となし 084攻め来る勢なかなかに
086妾は少数の神軍を
087率ゐて聖地を出発し 088玉藻の湖辺に到る折
090数多の軍と出会し
091獅子奮迅の勢に 092槍を揃へて攻め来る
093猪武者に打向ひ 094大蛇の鏡を取出し
095敵を照らせば鏡面の 096烈しき光に目も眩み
099神に受けたる言霊を
101今迄倒れし敵軍は 102心の眼は云ふも更
105漸く悟る三五の 106尊き神の御恵み
107心の底より正覚し
110峰を乗越え泰安の
111城の馬場に攻寄せて 112群がる数万の軍勢に
113向つて注ぐ照代姫 114八千代の姫の宝鏡の
115光に敵は辟易し 116眼眩みて打ち倒れ
117苦み藻掻く其中を 118城内深く進み入り
120大蛇の玉を射照らせば
121悪狐の姿と還元し 122数多の侍臣と諸共に
123怪しき正体現はしつ 124雲を霞と消え失せぬ
125妾は茲に息休め 126照代の姫や八千代姫
128其他の尊き神人と
135日、月二人の兄弟を 136岩窟上の牢獄に
138芽出度く使命を相果たし
139凱歌を挙げて堂々と
145此場に控ゆる諸人に 146神の恵の幸深く
148曇りを晴らして元の如
149厳の御霊や瑞御霊 150直日の霊に立直し
151救はせ玉へ天津神 152国津御神の御前に
153謹み敬ひ願ぎまつる
156と歌ひ了つて元の座に着いた。
157 照代姫は立上り、158自ら歌ひ、159自ら舞ふ。
160照代姫『神の都のエルサレム
162御前に仕へし真鉄彦 163神の御裔と生れたる
164暗き此世も照代姫
166父照若と諸共に 167神の教を守り居る
169神の司の照彦が
170照子の姫と諸共に
173南の島の人々を
174神の光と御恵みに 175服従へ和し善政を
176施し玉へば草も木も
178世は泰平に治まりぬ 179父の照若喜びて
180照彦王の御前に 181進み出でまし八千代姫
182照代の姫の姉妹を
184御側近く侍らせて 185誠を示し玉ひけり。
187神の御霊を祀りたる
188玉藻の山の聖地より 189日楯、月鉾兄弟は
191照彦王や照子姫
192珍の御前に現はれて 193神の秘密を語り合ふ
194素より三人は口無しの 195心と心に語りつつ
197大谷川を打ち渡り
199心も堅き常楠の
200白髪異様の仙人に
204人目を忍び山の尾を
206神の集まる聖場へ 207二男三女は潔く
209間もなく聞ゆる泰安の
210都の空の大騒ぎ
213尚も暴威を揮ひつつ
214三五教の聖場を 215蹂躙せむと襲ひ来る
218日楯、月鉾両人を 219副将軍と相定め
221八千代の姫と諸共に
222僅に残りし信徒を 223率ゐて玉藻の湖畔迄
227大蛇の鏡を射照らせば
228神威に恐れて目も眩み
230帰順の意をば表しける
232茲に改め味方とし 233泰安城に立向ひ
234空前絶後の勝利をば 235得たるは全く皇神の
236深き守りと知られけり。
239泰安城は末永く
242妹背の契を結びまし 243真道の彦の御教を
244朝な夕なに奉戴し 245五六七の神代の仁政を
247施し玉へ惟神
248神の御前に願ぎまつる。 249八千代の姫や照代姫
251日楯、月鉾両人に
255仮令如何なる事あるも
256再び国へは帰らまじ
258姫命よ真道彦 259其他の尊き神人よ
260妾等二人の姉妹が 261身霊を恵み玉ひつつ
262神の使命を永久に 263立てさせ玉へよ台湾の
264島に時めく神人の 265御前に祈り奉る
268と歌ひ終つて、269元の座に着いた。
270 茲にカールス王は真道彦命に向ひ、271従前の過ちと無礼を謝し、272且つ、
273カールス王『吾はこれより三五教の神司となり、274罪亡ぼしのため宣伝使となつて天が下四方の国を遍歴したければ、275貴下は尊き真道彦命の神裔なるを幸ひ、276貴下が御子なる日楯、277月鉾を左右の臣となし、278泰安城に永く留まりて、279政教両面の主権を握り、280国家を平安に治し召せよ』
281と宣示したるを、282真道彦命は大に驚き、
283真道彦命『カールス王様、284折角の御言葉なれ共、285吾々は国治立尊の御退隠以前より、286吾祖先は専ら神政に仕へ、287現界の政治に容喙せざるを以て天職となし来りたるものなれば、288如何なる事情あり共、289吾は政教両面の主権者となり、290王者の位地に進むべき者に非ず。291何卒此事許りは御取消を願ひ奉ります。292貴王は花森彦命の御裔、293必ず此島国を治め給ふべき、294祖先よりの使命おはしませば、295一刻も早く元の王位に就き、296ヤーチン姫を正妃として天下に君臨し玉へ。297及ばず乍ら、298真道彦命父子の者君が政事を蔭より麻柱奉り、299天下泰平に世を治め玉ふべく守護し奉らむ。300就ては王に進言したき事あり。301信心堅固にして、302仁慈と剛直とを兼ね備へたるマールエースを以て宰相となし、303ホールサースをして副宰相となし、304数多の罪人を赦し、305シヤーカルタンやトロレンスをも重く用ゐ玉へば、306天下は益々太平ならむ。307これ真道彦が赤誠を籠めて、308国家の為に進言する所以であります』
309と毫も政治的野心なき事を告白した。310カールス王は真道彦命の清廉潔白なる精神に感じ入り、311真道彦命を導師と仰ぎ、312自ら三五教の信者となり、313全島に範を示し、314天下は永久に三五教掩護の下に、315枝もならさぬ高砂の芽出度き神国と治まることとなつた。316さうしてヤーチン姫に対する王の疑は全く晴れ、317茲に姫を容れて正妃となし、318マリヤス姫を侍女の頭と定め、319テールスタン、320ホーレンス其他の人々をも悔い改めしめ、321元の如く重用して、322世は永久に治まり、323万民鼓腹撃壌の楽みに酔うた。
324 茲にカールス王は琉球のサワラの都へ、325マールエース、326ホールサースを遣はし、327いろいろの珍らしき貢物を齎せ、328照彦王の前に感謝帰順の意を表することとなつた。
329 照彦王はカールス王の誠意に感じ、330マールエース、331ホールサースと共に始めて台湾島に渡り、332泰安城に迎へられ、333暫く此処に留まり、334山野河海の饗応を受け、335且つ真道彦命の鎮まり居ます玉藻山の聖場に参拝し、336茲に固く手を握り、337琉球、338台湾相提携して、339神業に奉仕する事となつた。
340 真道彦、341照彦王の媒介に依りて、342マールエースは八千代姫を娶り、343ホールサースは照代姫を娶り、344夫婦相睦びて泰安城に仕へ、345其子孫は永く繁栄した。
346 末に至りてカールス王とヤーチン姫の間に八千彦、347八千姫の一男一女が生れた。348又照彦王と照子姫の間にも、349照国彦、350照国姫の一男一女が生れた。351真道彦命の媒酌に依つて、352照彦王の長子照国彦に八千姫を娶はせ、353又カールス王の長子八千彦に照彦王の娘照国姫を娶はせ、354茲に改めて親族関係を結ぶ事となつた。
355 マリヤス姫はアークス王の弟エーリスの長子フエールスの妻となり、356泰安城の花と謳はれて、357上下の信望を担ひ、358ヤーチン姫の政事を輔けて子孫永く繁栄し、359今迄混乱に混乱を重ねたる台湾島も全く天国浄土と化するに至つたのは、360フエールス、361マリヤス姫の力大に与つて功ありと言ふべしである。362あゝ惟神霊幸倍坐世。
363(大正一一・八・一〇 旧六・一八 松村真澄録)