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第36巻(亥の巻)
序文
総説
第1篇 天意か人意か
01 二教対立
〔989〕
02 川辺の館
〔990〕
03 反間苦肉
〔991〕
04 無法人
〔992〕
05 バリーの館
〔993〕
06 意外な答
〔994〕
07 蒙塵
〔995〕
08 悪現霊
〔996〕
第2篇 松浦の岩窟
09 濃霧の途
〔997〕
10 岩隠れ
〔998〕
11 泥酔
〔999〕
12 無住居士
〔1000〕
13 恵の花
〔1001〕
14 歎願
〔1002〕
第3篇 神地の暗雲
15 眩代思潮
〔1003〕
16 門雀
〔1004〕
17 一目翁
〔1005〕
18 心の天国
〔1006〕
19 紅蓮の舌
〔1007〕
第4篇 言霊神軍
20 岩窟の邂逅
〔1008〕
21 火の洗礼
〔1009〕
22 春の雪
〔1010〕
23 雪達磨
〔1011〕
24 三六合
〔1012〕
余白歌
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第五章 バリーの
館
(
やかた
)
〔九九三〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第36巻 海洋万里 亥の巻
篇:
第1篇 天意か人意か
よみ(新仮名遣い):
てんいかじんいか
章:
第5章 バリーの館
よみ(新仮名遣い):
ばりーのやかた
通し章番号:
993
口述日:
1922(大正11)年09月21日(旧08月1日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年12月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
サガレン王派の重臣たちのみならず、王自身をも幽閉してしまった竜雲は、今や誰はばかることなくケールス姫と夫婦気取りになり王の権力を行使し、ますます傍若無人の行動をなした。
そのため国内には人民の恨みの声がとどろいた。竜雲もさすがに公然と王を名乗ることはせず、ケールス姫を表に立てて自分は黒幕となって国政を掌握した。
竜雲は、サール、アナン、セール、ウインチら正義派の残党を捕えようと部下を四方に派遣した。四人はバリーの山中に隠れて王派の部下を集め、竜雲をどうにかして滅ぼして王を復位させ、捕えられている人々を助けようと計画していた。
竜雲は自分の信任厚い弟子・テーリスに獄舎の王派の人々の監視を命じた。しかしテーリスは実は思慮深い王派の人物であり、竜雲とケールス姫の信任を受けて彼らの企みを探っていたのであった。
バリーの山奥にある巨大な岩窟の中で、サガレン王派の人々は竜雲討伐の計画を練っていた。アナンはケールス姫一派に深く入り込んでいるテーリスと連絡をつけて獄中の人たちを救い出そうと計画した。
アナンはわざと捕まってテーリスと連絡をつける計画の出立にあたり、門出の歌を歌った。竜雲の横暴に憤り、サガレン王とその忠臣たちを助け出して戦を仕掛け、竜雲を追い払おうという意気を勇ましく歌い、旅装を整えて出立した。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
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:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-10-05 15:18:13
OBC :
rm3605
愛善世界社版:
42頁
八幡書店版:
第6輯 598頁
修補版:
校定版:
43頁
普及版:
20頁
初版:
ページ備考:
001
竜雲
(
りううん
)
は、
002
サガレン
王
(
わう
)
を
発狂者
(
はつきやうしや
)
として
幽閉
(
いうへい
)
し、
003
左守
(
さもりの
)
神
(
かみ
)
のタールチン
夫婦
(
ふうふ
)
を
初
(
はじ
)
め、
004
右守
(
うもりの
)
神
(
かみ
)
のエームス、
005
ゼム、
006
エール、
007
シルレング、
008
ユーズ
等
(
ら
)
のバラモン
教
(
けう
)
信者
(
しんじや
)
にして
王
(
わう
)
に
誠忠
(
せいちう
)
なる
人物
(
じんぶつ
)
を
残
(
のこ
)
らず
獄
(
ごく
)
に
投
(
とう
)
じたれば、
009
今
(
いま
)
は
誰
(
たれ
)
憚
(
はばか
)
る
者
(
もの
)
もなく、
010
ケールス
姫
(
ひめ
)
と
共
(
とも
)
に
国王
(
こくわう
)
気取
(
きど
)
りになつて、
011
益々
(
ますます
)
傍若
(
ばうじやく
)
無人
(
ぶじん
)
の
行動
(
かうどう
)
をなし、
012
悪逆
(
あくぎやく
)
日
(
ひ
)
に
増長
(
ぞうちよう
)
して、
013
怨嗟
(
ゑんさ
)
の
声
(
こゑ
)
は
国内
(
こくない
)
に
轟
(
とどろ
)
き
渡
(
わた
)
る
事
(
こと
)
となつた。
014
竜雲
(
りううん
)
も
遉
(
さすが
)
は
人心
(
じんしん
)
の
向背
(
かうはい
)
如何
(
いかん
)
を
顧
(
かへり
)
み、
015
公然
(
こうぜん
)
王
(
わう
)
と
名乗
(
なの
)
る
事
(
こと
)
をなさず、
016
ケールス
姫
(
ひめ
)
を
表
(
おもて
)
に
立
(
た
)
て、
017
自分
(
じぶん
)
は
黒幕
(
くろまく
)
となつて
国政
(
こくせい
)
を
掌握
(
しやうあく
)
し、
018
ケリヤを
左守
(
さもりの
)
神
(
かみ
)
とし、
019
ハルマを
右守
(
うもりの
)
神
(
かみ
)
となし、
020
ベール、
021
メール、
022
ヨールの
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
抜擢
(
ばつてき
)
して
重要
(
ぢゆうえう
)
なる
位置
(
ゐち
)
に
据
(
す
)
ゑ、
023
日夜
(
にちや
)
、
024
茗宴
(
めいえん
)
に
耽
(
ふけ
)
り、
025
放埒
(
はうらつ
)
不覊
(
ふき
)
の
生活
(
せいくわつ
)
を
送
(
おく
)
りつつあつた。
026
さうしてサール、
027
アナン、
028
セール、
029
ウインチなぞの
正義派
(
せいぎは
)
を
盡
(
ことごと
)
く
捕
(
とら
)
へて
獄
(
ごく
)
に
投
(
とう
)
ぜむと、
030
部下
(
ぶか
)
を
四方
(
しはう
)
に
派
(
は
)
して
捜索
(
そうさく
)
し
初
(
はじ
)
めた。
031
されど
四
(
よ
)
人
(
にん
)
は、
032
早
(
はや
)
くも
姿
(
すがた
)
をかくし、
033
バリーの
山中
(
さんちう
)
に
隠
(
かく
)
れ、
034
数多
(
あまた
)
の
正
(
ただ
)
しき
王
(
わう
)
の
部下
(
ぶか
)
を
集
(
あつ
)
めて、
035
竜雲
(
りううん
)
を
滅
(
ほろ
)
ぼし、
036
王
(
わう
)
をして
再
(
ふたた
)
び
元
(
もと
)
の
地位
(
ちゐ
)
に
立
(
た
)
たせむと
企劃
(
きくわく
)
しつつあつた。
037
さうして、
038
タールチン
以下
(
いか
)
の
冥窓
(
めいそう
)
に
苦
(
くる
)
しむ
人々
(
ひとびと
)
を
一
(
いち
)
日
(
にち
)
も
早
(
はや
)
く
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
さむと、
039
昼夜
(
ちうや
)
肝胆
(
かんたん
)
を
砕
(
くだ
)
きつつあつたのである。
040
竜雲
(
りううん
)
は
秘蔵
(
ひざう
)
の
弟子
(
でし
)
と
頼
(
たの
)
みたるテーリスをして
牢獄
(
ろうごく
)
の
番人頭
(
ばんにんがしら
)
となし、
041
一同
(
いちどう
)
の
動静
(
どうせい
)
を
監視
(
かんし
)
せしめつつあつた。
042
されど
此
(
この
)
テーリスは
最
(
もつと
)
も
思慮
(
しりよ
)
深
(
ふか
)
き
人物
(
じんぶつ
)
にして、
043
サガレン
王
(
わう
)
の
今日
(
こんにち
)
の
境遇
(
きやうぐう
)
を
予知
(
よち
)
し
居
(
ゐ
)
たれば、
044
初
(
はじ
)
めよりケールス
姫
(
ひめ
)
、
045
竜雲
(
りううん
)
に
取
(
と
)
り
入
(
い
)
り、
046
絶対
(
ぜつたい
)
的
(
てき
)
の
信任
(
しんにん
)
を
受
(
う
)
けて
居
(
ゐ
)
た。
047
それ
故
(
ゆゑ
)
に
竜雲
(
りううん
)
はテーリスを
抜擢
(
ばつてき
)
して
牢獄
(
ろうごく
)
を
守
(
まも
)
らしめ、
048
これにて
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
と
安堵
(
あんど
)
の
胸
(
むね
)
を
撫
(
な
)
で
卸
(
おろ
)
しつつあつたのである。
049
バリーの
山奥
(
やまおく
)
には
巨大
(
きよだい
)
なる
岩窟
(
がんくつ
)
があつて、
050
中
(
なか
)
は
天然
(
てんねん
)
の
住家
(
すみか
)
となつて
居
(
ゐ
)
る。
051
此処
(
ここ
)
にサガレン
王
(
わう
)
に
忠実
(
ちうじつ
)
なる
人々
(
ひとびと
)
は
暫
(
しば
)
し
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
し、
052
竜雲
(
りううん
)
誅伐
(
ちうばつ
)
の
計画
(
けいくわく
)
を
廻
(
めぐ
)
らしつつあつた。
053
サールは
一同
(
いちどう
)
に
向
(
むか
)
ひ、
054
サール
『
最早
(
もはや
)
今日
(
こんにち
)
となつては、
055
竜雲
(
りううん
)
も
稍
(
やや
)
安心
(
あんしん
)
の
胸
(
むね
)
を
撫
(
な
)
で
卸
(
おろ
)
し
気
(
き
)
を
許
(
ゆる
)
し
居
(
を
)
るならむ。
056
何
(
なん
)
とか
致
(
いた
)
して
夜襲
(
やしふ
)
を
試
(
こころ
)
み
彼
(
かれ
)
を
引
(
ひ
)
き
捕
(
とら
)
へ、
057
目
(
め
)
に
物
(
もの
)
見
(
み
)
せてやらずば、
058
王
(
わう
)
様
(
さま
)
を
初
(
はじ
)
め
忠実
(
ちうじつ
)
なる
人々
(
ひとびと
)
の
身辺
(
しんぺん
)
は
刻々
(
こくこく
)
に
危険
(
きけん
)
迫
(
せま
)
り、
059
呑臍
(
どんぜい
)
の
悔
(
くい
)
を
残
(
のこ
)
す
事
(
こと
)
あるべし。
060
如何
(
いか
)
にすれば
宜敷
(
よろし
)
からむや』
061
と
一同
(
いちどう
)
に
計
(
はか
)
れば、
062
アナンは
進
(
すす
)
み
出
(
い
)
で、
063
アナン
『
先
(
ま
)
づ
第一
(
だいいち
)
にタールチン
以下
(
いか
)
を
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
し、
064
短兵急
(
たんぺいきふ
)
に
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
せて
竜雲
(
りううん
)
を
奪
(
うば
)
ひとり、
065
徐
(
おもむろ
)
にケールス
姫
(
ひめ
)
の
御
(
ご
)
改心
(
かいしん
)
を
願
(
ねが
)
ふをもつて
穏健
(
おんけん
)
なるやり
方
(
かた
)
と
考
(
かんが
)
へます。
066
漫
(
みだ
)
りに
人
(
ひと
)
を
殺
(
ころ
)
すは
天
(
てん
)
の
許
(
ゆる
)
さざる
処
(
ところ
)
、
067
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ざれば
彼
(
かれ
)
を
誅伐
(
ちうばつ
)
するも
詮
(
せん
)
なけれど、
068
成
(
な
)
らう
事
(
こと
)
なら
一旦
(
いつたん
)
彼
(
かれ
)
を
捕縛
(
ほばく
)
して
改心
(
かいしん
)
をせまり、
069
どうしても
聞
(
き
)
かざれば
其
(
その
)
時
(
とき
)
の
手段
(
しゆだん
)
に
致
(
いた
)
さうでは
御座
(
ござ
)
らぬか』
070
ウインチ『この
期
(
ご
)
に
及
(
およ
)
んで、
071
そんな
手緩
(
てぬる
)
き
事
(
こと
)
はして
居
(
を
)
られますまい。
072
斯
(
かく
)
の
如
(
ごと
)
く
忠臣
(
ちうしん
)
義士
(
ぎし
)
の
集
(
あつ
)
まりし
上
(
うへ
)
からは、
073
一挙
(
いつきよ
)
に
攻
(
せ
)
めよせ
竜雲
(
りううん
)
を
滅
(
ほろぼ
)
し、
074
国家
(
こくか
)
の
為
(
た
)
め
害
(
がい
)
をのぞくに
如
(
し
)
くはありますまい』
075
セール『
先
(
ま
)
ず
第一
(
だいいち
)
に、
076
タールチン、
077
エームス
以下
(
いか
)
を
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
すのが
肝腎
(
かんじん
)
で
御座
(
ござ
)
らう。
078
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
らこれは
容易
(
ようい
)
の
業
(
わざ
)
では
御座
(
ござ
)
らぬ。
079
皆
(
みな
)
さまは
何
(
なに
)
か
確信
(
かくしん
)
が
御座
(
ござ
)
いますかな』
080
アナン『
確
(
たしか
)
にあります。
081
テーリスと
内外
(
ないぐわい
)
相応
(
あひおう
)
じ、
082
先
(
ま
)
づ
彼
(
かれ
)
をして
時
(
とき
)
を
窺
(
うかが
)
ひタールチン
以下
(
いか
)
を
救
(
すく
)
ひ
出
(
だ
)
さしめ、
083
それを
機会
(
きくわい
)
に
攻
(
せ
)
め
寄
(
よ
)
せなば
易々
(
いい
)
たる
業
(
わざ
)
で
御座
(
ござ
)
らう』
084
ウインチ『
何
(
なに
)
を
云
(
い
)
うても
名利
(
めいり
)
に
走
(
はし
)
る
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
、
085
悪
(
あく
)
に
従
(
したが
)
ふものは
大多数
(
だいたすう
)
、
086
吾
(
われ
)
等
(
ら
)
は
寡
(
くわ
)
をもつて
衆
(
しう
)
に
当
(
あた
)
る
事
(
こと
)
なれば、
087
余
(
あま
)
り
楽観
(
らくくわん
)
は
出来
(
でき
)
申
(
まを
)
さぬ。
088
又
(
また
)
テーリスは
竜雲
(
りううん
)
の
股肱
(
ここう
)
と
頼
(
たの
)
む
大
(
だい
)
の
味方
(
みかた
)
、
089
さう
註文
(
ちうもん
)
通
(
どほ
)
り
彼
(
かれ
)
が
返
(
かへ
)
り
忠
(
ちう
)
を
致
(
いた
)
す
気遣
(
きづか
)
ひもありますまい』
090
アナン『
決
(
けつ
)
して
決
(
けつ
)
して
御
(
ご
)
心配
(
しんぱい
)
は
御
(
ご
)
無用
(
むよう
)
で
御座
(
ござ
)
る。
091
テーリスは
今日
(
こんにち
)
ある
事
(
こと
)
を
予知
(
よち
)
し、
092
わざと
竜雲
(
りううん
)
の
喉下
(
のどもと
)
に
這入
(
はい
)
り、
093
甘
(
うま
)
く
彼
(
かれ
)
が
股肱
(
ここう
)
となつた
者
(
もの
)
故
(
ゆゑ
)
、
094
牢獄
(
ろうごく
)
の
監督
(
かんとく
)
を
命
(
めい
)
じたので
御座
(
ござ
)
います。
095
きつとテーリスは
吾々
(
われわれ
)
の
至
(
いた
)
るを
待
(
ま
)
つて
居
(
を
)
るでせう』
096
ウインチ『
果
(
はた
)
して
夫
(
そ
)
れが
真
(
しん
)
なりとすれば、
097
実
(
じつ
)
に
此
(
この
)
上
(
うへ
)
なき
好都合
(
かうつがふ
)
で
御座
(
ござ
)
る。
098
何
(
なん
)
とか
彼
(
かれ
)
に
面会
(
めんくわい
)
する
機会
(
きくわい
)
は
御座
(
ござ
)
るまいかなア』
099
アナンはニツコと
笑
(
わら
)
ひ、
100
アナン
『
沢山
(
たくさん
)
に
手段
(
しゆだん
)
は
御座
(
ござ
)
る。
101
先
(
ま
)
づ
御
(
ご
)
一同
(
いちどう
)
が
夜討
(
ようち
)
の
計画
(
けいくわく
)
を
整
(
ととの
)
へられた
上
(
うへ
)
、
102
私
(
わたし
)
は
神地城
(
かうぢじやう
)
近
(
ちか
)
く
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
り、
103
態
(
わざ
)
と
竜雲
(
りううん
)
の
部下
(
ぶか
)
に
捕
(
とら
)
へられ、
104
入牢
(
にふらう
)
してテーリスに
遇
(
あ
)
ひ、
105
この
計画
(
けいくわく
)
を
窃
(
ひそか
)
に
示
(
しめ
)
し
合
(
あは
)
せ、
106
事
(
こと
)
を
計
(
はか
)
るで
御座
(
ござ
)
らう。
107
先
(
ま
)
ず
私
(
わたし
)
は
是
(
これ
)
より
神地
(
かうぢ
)
の
都
(
みやこ
)
近
(
ちか
)
くに
進
(
すす
)
みませう。
108
こちらの
方
(
はう
)
に
準備
(
じゆんび
)
が
整
(
ととの
)
へば
牢獄
(
ろうごく
)
の
近辺
(
きんぺん
)
に
夜
(
よる
)
窃
(
ひそか
)
に
現
(
あら
)
はれて、
109
爆竹
(
ばくちく
)
の
合図
(
あひづ
)
をして
下
(
くだ
)
さい。
110
さすれば
私
(
わたし
)
はテーリスと
共
(
とも
)
に、
111
内部
(
ないぶ
)
の
人々
(
ひとびと
)
を
牢獄
(
らうごく
)
より
放
(
はな
)
ちし
上
(
うへ
)
、
112
爆竹
(
ばくちく
)
をもつて
合図
(
あひづ
)
を
致
(
いた
)
しませう。
113
その
音
(
おと
)
を
聞
(
き
)
くと
共
(
とも
)
に
表門
(
おもてもん
)
に
殺到
(
さつたう
)
されたし。
114
必
(
かなら
)
ず
内
(
うち
)
より
門
(
もん
)
を
開
(
ひら
)
き、
115
共
(
とも
)
に
共
(
とも
)
に
大活動
(
だいくわつどう
)
を
致
(
いた
)
しませう。
116
これより
外
(
ほか
)
に
計略
(
けいりやく
)
はありませぬ』
117
サール『なる
程
(
ほど
)
結構
(
けつこう
)
な
謀
(
はかりごと
)
ではありますが、
118
竜雲
(
りううん
)
も
亦
(
また
)
、
119
神変
(
しんぺん
)
不思議
(
ふしぎ
)
の
妖術
(
えうじゆつ
)
を
使
(
つか
)
ふ
奴
(
やつ
)
なれば、
120
吾々
(
われわれ
)
の
計略
(
けいりやく
)
を
前知
(
ぜんち
)
し
却
(
かへつ
)
て
敵
(
てき
)
に
計
(
はか
)
られ、
121
反対
(
はんたい
)
に
滅
(
ほろぼ
)
さるるやうな
事
(
こと
)
はありますまいかなア』
122
アナン『
決
(
けつ
)
して
左様
(
さやう
)
な
心配
(
しんぱい
)
は
入
(
い
)
りませぬ。
123
竜雲
(
りううん
)
は
些
(
すこ
)
しも
神通力
(
じんつうりき
)
はもつて
居
(
ゐ
)
ませぬ。
124
もし、
125
果
(
はた
)
して
彼
(
かれ
)
に
神通力
(
じんつうりき
)
がありとすれば、
126
テーリスの
心
(
こころ
)
を
看破
(
かんぱ
)
せずには
居
(
を
)
りますまい』
127
ウインチ、
128
サール、
129
セールは『
成程
(
なるほど
)
』と
打
(
う
)
ち
諾
(
うなづ
)
き、
130
思
(
おも
)
はず
知
(
し
)
らず『アハヽヽヽ』と
打
(
う
)
ち
笑
(
わら
)
ふ。
131
アナンは
門出
(
かどで
)
の
祝
(
いはひ
)
として
歌
(
うた
)
を
謡
(
うた
)
ふ。
132
アナン
『あゝ
面白
(
おもしろ
)
し
面白
(
おもしろ
)
し
133
不倶
(
ふぐ
)
戴天
(
たいてん
)
の
仇
(
あだ
)
を
討
(
う
)
ち
134
君
(
きみ
)
を
助
(
たす
)
くる
時
(
とき
)
は
来
(
き
)
ぬ
135
ウラルの
教
(
をしへ
)
の
竜雲
(
りううん
)
が
136
いつの
間
(
ま
)
にやら
錫蘭
(
シロ
)
の
島
(
しま
)
137
神地
(
かうぢ
)
の
都
(
みやこ
)
に
現
(
あら
)
はれて
138
種々
(
いろいろ
)
雑多
(
ざつた
)
と
計画
(
けいくわく
)
し
139
ケールス
姫
(
ひめ
)
の
傍近
(
そばちか
)
く
140
侍
(
はべ
)
りて
姫
(
ひめ
)
を
誑惑
(
けふわく
)
し
141
日
(
ひ
)
に
日
(
ひ
)
につのる
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
むだう
)
142
左守
(
さもりの
)
神
(
かみ
)
のタールチン
143
キングス
姫
(
ひめ
)
を
初
(
はじ
)
めとし
144
エームス、ユーズ、ゼム、エール
145
シルレング
迄
(
まで
)
も
無残
(
むざん
)
にも
146
牢獄
(
ひとや
)
の
中
(
なか
)
に
投
(
な
)
げ
込
(
こ
)
みて
147
自己
(
われ
)
に
従
(
したが
)
ふ
悪者
(
わるもの
)
を
148
近
(
ちか
)
づけ
遂
(
つひ
)
に
野心
(
やしん
)
をば
149
遂行
(
すゐかう
)
せむと
朝夕
(
あさゆふ
)
に
150
よからぬ
事
(
こと
)
を
企
(
たく
)
みつつ
151
サガレン
王
(
わう
)
を
幽閉
(
いうへい
)
し
152
飛
(
と
)
ぶ
鳥
(
とり
)
さへも
落
(
おと
)
すよな
153
その
勢
(
いきほひ
)
のすさまじく
154
侮
(
あなど
)
り
難
(
がた
)
く
見
(
み
)
えにけり
155
さはさりながら
天地
(
あめつち
)
の
156
皇
(
すめ
)
大神
(
おほかみ
)
はいかにして
157
此
(
この
)
狂暴
(
きやうばう
)
を
許
(
ゆる
)
すべき
158
天地
(
てんち
)
の
道理
(
だうり
)
に
背
(
そむ
)
きたる
159
曲
(
まが
)
の
司
(
つかさ
)
の
竜雲
(
りううん
)
を
160
滅
(
ほろ
)
ぼしたまふ
時
(
とき
)
は
来
(
き
)
ぬ
161
あゝ
面白
(
おもしろ
)
し
面白
(
おもしろ
)
し
162
精忠
(
せいちう
)
無比
(
むひ
)
の
人々
(
ひとびと
)
は
163
この
隠家
(
かくれや
)
に
集
(
あつ
)
まりて
164
君
(
きみ
)
の
御
(
おん
)
為
(
ため
)
国
(
くに
)
の
為
(
ため
)
165
軍
(
いくさ
)
を
整
(
ととの
)
へ
神地城
(
かうぢじやう
)
166
さして
堂々
(
だうだう
)
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く
167
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
も
吾々
(
われわれ
)
が
168
誠
(
まこと
)
を
諾
(
うべな
)
ひたまひつつ
169
太
(
ふと
)
き
功
(
いさを
)
を
永久
(
とこしへ
)
に
170
立
(
た
)
てさせたまはむ
逸早
(
いちはや
)
く
171
準備
(
じゆんび
)
を
整
(
ととの
)
へ
曲神
(
まがかみ
)
を
172
打
(
う
)
ち
平
(
たひら
)
げて
天ケ下
(
あめがした
)
173
四方
(
よも
)
の
民草
(
たみぐさ
)
安
(
やす
)
らけく
174
いと
平
(
たひら
)
けく
治
(
をさ
)
むべし
175
吾
(
われ
)
はこれより
一走
(
ひとはし
)
り
176
神地
(
かうぢ
)
の
都
(
みやこ
)
に
立
(
た
)
ち
向
(
むか
)
ひ
177
彼
(
か
)
の
竜雲
(
りううん
)
が
手下
(
てした
)
等
(
ら
)
に
178
甘
(
うま
)
く
捕
(
とら
)
はれ
入獄
(
にふごく
)
し
179
テーリスさまに
廻
(
めぐ
)
り
遇
(
あ
)
ひ
180
すべての
計画
(
けいくわく
)
打
(
う
)
ち
合
(
あは
)
せ
181
サール、セールやウインチの
182
神軍
(
しんぐん
)
攻
(
せ
)
めて
来
(
きた
)
る
迄
(
まで
)
183
総
(
すべ
)
ての
準備
(
じゆんび
)
を
整
(
ととの
)
へむ
184
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
185
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ
186
忠義
(
ちうぎ
)
に
逸
(
はや
)
る
吾々
(
われわれ
)
が
187
願
(
ねが
)
ひを
漏
(
も
)
らさず
聞
(
きこ
)
し
召
(
め
)
せ
188
神地
(
かうぢ
)
の
城
(
しろ
)
は
高
(
たか
)
くとも
189
周囲
(
めぐり
)
の
堀
(
ほり
)
は
深
(
ふか
)
くとも
190
忠義
(
ちうぎ
)
一途
(
いちづ
)
の
真心
(
まごころ
)
に
191
刃向
(
はむか
)
ふ
敵
(
てき
)
はよもあらじ
192
あゝ
勇
(
いさ
)
ましや
勇
(
いさ
)
ましや
193
君
(
きみ
)
を
助
(
たす
)
くる
時
(
とき
)
は
来
(
き
)
ぬ
194
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
195
数多
(
あまた
)
の
正
(
ただ
)
しき
人々
(
ひとびと
)
よ
196
後
(
あと
)
より
用意
(
ようい
)
を
整
(
ととの
)
へて
197
進
(
すす
)
んで
来
(
きた
)
れ
逸早
(
いちはや
)
く
198
吾
(
われ
)
は
一先
(
ひとま
)
づ
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
でむ
199
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
200
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
201
仮令
(
たとへ
)
大地
(
だいち
)
は
沈
(
しづ
)
むとも
202
誠
(
まこと
)
の
力
(
ちから
)
は
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふ
203
神
(
かみ
)
が
表
(
おもて
)
に
現
(
あら
)
はれて
204
善
(
ぜん
)
と
悪
(
あく
)
とを
立
(
た
)
てわける
205
三五教
(
あななひけう
)
ではなけれども
206
此
(
この
)
世
(
よ
)
を
造
(
つく
)
りし
神直日
(
かむなほひ
)
207
心
(
こころ
)
も
広
(
ひろ
)
き
大直日
(
おほなほひ
)
208
唯
(
ただ
)
何事
(
なにごと
)
も
人
(
ひと
)
の
世
(
よ
)
は
209
直日
(
なほひ
)
に
見直
(
みなほ
)
せ
聞直
(
ききなほ
)
せ
210
身
(
み
)
の
過
(
あやま
)
ちは
宣
(
の
)
り
直
(
なほ
)
す
211
神
(
かみ
)
の
心
(
こころ
)
に
顧
(
かへり
)
みて
212
悪逆
(
あくぎやく
)
無道
(
むだう
)
の
竜雲
(
りううん
)
も
213
心
(
こころ
)
を
改
(
あらた
)
めまつろへば
214
必
(
かなら
)
ず
命
(
いのち
)
は
助
(
たす
)
くべし
215
いざいざさらばいざさらば
216
いづれも
無事
(
ぶじ
)
で
神軍
(
しんぐん
)
を
217
指揮
(
しき
)
して
後
(
あと
)
より
来
(
きた
)
りませ』
218
と
足早
(
あしばや
)
に
旅装束
(
たびしやうぞく
)
を
調
(
ととの
)
へ、
219
神地
(
かうぢ
)
の
都
(
みやこ
)
を
指
(
さ
)
して
進
(
すす
)
み
行
(
ゆ
)
く。
220
(
大正一一・九・二一
旧八・一
加藤明子
録)
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【05 バリーの館|第36巻(亥の巻)|霊界物語/rm3605】
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