第二〇章 岩窟の邂逅〔一〇〇八〕
インフォメーション
著者:出口王仁三郎
巻:霊界物語 第36巻 海洋万里 亥の巻
篇:第4篇 言霊神軍
よみ(新仮名遣い):ことたましんぐん
章:第20章 岩窟の邂逅
よみ(新仮名遣い):がんくつのかいこう
通し章番号:1008
口述日:1922(大正11)年09月23日(旧08月3日)
口述場所:
筆録者:北村隆光
校正日:
校正場所:
初版発行日:1923(大正12)年12月30日
概要:
舞台:
あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]:一方、松浦の里のサガレン王が隠れ住む岩窟の前に聞こえてきた女宣伝使の宣伝歌は、神素盞嗚大神の娘・君子姫であった。思わず宣伝歌に引きつけられて出迎えたエームスに、君子姫と侍女の清子姫は一礼し、ここに隠れているサガレン王とは、顕恩郷で二人が仕えていた国別彦ではないかと問い、面会を申し出た。
サガレン王はバラモン教教主の息子として、顕恩郷で君子姫、清子姫に面識があった。王は君子姫に、父の死後バラモン教の教主となった鬼雲彦に疎んぜられて顕恩郷を出て以来、このシロの島にやってきてバラモン教を広め王となったが、竜雲に后と国を奪われた経緯を歌で明かした。
そしてこの岩窟に現れて自分たちに大神の教えを思い起こさせてくれた老人は、三五教の天の目一つの神ではないかと問い、君子姫に対して、心をあわせてシロの島に大神の教えを広め、竜雲やケールス姫を改心させたい旨を歌で訴えた。
君子姫は、鬼雲彦一派に海に流されてここにたどり着いたのは、サガレン王を救うためであると答え、何々教といった小さな隔てを撤回し、神の心ひとつとなってシロの島にわだかまる曲津を言向け和そうと歌った。
サガレン王は君子姫たちと協力し、神地の都の人々を言向け和すべく、王を先頭に旗鼓堂々として宣伝歌を歌いながら都を指して進んで行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる]:
備考:
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データ凡例:
データ最終更新日:2022-10-13 10:30:08
OBC :rm3620
愛善世界社版:221頁
八幡書店版:第6輯 662頁
修補版:
校定版:229頁
普及版:100頁
初版:
ページ備考:
001 松浦の里の天然の岩窟の前に聞えて来た女の宣伝歌。
002(君子姫)『神が表に現はれて 003善と悪とを立て別ける
004此世を造りし神直日 005心も広き大直日
006只何事も人の世は 007直日に見直せ聞き直せ
008身の過ちは宣り直す 009三五教の神の道
010抑も起りを尋ぬれば 011国の御祖と現れませる
012国治立大御神 013豊国姫大御神
014厳と瑞との二柱 015塩長彦や大国彦の
016神の命の枉業に
018根底の国に下りまし
020下津岩根の底深く 021隠れ給ひつ神人を
022恵ませ給ふ御心は 023天津空より尚高く
024竜宮海より尚深し 025野立の彦や野立姫
027厳の霊を分け給ひ
028埴安彦や埴安姫の 029神の命の分霊
030神素盞嗚大神の 031瑞の御霊と諸共に
032至厳至重の神界の 033清き大智を世に照らし
034天地四方の神人の 035身魂を四方に生ませつつ
038神素盞嗚大神の 039御子と生れし君子われは
040父の御言を畏みて
043鬼雲彦の側近く
044仕へ奉りて三五の
048吾等姉妹八人は
050各自々々に宣伝歌 051謡ひて進む折柄に
054悲しや姉妹五人連れ
056破れ小船に乗せられて
058神の恵みを受け乍ら 059千波万波を乗り越えて
063夜を日についで大神の
064大道を伝へ宣べながら 065漸く此処に来りけり
071タールチン司やキングス姫の
074其外百の司達
076心汚き竜雲が 077醜の企みを根底より
078顛覆させて元の如 079王位に復させ給へかし
081仁慈無限の御心は
082決して人をば傷つけず
084仁慈無限の正道を 085心の空に照り明かし
086救ひ助くる思召 087必ず大事を過らず
088瑞の御霊の貴の子と 089生れ出でたる君子われ
090御供に仕ふる清子姫 091只今此処に現はれて
093誠の心を打ち明けて
094進め参らす言霊を 095完美に委曲に聞し召せ
096朝日は照るとも曇るとも
098竜雲如何に強くとも
100誠一つの言霊を 101射放ち給へば曲神も
102忽ち神威に相うたれ 103雲を霞と消え失せむ
106と足拍子を取つて勇ましく謡ひ乍ら館の前に進み来る。
107 エームスは知らず知らずに此宣伝歌に引きつけられ、108二人の宣伝使の前に進み寄り丁寧に礼をなせば二人も恭しく答礼し、
109君子姫『妾は三五教の若き女の宣伝使で御座います。110今此処に伴つて居りますのは清子姫と云ふこれも宣伝使で御座います。111妾は或事情の為め、112鬼雲彦様の部下に捕へられ、113此処まで流されて漸く漂着して来た者で御座います。114サガレン王様と申すのは、115大国別神様の御子息国別彦様では御座いますまいか。116お差支なくば、117何卒拝顔が致したいもので御座います』
118エームス『ハイ左様ならば暫くお待ち下さいませ。119エームスこれより奥へ参り伺つて来ます。120何卒それ迄お腰を卸してお休みを願ひます』
121君子姫『早速の御承知、122有難う厶います。123左様なれば清子姫様、124暫く休息さして頂きませう』
125 暫くあつてエームスは恭しく出で来り、126君子姫、127清子姫の先に立ち、128サガレン王の潜みたる岩窟に進み入る。129サガレン王は君子姫の姿を見るより今更の如く打ち驚きぬ。130其故はメソポタミヤの顕恩郷に於て常に顔を合して居た為に、131見覚えが何処ともなくあつたからである。132サガレン王は歌ふ。
133サガレン王『思へば高し神の恩 134計り知られぬ顕恩の
137神素盞嗚大神の 138御子と生れし君子姫
140鬼雲彦の側近く
141仕へ給ひし神姿を
144吾は大国別神
145教司の貴の御子
147鬼雲彦が暴虐の 148醜の魔風に煽られて
149已むなくお城を脱出し
152波に漂ひ印度洋
153千波万波をかき分けて
157漸く神地の都路に 158進みて教を宣りつるが
159心正しき国人は 160一人残らず吾道に
161服ひ来りて神館 162瞬く間に建て終り
163要害堅固の絶勝をば 164選みて此処に城造り
166神地の都の王となり
167神を敬ひ民を撫で
171岩井の里の酋長が 172娘と生れしケールス姫の
173君の命を発見し 174愈此処に妻となし
175厳と瑞とは相並び 176顕幽一致の政体を
177開く折しも腹黒き 178醜の曲津の竜雲が
179何処ともなく入り来り 180忽ち館を蹂躙し
181悪逆日々に募りつつ 182遂には吾を追ひ出し
183今や暴威を揮ひつつ
186神の御霊の幸はひて
187三五教の宣伝使 188天の目一つ神様は
189此処に現はれ来りまし 190顕幽一致の真諦を
191完美に委曲に説き給ひ 192喜ぶ間もなく素盞嗚の
193神の命の御裔なる 194汝の命は今此処に
195現はれ給ひし雄々しさよ 196君子の姫よ清子姫
198教を奉ずる身なれども
199皇大神の御心に
201思へば思へば有難し
205四方の国人悉く 206尊き神の御道に
207服へ和し竜雲が 208心に潜む曲神を
209千里の外に追ひ払ひ
211君の命を善道に 212導き救ひ麻柱の
213誠の道を永久に 214経と緯との機を織り
215治めて行かむ惟神 216神に誓ひて真心を
220と謡へば、221君子姫はこれに答へて、
222君子姫『あゝ惟神々々 223尊き神の御裔と
224生れ出でませる国別彦の 225神の命の言霊よ
227日の出神や木花の
228咲耶の姫の神言もて 229父大神に従ひて
230三五教を天ケ下
232開き伝ふる宣伝使 233吾は君子の姫なるぞ
234父の御言を畏みて 235バラモン教の大棟梁
236鬼雲彦の側近く
239心を尽し身を竭し
240千々に説けども諭せども 241霊の曇りし神司
242千言万語の言の葉も 243豆腐に鎹糠に釘
245あらぬ月日を送る内
247厳の言霊打ち出し
248雄健び給へば鬼雲彦の 249神の司は逸早く
250見るも恐ろし其姿
253妾姉妹八人は
254右や左に相別れ
258彷徨ひ巡りて御教を
260神の司の釘彦が 261手下の者に捕へられ
262無残や五人の姉妹は 263見るも危き捨小舟
266神を力に三五の 267誠を杖に両人は
268潮の八百路を打渡り
271木草も茂るシロの島
273夜を日に次いで今此処に
276人は神の子神の宮 277慈愛の深き大神の
280如何なる曲の猛ぶとも 281何か恐れむ神心
284神の教と云ふ様な 285小さき隔てを撤回し
286互に手を執り助け合ひ
288八岐大蛇や醜狐
290昔の儘の神国に 291完美に委曲に樹て直し
293開き仕へむ惟神
294神の御前に君子姫 295謹み敬ひ祈ぎ奉る
298と謡ひ終り、299茲にサガレン王、300君子姫は胸襟を開いて久濶を叙し、301相提携して、302竜雲始めケールス姫其他の神司達に憑依せる曲津神を打払ひ、303本然の心に立ち帰らしめ、304再びシロの島の神地の都をして至治太平の楽園と復すべく、305王を先頭にタールチン、306キングス姫、307テーリス、308エームス其他の幹部を始め、309数多の至誠の男女を引率し、310旗鼓堂々として宣伝歌を歌ひながら、311馬に跨り都を指して進み行く。312惟神霊幸倍坐世。
313(大正一一・九・二三 旧八・三 北村隆光録)