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第75巻(寅の巻)
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第77巻(辰の巻)
第78巻(巳の巻)
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第36巻(亥の巻)
序文
総説
第1篇 天意か人意か
01 二教対立
〔989〕
02 川辺の館
〔990〕
03 反間苦肉
〔991〕
04 無法人
〔992〕
05 バリーの館
〔993〕
06 意外な答
〔994〕
07 蒙塵
〔995〕
08 悪現霊
〔996〕
第2篇 松浦の岩窟
09 濃霧の途
〔997〕
10 岩隠れ
〔998〕
11 泥酔
〔999〕
12 無住居士
〔1000〕
13 恵の花
〔1001〕
14 歎願
〔1002〕
第3篇 神地の暗雲
15 眩代思潮
〔1003〕
16 門雀
〔1004〕
17 一目翁
〔1005〕
18 心の天国
〔1006〕
19 紅蓮の舌
〔1007〕
第4篇 言霊神軍
20 岩窟の邂逅
〔1008〕
21 火の洗礼
〔1009〕
22 春の雪
〔1010〕
23 雪達磨
〔1011〕
24 三六合
〔1012〕
余白歌
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第一〇章
岩隠
(
いはがく
)
れ〔九九八〕
インフォメーション
著者:
出口王仁三郎
巻:
霊界物語 第36巻 海洋万里 亥の巻
篇:
第2篇 松浦の岩窟
よみ(新仮名遣い):
まつうらのがんくつ
章:
第10章 岩隠れ
よみ(新仮名遣い):
いわがくれ
通し章番号:
998
口述日:
1922(大正11)年09月22日(旧08月2日)
口述場所:
筆録者:
加藤明子
校正日:
校正場所:
初版発行日:
1923(大正12)年12月30日
概要:
舞台:
あらすじ
[?]
このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「
王仁DB
」にあります。
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:
サガレン王は述懐の歌を歌いながら険阻な谷道を落ち延びてきた。三人は巨大な岩の陰に休息を取り、昨夜からの出来事をひそひそと語り合っていた。
三人は休息を終わって先に進もうとしたところ、行く手から人声が聞こえてきた。一行は竜雲の手下のヨールの一隊であることを悟り、再び大岩石の後ろに身を隠した。
ヨールたちは、岩の後ろに王たちが潜んでいるとも知らずに、王たちを捕える算段を相談し始めた。そのうちにヨールの一隊の五人は酒を飲んで酔いつぶれてしまった。
主な登場人物
[?]
【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。
[×閉じる]
:
備考:
タグ:
データ凡例:
データ最終更新日:
2022-10-08 13:11:08
OBC :
rm3610
愛善世界社版:
93頁
八幡書店版:
第6輯 615頁
修補版:
校定版:
96頁
普及版:
39頁
初版:
ページ備考:
001
サガレン
王
(
わう
)
は
路々
(
みちみち
)
歌
(
うた
)
ふ。
002
サガレン王
『
常世
(
とこよ
)
の
国
(
くに
)
の
自在天
(
じざいてん
)
003
大国彦
(
おほくにひこ
)
の
裔
(
すゑ
)
の
子
(
こ
)
と
004
生
(
うま
)
れ
出
(
い
)
でたる
吾
(
われ
)
こそは
005
国別彦
(
くにわけひこ
)
の
神司
(
かむつかさ
)
006
イホの
都
(
みやこ
)
をやらはれて
007
メソポタミヤの
顕恩郷
(
けんおんきやう
)
008
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
009
教
(
をしへ
)
を
伝
(
つた
)
ふる
折柄
(
をりから
)
に
010
三五教
(
あななひけう
)
の
神司
(
かむつかさ
)
011
太玉
(
ふとだま
)
神
(
かみ
)
が
現
(
あら
)
はれて
012
善言
(
ぜんげん
)
美辞
(
びじ
)
の
言霊
(
ことたま
)
を
013
放
(
はな
)
ちたまへばバラモンの
014
大棟梁
(
だいとうりやう
)
と
僣称
(
せんしよう
)
する
015
鬼雲彦
(
おにくもひこ
)
はおぢ
恐
(
おそ
)
れ
016
其
(
その
)
醜体
(
しうたい
)
を
暴露
(
ばくろ
)
して
017
いづくともなく
逃
(
に
)
げ
失
(
う
)
せぬ
018
大国別
(
おほくにわけ
)
の
子
(
こ
)
と
現
(
あ
)
れし
019
幼
(
をさな
)
き
吾
(
われ
)
を
奇貨
(
きくわ
)
となし
020
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
虐
(
しひた
)
げて
021
暴威
(
ばうゐ
)
を
振
(
ふる
)
ひし
天罰
(
てんばつ
)
の
022
誡
(
いまし
)
めこそは
畏
(
おそ
)
ろしき
023
吾
(
われ
)
は
夫
(
それ
)
より
顕恩
(
けんおん
)
の
024
郷
(
さと
)
を
逃
(
のが
)
れてフサの
国
(
くに
)
025
月
(
つき
)
の
国
(
くに
)
をば
逍遥
(
せうえう
)
し
026
あらゆる
山河
(
さんが
)
を
跋渉
(
ばつせふ
)
し
027
千辛
(
せんしん
)
万苦
(
ばんく
)
を
忍
(
しの
)
びつつ
028
ボーナの
海峡
(
かいけふ
)
打
(
う
)
ち
渡
(
わた
)
り
029
錫蘭
(
シロ
)
の
島根
(
しまね
)
に
安着
(
あんちやく
)
し
030
沐雨
(
もくう
)
櫛風
(
しつぷう
)
の
難
(
なん
)
をへて
031
漸
(
やうや
)
くここにバンガロー
032
神地
(
かうぢ
)
の
都
(
みやこ
)
に
進
(
すす
)
み
入
(
い
)
り
033
御祖
(
みおや
)
の
神
(
かみ
)
の
開
(
ひら
)
きてし
034
バラモン
教
(
けう
)
を
遠近
(
をちこち
)
と
035
布
(
し
)
き
拡
(
ひろ
)
めたる
甲斐
(
かひ
)
ありて
036
万民
(
ばんみん
)
悉
(
ことごと
)
悦服
(
えつぷく
)
し
037
遂
(
つひ
)
に
推
(
お
)
されて
王
(
わう
)
となり
038
サガレン
王
(
わう
)
と
呼
(
よ
)
ばれつつ
039
ケールス
姫
(
ひめ
)
と
諸共
(
もろとも
)
に
040
神
(
かみ
)
の
教
(
をしへ
)
や
祭
(
まつ
)
り
事
(
ごと
)
041
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
大神
(
おほかみ
)
に
042
誓
(
ちか
)
ひて
仕
(
つか
)
ふる
折
(
をり
)
もあれ
043
雲
(
くも
)
を
起
(
おこ
)
して
下
(
くだ
)
り
来
(
く
)
る
044
醜
(
しこ
)
の
曲津
(
まがつ
)
の
竜雲
(
りううん
)
が
045
剣
(
つるぎ
)
の
舌
(
した
)
に
屠
(
ほふ
)
られて
046
姫
(
ひめ
)
は
全
(
まつた
)
く
捕虜
(
ほりよ
)
となり
047
吾
(
われ
)
に
向
(
むか
)
つてウラル
教
(
けう
)
048
信仰
(
しんかう
)
せよと
責
(
せ
)
め
来
(
きた
)
る
049
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
050
大国彦
(
おほくにひこの
)
大神
(
おほかみ
)
の
051
御裔
(
みすゑ
)
とあれし
吾
(
わが
)
身魂
(
みたま
)
052
如何
(
いか
)
でかウラルの
御教
(
みをしへ
)
に
053
仕
(
つか
)
へまつらむ
事
(
こと
)
を
得
(
え
)
む
054
神
(
かみ
)
の
怒
(
いか
)
りもおそろしと
055
心
(
こころ
)
を
極
(
きは
)
めて
唯
(
ただ
)
一人
(
ひとり
)
056
教
(
をしへ
)
を
守
(
まも
)
り
居
(
ゐ
)
たりしが
057
魔神
(
まがみ
)
の
勢
(
いきほ
)
ひ
日
(
ひ
)
に
月
(
つき
)
に
058
栄
(
さか
)
え
来
(
きた
)
りて
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
に
059
吾
(
われ
)
はつれなき
草枕
(
くさまくら
)
060
寄
(
よ
)
る
辺
(
べ
)
渚
(
なぎさ
)
の
捨小舟
(
すてをぶね
)
061
頼
(
たの
)
む
蔭
(
かげ
)
とて
立
(
た
)
ちよれば
062
猶
(
なほ
)
袖
(
そで
)
ぬらす
常磐木
(
ときはぎ
)
の
063
松
(
まつ
)
の
下露
(
したつゆ
)
冷
(
つめ
)
たけれ
064
さはさりながら
皇神
(
すめかみ
)
の
065
恵
(
めぐみ
)
の
露
(
つゆ
)
は
乾
(
かわ
)
かずに
066
吾
(
わが
)
身
(
み
)
を
霑
(
うるほ
)
したまひつつ
067
テーリス
[
※
初版では「テーリス」、三版(御校正本)・校定版・愛世版では「テームス」。テームスという人物は第36巻には登場しないのでテーリスが正しいはず。
]
、エームス
両人
(
りやうにん
)
が
068
誠忠
(
せいちう
)
無比
(
むひ
)
の
真心
(
まごころ
)
に
069
漸
(
やうや
)
く
危難
(
きなん
)
を
助
(
たす
)
けられ
070
此
(
この
)
身
(
み
)
一
(
ひと
)
つはやすらかに
071
此処迄
(
ここまで
)
落
(
おち
)
のび
来
(
きた
)
りけり
072
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
有難
(
ありがた
)
や
073
三五教
(
あななひけう
)
を
奉
(
ほう
)
じたる
074
テーリス、エームス
両人
(
りやうにん
)
が
075
われに
仕
(
つか
)
へし
時
(
とき
)
よりも
076
バラモン
教
(
けう
)
を
奉
(
ほう
)
じつつ
077
心
(
こころ
)
の
中
(
なか
)
は
麻柱
(
あななひ
)
の
078
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つを
立
(
た
)
て
通
(
とほ
)
し
079
吾
(
われ
)
を
助
(
たす
)
けて
今
(
いま
)
此処
(
ここ
)
に
080
誘
(
いざな
)
ひ
来
(
きた
)
りし
真心
(
まごころ
)
は
081
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
も
明
(
あきら
)
かに
082
知
(
し
)
ろしめすらむ
惟神
(
かむながら
)
083
神
(
かみ
)
の
御前
(
みまへ
)
に
真心
(
まごころ
)
を
084
捧
(
ささ
)
げて
感謝
(
かんしや
)
し
奉
(
たてまつ
)
る
085
朝日
(
あさひ
)
は
照
(
て
)
るとも
曇
(
くも
)
るとも
086
月
(
つき
)
は
盈
(
み
)
つとも
虧
(
か
)
くるとも
087
魔神
(
まがみ
)
は
如何
(
いか
)
に
猛
(
たけ
)
るとも
088
誠
(
まこと
)
の
力
(
ちから
)
は
世
(
よ
)
を
救
(
すく
)
ふ
089
誠
(
まこと
)
一
(
ひと
)
つを
立
(
た
)
て
通
(
とほ
)
し
090
唯
(
ただ
)
身
(
み
)
を
神
(
かみ
)
に
打任
(
うちまか
)
し
091
過去
(
くわこ
)
を
憂
(
うれ
)
へず
将来
(
しやうらい
)
を
092
案
(
あん
)
じ
過
(
すご
)
さず
今
(
いま
)
のみを
093
やすく
守
(
まも
)
りて
神
(
かみ
)
の
道
(
みち
)
094
この
瞬間
(
しゆんかん
)
に
善
(
ぜん
)
を
云
(
い
)
ひ
095
善
(
ぜん
)
を
行
(
おこな
)
ひ
善
(
ぜん
)
思
(
おも
)
ふ
096
これぞ
天地
(
てんち
)
の
神
(
かみ
)
の
子
(
こ
)
と
097
生
(
うま
)
れ
出
(
い
)
でたる
人
(
ひと
)
の
身
(
み
)
の
098
朝
(
あさ
)
な
夕
(
ゆふ
)
なに
慎
(
つつし
)
みて
099
尽
(
つく
)
しまつらむ
道
(
みち
)
ならめ
100
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
101
神
(
かみ
)
の
御霊
(
みたま
)
の
幸
(
さち
)
はひて
102
松浦
(
まつら
)
の
里
(
さと
)
に
至
(
いた
)
るまで
103
如何
(
いか
)
なる
曲
(
まが
)
もさはりなく
104
心
(
こころ
)
平
(
たひら
)
にやすらかに
105
進
(
すす
)
ませたまへ
惟神
(
かむながら
)
106
国治立
(
くにはるたちの
)
大御神
(
おほみかみ
)
107
大国彦
(
おほくにひこの
)
大神
(
おほかみ
)
の
108
御前
(
みまへ
)
にかしこみねぎまつる
109
あゝ
惟神
(
かむながら
)
々々
(
かむながら
)
110
御霊
(
みたま
)
幸
(
さち
)
はひましませよ』
111
一行
(
いつかう
)
は
嶮岨
(
けんそ
)
な
谷道
(
たにみち
)
を、
112
夜
(
よ
)
を
日
(
ひ
)
についで
逃
(
のが
)
れ
来
(
きた
)
りしこととて、
113
足
(
あし
)
も
疲
(
つか
)
れ
体
(
からだ
)
も
何
(
なん
)
となく
倦怠
(
けんたい
)
の
気分
(
きぶん
)
になつて
来
(
き
)
た。
114
もはや
此処迄
(
ここまで
)
落
(
お
)
ち
延
(
の
)
ぶれば
一安心
(
ひとあんしん
)
と、
115
谷道
(
たにみち
)
の
傍
(
かたへ
)
に
土
(
つち
)
から
生
(
は
)
えたるが
如
(
ごと
)
く
現
(
あらは
)
れたる
大巨岩
(
だいきよがん
)
の
傍
(
かたはら
)
に
休息
(
きうそく
)
して、
116
一昨夜
(
いつさくや
)
の
騒動
(
さうだう
)
を
追懐
(
つゐくわい
)
しながら、
117
窈々
(
ひそひそ
)
と
話
(
はなし
)
に
耽
(
ふけ
)
りつつあつた。
118
早
(
はや
)
くも
竜雲
(
りううん
)
の
部下
(
ぶか
)
の
捕吏
(
ほり
)
は、
119
ヨールに
引率
(
いんそつ
)
され、
120
名自
(
めいめい
)
鋭利
(
えいり
)
なる
手槍
(
てやり
)
を
提
(
ひつさ
)
げ、
121
装束
(
しやうぞく
)
もいと
軽々
(
かるがる
)
しく、
122
草鞋
(
わらぢ
)
、
123
脚絆
(
きやはん
)
の
扮装
(
いでたち
)
にて、
124
黒頭巾
(
くろづきん
)
を
被
(
かぶ
)
り
黒
(
くろ
)
の
衣
(
ころも
)
を
甲斐
(
かひ
)
々々
(
がひ
)
しく
纒
(
まと
)
ひながら、
125
サガレン
王
(
わう
)
一行
(
いつかう
)
の
落
(
お
)
ち
延
(
の
)
び
来
(
きた
)
るを
今
(
いま
)
や
遅
(
おそ
)
しと
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
126
此
(
この
)
谷道
(
たにみち
)
は
東西
(
とうざい
)
に
嶮
(
けは
)
しき
山
(
やま
)
、
127
壁
(
かべ
)
の
如
(
ごと
)
くに
屹立
(
きつりつ
)
し、
128
其
(
その
)
谷間
(
たにま
)
を
流
(
なが
)
るる
河森川
(
かうもりがは
)
の
細道伝
(
ほそみちづた
)
ひに
霧
(
きり
)
籠
(
こ
)
む
中
(
なか
)
を
下
(
くだ
)
り
来
(
き
)
たのである。
129
濃霧
(
のうむ
)
のため、
130
二三間
(
にさんげん
)
先
(
さき
)
の
人影
(
ひとかげ
)
はどうしても
見
(
み
)
る
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
なかつた。
131
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
漸
(
やうや
)
くにして
身体
(
しんたい
)
の
疲
(
つか
)
れも
回復
(
くわいふく
)
し、
132
又
(
また
)
もや
立
(
た
)
つて
谷道
(
たにみち
)
を
下
(
くだ
)
らうとする
時
(
とき
)
、
133
些
(
すこ
)
しく
下手
(
しもて
)
に
当
(
あた
)
つて
怪
(
あや
)
しき
人声
(
ひとごゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えて
来
(
き
)
た。
134
テーリスは
其
(
その
)
声
(
こゑ
)
にどこともなく
聞
(
き
)
き
覚
(
おぼ
)
えがあつた。
135
テーリスは
小声
(
こごゑ
)
になり、
136
テーリス
『もし
王
(
わう
)
様
(
さま
)
、
137
あの
声
(
こゑ
)
は
確
(
たしか
)
に
竜雲
(
りううん
)
の
部下
(
ぶか
)
ヨールの
声
(
こゑ
)
で
御座
(
ござ
)
います。
138
悪
(
あく
)
に
抜目
(
ぬけめ
)
のなき
竜雲
(
りううん
)
奴
(
め
)
、
139
王
(
わう
)
様
(
さま
)
を
道
(
みち
)
にて
捕
(
とら
)
へむと、
140
すばしこくも
此処
(
ここ
)
に
先廻
(
さきまは
)
りをして
待
(
ま
)
たせて
居
(
ゐ
)
ると
見
(
み
)
えまする。
141
コリヤうつかりしては
居
(
を
)
られますまい。
142
先
(
ま
)
づ
暫
(
しば
)
し
声
(
こゑ
)
を
潜
(
ひそ
)
めて……
幸
(
さいは
)
ひ
霧
(
きり
)
の
中
(
なか
)
、
143
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
が
通過
(
つうくわ
)
するのを
待
(
ま
)
つ
事
(
こと
)
に
致
(
いた
)
しませうか?』
144
王
(
わう
)
『どこ
迄
(
まで
)
も
水
(
みづ
)
も
漏
(
も
)
らさぬ
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
が
計略
(
けいりやく
)
、
145
実
(
じつ
)
に
呆
(
あき
)
れたものだ。
146
汝
(
なんぢ
)
が
云
(
い
)
ふ
如
(
ごと
)
く、
147
暫
(
しばら
)
く
此処
(
ここ
)
に
潜
(
ひそ
)
むで
彼
(
かれ
)
等
(
ら
)
が
動静
(
どうせい
)
を
窺
(
うかが
)
ふ
事
(
こと
)
と
致
(
いた
)
さう』
148
エームス『もし
王
(
わう
)
様
(
さま
)
、
149
アレあの
通
(
とほ
)
り
四五
(
しご
)
人
(
にん
)
の
声
(
こゑ
)
がザワザワと
近
(
ちか
)
よつて
参
(
まゐ
)
りました。
150
早
(
はや
)
く
此
(
こ
)
の
岩
(
いは
)
の
後
(
うしろ
)
に
隠
(
かく
)
れませう』
151
王
(
わう
)
はうなづきながら、
152
大岩石
(
だいがんせき
)
の
後
(
うしろ
)
に
二人
(
ふたり
)
と
共
(
とも
)
に
身
(
み
)
を
隠
(
かく
)
した。
153
直径
(
ちよくけい
)
四丈
(
しぢやう
)
許
(
ばか
)
りもあらうと
思
(
おも
)
ふ
大岩石
(
だいがんせき
)
である。
154
三
(
さん
)
人
(
にん
)
は
濃霧
(
のうむ
)
に
包
(
つつ
)
まれ、
155
其
(
その
)
岩
(
いは
)
の
後
(
うしろ
)
に
忍
(
しの
)
んで、
156
ヨールの
部下
(
ぶか
)
の
通過
(
つうくわ
)
するのを
待
(
ま
)
つ
事
(
こと
)
とした。
157
ヨールはサガレン
王
(
わう
)
の
一行
(
いつかう
)
が
此
(
この
)
岩
(
いは
)
の
後
(
うしろ
)
に
隠
(
かく
)
れ
居
(
ゐ
)
るとは
夢
(
ゆめ
)
にも
知
(
し
)
らず、
158
何事
(
なにごと
)
か
小声
(
こごゑ
)
に
囁
(
ささや
)
きながら
大岩
(
おほいは
)
の
前
(
まへ
)
に
来
(
きた
)
り、
159
ヨール
『サア
皆
(
みな
)
の
者
(
もの
)
、
160
此処
(
ここ
)
で
暫
(
しばら
)
く
息
(
いき
)
をやすめ
鋭気
(
えいき
)
を
養
(
やしな
)
ひ、
161
サガレン
王
(
わう
)
、
162
テーリス、
163
エームスの
悪人
(
あくにん
)
共
(
ども
)
が
落
(
お
)
ちのびて
来
(
く
)
るのを
待
(
ま
)
つ
事
(
こと
)
にしよう。
164
此
(
この
)
地点
(
ちてん
)
は
実
(
じつ
)
に
絶好
(
ぜつかう
)
の
場所
(
ばしよ
)
だ。
165
東西
(
とうざい
)
に
岩山
(
いはやま
)
は
屹立
(
きつりつ
)
し、
166
一方
(
いつぱう
)
は
細
(
ほそ
)
き
喉首
(
のどくび
)
のやうな
谷道
(
たにみち
)
、
167
北
(
きた
)
は
胸
(
むね
)
突
(
つ
)
く
許
(
ばか
)
りの
急坂
(
きふはん
)
、
168
此処
(
ここ
)
へやつて
来
(
く
)
るに
相違
(
さうゐ
)
ない。
169
さうすれば
袋
(
ふくろ
)
の
鼠
(
ねずみ
)
も
同様
(
どうやう
)
だ。
170
マア
悠
(
ゆつく
)
りと
水
(
みづ
)
でも
飲
(
の
)
んで
鋭気
(
えいき
)
を
養
(
やしな
)
ひ、
171
首尾
(
しゆび
)
克
(
よ
)
く
三
(
さん
)
人
(
にん
)
を
生擒
(
いけど
)
り、
172
竜雲
(
りううん
)
様
(
さま
)
にお
誉
(
ほ
)
めの
言葉
(
ことば
)
を
頂
(
いただ
)
かうぢやないか。
173
今
(
いま
)
が
出世
(
しゆつせ
)
のしどきだ。
174
この
期
(
き
)
を
失
(
しつ
)
しては、
175
いつの
日
(
ひ
)
か
抜群
(
ばつぐん
)
の
巧妙
(
かうめう
)
を
現
(
あら
)
はす
事
(
こと
)
が
出来
(
でき
)
よう。
176
思
(
おも
)
へば
思
(
おも
)
へば
実
(
じつ
)
に
幸運
(
かううん
)
が
向
(
む
)
いて
来
(
き
)
たものだワイ』
177
レツト『ヨールさま、
178
万々一
(
まんまんいち
)
サガレン
王
(
わう
)
が
此
(
この
)
道
(
みち
)
へ
来
(
こ
)
なかつたらどうしませう。
179
それこそ
薩張
(
さつぱり
)
駄目
(
だめ
)
ですなア。
180
屹度
(
きつと
)
南下
(
なんか
)
して
来
(
く
)
るには
限
(
かぎ
)
つて
居
(
を
)
りますまい。
181
もしも
王
(
わう
)
が
道
(
みち
)
を
北
(
きた
)
に
採
(
と
)
り、
182
遠
(
とほ
)
くボーカ
湾
(
わん
)
を
越
(
こ
)
えて、
183
印度
(
いんど
)
のデカタン
高原
(
かうげん
)
の
方
(
はう
)
へでも
逃
(
に
)
げて
居
(
ゐ
)
たら、
184
それこそ
骨折損
(
ほねをりぞん
)
の
疲労
(
くたびれ
)
まうけ、
185
どうする
事
(
こと
)
も
出来
(
でき
)
ないぢやありませぬか』
186
ヨール『そこが
運否
(
うんぷ
)
天賦
(
てんぷ
)
だ。
187
吾々
(
われわれ
)
に
幸福
(
かうふく
)
の
神
(
かみ
)
が
守
(
まも
)
つて
居
(
を
)
れば、
188
キツと
王
(
わう
)
の
一行
(
いつかう
)
は
此
(
この
)
道
(
みち
)
を
採
(
と
)
るに
違
(
ちが
)
ひない。
189
もしも
又
(
また
)
カールの
一行
(
いつかう
)
に
幸福
(
かうふく
)
の
神
(
かみ
)
が
宿
(
やど
)
つて
居
(
ゐ
)
るならば、
190
キツと
王
(
わう
)
の
一行
(
いつかう
)
は、
191
ボーカ
海峡
(
かいけふ
)
を
渡
(
わた
)
つて
印度
(
いんど
)
に
走
(
はし
)
る
道
(
みち
)
を
採
(
と
)
るに
違
(
ちが
)
ひない。
192
それだと
云
(
い
)
つて、
193
一
(
ひと
)
つの
体
(
からだ
)
で
両方
(
りやうはう
)
へ
行
(
ゆ
)
く
訳
(
わけ
)
にも
往
(
ゆ
)
かず、
194
諺
(
ことわざ
)
に……
二兎
(
にと
)
を
追
(
お
)
ふものは
一兎
(
いつと
)
をも
得
(
え
)
ず……と
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
がある。
195
吾々
(
われわれ
)
は
神
(
かみ
)
の
思召
(
おぼしめ
)
しのまにまに
遵奉
(
じゆんぽう
)
するに
若
(
し
)
くはない。
196
さすれば
神
(
かみ
)
様
(
さま
)
は
吾々
(
われわれ
)
の
至誠
(
しせい
)
を
御
(
ご
)
照覧
(
せうらん
)
遊
(
あそ
)
ばして、
197
キツと
手柄
(
てがら
)
をさして
下
(
くだ
)
さるに
違
(
ちが
)
ひないわ。
198
それよりも
計略
(
はかりごと
)
が
漏
(
も
)
れては
一大事
(
いちだいじ
)
だ。
199
ここ
暫
(
しばら
)
く
沈黙
(
ちんもく
)
を
守
(
まも
)
つて、
200
王
(
わう
)
の
一隊
(
いつたい
)
の
近
(
ちか
)
づくのを
待
(
ま
)
ち
受
(
う
)
ける
事
(
こと
)
にしよう。
201
今
(
いま
)
迄
(
まで
)
は
随分
(
ずゐぶん
)
各自
(
めいめい
)
に
発言
(
はつげん
)
機関
(
きくわん
)
を
虐待
(
ぎやくたい
)
して
来
(
き
)
たが、
202
もはや
戦場
(
せんぢやう
)
に
向
(
むか
)
つたも
同様
(
どうやう
)
だから、
203
言霊
(
ことたま
)
の
停電
(
ていでん
)
を
厳命
(
げんめい
)
する。
204
皆
(
みな
)
の
奴
(
やつ
)
、
205
静
(
しづか
)
にものを
云
(
い
)
へ。
206
イヤ、
207
だまつてものを
云
(
い
)
ひたければ
云
(
い
)
つたがよい』
208
ビツト『もはや
膝栗毛
(
ひざくりげ
)
も
疲
(
つか
)
れ
果
(
は
)
て、
209
言霊
(
ことたま
)
も
亦
(
また
)
原料
(
げんれう
)
が
欠乏
(
けつぼう
)
し、
210
止
(
や
)
むを
得
(
え
)
ず
口脚
(
こうきやく
)
共
(
とも
)
に
停電
(
ていでん
)
の
余儀
(
よぎ
)
なき
羽目
(
はめ
)
に
陥
(
おちい
)
つて
了
(
しま
)
つた。
211
どうでせう
皆
(
みな
)
さま、
212
胃
(
ゐ
)
の
腑
(
ふ
)
の
倉庫
(
さうこ
)
が、
213
余程
(
よほど
)
空虚
(
くうきよ
)
になつたと
見
(
み
)
え、
214
喉
(
のど
)
が
汽笛
(
きてき
)
を
吹
(
ふ
)
き
出
(
だ
)
しました。
215
一
(
ひと
)
つ
此処
(
ここ
)
で
弁当
(
べんたう
)
を
胃
(
ゐ
)
の
腑
(
ふ
)
へ
格納
(
かくなふ
)
して
鋭気
(
えいき
)
を
養
(
やしな
)
ひ、
216
時期
(
じき
)
を
待
(
ま
)
つ
事
(
こと
)
にしませうか』
217
ヨール『それもよからう。
218
サア
早
(
はや
)
く
掻
(
か
)
き
込
(
こ
)
め
掻
(
か
)
き
込
(
こ
)
め』
219
と
各自
(
めいめい
)
に、
220
握飯
(
むすび
)
を
出
(
だ
)
して
甘
(
うま
)
さうに
頬張
(
ほほば
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
221
王
(
わう
)
の
一行
(
いつかう
)
は
息
(
いき
)
を
凝
(
こ
)
らして、
222
此
(
この
)
話
(
はなし
)
を
一言
(
ひとこと
)
も
漏
(
も
)
らさじと
聞
(
き
)
き
耳
(
みみ
)
立
(
た
)
てて
居
(
ゐ
)
た。
223
レツト『もう
是
(
こ
)
れで
腹
(
はら
)
は
出来
(
でき
)
た。
224
腹
(
はら
)
の
虫
(
むし
)
奴
(
め
)
が
頻
(
しき
)
りに
催促
(
さいそく
)
の
矢
(
や
)
を
放射
(
はうしや
)
し
居
(
を
)
つたが
格納庫
(
かくなふこ
)
の
所有者
(
しよいうしや
)
たる
吾々
(
われわれ
)
も、
225
もはや
是
(
これ
)
で
責任
(
せきにん
)
が
果
(
はた
)
せたと
云
(
い
)
ふものだ。
226
悠々
(
いういう
)
自適
(
じてき
)
、
227
国家
(
こくか
)
の
興亡
(
こうばう
)
われ
関
(
くわん
)
せず
焉
(
えん
)
と
云
(
い
)
つたやうな
気分
(
きぶん
)
になつて
来
(
き
)
た。
228
おいビツト、
229
其
(
その
)
瓢箪
(
へうたん
)
をこちらへ
借
(
か
)
せ。
230
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つても
神徳
(
しんとく
)
の
高
(
たか
)
きサガレン
王
(
わう
)
に
向
(
むか
)
ふのだから、
231
一杯
(
いつぱい
)
機嫌
(
きげん
)
でなくては
到底
(
たうてい
)
刃向
(
はむか
)
ふ
事
(
こと
)
は
出来
(
でき
)
ないからなア』
232
ヨール『おいビツト、
233
一
(
ひと
)
つ
此処
(
ここ
)
で
元気
(
げんき
)
をつけて
敵
(
てき
)
を
待
(
ま
)
つ
事
(
こと
)
にしよう。
234
其
(
その
)
酒
(
さけ
)
をここへ
出
(
だ
)
せ。
235
併
(
しか
)
し
乍
(
なが
)
ら、
236
こいつは
余程
(
よほど
)
酒精
(
アルコール
)
がきついから
沢山
(
たくさん
)
飲
(
の
)
んではいけない。
237
第一
(
だいいち
)
足
(
あし
)
を
先
(
さき
)
に
取
(
と
)
られるから
用心
(
ようじん
)
して
飲
(
の
)
め。
238
決
(
けつ
)
して
度
(
ど
)
を
過
(
すご
)
してはいけないぞ』
239
と、
240
先
(
ま
)
づ
自分
(
じぶん
)
から
五升
(
ごしよう
)
許
(
ばか
)
り
入
(
はい
)
る
瓢
(
ひさご
)
の
口
(
くち
)
から、
241
グウグウとラツパ
呑
(
の
)
みを
始
(
はじ
)
め、
242
瓢
(
ふくべ
)
をレツトに
渡
(
わた
)
し
終
(
をは
)
り、
243
両方
(
りやうはう
)
の
手
(
て
)
で
自分
(
じぶん
)
の
額
(
ひたひ
)
をピシヤツと
叩
(
たた
)
き、
244
ヨール
『アヽ
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ
酒
(
さけ
)
だ。
245
こんな
甘
(
うま
)
い
酒
(
さけ
)
は
生
(
うま
)
れてから
飲
(
の
)
んだことはない。
246
どうしてまアこれ
程
(
ほど
)
甘
(
うま
)
くなつたのだらう』
247
ビツト『そりやさうでせうとも。
248
瓢箪酒
(
へうたんざけ
)
と
云
(
い
)
つて、
249
特別
(
とくべつ
)
酒
(
さけ
)
の
味
(
あぢ
)
がよくなるものです。
250
さうして
今日
(
けふ
)
で
三日間
(
みつかかん
)
も、
251
ドブドブドブと
揺
(
ゆす
)
つて
来
(
き
)
たのだから、
252
本当
(
ほんたう
)
に
呑
(
の
)
み
加減
(
かげん
)
になつて
居
(
ゐ
)
ます。
253
そこへ
体
(
からだ
)
がどことはなしにホツとして
居
(
ゐ
)
ますから、
254
一入
(
ひとしほ
)
味
(
あぢ
)
がよくなつたやうに
見
(
み
)
えるのですよ。
255
……
喉
(
のど
)
のかわいた
時
(
とき
)
や
泥田
(
どろた
)
の
水
(
みづ
)
も、
256
飲
(
の
)
めば
甘露
(
かんろ
)
の
味
(
あぢ
)
がする……と、
257
都々逸
(
どどいつ
)
にもあるぢやありませぬか』
258
ヨール『おいレツト、
259
貴様
(
きさま
)
計
(
ばか
)
り
独占
(
どくせん
)
して
居
(
を
)
らずに
早
(
はや
)
く
俺
(
おれ
)
の
方
(
はう
)
へも
廻
(
まは
)
さぬか』
260
ビツト『もしもしヨールの
大将
(
たいしやう
)
、
261
そりやちつと
御
(
ご
)
無理
(
むり
)
です。
262
あなたは
先
(
さき
)
に
一口
(
ひとくち
)
お
飲
(
あが
)
りになつたぢやありませぬか。
263
今
(
いま
)
レツトが
飲
(
の
)
んだのだから
次
(
つぎ
)
が
私
(
わたし
)
の
番
(
ばん
)
だ。
264
それからランチ、
265
ルーズの
両人
(
りやうにん
)
にも
分配
(
ぶんぱい
)
してやらねばなりますまい。
266
一順
(
いちじゆん
)
まはる
迄
(
まで
)
まつて
下
(
くだ
)
さい。
267
最前
(
さいぜん
)
から
喉
(
のど
)
の
虫
(
むし
)
がゴロゴロ
云
(
い
)
つて
催促
(
さいそく
)
をして
居
(
ゐ
)
ますから……』
268
レツト『そんなら
早
(
はや
)
く
呑
(
の
)
め。
269
さうして
早
(
はや
)
く
一順
(
いちじゆん
)
すまして、
270
ヨールさまに
渡
(
わた
)
すのだぞ』
271
ビツト『
承知
(
しようち
)
致
(
いた
)
しました』
272
と
云
(
い
)
ふより
早
(
はや
)
く、
273
逢
(
あ
)
うた
時
(
とき
)
に
笠
(
かさ
)
ぬげ
主義
(
しゆぎ
)
で、
274
ガブガブと
瓢箪
(
へうたん
)
の
口
(
くち
)
から
口呑
(
くちのみ
)
をはじめた。
275
それからクルリクルリと
廻
(
まは
)
り
呑
(
のみ
)
にして、
276
いつしか
自分
(
じぶん
)
の
使命
(
しめい
)
も
忘
(
わす
)
れてしまひ、
277
瓢
(
ひさご
)
の
酒
(
さけ
)
をすつぱりと
空
(
から
)
にしてしまつた。
278
五
(
ご
)
人
(
にん
)
は
漸
(
やうや
)
く
酒
(
さけ
)
が
廻
(
まは
)
り
足
(
あし
)
を
取
(
と
)
られ、
279
互
(
たがひ
)
に
大
(
おほ
)
きな
声
(
こゑ
)
で
管
(
くだ
)
をまき
始
(
はじ
)
めた。
280
(
大正一一・九・二二
旧八・二
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