霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第二二章 (はる)(ゆき)〔一〇一〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第36巻 海洋万里 亥の巻 篇:第4篇 言霊神軍 よみ(新仮名遣い):ことたましんぐん
章:第22章 春の雪 よみ(新仮名遣い):はるのゆき 通し章番号:1010
口述日:1922(大正11)年09月24日(旧08月4日) 口述場所: 筆録者:加藤明子 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
神地の城は天恵的に火の洗礼を施され、すべての建造物は焼け落ちたが浄化された。また人々はその身にまったく傷を負うこともなかった。人々はサガレン王派も竜雲にしたがっていた者も、一同神徳に感謝した。
そして天の目一つの神の導師のもとに、国治立大神、塩長彦大神、大国彦大神を祀る祭壇を作り、天津祝詞を奏上して感謝と悔い改めの祈願をこらした。敵味方、宗教の異動も忘却してひたすら神恩を感謝し、たちまち地上の天国は築かれた。
サガレン王がもしもの時のための用意に造っていた河森川の向こう岸の八尋殿は、火災に遭わずに残っていた。王は一同を率いて新しい八尋殿に入り、天の目一つの神、君子姫、清子姫を主賓として感謝慰労の宴会を開いた。
竜雲とケールス姫も、この宴の片隅に息を殺してかしこまっていた。悪霊が脱出した竜雲は、依然と打って変わってその身は委縮し、以前のような気品や勢いがなくあわれな姿になってしまった。
人は守護する神の如何によってその身魂を向上したり向下したりするものであり、善悪正邪の行動を行うものである。
また悪魔は、常に悪相をもって顕現するものではなく、善の仮面をかぶって人の眼をくらませ、悪を敢行しようとするものである。逆に悪魔のごとく恐ろしく見える人々の中にも、かえって誠の神の身魂の活動をなし、善事善行をなす者のたくさんある。
ゆえに人間の弱い眼力ではとうてい人の善悪正邪は判別しえるものではない。人を裁く権力を有し給うのは、ただ神様だけなのである。みだりに人を裁くのは神の権限を冒すものであり、大きな罪なのである。
悪霊が脱出して委縮した竜雲も、再び正義公道に立ち返って信仰を重ね、神の恩寵に浴すれば、以前に勝る身魂を授けられるのである。ケールス姫は一足先に改心をなしたため、比較的泰然としてこの場に会った。
竜雲とケールス姫は懺悔の歌を歌い、恥ずかしげに片隅に身をひそめてうずくまっている姿は、人々の同情を誘うほどであった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-10-14 12:44:56 OBC :rm3622
愛善世界社版:247頁 八幡書店版:第6輯 670頁 修補版: 校定版:257頁 普及版:108頁 初版: ページ備考:
001 神地(かうぢ)(しろ)は、002天恵(てんけい)(てき)()洗礼(せんれい)(ほどこ)され、003城内(じやうない)悪魔(あくま)(のこ)らず退散(たいさん)し、004すべての建造物(けんざうぶつ)烏有(ういう)()し、005(てん)(きよ)(かぜ)(さはや)かに、006(つち)また(すべ)ての塵芥(ぢんかい)()(つく)し、007天清浄(てんしやうじやう)008地清浄(ちしやうじやう)009人清浄(じんしやうじやう)010六根(ろくこん)清浄(しやうじやう)娑婆(しやば)(そく)寂光土(じやくくわうど)現出(げんしゆつ)した。
011 サガレン(わう)(ひき)(きた)れる正義(せいぎ)人々(ひとびと)をはじめ、012城内(じやうない)(とど)まりて竜雲(りううん)頤使(いし)(あま)んじ、013()らず()らず邪道(じやだう)(おちい)()たる数多(あまた)人々(ひとびと)(のこ)らず()(さま)し、014(ひろ)(しろ)馬場(ばんば)(あつ)まつて、015(いづ)れも()微傷(びしやう)だにも()はざりし神徳(しんとく)感謝(かんしや)(なみだ)(なが)しつつ、016(あめ)目一(まひと)つの(かみ)導師(だうし)(もと)に、017国治立(くにはるたちの)大神(おほかみ)018塩長彦(しほながひこの)大神(おほかみ)019大国彦(おほくにひこの)大神(おほかみ)(いつ)くべく、020俄作(にはかづく)りの祭壇(さいだん)(まへ)に、021天津(あまつ)祝詞(のりと)奏上(そうじやう)し、022神徳(しんとく)讃美(さんび)し、023()(あらた)めの祈願(きぐわん)()らし、024(てき)味方(みかた)障壁(しやうへき)もなく、025宗教(しうけう)異同(いどう)忘却(ばうきやく)して只管(ひたすら)神恩(しんおん)感謝(かんしや)するのみにして(たちま)地上(ちじやう)天国(てんごく)(きづ)かれけり。
026 神地(かうぢ)(しろ)()洗礼(せんれい)によりて、027地上(ちじやう)一物(いちもつ)(とど)めず烏有(ういう)()したれども、028サガレン(わう)がまさかの(とき)用意(ようい)にと、029(あらた)(つく)()きたる河森川(かうもりがは)向岸(むかふぎし)八尋殿(やひろどの)は、030(いま)一人(ひとり)住込(すみこ)みたるものもなきままに、031完全(くわんぜん)(のこ)されありしかば、032サガレン(わう)一同(いちどう)人々(ひとびと)(ひき)ゐて(あたら)しき八尋殿(やひろどの)立入(たちい)り、033都下(とか)人々(ひとびと)(さき)(あらそ)うて、034火事(くわじ)見舞(みまひ)として(たてまつ)りたる諸々(もろもろ)飲食(おんじき)(なら)一同(いちどう)饗応(きやうおう)し、035()(あめ)目一(まひと)つの(かみ)036君子姫(きみこひめ)037清子姫(きよこひめ)主賓(しゆひん)として、038感謝(かんしや)慰労(ゐらう)宴会(えんくわい)(ひら)(こと)とはなりぬ。
039 ケールス(ひめ)竜雲(りううん)(また)悄然(せうぜん)として、040(この)(せき)(はづ)かしげに(ちひ)さくなつて片隅(かたすみ)(ひか)()る。041(ひと)(せい)(ぜん)なりとは(むべ)なるかな、042ケールス(ひめ)(いち)()043妖邪(えうじや)()(まよ)はされ、044(こころ)(きたな)竜雲(りううん)計略(けいりやく)(わな)(おちい)り、045(おそ)(おほ)くもわが(をつと)たり(きみ)たる国別彦(くにわけひこ)神司(かむつかさ)無視(むし)し、046()放逐(はうちく)したる(その)悪業(あくげふ)(こころ)(そこ)より()い、047()()もあられぬ(おも)ひにて、048良心(りやうしん)()められながら、049つつましやかに片隅(かたすみ)(いき)(ころ)して(かしこ)まり()る。050(また)竜雲(りううん)(いち)()(よく)(から)まれ、051悪鬼(あくき)邪神(じやしん)捕虜(ほりよ)となり、052悪逆(あくぎやく)無道(むだう)醜業(しこわざ)繰返(くりかへ)したることを(ふか)()い、053(いま)(まで)(おか)せし(つみ)(おそ)ろしく(こころ)呵責(かしやく)()()(どころ)もなく、054人々(ひとびと)(かほ)()ける勇気(ゆうき)もなく、055(かしら)()げて片隅(かたすみ)(ちぢ)こまり()る。056(いま)(まで)竜雲(りううん)大兵(たいひやう)肥満(ひまん)にして、057一見(いつけん)温良(おんりやう)神人(しんじん)(ごと)()()たりしが、058(おのれ)悪事(あくじ)悔悟(くわいご)すると(とも)に、059(ふか)身魂(しんこん)()(わた)()たる曲神(まがかみ)の、060身内(しんない)より脱出(だつしゆつ)(をは)りたる(かれ)()は、061(たちま)縮小(しゆくせう)し、062萎微(ゐび)し、063以前(いぜん)(ごと)気品(きひん)もなければ、064()つて(かは)つた痩坊主(やせばうず)()るもいぶせき姿(すがた)となりしぞ(あは)れなり。
065 これを(おも)へば、066(すべ)ての(ひと)憑霊(ひようれい)如何(いかん)によつて(その)身魂(しんこん)向上(かうじやう)せしめ、067(あるひ)向下(かうか)せしめ、068善悪(ぜんあく)正邪(せいじや)069種々(しゆじゆ)雑多(ざつた)行動(かうどう)()らず()らずに(おこな)ふものなるを(さと)らるるなり。070神諭(しんゆ)にも、
071(ぜん)(かみ)守護(しゆご)(いた)せば(ぜん)(おこな)ひのみをなし、072(あく)(みたま)(その)肉体(にくたい)守護(しゆご)すれば(あく)(おこな)ひをなすものだ』
073(しめ)されてあるは(うべ)なりと()ふべし。074(また)悪魔(あくま)(けつ)して悪相(あくさう)をもつて顕現(けんげん)するものではなく、075(かなら)(ぜん)仮面(かめん)(かぶ)りて(ひと)(まなこ)(くら)ませ、076(あく)敢行(かんかう)せむとするものである。077一見(いつけん)して至正(しせい)至直(しちよく)君子人(くんしじん)()え、078温良(おんりやう)慈悲(じひ)聖者(せいじや)()ゆる人々(ひとびと)にも、079また柔順(じうじゆん)にして(をんな)(ごと)(しと)やかに()ゆる男子(だんし)(なか)にも、080悪逆(あくぎやく)無道(むだう)(おこな)ひをなすものがあるのは、081(えう)するに悪神(あくがみ)憑依(ひようい)して、082(その)(ひと)身魂(しんこん)自由(じいう)自在(じざい)使役(しえき)するからである。083(また)一見(いつけん)して(おに)(ごと)く、084悪魔(あくま)(ごと)(おそ)ろしく()ゆる人々(ひとびと)(なか)に、085(かへつ)(まこと)(かみ)身魂(みたま)活動(くわつどう)し、086善事(ぜんじ)善行(ぜんかう)をなすものも非常(ひじやう)沢山(たくさん)あるものである。087(ゆゑ)人間(にんげん)(よわ)眼力(がんりき)にては到底(たうてい)(ひと)善悪(ぜんあく)正邪(せいじや)判別(はんべつ)()らるるものでない。088(ひと)(さば)くは到底(たうてい)(ひと)(ちから)()くし(あた)はざる(ところ)089これを(さば)権力(けんりよく)享有(きやういう)(たま)ふものは、090(ただ)(かみ)(さま)(ばか)りである。091(ゆゑ)三五教(あななひけう)宣伝歌(せんでんか)にも、
092(かみ)(おもて)(あら)はれて(ぜん)(あく)とを()()ける』
093云々(うんぬん)宣示(せんじ)されてあるのである。094(みだ)りに(ひと)善悪(ぜんあく)正邪(せいじや)(さば)くは所謂(いはゆる)(かみ)権限(けんげん)(をか)すものであつて、095(ただ)しき(かみ)(おん)()よりは由々(ゆゆ)しき大罪人(だいざいにん)である。096(また)心魂(しんこん)(きよ)(おこな)ひの(ただ)しき(ひと)一見(いつけん)して(その)(こころ)(まま)(あら)はれ、097至善(しぜん)至美(しび)至直(しちよく)善人(ぜんにん)()ゆる(こと)もある。098(また)(こころ)(なか)(まが)(けが)れて悪事(あくじ)をなす(ひと)肉体(にくたい)が、099一見(いつけん)して(あく)()卑劣(ひれつ)()える(こと)もある。100(すべ)ての(ひと)容貌(ようばう)(こころ)(かがみ)であるから(ことわざ)にも()(とほ)り、
101(おも)(うち)にあれば(いろ)(かなら)(そと)(あら)はる』
102箴言(しんげん)()れないものも沢山(たくさん)にある。103(しか)るに凶悪(きやうあく)獰猛(だうまう)なる邪神(じやしん)容易(ようい)(その)醜状(しうじやう)憑依(ひようい)せる(ひと)容貌(ようばう)(あら)はさず、104(かへ)つて聖人(せいじん)君子(くんし)(ごと)面貌(めんばう)(あら)はし、105(あく)(おこな)世人(せじん)(くる)しめ、106(もつ)(みづか)(こころよ)しとする(もの)沢山(たくさん)にある。107(ゆゑ)(いたづら)(ひと)容貌(ようばう)善悪(ぜんあく)美醜(びしう)()(その)(ひと)善悪(ぜんあく)人格(じんかく)品評(ひんぺう)する(こと)到底(たうてい)不可能(ふかのう)なる(こと)(かんが)へねばならぬ。
108 千変(せんぺん)万化(ばんくわ)109変幻(へんげん)出没(しゆつぼつ)(きは)まりなく、110白昼(はくちう)悪事(あくじ)敢行(かんかう)するは悪魔(あくま)得意(とくい)とする(ところ)である。111悪魔(あくま)清明(せいめい)(きら)ひ、112暗黒(あんこく)(よろこ)び、113(やみ)にかくれて種々(しゆじゆ)雑多(ざつた)罪悪(ざいあく)(よろこ)んで(おこな)ふものである。114(しか)しこれは一般(いつぱん)(てき)悪魔(あくま)()すべき(はたら)きである。115大悪魔(だいあくま)(いた)つては(しか)らず、116(かへ)つて清明(せいめい)なる天地(てんち)公然(こうぜん)横行(わうかう)し、117万民(ばんみん)誑惑(きやうわく)し、118白日(はくじつ)(もと)正々(せいせい)堂々(だうだう)(その)悪事(あくじ)敢行(かんかう)し、119(かへ)つて(こころ)(くら)人々(ひとびと)より、120聖人(せいじん)君子(くんし)英雄(えいゆう)豪傑(がうけつ)尊称(そんしよう)(あた)へられ、121得々(とくとく)として(ほこ)り、122世人(せじん)(くみ)(やす)しと(かげ)(まは)つて、123そつと(した)()()(もの)沢山(たくさん)ないとは()へない()(なか)である。
124 一旦(いつたん)悪魔(あくま)容器(ようき)となつて縦横(じうわう)無尽(むじん)暴威(ばうゐ)(ふる)ひ、125旭日(きよくじつ)昇天(しようてん)(いきほひ)(もつ)数多(あまた)部下(ぶか)(のぞ)みたる竜雲(りううん)も、126悪霊(あくれい)神威(しんゐ)(おそ)れて(くも)(かすみ)脱出(だつしゆつ)したるより、127(いま)(まで)威風(ゐふう)堂々(だうだう)たりし(かれ)(いま)(まつた)別人(べつじん)(ごと)く、128身体(しんたい)各部(かくぶ)変異(へんい)(きた)し、129非力(ひりき)下劣(げれつ)(うま)れながらの劣等(れつとう)人格者(じんかくしや)となつてしまつた。130されどもこの竜雲(りううん)にして、131(ふたた)正義(せいぎ)公道(こうどう)()み、132信仰(しんかう)(かさ)ね、133(かみ)恩寵(おんちやう)(よく)しなば、134以前(いぜん)(まさ)聖人(せいじん)君子(くんし)身魂(しんこん)(さづ)けられ、135温厚(をんこう)篤実(とくじつ)君子人(くんしじん)改造(かいざう)さるるは当然(たうぜん)である。136ケールス(ひめ)竜雲(りううん)一歩(いつぽ)(さき)んじて(こころ)妖雲(えううん)(はら)ひ、137心魂(しんこん)真如(しんによ)日月(じつげつ)(かがや)かし、138前非(ぜんぴ)()ゆるに(いた)りしかば、139(いま)(この)()になつても比較(ひかく)(てき)身魂(しんこん)動揺(どうえう)せしめず、140自若(じじやく)として(かみ)一身(いつしん)(まか)せつつあつた。
141 竜雲(りううん)(はづ)かしげに()(あが)一同(いちどう)(むか)つて懺悔(ざんげ)(うた)(うた)ひ、142天地(てんち)神明(しんめい)謝罪(しやざい)(まこと)(つく)した。143(その)(うた)
144竜雲(あめ)(つち)とは(いにしへ)
145無限(むげん)絶対(ぜつたい)無始(むし)無終(むしう)
146神徳(しんとく)無辺(むへん)大神(おほかみ)
147(いん)(やう)との(いき)をもて
148(つく)(かた)めし御国(みくに)なり
149国治立(くにはるたちの)大神(おほかみ)
150天津(あまつ)御神(みかみ)(みこと)もて
151(たふと)(おん)()(かへり)みず
152豊葦原(とよあしはら)瑞穂国(みづほくに)
153下津(したつ)岩根(いはね)にあもりまし
154大海原(おほうなばら)(ただよ)へる
155(しま)八十島(やそしま)八十国(やそくに)
156完美(うまら)委曲(つばら)(つく)()
157(もも)神人(かみびと)(ことごと)
158(まも)らせたまふ有難(ありがた)
159神世(かみよ)はやすく(たいら)けく
160(をさ)まりまして()(すさ)
161(しこ)魔風(まかぜ)(あと)もなく
162(つみ)(けが)れも()かりしが
163(かみ)御息(みいき)(うま)れたる
164蒼生(あをひとぐさ)(おや)とます
165天足(あだる)(ひこ)胞場姫(えばひめ)
166天地(てんち)(みち)()(はづ)
167(すめ)大神(おほかみ)御心(みこころ)
168(そむ)きたるより天ケ下(あめがした)
169四方(よも)(くに)には(けが)れたる
170妖邪(えうじや)(いき)充満(じうまん)
171(その)(いき)()りて(おに)となり
172八岐(やまた)大蛇(をろち)醜狐(しこぎつね)
173醜女(しこめ)探女(さぐめ)発生(はつせい)
174()常闇(とこやみ)となりにけり
175それより(やうや)()(なか)
176悪魔(あくま)(さかん)(はびこ)りて
177天地(てんち)(くも)らせ現身(うつそみ)
178世人(よびと)身魂(みたま)蹂躙(じうりん)
179(たふと)(かみ)生宮(いきみや)
180(うま)()でたる(ひと)()
181いつとはなしに曲神(まがかみ)
182(うづ)住家(すみか)となし()へぬ
183(われ)(かみ)()(かみ)(みや)
184(めぐみ)()れぬ()なれども
185いつとはなしに曲神(まがかみ)
186つけ(ねら)はれて由々(ゆゆ)しくも
187天地(てんち)()れざる大罪(だいざい)
188(かさ)(きた)りし(おそ)ろしさ
189至仁(しじん)至愛(しあい)大神(おほかみ)
190(われ)()(きたな)(おこな)ひを
191(あはれ)みたまひて(たちま)ちに
192各自(てんで)洗礼(せんれい)(あた)へまし
193(こころ)(ひそ)曲神(まがかみ)
194()もなく()()(たま)ひけり
195あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
196御霊(みたま)幸倍(さちはへ)ましまして
197サガレン(わう)(そむ)きたる
198(われ)()(つみ)(ゆる)させよ
199ケールス(ひめ)朝夕(あさゆふ)
200(けが)しまつりし醜業(しこわざ)
201天地(てんち)()れざる(つみ)なれど
202(かみ)(たふと)御心(みこころ)
203(きよ)見直(みなほ)()(なほ)
204()(なほ)しませ天地(あめつち)
205(たふと)(もも)(かみ)(まへ)
206(つみ)(しづ)みし竜雲(りううん)
207(いま)(まで)(おか)せし(つみ)()
208(こころ)(きよ)めて大前(おほまへ)
209(つつし)(うやま)()びまつる
210(あめ)目一(まひと)神司(かむつかさ)
211君子(きみこ)(ひめ)清子姫(きよこひめ)
212(その)(ほか)(もも)人々(ひとびと)
213(たふと)今日(けふ)(はたら)きを
214(よろこ)びゐやまひ(こころ)より
215(つつし)讃美(さんび)(たてまつ)
216()くなる(うへ)竜雲(りううん)
217(いま)(まで)(なや)みし村肝(むらきも)
218(むね)(くも)りも()(わた)
219黒雲(くろくも)(とほ)()()りて
220大空(おほぞら)(わた)日月(じつげつ)
221(ひかり)(をが)心地(ここち)よさ
222国別彦(くにわけひこ)(かみ)(さま)
223ケールス(ひめ)竜雲(りううん)
224(いま)(まで)(なれ)(くは)へたる
225きたなき(つみ)曲業(まがわざ)
226(ひろ)(こころ)()(なほ)
227(ゆる)させ(たま)惟神(かむながら)
228(かみ)(ちか)ひて将来(ゆくすゑ)
229わが改心(かいしん)開陳(かいちん)
230()退(しりぞ)きて(あめ)(した)
231四方(よも)国々(くにぐに)駆廻(かけめぐ)
232(いのち)(かぎ)()(かぎ)
233世人(よびと)(すく)()(つみ)
234(ほろ)ぼしまつるわが覚悟(かくご)
235(やす)(うべな)ひたまへかし
236あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
237(かみ)御前(みまへ)()ぎまつる』
238 ケールス(ひめ)(また)(うた)ふ。
239ケールス姫(しこ)魔神(まがみ)(まよ)はされ
240(かみ)末裔(みすゑ)()れませる
241国別彦(くにわけひこ)神司(かむつかさ)
242わが()(きみ)相背(あひそむ)
243(まが)のかかりし醜人(しこびと)
244(こころ)(かぎ)()(かぎ)
245()(へつら)ひて何時(いつ)となく
246(つみ)(ふち)へと沈淪(ちんりん)
247あらむかぎりの罪悪(ざいあく)
248(つく)(きた)りし(おそ)ろしさ
249大慈(だいじ)大悲(だいひ)大神(おほかみ)
250(みたま)(ひか)りに()らされて
251(くも)りし(むね)()(わた)
252(くら)みし(まなこ)(あきら)かに
253(かがや)(わた)りて()(つみ)
254直日(なほひ)見直(みなほ)()(なほ)
255(かへり)みすれば(おそ)ろしや
256天地(てんち)(かみ)(ゆる)さざる
257(おも)(つみ)をば()らずして
258(かさ)(きた)りしうたてさよ
259あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
260御霊(みたま)(さち)はひましまして
261()出神(でのかみ)()(はな)
262咲耶姫(さくやのひめ)神言(みこと)もて
263(かむ)素盞嗚(すさのをの)大神(おほかみ)
264世人(よびと)(あまね)(すく)はむと
265三五教(あななひけう)(おん)(みち)
266四方(よも)国々(くにぐに)島々(しまじま)
267(ひら)かせ(たま)神司(かむつかさ)
268(かず)ある(なか)()りわけて
269(きよ)(たふと)北光(きたてる)
270(かみ)(つかさ)君子姫(きみこひめ)
271清子(きよこ)(ひめ)(くだ)しまし
272()洗礼(せんれい)(ほどこ)して
273神地(かうぢ)(みやこ)(わだか)まる
274(しこ)魔神(まがみ)()(はら)
275(きよ)めたまひし(たふと)さよ
276(こころ)(やみ)()(わた)
277(もと)御霊(みたま)(うれ)しくも
278()(かへ)りたる(われ)なれど
279一度(ひとたび)魔神(まがみ)(けが)されし
280(わが)身体(からたま)如何(いか)にせむ
281寄辺渚(よるべなぎさ)捨小舟(すてをぶね)
282()りつく(しま)もなく(なみだ)
283いづれに(むか)つて吐却(ときやく)せむ
284サガレン(わう)御心(みこころ)
285仮令(たとへ)(われ)()(ゆる)すとも
286(かさ)ねし(つみ)()(からだ)
287如何(いか)でか(もと)(かへ)るべき
288(わらは)(これ)より聖城(せいじやう)
289(あと)(なが)めて葦原(あしはら)
290瑞穂(みづほ)(くに)(くま)もなく
291風雲(ふううん)雷雨(らいう)をしのぎつつ
292三五教(あななひけう)御教(みをしへ)
293(ひら)きて世人(よびと)善道(ぜんだう)
294(みちび)きまつり皇神(すめかみ)
295(めぐみ)(つゆ)万分一(まんぶいち)
296(むく)いまつらむ(わが)(こころ)
297(ゆる)させたまへ天津(あまつ)(かみ)
298国津(くにつ)(かみ)(たち)八百万(やほよろづ)
299国魂神(くにたまがみ)(おん)(まへ)
300ケールス(ひめ)誠心(まごころ)
301(ちか)ひて(ねが)(たてまつ)
302あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
303御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
304(うた)(をは)り、305(はづ)かしげに片隅(かたすみ)()(ひそ)めて(うづく)まり()(さま)306(ひと)()()(あは)れげに(かん)ぜられ、307一同(いちどう)()せずして同情(どうじやう)(なみだ)にかき()れにける。
308大正一一・九・二四 旧八・四 加藤明子録)
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