霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
目 次設 定
設定
印刷用画面を開く [?]プリント専用のシンプルな画面が開きます。文章の途中から印刷したい場合は、文頭にしたい位置のアンカーをクリックしてから開いて下さい。[×閉じる]
話者名の追加表示 [?]セリフの前に話者名が記していない場合、誰がしゃべっているセリフなのか分からなくなってしまう場合があります。底本にはありませんが、話者名を追加して表示します。[×閉じる]
表示できる章
テキストのタイプ [?]ルビを表示させたまま文字列を選択してコピー&ペーストすると、ブラウザによってはルビも一緒にコピーされてしまい、ブログ等に引用するのに手間がかかります。そんな時には「コピー用のテキスト」に変更して下さい。ルビも脚注もない、ベタなテキストが表示され、きれいにコピーできます。[×閉じる]

文字サイズ
フォント

ルビの表示



アンカーの表示 [?]本文中に挿入している3~4桁の数字がアンカーです。原則として句読点ごとに付けており、標準設定では本文の左端に表示させています。クリックするとその位置から表示されます(URLの#の後ろに付ける場合は数字の頭に「a」を付けて下さい)。長いテキストをスクロールさせながら読んでいると、どこまで読んだのか分からなくなってしまう時がありますが、読んでいる位置を知るための目安にして下さい。目障りな場合は「表示しない」設定にして下さい。[×閉じる]


宣伝歌 [?]宣伝歌など七五調の歌は、底本ではたいてい二段組でレイアウトされています。しかしブラウザで読む場合には、二段組だと読みづらいので、標準設定では一段組に変更して(ただし二段目は分かるように一文字下げて)表示しています。お好みよって二段組に変更して下さい。[×閉じる]
脚注 [?][※]や[#]で括られている文字は当サイトで独自に付けた脚注です。まだ少ししか付いていませんが、目障りな場合は「表示しない」設定に変えて下さい。ただし[#]は重要な注記なので表示を消すことは出来ません。[×閉じる]


文字の色
背景の色
ルビの色
傍点の色 [?]底本で傍点(圏点)が付いている文字は、『霊界物語ネット』では太字で表示されますが、その色を変えます。[×閉じる]
外字1の色 [?]この設定は現在使われておりません。[×閉じる]
外字2の色 [?]文字がフォントに存在せず、画像を使っている場合がありますが、その画像の周囲の色を変えます。[×閉じる]

  

表示がおかしくなったらリロードしたり、クッキーを削除してみて下さい。


【新着情報】サブスクのお知らせ
マーキングパネル
設定パネルで「全てのアンカーを表示」させてアンカーをクリックして下さい。

【引数の設定例】 &mky=a010-a021a034  アンカー010から021と、034を、イエローでマーキング。

          

第一二章 無住(むぢう)居士(こじ)〔一〇〇〇〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第36巻 海洋万里 亥の巻 篇:第2篇 松浦の岩窟 よみ(新仮名遣い):まつうらのがんくつ
章:第12章 無住居士 よみ(新仮名遣い):むじゅうこじ 通し章番号:1000
口述日:1922(大正11)年09月22日(旧08月2日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
松浦の谷合の小糸の里は、深き谷川が流れ、岩山の斜面に天然の大岩窟が穿たれている要害である。友彦が住んでいた館は岩窟より手前の平野にあった。
サガレン王は平野に館を結び、自らは岩窟に隠れて人を集め、都を取り戻す策を練っていた。テーリスとエームスが館にて武術を練っていると、一人の老人が岩道を登ってきて館の前でバラモン教の神文を唱えている。
エームスは老人を館に招き入れた。老人はなぜかサガレン王が岩窟に隠れていることを知っていた。老人は無住居士と名乗り、エームスたちの作戦を見抜いて深い洞察を表したので、エームスとテーリスは、サガレン王に会って助言をしてほしいと頼み込んだ。
無住居士は、テーリスが三五教徒でありながら、わが身のためにサガレン王の奉じるバラモン教に入信していたことをも見抜いた。そして、いずれの道でも至上至尊の神様のために真心を尽くし、神のお力にすがって王を補佐する心がけさえあれば、竜雲ごときは恐れるに足りないと説いた。
無限絶対の神の力に依り、霊魂の上に真の神力が備われば、一人の霊をもって一国や億兆無数の霊に対しても恐れることはないはずである、とエームスとテーリスに説き諭した。
無住居士は二人に教えを垂れるとすぐさま去ろうとした。テーリスは王に面会してもらうように頼み込んだが、無住居士は竜雲のごとき悪魔を言向け和すには、自分自身の心にひそむ執着心と驕慢心と自負心を脱却し、惟神の正道に立ち返りさえすれば十分だと説いた。
エームスが王を呼びに行った間に無住居士は、皇大神の前に真の心を捧げ、神の大道にまつろい真心を現すようにと宣伝歌を歌った。神の国を心の世界に建設し、元の心に帰ることにより、神の宮、神の身魂となることができるのだ、と歌って別れを告げ、飛鳥のように濃霧の中に去って行った。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-10-09 10:49:11 OBC :rm3612
愛善世界社版:116頁 八幡書店版:第6輯 624頁 修補版: 校定版:120頁 普及版:50頁 初版: ページ備考:
001 松浦(まつうら)谷間(たにあひ)小糸(こいと)(さと)は、002一方(いつぱう)千丈(せんぢやう)(ふか)谷間(たにま)003南北(なんぽく)(なが)れ、004岩山(いはやま)斜面(しやめん)天然(てんねん)大岩窟(だいがんくつ)穿(うが)たれてゐる。005(この)岩窟(がんくつ)(たつ)せむとするには、006(ほそ)(いは)(みち)右左(みぎひだり)()()(やうや)くにして(わた)()(じつ)危険(きけん)(きは)まる場所(ばしよ)である。007一卒(いつそつ)これを(まも)れば万卒(ばんそつ)()ゆる(あた)はずと()天然(てんねん)(てき)要害(えうがい)地点(ちてん)である。008かつてバラモン(けう)友彦(ともひこ)小糸姫(こいとひめ)(とも)草庵(さうあん)(むす)び、009(をしへ)(ひら)きゐたる場所(ばしよ)は、010(この)岩窟(がんくつ)より四五丁(しごちやう)手前(てまへ)の、011(ごく)平坦(へいたん)地点(ちてん)であつて、012そこには細谷川(ほそたにがは)(なが)れてゐる。
013 サガレン(わう)(この)平地(へいち)俄作(にはかづく)りの(やかた)(むす)び、014テーリス、015エームスなどに(まも)らしめ、016(みづか)らは岩窟内(がんくつない)(ふか)()りて、017回天(くわいてん)(はかりごと)をめぐらしてゐた。018谷路(たにみち)大岩(おほいは)(かたはら)(わう)一行(いつかう)(とら)へむと手具脛(てぐすね)()いて()つてゐた竜雲(りううん)部下(ぶか)019ヨール、020ビツト、021レツト、022ルーズの改心組(かいしんぐみ)(はじ)め、023サール、024ウインチ、025ゼム、026エール、027タールチン、028キングス(ひめ)(この)(やかた)岩窟(いはや)(あひだ)往復(わうふく)して、029(しば)此処(ここ)(あし)(とど)め、030(わう)(ため)心身(しんしん)(なや)ましつつあつた。
031 テーリス、032エームスの両人(りやうにん)平地(へいち)(やかた)(おい)て、033数多(あまた)部下(ぶか)(あつ)め、034武術(ぶじゆつ)()り、035竜雲(りううん)討伐(たうばつ)準備(じゆんび)にかかつてゐる。036其処(そこ)白髪(はくはつ)異様(いやう)老人(らうじん)(ただ)一人(ひとり)037コツコツと(つゑ)(おと)をさせながら岩路(いはみち)(のぼ)(きた)り、038(やかた)(まへ)()つてバラモン(けう)神文(しんもん)一生(いつしよ)懸命(けんめい)(とな)へてゐる。039エームスは一目(ひとめ)()るより慇懃(いんぎん)(その)老翁(らうをう)(やかた)引入(ひきい)れ、040()(あた)(しよく)(きよう)し、041四方山(よもやま)(はなし)()()かしながら、042(つひ)には(その)老翁(らうをう)来歴(らいれき)(たづ)ぬる(こと)となつた。
043エームス『モシ、044あなたの(やう)()老体(らうたい)として、045(この)山路(やまみち)(のぼ)(きた)り、046(かつ)(また)道伴(みちづ)れもなく行脚(あんぎや)をなされるのは、047(なに)(ふか)()様子(やうす)のある(こと)でせう。048どうぞ差支(さしつか)へなくば、049概略(あらまし)()物語(ものがた)りを(ねが)ひたう御座(ござ)います』
050老翁(無住居士)(わたし)無住(むぢゆう)居士(こじ)といつて、051(うま)れた(ところ)()らねば、052(おや)()らず、053()もなし、054つまり()へば天下(てんか)浮浪人(ふらうにん)だ。055途中(とちう)にて(うけたま)はれば、056(この)(やかた)にはバラモン(けう)立派(りつぱ)方々(かたがた)がお(あつ)まりになり、057武術(ぶじゆつ)稽古(けいこ)をなさると()(こと)058(わたくし)()(とし)()つて()れども、059武術(ぶじゆつ)(だい)好物(かうぶつ)060(ひと)(その)稽古場(けいこば)拝見(はいけん)したいもので御座(ござ)る』
061エームス無住(むぢゆう)さま、062あなたは遥々(はるばる)此処(ここ)へお()しになつたのは、063(ただ)(たん)武術(ぶじゆつ)稽古(けいこ)()たい(ため)ではありますまい』
064無住居士武術(ぶじゆつ)稽古(けいこ)()せて(もら)ひたいと()ふのは、065ホンのお(まへ)(たち)(たい)する体好(ていよ)挨拶(あいさつ)だ。066(じつ)(ところ)はサガレン(わう)(さま)()危難(きなん)(うけたま)はり、067(この)(やかた)にお(かく)(あそ)ばすと()き、068はるばると(たづ)ねて()たのだ』
069エームス(その)(わう)(さま)(たづ)ねて(なん)となさる()所存(しよぞん)か、070それが(うけたま)はりたい!』
071(やや)気色(けしき)ばんで、072(こゑ)()らず()らずに(たか)()ひかける。
073無住居士『アハヽヽヽ、074竜雲(りううん)(ごと)悪神(あくがみ)蹂躙(じうりん)され、075金城(きんじやう)鉄壁(てつぺき)とも()ふべき牙城(がじやう)()てて、076女々(めめ)しくも二人(ふたり)部下(ぶか)(とも)斯様(かやう)(ところ)まで生命(いのち)()しさに()(きた)り、077岩蜂(いはばち)(なん)ぞの(やう)岩窟(いはや)(なか)()(ひそ)め、078捲土(けんど)重来(ぢうらい)準備(じゆんび)をなすとは、079(はなはだ)(もつ)迂愚(うぐ)千万(せんばん)なやり(かた)では御座(ござ)らぬか。080此方(こちら)準備(じゆんび)(ととの)へば、081向方(むかふ)にも(また)それ相当(さうたう)準備(じゆんび)出来(でき)るはずだ。082目的(もくてき)(たつ)せむとすれば、083()第一(だいいち)間髪(かんぱつ)()れざる(てい)早業(はやわざ)(もつ)て、084短兵急(たんぺいきふ)()めよせねば、085到底(たうてい)勝算(しようさん)見込(みこ)みはない。086(いま)竜雲(りううん)()ちに(じやう)じ、087(こころ)おごり、088(ほとん)常識(じやうしき)(うしな)つてゐる場合(ばあひ)だから、089(この)(さい)(こと)()げねば、090曠日(くわうじつ)瀰久(びきう)091無勢力(むせいりよく)なる味方(みかた)(あつ)()(うち)には向方(むかふ)(また)(やうや)()()め、092一層(いつそう)厳重(げんぢゆう)警備(けいび)もし、093防禦力(ばうぎよりよく)(たくは)へ、094まさか(ちが)へば雲霞(うんか)(ごと)大軍(たいぐん)(もつ)て、095一挙(いつきよ)()(きた)るやも(はか)(がた)い。096何程(なにほど)要害(えうがい)堅固(けんご)絶処(ぜつしよ)なればとて、097(てき)長年月(ちやうねんげつ)包囲(はうゐ)されようものなら、098水道(すゐだう)()たれ、099糧食(りやうしよく)欠乏(けつぼう)し、100()(なが)らにして降服(かうふく)せなくてはなろまい。101これ(くらゐ)(かんが)へなくして、102如何(どう)して奸智(かんち)()けたる竜雲(りううん)討伐(たうばつ)する(こと)出来(でき)ようぞ。103(また)味方(みかた)(なか)にも(てき)がある()(なか)104()()をつけたがよからうぞや』
105エームス如何(いか)にも()(せつ)御尤(ごもつと)も、106(しか)(なが)吾々(われわれ)同志(どうし)(わう)(たい)しては、107誠忠(せいちう)無比(むひ)義士(ぎし)ばかりの集団(しふだん)なれば、108(ほか)()らず、109(けつ)して左様(さやう)醜類(しうるゐ)混入(こんにふ)してゐない(はず)御座(ござ)ります。110あなたのお()にはさう(うつ)りますかな』
111無住居士『アハヽヽヽ、112(わか)(わか)い、113(げん)(この)(なか)には間者(かんじや)(まじ)つて()る。114それが()もつかぬやうな(こと)では、115如何(いか)なる目的(もくてき)()つるとも九分(くぶ)九厘(くりん)にて、116顛覆(てんぷく)させられて(しま)ふであらう』
117エームス(その)間者(まはしもの)といふのは誰々(たれたれ)御座(ござ)いますか』
118無住居士『それは(いま)(ここ)では(まを)しますまい。119(その)間者(まはしもの)看破(かんぱ)する(だけ)眼識(がんしき)がなくては到底(たうてい)駄目(だめ)だ。120(この)(やかた)出入(しゆつにふ)する人々(ひとびと)()使(つか)(かた)121(あし)(ある)(かた)122(からだ)(うご)かし(かた)などを、123トツクと()(かんが)へなされ! 一目(ひとめ)にして正邪(せいじや)(わか)るであらう』
124 エームスは歎息(たんそく)(いろ)(あら)はし、125双手(もろて)()み、126さし(うつ)むいて思案(しあん)にくれてゐる。
127 テーリスは(はじ)めて(くち)(ひら)き、
128テーリス無住(むぢゆう)さま、129今回(こんくわい)吾々(われわれ)計画(けいくわく)完全(くわんぜん)成功(せいこう)するでせうか。130何卒(なにとぞ)()神策(しんさく)があらば()教授(けうじゆ)(ねが)ひたい』
131無住居士『アハヽヽヽ、132成功(せいこう)するかせないか、133()らしてくれと()ふのかな。134左様(さやう)確信(かくしん)のないアヤフヤな(こと)で、135如何(どう)して大事(だいじ)()げられるか。136第一(だいいち)(まへ)(たち)(こころ)()(どころ)(ちが)つてゐる。137サガレン(わう)忠義(ちうぎ)(ため)心身(しんしん)(もち)ゐるは、138(じつ)臣下(しんか)として(かん)ずるの(いた)りである。139が、140(しか)(なが)ら、141サガレン(わう)以上(いじやう)(たふと)(かた)のある(こと)()つて御座(ござ)るか。142それが(わか)らねば今度(こんど)目的(もくてき)は、143()(どく)(なが)全然(ぜんぜん)画餅(ぐわへい)()すだらう。144(いや)(かへつ)大災害(だいさいがい)(まね)(いん)となるにきまつてゐる。145それよりも(いま)(うち)(かぶと)をぬぎ、146竜雲(りううん)膝下(しつか)(いばら)(むち)()ひ、147降伏(かうふく)(まを)()(はう)近道(ちかみち)だ。148アハヽヽヽ』
149(かた)をゆすつて、150(おほ)きく(わら)ふ。151テーリスは(すこ)しも無住(むぢゆう)(げん)()におちず、152たたみかけて(いき)もせはしく()ひかける。
153テーリス吾々(われわれ)(この)シロの(くに)(おい)て、154サガレン(わう)よりも(たふと)(もの)はないと心得(こころえ)()ります。155(わう)以上(いじやう)(たふと)(もの)とは如何(いか)なる(かた)御座(ござ)いますか。156どうぞ()教諭(けうゆ)(ねが)ひます』
157無住居士其方(そなた)はバラモン(けう)神司(かむづかさ)158(けん)159(わう)臣下(しんか)であらう。160三五教(あななひけう)信従(しんじゆう)(なが)ら、161(とき)天下(てんか)(したが)へと()つたやうな柔弱(にうじやく)(かんが)へより、162(わが)()栄達(えいたつ)(はか)(ため)163サガレン(わう)(ほう)ずるバラモン(けう)入信(はい)つたのであらうがな。164どうぢや、165(この)無住(むぢゆう)(まを)(こと)間違(まちがひ)があるか』
166テーリス『ハイ、167(あふ)せの(とほ)りです。168(しか)(なが)(けつ)して(けつ)して(こころ)(そこ)より三五教(あななひけう)()てては()りませぬ。169(いづ)れの(かみ)(みち)(もと)一株(ひとかぶ)だから吾々(われわれ)行動(かうどう)()いては(かみ)さまに(たい)し、170(すこ)しも矛盾(むじゆん)はないと心得(こころえ)ますが……』
171無住居士(いづ)れの(みち)()るも(まこと)(みち)(かは)りはない。172(その)(こと)(べつ)(とが)めもありますまい。173さり(なが)らそこ(まで)真心(まごころ)(つく)して(わう)(ため)(つと)めむとするならば、174至上(しじやう)至尊(しそん)(かみ)さまの(ため)に、175なぜ真心(まごころ)(つく)さないのか。176(かみ)第一(だいいち)といふ(をしへ)真諦(しんたい)(わす)れたのか。177左様(さやう)心掛(こころがけ)では何程(なにほど)千慮(せんりよ)万苦(ばんく)をなすとも到底(たうてい)駄目(だめ)だ。178(かみ)()(ちから)にすがり(まつ)りて、179サガレン(わう)(たす)けむとする(こころ)にならば、180()竜雲(りううん)(ごと)曲者(くせもの)は、181(もの)(かず)でもあるまい。182(まこと)神力(しんりき)さへ(そな)はらば、183竜雲(りううん)(ごと)きは日向(ひなた)(こほり)をさらした(ごと)く、184自然(しぜん)(ちから)()りて自滅(じめつ)するは当然(たうぜん)帰結(きけつ)である。185(なに)(くる)しんで、186数多(あまた)同志(どうし)(あつ)め、187殺伐(さつばつ)なる武術(ぶじゆつ)練習(れんしふ)するか。188()如何(いか)熟練(じゆくれん)すればとて一人(ひとり)(もつ)一人(ひとり)(たい)するのみの(はたら)きより出来(でき)まい。189無限(むげん)絶対(ぜつたい)(かみ)(ちから)()り、190(なんぢ)霊魂(れいこん)(うへ)(まこと)神力(しんりき)(そな)はらば、191(いち)(にん)(れい)(もつ)一国(いつこく)(れい)(たい)(また)億兆(おくてう)無数(むすう)(れい)(たい)しても(おそ)るる(こと)はなき(はず)192(また)霊力(れいりよく)さへ完全(くわんぜん)(そな)はらば、193(なんぢ)(いち)(にん)(ちから)(もつ)億兆(おくてう)無数(むすう)(ちから)(たい)し、194(また)(なんぢ)(いち)(にん)(たい)(もつ)億兆(おくてう)無数(むすう)(たい)対抗(たいかう)し、195よく(その)目的(もくてき)貫徹(くわんてつ)する(こと)()るであらう』
196テーリス『(かさ)(がさ)ねの()教訓(けうくん)197()にしみ(わた)つて有難(ありがた)(ぞん)じます。198()いては(おく)岩窟(がんくつ)にサガレン(わう)()られますから、199()案内(あんない)(いた)します。200どうぞ一度(いちど)()面会(めんくわい)(ねが)ひます』
201無住居士(べつ)(わう)面会(めんくわい)する必要(ひつえう)(みと)めぬ。202(わう)(おい)てわれに面会(めんくわい)(のぞ)むとあらば、203暫時(ざんじ)(あひだ)タイムをさいてやらう』
204エームス『(いづ)れの()(かた)かは()りませぬが、205さう(かた)仰有(おつしや)らずに、206どうぞ(わう)さまの(まへ)までお()(くだ)さいませ。207(わう)(さだ)めてお(よろこ)(あそ)ばす(こと)でせうから……』
208無住居士『アハヽヽヽ、209そこが矛盾(むじゆん)してゐるといふのだ。210われは天下(てんか)宣伝使(せんでんし)211五大洲(ごだいしう)(また)にかけて万民(ばんみん)不朽(ふきう)不滅(ふめつ)(たましひ)永遠(ゑいゑん)無窮(むきう)(いのち)(あた)ふる(かみ)使(つかひ)宣伝使(せんでんし)だ。212(わづか)にかかる小国(せうこく)(をさ)めかぬる(ごと)きサガレン(わう)(たい)して、213われより訪問(はうもん)するとは、214天地(てんち)転倒(てんたう)(はなはだ)しきものだ。215サガレン(わう)(たん)(この)島国(しまぐに)人間(にんげん)肉体(にくたい)(みじか)生命(せいめい)保護(ほご)監督(かんとく)するだけの役目(やくめ)だ。216霊魂(れいこん)(じやう)支配権(しはいけん)絶無(ぜつむ)だ。217かかる体主(たいしゆ)霊従(れいじう)(てき)精神(せいしん)()れざる(うち)は、218いかに神軍(しんぐん)(おこ)すとも、219悪魔(あくま)竜雲(りううん)言向和(ことむけやは)(こと)(おも)ひも()らぬ(こと)である。220最早(もはや)われは(この)()(よう)なし、221さらば……』
222()ふより(はや)く、223いそいそとして立去(たちさ)らむとするを、224テーリス、225エームス両人(りやうにん)はあわてて(そで)(ひき)とめ、
226テーリス、エームス『もしもし無住(むぢゆう)居士(こじ)さま、227(しばら)くお()(くだ)さいませ。228(ただ)(いま)(うけたま)はれば、229あなたは天下(てんか)宣伝使(せんでんし)仰有(おつしや)いましたが、230宣伝使(せんでんし)ならば、231何卒(なにとぞ)(われ)()誠忠(せいちう)(あはれ)み、232最善(さいぜん)方法(はうはふ)(をし)(くだ)さいませ。233そして貴方(あなた)何教(なにけう)宣伝使(せんでんし)御座(ござ)いますか。234それが一言(ひとこと)(うけたま)はりたう御座(ござ)います』
235無住居士(べつ)竜雲(りううん)(ごと)悪魔(あくま)言向和(ことむけやは)すに()いては議論(ぎろん)もヘチマもあつたものでない。236(ただ)(なんぢ)(こころ)にひそむ執着心(しふちやくしん)驕慢心(けうまんしん)自負心(じふしん)脱却(だつきやく)し、237只々(ただただ)惟神(かむながら)正道(せいだう)立返(たちかへ)りなばそれで十分(じふぶん)だ。238(ひと)つの計画(けいくわく)(なに)()つたものでない。239アハヽヽヽ』
240()()て、241(また)もや(そで)ふり()つて立去(たちさ)らむとする。242テーリスは()かぬ(ばか)りに(ひざまづ)き、243無住(むぢゆう)(つゑ)をグツト(にぎ)りながら、
244テーリス『エームスよ、245(はや)(わう)さまをここへお(むか)(まを)して()よ。246無住(むぢゆう)居士(こじ)(いま)(かへ)られては、247吾々(われわれ)暗夜(あんや)航海(かうかい)する(ふね)艫櫂(ろかい)(うしな)うたやうなものだ。248サア(はや)(はや)く……』
249()()つれば、250エームスは打頷(うちうなづ)きながら、251(いそ)いで(あやふ)(いは)(かべ)(つた)岩窟(がんくつ)さして(いそ)()く。
252無住(むぢゆう)貴重(きちよう)なタイムを、253仮令(たとへ)一息(ひといき)()空費(くうひ)するは、254天地(てんち)(かみ)さまに(たい)して、255(まこと)にすまない。256最早(もはや)無住(むぢゆう)(よう)はなき(はず)257よく本心(ほんしん)立帰(たちかへ)り、258直日(なほひ)見直(みなほ)聞直(ききなほ)し、259自分(じぶん)(こころ)相談(さうだん)をなされ』
260テーリス『ハイ、261(かさ)(がさ)ねの()教訓(けうくん)262(まこと)有難(ありがた)御座(ござ)います。263()いては(いま)(しばら)くの(あひだ)()()ちを(ねが)ひます。264(わう)さまの此処(ここ)へお()でになる(まで)……』
265無住居士『サガレン(わう)(いま)(ごと)精神(せいしん)にてわれに面会(めんくわい)(かな)ふと(おも)うてゐるか。266取違(とりちがひ)するにも(ほど)があるぞよ。267われの正体(しやうたい)感知(かんち)する(こと)出来(でき)るか』
268テーリス『ハイ(かみ)(さま)とも宣伝使(せんでんし)とも見分(みわ)けがつきませぬ。269何卒(なにとぞ)々々(なにとぞ)(しばら)くの()猶予(いうよ)()(ねがひ)(まを)します』
270合掌(がつしやう)し、271熱涙(ねつるゐ)(ほほ)(なが)(なが)(たの)()る。
272 無住(むぢゆう)居士(こじ)(こゑ)(さはや)かに、273老人(らうじん)にも()ず、274(いさ)ましき声音(せいおん)にて(うた)()したり。
275無住居士『あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
276(かみ)(おもて)(あら)はれて
277(ぜん)(あく)とを立別(たてわ)ける
278とは()ふものの()(なか)
279顕幽(けんいう)一致(いつち)善悪(ぜんあく)不二(ふじ)
280(ぜん)もなければ(あく)もない
281(こころ)(ひと)つの()ちやうぞ
282サガレン(わう)(つか)へたる
283テーリス、エームス両人(りやうにん)
284(かみ)(ちから)(まこと)(つゑ)
285(あさ)(ゆふ)なに真心(まごころ)
286(あら)(きよ)めてサガレン(わう)
287(きみ)(みこと)()ふも(さら)
288(この)()(おや)()れませる
289(すめ)大神(おほかみ)(おん)(まへ)
290天地(てんち)自然(しぜん)(かざ)りなき
291(まこと)(こころ)(ささ)げつつ
292(いの)れよ(いの)(くに)(ため)
293天地(てんち)(あひだ)()()てる
294すべての(もの)になり(かは)
295(つみ)(あがな)千万(ちよろづ)
296(なや)みをわが()甘受(かんじゆ)して
297(かみ)大道(おほぢ)にまつろひし
298(その)真心(まごころ)(あら)はせよ
299(かみ)(なんじ)(とも)にあり
300とは()ふものの()(こころ)
301いかでか(かみ)(まも)らむや
302(かみ)(まも)らす身魂(みたま)には
303(ちり)もなければ(くも)りなし
304(こころ)(そら)日月(じつげつ)
305(ひかり)さやけく()りわたり
306平和(へいわ)(かぜ)永遠(とは)()
307(はな)(にほ)(とり)(うた)
308(みの)りゆたけき(かみ)(くに)
309(こころ)世界(せかい)建設(けんせつ)
310宇宙(うちう)(そと)()()いて
311森羅(しんら)万象(ばんしやう)睥睨(へいげい)
312(もと)(こころ)(かへ)りなば
313(なんぢ)最早(もはや)(かみ)(みや)
314(かみ)身魂(みたま)となりぬべし
315あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
316(かみ)大道(おほぢ)をつつしみて
317(すす)めよ(すす)めバラモンの
318(をしへ)(ほう)ずる神司(かむづかさ)
319それに(したが)人々(ひとびと)
320(この)老翁(らうをう)一言(ひとこと)
321(わか)れに(のぞ)みてのこしおく
322あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
323われの姿(すがた)村肝(むらきも)
324(こころ)(さだ)めてよく(さと)
325サガレン(わう)(きた)(まで)
326()ちてやりたく(おも)へども
327タイムの(ちから)何時(いつ)(まで)
328(もと)(かへ)さむ(よし)もなし
329いざいざさらば いざさらば
330二人(ふたり)(まこと)神司(かむづかさ)
331ここにて(たもと)(わか)つべし』
332といふかと()れば、333飛鳥(ひてう)(ごと)老躯(ろうく)(もの)()にもせず、334(あし)(はや)めて、335(はや)くも濃霧(のうむ)(なか)()えて(しま)つた。336(この)老人(らうじん)(はた)して何神(なにがみ)化身(けしん)であらうか?
337大正一一・九・二二 旧八・二 松村真澄録)
ロシアのプーチン大統領が霊界物語に予言されていた!?<絶賛発売中>
オニド関連サイト最新更新情報
10/22【霊界物語ネット】王仁文庫 第六篇 たまの礎(裏の神諭)』をテキスト化しました。
5/8【霊界物語ネット】霊界物語ネットに出口王仁三郎の第六歌集『霧の海』を掲載しました。
このページに誤字・脱字や表示乱れなどを見つけたら教えて下さい。
返信が必要な場合はメールでお送り下さい。【メールアドレス
合言葉「みろく」を入力して下さい→  
霊界物語ネットは飯塚弘明が運営しています。【メールアドレス】 / 動作に不具合や誤字脱字等を発見されましたら是非お知らせ下さるようお願い申し上げます。 / 本サイトに掲載されている霊界物語等の著作物の電子データは飯塚弘明ほか、多数の方々の協力によって作られました。(スペシャルサンクス) / 本サイトの著作権(デザイン、プログラム、凡例等)は飯塚弘明にあります。出口王仁三郎の著作物(霊界物語等)の著作権は保護期間が過ぎていますのでご自由にお使いいただいて構いません。ただし一部分を引用するのではなく、本サイト掲載の大部分を利用して電子書籍等に転用する場合には、必ず出典と連絡先を記して下さい。→「本サイト掲載文献の利用について」 / 出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別的と見なされる言葉や表現もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。 / プライバシーポリシー
(C) 2007-2024 Iizuka Hiroaki