霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第九章 濃霧(のうむ)(みち)〔九九七〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第36巻 海洋万里 亥の巻 篇:第2篇 松浦の岩窟 よみ(新仮名遣い):まつうらのがんくつ
章:第9章 濃霧の途 よみ(新仮名遣い):のうむのみち 通し章番号:997
口述日:1922(大正11)年09月22日(旧08月2日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
サガレン王とエームス、テーリスの主従三人連れは、霧の立ち込める谷道を逃げていく。一行はセムの里を抜け、松浦の小糸の館に身を隠そうと進んで行く。
エームスとテーリスは述懐の歌を歌いながら、道中の無事をバラモン教の神に祈りつつ進んで行く。この谷川は常に濃霧が立ち、危険な生き物が棲息し山賊も出没する地帯であったが、一行は竜雲の追っ手を避けるために、心ならずもこの道筋を行かざるを得なかった。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-10-07 14:45:07 OBC :rm3609
愛善世界社版:83頁 八幡書店版:第6輯 612頁 修補版: 校定版:85頁 普及版:36頁 初版: ページ備考:
001常世(とこよ)(くに)自在天(じざいてん)
002大国別(おほくにわけ)(うづ)()
003(うま)()でたるサガレン(わう)
004顕恩郷(けんおんきやう)(あと)にして
005ペルシヤの(くに)横断(わうだん)
006印度(インド)(くに)遠近(をちこち)
007さまよひ(めぐ)(やうや)くに
008シロの(しま)へと安着(あんちやく)
009バラモン(けう)御教(みをしへ)
010(あさ)(ゆふ)なに()(つた)
011(やうや)(ここ)(とき)()
012神地(かうぢ)(みやこ)のバンガロー
013青垣山(あをがきやま)三方(さんぱう)
014(きよ)くめぐらす絶頂(ぜつちやう)
015地点(ちてん)(やかた)()(なら)
016シロ一国(いつこく)主権者(しゆけんじや)
017(あふ)がれここにケールス(ひめ)
018(めと)りて御代(みよ)(をさ)めしが
019漸次(ぜんじ)悪魔(あくま)のつけ(ねら)
020(その)有様(ありさま)(あぢ)のよき
021()()(むし)のわく(ごと)
022八岐(やまた)大蛇(をろち)醜霊(しこみたま)
023いろいろさまざま()(へん)
024妖術(えうじゆつ)使(つか)竜雲(りううん)
025(あら)はれ(きた)りてバンガロー
026神地(かうぢ)(やかた)侵入(しんにふ)
027あらゆる手段(しゆだん)をめぐらして
028ケールス(ひめ)(そば)(ちか)
029(すす)()りたる(すさま)じさ
030蟻穴(ぎけつ)(つひ)堤防(ていばう)
031(くづ)すの比喩(たとへ)()れずして
032さしもに(かた)神館(かむやかた)
033サガレン(わう)居城(きよじやう)をば
034()もなく(ここ)占領(せんりやう)
035暴威(ばうゐ)(ふる)(にく)らしさ
036忠臣(ちうしん)義士(ぎし)(たす)けられ
037やうやく危難(きなん)(まぬが)れて
038九五(きうご)(くらゐ)()(なが)
039(その)()(もつ)(のが)れたる
040サガレン(わう)大野原(おほのはら)
041()()(かぜ)にも心魂(しんこん)
042(いた)めながらも河森(かうもり)
043河辺(かはべ)(つた)ひてスタスタと
044テーリス、エームス両人(りやうにん)
045セムの(さと)へと(しの)()
046(ふか)谷間(たにま)(きり)こめて
047水音(みなおと)ばかり淙々(そうそう)
048(ひび)(わた)れる(かは)()
049(すす)(きた)れる(をり)もあれ
050(こころ)(きたな)竜雲(りううん)
051(さし)まはしたる目附役(めつけやく)
052数人(すうにん)(ばか)りの若者(わかもの)
053一方口(いつぱうぐち)谷路(たにみち)
054(きり)(まぎ)れて()(かく)
055手具脛(てぐすね)ひいて()ちゐたり
056かかる(たく)みのあることは
057(ゆめ)にも()らぬ主従(しゆじう)
058(こゑ)(しづ)かに宣伝歌(せんでんか)
059(うた)ひながらにシトシトと
060(くだ)()くこそ(あや)ふけれ
061あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
062御霊(みたま)(さち)はひましませよ。
063 テーリスは路々(みちみち)(うた)ふ。
064テーリス天津(あまつ)御空(みそら)(くも)()けて
065あもりましたる()(もと)
066(かみ)御祖(みおや)()れませる
067常世(とこよ)(くに)自在天(じざいてん)
068大国彦(おほくにひこ)(その)御裔(みすゑ)
069国別彦(くにわけひこ)神司(かむつかさ)
070サガレン(わう)(わが)(きみ)
071神地(かうぢ)(みやこ)、バンガロー
072(うづ)(やかた)()れまして
073(あめ)(した)なる人草(ひとぐさ)
074(めぐ)(まも)らせ(たま)ひつつ
075仁慈(じんじ)無限(むげん)政事(まつりごと)
076(ひら)かせ(たま)折柄(をりから)
077(この)()(みだ)曲津(まがつ)(かみ)
078(しこ)大蛇(をろち)(あら)はれて
079ケールス(ひめ)誑惑(きやうわく)
080(つひ)(すす)んで王位(わうゐ)をば
081占領(せんりやう)せむと村肝(むらきも)
082(こころ)(くだ)朝夕(あさゆふ)
083名利(めいり)にはやる曲人(まがびと)
084()きつ(さと)しつ()らぬ()
085同気(どうき)(もと)むる悪党(あくたう)
086団結(だんけつ)(つよ)くつき(かた)
087忠誠(ちうせい)()(ことごと)
088無辜(むこ)罪名(ざいめい)()はせつつ
089一人(ひとり)(のこ)らず牢獄(らうごく)
090投込(なげこ)みおきて竜雲(りううん)
091おのれが非望(ひばう)(たつ)せむと
092(たく)()たりし(おそ)ろしさ
093(われ)(はじ)めて竜雲(りううん)
094神地(かうぢ)(みやこ)(きた)りしゆ
095(あや)しき(もの)推量(すゐりやう)
096(かれ)(こころ)(さぐ)らむと
097(こころ)にもなき阿諛(へつらひ)
098()(たび)(ごと)(なら)()
099(やうや)(かれ)見出(みいだ)され
100すべての計画(けいくわく)一々(いちいち)
101それとはなしにあちこちと
102(さぐ)()たりし(うれ)しさよ
103さはさり(なが)(いたづら)
104あばき()てなば悪神(あくがみ)
105仕組(しぐみ)(わな)(おちい)らむ
106(こころ)千々(ちぢ)(はや)れども
107ヂツと(むね)をば(おさ)へつつ
108(なほ)(すす)みて竜雲(りううん)
109(はら)(たた)けば(あん)(ぢやう)
110レール、キングス、ベツトする
111(その)謀計(ぼうけい)はありありと
112()()(ごと)()えにける
113あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
114大国彦(おほくにひこの)大御神(おほみかみ)
115何卒(なにとぞ)(かれ)計略(けいりやく)
116根本(こんぽん)(てき)(くつが)やし
117(こころ)(そこ)より曲神(まがかみ)
118(あらた)めしめてバラモンの
119(まこと)(みち)降服(かうふく)
120サガレン(わう)(おん)(まへ)
121(きよ)(ただ)しき真心(まごころ)
122(ささ)げまつりて誠忠(せいちう)
123(おみ)となさしめ(たま)へよと
124(いの)りし(こと)(みづ)(あわ)
125悪心(あくしん)益々(ますます)増長(ぞうちよう)
126ケールス(ひめ)踏台(ふみだい)
127種々(しゆじゆ)画策(くわくさく)()(つき)
128(すす)みて(ここ)にクーデターの
129大惨劇(だいさんげき)(えん)じけり
130さはさり(なが)天地(あめつち)
131(ただ)しき(かみ)のます(かぎ)
132(ぜん)(たす)けて悪神(あくしん)
133こらさせ(たま)ふは()のあたり
134(ただ)今日(けふ)()是非(ぜひ)もなし
135(しばら)姿(すがた)山奥(やまおく)
136(かく)して(とき)松風(まつかぜ)
137()()()きて竜雲(たつくも)
138()(はら)ふべき神策(しんさく)
139(こころ)(しづ)かにめぐらせつ
140捲土(けんど)重来(ぢゆうらい)バンガロー
141(ふたた)(わう)(みやこ)とし
142(われ)()二人(ふたり)忠誠(ちうせい)
143(あら)はし(きみ)御心(みこころ)
144(なぐさ)めまつらむ(いま)(しば)
145(しの)ばせ(たま)へサガレン(わう)
146テーリス、エームス両人(りやうにん)
147(こころ)(かぎ)()のきはみ
148千変(せんぺん)万化(ばんくわ)大秘術(だいひじゆつ)
149(つく)して(おん)()(はじ)めとし
150(これ)御国(みくに)泰山(たいざん)
151(やす)きに(すく)ひまつるべし
152あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
153御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
154霧込(きりこ)むる河森川(かうもりがは)谷道(たにみち)(つた)(つた)ひて、155セムの(さと)()え、156松浦(まつうら)(さと)小糸(こいと)(やかた)()して、157(しの)()かむと(みち)(いそ)ぎぬ。
158 エームスは(また)(うた)ふ。
159エームス渺茫(べうばう)千里(せんり)海原(うなばら)
160(うか)びて(きよ)きシロの(しま)
161(かみ)(つかさ)(くに)(きみ)
162(ふた)つを()ねて(しろ)しめす
163国別彦(くにわけひこ)のサガレン(わう)
164(その)仁徳(じんとく)天ケ下(あめがした)
165四方(よも)草木(くさき)(いた)るまで
166(めぐみ)(つゆ)()(たま)
167(きみ)のほまれは大空(おほぞら)
168(かがや)きわたる天津(あまつ)()
169(よる)(まも)りとあれませる
170(つき)(ごと)くに(かがや)きて
171きらめき(わた)(ほし)(ごと)
172まつろひ(きた)神人(かみびと)
173(かず)ある(なか)黒雲(くろくも)
174(たちま)中空(ちうくう)()(おこ)
175雲入道(くもにふだう)(あら)はれし
176(まが)変化(へんげ)竜雲(りううん)
177月日(つきひ)(かく)諸星(もろぼし)
178(ひかり)(つつ)みて(この)(くに)
179(しば)しは常夜(とこよ)(やみ)となり
180(あま)岩戸(いはと)()ざされて
181八岐(やまた)大蛇(をろち)醜狐(しこぎつね)
182曲鬼(まがおに)探女(さぐめ)醜女(しこめ)()
183五月蠅(さばへ)(ごと)()きみちて
184黒白(あやめ)()かぬ()となりぬ
185(まが)(くみ)する悪神(あくがみ)
186ケリヤ、ハルマを(はじ)めとし
187ベールやメール、ヨール(まで)
188名利(めいり)(よく)(くら)まされ
189大恩(たいおん)(ふか)(わが)(きみ)
190見棄(みす)つるのみか危害(きがい)まで
191(くは)へて一味(いちみ)欲望(よくばう)
192()てむとしたる(おろか)さよ
193御空(みそら)(くも)(つつ)まれて
194(ほし)さへ()えぬ()ありとも
195(かみ)伊吹(いぶき)神風(かみかぜ)
196何時迄(いつまで)()かであるべきぞ
197天地(てんち)(もと)より活物(いきもの)
198(かみ)(をしへ)()くからは
199(また)もや()かむ時津風(ときつかぜ)
200満天(まんてん)(すみ)(なが)(ごと)
201(つつ)みし(しこ)黒雲(くろくも)
202(ぬぐ)ふが(ごと)()れわたり
203光輝(くわうき)赫々(かくかく)万物(ばんぶつ)
204伊照(いて)らし(たま)日月(じつげつ)
205(ひかり)()むは()のあたり
206(かみ)(つかさ)大君(おほぎみ)
207(かなら)(こころ)(なや)まして
208()をば(よわ)らせ(たま)ふまじ
209テーリス、エームス(はじ)めとし
210サール、ウインチ、シルレング
211ユーズ、アナンやゼム、エール
212セールの(つかさ)真心(まごころ)
213(かなら)(てん)貫徹(くわんてつ)
214(まこと)(はな)()()でて
215(ふたた)(きみ)()治世(ぢせい)
216(みの)りを(むす)ぶは惟神(かむながら)
217(かみ)(こころ)にましまさむ
218(われ)()(これ)より大君(おほぎみ)
219松浦(まつら)(さと)のバラモンの
220小糸(こいと)(やかた)(みちび)きて
221(ここ)神示(しんじ)奉戴(ほうたい)
222時節(じせつ)()つて竜雲(りううん)
223(しこ)(のぞ)みを根底(こんてい)より
224顛覆(てんぷく)させむ()(しば)
225(かみ)御水火(みいき)()れませる
226科戸(しなど)(かぜ)(そら)(たか)
227()きすさぶまで日月(じつげつ)
228(ふたた)(この)()(あら)はれて
229悪魔(あくま)(かしら)をてらすまで
230あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
231(かみ)のまにまに村肝(むらきも)
232(こころ)(あら)()(きよ)
233サガレン(わう)(おん)(ため)
234仮令(たとへ)生命(いのち)はすつるとも
235忠義(ちうぎ)(かた)武夫(もののふ)
236(まこと)(とほ)さでおくべきや
237(あか)(こころ)のいつ(まで)
238(かがや)きわたらでおくべきか
239あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
240大国彦(おほくにひこの)大神(おほかみ)
241御前(みまへ)(つつし)()ぎまつる
242御前(みまへ)(かしこ)()ぎまつる』
243(こゑ)(しづ)かに(いの)りつつ、244轟々(がうがう)たる激流(げきりう)(おと)便(たよ)りに川辺伝(かはべつた)ひに(きり)(なか)(すす)()く。
245 (この)谷川(たにがは)には(つね)濃霧(のうむ)()ちこめ、246数多(あまた)大蛇(をろち)247猛獣(まうじう)などの好適(かうてき)棲息所(せいそくしよ)自然(しぜん)になつてゐた。248山賊(さんぞく)などの白昼(はくちう)出没(しゆつぼつ)するも、249大部分(だいぶぶん)(この)道筋(みちすぢ)である。250(わう)一行(いつかう)竜雲(りううん)捕手(とりて)追及(つゐきふ)(おそ)れて、251(こころ)ならずも(この)難路(なんろ)(えら)まれたのである。
252大正一一・九・二二 旧八・二 松村真澄録)
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