霊界物語.ネット~出口王仁三郎 大図書館~
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第七章 蒙塵(もうぢん)〔九九五〕

インフォメーション
著者:出口王仁三郎 巻:霊界物語 第36巻 海洋万里 亥の巻 篇:第1篇 天意か人意か よみ(新仮名遣い):てんいかじんいか
章:第7章 蒙塵 よみ(新仮名遣い):もうじん 通し章番号:995
口述日:1922(大正11)年09月21日(旧08月1日) 口述場所: 筆録者:松村真澄 校正日: 校正場所: 初版発行日:1923(大正12)年12月30日
概要: 舞台: あらすじ[?]このあらすじは東京の望月さん作成です(一部加筆訂正してあります)。一覧表が「王仁DB」にあります。[×閉じる]
サガレン王は発狂者として厳重な監視付きで一室に閉じ込められていた。王は一弦琴を取り出して声も静かに歌いだした。
サガレン王の父・大国別はイホの都でバラモン教を開いたが、三五教に追われて顕恩郷に逃げた。大国別がその地でなくなると、バラモン教の棟梁となった鬼雲別は自分を疎んじ、そのため自分はシロの島までやってきて教えを開き、王となった半生を歌に歌った。
そしてウラル教の竜雲がやってきてケールス姫を籠絡し、今の境遇に至ったことを嘆き、大自在天に自分とシロの国民たちの救いを請い願った。
テーリスはサガレン王の部屋の外にやってきて、あたりに人がないのを幸い、アナン一派が王を救うべく計画を実行していることを歌に託して歌った。サガレン王はこの歌を聞いて自分を助けるべく臣下が活動していることを知り、大いに勇気づけられた。
竜雲はケールス姫を伴い、王を監禁した部屋の前に現れ、声高々とウラル教への改心を迫る歌を歌った。竜雲は自分こそがシロを治めるのにふさわしいと勝手な理屈を歌い、譲位を迫る言霊を臆面もなく発射している。
サガレン王はただうつむいているだけだった。そこへ、城の外に爆竹の音が響いた。竜雲とケールス姫は青くなってこの場を出て行った。竜雲は部下に下知して防戦の指揮を取った。アナンの軍は城門を破り、城内に乱入してきた。
エームスとテーリスはこの混乱に乗じてサガレン王を部屋から救いだし、裏門から人目を忍んで逃げ出した。
主な登場人物[?]【セ】はセリフが有る人物、【場】はセリフは無いがその場に居る人物、【名】は名前だけ出て来る人物です。[×閉じる] 備考: タグ: データ凡例: データ最終更新日:2022-10-06 09:18:28 OBC :rm3607
愛善世界社版:60頁 八幡書店版:第6輯 605頁 修補版: 校定版:61頁 普及版:27頁 初版: ページ備考:
001 サガレン(わう)一室(いつしつ)取込(とりこ)められ、002発狂者(はつきやうしや)()いられ、003厳重(げんぢゆう)なる監視人(かんしにん)()きにて昼夜(ちうや)(べつ)なく見張(みは)られてゐた。004サガレン(わう)一絃琴(いちげんきん)取出(とりいだ)し、005(こゑ)(しづ)かに(うた)ふ。
006サガレン王(ちち)大国別(おほくにわけ)(かみ)
007イホの(みやこ)()れまして
008(をしへ)(ひら)(たま)ひしが
009三五教(あななひけう)神司(かむつかさ)
010夏山彦(なつやまひこ)祝姫(はふりひめ)
011(その)(ほか)(もも)神人(かみびと)
012()(はら)はれて顕恩(けんおん)
013(さと)鬼雲彦(おにくもひこ)()
014(をしへ)(ひら)(たま)ひしが
015()もなく(ちち)()()りて
016鬼雲彦(おにくもひこ)はバラモンの
017教司(をしへつかさ)となり()ほせ
018われを()すてて(かへり)みず
019やむなく(われ)はシロの(しま)
020神地(かうぢ)(みやこ)(あら)はれて
021(やうや)(をしへ)四方(よも)(くに)
022()(ひろ)めつつ国民(くにたみ)
023(をし)(みちび)(わう)となり
024これの国地(くぬち)(おだや)かに
025(をさ)まりゐたる(をり)もあれ
026ウラルの(みち)竜雲(りううん)
027何処(いづこ)ともなく(あら)はれて
028ケールス(ひめ)籠絡(ろうらく)
029()()勢力(せいりよく)扶植(ふしよく)して
030傍若(ばうじやく)無人(ぶじん)(かれ)(わざ)
031(この)神城(かみしろ)(うば)はむと
032()からぬことを(くはだ)てつ
033(こころ)(くる)ひしわれなりと
034(いま)無残(むざん)(かご)(とり)
035詮術(せんすべ)なさに()(なみだ)
036(とど)むる(よし)荒浪(あらなみ)
037(うみ)(ただよ)(ごと)くなり
038危険(きけん)刻々(こくこく)()(せま)
039明日(あす)をも()れぬ(わが)生命(いのち)
040(まこと)(かみ)のましまさば
041一日(ひとひ)(はや)曲神(まがかみ)
042きため(たま)ひて(もと)(ごと)
043われをば(ふたた)(わう)となし
044忠誠(ちうせい)無比(むひ)のタールチン
045キングス(ひめ)やエームスや
046ユーズ、サールにゼム、エール
047シルレングをば(すく)ひませ
048名利(めいり)(くる)曲神(まがかみ)
049われの恩顧(おんこ)打忘(うちわす)
050(こころ)(きたな)竜雲(りううん)
051(まへ)(こし)をば(かが)めつつ
052(ひげ)(ちり)をば(はら)(やつ)
053(やかた)内外(うちと)充満(じうまん)
054正義(せいぎ)(ほろ)(じや)(さか)
055()常闇(とこやみ)()()てて
056(こころ)(そら)村雲(むらくも)
057(つつ)まれ()へぬ十重(とへ)二十重(はたへ)
058()らさむ(よし)()(ばか)
059あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
060(かみ)御霊(みたま)(さち)はひて
061一日(ひとひ)(はや)片時(かたとき)
062(この)(くるし)みを(のぞ)かせよ
063(かみ)(われ)()(とも)にます
064(かみ)(こころ)(かな)ひなば
065いかなることか()らざらむ
066(ぜん)をば(たす)曲神(まがかみ)
067(ほろぼ)(たま)(かみ)(みち)
068一日(ひとひ)(はや)(わが)(むね)
069()らさせ(たま)自在天(じざいてん)
070大国彦(おほくにひこ)(おん)(まへ)
071(つつし)(ゐやま)()ぎまつる
072(あさひ)(てる)とも(くも)るとも
073(つき)()つとも()くるとも
074魔神(まがみ)如何(いか)(すさ)ぶとも
075(まこと)(かみ)のある(かぎ)
076(まこと)(みち)をひたすらに
077(まも)真人(まびと)如何(いか)にして
078(まも)らで()ます(こと)あらむ
079あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
080(かみ)(われ)()(あはれ)みて
081一日(ひとひ)(はや)(すく)ひませ
082(わが)()(ひと)つの(ため)ならず
083シロの島根(しまね)()()てる
084青人草(あをひとぐさ)(すく)(ため)
085(まも)らせ(たま)へと()ぎまつる
086あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
087御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
088(こころ)(しづ)かに、089(こと)()(あは)せて、090述懐(じゆつくわい)(うた)ひつつありぬ。
091 テーリスは此処(ここ)(あら)はれ(きた)り、092あたりに(ひと)()きを(さいは)ひ、093(しつ)(そと)より(こゑ)(しづか)(うた)ひてサガレン(わう)に、094アナンの一派(いつぱ)(きみ)(すく)()すべく計画(けいくわく)しつつありとの(こと)を、095(うた)(よそほ)ひて()()てたり。096(その)(うた)
097テーリス『シロの島根(しまね)真秀良場(まほらば)
098青垣山(あをがきやま)(いただ)きに
099そそり()ちたる常磐木(ときはぎ)
100(いろ)青々(あをあを)若緑(わかみどり)
101枝葉(えだは)(しげ)(いきほひ)
102(しこ)魔風(まかぜ)()きすさび
103(その)大木(たいぼく)(たふ)さむと
104(あさ)(ゆふ)なに(はか)らひつ
105(こころ)(たけ)(たつまき)
106(くも)(いきほひ)(つよ)くして
107一度(いちど)(みね)(つつ)(ども)
108(かみ)御息(みいき)()きうつる
109科戸(しなど)(かぜ)はいつまでも
110()かずにあるべき惟神(かむながら)
111(かみ)御心(みこころ)(まか)せつつ
112八重雲(やへくも)四方(よも)()()くる
113(つよ)(ちから)時津風(ときつかぜ)
114(いま)()かむとすサガレンの
115(きみ)(みこと)(いま)(しば)
116()たせ(たま)へよ()(うへ)
117(きよ)月日(つきひ)はテーリスや
118アナン、サールを(はじ)めとし
119セール、ウインチ、エームスの
120(きよ)身魂(みたま)(あめ)となり
121(かぜ)ともなりて(きみ)()
122(あら)(きよ)めむ()(しば)
123(かみ)御霊(みたま)(さち)はひて
124八岐(やまた)大蛇(をろち)醜狐(しこぎつね)
125()ぐふ身魂(みたま)をサラサラに
126(はら)(のぞ)くる(よろこ)びは
127有明月(ありあけづき)真夜中(まよなか)(ごろ)
128(みづ)(ねむ)れる丑満(うしみつ)
129(とき)(うかが)()(みこと)
130(すく)ひまつりて(もと)(ごと)
131(この)神国(かみくに)にサヤサヤに
132御稜威(みいづ)(かがや)国人(くにびと)
133(だい)主師親(しゆししん)(あふ)がれて
134月日(つきひ)(とも)(その)(ひか)
135(きそ)(たま)ふも()のあたり
136(こころ)(たひら)(やす)らかに
137月日(つきひ)()たせ(たま)へかし
138エームス、テーリス両人(りやうにん)
139(きみ)御側(みそば)(うかが)ひつ
140如何(いか)なる(まが)(たけ)びをも
141一指(ひとゆび)だにもさえさせず
142(こころ)(かぎ)()(かぎ)
143(まも)りまつらむ心安(うらやす)
144思召(おぼしめ)されよテーリスが
145ひそかにひそかに村肝(むらきも)
146(こころ)()かし(たてまつ)
147あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
148御霊(みたま)(さち)はひましまして
149わが大君(おほきみ)はすこやかに
150()()身魂(みたま)(きよ)らけく
151すごさせ(たま)大国彦(おほくにひこ)
152(かみ)(みこと)(おん)(まへ)
153(つつし)(ゐやま)()ぎまつる』
154 サガレン(わう)はテーリスの(うた)()いて、155アナン以下(いか)忠誠(ちうせい)(しん)が、156やがて(われ)(すく)()すべき(とき)(きた)(こと)(さと)り、157(おほい)(こころ)(つよ)くし(その)()()てり。
158 竜雲(りううん)はケールス(ひめ)(ともな)ひ、159(わう)監禁(かんきん)せる居間(ゐま)(まへ)儼然(げんぜん)として(あら)はれ(きた)り、160(まど)よりソツと室内(しつない)(なが)(こゑ)高々(たかだか)(うた)ふ。
161竜雲『サガレン(わう)()こし()
162ウラルの(かみ)(つかさ)なる
163神徳(しんとく)(つよ)竜雲(りううん)
164(なれ)一言(ひとこと)()(つた)
165(この)シロ(しま)はサガレン(わう)
166(きみ)()らする(くに)ならず
167常世(とこよ)神王(しんわう)末裔(まつえい)
168名乗(なの)りて世人(よびと)(まよ)はせし
169(その)天罰(てんばつ)()のあたり
170(かみ)より()けし生霊(いくたま)
171(いま)(くる)ひて(あは)れにも
172前後(ぜんご)不覚(ふかく)発狂者(はつきやうしや)
173さはさり(なが)(なれ)(また)
174天地(てんち)(かみ)御水火(みいき)より
175(うま)()でたる(もの)なれば
176如何(いか)暴悪(ばうあく)無道(むだう)とて
177(ころ)しすつるに(しの)びむや
178これより(なれ)村肝(むらきも)
179(こころ)(きよ)真心(まごころ)
180(かへり)(なほ)して一日(いちじつ)
181とく(すむ)やけく()(くらゐ)
182退(しりぞ)()れに(ゆづ)れかし
183さすれば()れは(なれ)をして
184(やす)(たの)しく永久(とこしへ)
185生命(いのち)(たも)たせ(まゐ)らせむ
186盤古(ばんこ)神王(しんわう)(たま)(すゑ)
187ウラルの(ひこ)系統(けいとう)
188(その)()(たか)竜雲(りううん)
189ケールス(ひめ)諸共(もろとも)
190神地(かうぢ)(しろ)(あら)はれて
191数多(あまた)国民(くにたみ)(ことごと)
192いと(たひら)けく(やす)らけく
193神代(かみよ)姿(すがた)(みちび)きて
194()永久(とこしへ)(まも)るべし
195もしも(いな)ませ(たま)ひなば
196われにも(ふか)仕組(しぐみ)あり
197(なれ)(みこと)御命(みいのち)
198(あらし)(まへ)灯火(ともしび)
199()えて()せむは()のあたり
200あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
201(かみ)御霊(みたま)(かへり)みて
202わが言霊(ことたま)神直日(かむなほひ)
203(こころ)(ひろ)大直日(おほなほひ)
204よく見直(みなほ)せよ聞直(ききなほ)
205最早(もはや)運命(うんめい)つきし(なれ)
206いかに(こころ)(くだ)くとも
207(この)大勢(たいせい)如何(いか)にして
208挽回(ばんくわい)すべき(とき)あらむ
209(ひと)(こころ)第一(だいいち)
210(こころ)(ひと)つの持様(もちやう)
211今日(けふ)より気楽(きらく)(くら)さうと
212(くるし)(もだ)(たま)()
213(いのち)()てて()(くに)
214(そこ)(くに)なる(くる)しみを
215なめ(あぢ)はふも()(こころ)
216たつた(ひと)つの使(つか)(かた)
217(いな)(おう)かの(かへ)(ごと)
218(はや)()かさせ(たま)へかし
219ケールス(ひめ)諸共(もろとも)
220(なれ)(みこと)決心(けつしん)
221(うなが)しまつる竜雲(りううん)
222慈愛(じあい)(こころ)諒解(りやうかい)
223(いま)()(まへ)御位(みくらゐ)
224われに(ゆづ)ると一言(ひとこと)
225(たま)御声(みこゑ)(たま)へかし
226あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
227(かみ)(ちか)ひて竜雲(りううん)
228(なれ)(みこと)打向(うちむか)
229(いら)へを(ただ)(たてまつ)
230あゝ惟神(かむながら)々々(かむながら)
231御霊(みたま)(さち)はひましませよ』
232勝手(かつて)理屈(りくつ)(なら)()て、233サガレン(わう)密室(みつしつ)監禁(かんきん)し、234自由(じいう)束縛(そくばく)し、235無理(むり)往生(わうじやう)譲位(じやうゐ)せしめむと、236悪逆(あくぎやく)無道(むだう)言霊(ことたま)臆面(おくめん)もなく発射(はつしや)してゐる。237(わう)(あま)りの竜雲(りううん)暴言(ばうげん)(あき)(かへ)り、238黙然(もくねん)として(うつむ)いたまま、239(なん)(いら)へもなく竜雲(りううん)(こゑ)する(はう)()つめゐたり。
240 ()かる(ところ)(しろ)外面(そとも)爆竹(ばくちく)(こゑ)(ひび)くと(とも)に『ワアワア』と数百(すうひやく)(にん)(ひと)叫声(さけびごゑ)241只事(ただごと)ならじと竜雲(りううん)(はじ)めケールス(ひめ)は、242蒼皇(さうくわう)として(この)()立出(たちい)で、
243竜雲(りううん)(まさ)しく、244アナン一派(いつぱ)(てき)襲来(しふらい)ならむ、245(はや)防戦(ばうせん)用意(ようい)なせ』
246とケリヤ、247ハルマの臨時(りんじ)左守(さもり)248右守(うもり)(かみ)(むか)つて下知(げち)(くだ)せば、249両人(りやうにん)城内(じやうない)人々(ひとびと)(あつ)(にはか)武装(ぶさう)せしめ、250(うへ)(した)へと周章(しうしやう)狼狽(らうばい)しながら、251防戦(ばうせん)準備(じゆんび)にさしかかりたるに、252(はや)くもアナンの一軍(いちぐん)表門(おもてもん)打破(うちやぶ)り、253城内(じやうない)(ふか)(とき)(つく)つて乱入(らんにふ)()る。
254 エームス、255テーリスの両人(りやうにん)(この)(こゑ)(いきほひ)()(いさ)()ち、256竜雲(りううん)257ケールス(ひめ)(その)()一同(いちどう)防戦(ばうせん)用意(ようい)精神(せいしん)(うば)はれゐる(すき)(うかが)ひ、258サガレン(わう)(かか)へ、259裏門(うらもん)より人目(ひとめ)(しの)びて、260いづくともなく()()しにける。
261大正一一・九・二一 旧八・一 松村真澄録)
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